| 【表紙】 | |
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| 【提出書類】 | 有価証券報告書 |
| 【根拠条文】 | 金融商品取引法第24条第1項 |
| 【提出先】 | 関東財務局長 |
| 【提出日】 | 令和8年6月30日 |
| 【事業年度】 | 自 令和7年1月1日 至 令和7年12月31日 |
| 【会社名】 | エア・リキード・エス・エー(L’AIR LIQUIDE S.A.) |
| 【代表者の役職氏名】 | 最高経営責任者 フランソワ・ジャコウ |
| 【本店の所在の場所】 | フランス共和国75321パリ市7区ケー・ドルセー街75番地 (75 quai d’Orsay-Paris 7ème 75321 Paris Cedex 07 France) |
| 【代理人の氏名又は名称】 | 日本エア・リキード合同会社 法務本部長 ジェネラルカウンセル 太尾 剛 |
| 【代理人の住所又は所在地】 | 東京都港区芝浦三丁目4番1号グランパークタワー |
| 【電話番号】 | 03-6414-6700 |
| 【事務連絡者氏名】 | 新堰 由香 |
| 【連絡場所】 | 東京都港区芝浦三丁目4番1号グランパークタワー |
| 【電話番号】 | 03-6414-6700 |
| 【縦覧に供する場所】 | 該当事項はありません。 |
注 本書において、別段の記載がある場合を除き、「当社」「エア・リキード」又は「エア・リキードS.A.」とはエア・リキード・エス・エーを指し、「当グループ」とは当社及びその連結子会社を指す。
第一部【企業情報】
第1【本国における法制等の概要】
1 【会社制度等の概要】
(1)【提出会社の属する国・州等における会社制度】
有限責任会社には主として株式会社(société anonyme)と有限会社(société à responsabilité limitée)があり、大規模の会社は一般的に株式会社の形態を、小規模の会社は一般的に有限会社の形態をとっている。
当社を含む株式会社に適用がある主要な法的枠組みは、フランス商法である。以下は、フランス商法に基づいた、当社を含む株式会社に適用がある主要な規定の概略である。
定款は、株式会社に適用される基本的なルールを定めた文書である。定款には特に株式会社の商号、存続期間、登録事務所の所在地、目的、資本金の額及び株式の譲渡性についての一切の制限を定めることが必要とされる。
株 主
株式会社は、2名以上の株主を有することを要する(商事会社については、7名の株主が必要とされる)。株主は個人でも法人でもよく、また外国籍であっても構わない。株主は、会社への出資額を限度として会社の債務につき責任を負う。
株 式 資 本
株式会社の最低資本金額は37,000ユーロである。1株あたりの額面金額について法律上の制約はない。
株式会社の株式資本は、株式、又は株式及び投資証券(certificats d’investissement、以下「CI」という。)からなる。CI及び議決権証券(certificats de droits de vote、以下「CV」という。)は、株式に伴う経済的権利と議決権とを分離させた結果生じる2種類の証券であるが、2004年以降は、CI及びCVの新規発行はできなくなった。
株式会社の発行する株式には、無記名式と記名式の形態がありうるが、1982年10月1日以降は、無記名式株式を発行できるのは証券取引所に上場している会社のみとなった。記名式であれ無記名式であれ、株式の所有は、株券によってではなく会社が保管する株主の口座への記帳(記名式株式の場合)又は金融機関の実質株主の個々の口座への記帳(無記名株式又は管理登録株式の場合)によって表章される。所有権又はその譲渡は、会社又は金融機関が発行する証明書により証明される。
株式を譲渡するためには、株主は会社又は場合により金融機関に譲渡指図を出さなければならない。承認(通常は取締役会の承認)を要する旨の定款上の規定がなければ、株式は自由に第三者に譲渡することができる。
資本出資形態
株式は金銭又は現物出資により発行される。株式会社の当初資本のため発行される株式が金銭により払込まれる場合、最低払込額は発行株式の額面金額の50%であり、残りの50%は取締役会の払込要求により設立から5年以内に払込まなければならない。株式が額面金額を超えた価格で発行されるときは、かかるプレミアムは発行時に全額払込まれることを要する。
株式が現物出資を対価として発行される場合は、その全部が設立時に出資されることを要する。
現物出資の評価額については、出資者の全会一致により選任、又は全会一致による選任ができない場合には商事裁判所により選任された独立鑑定人が意見を出す。但し、現物出資が一定の資産である場合は当該独立鑑定人による介入の例外とする。
増資及び減資
株式会社の資本金は、新株の発行又は発行済株式の額面金額の引上げのいずれかにより増加することができる。資本金の増加は、臨時株主総会における決議のみで行うことができる。株式は現金の払込、現物出資、準備金の資本組入れ又は社債の転換等により発行することができる。
株主は、現金の払込と引き換えに発行される新株について、これを引き受ける優先的な権利を有する。但し、株式会社がその従業員に業績連動株式又は新株予約権を与える場合には、当該オプションの対象となる株式及び株式に対する優先権については、従業員の権利が既存株主に優先する。
株式会社は、臨時株主総会における決議によって、株式の額面金額の切下げ又は発行済株式数の減少により減資することができる。
増資又は減資は、商事裁判所書記官に届け出ることを要し、また官報で公告しなければならない。
ハイブリッド証券の発行
取締役会は、臨時株主総会の授権により、一定の条件のもとで転換可能、交換可能、償還可能、又は保有者にワラントを付与する証券又はその他の方法で会社の資本金の一部を表章するものとして発行される証券の引受権を一定期間又は特定日に付与する証券を発行することができる。
経 営
株式会社の経営は、取締役会(Conseil d’Administration)及び会長/最高経営責任者(Président-Directeur Général)、又は監督役員会(Conseil de Surveillance)の監督下にある経営役員会(Directoire)により行われる。この2つのいずれを選択するかは、定款において定められ、臨時株主総会において変更することができる。
(a) 取締役会、会長及び最高経営責任者
取締役会は3名以上18名以内の取締役からなる。取締役はフランス人、外国人又は法人でもよいが、法人の場合はその常任代表者として自然人を指定することを要する。
取締役は、株主総会において選任され、その任期は最長6年である。取締役は、定款の規定により、定款で定める数の会社の株式を保有することを要求されることがある。株主総会の決議により、原則として、いつでも補償なくして取締役を解任することができ、解任の理由も問わないが、正当な理由がない場合には、損害賠償責任が生じる可能性がある。
取締役会は、自然人である取締役の中から、会長を選任する。会長は、取締役会を組織しその業務を管理し、会社の機関が適切に機能することを確保し、これらについて株主総会に報告する。
取締役会は、会社の活動の方向性を決定し、それが実施されることを確保する。取締役会は、法律及び定款によって株主総会に明示的に与えられた権限を除き、会社の円滑な経営に関する一切の問題を処理し、その決定に基づき会社の事業を運営する。
取締役会の決議は、少なくとも半数の取締役が(対面又は遠隔通信手段により)出席することを要し、自ら又は代理人により出席している取締役の多数決により決せられる。また、株式会社は事前に定款に規定することにより、書面による協議手続をとることができる。
会社の一般的な経営は、最高経営責任者によって担われる。最高経営責任者は、取締役会会長又は他の者がその地位を保有することができる。いずれを選択するかは取締役会によって決定される。最高経営責任者は取締役会によって選任されるが、取締役会の構成員であることを要しない。最高経営責任者は、取締役会によっていつでも解任することができるが、最高経営責任者が理由なく解任された場合であって、取締役会会長の地位を併有しないときは、損害賠償請求をなしうることがある。最高経営責任者は、第三者との関係で会社を代表し、経営について責任を負う。その権限は広汎で、会社の目的並びに法律上取締役会及び株主に留保された権利によってのみ制限される。最高経営責任者の権限に対して定款上又は取締役会が課した制限は、会社内部では拘束力を有するが、第三者に対しては対抗することができない。
最高経営責任者の提案により、取締役会は、その構成員又は構成員外から1名又は複数名の上級執行役員副社長(directeur général délégué)を任命することができる。
(b) 経営役員会及び監督役員会
監督役員会は、3名以上18名以内の監督役員から構成される。監督役員はフランス人、外国人又は法人でもよいが、法人の場合はその常任代表者として自然人を指定することを要する。
監督役員は、株主総会において選任され、その任期は最長6年である。監督役員は定時株主総会で理由を示すことなく解任できる。監督役員は、定款により、定款で定める数の会社の株式を保有することを要求されることがある。
監督役員会は、取締役会と同様、株主の利益を代表する立場にあるが、経営機能も有する取締役会と異なり、監督役員会の主な役割は経営役員会の監督である。監督役員会は、経営役員会から少なくとも3ヶ月に1回事業報告書の提出を受け、さらに1年に1回財務諸表の提出を受ける。
経営役員会は、2名以上5名以内(但し、資本金が150,000ユーロ未満の会社は1名でもよく、上場会社の場合は7名を上限とする。)の構成員からなる。経営役員は定款で定められている場合を除き株主である必要はないが、監督役員を兼ねることはできない。経営役員会の構成員の任期は、定款に定めがなければ4年であり、定めがあるときは2年以上6年以下であることを要する。監督役員会において選任される経営役員会の会長は、第三者との関係で会社を代表する。経営役員会の権限は広汎で、会社の目的並びに法律上監督役員会及び株主に留保された権利によってのみ制限される。経営役員会の権限に対して定款上課された制限は、会社内部では拘束力を有するが、第三者に対しては対抗することができない。
経営役員会の構成員は、定時株主総会で理由を示すことなく解任することができるが、正当な理由がない場合には、損害賠償責任が生じる可能性がある。定款に規定がある場合には、監督役員会の決議によって経営役員会の構成員を解任することもできる。
株式に付与された権利
(a) 株主総会
株主総会は株式会社の最高議決機関であり、株主は総会を通じて会社に対する支配権を行使する。株主総会には定時株主総会(assemblée générale ordinaire)及び臨時株主総会(assemblée générale extraordinaire)の2種類がある。
定時株主総会は、少なくとも毎年1回、財務諸表を承認するために事業年度末から6ヶ月以内に開かれなければならない。臨時株主総会は、定款変更の承認又は資本の変更を行う必要がある場合等に開かれる。
定時株主総会の定足数は、第1回招集においては議決権付株式の5分の1であり、第2回招集においては定めがない。定時株主総会の決議は、出席又は代理出席している株主の有する議決権の過半数により行われる。他方、臨時株主総会の定足数は、第1回招集においては議決権付株式の4分の1であり、第2回招集においては議決権付株式の5分の1である。臨時株主総会の決議は、出席又は代理出席している株主の有する議決権の3分の2の多数により可決される。
(b) 議 決 権
一般に株式の議決権の数は、保有する株式資本の割合に比例するが、これは定款の特定の規定により変更することができる。各株式は少なくとも1個の議決権を有する。株主1名当たりの議決権の数を変更することは可能であるが、かかる制限は同一の種類の全株式に適用されなければならない。その他株主の自由な議決権行使を制限する措置は禁止されている。
単独又は共同で、直接又は間接に所有する上場会社の株式が株式資本(株式数と議決権数が異なる場合は議決権数)の5%、10%、20分の3、20%、25%、30%、3分の1、50%、3分の2、20分の18又は20分の19の水準を上回り又は下回ることになる株主は、当該取引日から4日目の取引終了までに、会社及び金融市場庁(Autorité des Marchés Financiers)にその旨を通知(1)しなければならない。かかる通知を怠った場合は、当該水準を超える株式については、通知が現実になされた日の後2年間経過するまで議決権を行使することができず、また商事裁判所は、該当する株式の全部又は一部について、最長5年間、議決権を停止することができる。さらに、通知の懈怠は、刑事処罰の対象となる。定款の規定により、5%を下回る株式保有についても通知義務を課すことができる。
(1)当該通知には、法令または金融市場庁の定める一般規則に規定される特定の情報を示さなければならない。
(c) 配当及び準備金
配当及び利益分配は株主総会により承認されなければならない。定款に定めがない限り、配当金の支払について制限はないことになるが、配当は利益を上回ることはできない。さらに、法定準備金が発行済株式資本の10%に達するまで、毎年、純利益の最低5%を同準備金に組み入れることを要する。
配当は、株主総会により前事業年度の会社の計算書類が承認され、配当可能利益の額が決定されて初めて行われる。監査人の監査を受けた最終又は中間貸借対照表により、減価償却、準備金及び必要な場合は繰越損失による調整後の利益が、中間配当の額以上である場合には、会社は中間配当を行うことができる。
(d) 清 算
株式会社は、株主総会の決議、存続期間の満了、会社の目的の達成、定款に定める解散事由の充足等複数の事由により解散する。
会社が解散した場合、株主総会決議又は裁判所の命令により選任された清算人が清算業務を行う。清算人は、会社の全負債及び清算費用を支払った後、残余財産を株主に対しそれぞれの持分に応じて分配する。
監 査
株式会社の会計及び財務諸表は、1名又は複数名の監査人(Commissaires aux comptes)により監査される。サステナビリティ情報の信頼性を確保するため、当該情報を作成する必要のある企業は、その認証を行う監査人を任命しなければならない。この情報の認証を行う監査人は、企業の財務諸表の認証を行う監査人と同じ人物でも問題ない。
監査人は、株主総会において選任され、その任期は6会計年度である。監査人は、その監査の結果を取締役会(又は経営役員会及び監督役員会)に報告し、また定時株主総会に報告書を提出する。
(2)【提出会社の定款等に規定する制度】
以下の記載は、当社の定款の要約された情報である。
概 要
当社は、取締役会を設置する株式会社である。当社は、取締役会を設置する株式会社一般に適用される法律及び当社の定款の適用を受ける。当社の正式な会社名は、「エア・リキード・ソシエテ・アノニーム・プール・レチュード・エ・レクスプロタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード」である。
当社の主たる目的は、①ガスの液化並びに冷気、液化ガス及び酸素の工業生産、並びにその応用又は利用に関するジョルジュ・クロード氏及びユージーン・クロード氏の特許又は発明の研究、開発及び販売、②諸分野における、冷気及び液化ガスの工業生産並びにその応用又は利用、並びにガスの生産及び液化並びにその応用及び利用、並びに、③①及び②の目的に直接又は間接に関連する諸製品の購入、製造、販売及び利用等である。
当社は、本店を75007パリ市7区ケー・ドルセー街75番に置く。
当社の存続期間は、当初は1929年2月18日の設立より99年間と固定されていたが、2020年5月5日の臨時株主総会をもって、99年間、すなわち2119年5月4日まで延長された。ただし、早期の解散又は延長の場合はこの限りではない。
株 式 資 本
当社の株式資本は、2026年6月2日時点において、3,509,882,167ユーロであり、1株当たり額面金額5.5ユーロの全額払込済み株式638,160,394株に分割されている。
株 式
全額払込済みの株式は、株主の選択により、記名式又は無記名式で登録することができる。
当社の株式又は議決権を、単独又は共同で直接又は間接的に保有する者は、その保有割合が2%又は2%の倍数増加又は減少したとき(5%の基準値を超える場合を含む)は、取引の日から15日以内に当社に通知しなければならない。株式又は議決権の基準値を判定するため、フランス商法第L.233-9条に規定される合算ルールが適用され、その基準値を越えたことは通知されなければならない。かかる通知義務の懈怠があったときは、当社の株式又は議決権を2%以上保有する1名又は複数の株主は、通知義務のあった株式について、通知義務違反が是正されてから2年を経過するまでに開催される株主総会における議決権を停止することを求めることができる。
経 営
(a) 取締役会
当社は、定時株主総会によって任命された取締役会によって経営される。
取締役会は、3名以上14名以内の構成員によって構成され、その任期は4年であり、任期が満了する年に開催される定時株主総会の終結時に終了する(例外として、新取締役会構成員のうち2006年5月10日以前に監督役員会の構成員であった者は、監督役員会の構成員の任期の残期間と同じ期間任命された)。取締役は、株主総会によっていつでも解任することができ、また再任することもできる。各取締役は、その任期中、当社の登録株式を最低500株保有しなければならない。
定時株主総会では、取締役の活動への報酬として、取締役会の構成員に対する1年分の固定額を決定する。取締役会はこれを構成員に自由に分配することができる。取締役会は、構成員に委託された業務の報酬として、特別な額を割り当てることができる。
取締役会は、自然人である取締役の中から、会長を選任する。会長は、取締役会を組織しその業務を管理し、会社の機関が適切に機能することを確保し、これらについて株主総会に報告する。72歳を超える取締役を、取締役会会長に選任することはできない。取締役会会長が最高経営責任者(CEO)の地位も保有するときは、取締役会がその裁量により、例外的な状況において一時的に、前記の会長の年齢制限を適用することを決定した場合を除き、最高経営責任者の年齢制限(65歳)が適用される。会長はいつでも解任することができる。また、副会長を選任することができる。
取締役会は、会長の通知により、当社の利益のために必要がある限りいつでも開催される。
取締役会の決議は、出席又は代理出席した取締役の単純過半数の議決権によってなされる。取締役会会長は投票権を有する。
取締役会は、有効な規則に定められた条件のもと、取締役の書面による協議によって一定の決定を行うことができる。
取締役会は、その活動の社会的・環境的利害を考慮して、会社の利益に沿う形で、当社の活動の方向性を決定し、それが実施されることを確保する。取締役会は、法律及び定款によって株主総会に明示的に与えられた権限を除き、当社の円滑な経営に関する一切の問題を処理し、その決定に基づき会社の事業を運営する。
(b) 一般的経営
当社の一般的な経営は、最高経営責任者(Directeur Général)によって担われる。2022年5月4日に開催された取締役会において、2022年6月1日以降の取締役会会長と最高経営責任者の機能の分離が決定された。2026年5月5日の取締役会において、この分離されたガバナンス体制を維持することが決定された。
取締役会は、最高経営責任者の任期及び報酬を定める。65歳を超える者を最高経営責任者に選任することはできない。
最高経営責任者は、会社の目的及び定款の制限の範囲内で、また法律上株主総会及び取締役会に明示的に与えられた権限を除き、すべての状況において当社を代表する最も広汎な権限を与えられている。
但し、取締役会は、最高経営責任者による特定の決定(特に、持分又は資産の外部的な購入又は売却、投資の約束、当社の財政構造に実質的な変更を与える可能性の高い財政措置及び当社の戦略的な方向性を実質的に変更する可能性の高い決定)について、取締役会の事前の承認を要すると決定することができる。
取締役会は、最高経営責任者の補助者として、3名以内の個人を上級執行役員副社長として選任することができる。取締役会は、上級執行役員副社長の権限及び報酬を最高経営責任者に従って決定する。しかし、第三者との関係では、上級執行役員副社長は最高経営責任者と同じ権限を有する。上級執行役員副社長は、最高経営責任者の要請に基づき、取締役会によりいつでも解任することができる。上級執行役員副社長の年齢制限は65歳である。
(c) 監 査 人
株主総会は、法律及び本定款に定める任務の遂行のために、少なくとも2名の監査人を任命するものとする。
監査人は、6年の会計年度の間、任命され、再選されることができる。
監査人は、年度末の決算報告に関与し、前会計年度の決算に関する取締役会の会議及びすべての株主総会に招集される。監査人は、有効な手続に従って決定された報酬を受ける。
株 主 総 会
株主総会は、所有している株式数に関係なく、すべての株主により構成される。但し、すべての支払を履行済みであり、かつ議決権を停止されていないことを条件とする。
次に該当する者が株主総会に出席することができる。
・ 株主総会の開催予定日より3営業日以上前に株式口座に登録された記名式株式の保有者
・ 株主総会の開催予定日より3営業日以上前に、株式口座への登録の証票が提出された無記名株式の所有者
株主総会は、毎年1回、上半期に開催する。また、取締役会が必要と認めた場合には、臨時に開催することができる。
株主総会は、法律によって定められた条件に従って、取締役会により招集される。
上場会社においては、株主の配偶者又は代理人(かかる代理人が株主であるか否かを問わない)若しくは法律上の代理人は、株主総会において株主を代理することができる。
定時株主総会は、第1回招集においては、出席又は代理による出席株主の議決権が、全議決権の5分の1以上に達しなければ成立しない。第2回招集においては、定足数は要求されない。議決は、出席又は代理による出席株主の議決権の過半数によって可決される。
臨時株主総会の場合は、出席又は代理による出席株主の議決権が、第1回招集においては全議決権の4分の1以上、第2回招集においては5分の1以上に達しなければ成立しない。議決は、出席又は代理による出席株主の議決権の3分の2以上の多数決によって可決される。
取締役会会長及び取締役会は、株主総会に、年次報告書その他法律により必要とされる報告書並びに年間の連結決算書類を提出する。この報告書上、監査人はその法律上の任務を遂行したことを証明する。その他、法律上要求される報告等はすべてこの株主総会でなされる。
株主総会は、前会計年度の連結決算に関するすべての事項について審議のうえ議決し、支払われるべき配当金の金額を決定する。株主総会はまた、取締役及び監査人を任命する。
会 社 財 務
当会社の会計年度は1月1日に始まり、12月31日に終了する。
当会社の純利益は、純収入から、一般費用並びに償却費用及び引当金を含むその他の費用を控除した金額とする。
配当可能利益は、当期純利益より、累積損失及び法定の引当金を控除し、繰越利益を加算した金額である。
2 【外国為替管理制度】
(1)株式の所有
非居住者が当社の株式を取得するにあたっては、一定の例外的な場合を除いて、フランス当局の事前の許可は必要ではなく、届出で足りる。以下の場合には、届出を要する。
① 非居住者の保有する株式が総額15百万ユーロを超える場合で、当社の株式又は議決権の10%相当分を超えたとき
② 非居住者の保有する株式が、累計で、当社の株式又は議決権の33.33%相当分を超えたとき、すなわち当社が非居住者によって支配されるに至ったとき。
(2)外国為替管理
現行のフランスの外国為替管理制度上、当社による配当の支払に関する制限はない。非居住者株主及び非居住CI所有者に対する全ての送金は、認可外国為替金融機関を通じて行わなければならない。フランスにおける全ての登録銀行及び信用機関は、認可外国為替金融機関である。
3 【課税上の取扱い】
(1)フランスにおける課税
株式(ストック・オプション)の取得に対する課税
ストック・オプション受益者がオプションの行使により実現する「スプレッド」利益に対する課税:
- スプレッドは、行使日の株式価値から行使価格を控除した金額に等しい。
- フランス税法においては、スプレッドは給与として課税されるが、受益者が日本国の居住者である場合には租税条約が適用される。
業績連動株式取得に対する課税
業績連動株式(「無償株式」)の受益者が実現した「取得益」の課税
- 取得益は、その株式が確定的に取得された日の株式価値(市場価格)に相当する。
- フランスの税法では、その利益の一部(300,000 ユーロまで)は、50%の減税後、累進所得税率が適用される。この基準額を超える部分(該当する場合)は、累進所得税率による課税対象所得として、特別な減額措置は適用されない。受益者が日本居住者である場合は、租税条約が適用される。
過去に付与されたストック・オプションによるスプレッドや業績連動株式による取得益については、異なる税務上の取扱いが適用される場合がある。
フランスと日本の間で締結された租税条約に基づく株式取得及び業績連動株式取得に対する課税
- 「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税防止のための日本国政府とフランス共和国政府との間の条約」の下では、通常、一定の条件の下、日本でのみ働いている日本国の居住者は、ストック・オプションの行使により取得したスプレッド(ストック・オプション)又は取得益(業績連動株式)についてフランスの租税を課せられない(日本国在住者がフランス及び日本の双方で働いていた場合には、この限りでない(2))。
(2)フランス税法182条Aの3、判例法Roux CE 17 March 2010は、ストック・オプション保有者が一か国で働き別の国に異動した場合であって、ストック・オプションの行使が受益者の業績に条件づけられている場合には、スプレッドは両国において(時間的な案分により)課税されると述べる。
ストック・オプション又は業績連動株式を売却した際に実現したキャピタルゲイン(すなわち、売却価格とオプションの行使日又は業績連動株式が権利確定日の市場価値との差額)は、通常のキャピタルゲイン課税の対象となる(下記「譲渡所得税」を参照)。
配当に対する課税
非居住者に支払われる配当は、通常、フランス税法に則り12.8%(株主が個人の場合)または25%(3)(株主が法人の場合)の源泉徴収税に服する。(4)
一般に日本国の居住者である当社の株主は、租税条約の規定に従い、当社から支払われる配当についてフランスの10%の軽減税率の適用を受けることができる。但し、これは当該株主が当社の配当について日本の所得税に服する場合に限る。配当は日本における課税の基準額に含まれ、フランスの源泉課税は、二重課税を避けるため、日本の税額控除の対象となる。
軽減税率の適用を受けるためには、原則として、配当支払日までにフランス税務当局の要求する書式を提出することを要するが、事後的に還付を要求することも可能である。フランスの社会保険は適用されない。
(3)2020年1月1日以降、源泉徴収税率は、通常の法人税率と同一(2020年には28%、2021年には26%、2022年には25%)となっている。
(4)フランス税法187条:エア・リキードS.A.により支払われる配当に対する3%の付加税(フランス税法235条の3 ZCA)は、2017年に廃止された。
譲渡所得税
租税条約の下では、日本国の居住者(5)である者は、下記の場合を除き、当社株式の譲渡から取得する収益についてはフランスの租税を課せられない(譲渡益に対する課税は、売主の居住する国による)。
(a)当該当社株式が、フランスにおいて日本の企業が有する恒久的施設の事業資産又は日本国の居住者が利用するフランスにおける固定的施設に関連する資産の一部である場合。
(b)譲渡者が保有し又は所有する当社株式(他の関係当事者が保有し又は所有する当社株式で譲渡者が保有し又は所有するものとともに合算されるものを含む。)が、当該課税年度中のいずれかの時において、当社の株式総数の25%を超え、かつ譲渡者及び前記の関係当事者が当該課税年度中に譲渡した株式の総数が当社の株式総数の5%を超える場合。
フランスの社会保険は適用されない。
(5)適格居住者である場合、又は2007年1月11日付で改定された租税条約に基づくその他の条件を満たす場合に限る。
株式移転にかかる贈与税及び相続税
フランスと日本は、贈与税及び相続税に関する条約を締結していないため、当社の株式の贈与及び相続に関しては、次のフランス国内法が適用される。
贈与税
贈与は、基本的に、相続の場合と同様の税規則に服する(下記参照)。
相続税
フランス国内に資産を有する者がこれを残して死亡した場合には、遺言又は死因贈与など、死亡に起因する全ての資産承継について、受益者に対して相続税が課される。相続税率は、遺産の価額及び死亡者と受益者との間の関係に応じて異なる。
フランスの会社の株式は、死亡者及び受益者がフランス国外に居住していた場合にも課税に服する。これらの場合、法律は二重課税回避のための一元的な対策を講じていない。
株式譲渡にかかる税
時価総額10億ユーロを超える上場会社が発行する株式を取得する場合は、2025年4月1日以降に取得した株式について、金融取引税として売買代金の0.40%(2025年4月1日以前に取得した株式については0.3%)が買主に課される(6)。フランス税務当局はそれらの会社を列挙しており、当社もそこに含まれる。
金融取引税が適用されない地域においては、売買代金の0.1%の登録税が会社株式の買主に課される(7)。上場会社の株式の売却では、上記税率による登録税が課されるのは、当該売却に関する契約書が作成された場合に限る。契約書が作成されていない場合、登録税は課されない。この場合、契約書は広く解釈され、売却の目的及び価格に関する当事者の合意を証明する書面を意味する。
(6)フランス税法第235条の3 ZD
(7)フランス税法第726条
(2)日本における課税
株式の取得に対する課税
日本人の権利保有者がストック・オプションを行使した場合には、オプション行使時の株式の時価と行使価格の差額が給与所得として日本で課税される。
配当に対する課税
フランスの法人から支払われる配当は配当所得として日本で課税される。当該配当につきフランスで源泉徴収された税額がある場合には、一定の条件のもと外国税額控除の対象となる。
4【法律意見】
当社の法務顧問(グループ・ジェネラル・カウンセル)であるティボー・デローム氏から下記趣旨の法律意見書が提出されている。
① 当社は、フランス国法に基づき適法に設立され、完全な資格で有効に存続する会社であること。
② 本有価証券報告書の「第一部 第1 本国における法制等の概要」におけるフランス国法の法規に関する記述内容は、実質的に真実かつ正確であること。
第2【企業の概況】
1【主要な経営指標等の推移】
下表は、最近5連結事業年度に係る主要な経営指標等の推移を示したものである。
| (単位:特段の記載がない限り、百万ユーロ) | |||||
| 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | 2025 | |
| 売上高 | 23,325 | 29.934 | 27,608 | 27,058 | 26,940 |
| 経常的営業利益 | 4,160 | 4,862 | 5,068 | 5,391 | 5,582 |
| 当期純利益(グループ持分) | 2,572 | 2,759 | 3,078 | 3,306 | 3,518 |
| 資本金 | 2,614 | 2,879 | 2,885 | 3,180 | 3,187 |
| 発行済株式数 | 475,291,037 | 523,450,271 | 524,516,778 | 578,259,263 | 579,384,423 |
| 1株当たり純利益(ユーロ) | 5.45 | 5.28 | 5.90 | 5.74 | 6.10 |
| 1株当たり配当金(ユーロ) | 2.90 | 2.95 | 3,20 | 3.30 | 3.70 |
| 配当性向 (%) | 55 | 58 | 54 | 57 | 63 |
| 従業員数(平均)(人) | 66,400 | 67,100 | 67,800 | 66,500 | 65,000 |
| 最高株価(ユーロ) | 155.34 | 150.6 | 179.04 | 177.55 | 186.64 |
| 最低株価 (ユーロ) | 99.22 | 124.7 | 115.7 | 152.25 | 154.64 |
詳細は本報告書「第6 経理の状況」を参照。
2【沿革】
(1)【概略】
1902****年から1960年
起源
ガス、工業事業に対するテクノロジー及びサービス並びにヘルスケアの分野において世界のリーダーである当社は、1902年からリーダーシップを築いてきた。当社は、液体空気を用いて酸素を製造する工業プロセスの発明家であるジョルジュ・クロードと、先見の明のある実業家ポール・デロルムにより1902年に創業された。
最初の国際的な発展
ガスはその特性上輸送が困難でありそれ故現地製造が必要となる。これを一つの要因として、当社は創業当初より世界各地に拠点を構え、海外に製造工場を建設した。そして世界展開は急スピードで行われ、欧州各地(1906)、日本(1907)、カナダ(1911)及び米国(1916)へと拡大された。
株式上場
株主の重要な役割は会社発展の当初より顕在化した。当社は1913年にパリ株式市場に上場し、2013年に上場100周年を迎えた。この100年の間、毎年平均11.9%の株価上昇という異例の株式市場パフォーマンスに基づいて、当社は株主との間の強固で特別な関係を築くよう努めてきた。
画期的な流通方法
1950年代、エア・リキードは工業用ガスの流通に新しい方法を導入した。
低温貯蔵タンクでの液化ガスの貯蔵により、製造拠点からおよそ半径200~250km地域への大量の液化ガスの道路・鉄道輸送が可能になった。
当社は初のネットワーク戦略を採用し、ガスをパイプラインで複数の顧客に提供し、ガス製造ユニット同士をつないだ。当グループはラージ・インダストリーからの需要増に適う製造能力増加を達成し、まずは製鉄産業への酸素供給、そして化学産業への窒素の供給を行った。これがラージ・インダストリー事業のビジネスの起点となった。
1960****年から2000年
宇宙産業
低温技術の産業応用の将来性を確信した会長兼CEOのジャン・デロルムは、低温技術のための研究センターを設立することを決めた。このセンターは1962年にフランスのグルノーブル近郊に設立された。初期のアプリケーションは宇宙産業へ急速に集約され活用され、それ以来、エア・リキードは宇宙開発の重要なパートナーとなっている。
発明の伝統
1970年、クロード・デロルム研究センターがSaclay地区に設立された(現在のイノベーション・キャンパス・パリ)。当研究センターの活動は、ガス製造技術と用途の強化に焦点が当てられた。この展開は、顧客の工業プロセスを本質的に理解し新たなガス用途を開発してより顧客の要望に応えようとする当グループの姿勢の証である。現在、当グループは欧州(フランス・ドイツ)、北アメリカ、及びアジア(中国・日本)にイノベーションキャンパスを持つ。
新しい市場であるエレクトロニクス
当グループは、1985年に、日本における半導体産業への高純度ガス供給を開始した。大半が窒素であるキャリアガスが特殊ガスの運搬に用いられチップ製造ツールの不活性化に使用され、特殊ガスが半導体製造に直接使われた。当社は1987年、日本にエレクトロニクス事業に特化した筑波研究センターを開設した。
大規模買収
当グループは、1986年に、メキシコ湾岸で大規模なパイプライン網を有するラージ・インダストリー事業を行う米国のBig Threeを買収した。
製品提供の拡大-水素と蒸気
1990年代、酸素と窒素に加え、当社は製品の提供を水素・蒸気へと拡大した。この新たな製品の提供を成功させるため、当社は大気ガス事業の成功を支えた当グループのビジネスモデルを利用し、最初から産業地帯戦略と位置づけた。
ヘルスケア事業
また、もともと当社は病院への酸素供給を行っていたが、当社はヘルスケア事業分野のスペシャリストとなった。当グループは1990年代に在宅医療事業を立ち上げ、スペシャリストチームの専従ネットワークを設立した。医療用ガスは徐々に医薬品に分類され、製造業者には製造販売承認の申請が義務付けられた。また当グループは、心肺機能蘇生、鎮痛用治療ガスに対する重要な研究プログラムを開始した。
2000****年から2020年
国際的拡大
当グループは2000年代初めに中国に大規模な投資を行った。同国は産業ガスの主要成長市場であり、当社は数多くのガス販売契約を締結した。
また、当グループは、ドイツ、英国、及び米国においてMesser Griesheimの一部買収を行った。
ビジネスラインの組織化
エア・リキードの向こう数十年の成長の牽引力となるものは、ライフスタイルの変化であり、発展途上国経済の産業的な成長、エネルギー需要と環境問題の増加、ヘルスケア、ハイテクである。当社は4つの世界的事業ラインに基づいて新たな組織的な枠組を創出した。これにより、4つの事業部門(ラージ・インダストリー、工業、ヘルスケア、エレクトロニクス)それぞれに特有の技術・運営に関する専門性を結合し、それぞれ特定のマーケットの専門家を集中させることとなった。
エンジニアリング&建設の能力の戦略的側面を意識して、当グループは2007年にLurgiを買収した。同社の買収により、エア・リキードは、当グループが歴史的に競争力を有していた極低温技術に加え、主要な保有技術、とりわけ水素及び一酸化炭素の製造施設を入手することとなった。
前例のない危機におけるレジリエンス
2008年、2009年に発生した未曾有の規模の経済危機に影響され、当社はキャッシュ、コスト、及び投資の管理に注力した。長期的契約の堅固さが試されたのち、エア・リキードはビジネスモデルの妥当性と回復力を証明した。世界的な景気後退の中で、当グループは例外的存在であることを示し、そのバランスシートの強みを維持する一方で安定的な純利益を生み出した。
イノベーションと水素
イノベーションはエア・リキードの戦略の中心である。2013年に、エア・リキードはオープン・イノベーションを促進する二つのイニシアチブを開始した。すなわち、イノベーション研究所であるi-Lab及びALIADは、当グループのベンチャーキャピタルで、イノベーティブな技術のスタートアップ企業に対するマイノリティ投資を行っている。2014年、当グループはヴェルサイユの近く、Paris-Saclayにある研究所の現代化に伴う投資などを決定し、極低温製造技術のための先端的研究拠点を作り出した。
加えて、世界的な規模で、エア・リキードは、燃料電池電気自動車を市場に発売している自動車メーカーとともに、積極的に水素エネルギーの開発に貢献している。エア・リキードは、水素ステーションの建設に貢献している(米国、日本、フランス、ドイツ、ベルギー、デンマーク、オランダ、韓国及び中国等)。
エア・リキードによるエアガス買収とNEOSプログラム
2016年5月23日、エア・リキードは、米国のエアガスを買収し、新たな段階に突入した。エア・リキードとエアガスの統合は、米国における当グループのビジネスを補完し、これによって、当社は、米国市場の上流及び下流の全ての産業部門にわたりプレゼンスを示すことができるようになった。本統合は、重大な価値を創出した。
この買収により、当グループは3億米ドル以上のシナジー効果を実現した。さらに、エアガスのモデルは、製品、事業のデジタル化、ビジネスモデルの観点から、米国以外にも広がっている。
この買収に伴い、エア・リキードは世界最大の産業ガス市場である米国での地位を強化する。この市場はまた、先進国の中で最も力強い成長を享受している。
この買収を受け、エア・リキードは2016年7月6日、新中期経営計画「NEOS」を発表した。長期的な利益を生む成長を目指した当該計画の戦略は、顧客中心の変革である。このような戦略は、オペレーション上の優越性と投資の質、オープン・イノベーションと当グループが世界中ですでに機能させているネットワーク組織に基づいたものである。
グローバル市場&テクノロジーの設立
新たな市場での事業展開を強化するため、テクノロジーを活用し、当グループは2016年にエネルギー転換分野やディープ・テック分野での新たな事業の発展を担うグローバル市場&テクノロジーを立ち上げた。
ガス&サービスへの再集中
エア・リキードは、2017年のAqua Lung (ダイビング事業)、 Air Liquide Welding (溶接事業)の子会社の売却を受け、ガス&サービスに注力した。本売却の後、ガス&サービスの当グループの売上高における収入の割合は、2015年末の90%から、2018年末には96%に増加している。
エネルギー転換と気候変動対策の目標
エア・リキードは、長年にわたり、特にエア・リキード及びその顧客のCO2排出量を抑制することを目標に、持続的な発展に努めてきた。2018年11月30日、エア・リキードは、2015年から2025年までの間に炭素原単位を30%削減するとの公約を含む気候変動対策の目標を発表した。この目標には、資産、顧客、エコシステムを含む世界的な取り組みを含んでいる。当該目標は、業界内で最も野心的なものであり、当社のNEOSプログラムに沿ったものである。
この点、グローバル市場&テクノロジーでは、バイオメタン部門や水素モビリティの初期開発により、エネルギー転換関連市場への販売を強化している。
エアガスの統合の定着及びグループ効率化プログラムの強化
2019年初頭、エアガスの統合により、エア・リキードは当初計画されていた1年以上前に、目標である3億米ドルのシナジー効果を達成した。本統合が完了したことにより、エアガスはグループの効率化プログラムに参加し、年間の効率化目標の向上に貢献している。グループ効率化の目標は当初3億ユーロと設定され、2019年時点で4億ユーロ超に改定された。さらに、エアガスのモデルの普及を目的としたプログラムにより、100名近くの当グループのマネージャーがエアガスのオペレーションに参加し、他のグループ地域とのベストプラクティスの共有化を進めることが可能となった。
新しい水素市場の重要性の増大
2019年にエア・リキードは、工業用及びモビリティ用に水力を利用して水素を製造することを目的とした世界最大の陽子交換メンブレ(PEM)電解装置のカナダでの建設を発表した。米国西海岸向けに水素製造・液化装置を投資し、鉄鋼業界の顧客と共同で、水素を利用することによる鉄鋼生産の脱炭素化に取り組んだ。
2020****年から2025年
新型コロナウイルスに対する当グループの献身的取組
ヘルスケア事業チームは、医療用酸素の需要増加に対応するため、病院に人工呼吸器などの機器を供給し、安定した患者の帰宅を確保し、慢性患者の継続的なモニタリングを保障するために、大規模な取組を行った。
世界的な公衆衛生危機と経済危機の中で、当グループは再びそのレジリエンスを証明した。また、この危機は、当グループの事業活動の社会貢献や従業員のコミットメントを明らかにした。
サステナブルな未来のための行動
2021年3月、当グループは、サステナブルな開発目標を3つの軸で詳細に設定することで、すべての目標を強化した。
第一に、低炭素社会のための「行動」として、パリ協定に基づき、2025年頃までにCO2排出量の絶対値での削減を開始し、2035年までにスコープ1とスコープ2からのCO2排出量を2020年と比較して33%削減するという2つの主要な中間ステップをもって、2050年までにカーボンニュートラルの目標を設定した。エア・リキードは、工業事業及びモビリティ事業の脱炭素化のためのプロジェクト及びパートナーシップを開始し、また、クリーンな水素インフラのための最大のファンドへの参加を表明することにより、気候変動への対応のために行動した。また、南アフリカのSasolの空気分離装置、フランスのTotal Energiesの蒸気メタン改質装置を買収し、CO2排出量の大幅な削減に取り組んだ。
第二に、患者のための「ケア」であり、成熟した経済圏では慢性疾患を抱える患者の生活の質を向上させ、低・中所得国では医療用酸素へのアクセスを容易にすることで、これを実現する。すでにセネガルで実施されているこのイニシアチブは、地方コミュニティに医療用酸素へのアクセスを可能にし、南アフリカでの展開が始まっている。
そして、第三に、「信頼」である。これは、従業員と関わり、業界最高のガバナンスを構築するための基礎となる。
戦略プラン「ADVANCE」
2022年3月、エア・リキードは2025年に向けた新たな戦略プラン「ADVANCE」を発表した。この計画では、サステナブルな開発を戦略の中心に据え、財務的パフォーマンスと非財務的パフォーマンスを両立させている。当グループは、その回復力を証明した強力なビジネスモデル、イノベーション創出能力、技術的ノウハウを有しており、これにより経済、環境、社会の大きな課題に効果的に対応することに貢献しながら、成長と利益率の向上を継続していくために、極めて優れたポジションを占めている。
変革プログラム
エア・リキードは、戦略プラン「ADVANCE」を基盤に、俊敏性の強化、意思決定の迅速化、及び業績の向上を図るため、2024年にグループ全体を対象とする新たな複数年変革プログラムを開始した。この計画は、組織の簡素化、グローバル・ビジネス・サービス・センターの拡充、並びに産業及び商業分野における取組という4つの主要なイニシアチブを軸に構成されている。この変革プログラムは、顧客や従業員の変化するニーズや期待に効果的に応えることを目的としている。
(2)【日本における活動の沿革】
当社の日本における活動は、1907年にチャールズ・ファーブル・ブラント氏が大阪市安治川河口の大阪鉄工所(日立造船の前身)内に桜島工場を開設し、当社製の酸素製造機で日本初の酸素の製造を開始したことに始まる。
その後、1910年に「日本オキシジェーヌ・エ・アセチレーヌ会社」を設立し、前記事業を継承、大正のはじめ、商号を「帝国酸素アセチレーヌ会社」に変更した。1923年には神戸市にその支店を設け、「帝国酸素アセチレーヌ会社」を吸収して「液体空気会社」の商号で営業を継続した。1930年8月、当社と住友合資会社との共同出資により「帝国酸素株式会社」(現 日本エア・リキード合同会社。以下「日本エア・リキード」という。)を設立し、「液体空気会社」の営業設備一切を継承した。その後、帝国酸素株式会社は、当社の最先端の技術を積極的に導入し、日本初の液化酸素の製造工場を操業、また空気分離装置の製作を開始するなど、日本の産業ガスビジネスの発展を牽引し、エレクトロニクス事業、ヘルスケア事業分野へもその領域を拡げるなど、国内に子会社30社及び関連会社22社を擁する企業となった。さらに、2002年には、英BOC社の日本子会社である大阪酸素工業株式会社との間で、産業用、医療用ガス事業を統合することで合意に達し、2003年1月に日本エア・リキードを分割会社、大阪酸素工業株式会社を承継会社とする会社分割を行い、同時に大阪酸素工業株式会社の商号をジャパン・エア・ガシズ株式会社に変更した。なお、この会社分割により、日本エア・リキードはジャパン・エア・ガシズ株式会社の株式の55%を所有することになった。さらに、2006年、当グループは、ジャパン・エア・ガシズ株式会社の残りの45%の株式を買い取り、同社は当グループの100%子会社となった。この統合により、同社は、当グループの日本及びアジアにおける発展のために重大な役割を果たす存在となった。
2007年9月、日本エア・リキードとジャパン・エア・ガシズ株式会社は合併し、日本エア・リキードとし新たな第一歩を踏み出した。一方、当社の100%子会社としては、1986年に設立した株式会社エア・リキード・ラボラトリーズ(本社:横須賀市)があり、現在、同社はエレクトロニクス向け特殊ガスの基礎研究及び分析技術の研究を行っており、当グループにとって貴重な研究機関のひとつになっている。また1987年に当グループのアジア・太平洋地域における活動の横断的な調整機能を果たすことを目的として設立したエア・リキード・パシフィック株式会社(本社:東京都港区)が存在したが、2017年末、業務の効率化のために、日本エア・リキードを存続会社として、エア・リキード・パシフィック株式会社を吸収合併した。
2025年、主たる子会社の一社であるバイタルエア・ジャパン株式会社の保有株式をグループ外の外国法人に売却した。
3【事業の内容】
当グループの事業内容は、ガス&サービス、エンジニアリング&テクノロジーに分類され、産業ガスに特化した事業を行っている。ガス&サービスを構成する4つのビジネスラインは、顧客との近接性をキーとする強い産業マインドによって、密接に結びついている。エア・リキードは、効率的な産業ネットワークと顧客との近接性により、以下のようなことが可能となっている。
・ 信頼性の向上
・ エネルギー使用量・コスト・物流フローの適正化
・ 顧客のニーズの予測
・ 市場変化の把握
・ 及び革新的なソリューションの提供
各ワールド・ビジネスラインの強固な統合により、当グループはシナジーを創出し、競争力を高めながら、長期的な価値の創出を実現することが可能となっている。
エア・リキードモデルの強み
ラージ・インダストリー事業では、顧客は主に鉄鋼、化学、精製業界に属しており、ガスの引取りは少なくとも15年にわたって契約され、最低限の収益レベルを保証するテイク・オア・ペイ条項が含まれている。エネルギーコストは、契約に基づき顧客に追加請求される。
工業事業は、戦略的なターゲット設定の結果、市場、顧客、地域が幅広く多様化しており、それがビジネスラインの回復力を強化するものである。売上は、顧客の事業所への設備供給(特にバルクガス用シリンダー及び容器)から得られる固定収入が大部分を占めている。
ヘルスケア事業は、社会的な傾向(平均寿命の延長、慢性疾患の増加など)の顕著な変化の恩恵を受けており、景気循環に左右されない需要の成長が見込める。
デジタル用途が多い半導体産業の発展は、エレクトロニクス事業の成長を支えており、この事業は強い勢いを示している。
当グループの変革イニシアチブの一環として、2025年1月1日付でエンジニアリング&建設とグローバル市場&テクノロジーが統合され、新たな事業部門エンジニアリング&テクノロジー(E&T)(1)が発足した。共通の理念と目標のもと、一つの経営体制の下で運営されるこの新組織は、規模の経済効果と相互補完的な専門知識を活用し、より一体化されたイノベーションサイクルを提供することで、グループの事業効率を強化し、その成長に貢献することを目指している。この事業部門は、エア・リキードが持つ技術、エンジニアリング、建設、プロジェクト開発、製造、及びプロジェクト実行における専門知識を結集し、ガス生産設備や先端機器といった最先端の産業ソリューションを設計・提供する。
(1) 主にバイオメタン及び海運関連の事業が、グローバル市場&テクノロジーから工業事業に移管された。
2025年の当グループの事業ごとの売上割合
| ガス&サービス | 97% | ||
| ラージ・インダストリー事業 | 27% | ||
| 工業事業 | 45% | ||
| ヘルスケア事業 | 16% | ||
| エレクトロニクス事業 | 9% | ||
| エンジニアリング&テクノロジー | 3% | ||
| 売上高総計 | 26,940百万ユーロ | ||
現在又は将来のサステナブルな開発に対して、特にエネルギー転換の領域でビジネスラインが提供するソリューションは、グループの成長と回復力を強化する。
当グループのイノベーション能力は、新技術や新しい働き方を融合することで、現在のサービス提供を継続的に改善し、業務効率と将来の成長を促進することを実現している。そのため、エア・リキードは社内外のイノベーション・エコシステムを活用し、顧客や患者向けに差別化されたソリューションを提案し、新たな市場を開拓している。イノベーションは、当グループのサステナブルな成長に貢献している。
また、様々なワールド・ビジネスラインを通じて、当グループは、様々な業界、幅広い地域で400万を超える顧客や患者にサービスを提供しており、景気変動に対する耐性が高くなっている。これらの特徴は、産業・ヘルスケアに関わるガス事業に特有であり、ビジネスモデルの強さを増している。
当社の製品及びサービスは、あらゆる産業市場及びヘルスケア事業で使用されている。なお、エア・リキードは、モビリティ分野の顧客向けに圧縮天然ガスを少量(EU 規則 2020/1818で規定される基準値以下)販売している以外、液体又は気体の化石燃料の探査、抽出、精製、流通に直接関与していない。さらに、エア・リキードは、農薬及び殺虫剤に関する規則(EC)No 1893/2006 の付属書Iの20.2 に該当する製品を販売していない。最後に、エア・リキードは、論争を呼ぶ武器の製造、及びタバコの栽培や生産も行っていない。
ガス&サービス
ガス&サービスには、ラージ・インダストリー事業、工業事業、ヘルスケア事業及びエレクトロニクス事業の4つのワールド・ビジネスラインがあり、変化をよりよくサポートし、様々な市場のニーズに応えている。
経済的にサステナブルな流通コストを維持するためには、産業用ガスの生産は現地で行う必要がある。それゆえ、エア・リキードの製造設備は世界中に建設され、各地で多くの種類の顧客・産業に、必要なボリュームやサービスを提供している。エア・リキードは、パリにコーポレート機能を有し、地域ごとにグループ(南北アメリカ、ヨーロッパ・中東・アフリカ、アジア・太平洋)で構成されている国々が執行委員会メンバーの監督によって運営されている。
■ ラージ・インダストリー事業においては、大型製造設備にて産業ガスを供給する。ガスの使用量が多く専用プラント又はパイプライン網の開発を必要とする、金属、化学、精錬、電力分野の顧客に供給を行っている。またラージ・インダストリー事業は当グループの他の事業部門(ビジネスライン)に対しても産業ガスを供給しており、充填後に、それぞれの顧客に納品している。
■ 工業事業は、様々なガス、アプリケーション装置、及び関連するサービスを提供している。工業事業は、ラージ・インダストリー事業よりは小規模な分量を必要とする様々な産業及び専門機関にサービスを提供する。産業ガスは、バルクガス(液体)、又は少量の需要に対してはシリンダー(気体)の形態をベースとしている。最後に、需要の大きい顧客や遠隔地には、小規模な生産ユニットを現地に設置することができる。
■ ヘルスケア事業においては、医療用ガス、機器、及びサービスを病院や直接在宅患者に提供する。さらに、化粧品、製薬、ワクチン及び栄養剤市場に向けヘルスケア特殊材料等も製造、販売している。
■ エレクトロニクス事業は、半導体向けを中心に、また、フラットスクリーンや太陽電池パネル向けに使用されるガス、製造過程において使用される物質(複合分子)、及びサービスを提供している。
ラージ・インダストリー事業
(事業の概観)
ラージ・インダストリー事業は、金属、化学、精錬及びエネルギー事業分野の顧客に対して、顧客自らのコアビジネスに欠くことのできないガス・エネルギーソリューションを提供し、それによってプロセス効率の向上、さらには顧客のプラントをより環境親和的にする提案を行っている。ラージ・インダストリー事業は、その工場やパイプラインのネットワークを通じて、酸素、窒素、アルゴン、水素、一酸化炭素を供給している。また当グループは、コジェネレーションプラントを運営し、顧客に蒸気及び電力を供給している。
この分野における世界的リーダーとしてのエア・リキードは、厳格な投資先の選定とプロジェクト実行プロセス、そしてプロジェクト開発チームの専門知識という強みを活かしている。エンジニアリング&テクノロジーは、ラージ・インダストリー事業もサポートしている。ラージ・インダストリー事業の主要顧客は、顧客のビジネス、プロジェクト、工業プロセス及びグローバル構造について深い知識を有するキー・アカウント・マネージャーにより担当されている。これにより、ラージ・インダストリー事業は顧客との連絡を密にすることができ、顧客のニーズに応えるための当グループの対応力と競争力を向上させることができる。
2025年ラージ・インダストリー事業製品ごとの売上割合
| 大気ガス | 53% |
|---|---|
| 水素及び一酸化炭素 | 37% |
| コジェネレーション 蒸気・電気 | 9% |
| その他 | 1% |
| 売上高総計 | 7,110百万ユーロ※ |
(※)当グループの売上の27%。
(ビジネスモデル)
ガス供給契約期間は一般的に15年間である。一定のプロジェクトでは、契約期間は20年間以上に及ぶ。顧客の新規の製造施設のために新たな契約を締結することは、将来の成長を強く予言するものとなる。こうした契約により、当グループは高性能の産業ソリューションによるガス供給に関する長期間のサービス継続と高い信頼性を保証する。引き換えに、こうした契約は主に電力や天然ガスといった変動費用及びインフレーションに連動し、またテイク・オア・ペイ条項による最低引取量の保証を含んでいる。
産業ガスの使用は、ラージ・インダストリー事業の顧客の様々な工業プロセスにおいて必須である。供給の中断は、顧客の生産活動の中断につながるため、供給の信頼性及び安全性は極めて重要である。しかし、安定供給の必要性にもかかわらず、ガス供給費用は顧客の全製造コストのうちわずかの割合を占めるにすぎない。
ラージ・インダストリー事業は、エネルギー転換の中心であり、低炭素ガスの供給とともに、顧客のCO2排出削減のための新たなプロセス及びソリューションをもたらし、大きな成長機会を生み出す。
(ラージ・インダストリー事業の工業プロセス)
産業ガスの製造に要する資源は、ガスの種類と製造ユニットの場所により異なる。酸素及び窒素の製造には、空気と大容量の電気が必要である。コジェネレーションユニットは天然ガスと水を消費する。水素と一酸化炭素を生成する改質装置は、主に天然ガスを燃料とし、電気をほとんど使用しない。エア・リキードは、低炭素電気と水のみを必要とする電解による低炭素水素の製造も開発中である。
空気ガスの製造(空気分離装置(ASU:Air Separation Unit))
空気分離装置(ASU)は、空気を異なる構成物(窒素78%、酸素21%、アルゴン及び希ガス(ネオン、クリプトン及びキセノン)1%)に分解するために、加圧し、液状化し、蒸留する。一定の大規模ASUのみが希ガスを製造することができる。ASUは、直接CO2を排出するわけではないが、電気消費量は大きい。
水蒸気改質による水素及び一酸化炭素製造
(水蒸気メタン改質装置(SMR:Steam Methane Reformer))
天然ガスの水蒸気改質により、SMRは水素と一酸化炭素を製造する。最も重要な原材料は天然ガスであり、電気や水の使用量は中程度である。エア・リキードは、SMRに適合した二酸化炭素回収ソリューションのポートフォリオを開発し、温室効果ガスの排出量を大幅に削減することを可能とした。
電気分解による水素製造
電気分解による水素の製造は、水分子(H2O)を電気で解離することを基礎とし、水素と酸素の分子を取り出す。このプロセスは、二酸化炭素を使用又は排出せずに水素を製造するものであり、エネルギー貯蔵目的のみならず、工業や輸送の目的で低炭素型の水素を作り出すことを可能にする。
コジェネレーション
コジェネレーションは、一般には天然ガスと水を消費することにより、電気と蒸気を同時にかつ効率的に製造することを内容とする。電気は、当社の工場により利用され、又は当該地域において販売される。蒸気は、一定の工業プロセスにおいて必要とされている。このタイプの装置は、直接CO2を排出する。
CO2の回収と利用のためのガス分離技術 エア・リキードの技術ポートフォリオには、ガスの分離・回収技術も含まれる。低温蒸留、吸着、吸収、分離膜をベースとしたこれらの技術は、エア・リキードや顧客の製造プロセスから発生する二酸化炭素を回収するために使用される。エア・リキードは、典型的なラージ・インダストリー事業の契約ベースで、CO2回収をサービスとして顧客に提案している。これらのソリューションは、例えば水素製造装置、石油化学施設、セメント工場に用いることができる。回収された二酸化炭素は、地中貯蔵施設に恒久的に貯留されるか、アルカリ水の処理など顧客の製造プロセスで使用されるか、工業事業の顧客の炭酸飲料の製造、保護雰囲気での食品包装、溶接用混合ガスの調製などに使用される。
(ラージ・インダストリー事業の主要数値)
■ 300ユニット以上の大規模空気分離装置(ASU)
■ 50ユニット以上の水蒸気メタン改質装置(SMR)
■ 9,500km以上のパイプライン網
■ 10以上のコジェネレーションプラント
(顧客及び市場)
化学産業においては、製造工程で主に酸素、水素、一酸化炭素が使われ、設備の不活性化のために窒素が使われる。
精錬産業においては、さまざまなプロセス、特に燃料の脱硫や炭化水素の分解に水素が必要である。燃料の汚染物質排出量を削減するための規制の強化や、重質炭化水素の使用の増加が、水素の需要の増加に寄与している。サステナブルな燃料の生産には、従来の燃料の生産よりも大量の水素が必要である。さらに、一部の規制では、燃料の生産に再生可能水素などの再生可能原料の使用が義務付けられている。
金属業界では、エア・リキードは特に鉄鋼メーカーに大量の酸素を供給し、鉄鋼メーカーの省エネルギーとCO2排出量の大幅な削減を実現している。新規プロジェクトの大部分は現在、新興経済国圏内に立地している。顧客にカーボン排出量削減を実現するソリューションを提案するため、当グループは、鉄鋼業界の顧客と提携し、直接還元鉄(DRI)製造プラント用の再生可能又は低炭素水素や、炭素回収技術を含む革新的なソリューションを開発している。
なお、エネルギーあるいは化学関連の数々の産業が大量の酸素を用いて、化学製品、合成燃料あるいは電力の製造のため、石炭・天然ガス・液体炭化水素を合成ガスに変換している。
これらの顧客の需要を満たすために大量のガスの供給が不可欠である。エア・リキードは、専用工場から直接パイプラインで、あるいはネットワークによりつながれた別々の工場によりガスを供給する。エア・リキードは、過去40年間着実にパイプライン網を拡張してきた。合計9,500km(およそ6,200マイル)に及ぶ長さのパイプライン網の例として、欧州北部ではロッテルダムからダンケルクまで、また、米国メキシコ湾岸ではLake Charles(ルイジアナ)からCorpus Christi(テキサス)さらにはミシシッピ川(ルイジアナ)まで広がっている。その他にも、特にドイツ、イタリア、シンガポール、韓国及び中国の主要な工業地帯においても、多くの中規模のローカルパイプライン網が建設されている。
| KEY POINTS ラージ・インダストリー事業は、テイク・オア・ペイ条項を含む長期契約(少なくとも15年)によっており、これにより将来の収益がかなり見通せるほか、顧客の消費量が大幅に減少した場合(テイク・オア・ペイの最低水準を下回った場合)にも保護される。ラージ・インダストリー事業契約の販売価格は、特にエネルギーコストとインフレコストに連動している。投資サイクルが長く、資本集約度が高いため、堅固なバランスシートが必要となる。新規契約の締結は将来の成長を強く予測するものである。 エア・リキードは、操業コストを最適化しつつ、より高い供給信頼性を顧客に提供するため、産業流域におけるパイプライン・ネットワーク戦略を展開している。この戦略により、生産資産をプール化が実現し、エア・リキードのネットワーク全体と顧客のために、規模拡大とエネルギー削減効果を実現することができる。 低炭素産業ガスを顧客やグループ各社に供給する能力を発展させ、工業プロセスの脱炭素化を可能にし、炭素回収をサービスとして提供することで、ラージ・インダストリー事業はエネルギー転換とグループの脱炭素化戦略にとって極めて重要な位置を占めている。 |
|---|
工業事業
(事業の概観)
工業事業は、その性質上、地域性の高いビジネスであり、200万を超える顧客に産業ガス、設備、ハード製品及び関連サービスを提供している。
工業事業は、顧客のニーズに最適化された供給方法によりガスを供給している。すなわち、大規模の量を必要とする顧客の場合には小規模なオンサイト供給ユニットにより供給し、中規模の量を必要とする場合には液体形態でトラックにより流通し、小規模の量を必要とする場合及び建設現場で使用する場合にはシリンダーを用いて供給している。工業事業の顧客ベースの約95%は、簡便性、柔軟性、及びサービス品質を求める小規模な顧客であり、主にシリンダーガス及びハード製品を注文する。
工業事業は多種多様な市場に対応し、それはしばしば生活に欠かせないものである。エネルギー転換の課題だけでなく、新しい用途や市場の課題にも対応し、顧客の業務効率の向上に貢献する分子の新しい用途を常に開発している。工業事業は、市場や顧客が多様であることに加えて、業務で使用する多数の資産からの大量のデータを管理している。そのため、デジタルトランスフォーメーションとデータ解析は、業務効率、価格管理や顧客に提供するサービスの質を向上させる上で重要な役目を果たす。
2025年工業事業市場ごとの売上割合
| 製造及び建設 | 33% |
|---|---|
| エネルギー、素材及び化学 | 27% |
| 食品及び製薬 | 15% |
| 自営業者及び専門家 | 14% |
| テクノロジー及び研究 | 11% |
| 売上高総計 | 12,132百万ユーロ※ |
(※)ガス&サービスの売上の45%。
(ビジネスモデル)
工業事業の売上高の大部分は、シリンダー及び液体ガス供給については最長5年、小型オンサイトガスジェネレーターについては最長15年の契約によりカバーされている。これらの契約には、一般的に、ガス供給、製品の確実かつ安全な引渡し、及び当グループによる顧客の現場での機器の提供、サービスの提供、並びにインフレやエネルギー価格などの異なる変動要素に関する販売価格スライド方式が含まれる。顧客現場でのシリンダー又はタンクの供給は、月額固定料金によりカバーされている。当グループが事業を行っている広範な市場、顧客及び地域は、このようなビジネスラインの回復力を強化するものである。
| バルクガス | 30% |
|---|---|
| パッケージガス | 38% |
| オンサイト | 6% |
| 設備・据付工事 | 17% |
| サービスその他 | 9% |
工業事業は、産業集積地に集約されており、地域の経済活動に着実に根付いている。この地域基盤は、ガス流通を生産地周辺約250km以内に限定する経済的制約により強化されている。工業事業の強みの一つは、ラージ・インダストリー事業の工場ネットワークとの相乗効果を開発し、特定のユニットに投資することで、高い潜在地域を特定し、拠点を確立することができることである。工業事業は、地域経済に浸透しつつ、その業務を約50か国で国際的に拡大させることによって、ビジネスラインの回復力を強化している。この地域多様性は、対象投資戦略とポートフォリオの定期的な最適化に基づいている。
産業地域内の地理的密度に恒久的に焦点を当てることは、これが生み出す相乗効果、とりわけ物流上の効果から、成功のための重要な鍵である。流域のビジネス開発に加えて、現地の流通業者や顧客のポートフォリオを獲得することも、特に米国や中国のように未だかなり細分化されている市場において、地理的密度の向上に役立つ。
(供給方式)
厳格な業務規律は、バリューチェーン(供給、パッケージング、流通)を通じて適用され、エア・リキードの統合モデルの本質的部分である。これは、新たなデジタルツールと一体となって、顧客への商品・サービスの競争力を向上させ、CO2排出量を削減するために、リアルタイムでの資源(プラント、トラック、エネルギーなど)活用を最適化するものである。エア・リキードが継続的に改善を追求することは、従業員、顧客、サービスプロバイダーの安全確保とコストの最適化に役立つと同時に、シームレスな顧客経験を提供するものである。
(主要数値)
■ 30,000名の従業員
■ 2000万個のシリンダー
■ 10,000台のトラック
■ 50,000ユニットの顧客拠点設置の低温タンク
■ 1,000ユニット以上の小型オンサイト発生装置
■ 1,400か所の充填センター及び小売店
(顧客中心の文化)
工業事業の顧客は、規模、ビジネス、ニーズの面で大きく異なるが、日常の活動を快適にする製品やサービスを渇望している点は共通である。
シームレスな顧客経験を提供するという当グループの経営方針には、顧客のニーズを聴取し、多様かつ顧客のニーズに合わせたサービスを提供し、優れたサービス品質を提供することが求められる。さらなる顧客エンゲージメントのため、エア・リキードは、設備・納入物の信頼性、サプライチェーン全体の効率性に重点を置きつつ、業務の合理化・簡素化を図り、サービスレベルの向上を継続的に図っている。
また、取引ルートに加え、商品及びサービスの提供において選択肢があることは、工業事業を差別化する特徴でもある。特に、エアガスの顧客文化や卓越したオペレーションサービスの貢献により、工業事業では、顧客の利用をより良くサポートするために、電子商取引や遠隔販売を含む多くのチャネルの販売アプローチを引き続き展開している。
| 業務と顧客のためのデジタル及びデータ 工業事業は、膨大な数の資産と顧客から大量のデータを管理している。そのため、デジタルトランスフォーメーションとデータ分析は、業務効率の向上、顧客に提供するサービスの品質向上、及び新サービスの提供において重要な役割を果たしている。このデータ分析により、工業事業のチームは、業務パフォーマンスをリアルタイムで管理し、市場やコストに応じて、公正かつダイナミックに価格管理を最適化することができる。また、顧客の事業所に設置中の資産をデジタル化することで、利用データをアップロードし、そのデータを分析して新しいサービス、製品、ビジネスモデルを創出することも可能になる。 |
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(最適化された製品構成を用いた市場における戦略的ポジション)
顧客との近接性及び多くの市場での当グループのプレゼンスのおかげで、工業事業チームは、これらの市場及びその工業プロセスに関する幅広くかつ深い知識を有している。さらに、エア・リキードは、その市場及び経済全般から大量のデータを収集している。これにより、当グループは主要な傾向を把握し、成長の見通しを評価し、将来の機会を見込むことができる。この市場データとそのバリューチェーンを綿密に分析することにより、当グループは、より高い潜在的成長分野にその資源を集中させるための選択的アプローチとダイナミック市場管理方法を開発している。戦略的ターゲティングの結果得られた市場、顧客、地理的地域の多様性は、ビジネスラインの回復力を強化する。
工業事業の収益性のレベルは、製品及び供給形態によって異なる。この製品構成を最適化することにより、事業の収益性を高め、新たな受注を獲得し、顧客基盤を多様化させる。事業の収益性を向上させるため、当グループは顧客の地域密着度を高めることを目的とした事業戦略を推進している。
| KEY POINTS 工業事業は、その性質上、極めて地域密着型の事業であり、200万を超える顧客に工業用ガス、機器、ハード製品及び関連サービスを提供している。 市場、顧客、地域の多様性は戦略的ターゲティングの結果であり、このビジネスラインの回復力を強化している。工業生産に関連する市場と、消費に関連する市場との間のバランスが取れた構成、これらの市場が生活に欠かせない分野と関連性の高い事業内容に関連していること、及び特に顧客の事業所にシリンダーや容器を供給するなどを通じて、工業事業モデルが売上高の一部を固定収入として確保していることにより、事業の回復力を強化している。したがって、工業事業の売上の約50%は、当グループが進出している国の工業生産の動向に左右されない。 顧客との距離の近さ、工業プロセスに関する深い知識、技術革新能力のおかげで、工業事業チームとガス・アプリケーションの専門家は、主要な成長と業績の原動力となる新製品や新サービスを開発している。 |
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ヘルスケア事業
(事業の概要)
ヘルスケア事業は、在宅医療事業サービス、医療用ガス及びサービス、並びに特殊素材を提供する。これらの製品やサービスは、病院から自宅まで一貫したケアに沿って患者を支援する。当グループは、患者、医療関係者、病院や新しいケア施設と一緒に、医療制度の効率化に貢献している。エア・リキードは、厳格な規制要件を遵守し、多くの利害関係者(患者、医師、保健当局、支払者)が関与する特徴を有しており、絶えず変化し続けるこの事業分野における世界的なリーディングカンパニーのひとつである。
医療分野の関係者や意思決定者は、慢性疾患患者の増加と医療システムの経済的サステナビリティという2つの課題に直面している。エア・リキードのヘルスケア事業は、この分野の変革のパートナーとなることを目指しており、すべてのステークホルダーにこれまで以上の価値をもたらし、これらの課題の全体的な解決に貢献することを目指している。エア・リキードのビジョンは、バリューベース・ヘルスケアの原則に基づいている。バリュー・ベース・アプローチとは、すべての患者に長期的な質の高い医療とサービスを保障することを目的とし、各患者にとっての客観的及び主観的な利益と社会全体のコストとの最適なバランスを追求するものである。具体的には、ヘルスケア事業において、患者一人ひとりのニーズに合わせた個別的な支援計画を策定し、誰もが期待するQOL(生活の質)の向上を実現することを目的としている。また、ヘルスケア事業のサステナビリティを確保するために、当グループが効果的に介入することを可能にする優れたアプローチでもある。医療用ガスとその関連サービスでは、その供給を確保し、管理を簡素化して、より効率的でサステナブルなシステムに貢献することで、医師が医療行為に専念できる環境を整えることを目指している。現在、エア・リキードは供給の安全性、サービス提供の品質、環境フットプリントの低減を契約の中で強化している。
2025年ヘルスケア事業の事業活動ごとの売上割合
| 在宅医療 | 54% |
|---|---|
| 医療用ガス、医療機器及びサービス | 37% |
| 特殊素材 | 9% |
| 売上高総計 | 4,378百万ユーロ※ |
(※)当グループの売上の16%。
(ビジネスモデル)
ヘルスケア事業は、ラージ・インダストリー事業のガス製造能力と工業事業の物流体制を駆使して、病院やその他の医療施設へ医療用ガスを供給するとともに、専任の営業チームを配置している。医療用ガスは、国の保健当局の市場承認を必要とする薬剤に指定されている。それらは、特定の医薬品のトレーサビリティの対象であり、資格を有する職員によって気体又は液体の形態で供給される。工業用と医療用ガス事業の統合により、相乗効果と事業の効率化が確保される。
在宅医療の分野において、エア・リキードは、医師の処方箋に基づき、特定の慢性疾患を抱える方々へのケアを提供している。専門チームが、治療に使用する医療機器を中心としてパーソナライズされたサービスを提供し、患者が在宅での治療を確実に継続できるよう、必要な機器を供給している。このサービスには、患者、介護者、医療従事者に対する医療機器の使用方法に関するトレーニング、治療の適切な継続を促進するための支援、人的サポート、及び提供機器の技術的なモニタリングが含まれる。ヘルスケア事業の成長は、業界の動向にかかわらず、着実かつ安定的に推移している。
(主要数値)
■ 15,000名の従業員
■ 世界30か国以上で展開
■ 230万人の在宅医療患者
■ 20,000の病院及びクリニックの顧客
■ 110,000の医療従事者
(市場及び顧客)
過去20年間、エア・リキードは欧州、南北アメリカ、オーストラリア、韓国においてヘルスケア事業の主導的な役割を強化してきた。同事業は、特に医療制度の拡充に伴い、全地域で成長を続けている。ヘルスケア事業の売上高の約3分の2が欧州、約4分の1が南北アメリカで占められている。
ビジネスラインは、3つの分野において、製品とサービスを提供する。
■ 在宅医療: エア・リキードは、呼吸器疾患や糖尿病などの慢性疾患に苦しむ230万人の患者を在宅でケアしている。一旦、医師によって診断と治療が確立されると、長期治療は、患者に対するレクチャー、治療の実施とその継続的な支援、訓練を受けた看護師や技術者による対面又はデジタルソリューションの活用増加により可能となった遠隔での介入を必要とする。
エア・リキードは1980 年代に在宅医療事業を開始し、退院した酸素療法を必要とする患者のケアを行ってきた。その後、在宅医療事業は、呼吸器疾患(睡眠時無呼吸症候群、COPD(慢性閉塞性肺疾患)など)や糖尿病に苦しむ患者を支援するため、長期モニタリングを目的とした医療機器及び関連サービスを提供することで、他の治療分野にも拡大された。
■ 医療用ガス、医療機器及びサービス: エア・リキードは全世界で20,000以上の病院や診療所に医療用ガスを供給している。エア・リキードは、主な医療用ガスとその適用分野のうち、呼吸器疾患・集中治療室用医療用酸素(O2)、麻酔・鎮痛用酸素と亜酸化窒素(N2O)の混合物、集中治療室用の一酸化窒素(NO)を提供している。
エア・リキードは、病院における医療用ガスの流通網の整備と恒久的な在庫管理を通じて、最も厳しい安全・品質基準の遵守を徹底している。エア・リキードの医療ガス及びサービスは、病院外、特にプライマリ・ケア医療センター(病院外、歯科、皮膚科など)、救急救命サービス、患者搬送にも使用されている。さらに、この事業の売上高の一部は、革新的な医療機器、特に集中治療用、搬送用、家庭用の人工呼吸器、及び医療用ガスやエアロゾル療法用機器の設計及び販売によるものである。
■ 特殊素材: 子会社のSeppicを通じて、エア・リキードは、ヘルスケア事業分野の革新的な特殊素材、特にワクチン用アジュバント、製薬産業用フィルムコーティングシステム、化粧品分野の環境対応型増粘剤、安定剤、乳化剤、有効成分を80年以上にわたって設計・開発してきた。
| KEY POINTS ヘルスケア事業は、常に進化し続ける世界で、厳しい規制の枠組みの中で事業を展開している。高齢化、慢性疾患の増加、医療制度財政の脆弱性などの社会動向により、効率化が求められることからヘルスケア事業は当グループの主要な成長促進要因であり、医療制度のサステナビリティを支える重要な役割を果たしている。 エア・リキードのヘルスケア事業は、急性疾患の治療(病院及びその他の医療施設における医療用ガス及びサービスの供給)、慢性疾患の治療(在宅医療事業)、予防及び福祉(特殊成分事業)において、ケア全体に沿って、医療エコシステムのすべての利害関係者(患者、医療従事者、病院、医療当局、支払者)とつながっているという独自の地位を確立している。 |
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エレクトロニクス事業
(事業の概要)
エア・リキードは、主に半導体市場、そして一部はフラットパネルディスプレイ及び太陽光発電市場に革新的なソリューションを提供している。そのために、エレクトロニクス事業は、その専門知識、イノベーション能力、及びグローバルなインフラストラクチャーを活用し、これら分野の主要プレーヤーとの戦略的な連携を図っている。エレクトロニクス事業の顧客の製品は、モビリティ、接続性、計算能力、人工知能、及びエネルギー削減など、消費者のますます厳しくなる要求に対応している。これらの技術進歩は、半導体製造に使用される革新的な材料とガスによって可能となっている。エア・リキードは、エレクトロニクス事業における産業用ガスの世界的リーディングカンパニーであり、幅広い製品とソリューションを提供できる唯一のプレーヤーである。
2025年エレクトロニクス事業の製品ごとの売上割合
| キャリアガス | 51% |
|---|---|
| エレクトロニクス特殊材料 | 13% |
| 先端材料 | 17% |
| サービス | 6% |
| 設備・据付工事 | 13% |
| 売上高総計 | 2,465百万ユーロ※ |
(※)当グループの売上の9%。
(ビジネスモデル)
エア・リキードのエレクトロニクス事業は、顧客の生産施設の近くに拠点を置いている。そのビジネスモデルは、主にキャリアガスの供給に関する長期契約と業界の主要なプレーヤーの技術的課題に対応するために必要な新しい先端材料の供給に関する恒常的なイノベーションに基づいている。また、ガス、化学製品の流通設備を提供し、顧客の施設に設置している。エレクトロニクス事業では、キャリアガス製造のための電力消費に伴う温室効果ガス排出量の削減や、現在使用されているより汚染度の高い材料の一部を置き換える低環境負荷材料を提供することで、顧客の温室効果ガスの排出量の削減に取り組んでいる。
(主要数値)
■ 4,000名以上の従業員
■ 200 台以上のキャリアガスユニット
■ 200 種類以上の異なる分子(特殊及び先端材料)
■ 毎年 50,000 本の特殊材料シリンダーを納入
(顧客及び市場)
エレクトロニクス事業は、セクターの主要なプレーヤーにグローバルなサービスを提供する。その割合は、アジア(~73%)、米国(~19%)、欧州(~8%)である。エア・リキードは、エレクトロニクス事業において市場リーダーである。
■ キャリアガス: キャリアガス(超高純度ガス、主に窒素、酸素、アルゴン、ヘリウム、水素など)は、事業所で供給され、チップ製造、生産環境の冷却及び不活性化のために分子を希釈及び輸送するために使用されている。キャリアガス事業は、堅調で着実な成長を続けている。平均契約期間が 15 年の長期の「テイク・オア・ペイ」契約と、半導体産業の拡大に伴う需要の増加が、この事業の成長を支えている。
■ エレクトロニクス特殊材料: これらのガス(シラン、キセノン、亜酸化窒素など)は、すべての半導体製造プロセスで使用されている。これらのガスの使用量は、半導体生産量と密接に関連している。
■ 先端材料: 気体として使用されるこれらの素材は、最先端の製造プロセスの中心的存在であり、新世代のメモリ及びロジックチップの小型化とエネルギー効率化に不可欠である。最も高度な先端材料は、顧客とそのエコシステムとの協業で開発されている。この市場で事業を展開するために必要なイノベーション能力を備えたプレーヤーはごくわずかである。この事業は、先端半導体の開発から恩恵を受けている。
■ 設備・据付: また、エレクトロニクス事業では、顧客の事業所へのガス、材料及び化学薬品の供給を確保するための設備の販売・据付工事も行っている。この事業の活動は、顧客の新しい製造拠点の立ち上げや開発と連動している。
■ サービス・分析: 顧客は、日常のガス・材料・化学製品の現場管理に関するエア・リキードのノウハウや、生産プロセスの継続的改善につながる最先端の分析サービスの提供を求め、これらを利用している。
| KEY POINTS エア・リキードは、エレクトロニクス事業向け産業ガス分野の世界的リーダーであり、この分野における包括的な製品とサービスを提供できる唯一のプレーヤーである。当グループのエレクトロニクス事業は、5つの異なる分野で構成されている。 ■ キャリアガス事業は、テイク・オア・ペイ条項付きの長期間契約と、業界の拡大に伴う需要の増加に支えられ、堅調に推移している。 ■ 半導体製造全般に使用されるエレクトロニクス特殊材料 ■ 次世代のより効率的なチップの製造に不可欠な先端材料 ■ 設備・据付工事(ガス、材料及び化学品の販売並びに設置工事) ■ サービス・分析(ガス、材料及び化学物質の分析並びに管理) |
|---|
エンジニアリング&テクノロジー
(事業の概要)
エンジニアリング&テクノロジーは、技術、エンジニアリング、建設、製造及びプロジェクト開発・実行におけるエア・リキードが持つ専門知識を結集し、最先端の産業ソリューションを設計・提供する。同部門は、グループの技術的自立を推進し、イノベーションや技術開発、プロジェクト遂行に携わるすべての事業体の専門知識を統合することで、特にエネルギー転換分野やエレクトロニクス、ディープ・テック分野における成長機会をグループが活用できるようにしている。独自の技術基盤と専門知識を擁するエンジニアリング&テクノロジーは、顧客の成長を支え、変化するニーズに応える幅広いソリューションを提供する。そのソリューションは、技術開発から、産業用ガス生産設備のエンジニアリング、調達、建設管理、さらには極低温機器の製造に至るまで多岐にわたる。
エンジニアリング&テクノロジー(E&T)は、2025年1月1日にエンジニアリング&建設(E&C)とグローバル市場&テクノロジー(GM&T)が統合されたものである(1)。すべての市場を網羅し生産コストを管理するため、エンジニアリング&テクノロジーは世界的な地理的範囲をカバーしており、ヨーロッパ、北アメリカ、アジア及び中東にテクノロジー・キャンパス、エンジニアリング・センター及び製造工場を配置している。
(1) バイオガス及び海事関連を中心とする一部の事業が、グローバル市場&テクノロジーから工業事業に移管された。
(ビジネスモデル)
当グループは、一世紀以上にわたり、独自技術、ガス製造ユニットの設計、機器製造を習得し、そのソリューションの実績が評価されてきた。エンジニアリング&テクノロジーのビジネスモデルは、その統合された能力を活用し、グループの投資プロジェクト(受注の大部分を占める)と外部の第三者顧客の両方にサービスを提供することで、技術的専門知識の価値を最大化することを中核としている。エンジニアリング&テクノロジーの中核事業は以下のとおりである。
■ 技術開発
■ プロジェクト及びソリューション開発
■ エンジニアリング、調達、建設管理
■ 機器製造
■ 運用支援
エンジニアリング&テクノロジーは、当グループにとって戦略的な価値を持つ。同部門は、当グループのガス&サービスの顧客のニーズに的確に応える効率的なユニットの設計に不可欠な、高度な専門知識を提供する。これにより、エネルギー効率や信頼性など、製造ユニットの最適な運用管理が可能となる。また、スキルと人材の育成を促進し、買収資産の品質を適切に評価することで、当グループによる事業所の引継ぎを円滑にしている。
当グループは機器販売よりもガス販売事業の発展を重視しているが、エンジニアリング&テクノロジーは第三者顧客にもサービスを提供しており、これにより当グループは自社の技術及び商業的提案の競争力を絶えず評価・向上させることができる。特に、エア・リキードはこれにより、自社でガスを生産する顧客と緊密な関係を築き、そのニーズや事業を深く理解することを可能としている。場合によっては、当初は機器販売を目的としていた交渉が、長期の産業用ガス供給契約の締結によって決着することもある。
この外部顧客向け事業において、戦略は、建設リスクを伴わないライセンス供与、調査及び設備供給契約を優先することにある。事業の性質上、エンジニアリング&テクノロジーの連結売上高への寄与(外部顧客向け売上)は年によって大幅に変動する可能性があるが、グループ全体の売上高に占める割合はごくわずか(約3%)である。
2025年、エンジニアリング&テクノロジーの外部顧客向け連結売上高は8億5500万ユーロに達した。なお、当グループ内でのエンジニアリング&テクノロジー(内部売上)による収益は、公表されている売上高には計上されない(外部顧客との取引による収益のみ含まれる)。
(顧客及び市場)
エンジニアリング&テクノロジーの独自のポートフォリオは、産業の脱炭素化、エネルギー転換、そしてAI革命を中心としたデジタル化の急速な進展といった、世界的な主要課題に対処するために特化して設計されている。エンジニアリング&テクノロジーは、特許取得済みの技術と極低温工学における専門知識を通じて、科学の最前線を切り開き、新たな市場を開拓し続けている。そのため、当グループの4つのガス&サービスのビジネスラインを支援するだけでなく、エンジニアリング&テクノロジーは、顧客やエコシステムとの提携を通じて、特に宇宙産業、科学研究、核融合、量子コンピューティング向けの機器や革新的な技術を設計・開発している。
KEY POINTS グローバルビジネスユニットであるエンジニアリング&テクノロジーは、当グループの技術的自立を推進し、イノベーション、技術開発予備プロジェクト遂行に携わるすべての事業体の専門知識を結集することで、特にエネルギー転換、エレクトロニクス、ディープ・テック分野における成長機会を当グループが活用できるようにしている。エンジニアリング&テクノロジーの連結売上高は、第三者への売上のみを反映しており、内部売上は含まれていない。事業の性質上、エンジニアリング&テクノロジーの連結売上高(外部顧客向け売上)への寄与は年によって大幅に変動する可能性があるが、グループ全体の売上高に占める割合はごくわずか(約3%)である。
競合
世界レベルでは、産業ガス産業は3つの主要なプレーヤーで構成されている。それぞれ250億ユーロを超える売上高を持ち、共に市場リーダーであるエア・リキードとLinde Plc、売上高では両社の半分以下のAir Productsである。また、日本酸素ホールディングス(日本)、エア・ウォーター(日本)、Messer(ドイツ)、Hangzhou Oxygen Plant Group “Hangyang”(中国)、AirPower(中国)、など多くのグローバル・地域プレーヤーが存在する。最後に、多くの小規模プレーヤーもローカル市場に存在する。
化学・鉄鋼・精製分野の産業企業で、大量の産業用ガスを必要とする場合、自家生産と外部からの供給(アウトソーシング)のいずれかを選択できる。現在、世界の水素生産量の90%、酸素生産量の60%を自家生産が占めると推定されているが、地理的な相違は大きい。この点、自家生産をオーバー・ザ・フェンス(敷地間パイプライン供給)方式に転換できる可能性は、ラージ・インダストリー事業にとって大きな成長機会である。自家生産の割合は、地理的地域、業種、地域文化によって大きく異なる。先進国では、酸素の供給は大部分がオーバー・ザ・フェンス方式であるが、精製のための水素の供給は内製が主流である。新興国経済においては、オーバー・ザ・フェンス供給が新たな開発の可能性を切り拓く。ラージ・インダストリー事業で世界をリードするエア・リキードとLinde Plcは、他の大企業や現地企業と競合している。
工業事業はローカルビジネスである。輸送コストのため、アルゴンやヘリウムなどの高付加価値ガスを除き、営業地域を製造ユニットの200~250km以内に限定する。この市場は、顧客の規模や活動によって高度に多様化しており、ガスの製造・販売を行うか、単にガスを流通させるかにかかわらず、多くの中小のローカル競合他社を含んでいる。
ヘルスケア事業では、ほとんどのガス産業のプレーヤーが病院に医療用酸素を供給しているが、家庭における慢性疾患の治療にはほとんどプレゼンスがない。在宅医療事業において、エア・リキードは欧州の首位(患者数において)であるが、エア・リキードが進出していない米国ではLinde Plcのプレゼンスが高くなっている。この市場は、ほとんどすべての地域で多くの小規模な企業や団体により細分化されている。この細分化は、当グループにとって追加的な事業買収の機会を提供する。
エア・リキードが主導するエレクトロニクス事業では、エア・リキード、Linde Plc、Merck KGaA(ドイツ)、Entegris(米国)、Air Products、日本酸素ホールディングスの6社が大きな役割を果たしている。先端材料市場では、エア・リキードがリーダーであり、既存の地位を高め、革新的な新分子の開発に注力する先駆者の1社と考えられている。この特殊なエレクトロニクス事業の市場における他の先駆者は、MerckとEntegrisである。
エンジニアリング&テクノロジーにおいては、エア・リキードは、主に産業用ガスプレーヤーと競合している。空気ガス分離に使用される「低温」技術では、主な競合相手はLinde Plc、Hangzhou Oxygen Plant Group 「Hangyang」、Air Productsである。中国の競合他社は、自国での需要が高まり、勢いを増している。水素の製造と合成ガスの化学変換に使われる「非低温」技術では、最大の競争相手はTechnip Energies(フランス)、Holdor Topsoe(デンマーク)、Johnson Matthey(英国)、Linde Plcである。最後に、当グループは特定の最先端市場向けの機器やサービスも提供しており、これらの市場では製品によって競争環境が大きく異なり、多国籍企業からスタートアップ企業まで、さまざまな規模の企業が存在する。
エア・リキードは、戦略的なポジション、運用実績、主要技術(電解、CO2回収、水素液化等)における専門知識により、とりわけエネルギー転換に関連する新たな成長機会を獲得する好位置につけている。
4【関係会社の状況】
(1)親会社
当社には親会社はない。
(2)子会社及び関連会社
主要な連結対象会社については、「第6 経理の状況」の連結財務諸表注記の末尾に掲載している。2024年度に実施した企業買収については、「第3 事業の状況 4.(5)投資循環及び資金調達」を参照。
5【従業員の状況】
(1)従業員の数
人数(a)(b) 65,168人
(a) 2025年12月31日現在の当グループの総従業員。2,042名の臨時従業員を含む。
(b) 年齢分布は以下のとおり。
| 人数 | 割合 | |
|---|---|---|
| 30歳未満 | 7,709 | 11.8% |
| 30歳から50歳 | 36,269 | 55.7% |
| 50歳以上 | 21,190 | 32.5% |
(2)労働組合
労働組合との関係に関しては、特記すべき事項はない。
(3)女性管理職比率
| 目標 | 2023 | 2024 | 2025 | |
|---|---|---|---|---|
| 女性の当社グループにおけるマネージャー及び専門職の割合(c) | 35%(2025年) | 32.0% | 33.1% | 33.8% |
| 女性の上級管理職の割合 | 25%(2025年) | 24.7% | 23.7% | 24.7% |
(c) 当グループ内の「管理職及び専門職」。2023年は0.5%単位で表示。
(4)賃金格差
| 2025 | |
|---|---|
| 性別による賃金格差(d) | 7.8% |
(d)研修中の者、海外駐在員、及び性別を申告することを希望しなかった従業員、又はノンバイナリーの従業員は、この計算から除外されている。総時間当たり報酬は、基本給、法定手当、及び目標変動報酬で構成される。この指標は、勤続年数、経験、業績、又は市場といった特定の特性について調整されていないデータに基づく。
第3【事業の状況】
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
(1)経営方針
健康、気候、エネルギー、モビリティをはじめとして、私たちの世界は、重大な課題に直面している。今、これまで以上に、サステナブルな未来を創造することが急務となっている。
エア・リキードは、120年以上にわたり、サステナブルな未来を創造することを目指して、技術革新に取り組んできた。今日、エア・リキードの分子は、工場や病院、スマートフォンの画面の裏側、さらにはスペースシャトルの内部など、私たちの身の回りのあらゆる場所に存在している。
サステナブルな未来の創造とは、技術や科学的な専門知識に基づいた革新的なソリューションを創造・育成し、産業界及び医療界の進歩や脱炭素社会に向けた歩みを支援することである。それは、社会全体の役に立つことに加えて、顧客や患者のために日々行動することを意味する。
また、サステナブルな未来を創造することは、着実かつ堅実な財務パフォーマンスを維持しつつも、環境に関する目標や社会的な目標の達成に向けて主導的な役割を果たすという、独自の成長モデルを生み出すことでもある。このことは、社会的責任も果たしつつ、ビジネスを行うということを意味する。
なぜなら、サステナブルな未来を創造することは、これまで以上に、すべての人のニーズに耳を傾け、全ての人の利益のために行動することだからである。
サステナブルな未来を創造することは、当グループの強い意志である。
過去30年間の当社業績
エア・リキードは30年以上にわたり、堅調な業績を上げており、それが長期的な成長見通しを後押ししている。このような業績は、エア・リキードの強力なビジネスモデルと、事業展開地域、事業、最終市場、及び顧客の多様性により実現されたものである。
■ 売上高:+5.8%(年平均)
■ 1株当たり純利益(EPS)(a):+7.2%(年平均)
■ 営業活動によるキャッシュ・フロー(運転資金変更前):+7.2%(年平均)
■ 1株当たり配当(a)(b):+9.2%(年平均)
(a) 株式分割(2007年に1株につき2株の割合で分割)、無償株式割当、2016年10月に完了した増資による希薄化の影響(0.974)の調整後。
(b) 2026年5月5日の株主総会での承認を条件とする。
(2)戦略プラン・中期目標
2022年3月22日、エア・リキードは財務的パフォーマンスと非財務的パフォーマンスを組み合わせた、2025年に向けた新たな戦略プラン「ADVANCE」を発表した。当グループは、実証済みの回復力、革新性、技術的ノウハウに基づくビジネスモデルに支えられており、経済、環境、社会の大きな課題への効果的な対応に貢献しつつ、成長軌道を継続できる立場にあることを十分に示してきた。
① 戦略プラン「ADVANCE」の成功
戦略プラン「ADVANCE」において、当グループは、収益性の高い成長の勢いを維持しながら、CO2排出削減の公約を果たし、将来的な市場への投資も行うという、意欲的な挑戦を掲げた。
| 2022年時点での初期目標 | 2025年における達成状況 | |
|---|---|---|
| 売上高 | +5~6% CAGR(a) | +6.1%(a)(c) |
| ROCE(使用資本利益率(b)) | 2023年以降:10%超 | 11.2%(2022年末以降)(b) |
| CO2排出量 | 2025年頃に変曲点を迎える | 2020年以来13%減少(d) |
(a) 2021年末から2025年末までの当グループの比較可能売上高の年平均成長率(CAGR)。2021年のエネルギー価格及び為替レートを基準とし、重要なスコープ変動の影響を除外。
(b) 経常純利益に基づく経常的ROCE(使用資本利益率)
(c) アルゼンチンによる影響+2.6%を含む
(d) スコープ1及びスコープ2の排出量(スコープ2はマーケットベースによる算定)。排出量は再計算後の数値。
戦略プランの以下の3つの目標を達成した。
■ 2022年から2025年までの期間における売上高の年平均成長率(CAGR)は+6.1%(1)に達し、ADVANCE計画の目標である+5%から+6%の範囲内に収まった。これは、2021年の売上高に基づき、2021年の為替レート及びエネルギー価格を用いて算出されたものであり、重要な連結範囲(SasolのASUの取得及びロシア子会社の連結除外)による影響は除外されている。
■ 2025年末時点でのROCE(使用資本利益率(2))は11.2%だった。2023年以降、経常的ROCEを10%以上にするというADVANCEの目標は、予定より1年早い2022年末にすでに達成した。
■ 2023年と2024年の2年連続でCO2排出量の絶対値が大幅に減少したことを受け、CO2排出量の絶対値において転換点に達するというADVANCEの目標が達成された。2025年には、減少傾向が確認され、排出量(スコープ1及び2)が2024年比で2.0%減、2020年のベースライン比で13.0%減となった。
これらの目標を達成するために、当グループは、資本資源を最適化し、営業利益率を向上させた。この業績は、ダイナミックな価格政策、構造的な効率化、事業活動ポートフォリオの積極的な管理に基づいている。
2022年から2025年までの投資決定総額は169億ユーロに達し、4年間で160億ユーロと予測されていたADVANCE計画の予想を上回った。
2022年3月に発表された戦略プラン「ADVANCE」の当初の営業利益率の改善目標(エネルギー影響を除く。)は、2022年から2025年の4年間で+160bpであった。2024年2月には、当初の目標の2倍となる+320bpに上方修正された。2025年2月、エネルギー影響を除く利益率改善目標が、期間を1年延長して2度目の引き上げとなった。現在は、2022年から2026年までの5年間に+460bp(3)となっている。2025年末時点で、エネルギー影響を除いた利益率の改善は4年間で+360bpに達し、これはこの新たな目標と完全に合致している。
(1) アルゼンチンによる+2.6%の貢献を含む。
(2)、経常利益ROCE(使用資本利益率)に基づく。
(3) DIG Airgasの買収に伴う購入価格会計の影響を除く。
② 地球の脱炭素化の推進
エア・リキードは、戦略プラン「ADVANCE」において、産業界の脱炭素化及び水素と炭素の回収が極めて重要な役割を果たす低炭素社会の出現に際して、リーダーシップを発揮するという決意を示した。
CO2排出量の削減は、業界の大手企業や大型モビリティにとって大きな課題である。このような状況は、当社にとって多くの事業機会が存在する状態であるといえる。
当グループは、世界中のラージ・インダストリー事業の顧客の脱炭素化に向けて、技術的ソリューション及びサービスを提供する大規模なポートフォリオを有している。その中には、特に、低炭素産業ガスの供給、顧客の工業プロセスの変革、CO2管理などが含まれている。
エア・リキードは気候の緊急事態を認識し、地球温暖化を産業革命前と比べて2℃を大きく下回る水準に抑制し、1.5℃に抑制する努力を追求することを目的とした国際的な枠組みを定めたパリ協定の実施に積極的に参加することを目的としている。2021年3月に発表したサステナブルな開発目標の一環として、当グループは2050年までにカーボンニュートラルを達成することを表明している。エア・リキードは、バリューチェーン全体、すなわち直接排出(「スコープ1」)、電力・蒸気供給に関連する間接排出(「スコープ2」)、及びその他報告された間接排出を含む「スコープ3」の排出に対応することにより、カーボンニュートラルの実現を企図している。
2050年のカーボンニュートラルに向けたエア・リキードの計画においては、2025年と2035年に2つの大きな中間段階を設けている。
■ 2025年頃に到来するものとされていたCO2排出量(絶対値ベース、スコープ1及び2)の転換点は、ADVANCEの期間中にすでに達成された。実際、2023年と2024年の2年連続でCO2排出量が大幅に減少し、2025年にもさらに追加の削減が実現されたことで、当該転換点とその後の排出軌道が確認された。
■ 2020年と比較して2035年までにスコープ1及び2のCO2排出量を33%削減する。2025年の排出量は、2020年の基準値と比較して13.0%減少した。
また、当グループは、2018年に掲げた、2025年までに炭素原単位(kg CO2/€EBITDA)を2015年比で30%削減するという目標の達成に向けて取り組みを継続した。この目標は大幅に上回り、2025年の炭素原単位は2015年比で46%低下した。
エア・リキードは、バリューチェーン全体でカーボンニュートラル達成に貢献することの重要性を認識し、2022年に「スコープ3」排出量削減戦略の策定に関する取り組みを行った。顧客との関係性を重視し、当社は、最大手顧客50社のうち、2025年までに75%、2035年までに100%がカーボンニュートラルにすることを約束している。2025年末時点で、2022年に当グループの主要顧客上位50社のうち82%が、2050年までのカーボンニュートラル達成を公約している。しかし、主要顧客上位50社の構成が変化した結果、2025年時点の当グループ主要顧客上位50社において2050年までのカーボンニュートラル達成を公約しているのは72%である。当グループは、バリューチェーンの上流及び下流における排出量削減に向けた取り組みを継続している。脱炭素化とエネルギー転換が当グループにもたらす気候変動対策計画、目標、戦略、取り組み、成果、リスク、機会については後に詳述する。
気候変動対策の目標
以下のタイムラインは、グループの脱炭素化の目標をまとめたものである。
■ 2025年までに、転換点を迎える。(スコープ1及びスコープ2)+2025年までに、2015年の排出量を基準に、炭素原単位を30%削減する(a)。
■ 2035年までにCO2排出量を3分の1削減する(b)。(スコープ1及びスコープ2)
■ 2050年までにカーボンニュートラルを実現する。(スコープ1、2及びスコープ3)
(a) 「市場ベース」手法における温室効果ガス排出のスコープ1及びスコープ2の2015年度の為替レートにおけるIFRS第16号を除いた償却前営業利益の炭素原単位kg CO2換算/ユーロ。
(b) 2035年の排出量削減目標(33%削減)はスコープ1及びスコープ2のCO2排出量を対象としており、スコープ2の「市場ベース」は、2020年とその後の各年の通年で、連結範囲の変更による変化に対応しCO2排出量に重要な影響(上下)を与える資産の排出量を考慮して修正再表示している。
| 科学的根拠に基づく目標 ~企業の意欲的な気候変動対策の推進~ エア・リキードの2035年のスコープ1及びスコープ2のCO2排出削減目標が、Science Based Target initiative(SBTi)により、気候科学(a)に準拠したものであるとの認証を得た。当グループは、業界で初めてSBTiからこの認証を受けた。 |
|---|
(a) エア・リキードは、2021年3月にスコープ1及びスコープ2の温室効果ガス排出削減目標を2020年の基準値に基づいて発表した。2021年6月24日に南アフリカのSasol空気分離装置を買収したことを受け、当社各スコープにおける大幅な数値の変更を統合するため、2021年の基準値に基づく温室効果ガス排出削減目標をSBTiに提出した。
資産と気候リスク(a) CO2排出量に影響を与える主な当グループの資産は以下のとおりである。 ― 400ユニットの大型空気ガス製造装置(特に酸素と窒素)は、直接的にCO2を排出するわけではないものの、電力を必要とする。この電力に関連するCO2排出量はスコープ2に計上される。 ― 大型水素製造装置50ユニットは、天然ガスを消費し、スコープ1に計上されるCO2を排出する。 ■ ラージ・インダストリー事業では、各空気ガスや水素の製造装置は、15年から20年の長期顧客契約と連動しており、資産は契約期間にわたって償却される。そのため、減損のリスクは限定的である。 ■ 産業ガスは、現在ほとんどの産業で使用されているが、エネルギー転換期には、産業界の脱炭素化ソリューションの中核となるため、より一層使用されるようになる。また、規制の動向や市場の需要に応じて、需要はますます低炭素ガスに傾くと考えられる。 ■ 当グループのスコープ1及び2のCO2排出量の大部分は、限られた数の資産及び国々から排出されている。そのため、排出削減目標を達成するには、限られた数の明確な手段を講じる必要がある。以下のような、既存の製造装置を脱炭素化するためのソリューションがすでに実施されている。 ― 空気ガス(スコープ2排出量)に関しては、特に主要地域において主に低炭素電力の利用を行っている。スコープ2排出量の80%は6か国から排出されている。2018年以降、エア・リキードは、年間5TWhを超える再生可能エネルギー及び低炭素電力の供給に関する33件の中長期電力購入契約を締結している。空気分離装置の95%以上がすでに当該契約により電気を供給されているため、低炭素電力の利用への移行のための特別な投資は必要ない。 ― エア・リキードは、メタン改質を使用する水素製造装置(スコープ1排出量)に関しては、特に大型SMRでCO2の回収を実施している。実際、スコープ1の直接排出量の60%は15基未満の生産ユニットから排出されている。当社は、CO2を回収するための独自技術を有した製品ラインナップを全て揃えており、欧州最大の水素製造装置に炭素回収装置を建設中である。低炭素ガスに対する高い価格での需要が高まっており、当グループの低炭素資産への投資、とりわけ水素の製造のために必要な投資や、再生可能電力の供給に関連する潜在的なオーバーコストを補償することができるようになった。さらに、欧州や米国においても、既存の産業要資産や新規生産設備の脱炭素化の移行期間中に、これを支援するため、補助金や税額控除による資金調達プログラムが実施されている。 ■ エネルギーコスト(空気ガス用電力、改質装置用天然ガス)及びCO2排出に関連するコスト(例:欧州のETS制度など)は、長期契約(15年以上)の枠内で顧客に再請求さる。当グループは、このビジネスモデルを低炭素ガスの供給にも適用しており、エア・リキードはエネルギー及びCO2コストに関連する大きなリスクを負わない。 ■ そのため、当グループが水素を供給している顧客は、以下の2つの選択肢に直面している。 ― CO2のコストを負担すること、又は ― 当社から低炭素水素を購入すること(その価格にはCO2回収装置への投資収益と運転・貯蔵コストが含まれている。)。CO2価格が高ければ高いほど、顧客は低炭素水素の供給を選択するようになり、顧客自身の脱炭素化目標の達成にも寄与することになる。したがって、炭素価格が高いことは、当グループ資産の脱炭素化を加速させるのに有利である。感度調査によると、地域や状況により、CO2トン当たり100ユーロから250ユーロの価格であれば、顧客が低炭素水素の供給に傾くことを促す。このCO2価格は、明示的なものにすることも可能であるし、最終製品の二酸化炭素排出量に関する規制義務に統合することも可能である。 ■ エア・リキードが新たに投資を決定する際には、当グループの脱炭素化目標に沿って、CO2排出量の削減という制約が含まれるようになった。当グループはすでに、20MW級2基を含む電解槽を稼働させており、さらに2基の大規模電解槽(200MW)が建設中である。 ■ エア・リキードは、気候変動に関連する物理的リスクを考慮するために、いくつかの対策を実施している。これらのリスクは投資決定時に検討され、ユニット構想時に考慮され、グループの保険でカバーされる。エア・リキードは2023年に、2100年までに+2.7℃と+4.4℃の地球温暖化をもたらす2つのシナリオに基づき、物理的リスク管理プロセスの統合と改善を目的とした調査を実施した。現在も、主要な産業地域に焦点を当てたうえで、当グループのさまざまな資産レベルでの問題の理解を深めるための作業が継続している。 エネルギー転換に関連するリスク及び気候変動に関連する物理的リスクについては、当グループの財務諸表の決算の一環として分析され、主に上記の理由により、重大な影響は確認されなかった。当グループは産業界の顧客の資産を脱炭素化する技術を有しているため、エネルギー転換は何よりもエア・リキードにとって成長機会である。
(a) 欧州サステナビリティ報告基準2 SBM-3 §48(f)。
③ 技術革新による新規市場開拓
エア・リキードは、戦略プラン「ADVANCE」において、グループの2つの大きな強みであるイノベーションとテクノロジーを活用し、将来の主要分野の発展に貢献し、その地位を強化した。
当グループは5つの新市場に注力している。
■ エレクトロニクス事業:デジタル革命は事業の発展に寄与し、当グループのリーダーとしての地位を強固なものとした。
■ ヘルスケア事業:医療システムにとって最適なコストで患者のQOLを向上させるというエア・リキードの価値観に基づくアプローチが、大きな社会的課題に応える。
■ 工業事業:環境問題や新しい用途(特にデジタル)により成長する。
■ ディープテック:宇宙、極低温、量子コンピュータなどを含む。
■ 水素モビリティ、特に大型モビリティ:当社が主導的な地位を占め、低炭素水素が重要な役割を果たす、非常に高い潜在力を持つ市場。
産業とモビリティにおける水素の重要な役割
当グループは、水素がエネルギー転換において重要な役割を果たすと強く確信している。水素は、産業及びモビリティ分野の多くの用途において、競争力のある低炭素ソリューションとして、非常に大きな成長の可能性を秘めている。当グループは、約60年にわたり蓄積してきた資産、技術、専門知識、戦略的ポジショニングにより、水素社会を実現する重要な存在となることを目指している。このため、当グループは、新しい水素市場において、低炭素エネルギーや再生可能エネルギーの調達、水素の製造、圧縮や液化によるパッケージング、トラックやパイプラインによる配送など、最終顧客への保管や配送を含む、産業とモビリティのバリューチェーン全体を統括している。このため、当グループは、電解、CO2回収、水素液化などの低炭素水素を大規模に、競争力があり、信頼性が高く、安全な方法で製造・供給するための新技術に投資している。
④ すべての人のために行動する
エア・リキードは、戦略プラン「ADVANCE」において、直接のステークホルダーだけでなく、社会全体の視点も取り入れた。
実際には、以下のとおりである。
■ 安全で包摂的かつ協力的な環境の中で、新しい働き方を実践することにより、従業員のエンゲージメントと能力開発を促進すること。
■ 顧客重視の企業文化を継続して強化し、顧客のニーズをよりよく認識し、予測し、サポートすること、及び既に進行中の変化を継続させることにより患者に対してより良いサービスを提供すること。
■ エア・リキードが株主と築く特別な関係の質を一層高めることに継続的に取り組みつつ、株主のロイヤルティに報いる定期的かつ魅力的な還元を実施すること。
■ 一般の利益に関心を持つ献身的な企業市民として、当グループによる貢献が違いを生み出せる分野、特に地域社会での活動や、例えば医療用酸素へのアクセスを促進するためのイニシアチブを発揮することを通じて、その役割を果たすこと。
| 社会的な目標 当グループの社会に対する責務は、特に「事故ゼロ」の安全への強い意志と、2025年に以下の目標を達成したことに反映された。 ■ 2025年までに、基本的な健康保険に加入する従業員の割合を100%にした。 ■ あらかじめ定められた枠組みにより、2025年までに、勤務時間中に地域社会を支える地域的なイニシアチブに参加する機会を持つ従業員の割合が100%となった。 ダイバーシティの観点から見ると、管理職及び専門職に占める女性の割合は2020年以降着実に増加し、2025年には33.8%に達した。この数値は、業界平均や競合他社と比較しても依然として大幅に高い水準にある。当グループは、あらゆる職種においてこの割合をさらに高めるべく、引き続き取り組みを進めていく。 |
|---|
(3)戦略のガバナンス体制
① 組織
当グループの戦略の管理は、短期、中期、長期の3つの時間軸を中心に構成されており、さまざまな社内チームが貢献している。彼らの具体的な役割については、後述する。
短期:目標は、戦略プランの一部として設定された年間目標の達成である。進捗状況は、定量的・定性的な指標の両方を用いて評価される。このプロセスは、当グループ業務管理部の指揮の下、戦略部門及びワールド・ビジネスラインの支援を受け、当グループ執行委員会が監督する。さらに、当グループは、戦略プランの調整が必要となる可能性のある潜在的なリスク、機会、及び新たなトレンドを常に監視している。
中期:戦略プランの軌道を維持し、市場の変化を予測することに重点が置かれている。この点において、当グループの業績予測は、戦略計画の進捗状況に合わせて毎年更新されている。さらに、当グループは市場の変化、顧客のニーズ、主要地域又は主要産業地域の動向を予測する取り組みも行っている。これらの分析と予測は、ワールド・ビジネスラインが担当している。主な戦略的課題は、執行委員会レベルで特定され、優先順位を定め、管理される。
長期:当グループは、ワールド・ビジネスラインが当グループの戦略的課題に適切に対応できるよう、今後10年及びそれ以降を見据えた戦略的予測の策定に重点的に取り組んでいる。これらの予測は、現在の戦略計画又は将来の改訂で取り入れるべき基本的な傾向を特定するのに役立つ。当グループ戦略部門は、ワールド・ビジネスライン、産業部門及び当グループ業務管理部門と緊密に連携して、これらの分析を実施している。
執行委員会は定期的に開催され、当グループの経営戦略とその実行状況の検討を行っている。投資は、本章の「投資プロセス」の項記載の資源・投資委員会(RIC)によって承認される。
月例の業績会議では、これらの決定事項が適切に実施・実行されていることを確認する。
最後に、環境・社会面の課題も視野に入れた戦略は、当グループの戦略に不可分のものである。執行委員会のメンバーである、ヴァイス・プレジデントに直属する「サステナブルな開発部門」が、戦略策定に貢献し、企業の戦略計画に統合されるべき具体的施策を定めている。さらに、サステナブルな開発を担当するヴァイス・プレジデントは、このサステナブルな開発に関する課題に特に注力して、経営戦略の会議に参加している。彼女は、当グループの炭素排出量の計画に重大な影響を及ぼす投資プロジェクトに関するRIC(資源・投資委員会)の報告書について、助言を求められている。
② 投資プロセス
当グループの長期安定的な成長は、毎年の新規プロジェクトへの投資能力によるところが大きい。産業ガス事業の投資プロジェクトは、世界中に広がっており、資本集約度が高く、特にラージ・インダストリー事業とエレクトロニクス事業においては、長期契約に支えられている。このように、エア・リキードは、資金調達先の多様化、バランスシートの慎重な管理、革新的な資金調達方法に基づいて、プロジェクトの性質に応じた資金調達を行ってきた。この資金調達方針は、当グループの持続的な発展のための基礎である。当グループの投資は成長戦略を反映している。投資は以下の2種類に分類できる。
■ 設備投資:有機的成長を推進し、かつ、効率性、更新、保守及び設置の安全性を保証する。
■ 金融投資:既存の競争力を強化する。又は、新しい技術だけでなく、すでに操業している企業や資産の事業買収を通じて、新たな地域や事業分野への進出を加速させる。
設備投資の性質は、ラージ・インダストリー事業及びエレクトロニクス事業向けガス生産部門、充填センター、ロジスティクス設備、貯蔵施設、医療機器、さらには工業事業、エレクトロニクス事業、ヘルスケア事業用の管理システムに至るまで、個々のワールド・ビジネスラインごとに異なる。資本集約度も個々の事業活動に応じて異なる。
| 気候及び投資に関する決定 エア・リキードのビジネスモデルによれば、活動の拡大には新たな製造設備への投資が必要である。したがって、脱炭素化の目標を達成するためには、投資計画を脱炭素化の計画に整合させることが必然的に必要となる。この計画は、当グループのオペレーション管理部門がモニタリングするCO2予算として、年次ごとに具体化されている。各国グループ(クラスター)には、その年に決定されたプロジェクトの枠組み内で許容される最大排出量を定めたCO2予算が割り当てられる。また、エア・リキードは、四半期ごとにCO2排出量を測定・モニタリングするための手順も導入している。さらに、投資案件又は顧客の年間排出量が特定の閾値を超える場合には、当該投資案件はまずグループのエネルギー・排出リスク管理委員会(E-Enrisk)による審査を受けなければならない。 当グループは、国際エネルギー機関(IEA)の低排出シナリオに基づくシャドー価格という形で、内部炭素価格を適用している。2025年より、新規の主要一次生産プロジェクトの実現可能性とレジリエンスを評価する当グループの手法が進化している。現在導入が進められている新しいプロセスでは、予想される市場状況と、1.5℃の軌道に整合するより野心的な政策の両方を反映した分析が求められている。新規プロジェクトに対するこれらの感応度分析は、異なる炭素価格の推移を想定した2つの別個のシナリオに基づいている。 |
|---|
資本集約度
資本集約度とは、プロジェクトや事業が成熟したときに追加的収益1ユーロを生み出すために要する資本の比率である。この資本は事業資産(生産ユニット、貯蔵施設、ロジスティクス設備など)に投資されることも、事業活動開発の資金とするため運転資本として使用されることもある。
資本集約度はビジネスラインごとに大きく異なる。
■ ラージ・インダストリー事業
― 空気ガス生産の資本集約度はほぼ3であり、電気価格の趨勢により変動する。
― 改質による水素生産は、売上原価に占める天然ガスの比率が高いため、資本集約度は1から2である。天然ガスの価格の趨勢により資本集約度は変動する。電気分解による水素生産の資本集約度は通常、かなり高くなり、電力管理と価格に左右される。
― 大規模なエネルギー転換プロジェクトでは、一般的に資本集約度が高く、特にエネルギー代金が請求書を通じて再請求されるのではなく、顧客に直接供給される場合はなおさらである。補助金を受けているプロジェクトも、収益性に影響を与えることなく、資本集約度(総投資額)が高くなる。
■ 新規参入市場において、事業を立ち上げるための工業事業の資本集約度は1.5から2である。
■ エレクトロニクス事業の平均資本集約度はほぼ2.5から3.5である。
■ ヘルスケア事業(買収を除く)の資本集約度は製品ラインナップに応じて異なるが、ほぼ1である。
したがって、当グループ全体の資本集約度は、事業の組合せやプロジェクトの種類及び原料価格に応じて変動を続ける。これは、更新投資や効率化投資よりもはるかに高い。
いかなるプロジェクトも、資本集約度の高低にかかわらず、当グループの長期的なROCE(使用資本利益率)目標の一致を可能とするものでなくてはならない。したがって、同程度の投資収益率について、プロジェクトの営業利益率(OIR/収益率)は、プロジェクトが実施される事業の資本集約度に依存することになる。
ガス製造装置に対する契約の理論的期間
長期的開発は、産業ガス事業の主な特性のひとつである。この特性は投資サイクルにおいて特に顕著に見られ、ラージ・インダストリー事業顧客に係る新規建設工事プロジェクトの場合、調査を開始してから、産業ガスの最初の販売に至るまでには、およそ5年を要する。他のビジネスラインにおける投資サイクルは一般的により短期的である。当グループの将来の成長を予測するには、このプロジェクトのサイクルを監視することが不可欠であり、以下の通りラージ・インダストリー事業の契約を例に取り詳説する。
■ 機会・交渉フェーズ:プロジェクトを投資機会ポートフォリオに登録し、開発プロセスに入る。ラージ・インダストリー事業に対する投資額が500万ユーロを超えるプロジェクト、及び他のビジネスラインで300万ユーロを超えるプロジェクトは、潜在機会ポートフォリオでモニタリングを行い、12か月以内の投資決定が見込まれるものと、決定に1年以上を要するものに分ける。その後プロジェクトについて顧客と話合いや交渉を行う。プロジェクトは以下のような各種の理由によりポートフォリオから削除される。
1. 契約締結に至ったため、ポートフォリオから削除されて投資決定となる。
2. 顧客がプロジェクトを放棄した。
3. 顧客が外部からのガス供給を受けることに反対する決定をした。又は、競合他社がプロジェクトを獲得した。
4. プロジェクトが12か月を超えて遅延している。この場合、12か月案件のポートフォリオから削除し、長期ポートフォリオに残す。
■ 署名フェーズ:両当事者が合意に達する。長期契約への署名は、内部統制機関の承認を受けた投資決定がされたことを意味する。プロジェクトは投資機会ポートフォリオから削除され、現行投資として登録される。
■ 建設フェーズ:ユニットの建設には、一般的に24~36か月、あるいは最も複雑なプロジェクトではそれ以上の期間を要する。当フェーズは資本支出期である。プロジェクトは投資バックログのまま残る。
■ 収益フェーズ
1.コミッショニング:ユニットの稼働開始に当たる。顧客のニーズに応じて、かつテイク・オア・ペイの保証最低数量に従って販売を開始することで、契約当初から最低限の利益が保証される。
2.増強:ユニットの稼働率を引き上げるフェーズである。契約期間の進行に伴い、テイク・オア・ペイ数量を超えて、契約に定める名目上の数量へと引き上げる。当フェーズ終了時点で名目上の資本集約度が達成される。
大規模開発プロジェクトの統制
当グループのインダストリアル・ディレクション(生産技術統括部門)は、すべての事業活動及びすべての子会社に適用される技術基準を定めている。
本プロジェクトに関連するビジネスラインは、顧客関係全般のフォローアップを管理し、契約及び技術基準の両面でプロジェクト全体の一貫性が保たれていることを確認する。
現地子会社は開発プロジェクトを提案し、契約締結後は自社の勘定で投資を行う。その後は操業、顧客関係、及びプロジェクトの利益性につき責任を負う。
キャピタル・インプリメンテーション・ディレクション(投資実行統括部門)は、現地の「オーナー」子会社の代表として機能し、プロジェクトの遂行及び全体的なガバナンスを担う。エンジニアリング&テクノロジー部門は、競争力のある独自技術を提供するとともに、プロジェクトの設計・調達・建設(EPC)業務も担当している。
優れた市場知見と顧客との強力な関係によって、潜在的なプロジェクトを事前に十分に見出す。第1ステージでは世界戦略に照らして、当グループが商業リソース及び技術リソースの投資対象にしたいと考える機会を選択する。この選択プロセスに続いて複数のステージでの検証を行う。
開発ステージでは、その管轄地域を監督する執行委員会メンバーにプロジェクトを提出して承認を受ける。グループレベルで、投資要請の評価及び検証を担当するRIC(資源・投資委員会)、技術リスク及び実施リスクの評価につき責任を負うERC(エンジニアリングリスク委員会)、エネルギー及び環境に関わる側面を考慮するE-ENRISK(グループエネルギー排出リスク管理委員会)の3種類の主要機関がプロジェクトの妥当性を確認する。
プロジェクトがエア・リキードの承認を受け、顧客の署名を得たら、投資を行う子会社の代表者及びエンジニアリング&テクノロジーの代表者で構成される統合チームが、当該地域の監督の下でプロジェクトを実行する。
ユニットの立ち上げ時を通じて、プロジェクト管理は段階的に現地の運用チームへ移管され、事業所の安全性と完全性を確保するための厳格な基準の下で行われる。ユニットの運営管理は現地子会社が担当し、財務パフォーマンスのモニタリングは地域(エリア)別及び当グループのオペレーション・コントロール(業務管理部門)によって行われている。
資源・投資委員会(RIC)の役割 資源・投資委員会(RICs)の目的は、要請が提出された投資を評価し承認又は却下を行うこと、及び中長期的な契約履行と、それにより必要となる人材を評価し承認又は却下を行うことである。 会合は定期的に(通常は月に1回)、地域(南北アメリカ、欧州、中東、アジア・太平洋)ごとに開催する。 各委員会の会議は、関係する地域を担当する執行委員会メンバーが議長を務める。投資案件は、各国(クラスター)のディレクターが提示する。拒否権を持つ常任委員は、ビジネスライン、グループ財務部門、エンジニアリング&テクノロジー、キャピタル・インプリメンテーションの代表者で構成されている。グループ・インダストリアル・ディレクションの代表者等の追加の参加者を招待する場合もある。 当委員会の決定は最高経営責任者(CEO)の審査を受ける。 決定は個々のプロジェクトに対する評価と、当該プロジェクトにつき見込まれる利益性に基づいて行う。その際、以下の基準を体系的に検討する。 ■ プロジェクトの実施地:分析においては、プロジェクトが有望な工業地域を拠点としているか、既存のパイプライン網と接続されているか、それとも孤立した土地に存在するかを考慮に入れる ■ 顧客事業所の競争力:規模、生産プロセス(特に環境負荷指標)、原料コスト、市場参入の可否に基づいて判断する ■ 顧客リスク ■ 温室効果ガスの排出量、その経済的影響及び排出削減の機会 ■ 脱炭素化への計画との整合性を含むグループの環境目標に対するプロジェクトの妥当性 ■ 水の消費、生物多様性、地域社会との関係など他のサステナブルな開発の基準 ■ 気候変動に関連する物理的リスク ■ 腐敗リスク ■ 契約条項 ■ 最終製品及び最終製品に対する将来的需要の安定性 ■ 技術ソリューションの質 ■ カントリーリスク:ケースバイケースで評価する。資金調達ポリシーの変更や保険加入範囲の追加につながる場合もある 資源・投資委員会(RIC)の承認を受け、顧客の署名を得たプロジェクトは「投資バックログ」カテゴリーに移動する。
| 投資サイクルに係る定義 i.期末時点の投資機会 当グループが12か月以内に決定を行うことを考慮に入れた投資機会の累積価額(補助金を除く総額)。ラージ・インダストリー事業の場合は500万ユーロ、資産、更新、安全、整備及び効率性向上プロジェクトを除くその他の事業では300万ユーロを超える投資額の産業成長プロジェクト。 ii.期中の決定 事業投資及び金融投資の決定の累積価額(補助金を除く総額)。成長性の有無を問わず産業プロジェクトが対象となり、資産の更新、効率性向上、保守、安全関連のプロジェクト、財務決定(買収)を含む。 iii.期末時点の投資バックログ(a) 決定済みであるが操業を開始していない投資の累積価額(補助金除く総額)。インダストリアル・マーケット(産業市場)事業については500万ユーロ以上、その他の事業については、1000万ユーロを超える産業成長プロジェクトが対象となり、資産の更新及び安全、保守、効率化に関するプロジェクトを除く。 |
|---|
(a) 建設中のものとは異なり、基準額や事業基準は設定されていない。
③ 資金調達
資金調達の方針は、Moody’s及びScope Ratingsの長期最低格付け「A」に準拠した信用プロファイルを尊重しつつ、当グループの発展を可能な限り支援し、金融市場の情勢の変化を考慮するために定期的に見直されている。
当グループは、以下のプルーデンス原則を適用する。
■ 借り換えリスクを最小限に抑えるため、資金調達手段の多様化、満期の分散
■ クレジット・ファシリティを確認したコマーシャル・ペーパーの発行
■ 長期投資の意思決定に沿った資金調達コストの可視化を図るための金利ヘッジ
■ 自然な為替ヘッジを確保するための営業キャッシュ・フローの通貨による資金調達と投資
■ エア・リキードの完全子会社Air Liquide Financeを通じた、資金調達と余剰資金の恒久的な集中化
さらに、当グループは、財務と非財務的パフォーマンスを組み合わせた成長戦略の一環として、責任あるサステナブルな金融商品という観点から、金融市場が提供する機会に着目している。
資金調達先の分散
エア・リキードは複数の債券市場、すなわちコマーシャル・ペーパー、社債、銀行を利用することで資金調達先を分散している。
エア・リキードの短期資金調達については、フランスでは短期譲渡証券(NeuCP)の形で、フランスの短期コマーシャル・ペーパー市場にて未償還残高各30億ユーロを上限とするコマーシャルペーパー・プログラム2件を利用しているほか、未償還残高20億米ドルを上限とする米国コマーシャルペーパー・プログラム(USCP)1件を利用している。
エア・リキードの長期資金調達については、ユーロ・ミディアム・ターム・ノート(EMTN)制度を導入し、120億ユーロを上限とする長期債を発行している。特に、主要通貨(ユーロ、米ドル、日本円)とその他通貨(中国人民元、スイスフラン、英ポンド)で債券を発行することができる。エア・リキードは私募債も発行することができる。
エア・リキードは、環境と社会の目標に沿って、環境と社会に明確な利益をもたらすサステナブルなプロジェクト向けの資金調達のため、「サステナブルな資金調達のフレームワーク」を2021年に定め、2024年に更新し、以下の手段を網羅している。このフレームワークは、国際資本市場協会(ICMA)が監修する「2021サステナビリティ・ボンド・ガイドライン(SBG)」、「2021グリーンボンド原則(GBP)」、「2023ソーシャルボンド原則(SBP)」、及び「ローン市場協会(LMA)」が監修する「ソーシャルローン原則2023」及び「グリーンローン原則2021」に沿ったものである。
また、当グループは、銀行借入(融資・融資枠)による資金調達を行っている。
当グループは、満期時の更新に伴う流動性リスクを回避するため、グループ内の方針に従い、短期借入金の返済満期を主要銀行からシンジケート又は相対方式で調達できる融資枠によってカバーされる金額に制限している。
資金拠出及び余剰キャッシュの集中化
規模の経済の利益を享受し、資本市場による資金調達(債券及びコマーシャル・ペーパー)を容易にするために、当グループは資金調達に特化した子会社Air Liquide Financeを利用している。同社は当グループの資金調達取引の大半を集中化している。同社は、法律で認められている国において、当グループの子会社を対象に、通貨リスク、金利リスク、商品リスクをヘッジしている。
現地規制により認められている国においては、Air Liquide Financeはキャッシュ・フローの未決済残高を直接又は間接に資金プーリングし、又はグループ内貸付及び借入をすることで、キャッシュ・フロー残高を集中化している。日々の国際的な資金集中が不可能な場合でも、現地の資金プールが存在し、これによりAir Liquide Financeへの定期的な企業間貸付が可能となっている。
グループ内の融資及び借入では為替ヘッジを行っているため、Air Liquide Finance内の通貨は一致しており、前述の社内金融取引は当グループに外国為替リスクをもたらしていない。
当グループの金融ヘッジ取引を一元化したAir Liquide Financeは、非金融業者のカウンターパーティ(NFC)としての地位に関して、EMIR要件(欧州市場インフラ構造規制)に準拠している。EMIR REFITが導入したNFCという地位に基づく定義に従い、Air Liquide Financeは2021年に、デリバティブの報告義務を大半のカウンターパーティーに移管した。
さらに、当グループは一定のケース(例えば、規制上の制約、高いカントリーリスク、ジョイントベンチャーなど)においては、現地金融市場で個々の融資を調達し、信用リスク保険を利用するといった適切な管理手段を講じることによって、リスクを抑えることがある。
債務の満期の分散化
債務の満期に伴う借り換えリスクを最小限に抑えるため、当グループは、満期を複数年に分散している。
債務の返済期限及び償還は、財務委員会の財務部及びエグゼクティブ・マネジメントにより毎月定期的に見直されている。
また、当グループの事業活動により生まれるキャッシュ・フローが定期的なものであることも借換えリスクを低減している。
銀行保証の活用
グループ子会社は随時銀行保証を必要としており、そのほとんどはヘルスケア事業、エンジニアリング&テクノロジー及びグローバル市場&テクノロジーの顧客向けであって、入札期間(入札保証)又は落札後に、契約履行期間中から保証期間の終了時まで(前払債、履行保証、瑕疵担保保証)の保証を行う。
最も一般的な銀行保証は、前払債や履行保証であり、契約の履行を確保すべく、顧客のために延長される。
当グループの通常の業務過程の中で、一定の子会社は賃借債務又は保険債務を担保するために債務保証を求められる。
上記の保証を差し入れるプロジェクトに対しては定期的に経営陣が審査を行い、1億ユーロを超える保証については、取締役会の承認が必要である。保証支払請求を受ける蓋然性があるときは、連結財務諸表に必要な引当金を計上する。
④ イノベーション
イノベーション&テクノロジー部門は、ワールド・ビジネスラインの強力な支援のもと、当グループのイノベーション戦略とその実行を推進している。従来のビジネスと新規ビジネスの両方で収益性が高くサステナブルな新しい提案をすることで、事業実績と将来の成長に貢献している。イメージング、設計、開発、インキュベーションを行い、新しいソリューションを市場に投入し、特に技術的内容の高い商品についてはその責任を負う。
イノベーションに関する投資決定と資源は、当グループのガバナンス組織(資源・投資委員会(RIC))に依存している。
エア・リキードのイノベーション戦略は、短期、中期、長期にわたって成果をもたらすよう設計された、集中的かつダイナミックなイノベーション・ポートフォリオの管理に基づいている。イノベーション&テクノロジー部門は、短期プロジェクトを通じて、操業の安全性、信頼性、効率性に重点を置くことで、当グループの産業パフォーマンス向上に貢献している。これらのイノベーションの優先事項は、当グループの産業部門がイノベーション関連組織と連携して策定するオペレーショナル・ロードマップ(ORM)を通じて設定される。中期的なイノベーションの優先事項は、各ワールド・ビジネスラインがイノベーション&テクノロジー部門と連携し、技術ロードマップ(TRM)及びプロダクト・ロードマップ(PRM)を通じて定義される。長期的には、イノベーション&テクノロジー部門は、将来に備えるため、潜在的に破壊的な科学的・技術的進展についても注視及び探索を行っている。この長期的な目標を支援するため、当グループは特にALIADを活用することができる。エア・リキードの戦略的ベンチャーキャピタルファンドであるALIADは、設立以来、気候、ヘルスケア事業、産業分野にプラスの影響をもたらすテック系スタートアップに対し、40件以上の投資を行ってきた。
エア・リキードのイノベーション・ポートフォリオは毎年策定される。イノベーション&テクノロジーが主導するこのプロセスでは、各ワールド・ビジネスライン、インダストリアル・ディレクション、及び各クラスターを結集することで、社内の各部門間の足並みを揃えるとともに、イノベーションの市場投入までの期間を短縮することを目指している。
当グループが初めて実施する産業実証プロジェクトや革新的な技術の商用機への導入に関連するリスクを評価するために具体的に設置されたFOIK(First-of-its-Kind)委員会は、毎月プロジェクトの審査を行っている。導入前の開発フェーズにあるデジタルプロジェクトは、関連するデジタル&ITチームによる技術的検証を経て、資源・投資委員会に提出される。
エア・リキードのイノベーション戦略は、エンドユーザーに可能な限り寄り添い、市場の期待に応えるため、グローバルなイノベーション・エコシステムや外部とのイノベーション・パートナーシップも活用している。
また、イノベーション戦略は、当グループの執行委員会及び取締役会においても定期的に検討される。
2【サステナビリティに関する考え方及び取組】
(1)一般的な開示
ア サステナビリティ・ステートメントの作成根拠
(ア)サステナビリティ・ステートメントの範囲
サステナビリティ・ステートメントは連結ベースで作成されている。連結範囲は、当グループの連結財務諸表作成に使用した範囲と同じである(「第6 経理の状況 1(1)「連結財務諸表」に記載する主要な連結会社一覧を参照)。この連結範囲に含まれる子会社は、企業サステナビリティ開示指令(CSRD)に基づき、そのレベルでのサステナビリティ計算書の作成義務を免除されている。
下記エ(ウ)に記載されているように、本サステナビリティ・ステートメントは、上流及び下流のバリューチェーンを対象としている。内部通報方針(通報件数)及び安全衛生(例:事故件数)に関連する指標は、その対象範囲が広く、グループ全社を網羅している。
当グループは差し迫った事態や交渉中の事項がある場合に認められる開示免除を利用しなかった。
(イ)開示に関する方法論的考察
サステナビリティ・ステートメントは、欧州企業サステナビリティ開示指令(CSRD)の国内法化に伴う法的・規制的要件の一環として策定された。
CSRDの施行2年目は、規制変更が目前に迫る中、依然としていくつかの顕著な不確定要素が存在する。科学的・経済的知見や使用される外部データの質に起因するものに加え、基準設定規制機関による更なる明確化が望まれるいくつかの解釈も残されている。
この観点から、当グループは、作成期間内に、入手可能な情報に基づいて、サステナビリティ・ステートメントの作成日に適用されるESRS(欧州サステナビリティ報告基準)の規制を適用するよう努めた。
本報告書における一部の提示内容及びデータ項目は、比較可能性を確保するため、他社のサステナビリティ報告書の比較分析に基づいて調整されている。これには、賃金格差、総報酬比率の指標及び影響、リスク、機会の提示が含まれる。しかし、特にバリューチェーン内におけるデータ収集は依然として困難であり、セクターレベルでの信頼できる比較データやベンチマークが不足しているため、サステナビリティ情報の集約は容易ではない。
当グループの重要な影響、リスク、機会(IRO)は、詳細な表形式で表示されている。これらは、対応する方針と行動との関連性を高めるため、引き続きそれぞれの対応するサステナビリティのトピックを扱ったセクションで表示されている。
当グループが実施したダブル・マテリアリティ評価(下記オ参照)によると、特に公害(E2)、生物多様性(E4)、循環型経済(E5)に関連するトピックは、当グループにとって重要とはみなされなかった。しかしながら、エア・リキードは責任ある企業として、これらの分野での影響を制限するよう努めており、一連の行動計画は報告書の中で例として示されている(下記(2)エ~カ参照)。
主な推計値と方法論上の制約
場合によっては、信頼できるデータへのアクセスが困難なため入手可能なデータの質が向上するにつれて精緻化されるであろう推定値を使用せざるを得ないこともあった。
特に、当グループが発表した情報を確定する上で直面した、方法論上の不確実性と限界は以下のとおりである。
■ 当グループの気候変動緩和のための移行計画に関しては、当グループの戦略やビジネスモデルがサステナブルな経済への移行に適合するよう、当グループの過去、現在、将来の緩和への取組を理解できるようにすることを目的としている。しかし、現在までのところ、地球温暖化を1.5℃に抑制するシナリオと戦略の両立を保証するような、企業レベルでの温室効果ガス排出削減目標やその道のりに関するコンセンサスは得られていないと理解されている(詳細については、下記(2)イを参照)。
■ 特定の作成における方法論上の限界や、当グループの現在の内部報告システムに内在する限界により、エア・リキードは今後数年間、これらの指標をさらに改善するための作業を継続する予定である。例えば、当グループは、スコープ3の排出量データの信頼性を高めるための作業(下記(2)イ(オ)参照)を継続している。
最後に、業界におけるベストプラクティス及び推奨事項を考慮し、またこれらの新規制及び基準に対する理解を深めるため、当グループは、必要に応じて、継続的改善プロセスの一環として、特定の報告及びコミュニケーション慣行を変更することがある。
その他の方法論的な留意点
エア・リキードは、ESRS第1号6.4項で定義された中長期的視野から逸脱していない。
■ 短期時間軸は、財務諸表の年次報告期間に相当する。
■ 中期的な時間軸は5年であり、これは当グループの戦略的計画の期間と一致している。
■ 長期的視野は5年以上の視野に相当し、エア・リキードのエマージング・リスク評価及びグループの長期トレンドの調査において部分的に考慮されている。
推定値及び不確実性は、該当する場合、それが適用される指標のレベルで開示される。
別段の記載がない限り、指標はサステナビリティ監査人以外の外部機関による検証を受けていない。
イ ガバナンス
エア・リキード内において、マネージング・ディレクターの意味における経営、管理及び監督機関(以下「経営機関」と呼ぶ)には、取締役会及び最高経営責任者が含まれる。注意すべき点は、要求される情報に応じて、どちらか一方のみが関係する場合がある(その場合、その情報は他方には適用されない)。
(ア)経営機関の役割と責任
当グループのガバナンス機関の監督的役割に関連する情報は、「第5 提出会社の状況 3 コーポレートガバナンスの状況 (1)コーポレートガバナンスの概要」で述べられている。そのうち特に、以下の部分に記載されている。
■ ③ 取締役会の構成
■ ⑦ 取締役会における従業員代表の参加
■ ⑪ 取締役会の委員会のうち、d.環境・社会委員会
環境・社会問題の統合は、強力なガバナンスとプロセスに基づく当グループの戦略に不可欠な部分である。
執行委員会メンバーである取締役の直属部門であるサステナブルな開発部門は、戦略に貢献し、会社の戦略的プランに組み込む具体的施策を定義する。
サステナブルな開発部門は、当グループのエネルギー及び排出リスクを管理することを使命とするE-エンリスク委員会に参加しており、毎月、グローバルなラージ・インダストリー事業ラインを監督する執行委員会メンバー及びグループ戦略部門が一堂に会する。
サステナブルな開発を担当するヴァイス・プレジデントは、戦略に関連する会議に参加し、特に持続可能な開発問題に重点的に取り組んでいる。彼女は、当グループの炭素排出量の計画に重大な影響を及ぼす投資プロジェクトに関するRIC(資源・投資委員会)の文書について、助言を求められている。
最後に、当グループのCO2排出削減目標は、地域や顧客の特性を考慮しながら、当グループのグローバルな事業部門と緊密に連携して策定された、各地域の脱炭素化計画に落とし込まれている。クラスターごとのCO2予算が定義され、半年ごとにモニタリングされ、投資の意思決定プロセスに組み込まれることで、当グループが目標までの道のりに沿っていることが保証される。
(イ)取締役会が取り組むサステナビリティ事項
取締役会が取り組むサステナビリティ事項は、「第5 提出会社の状況 3 コーポレートガバナンスの状況 (1)コーポレートガバナンスの概要」で取り扱っており、特に、以下の部分に記載されている。
■ ⑩ 2025年における取締役会の活動実績
■ ⑪ 取締役会の委員会のうち、監査・会計委員会と環境・社会委員会の合同会議についての記述
(ウ)サステナビリティ実績に基づくインセンティブ
当グループのガバナンス機関に適用されるインセンティブ制度については、「第5 提出会社の状況 定性的な個人基準」に記載されている。
ウ リスク管理及び内部統制
(ア)デュー・ディリジェンスに関する声明
エア・リキードは、グループ雇用法・コンプライアンス・注意義務部門のチーフ・リーガル・オフィサーの責任のもと、注意義務に関するフランスの法律に従い、人権と基本的自由、個人の健康と安全、環境をカバーするデュー・ディリジェンス・プロセスを実施する。当グループは、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」(UNGP)、経済協力開発機構(OECD)の「多国籍企業ガイドライン」、「責任ある企業行動のためのデュー・ディリジェンス・ガイダンス」などの国際文書のガイドラインに基づき、注意義務計画を策定している。
第3の3(5)注意義務計画(Duty of Vigilance)は、サステナビリティ・ステートメントを参照する相互参照表を通じて、サステナビリティ・デュー・ディリジェンス・プロセスに関する開示要件を満たしている。
(イ)サステナビリティ報告プロセスの内部統制
サステナビリティ報告に関する当グループのリスクマネジメントと内部統制のプロセスとシステムは、ダブル・マテリアリティ評価により、当グループにとって重要であると考えられるテーマ別ESRSと開示要件を対象としている。内部統制システムの目的は、データの完全性・完全性、見積もり結果の妥当性、データの入手可能性、情報提供の期限に関するリスクを合理的にカバーすることである。
内部統制システムの主な構成要素は以下の通りである。
■ サステナビリティ・ステートメントを確実に作成するための組織(役割と責任、検証ステップの担当部署を含む)
■ 特に、語彙の定義と計算方法の均質性を確保するために実施される方針と手続
■ 一貫性チェック、照合、完全性、ギャップ分析のための管理活動
■ 制御の自動化と検証回路の適切なトレーサビリティのために使用されるITシステム
さらに、これらの内部統制の主要要素を補完するために、グループ内で定期的な内部監査レビューが実施され、独立した統制が確保されている。
当グループは、サステナビリティ報告に関するリスクの評価を実施した。データポイントのレベルで実施されたこの評価は、固有のリスク(計算や処理の複雑性、手作業によるプロセス、データの推定精度、第三者のデータへの依存など、但しこれらに限定されない)及びデータ利用に関するその他のリスクのレベルを評価することを目的とした。
このリスクアセスメントの目的は、内部統制評価ガイドラインと関連する実施すべきアクションプランに優先順位をつけることである。
この評価に基づき、内部統制環境を強化するために講じられた主なアクションは2025年も継続された。
■ データの処理及び統合に携わる従業員に対する内部統制プロセスに関する研修。
■ データ収集と統合のための自動制御を含む情報システムの利用。
■ サステナビリティ・ステートメントの全体的な作成は、単一の統合ツールを使用して行われ、アクセス権と検証フローを管理できるようにした。
この全般的な内部統制環境を補完するために、主な潜在的特定リスク、とりわけデータの不均一性(2024年は新規則の最初の報告年である)や、手作業によるプロセスに起因するデータの完全性の問題に特に重点を置いてきた。
実施されたアプローチは、上記の内部統制の4つの主要な構成要素に従って、これらの潜在的なリスクを軽減する既存の内部統制プロセス及びシステムのレビューで構成される。このレビューには、必要に応じて内部統制アクションプランを策定することが求められる。特にテーマE1(気候)、S1(当グループの従業員)、E3(水管理)に重点を置いて適用され、今後数年間も継続される見込みである。必要と判断された場合、特定された統制はグループの内部方針及び手続きに組み込まれる。2025年、(a)データの検証及びアクセス制御、(b)標準化された手順及び研修、並びに(c)データの正確性及び整合性チェックに関する特定された管理措置は、当グループの内部方針及びプロセスに組み込まれた。
サステナビリティ・ステートメントの内部統制システムは、監査委員会によって管理されている。詳細は、「第5 提出会社の状況 3(1)コーポレートガバナンスの概要 ⑪ 取締役会の委員会 a.監査・会計委員会」を参照。
エ 戦略とビジネスモデル
(ア)エア・リキードのビジネスモデル
サステナブルな発展は財務と非財務を組み合わせたエア・リキードの戦略の中核をなしている。これは、2025年に終了した「ADVANCE」プランに具現化されている。
この計画には4つの柱がある。それは、将来に備えた強力な財務業績の実現、業界の脱炭素化におけるリーダーとしての行動、技術革新による進歩の促進、そしてすべての人のための行動である。
エア・リキードは、産業界の脱炭素化と低炭素社会の到来におけるリーダーとしての役割を確認する。エア・リキードグループは、2025年と2035年に2つの大きな中間ステップを経て、2050年までにカーボンニュートラルを達成することを約束する。さらにエア・リキードは、低炭素産業ガスの供給、産業プロセスの転換、CO2回収・利用ソリューションなど、顧客の排出量削減を支援するソリューションを提供している。
脱炭素化の目標を達成するためには、投資計画を脱炭素化の軌道に合わせる必要がある。各プロジェクトについて、投資決定は、以下の基準の見直しに基づいて行われる。
■ 顧客の事業所の環境負荷指標と原材料費
■ 温室効果ガスの排出量、その経済的影響、排出量削減のための解決策
■ 当グループの環境目標に対するプロジェクトの妥当性
■ 例えば水の消費量など、その他のサステナブルな開発基準
■ 気候変動に関連する物理的リスク
■ 汚職リスクへの曝露
詳細については、下記(2)イに記載されている。
エア・リキードのチームのイノベーション能力と技術的ノウハウにより、当グループは将来の主要部門の発展に貢献し、その地位を強化する予定である。
■ ヘルスケア事業では、患者にとっての生活の質と、医療システムにとっての最善のコストを組み合わせた価値ベースのアプローチが、社会の大きな課題に応えている。
■ エレクトロニクス事業では、デジタル、データ、人工知能による変革が事業の成長に寄与している。
■ 工業事業は、特にデジタル分野における新たな用途が成長の原動力となっている。
■ 水素モビリティ、特に大型モビリティでは、低炭素水素が重要な役割を果たす。
■ ハイテク
安全、倫理、人権は、いかなる行動においても前提条件である。加えて、当グループは、直接的な利害関係者の視点だけでなく、特に以下のような社会全体の視点も考慮している。
■ 従業員のコミットメントと能力開発を促進する。
■ 顧客や患者の声に耳を傾け、そのニーズにより適切に応える。
■ 株主との緊密な接触と質の高い対話を維持する。
■ 公益に関心を持つ、献身的な企業市民として行動する。
重要なリスクと機会に関する現在の財務的影響は、「第6 経理の状況 1(1)連結財務諸表」注記31に記載されている。
エア・リキードの戦略及びビジネスモデルの強靱力については、「第3 事業の状況1(2)経営計画及び中期目標」で述べられている。
最後に、地域別従業員数の内訳に関する情報は、下記(3)ア(ア)に記載されている。
(イ)事業分野
当グループの事業部門に関する情報は、「第2 企業の概況 3 事業の内容」に記載されている。
当グループが製造する主な分子とその主な用途例を、以下のインフォグラフィックにまとめた。
| N2 | O2 | Ar | Rare Gases | CO2 | CO | H2 | |
| エレクトロニクス事業 | ●□不活性化、パージ | ●酸化剤 | ●ウェハー製造、半導体プロセス | ●□エッチング、不活性化 | ■リソグラフィー、洗浄 | ●エッチング | ●成膜、リソグラフィー |
| 鉄鋼事業 | ●溶解、精錬及び直接還元鉄製造プロセス | ●ステンレス鋼の製造 | ■二酸化炭素回収・利用及び貯蔵 | ●熱処理、直接還元鉄製造プロセス | |||
| 精製事業 | ●■酸素濃縮、脱硫 | □漏洩検知 | ●■二酸化炭素回収・利用及び貯蔵 | ■脱硫、サステナブルな燃料 | |||
| 化学物質事業 | ●□不活性化、原料 | ●■酸化、水処理 | ■原料、二酸化炭素回収・利用及び貯蔵、反応物 | ■有機化学品の製造 | ●還元剤、原材料、低炭素エネルギー | ||
| ヘルスケア事業 | ○O2治療 | ||||||
| 食品・医薬品事業 | ●□冷凍、食品保存、不活性化 | ●■水処理、養殖 | □不活性化、食品保存 | ●炭酸ガス注入、食品加工、冷凍 | ●食品加工 | ||
| 自動車・製造事業 | ●熱処理、溶接、切断 | ●切断、電気バッテリーの製造 | ●溶接、熱処理、積層造形 | ●溶接 | ●熱処理 | ||
| 職人・小売事業 | □不活性化 | ●溶接、切断 | |||||
| 素材・エネルギー事業 | ●□不活性化、押出、石油・ガス回収 | ●燃焼、オゾン処理、鉱物処理 | ●精製及び大気保護 | ●照明、窓の断熱、光ファイバー製造 | |||
| テクノロジー及び研究事業 | ●分析、パージ | ●分析 | ●■分析 | ●□ドライアイス、分析 | ●分析、光ファイバー製造 | ||
| 低炭素モビリティ事業 | ●■低炭素燃料 | ||||||
●効率 ○ヘルスケア ■脱炭素化・環境 □セキュリティ
(ウ)バリューチェーン
バリューチェーンに関する情報を含むビジネスモデルは、「第2 企業の概況 3 事業の内容」に記載されている。
ダブル・マテリアリティ評価の一環として、エア・リキードはバリューチェーンの範囲を次のように定義した。
■ 事業活動の上流:Tier1のサプライヤーと協力会社(直接的なサプライヤー)まで。但し、Tier1を超えて調査する必要がある影響、リスク、又は機会が特定された場合はこの限りではない。この定義は、当グループのサステナブルな調達手順及びデュー・ディリジェンスのアプローチと一致している。
■ 事業活動の下流:顧客や患者に製品やサービスを提供するまで
エア・リキードのバリューチェーンには、これらの原則に従い、またグループの活動に照らして、特に以下の要素が含まれる。
■ 事業活動の上流:エネルギーや設備のサプライヤー、サービス・プロバイダーなどの直接的なサプライヤーである。
■ 自社の事業運営:ガス&サービス、エンジニアリング&テクノロジーの2つの事業部門は、各種ファンクションの支援を受けて、顧客や患者にサービスを提供するための販売チャネルを通じて事業を展開している。
■ 事業活動の下流:顧客及び患者、並びに当グループ製品の物流、配送及び供給に関与する第三者
エア・リキード製品の主な流通経路はパイプラインと道路輸送である。これらはエア・リキードが直接、又はエア・リキードの事業の下流で第三者が運営している。流通経路に関するさらなる詳細は、「第2 企業の概況 3 事業の内容」に記載されている。
電気、天然ガス、空気は生産部門が使用する主な投入物である。従って、これらの利用可能性はグループにとって不可欠である。より具体的には、エア・リキードの大型生産装置のほぼ85%は、燃焼プロセスを一切使用しない空気分離装置である。これらの装置では、空気を唯一の原料として使用し、空気分離に必要なエネルギーはほとんど電気の形で消費される。さらに、当グループはその活動において水に依存している。水の消費は、主に産業用ガス製造のための冷却過程における蒸発によるものである。また、水素などの製品製造において、水は原料としても使用される。エア・リキードグループの活動や、顧客の近くに事業所があることから、顧客もエア・リキードに水やエネルギーを供給する可能性があることに留意する必要がある。
電気と天然ガスの確保に関する課題は、「第3 事業の状況 3(2)リスク要因と管理手法」に記載している。水の確保に関する課題も、同箇所に記述がある。
(エ)利害関係者の関与
エア・リキードの主な利害関係者は、以下のとおりである。
従業員とその代表者
エア・リキードは、特に従業員、社会的パートナー、経営陣の間のオープンで継続的かつ建設的な社会的対話に基づき、魅力的な従業員体験を創造するよう努めている。エア・リキードの従業員及びその代表者については、下記(3)ア(イ)に詳述されている。
顧客と患者
エア・リキードは、その行動原則に沿って、お客様、サービスを提供する患者、そして患者をケアする医療従事者の絶えず耳を傾ける。エア・リキードの顧客と患者との協議の手順は、下記(3)ウ(ア)に詳述されている。
株主、投資家、ファイナンシャル・パートナー
エア・リキードは投資家及び株主と緊密な関係を維持し、サステナビリティに関する業績や進捗状況を定期的にモニタリングしたり、出版物やサステナブルな開発展開について期待することを尋ねたりするなど、さまざまな形で交流している。
サプライヤー
当グループは、サステナブルな開発手法を調達プロセスに取り入れることを約束する。エア・リキードには、約80,000社のTier1サプライヤーと協力会社がある。グループのサステナブル調達部は、サステナビリティ問題を含む2つの手順に基づき、サプライヤーとの関係を管理する責任を負っている。これらの手順及びサプライヤーとの関係管理については、下記(4)エ(ア)に記載されている。サプライヤー従業員の関心と意見の考慮に関するプロセスは、下記(3)イ(ア)に記載されている。
地域社会と市民社会
エア・リキードは、市民社会からの懇請に対応するためのプロセスを確立している。適切かつ必要な場合、当グループは、例えば気候変動や人権問題に関して、これらの団体の一部と構造的な対話を行い、場合によってはパートナーシップを結ぶ。
NGOとの関わりは、欧州・国際業務部が調整し、必要に応じて、サステナブル開発部門、人事部門、注意義務部門など他の部門の支援を受ける。
エア・リキードは、その行動原則に基づき、事業を展開する地域の経済的・社会的発展の一翼を担っている。当グループは、地域社会の権利、文化、習慣、価値観を尊重する。地域社会との対話は、これらの原則と施行されている規則に従い、子会社が現地で行う。
公共領域
公的機関や政策立案者との関わりは、サステナビリティの目標達成の一翼を担っている。当グループは、民間事業者がそれぞれの分野に関する専門知識や分析を公的な意思決定者と共有することで、公的な議論やイニシアチブに貢献することが重要であると考えている。このような貢献はエコシステム特有の特性に対する理解を深め、下された決定がサステナビリティ公約の達成に貢献することを保証する。
エア・リキードは、公的機関代表者とのすべての交流において透明性を保つことを約束する。そのため、エア・リキードグループは、公的機関が設置する作業部会や、特定分野を代表する専門家団体が主導する議論に参加している。エア・リキードが加盟している団体の立場が、当グループの立場と一致するよう、特に注意を払っている。サステナブルな開発に関しては、パリ協定を尊重することが不可欠である。公共領域との関係に関するさらなる詳細は、下記(4)オを参照。
利害関係者参画の成熟度の評価
2024年に完了したダブル・マテリアリティ評価に先立ち、外部コンサルタントがエア・リキードの上記の主要な利害関係者と対話する部門とのインタビューを実施した。このインタビューの目的は対話の頻度、対話のメカニズム、収集した情報の分析、関連するガバナンス機関との共有という4つの基準に基づいて、対話の成熟度を評価することであった。利害関係者の関与及び各部門の専門知識は、利害関係者の関心や意見を収集・代表し、グループのダブル・マテリアリティ性評価に反映させるのに十分であると判断された。さらに、サステナブルな開発部門と注意義務部門は、当グループの利害関係者が関心を持つテーマを継続的に監視している。
また、2024年には、外部コンサルタントは、顧客、サプライヤー、パートナー、競合他社のパネルに基づき、当グループのバリューチェーンで重要と思われるサステナビリティ問題の分析を行った。この分析の目的は、このパネルによって特定されたサステナビリティの課題を明らかにすることで、エア・リキードにとって重要と考えられるサステナビリティのトピックに関する議論に情報を提供することであった。
上記のコミュニケーションチャネルを通じて収集された情報、及び当グループのバリューチェーンにおいて重要と考えられるサステナビリティ・トピックの分析は、ダブル・マテリアリティ評価において考慮された。
さらに、先に述べたように、利害関係者との話し合いは継続的に行われ、エア・リキードの戦略定義において利害関係者の期待が考慮されている。2025年において、これらの期待に応えるために戦略やビジネスモデルを大きく調整する必要認められなかった。
取締役会への情報提供プロセスについては、「第5 提出会社の状況 3(1)⑩ 2024年における取締役会の活動実績」に記載されている。
環境社会委員会への情報提供の手順は、第5の3(1)⑪「d.環境・社会委員会」に記載されている。
オ 影響、リスク、機会
エア・リキードは、影響、リスク、機会(IRO)を特定し評価するため、ダブル・マテリアリティ評価プロセスを策定し、導入した。このアプローチは、当グループの既存のプロセス、特に影響の重要性を評価するための注意義務リスクマッピング、財務の重要性を評価するための当社のグローバルリスク管理システムに基づいている。2024年に実施された初期評価の基礎となったこの方法論については、以下の(1)オ(ア)から(エ)で説明する。
2025年、エア・リキードはレビューを実施し、同社に影響を与える外部要因(適用される規制、科学的コンセンサスなど)やビジネスモデル(新規事業の展開なし、連結範囲の安定)に著しい変化は見られなかったことを確認した。これに伴い、グループのリスクマッピングの年次更新においても新たな重要なリスクは明らかにならず、注意義務マッピングも安定した状態を維持している。その結果、また利害関係者から新たな課題が提起されていないこと((1)エ(エ)に記載)を踏まえ、エア・リキードは、IROの特定、関連性、又は重要性の評価に影響を及ぼすようなトリガーとなる事象は生じないものと判断した。したがって、当グループは2024年に実施されたダブル・マテリアリティ評価の結果を維持する。重要トピック及びそれに対応するIROについては、(1)オ(オ)に記載している。
(ア)ダブル・マテリアリティ評価に向けた事前作業
注意義務に関するリスクマッピングの手法は、UNGPやOECDの責任ある企業行動に関するデュー・ディリジェンス・ガイダンスといった国際基準で推奨されている手法に基づいている。
エア・リキードのリスク管理システムは、フランス金融市場当局(Autorité des marchés financiers)の参照枠組みに従って定義され、複数の部門(特に財務、サステナブルな開発、グループ管理及びコンプライアンス、法務及び安全、産業システム)の役割を統合することによって確立されている。2010年から実施されているこのシステムについては、第3の3(2)リスク要因と管理手法に詳しく記載されている。このシステムは、環境及び社会リスクを他のリスクと同じレベルで統合している。
上記のプロセスは、CSRDの期待に応えるために補足されたものである。
■ 注意義務リスクマッピングとリスクマネジメントシステムは、一方では負の影響、他方ではリスクにのみ関係する。したがって、注意義務リスクのマッピングに使用された基準は、プラスの影響を特定し評価するために適用された。機会は、以下の段落に記載されているように、ケースバイケースで特定・分析された。
■ これらの内部手続の範囲は、下記エ(ウ)「バリューチェーン」で定義されているように、当グループの活動及び上流のバリューチェーンを対象としている。このため、同項で定義されている川下のバリューチェーンまで対象範囲を拡大した。各IROの発生は、グループのバリューチェーンの中で位置づけられた。
■ 注意義務リスクマッピングとリスク管理システムの評価方法は、ダブル・マテリアリティ評価においてより高いレベルの粒度を得るために改良された。
ダブル・マテリアリティ評価は2段階で実施された。
① IROの特定
② 特定されたIROの重要性の評価
2024年、IROの特定と評価は、グループ・リスク管理部門が調整する、注意義務部門の支援を受けた専門ワーキンググループにより、グループレベルで一元化された。このワーキンググループは、様々なサステナビリティ事項の各機能及び事業の専門家の支援を受けて評価を実施した。ダブル・マテリアリティ評価に関与した部門は、リスク管理部門、注意義務部門、サステナブルな開発部門、人事部門、サステナブル調達部門、安全・産業システム部門、倫理部門、デジタル・セキュリティ部門、広報部門、財務部門、在宅医療事業部門である。
当グループは、ダブル・マテリアリティ評価の更新を必要とするトリガー事象がないことを確認するため、毎年レビューを実施している。さらに詳細なレビューの実施頻度は未定である。
(イ)影響、リスク、機会の特定
IROの特定は、欧州サステナビリティ報告基準第1条附属書適用要件16項(ESRS 1 AR 16)が提案するサステナビリティ事項の詳細リストに基づいて構成されており、エア・リキードのプロセスに存在するサステナビリティ事項の世界と一致している。エア・リキードとそのバリューチェーンに適用されるIROは、各トピック、サブトピック、サブ・サブトピック(以下、「トピック」という)の下にリストアップされている。また、ESRS 1 AR 16で提案されたバリューチェーンにおける労働者に関するトピックは、サステナブル調達の業務プロセスで使用されるテーマに対応するようにグループ化し細分化されている。IROを特定する際、当グループは、該当する場合、当グループの活動と事業展開地域の特殊性を考慮している。IROを特定するプロセスは本質的に反復的であり、最終的な結果が得られるまで、ダブル・マテリアリティを担当するチームと社内の専門家との間で中間レビューを行う必要がある。
悪影響の特定
人々や環境に対する実際の、そして潜在的な負の影響の特定は、注意義務のリスクユニバースに基づいている。かかる注意義務は、以下の点を考慮して構築されている。
■ 国際人権規約及び国際労働機関(ILO)の基本条約において国際的に認められている人権、及び
■ 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書など、自然の利益を合法的に代表する利害関係者が公表する環境データを考慮に入れた環境資源。
注意義務部門による、利害関係者や国際基準に関連する事項の継続的なモニタリングにより、必要に応じてリスクの全体像を更新することが可能となる。
それぞれの影響については、異なる次元の特徴がある。
■ 上記エ(エ)「利害関係者の関与」で提示されている、影響を受ける利害関係者には、国連グローバル・コンパクト(UNGP)及びOECDデュー・ディリジェンスの「責任ある企業行動に関するガイダンス」で助言されているような社会的弱者を含む。社会的弱者には、女性、子ども、若者、先住民、移民労働者、障害者、LGBTQ+、民族的・宗教的・文化的マイノリティが含まれる。
■ 上記エ(ウ)「バリューチェーン」で定義されている、当グループのバリューチェーンにおける位置づけ
■ 上記ア(イ)「開示に関する方法論的考察」に記載されている、影響の発生の時間軸
リスクの特定
リスクは、当グループのリスク・レポジトリに基づいて特定される。このレポジトリは毎年見直され、特に、新たなリスクの特定と仮定の位置付けに照らして見直される。これには、これらのリスクが顕在化する可能性のある時間枠の評価や、必要な事前対応策の提案も含まれる。その結果、当グループのリスク・レポジトリには、CSRDに記載された財務上の重要性に照らしてリスクがリストアップされている。
各リスクについて、さまざまな側面が特徴づけられている。
■ 上記エ(ウ)「バリューチェーン」で定義されている、当グループのバリューチェーンにおける位置づけ
■ 上記ア(イ)「開示に関する方法論的考察」に記載されている、リスク発生の時間軸
エア・リキードは、関連する場合、リスクの説明において、それが以前に特定された影響によるものか、依存関係により存在するものかを明記している。
機会とポジティブな影響の特定
ポジティブな影響と機会はエア・リキードの既存のプロセスではカバーされていないため、ワーキンググループは当グループの戦略とビジネスモデルのレビューに基づいてそれらを特定する。さらに、各テーマの専門部署や事業との協議により、課題の特定がより充実し、精緻化された。
ネガティブな影響やリスクと同様に、ポジティブな影響と機会はさまざまな次元で特徴づけられる。
■ 上記エ(ウ)「バリューチェーン」で定義されている、グループのバリューチェーンにおける位置づけ
■ 上記ア(イ)「開示に関する方法論的考察」に記載されている、ポジティブな影響と機会の発生の時間軸
■ ポジティブな影響の場合は、上記エ(エ)「利害関係者の関与」に示されているように、影響を受ける利害関係者
(ウ)特定された影響、リスク、機会の重要性の評価
行動原則
ESRS G1(事業運営)に含まれるトピックのいくつかは、エア・リキードの行動原則(当グループのウェブサイト
ネガティブな影響
ネガティブな影響の重要性の評価は、エア・リキードが注意義務のために確立したプロセスに基づいており、実際のネガティブな影響と潜在的なネガティブな影響を区別している。前者は、現在発生している、又は継続的に発生する影響を対象とする。従って、その重要性は影響の重大性に依存する。一方、潜在的なネガティブな影響とは、発生する可能性はあるがまだ発生していない影響、特に偶発的又は臨時的な性質の影響に関するものである。この場合、重大性と発生確率の両方が考慮される。
重大性は以下の3つの基準で定義される。
■ 規模の大きさ
■ スコープ
■ その影響の回復不可能な性質
注意義務に関するリスクマッピングの方法は、人権、環境、健康と安全という、フランス法に盛り込まれている問題ごとに定義された、4段階の定性的重大度評価尺度に基づいている。
発生確率の決定は、4段階評価による重大性と同様のアプローチに従う。潜在的なネガティブな影響は、影響度マトリクスを用いて評価される。このマトリクスは、重大性と発生確率のレベルを組み合わせたもので、前者が後者よりも優先される。
| 発生確率 | |||||
| 1 | 2 | 3 | 4 | ||
| 重大性 | 4 | 3 | 4 | 4 | 4 |
| 3 | 3 | 3 | 4 | 4 | |
| 2 | 2 | 2 | 2 | 3 | |
| 1 | 1 | 1 | 2 | 2 | |
エア・リキードは以下の重要性に関する基準値を決定した。
■ 重大性が3以上の場合、実際のネガティブな影響は重大であるが、発生確率は適用されない。
■ 重大性と確率の組み合わせが上記のマトリックスで3以上である場合、潜在的なネガティブな影響は重大である。
ポジティブな影響
実際のポジティブな影響と潜在的なポジティブな影響の評価は、ネガティブな影響について策定したものと同様である。
実際のポジティブな影響の重要性は、規模と範囲に依存し、潜在的な場合は確率によって補足される。ネガティブな影響と同じ方法で、これら3つの基準について4段階評価を行った。そして、以下のマトリックスを用いて、点数を組み合わせた。
| 発生確率 | |||||
| 1 | 2 | 3 | 4 | ||
| 規模と範囲 | 4 | 3 | 4 | 4 | 4 |
| 3 | 3 | 3 | 4 | 4 | |
| 2 | 2 | 2 | 2 | 3 | |
| 1 | 1 | 1 | 2 | 2 | |
ネガティブな影響の評価との整合性のため、エア・リキードはポジティブな影響の重要性の閾値を3以上と決定した。
リスク
リスクの重要性は、財務的影響の大きさと発生確率を考慮して評価される。エア・リキードでは、既存の業務プロセスに依存しながらこれらの要件を満たすため、リスクの重要性の評価を3つのステップで行っている。
■ ダブル・マテリアリティの観点から特定された各リスクは、当グループのリスク・レポジトリに存在するリスク分類に関連している。
■ リスクマッピングは、(当グループのリスク管理システムの意味における)影響度と確率に位置付けに基づくものであり、ダブル・マテリアリティ評価の目的のために、その位置付けを正確に反映させるために、2つの軸それぞれについて4つのレベルに分類されている。
- リスクの大きさ(0.75~6の範囲で設定可能)を求めるために、(当グループのリスク管理システムの意味における)影響のレベルに、当グループのリスクマネジメントシステムにおいて当該リスクについて特定された成熟度のレベルを0.75~1.5(0.75 - 卓越、1 - 成熟、1.25 - 発展、1.5 - 初期)の範囲で係数に従って加重する。
- 大きさのレベルに発生確率のレベルを乗じる。
12以上(最大24のうち)の評価を受けたリスクは、重要であると推定される。
■ この最初の結果は、社内の専門家にレビューされ、その専門家は、トピック及び関連するリスクに関するより詳細な知識に基づいて、重要性の推定を確認又は無効とした。その結果、重要でないと推定された事項の一部が、重要な事項として扱われることになった。
機会
リスクと同様、機会の重要性は、その財務的影響の大きさと発生確率を考慮して評価される。特定された機会の数は限られているため、その重要性の評価は、当該テーマに関する専門家の知見に基づき、ケースバイケースの分析に基づいて行われる。
(エ)内部統制とリスク・影響管理システムにおけるダブル・マテリアリティの統合
2024年、ダブル・マテリアリティ評価は、グループ・リスク管理部が調整し、注意義務部の支援を受け、様々なテーマの専門家を含む専門ワーキンググループによって実施された。上記オ(ア)「ダブル・マテリアリティ評価に向けた事前作業」に記載されているように、この評価は、当社の注意義務リスクマッピングプロセス及びリスク管理システムを含む既存の社内プロセスを活用して行われた。2024年及び2025年、評価結果は、執行経営委員会及び取締役会の専門委員会に提示された。この専門委員会は、ダブル・マテリアリティ評価プロセスを含むサステナビリティ情報の作成プロセスを監視し(監査・会計委員会)、他方で、重要なサステナビリティ・トピック、影響、リスク及び機会をモニタリングしている(環境・社会委員会)。
偏りのない評価を実施するため、タスクは「影響、リスク及び機会の特定」のステップと「評価」のステップに分けられた。これにより、当初から重要かどうかを考慮することなく、影響、リスク及び機会の網羅性を確保するようにした。この観点から、ワーキンググループは以下のガイドラインを設定した。
■ IROは、影響(ポジティブ又はネガティブ)、又は財務的影響(リスク又は機会)のいずれかに対応しなければならない。ある両方の側面に該当する場合、IROは、より詳細なレベルで、影響、リスク、又は機会とリンクさせる。
■ ポジティブな影響とは、ネガティブな影響の補償や防止に相当するものではなく、影響を受ける利害関係者に付加価値を提供するものでなければならない。
■ トピックのIROが特定できない場合、そのトピックは無関係と宣言される。
■ 影響、リスク、機会の評価は、当グループの業務プロセスとダブル・マテリアリティの整合性を確保するため、可能な限り既存のプロセス(主に注意義務及びリスク管理システム)に基づいて行う。
■ IROが重要であると評価された時点で、それに関連するサステナビリティのトピックは重要であるとみなされる。
(オ)ダブル・マテリアリティ評価の結果
| 財務的重要性 | 財務及び影響の双方の観点で重要 | 影響の重要性 |
| ・E1 エネルギー ・G1 公共領域との関係 | ・E1 気候変動の緩和 ・E1 気候変動への対応 ・E3水 ・S1 エンプロイアビリティ、人材及び能力管理 ・S1/S4 プライバシー保護 | ・S1 社会的対話 ・S1 職場でのウェルビーイング ・S1/S2/S4 健康と安全 ・S1 ダイバーシティ、インクルージョン及びハラスメント防止 ・S1 従業員の報酬と福利厚生 ・S2 労働条件 ・S2 強制労働と児童労働の防止 ・S4 (質の高い)情報へのアクセス ・G1 支払慣行 |
| 当グループの行動原則により重要 | ||
| ・G1 企業文化 ・G1 汚職及び賄賂(予防、訓練、インシデント) ・G1 サプライヤーとの関係管理 ・G1 内部通報者保護 | ||
ダブル・マテリアリティ評価の結果として導き出された重要なIROは、上記に公開する。まず、重要なトピックごとにまとめたインフォグラフィックの形式で、次に詳細なリストの形式で掲載する。また、これらは関連する各トピックの段落でも説明されている。
| バリューチェーンにおける位置づけ | |||||||
| トピック及びサブトピック IRO*の名称 | タイプ | 上流 | 自社運営 | 下流 | 時間軸 | ||
| 環境 | |||||||
| E1気候変動 | |||||||
| 気候変動緩和 | 気候変動の原因となる温室効果ガス(GHG)の排出 | I- | ✓ | ✓ | ✓ | S, M, L | |
| 新たな低炭素技術の開発を含む脱炭素化を通じた、環境と人へのプラスの影響(排出削減効果) | I+ | ✓ | ✓ | M, L | |||
| 新規顧客層の開拓と新規事業の開発 | O | ✓ | ✓ | M, L | |||
| 技術競争力及び低炭素技術の市場浸透に関連するリスク | R | ✓ | M | ||||
| 気候変動に関する規制や国際基準の動向、及びそれに関連する利害関係者の期待から生じるリスク | R | ✓ | S, M | ||||
| エネルギー(気候変動緩和における) | エネルギーのコストと供給状況、現在消費されている脱炭素化されたエネルギー及び原料、並びにエネルギー転換に関する政策や規制に起因するリスク | R | ✓ | ✓ | S, M, L | ||
| 気候変動への適応 | 急性又は慢性のリスクによる業務への物理的影響に起因する生産の混乱 | R | ✓ | ✓ | L | ||
| 物理的リスクによる顧客の生産停止に伴う産業用ガスの需要減少 | R | ✓ | M, L | ||||
| 慢性的なリスクによる労働環境の悪化 | I- | ✓ | ✓ | ✓ | S, M, L | ||
| E3水及び海洋資源 | |||||||
| 水 | 水ストレス地域における取水と消費は、生態系や地域社会との間で水をめぐる対立を引き起こす可能性がある | I- | ✓ | ✓ | M, L | ||
| 水利用に関する規制上の制約 | R | ✓ | M, L | ||||
| 水不足、特に水ストレスを抱える地域では、生産の停滞やコスト増につながっている | R | ✓ | M, L | ||||
| 社会 | |||||||
| S1自社従業員 | |||||||
| エンプロイアビリティ、人材及び能力管理 | エア・リキードの転換計画に基づき、よりサステナブルな仕事に向けた従業員のスキル開発を支援する | I+ | ✓ | M, L | |||
| 高い離職率や従業員の資質不足により、業務の質や効率が低下するリスク | R | ✓ | S, M | ||||
| 社会的対話 | 地域や法的な状況の相違による社会対話の欠如、あるいはその水準の低さ | I- | ✓ | S | |||
| 健康と安全 | 従業員の健康、安全、及びセキュリティに対する潜在的な内的及び外的要因 | I- | ✓ | ✓ | S | ||
| ダイバーシティ、インクルージョンと及びハラスメント防止 | 人事プロセスにおける潜在的な偏見、あるいは職場での差別、ハラスメント、暴力といった事案に従業員がさらされること | I- | ✓ | S, M | |||
| 従業員の給与と福利厚生 | 国によって従業員間に生じうる、報酬や福利厚生(適正な賃金や男女間の賃金格差を含む)に関する格差 | I- | ✓ | S, M | |||
| 従業員に対し、地域の義務を超える社会福祉保障を提供する | I+ | ✓ | S | ||||
| 職場でのウェルビーイング | 労働時間の過長や過重な業務負荷、心理社会的リスク、及び職業病による労働者の健康、ワークライフバランス、エンゲージメントの悪化 | I- | ✓ | S, M | |||
| 働き方を変革するデジタル化と急速な技術発展は、従業員の習慣や適応能力に課題をもたらす可能性がある | I- | ✓ | S, M | ||||
| リモートワークなど、業務形態のデジタル化と変革 | I+ | ✓ | S, M | ||||
| プライバシー保護 | 従業員のプライバシーの侵害、及び差別的又は不当な目的での禁止されている個人データの利用 | I- | ✓ | S | |||
| 従業員の個人データ漏洩に伴う法的及び評判リスク | R | ✓ | S, M | ||||
| S2バリューチェーンにおける労働者 | |||||||
| 健康と安全 | サプライヤーの従業員の健康と安全に悪影響を及ぼす労働災害や職業病 | I- | ✓ | S | |||
| 欠陥のある機器や製品の納入により、顧客の従業員の健康に影響を及ぼす恐れがある | I- | ✓ | M | ||||
| 労働条件 | エア・リキードのサプライヤー従業員の労働条件の悪化。その要因としては、雇用の不安定さ、過度な残業、不十分な報酬、心理社会的リスク、あるいは職業病などが挙げられる | I- | ✓ | S, M | |||
| バリューチェーンにおける内部通報制度へのアクセスが限定的であること、及びそれに伴う労働者への救済措置や保護 | I- | ✓ | S | ||||
| 強制労働と児童労働の防止 | バリューチェーンにおける、強制労働や児童労働につながる不公正な雇用条件 | I- | ✓ | S | |||
| S4消費者及びエンドユーザー | |||||||
| プライバシー保護 | 患者のプライバシーの侵害。これには、差別的又は虐待的な目的で個人情報や健康データを利用することが含まれる | I- | ✓ | ✓ | S | ||
| 患者の個人データ漏洩に伴う法的及び評判リスク | R | ✓ | S, M | ||||
| (質の高い)情報へのアクセス | 規制に準拠しつつ、製品の使用方法や患者の病状に関する、有用で理解しやすく、患者のニーズに合わせた情報を提供する | I+ | ✓ | ✓ | S | ||
| 健康と安全 | 患者への安全でない、あるいは不適切な製品の提供 | I- | ✓ | ✓ | M | ||
| ガバナンス | |||||||
| 企業文化 | 従業員がエア・リキードの行動指針又は行動規範を遵守しなかったことにより、法的損害又は評判の毀損が生じる恐れがある | R | ✓ | L | |||
| 内部通報者保護 | 内部告発者に対する保護の欠如や報復の恐れ | I- | ✓ | S | |||
| 内部通報者の保護に関するものを含む法的義務の違反の恐れがあり、グループが制裁措置や評判の失墜にさらされる恐れがある | R | ✓ | M | ||||
| 汚職及び賄賂 | 腐敗防止及び贈収賄防止法への違反が生じた場合、エア・リキードは請求、制裁、及び評判の毀損にさらされる恐れがある | R | ✓ | M | |||
| サプライヤーとの関係管理 | サプライヤーによる環境面及び倫理面での悪影響への対応を怠ること | I- | ✓ | S | |||
| サプライチェーンの混乱及びサプライヤーへの悪影響に起因する訴訟リスク | R | ✓ | S, M | ||||
| 支払慣行 | 支払いの遅延は、中小サプライヤー(SME)の資金繰りを危険にさらし、破産につながる恐れがある | I- | ✓ | S | |||
| 公共領域との関係 | アドボカシーに関連するリスク。これには、予期せぬ規制の変更や、グループの評判を損なうような慣行などが含まれる | R | ✓ | M | |||
I-:マイナスの影響;I+:プラスの影響;R:リスク;O:機会;S:短期;M:中期;L:長期
*2024年の報告書における62の重要なIROから、本表で提示されている41の重要なIROへの変更は、あくまでテーマ別のグループ分けによるものである。この変更は、情報の網羅性を維持しつつ、明瞭さを高めることを目的としている。
重要であると特定されたサステナビリティのトピックに基づき、当グループは欧州企業サステナビリティ・レポーティング指令(CSRD)が要求する情報を特定した。情報の重要性は、サステナビリティ・ステートメントの利用者の意思決定におけるこの情報の有用性とともに、関連するトピックに関するこの情報の関連性を考慮して、社内の担当専門家が各トピックのレベルで評価した。
重要なトピックに関連する少量の情報は、情報の観点から重要でないと判断された。そのような情報は、以下のテーマに関するものである。
■ 再生可能な電力生産
■ 炭素クレジットと炭素排出削減
■ 内部炭素価格メカニズムがカバーする温室効果ガス排出量の割合
■ 貯蔵水
■ 労働時間が保証されない労働者
■ 業務に関連した事件に起因する罰金及び罰則の金額
(2)環境情報
ア ヨーロッパタクソノミー
(ア)タクソノミー規則
欧州連合(EU)のタクソノミー規則(EU規則2020/852、2020年6月22日公布)は、科学的根拠に基づき、経済活動のリストと、当該活動が環境的にサステナブルであると認定される技術的基準を定義した。同規則の内容の全ては下記ウェブサイトにおいて確認できる。
よくある質問は下記ウェブサイトにて確認できる。https://finance.ec.europa.eu/sustainable-finance/tools-and-standards/eu-taxonomy-sustainable-activities\_en#faqs
同規則は、投資家が、選択した経済活動が気候や環境に大きなプラスの影響を与えるプロジェクトや条件を特定するための共通言語として機能する分類システムを構築した。2050年までにEUを気候ニュートラルにすることを目指した転換の一環として、投資家や上場企業、金融機関、EUのプロジェクトスポンサーが、環境的にサステナブルな活動に投資を向けることを支援するツールである。
活動の初期リストは、2017年にEUの直接的な温室効果ガス排出量の93%以上を生み出した9つのマクロセクターに焦点を当てて設定された(OECD)。
タクソノミー規則に記載されている活動は、「適格活動」と呼ばれている。これらの活動は、直接的な温室効果ガス排出の主な原因である一方、炭素排出量の改善される可能性も持っている。そのため、組織の適格性パーセンテージは、それだけではサステナビリティへの影響を測る指標とはならない。
経済活動は、タクソノミー規則で3つのカテゴリーに分けられている。
■ 技術的基準が気候ニュートラルに準拠し、世界レベルで気温上昇を1.5℃に抑える(すなわち、2050年までに正味ゼロ炭素経済を達成する)パフォーマンスレベルに言及している活動
■ 過渡的な活動で、当面低炭素の代替手段がなく、温室効果ガスの排出レベルがそのセクターや産業における最高のパフォーマンスと同程度であるもの
■ 炭素効率を改善する、又は排出量の大幅な削減を促進する活動を可能にするもの
主要要素 2025年において、エア・リキードは、委任規則2026/73により新たに導入された重要性閾値原則を適用している。詳細な分析の結果、売上高及び設備投資に関する主要業績指標については、水素製造事業(CCM 3.10)のみが「重要」とみなされている。 さらに、本年においてエア・リキードは、委任規則2021/2178(委任規則2026/73により改正)に基づき、営業費用に関する主要業績指標の公表免除を適用している。 2025年度のタクソノミー規則適格売上高は21億ユーロ(連結総売上高の7.7%相当)であり、重要性の原則の適用に伴い修正再表示された2024年度の21億ユーロ(連結総売上高の7.8%相当)と同水準を維持した。 この変化は、主にエネルギーの影響によるものであり、若干ではあるが、水素製造事業に悪影響を及ぼしている為替の影響によるものである。 ■ 1つ以上の環境目標に実質的に貢献する。 ■ 他の5つの環境目標のいずれにも重大な悪影響を与えない。 ■ 最低限の保護措置に従って実施される。 2025年度には、タクソノミーに整合する売上高は1億ユーロ(連結総売上高の0.2%、適格売上高の3.0%に相当)であったが、2024年度には1億ユーロ(連結総売上高の0.2%、適格売上高の2.3%に相当)であった。この傾向は主として、タクソノミー整合基準を満たすプロジェクトの稼働開始によってもたらされており、その結果、適格売上高に占める整合売上高の割合が増加している。 「非適格」と呼ばれるタクソノミーの非適格の事業からの売上高は合計23.1億ユーロ(連結売上高全体の85.6%に相当)で、特に酸素の製造と在宅医療事業が含まれる。 これらの売上高に関連する比率は、既存の生産部門の状況を表している。しかしながら、エア・リキードは、下記「イ 気候:温室効果ガス排出」に記載されている「気候移行計画(Climate Transition Plan)」を策定しており、この計画は3つの脱炭素化手段に基づいている。そのうちの2つは、タクソノミー指標では十分に反映できない。実際、当グループの事業の大半はEUタクソノミー上非適格であり、特に、空気ガスの生産に由来する事業や在宅医療事業は、温室効果ガスの直接排出がほとんどないためである。 しかしながら、水素ユニットやコジェネレーションの脱炭素化に関連する投資、低炭素水素や再生可能水素への成長投資、CO2回収・輸送チェーンへのグループ投資は、可能な限り整合基準を満たすことを目的として、ほとんどがEUタクソノミーにおいて適格となる。2024年の55.8%に次いで2025年には69.8%となっている。とはいえ、EUタクソノミーにいうCapEx(設備投資)計画とみなされるものではない。
(イ)方法論
重要性原則の適用
重要性閾値
2025年7月4日付の委任規則2026/73は、非金融企業に対し、主要業績指標に対する累計寄与が当該指標の10%未満である非重要な活動について、その評価を行わないことを選択できるよう認めている。この重要性閾値は、適格性及び整合性の双方に適用され、各指標ごとに独立して適用される。
この原則を適用するため、エア・リキードは、自社の非重要な活動を特定するための多層的なスクリーニング手法を導入している。
2025年に実施したこの評価の結果、売上高及びCapEx(設備投資)については、水素製造事業(CCM 3.10)のみが重要と判断されている。
営業費用(OpEx)の重要性
タクソノミー規則に基づき定義されるOpExは、グループの営業費用全体に比べてはるかに限定的な範囲を対象としている。これらのOpExは、2025年において4,504.6百万ユーロであった。OpExに係るKPIに関連する損益計算書上の項目は、「仕入高」、「人件費」及び「その他費用」である。これらのOpExには、以下が含まれる。
■ 売上高KPIに含まれる製品の生産に必要な以下の費用の性質に関連する直接費用:保守に関する人件費、外注保守費用及び据付費用、不動産及び輸送設備の賃借・リース費用、並びに保守に関連する材料購入費用
■ 環境目標への貢献活動に直接関連する費用(例えば、研究開発に係る資本化されていない直接費用、又は適格活動に関連するコンサルティング費用)。例としては、気候変動適応目標の下における活動9.3「物理的気候リスクの管理及び適応に関するコンサルティング」が挙げられる。
委任規則2021/2178(委任規則2026/73により改正)は、当該指標が企業のビジネスモデルに照らして重要でない場合には、営業費用指標の非公表を認めている。この規定に従い、エア・リキードは本指標を公表しないことを選択した。タクソノミーの意味における適格OpExの定義は限定的であり、再生可能エネルギーの購入など、グループの脱炭素戦略に係る構造的な営業費用を除外しているため、本指標はエア・リキードのビジネスモデルに照らして重要ではない。そのため、この指標を公表した場合、グループのサステナブルな成長に向けた取り組みを適切に反映しないものとなる。
主要業績評価指標(KPI)
連結財務諸表に従い、2つのKPIに関連する数値は百万ユーロ単位で記載されており、外貨への換算は財務情報の作成に使用されたものと同じ方法に従い、同じ為替レートを使用して行われている。
■ 売上高:最初のタクソノミーのKPIは、損益計算書の「収益」の項目で決定され、財務諸表に公表されている外部売上高(グループ内売上高を除く)に基づいて、対象となる活動別及び施設別に計算される。施設別の売上高がEUタクソノミーの意味での活動別に入手できない場合、事業体は、各施設が納入する製品ごとの数量に基づく比率を適用する。売上高は、IFRS第15号基準で定義される顧客との契約からの収益に対応する。
■ 設備投資(CapEx):2番目のタクソノミーのKPIには、当グループの財務諸表に連結されている企業又は事業の取得につながる企業結合に起因するものを含め、対象期間中に完了した有形固定資産及び無形資産の取得が含まれる。これらの追加資産は、減損、減価償却、及び再評価の前に考慮される。これは投資の内部管理に基づいて計算される。300万ユーロを超える投資決定は個別にモニタリングされ、300万ユーロ(ラージ・インダストリー事業投資の場合は500万ユーロ)を超えるすべての決定は、資源・投資委員会にそのタクソノミーの特徴を説明することが義務付けられている。これらの投資決定に関連する設備投資は、プロジェクトごとにモニタリングされる。300万ユーロ未満の設備投資は、事業所ごとにモニタリングされる。財務諸表のCapEx KPIに対応する行は、注記11「その他の無形資産」の「取得」及び「企業結合での取得」欄の「無形資産合計」行、及び注記12「有形固定資産」の「取得」及び「企業結合での取得」欄の「有形固定資産合計」行に含まれている。
適格性と整合性基準
以下に示す情報は、6つの環境目標に対して特定された活動を考慮したものである。(2025年においては、水素製造事業のみがタクソノミー規則の下で「重要」とみなされている。)
個々の改善策は、CapExの適格KPIとみなすために、分析される。当グループは、以下の方法論に基づいて整合性基準を評価した。
■ 実質的貢献:この基準は各活動に固有のものであるため、当グループは、事業活動の過程で収集された内部データに基づき、各施設に適用される活動ごとのアプローチを採用した。主な適格活動である水素の製造については、各施設が事前審査を受け、連携する可能性のある事業所を特定し、特にEUタクソノミー規則に従って水素の炭素排出量を計算することにより、連携評価を実施した。
■ 重大な損害を与えない:評価は、実質的な貢献の基準を満たす潜在的な関連施設や投資プロジェクトごとに実施され、特に当局が発行した環境許認可や環境影響評価に依拠した。
■ 最低限のセーフガード:評価は、(i)労働法を含む人権、(ii)汚職防止、(iii)課税、(iv)公正競争の4つの側面を対象とした。同評価は、以下のものに依拠している。
- 行動規範、EthiCall内部通報制度、当グループのサステナブルな調達方針、注意義務計画、 汚職防止及び公正競争に関する措置、税務リスク管理方針など(但しこれらに限定されない)、当グループが適用するプロセス。人権と汚職防止に関しては、評価はサプライチェーンを網羅している。
- 4つの側面に関連する深刻な悪影響や事象がないこと(特に深刻な違反や有罪判決がないこと)を確認した。
評価において十分な証拠が得られない場合、当グループは保守的なアプローチを採用し、適格活動を整合していないものとみなした。
また、水資源と海洋資源のサステナブルな利用と保護、生物多様性と生態系の保護と回復を目的とした活動の対象とは認定されていない。
(ウ)タクソノミー主要業績評価指標(KPI)
以下では、タクソノミーの主要業績評価指標の各項目について、その適格性と整合性比率を説明する。
| 比率(%) | 売上高 | 設備投資 |
|---|---|---|
| KPI-適格活動 | 7.7% | 13.6% |
| KPI-整合した活動 | 0.2% | 9.5% |
| 整合/適格活動の割合 | 3.0% | 69.8% |
エア・リキードの適格活動は、当グループの活動のごく一部である。これは、エア・リキードの売上高の大半が、グループの範囲内でほぼ直接的な温室効果ガス排出を伴わない事業活動から生み出されていることを反映している。
詳細な分析の結果、売上高及び資本的支出に関する主要業績指標については、水素製造事業(CCM 3.10)のみが「重要」とみなされている。
「非重要」と評価された活動(連結売上高全体の6.7%、グループの設備投資の2.7%に相当)は以下のとおりである:
■ グループ外顧客向けの工業用設備及び装置の設計・建設(特に空気ガス分離装置、水素製造・精製装置)、並びに炭素回収技術の開発
■ 水素ステーションの設計、海事産業向けのあらゆるガス供給を対象としたマルチモーダルかつサステナブルなソリューションの開発、並びにディープ・テック、ロケット打上機、衛星、国際共同研究プロジェクト及び量子コンピューティング向けの革新的な装置及び技術の開発
■ アセチレン、バイオガス、医療用亜酸化窒素の製造、並びにコジェネレーションによる生産
■ 水素の貯蔵、化石ガス燃料による発電、再生可能な非化石ガス燃料及び液体燃料による発電、太陽光発電技術を用いた発電、既存建物の改修、温室効果ガス排出削減のためのデータ駆動型ソリューション及び市場近接型の研究・開発・イノベーション
売上高
2025年において、EUタクソノミー上の適格売上高は水素製造事業(CCM 3.10)に対応し、金額は2,080.9百万ユーロ、総売上高の7.7%を占める。EUタクソノミー上の整合売上高は、2025年において62.0百万ユーロであり、総売上高の0.2%、適格売上高の3.0%に相当する。なお、2024事業年度の適格売上高は、重要性閾値を適用せずに公表されていたため、現在では非重要とされる活動を含んでいる。このため、適格性比率及び整合性比率、並びに適格売上高に占める整合売上高の割合についての概要を以下に示す。この概要には、重要性閾値の適用を踏まえて再表示した2024事業年度のデータが含まれている。
| 売上高の比率(%) | 2024 公表ベース | 2024重要性の評価に基づき修正 | 2025 |
|---|---|---|---|
| KPI-適格活動 | 11.8% | 7.8% | 7.7% |
| KPI-整合活動 | 0.5% | 0.2% | 0.2% |
| 整合/適格活動の割合 | 4.3% | 2.3% | 3.0% |
適格売上高の変動は主としてエネルギー要因によるものであり、加えて程度は小さいものの、為替要因も水素製造事業に不利な影響を与えている。
水素製造から生じる整合売上高は、主として低炭素負荷の製造ユニットによるものである。エネルギー要因を除けば、低炭素負荷の水素に対する需要の増加に伴い、整合水素売上高は増加する見込みである。この動きは、産業や輸送などの分野における温室効果ガス排出削減の重要な手段として、水素の新たな利用を促進する政策及び規制の枠組みの導入によって支えられている。
設備投資(CapEx)
設備投資は、上記「(イ)方法論」で定義されており、2025年度中の適格活動に対して発生した適格活動に係る資本的支出を対象とするが、その投資判断は2025年度中又はそれ以前に行われたものに起因する。2025年度における適格設備投資は水素製造事業(CCM3.10)に対応しており、567.3百万ユーロ、すなわちグループの資本的支出総額の13.6%を占めている。整合設備投資は395.8百万ユーロであり、2025年において総設備投資の9.5%及び適格設備投資の69.8%を占めている。なお、2024年度の適格設備投資は、重要性閾値を適用せずに公表されていたため、現在では非重要とされる活動が含まれている。このため、適格性比率及び整合性比率、並びに適格設備投資に占める整合設備投資の割合の概要を以下に示す。この概要には、重要性閾値の適用を踏まえて再表示した2024年度のデータが含まれている。
| 設備投資の比率(%) | 2024 | 重要性閾値の適用を踏まえて再表示した2024 | 2025 |
|---|---|---|---|
| KPI-適格活動 | 15.1% | 12.2% | 13.6% |
| KPI-整合活動 | 6.9% | 6.8% | 9.5% |
| 整合/適格活動の割合 | 45.4% | 55.8% | 69.8% |
エア・リキードは、上記「(2)気候:温室効果ガス排出」に記載されている脱炭素化計画を策定しており、この計画は3つの脱炭素化のための方策に基づいている。これらのうち少なくとも2つの方策は、タクソノミーの指標では完全に反映することができない。実際、当グループの活動の大半、特に空気ガスの由来する活動や在宅医療事業は、直接的な温室効果ガスの排出がほとんどないため、タクソノミーの適格外である。しかしながら、水素ユニットやコジェネレーションの脱炭素化に関連する投資、低炭素水素や再生可能水素への成長投資、CO2回収・輸送チェーンへの当グループ投資は、可能な限り整合性基準を満たすことを目的とし、欧州のタクソノミーのもとではほとんどが対象となる。とはいえ、EUタクソノミーにいう設備投資計画とはみなされない。
規制に関する情報
サステナブルな債券発行の場合の主要業績指標の調整
2021年5月、当グループは初のグリーンボンドを発行した。発行額は5億ユーロ 、償還期限は10年である。2021年サステナブル資金調達フレームワークでは、発行日から2年間を資金全額配分期間とし、発行日の3年前までをリファイナンス期間としている。この発行により21のプロジェクトが資金調達され、うち14件がタクソノミー適格活動に関連するものであった。
2024年サステナブル資金調達フレームワークに基づき、当グループはそれぞれ5億ユーロ、償還期限10年のグリーンボンドを2回発行している。すなわち、1回目は2024年5月に発行され、6件のプロジェクトの資金調達に充当されており、そのうち3件はタクソノミー上の適格活動である。2回目は2025年3月に発行され、6件のプロジェクトの資金調達に充当されており、うち3件はタクソノミー適格活動に関連したものである。2024年サステナブル資金調達フレームワークに従い、調達資金の配分は発効日から2年以内に完了する必要があり、また、当該日の2年前までをリファイナンス期間としている。本書作成時点において、2025年3月発行分の資金配分は完了しているが、まだ監査は実施されていない。
これら3回の発行については、当グループのウェブサイトに詳細が記載されている。
https://www.airliquide.com/investors/credit-investors/ sustainable-finance
以下の表は、2021年、2024年及び2025年の排出権により資金調達されたプロジェクトを調整比率から差し引くことで、調整後の主要業績指標を示したものである。これら2つの指標の比率は、公表ベースの合計(A+B)を分母として計算された。
2025****年
| A.1.環境持続可能な活動(タクソノミーに整合) | ||||
| 公表ベース | 調整後 | うち実現活動 | うち移行活動 | |
| 売上高 | 0.2% | 0.2% | ―% | ―% |
| 設備投資 | 9.5% | 2.6% | ―% | ―% |
2024****年
| A.1.環境持続可能な活動(タクソノミーに整合) | ||||
| 公表ベース | 調整後 | うち実現活動 | うち移行活動 | |
| 売上高 | 0.5% | 0.4% | 0.2% | ―% |
| 設備投資 | 6.9% | 1.2% | ―% | ―% |
イ 気候:温室効果ガス排出
(ア)はじめに
気候戦略
気候変動緩和のためのエア・リキードの移行計画
エア・リキードは、2021年3月に開催されたサステナブルな開発デーにおいて、初めて気候変動戦略を公表した。この機会に、当グループは、気候変動対策の目標とその達成のために動員される手段を提示し、この気候変動戦略が当社の戦略にどのように適合するかを示した。その後、気候変動戦略は、2022年3月に公表されたグループの戦略プラン(ADVANCEプラン)に組み込まれた。
気候変動戦略の実施状況や気候変動対策の目標は、当グループの経営陣やガバナンス機関、社外の利害関係者に定期的に報告され、これらの者からの意見を求めたりこれらの者の質問に答えたりしている。2024年、当グループは利害関係者により広く伝えるため、当グループの気候戦略を統合・更新した「気候移行計画」と名付けた文書を採択・公表した。
当グループの移行計画は、2025年度の売上高の97%を占める「ガス&サービス」セグメントをカバーしており、 当グループ経営陣によって見直され、承認された。同計画は、取締役会の専門委員会である環境・社会委員会で検討され、2024年7月25日に開催された取締役会において主要な概要が提示された。ESRS E1、E1-1章に関する移行計画を含む本サステナビリティ・ステートメントは、2026年2月19日の取締役会において採択された。
エア・リキードは気候変動の緊急性を認識しており、当グループはパリ協定(1)の実行に参加するよう努めている。これは、IPCC(2)が推奨するとおり、21世紀半ば頃までに、ネットCO2排出量ゼロの状態を達成することを意味する。当グループは、2050年までに事業展開するすべてのバリューチェーンにおいて、経済活動の各分野と地域における大気中のCO2排出量の大幅な削減として理解されるカーボンニュートラルを実現するため、顧客の脱炭素化を支援し、スコープ1、2、3をカバーしつつ、当グループの製品とソリューションが顧客の排出量に与えるポジティブな影響を統合して、その達成に貢献することを誓約する。当グループの意図は、オフセット手段の使用を最小限に抑えることである。現在のところ、当グループは2035年の目標を達成するためにカーボン・クレジットを使用する予定はない。例えば、今日まで、当グループはCO2排出量を管理するためにカーボン・クレジットを使用していない。
(1) 当グループは、グローバルな温室効果ガス排出量削減に向けた取組と並行して、本計画に従い、他の持続可能性目標の達成にも積極的に取組んでいる。これらの取組についてはここでは詳述しないが、本章5章の他のセクションに記載されている。
(2) 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の特別報告書 1.5℃の地球温暖化(SR-15、2018年)。
カーボンニュートラルへの移行に取り組む中、多くの産業が大きく姿を変え、エア・リキードの歴史的製品である水素、空気ガス、CO2に対する新たなニーズが生まれるものと考える。その結果、エア・リキードはオペレーションと技術的専門知識を提供することで、重要な役割を果たすことになる。
■ 大量の低炭素産業ガス(低炭素燃料、化学品、鉄鋼など)を必要とする、既存顧客の低炭素プロセスへの移行を支援する。
■ 産業ガスを主要プロセスで現在使用していない業界(モビリティ、セメント、石灰など)の脱炭素化ニーズに対応する。
この間も、当グループが提供する低分子化合物やソリューションを活用して、医療分野及びこれらのソリューションを必要とする多くの産業の二酸化炭素排出量を削減するため、より高い効率性を継続的に追求してきた。
このファシリテーターとしての役割を果たすために、当グループは以下の点を手掛かりとすることができる。
■ 顧客との距離が近く、地理的にバランスの取れた存在であること。
■ 産業プロセスを脱炭素化するための技術ポートフォリオを提供し、移行による1.5℃目標における競争力のある排出削減を可能にすること。
■ そのマーケット知識と専門性により、2035年までにエネルギー転換分野で多くの投資機会が見込まれていること。
当グループのソリューションとビジネスモデルは、既存資産の脱炭素化を実現し、低炭素資産基盤を構築することで、移行リスクを効果的に管理しつつ、成長機会を捉えることを可能とする点に留意することが重要である。その結果、脱炭素化への投資は当グループの成長を促進し、当グループの顧客に経済的・環境的価値をもたらすことで、 経常的営業利益をさらに生み出すことになる。本移行計画は当グループの戦略に不可欠な要素であり、これは戦略プランADVANCEにおいて2025年頃のCO2排出量削減目標(スコープ1及び2)を2022年に設定したことにより示されているが、この目標は現在すでに達成されている。
パリ協定により、世界中の署名国は「世界の気温上昇を産業革命前の水準比で2℃をはるかに下回る水準に抑え、さらに1.5℃に抑えるための努力を継続し、世界の温室効果ガス排出量を大幅に削減する」ことを約束した。この約束は、2050年までに排出される温室効果ガスの純排出量の最大値(カーボンバジェット)を見積もり、その年間純排出量をゼロにし、総排出量を少なくとも90%削減するものである(IPCCの勧告の解釈に沿ったものである)。「1.5℃適合」の軌道を地球から特定の企業に転嫁することは、複雑な課題となっている。
すべての地域と業界が同じ削減曲線に従うという強力な規範的アプローチは適切ではない。それどころか、カーボンニュートラル移行シナリオは、地域や業界によって異なる軌道を強調する。特に、化学部門に適応したこの種の軌道はなく、産業ガスであればなおさらである。
エア・リキードの炭素排出量予測には、さらに2つの特徴がある。一方では、当グループの成長は、特に短期的には炭素集約的な1.5℃軌道を持つ新興経済圏の重工業分野で達成されている。一方、エア・リキードは、特定の産業活動の排出量を大幅に削減するソリューションを提供しているが、削減プロジェクト実施後の残排出量が当グループによって報告されることもあり、地球レベルで見ると結果的には削減となるにもかかわらず、当グループの炭素排出量は増加する。当グループが提供する気候面の便益は、重要な要素であるにもかかわらず、気候変動対策の目標の適合性の分析において、現在のところ考慮されていない。当グループのカーボンニュートラル目標には、これら2つの力学が組み込まれている。そのため、一般的な平均的方法論で評価すると、エア・リキードの取組意欲のレベルや、1.5℃目標との適合性を過小評価する傾向がある。
2050年のカーボンニュートラルに向けた道のりはまず初めに、2025年頃に転換点を迎え、2035年には2020年比でスコープ1と2の排出量を33%削減することを含む、事業活動からの排出量の目標(スコープ1と2)に基づいている(1)。2021年に目標が発表されたため、基準年として2020年が選ばれた。この年は新型コロナ感染症の大流行により当グループの活動が若干減少したものの、代表的な年であると考えられる。2025年(転換点)と2035年(スコープ1と2の排出量を33%削減)の目標があるため、当グループは2030年のクロスポイントを正式に決定していない。エア・リキードは、当グループがサービスを提供する複数の市場の脱炭素化という課題と以下の理由を考慮し、この炭素排出量は1.5℃の目標と両立すると考えている。
■ これは、化学や重工業 の「脱炭素化しにくい」性質によるものである。これらの業界は、1.5℃目標において、世界平均よりも遅いペースで脱炭素化が進むことが認識されている(2)。これは、これらの業界における脱炭素化プロジェクトの開発と実施には時間がかかり(3)、また、他の業界、特に電力業界の脱炭素化が先行することが多いためである。
■ 当グループの活動は、エネルギー転換のニーズを満たすために発展し続ける(上記説明のとおり)。この発展は、地球への排出量が大幅に減少しているにもかかわらず、当グループの炭素排出量に認識される残留排出量の増加につながる可能性がある。
スコープ3「ガス&サービス」の排出量は、 カーボンニュートラルに向けた目的の対象であり、すでに削減イニシアチブの対象となっている。これらの排出量は、現在、中期的な定量的削減目標の対象にはなっていない。これらは、当グループが限定的な影響力しか有していない排出量である。そのため、短期的なスコープ1と2の排出量を優先した。さらに、現在の計算方法では、グローバルな行動計画を展開できるようなモニタリング指標を開発することができない。当グループが実施する最初のステップは、スコープ3の排出削減行動が適切に反映されるよう、使用する排出係数の精度を向上させることである。その目的は、統計的な「支出ベース」の排出係数から、当グループが購入する商品及びサービスの実際の炭素排出量をより正確に反映するサプライヤー固有データへと移行することである(2025年の進展については、下記(オ)「気候指標」参照)。さらに、産業ガス事業者におけるスコープ3排出量削減に関する目標に関する業界別ガイドラインがないため、目標の妥当性を評価するための外部ベンチマークの利用ができない。
エア・リキードの2050年までのカーボンニュートラル方法論と目標は、この分野で初めて公にされたものである。
科学的根拠に基づく目標イニシアチブ(SBTi)に提出された当グループの2035年目標は、標準的な部門横断的アプローチ(ACA (4))に基づき、2022年に「2℃を十分に下回る」ことと整合していることが検証された。このアプローチは、化学業界における産業ガスセグメントの特殊性や、当グループの地理的範囲を考慮していない。現在のところ、化学業界、特に下位業界である工業ガス業界で操業する事業者の目標が1.5℃目標に対応するか判断する方法は認められていない。したがって、既存の方法論の限界から、当グループは、1.5℃目標と当グループがそれに対応するかを定量的に実証することはできない。
しかしながら、当グループは、当グループの目指す「2℃を大幅に下回る」というカテゴリーが、当グループが目指す1.5℃への移行目標を反映したものではないと考えている。その理由は、(i)当グループが「削減が困難な」産業部門で事業を展開していること、(ii)特定の脱炭素化軌道をたどる新興経済国での事業展開、(iii)当グループにとって排出源となるが、地球規模で大幅な削減を可能にする活動を行っているためである。したがって、当グループが追求する二酸化炭素排出削減目標のプロファイルは、国際エネルギー機関(IEA)の「削減が困難な」部門における1.5℃シナリオに類似している。
これらの要素はすべて、エア・リキードの目標表明が1.5℃シナリオに適合しているという見解を支持するものである。しかしながら、方法論の限界のため、エア・リキードはこの1.5℃との両立性を正式に定量的に実証することはまだ不可能である。
IEAの「ネット・ゼロ・ロードマップ」は、当グループの分析を裏付けるいくつかの要素を浮き彫りにしている。
■ 産業部門、特に「脱炭素化しにくい」業界の脱炭素化は、電力業界の脱炭素化よりも遅れている。
(1) 2020年以降の各年度において、CO2排出量に重大な影響を与える範囲の変更(増加又は減少)を考慮し、当該年度全体の資産排出量を反映するように再計算した。
(2) 国際エネルギー機関(IEA)の「世界エネルギー見通し2025」におけるネット・ゼロ排出シナリオ
(3) 例えば、大規模な再生可能エネルギー発電資産の開発を可能にする電力購入契約を通じてゼロ・カーボン電力の供給を実現するには、4年から10年程度の期間を要する場合がある(例えば、太陽光発電所や風力発電所プロジェクトの特定、開発、建設など)。同様のリードタイムは、燃料やバイオ由来の原料の大量供給を確保するため、又は、二酸化炭素回収・貯留(CCS)のサプライチェーンを確立するためにも、必要となる可能性がある。
(4) 絶対的削減アプローチ
■ 経済と産業の発展レベルの違いを考慮に入れるため、地域によって脱炭素化のダイナミクスを差別化する。
■ 一連の技術を拡大する必要があり、そのためには規制や政治的枠組みを迅速かつ意欲的に進化させ、特に炭素コストを内部化する必要がある。
■ このような規制枠組みや政治的枠組みの可視性と安定性は、インフラ投資や耐用年数の長い産業設備への投資に不可欠である。
当グループの排出削減手段は、IEAが世界の排出量を1.5℃の軌道に乗せるために必要であると指摘したものと一致している。
■ 電力網の急速な脱炭素化、主に再生可能エネルギーや原子力発電の普及を通じ、石炭火力発電と蒸気生産の大幅な削減
■ CO2の補集・貯留技術の開発、特に、技術的に成熟した手段が限られている産業部門を対象としたカーボンニュートラル達成のための取組み
■ 低炭素又は再生可能水素のエネルギーキャリアとしての利用促進、特に産業部門とモビリティ部門における活用
■ バイオ燃料と再生可能原材料の開発
これらの条件は、当グループが特定した削減手段を実施するために必要であると考えられる。例えば、当グループが再生可能な電力を調達するのは、対応する容量が実際に構築され、輸送・配電網や電力市場のこれらの新しい電源(特に断続的な電源)に適合した場合に限られる。同様に、CO2回収や水電解のような特定の排出削減技術の導入は、IEAのネット・ゼロ排出シナリオのような「ネット・ゼロ」シナリオの基礎となる仮定を実施することが条件となる。
当グループのスコープ1と2のCO2排出量は、限られた資産と国から排出されている。スコープ1の直接排出量の60%は15未満の生産設備から、電力消費に関連するスコープ2の間接排出量の80%は6カ国から排出されている。そのため、排出削減目標には、気候変動を緩和するための世界的な行動と密接にリンクする、慎重に特定された、いくつかの手段を用いる必要がある。
■ 当グループが事業を展開する各地域の電力網の脱炭素化の恩恵を受けるものとなる、当グループの既存資産と成長事業の両方に供給するための再生可能エネルギー又は低炭素電力の供給
■ 空気分離装置(現在は蒸気をエネルギー源としている)の電化、産業効率化プロジェクト、水の電気分解による水素製造の開発、さらには一部のグループ施設へのバイオガス供給などを含む資産の管理
■ 世界中の産業地域における大規模な脱炭素化プロジェクトの一環として、既存の水素生産の脱炭素化を実現しつつ、エネルギー転換に伴い増加する低炭素水素の大量需要に対応するための炭素回収
以下の3つの手段に関連する具体的取組は、それぞれ2035年の目標を達成に必要な脱炭素化の約3分の1に寄与する。
| 手段 | 具体的取組 | 成功の重要要因 | 2035年への影響 |
|---|---|---|---|
| CCUS(炭素回収・利用・貯留) | SMRの数は限定的→CCUSは低炭素アンモニア・クラッキングへの転換 | カーボンプライシング/カーボンシンクの利用可能性 | ~3-4Mt |
| 資産管理 | ・SMRの数は限定的→低炭素調達への転換 ・コジェネレーション設備は、低炭素化又はピーク負荷用途への転換 ・効率改善(漏洩削減設備への投資を含む) ・車両の低炭素又はゼロ炭素の電気自動車への転換 ・蒸気駆動型空気分離装置の50%電化 | ・低炭素原料の入手可能性 ・競争力のある低炭素調達 ・オペレーショナル・エクセレンスの確実な展開 ・地域インフラ及び市場メカニズム ・顧客プロセス設計の更新 | ~5-7Mt |
| ゼロ炭素電力の調達 | ゼロ炭素電力の調達 | 再生可能エネルギーの入手可能性及び市場目カニズム | ~5Mt |
各手段の2035年への影響は、おおよそのものでしかない。実際、各手段について、具体的なプロジェクトの実施は、地域状況に応じて決定される。それは、例えば、電力市場の構造、低炭素電力源や再生可能電力源へのアクセス、CO2輸送・貯蔵インフラの開発、CO2価格の導入、低炭素製品市場開発のためのインセンティブなどである。基準となる排出量(2020年)を3,930万トンのCO2とすると、3つの手段によって1,300万トンから1,600万トンのCO2、つまり2020年の排出量の33%から41%を削減することができる。
およその大きさとして、大型空気分離を電動化する場合、動力源を蒸気から電気に切り替えると、年間最大35万トンのCO2削減が可能になる。再生可能電力に切り替えると、この数字は2倍になる。天然ガス改質水素製造装置にCO2回収装置 「Cryocap Flue Gas™ 」を設置すると、同装置の排出量が90%以上削減され、大容量の装置では年間50万トン以上のCO2削減になる。温室効果ガス排出削減の観点から、空気分離装置への低炭素又は再生可能エネルギーによる電力供給が及ぼす影響は、最終的には地域の電力構成に左右される。このため、当グループは、南アフリカや中国など、電力供給の大部分が化石燃料、特に石炭である地域に特に力を入れている。
当グループの資産と事業活動におけるこれらの脱炭素化手段は、当グループが、特にエコ・オリジン・オファーのような低炭素ガス・オファーや、産業及びモビリティ向けの低炭素又は再生可能水素・オファー、あるいはCO2マネジメント・オファー(顧客の産業プロセスから排出されるCO2の回収・液化事業をエア・リキードにアウトソーシングする)により、顧客自身の製品やプロセスを脱炭素化するための新たなオファーの開発も可能にする。
2035年から2050年にかけて、地球の「ネット・ゼロ」状況に適合する資産基盤への移行を継続し、さまざまな産業部門とモビリティ(特に大型モビリティ)が必要とする産業用ガスを提供するために、同じ手段が使われるであろう。
■ 空気ガス生産設備及び電解による水素生産のための低炭素・再生可能電力の供給。これらの生産手段は、「ネット・ゼロ」シナリオにおいて、電力構成の急速な脱炭素化と、上記シナリオがネットワークと柔軟性の源への投資をもたらす点で恩恵を受ける。
■ 代替燃料や原料(バイオ由来、低炭素、再生可能アンモニアや水素)の活用。
■ CO2回収を伴う改質技術による再生可能又は低炭素水素の生産、必要に応じてバイオ由来の供給と組み合わせる可能性。
産業ガス生産における革新的技術が開発され次第、これらの手段を随時追加する予定である。
当グループのガス&サービスの事業活動にとって重要なスコープ3の排出は、様々な上流・下流の排出源からもたらされる。当グループは、これらの排出にほとんど影響力を持たないが、様々な排出源を分析し、これらの排出の削減を支援するために実施可能な主な削減手段を特定した。スコープ3で報告された間接的な排出源のうち、重要であると判断されたものについては、以下に要約する(下記(オ)「気候指標」参照)。
| 重要な間接排出源 | 重要なスコープ3分類 | 当グループの行動手段 | スコープ3シェア |
| 製品、サービス、資本財 | ①② | 「ニュートラルのための調達」ロードマップの履行 ・一般的な統計要素の使用を減じるための排出係数の改善 ・調達コミュニティの開発成長 ・削減行動プランの準備 | -25% |
| 燃料、原材料の上流活動(主に天然ガス) | ①③ | 信頼できる排出データと削減へのコミットを獲得するための関係サプライヤーとの対話、代替燃料・原材料の使用(例えばオフガスやバイオガス) | -35% |
| 上流の電力と送電ロス | ③ | 再生可能電力や原子力電力の調達増加、エネルギー効率に関する行動 | |
| 外注の製品輸送 | ④ | 輸送手段の転換に向けた輸送サービスサプライヤーとの対話 | -2% |
| 温室効果ガス製品の利用 | ⑪ | 生物由来CO2の調達増、顧客の再排出削減のためのオファーの開発(抑制技術、代替ガス) | -30% |
| 産業基盤に顧客から課金されずに供給された電力 | ⑬ | 顧客の運用や当グループによる供給ユニットにおける低炭素電力の使用増を働きかける顧客との対話 | -10% |
上記の数値には、当グループ外顧客への設備販売に係るスコープ3カテゴリー11に対応する排出量の持分は含まれていない。当該排出は、エンジニアリング&テクノロジー事業において報告されている活動に対応するものである。下記(オ)「気候指標」に記載のとおり、グループが販売する設備は、その耐用期間全体にわたりCO2を排出する可能性があり、その排出量は設備の種類、顧客による利用方法、並びに顧客が当該設備を使用する電力系統の脱炭素化の進展度合いに依存する。2025年から2050年の期間において、1.5℃シナリオの下では、当グループ顧客は、当グループ自身が排出削減のために実施しているものと同様の施策を講じることにより、これらの排出を削減することが可能である。このような1.5℃シナリオにおいて、当グループは設備販売が地球全体の脱炭素化に伴って進展し、以下の方向へと変化していくと想定している。すなわち、(i)低CO2排出の産業に不可欠であり、1.5℃軌道と整合する低炭素又は再生可能な工業用ガスを生産するための設備のグループ外顧客向け販売、並びに(ii)排出削減が困難な重工業分野において排出を回収するCryocap™ユニットなど、排出削減に必要な設備の販売である。さらに、販売される設備又は施設の大半は主として電力を消費しており、その電力の炭素含有量は、国際エネルギー機関のネット・ゼロ排出シナリオなどの「ネット・ゼロ」シナリオにおいて急速に低下すると見込まれている。
当グループが移行計画で想定しているCO2排出量の軌跡は、既存資産、確実に計画されている資産、未決定の将来資産の累積排出量の予想推移を示している。したがって、厳密な定義に従ったロックイン排出量は、現在及び脱炭素化又は耐用年数が終了するまでの間、排出量に大きく寄与する当グループの資産の排出量に相当する。当グループは、各地域の脱炭素化プロジェクト(具体的な実施手段や時期)を規制の変化や顧客の要望に適合させながら、その軌道をグローバルな規模で管理しているため、ロックイン排出量は特定の資産に割り当てられていない。したがって、2050年までの当グループの二酸化炭素排出削減の軌道は、当グループのロックイン排出量に対応する。
当グループの高排出資産は、必要不可欠な製品を提供し、1.5℃(黙示的又は明示的なCO2排出コストの一貫した変化を想定)の軌道において競争力のある価格で脱炭素化が可能であるため、資産基盤の脱炭素化は、現在のところエア・リキードにとって大きなリスクとは認識されていない。
加えて、特定された手段に対応するアクションに基づき、エア・リキードの主要生産部門は、1.5℃移行シナリオにおいて競争力のある脱炭素化が可能である。これには、これらのシナリオで提供されるインフラ、特にエネルギー(電力網、特に再生可能エネルギーが大量に利用可能であること、二酸化炭素貯蔵が利用可能であること)の展開が必要である。この競争力は、1.5℃シナリオにおいて、モデルによって予測されたCO2価格の軌道と、様々な手段の脱炭素化コストの見積もりを比較することによって測定される。これらの資産はまた、産業と健康のために不可欠な製品を提供し、特に当グループの顧客による排出量、エネルギー消費及び資源消費の削減に寄与している。
上記の3つの手段を実行するためのアクションは、主にエア・リキードの脱炭素のガス及びサービスの顧客への供給(特に長期契約の更新時に)を可能にすると期待される投資であり、その結果、当グループに経済的価値のある成長機会を提供する。結果として、当グループの資産を脱炭素化するための投資や、エネルギー転換における成長機会を獲得するための投資は、個別の投資予算の対象ではなく、当グループの設備投資方針及びプロセスに完全に統合されている。
このように、当グループの資産及び事業の脱炭素化につながる投資のための資金調達は、当グループの投資枠に統合されており、この投資は、欧州連合が設立したイノベーション基金からの支援など、公的投資によって完了する特定のプロジェクトに対するものとなることがある。
2024年、当グループはサステナブルな投資枠組を更新し、2021年と2024年に発行したグリーンボンドに加え、当グループの脱炭素化を可能にする成長投資にも資金を提供するため、2025年に5億ユーロの3度目のグリーンボンドを発行した。
営業費用は主に再生可能エネルギー及び低炭素エネルギーの電力購入で構成され、特定のモニタリングの対象ではない。再生可能エネルギー電力の購入に関連する将来の支出の一部は、当グループが締結した再生可能エネルギー供給契約におけるコミットメントにより見積もることができる。
さらに、当グループは、低炭素製品の市場開拓や、産業界の脱炭素化への直接的な誘導を通じて、規制上の枠組が重工業の脱炭素化を促進する地域を優遇することで、その軌道を世界レベルで舵取りしている。したがって、当グループがカーボンニュートラルへの軌道の中で特定した脱炭素化プロジェクトの順序は、事前に完全に決定されるものではない。
さらに、特定の脱炭素化手段(再生可能電力の購入など)の実施には投資を必要としない。
上記「(2)ア ヨーロッパタクソノミー」で示したように、当グループの活動の大部分はEUタクソノミーにおいて非適格であり、特に空気ガスの生産に由来する活動は非適格である。したがって、移行計画に関連する投資のごく一部のみが、EUタクソノミーの指標に含まれている。
さらに、タクソノミー上の営業費用は、エア・リキードのビジネスモデルに照らして需要ではない。実際、当グループの脱炭素戦略における構造的な営業費用、すなわち再生可能エネルギーや低炭素エネルギーの購入は、タクソノミーによって定義される営業費用の範囲から除外されている。
3つの脱炭素化手段に関して、少なくとも2つはタクソノミーの指標に完全に反映させることができない。
さらに、2025年7月4日に公表された委任規則2026/73により確立された重要性原則の適用を踏まえると、当グループにおいて適格かつ重要とされる唯一の活動は、水素の製造である。しかしながら、水素装置やコジェネレーションの脱炭素化に関連する投資、低炭素水素や再生可能水素の成長に関連する投資、CO2回収・輸送チェーンにおける当グループの投資は、整合基準を満たすことを目的として、ほとんどが欧州のタクソノミーの対象となる。これらの指標は、上記イ(ウ)「タクソノミー主要業績評価指標(KPI)」を参照されたい。
当グループの主な対象事業は水素製造である。当グループは、成長投資又は既存資産の脱炭素化投資を通じて、低炭素水素の分野において多大な意欲を表明している。現在、世界レベルで統一された「低炭素」水素の定義がないため、これらの投資の実施は、各地域の水素政策に左右される。したがって、当グループは、低炭素水素への投資を行う可能性があるが、その際、閾値の調和がとれていなかったり、タクソノミーの基準が複雑すぎて文書化できなかったりするため、タクソノミーに適合していないことが判明する可能性がある。
当グループの活動は主にNACEコード20-11に記載されている産業ガスの生産に関連しているため、NACEコードB.05、C.19、D.35.1、D.35.3又はG.46.71に該当する重要な設備投資は確認されていない。NACEコードD.35.1及びD.35.3については、コジェネレーションの設備の維持に係る資本的支出に関連するため、わずかな設備投資しか確認されていないが、タクソノミー規則の意味においては重要ではない。
エア・リキードは、バイオメタン(非化石)の販売とモビリティ分野の顧客向けの圧縮天然ガスのわずかな販売を除き、液体又は気体燃料の試掘、抽出、精製、販売に直接関与していない。これらの気体又は液体燃料とみなされる製品の販売は規則(EU)2020/1818に規定されているこれらの活動の閾値を下回っており、ベンチマーク管理者による除外の届出がないことから、当グループはパリ協定のベンチマーク適格となる。
2021年3月に気候変動対策の目標を発表して以来、当グループは、いくつかのレベルで行動を策定し、移行計画を実施してきた。
■ 気候変動とエネルギー転換の科学的側面に特化した研修コースの実施。2021年から2022年にかけての意識向上プログラムに続き、これらの研修コースはワールド・ビジネスライン及びエア・リキード大学の様々なコースに組み込まれ、毎年当グループの従業員に提供されている。
■ 以下を含む、CO2 排出量推移の監視のための専用プロセスの導入、クラスターレベルでの脱炭素化計画の年次見直し、投資プロセスへの気候変動対策の組み込み(「第3 提出会社の状況 1(3)戦略のガバナンス体制」参照)。
- グループの事業活動に関連するCO2排出量を削減するために、さまざまな脱炭素化の手段を発動すること
- 低炭素又は再生可能エネルギーによる電力供給契約の締結
- 中国や南アフリカにおける空気分離装置の電化など、生産ユニットのエネルギー効率と炭素効率の近代化及び改善
- 貯留又は再利用を目的とした、既存の水素装置におけるCO2回収プロジェクトの開発
- 当グループの顧客の脱炭素化を支援する製品とプロジェクトの開発
■ 当グループが設定した目標に対する進捗状況は、「イ(オ)気候指標」に記載されている。したがって、2025事業年度のスコープ1及び2の排出量は、基準年の同排出量と比較して13.0%減少している。前年度及び基準年度との詳細は、「イ(オ)気候指標」を参照されたい。
気候トピック:影響、リスク、機会
気候変動の緩和
気候変動の緩和とエネルギー消費に関する影響、リスク、機会は、いくつかのプロセスを通じて特定される。
温室効果ガス排出の影響、特にCO2の影響は、気候科学の動向を積極的に監視するプロセスを通じて最初に特定される。このプロセスでは、特に気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の評価報告書や特別報告書(気候変動と生物多様性の明らかにするためにIPBES(1)とともに作成された特別報告書を含む)を通じた科学的評価を活用している。これらの報告書は、気候変動が生態系、生物多様性、人間社会に及ぼすと予想される影響を、さまざまな地理的スケールで文書化したものである。温室効果ガスの排出量が増えるにつれて地球全体の気温は上昇し、水循環の乱れ、豪雨の激化、雨季と乾季の頻度や熱波の増加につながる。また、気候変動は、海水の温暖化や氷河・極氷冠の融解による海面上昇の増加にもつながる。
これらの影響の重要性は、当グループの直接的な温室効果ガス排出量、及び電力消費に伴う間接的な排出量に照らして評価される。当グループは、スコープ1と2の温室効果ガス排出量を四半期ごと及び連結ベースでモニタリングし、スコープ3の温室効果ガス排出量を毎年算出するとともに、回避排出量も算出している。スコープ1、2、3の全排出量は、「イ(オ)気候指標」で詳述している通り、毎年公表している。これらの排出は主に、天然ガスの改質による水素製造装置やコジェネレーション装置からの直接排出、あるいは空気ガス生成装置で消費される発電による間接排出という形で、当グループの製造装置から排出される。バリューチェーンでは、間接排出の大部分は、エネルギー起源の素材とエネルギー及び原材料の供給、並びに当グループが販売する特定の製品の顧客による使用、特に販売する製品自体が温室効果ガスである場合に発生する。当グループは、温室効果ガス排出量を削減するための複数年の軌道を策定した(上記の脱炭素化目標参照)。この軌道は、CO2予算という形で年ごとに細分化され、当グループの業務管理部門が監視している。新規プロジェクトの投資決定は、地域レベルで割り当てられたCO2予算を考慮し、資源・投資委員会(RIC)によって検証される。各クラスターには、その年のCO2予算が割り当てられている。これらの予算は、今後5年間の排出割当量に従って策定され、年間CAPEX予算の編成と並行して行われるため、実施される投資決定に伴う排出量が完全に考慮されるようになっている。これらの予算は、当グループの目標との適合性を確保するためのクラスターとグループ経営管理チームとの対話の結果であり、現地の状況に応じて配分される。この段階での説明責任は、資源・投資委員会の執行監督によって確保される。
バリューチェーンにおいても影響が考慮されている。調達に関する2つの方針(1つは一般的な手順、もう1つはサステナブルな調達に特化したもの)が当グループ内で適用されており、その消費によって誘発される温室効果ガスの排出を削減することを目的としている(スコープ2及び3)。エア・リキードはまた、顧客の脱炭素化(下記参照)にも貢献し、回避された排出量の計算を通じてその影響を換算している。最後に、これらのトピックに関して、すべての利害関係者との継続的な対話が、具体的な手順に基づいて確立されている。これには、従業員を対象としたMy Voice調査や、投資家対応チームを通じた投資家との対話が含まれる。これらのプログラムは、エア・リキードとグループの利害関係者との対話を最大限に活用することを目的としている。
プラスの影響は、特に当グループのビジネスモデルと技術ポートフォリオに関連している。エア・リキードグループは、生産プロセスの効率向上やターゲット市場(特に産業とモビリティ)の脱炭素化のためのソリューションを提供している。これには特に、新しい低炭素技術の開発やエア・リキードのガス及びサービスの利用が含まれる。これらのポジティブな影響の重要性は、いくつかの指標、特にエア・リキードのソリューションによって回避できるCO2量の見積もりによって測定される。
リスクと機会、及びその重要性は、主に様々なグループ事業体(子会社、ビジネスライン、地域、又は当グループレベル)が実施する戦略的分析を通じて評価される。これらの気候変動に関連するリスクと機会は、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が、気候変動に関連する財務情報の公表に関する報告書で示した指針を用いて評価される。以下に説明するように、気候変動リスクに対する当グループの耐性を分析するこれらの調査は、当グループの経営プロセス(新規投資のレビュー、事業会社のパフォーマンスレビュー、地域の脱炭素化計画のレビュー)に組み込まれている。
気候変動リスクとは、炭素原単位経済から低炭素経済への移行に伴う財務的、経済的、社会的リスクを指す。当グループの事業にはエネルギーが必要であることから、エネルギー転換リスクにはエネルギーと原材料の供給に関するものが含まれる。エネルギー転換に関連する政策や規制は、化石エネルギーと脱炭素エネルギーの両方について、それらの入手可能性やコストに影響を与える可能性がある。
移行リスクに対する当グループのアプローチは、潜在的なリスク源の特定、リスク評価手順の確立、リスク軽減計画の作成という3段階のパターンに従っている。また、(i)将来を見据えた投資管理、(ii)既存活動の見直しという2種類のプロセスを区別することもできる。
(i) 将来を見据えた投資管理
将来の投資が、1.5℃の移行シナリオ(IEAのネット・ゼロ排出シナリオ(1)で説明されている)及び株主に対する財務的・非財務的コミットメントの双方に適合するよう、エア・リキードは資源・投資委員会(RIC)に依拠している。そのガバナンスと運営については、「第3 提出会社の状況 1(3)戦略のガバナンス体制」に詳述されている。例えば、RICのガイドラインにはとりわけ新規生産能力に係る投資プロジェクトの開発段階において実施されるデュー・ディリジェンスが含まれる。投資プロセス手続に従い、当グループは、IEAの低排出シナリオに基づくシャドープライスの形で社内カーボンプライスを適用している。プロジェクトはRICによる審査の対象となり、そのガバナンス及び運営は「第3 提出会社の状況 1(3)戦略のガバナンス体制」に記載されている。
■ 2025年以降、主要な新規一次生産プロジェクトの実行可能性及びレジリエンスを評価するためのグループの方法論は進化している。現在導入が進められている新たなプロセスでは、予想される市場条件と、1.5℃軌道に沿ったより野心的な政策の双方を反映した分析が行われる。新規プロジェクトに関するこれらの感応度分析は、異なるカーボンプライスの推移を前提とする2つの別個のシナリオに基づいている。原則として、特定のセクター又は地理に関する情報がない場合、シナリオはIEAの低排出シナリオに基づく。まず、当該プロジェクトが所在する国が発表しているコミットメントを考慮し、政府の公表情報又はIEAの「表明公約(Announced Pledges)」又は「公表政策(Stated Policies)シナリオ(これらにはCO2価格予測が含まれる)」の最新版に基づいて、商業的実行可能性の評価が実施される。加えて、関係するビジネスラインのマーケットチームにより関連性があると判断された場合には、「1.5℃」標準シナリオにおいて、プロジェクトの長期的レジリエンス及び脱炭素化されたグローバル経済との戦略的整合性を検証するためのレジリエンス評価が実施される。これは、IEAの「2025年ネット・ゼロ排出」シナリオの価格推移に基づき、地理別に区分して行われる。
■ さらに、関連する投資案件の年間スコープ1及び2排出量、又は顧客の年間排出量が特定の閾値を超える場合、その投資案件はまず、技術、評判、市場リスクを考慮する排出・エネルギーリスク委員会(E-Enrisk)を通過しなければならない。その結果はRICに報告される。
| シナリオ別・一部地域における電力に係るCO2価格 | |||
| CO21トンあたり米ドル | 2035 | 2040 | 2050 |
| 公表政策シナリオ | |||
| カナダ | 126 | 126 | 126 |
| 中国 | 22 | 26 | 34 |
| 欧州連合 | 89 | 92 | 174 |
| 日本 | 39 | 61 | 105 |
| 韓国 | 52 | 62 | 75 |
| 2050年「ネット・ゼロ排出」シナリオ | |||
| ネット・ゼロ排出目標を表明している先進国 | 180 | 205 | 250 |
| 一部の選定された新興国及び発展途上国* | 125 | 160 | 200 |
| その他の新興国及び発展途上国 | 25-50 | 35-85 | 55-180 |
* ブラジル、中国、インド、インドネシア、南アフリカを含む。出典:IEA「世界エネルギー見通し2025」
このシャドープライスのメカニズムは、プロジェクトの実行可能性及びレジリエンスを分析するためのツールであり、一次生産資産に関する投資意思決定を目的としたものである。したがって、本件支出に関連する将来のスコープ1及びスコープ2排出を対象としている。これは、既存資産からの排出を直接対象とするものではない。既存資産については、グループのビジネスモデル及び契約条項によりCO2リスクが下流に転嫁されているためであるが、本メカニズムは、グループの成長軌道が堅牢で科学的根拠に基づく気候シナリオに照らして体系的に分析されることを確保するものである。
加えて、1.5℃軌道という当グループの目標との適合性を損なう投資を確実に回避するため、当グループの排出量は、年間炭素予算によって一元的に管理される。この予算は各地域に配分され、気候変動対策の目標に沿って毎年見直される。この目標は、取締役会の環境・社会委員会で検討される。
(1) ネット・ゼロ・ロードマップ(2021年)及び世界エネルギー見通し報告書(2023~2025年)による。
(ii) 既存の活動の見直し
当グループの移行リスク管理におけるもう一つの重要な鍵は、既存資産及び事業活動に関するものである。これを評価するため、エア・リキードは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が推奨する4つのリスク次元(政治・法務、技術、市場、風評)を2035年及び2050年までの時間軸でカバーする専用プロセスを展開し、ここでは異なる時間軸をカバーする単一のリスクレベルが考慮されている。複数の時間軸が適用される場合、当グループは総合的な評価を行った。しかし、異なる時間スケールでCO2排出の軌道を管理するためには、複数の時間軸にわたる移行リスクを考慮する必要があり、通常、「+1年」の時間軸、戦略プランの時間軸、2035 年と2050年に発表された気候変動対策の目標を対象とする。現地の状況(政策や規制、エネルギー市場の構造)に大きく依存するため、1.5℃の転換シナリオが、主に社内関係者間の対話の枠組みの中で、定性的な方法で用いられている。使用される主な1.5℃の参照シナリオは、国際エネルギー機関のネット・ゼロ排出シナリオであり、当グループの活動に関連する要素を提供している。具体的には、エネルギー市場の発展、再生可能な電力源の開発、鉄鋼や石油化学など当グループがサービスを提供する主要産業市場の発展、技術開発など、さまざまな時間軸と世界のさまざまな地域に関するものである。特に、実施されている政策や規制、現在議論されている政策や規制など、現地のビジョンと相互参照することで、当グループは、以下の方法に基づき、さまざまな次元のリスクをカバーするシナリオを持つことができる。
■ リスクのスクリーニングと特定:サステナブルな開発部門の指示の下、ファイナンス・チーム及びワールド・ビジネスラインと協力して、1.5℃の移行シナリオにおける移行リスク要因のレビューが実施される。エネルギー転換が様々な市場に与える影響は、様々な分野別及び/又は地域別の市場調査において考慮される。技術的影響は、研究開発部門が実施する技術ウォッチング調査において考慮され、その後、技術開発ロードマップに組み込むことができる。規制当局の動向の監視は、関係するビジネスラインや事業体と連絡を取りながら、広報チームによって調整される。
■ 詳細な地域別レビュー:中央チームが実施した評価に続いて、様々な地域で詳細な分析が実施され、適切な場合には、資産の種類、生産能力、対象市場、地域の脱炭素化政 策などを考慮した資産レベルでの分析が行われる。
ダブル・マテリアリティ評価により、4つの重要なリスクと、気候変動緩和に関する1つの重要な機会が明らかになった。
(i) 既存の排出技術やプロセスの陳腐化、新しい低炭素技術のコスト、それらへの投資に伴うリスクなどの技術的リスク
(ii)当グループがサービスを提供する市場に関連するリスク。当グループがサービスを提供する市場自体が、排出量削減の必要性から影響を受ける可能性があり、特に特定の市場における工業用需要に影響を与える可能性がある。
(iii) 政治的・法的リスク。CO2価格決定システム(税、割当市場)の導入、特定の種類の製品の市場投入に影響を与える規制、温室効果ガス排出削減義務の強化など、さまざまな形で顕在化する可能性がある。
(iv) 当グループの排出削減目標や業績が利害関係者からどのように見られるかに依存する風評リスク
特定された重要な機会には、経済、特に産業とモビリティの脱炭素化が、既存市場と新規分野の両方における新しい市場セグメントの発展とともに、当グループの製品とサービスに対する需要に関連してもたらす積極的な発展が含まれる。
これら4つのリスクと、気候変動緩和のトピッ クについて特定されたこの重要な機会は、ダブル・マテリアリティ評価において特定された。当グループはこれらのリスクを、緩和策を考慮したより詳細な見解を提供するために、TCFDの作業に基づいて、深く分析した。
気候変動への適応
この問題は当グループの環境リスクのひとつである。エア・リキードは、気候変動による例外的な気象現象の変化(厳しさや頻度)にさらされる世界の特定の地域で事業を展開している。
その内訳は以下の通りである。
■ 暴風雨、ハリケーン、洪水など、その頻度と深刻さが増している自然災害のような事象が引き金となる急性リスク。これらのリスクは、例えば海岸近くに位置するエア・リキードの事業所や、ハリケーンの影響を地域(米国メキシコ湾岸、東南アジアなど)に関連する可能性がある。
■ 気候モデルの長期的な変化や気温の上昇に関連する慢性的なリスク。海面上昇、特定地域での慢性的な熱波、降雨パターンの変化とその変動性の増大、特定の資源の消滅など。
これらの現象は、当グループの事業を遅らせたり、中断させたり、あるいはより高コストにする可能性がある。またサプライヤーや顧客もこれらと同様のリスクに直面しており、産業ガスの需要を減少させることにより、間接的に当グループに影響を及ぼす可能性がある。熱波のような気候現象の中には、労働条件にまで影響を及ぼすものもある。
2023年、気候変動に関連する物理的リスクが、当グループの活動や資産にどのような影響を与えるかを特定するため、社内の技術専門家を交え、コンサルティング会社と共同で調査が実施された。そのため主要事業(ASU、HyCO、コジェネレーション、バイオガス、工業、エレクトロニクス事業で、売上高の75%以上を占める)に関連する資産を特定し、それぞれについて、気候変動に関連する物理的リスクによって引き起こされる危険(干ばつ、気温、暑さ、洪水、火災、降水、寒さ、異常気象、地盤、土壌、気象、海洋条件)を評価した。これらのうち、主な危険として特定されたものは干ばつ、気温、熱波、火災である。これらはエア・リキードの活動、特に工業プロセスへの影響に特有な影響を及ぼすからである。
次に、絶対的アプローチ(各危険に対して資産がどのようなリスクにさらされるか)と相対的アプローチ(1981年から2010年の基準期間と比較して資産がどのようなリスクにさらされるか)の両方に基づいて、エクスポージャー分析を実施した。気候関連の危険は、コンサルティング会社独自の気候シミュレーションツールを用いて、2040年という長期的視野に立ったIPCCの中間排出シナリオ(SSP2-4.5)と高排出シナリオ(SSP5-8.5)に基づいて評価された。これら2つのシナリオは、2つの高排出シナリオの下で、タクソノミー規則の付録A「DNSH適応」に記載されたものに基づき、上述の様々な危険の進化をモデル化することを可能にする科学的根拠に基づいて選択された。一つ(SSP2-4.5)は、排出量が国別貢献量に対応し、可能性が高いと考えられる「いつもどおりのビジネス(business-as-usual)」シナリオである。第二のシナリオ(SSP5-8.5)は、非常に悲観的なシナリオに対応し、リスク分析の「限界ケース」として機能する。このツールでは、検討対象の各気候シナリオについて、各資産の種類ごとに、各危険要因のリスクエクスポージャーの量が算出され、その結果は活動別に集約される。当グループの6,000以上の資産のうち、分析は670程度の産業用資産に焦点を当て、そのうち570程度は、ASU、HyCO、コジェネレーション、バイオガス、工業事業、エレクトロニクス事業のいずれかのカテゴリーに属していた。非産業用資産は、エア・リキードに特有のリスクではないと考えられた。これらの非産業用資産は、必要に応じて移転が可能であるため、その事業中断は、エア・リキード全体にとって大きなリスクとはならない。
この最初の一般的なマッピングに続き、当グループは主要な産業地域に焦点を当てつつ、様々な資産タイプごとの問題の理解を深めるための作業を継続している。気候リスクの特定に関するアプローチは、物理的リスクと移行リスクとを区別している。2025年には、エア・リキードは、気候関連の物理的リスクに関するグループ全体を対象とした研修リソースを強化した。本取組みにより、優先的な気候ハザードにさらされている拠点の認識向上及び訓練を目的としたドキュメンテーションキット(プレゼンテーション及び指示シートを含む)が作成され、既存の物理的リスクに関する手続を補完するとともに、クラスター(国のグループ)単位での気候レジリエンス評価の枠組みを規定するものとなった。この中では、使用すべき気候シナリオ(IPCCが特定したSSP2-4.5及びSSP5-8.5)、対象となる時間軸(2040年及び2100年)並びに対象とすべき重要な物理的リスク(前述の一覧)を明示している。ただし、現時点では、バリューチェーンへの影響については部分的にしか評価されていない。
また、2025年はプラント設計プロジェクトチーム、運営主体及び研究開発チームに対する意識向上の継続の機会ともなった。
さらに、国際的保険会社が開発した手法及びツールに基づき、2つのパイロットサイトにおいて気候脆弱性調査が実施された。これらの文書化された分析により、気候関連の物理的リスク評価を全体的なリスク管理プロセスに統合するための次のステップをグループが定義することが可能となる。
当グループの資産の耐用年数が長期に及ぶことから、より短期の分析は計画されていない。それにもかかわらず、バリューチェーンに対するリスク評価は現時点ではなお部分的なもの(例:産業用商業事業における寒波が配送に与える影響など)にとどまっており、今後さらなる分析の対象となる予定である。
(イ)気候政策
気候変動の緩和
エア・リキードの気候変動方針は、ブルーブック(1)の不可欠な一部であり、当グループ全体を対象としている。記載されているプロセスと行動は、執行委員会によって監督されている。その序文では、気候変動に関する政府間パネルの定期的な評価や特別報告書によって証明されているように、当グループの活動による温室効果ガスの排出が環境や社会に与える影響について言及している。気候方針は、エア・リキードがそのバリューチェーンにおける気候関連のリスク、影響及び機会を、緩和と適応の両面から評価し、当グループがプロセスを通じてどのようにこれに対応し、(特に炭素排出量を測定することにより)パフォーマンスをモニタリングし、そのパフォーマンスを利害関係者にどのように伝えるかを定義している。また、顧客、従業員、サプライヤー、公的機関、非政府組織などの利害関係者との関わりも網羅し、社内のさまざまな組織の役割と責任も規定している。再生可能エネルギーの導入は、エネルギー管理のための指針や、エネルギーチームが主催する研修コースを通じて行われる。
(1) グローバルなリファレンスマニュアルであるブルーブックは、エア・リキードの原則及び主要な手続を集約したものであり、当グループの内部統制及びリスク管理体制の基盤を構成している。
気候変動方針は、ブルーブックに定める他の原則及び手続を通じて展開され、特に、新規の設備投資や購買の管理に関する項目を統合し、他方では、CO2排出量を削減するために、ゼロ又は低炭素エネルギーの供給など、グループが3つの主要な手段を動員することを強調している。再生可能エネルギーと低炭素エネルギーの供給は、ブルーブックのエネルギー管理指針によって管理されており、エネルギー効率化プロジェクトも対象としている。
気候変動に関する方針は、イントラネットを通じて当グループ全従業員に公開されているため、特にその実施に携わる関係者をはじめ、関心のあるすべての社内利害関係者が利用することができる。
移行リスク管理とカーボンニュートラルへの道のり
当グループは、既存資産と新規資産からの排出量を管理するための意欲的な排出軌道目標(2050年のネット・ゼロに向けた軌道で、2035年までにスコープ1と2の排出量を、2020年を基準として33%削減する目標を含む(1))、規制のモニタリング、技術開発、低炭素ガス市場の開拓など、複数のアプローチを組み合わせて移行リスクに対応している。新規投資に対する内部炭素価格の活用は、当グループが使用するツールの1つである。当グループの排出量は主に製造事業から発生しているため、新規の産業投資が、パリ協定に適合するグローバルな排出量削減目標と相容れないリスクにさらされないようにする必要がある。
この目的のため、投資プロセスは、当該プロジェクトが当グループ全体のCO2排出軌道に与える影響の詳細な分析が求められる。2025年移行、一次生産能力に係る主要なすべての投資案件で、将来のCO2価格に関する感応度分析を実施するための新たなプロセスが導入されている。
すべての関連プロジェクトは、その実行可能性及び必要に応じてレジリエンスを評価するため、デュー・ディリジェンスの過程において、低排出シナリオに関する感応度分析を組み込む必要がある。このための分析では、顧客の事業活動及び契約により顧客に転嫁されるCO2価格(2)を考慮する。この感応度分析では、既存の政策に基づく想定上のCO2価格に加え、必要に応じて「1.5℃」と整合するCO2価格の軌道を織り込む。特定のセクター又は地域に関する具体的情報がない場合には、原則として国際エネルギー機関(IEA)のシナリオに基づくCO2価格推計が使用される。実行可能性の分析においては、既存の政策を反映するため、「公表政策シナリオ(STEPS)」又は「表明公約シナリオ(APS)」が用いられる。一方、1.5℃シナリオにおけるレジリエンス分析は、「ネット・ゼロ排出シナリオ(NZE)」に依拠する。これらの分析は、当グループの新たな一次生産に係る産業投資に適用されるものであり、その結果として、当グループのスコープ1及びスコープ2排出の大部分を対象とするものとなる。
既存資産については、当グループのビジネスモデルにより、当グループが支払った炭素価格は契約上再請求されるため、当該資産の減損リスクを大幅に軽減することができる。さらに、当グループのビジネスモデルが顧客にもたらす効率性により、全体的な排出量は、顧客が自ら産業ガスを生産する場合よりも少ない。
カーボンニュートラルに向けた当グループの気候変動戦略は、前述のとおり、事業活動から排出されるCO2を大幅に削減することに基づいている。当グループの意図は、オフセット手段の使用を最小限に抑えることである。例えば、当グループはこれまで、CO2排出量削減のためのカーボン・クレジットを発行していない。
しかしながら、これらの手段は、それでもなお、事業体によって随時使用される場合がある。例えば社内セミナーのために、あるいは「排出権取引市場」のような規制システムへの準拠を目的として、そのような手段が認められている場合などが該当する。このような使用はごくわずかであり、当グループレベルでは報告されず、下記「イ(オ)気候指標」に記載されている炭素排出量の計算には考慮されていない。
IPCCやIEAなどの組織では、気温の上昇を1.5℃以下に抑えるためのグローバルな気候変動対策の一環として、オフセットの利用が必要であると認識されている。しかしながら、カーボンオフセット手段の活用は議論の的となっている。例えばSBTiの一部として、あるいはGHGプロトコルを通じて、「ネット・ゼロ」戦略の枠組みの中で企業がこれらの手段をどのように利用できるかを明確にするために、その役割と利用可能な手段の種類に関する研究が現在進行中である。
エア・リキードにとって、オフセットは、排出削減が可能な状況において、排出削減に取って代わるべきものではなく、削減不可能な残余削減、特に「マイナス排出」(「除去」)のみを対象とすべきであり、その質は公に認められた基準によって保証されなければならない。
当グループは、アウトソーシング・ビジネスモデルに基づき、顧客に脱炭素ソリューションを提供することを目指している。既存の算定方法を考慮すると、特に当グループの顧客、そして地球全体のために大規模な排出削減をもたらすプロジェクトにおいて、これらの脱炭素プロジェクトから生じる残余排出量は、エア・リキードの炭素排出量として認識される。当グループは、これらの残余排出量は、適合する削減目標に基づく戦略を維持しつつ、最終的には適切な手段によって相殺されることを期待している。炭素の算定基準において、様々な種類のオフセット手段の利用を認め、「ネット・ゼロ」の目標を定義する手続きが明確になれば、気候変動対策の目標におけるこれらの手段の役割が特定されるであろう。
(1) 2020年及びそれ以降の各年から、CO2排出に重大な影響を与えるスコープの変更(増減双方)を考慮し、年間の資産に係る排出量を通期ベースで反映するよう修正したもの
(2) エア・リキードのビジネスモデルにおいては、当該コストは契約に基づき顧客に再請求される仕組みとなっており、対象資産の減損リスクを大幅に低減している。
(ウ)気候関連の行動
気候変動の緩和
上記イ(ア)「はじめに」で述べたように、当グループは、エア・リキードの気候移行計画の3つの脱炭素化手段に対応するアクションを定義している。アクションに貢献する各サブアクションは地域レベルで発生する可能性があるが、エア・リキードの気候変動対策の目標に貢献するため、すべてのアクションはグループレベルで管理され、いくつかの地理的なサブアクションを含む。3つの脱炭素化の手段は以下の通りである。
■ 再生可能又は低炭素の電力供給。この最初の手段は、燃料タイプの変更と再生可能エネルギーの利用という2種類の緩和アクションを組み合わせた気候変動緩和のための手段である。この手段は、エア・リキードの固定資産の主なエネルギー源であるグループの電力消費に関するものである。
■ 資産管理。この第二の手段は気候変動緩和のための手段であり、産業資産の電化やエネルギー効率化など、いくつかのタイプの緩和アクションをまとめている。この手段は、エア・リキードのすべての固定資産と移動可能な資産に適用される。
■ 地中貯留又は利用のためのCO2回収。この3つ目の手段は、工業設備から大気中へのCO2排出を回避する技術的解決策を通じた気候変動の影響を低減するための手段と考えられている。
各手段に対応するアクションの実施を可能にする条件と仮説は、上記「イ 気候戦略 – エア・リキードの気候変動の緩和への移行計画」に記載されている。
当グループの今年の業績に貢献した主なサブアクションは、以下のとおりである。
| 低炭素エネルギー | 2025年において、エア・リキードは、年間3TWhの新たな低炭素再生可能電力購入契約(PPA)の開始を実現した。さらに、当グループは、炭素集約度の高い電力グリッドを有する地域を優先する戦略を引き続き展開しており、その一環としてインドにおいて初のPPAを締結した。グローバルでは、当グループは2020年以降、複数年契約のPPAを通じて年間5.6TWh(a)の低炭素電力供給を確保しており、そのうち4.5TWh超が再生可能エネルギー由来である。 現在、低炭素電力供給は、当グループの電力及び蒸気の年間総購入量の40%を占めている。 |
|---|---|
| 資産管理 | 天津における6,000万ユーロの投資に続き、エア・リキードは、中国における生産ユニットの近代化を継続し、操業効率の向上及びCO₂排出の削減を図っている。2025年には、陝西省楡林(Yulin)に所在する空気分離装置(ASU)の近代化に約2,500万ユーロが投資された。この近代化された設備により、年間22万4,000トンのCO₂排出削減が可能となり、2027年末までに稼働開始が予定されている。 |
| 炭素回収 | エア・リキードは、同社が開発した革新的技術であるCryocap™を用いた炭素回収設備の建設を、ロッテルダム港において開始した。本設備は、オランダにおけるPorthosインフラプロジェクトに接続される予定であり、ローゼンブルク(Rozenburg)に所在するエア・リキードの拠点からの排出を削減するとともに、ロッテルダムの主要産業地域における排出削減にも寄与するものである。Porthosプロジェクトは、2026年に稼働開始が予定されている。 |
(a) 2018年にも年間0.2TWhの契約が締結されている。以下に記載する低炭素供給の割合は、2018年分を含むすべての契約数量を考慮している。
各手段に期待されるGHG排出削減量は、上記「イ(ア)気候戦略」に示されている。基準年以降に達成されたGHG排出削減量は下記「イ(オ)気候指標」に集計して掲載されている。
気候変動への適応
気候変動への適応行動と資源は、気候リスクマネジメントプロセスの実施を監視・調整する役割を担う中央チームが管理している。このチームは、事業チームや、新規プロジェクトを調整するチームと協力し、当社のリスク管理、HSE、保険、サステナブル開発チームのメンバーなど、気候変動リスクの特定、エクスポージャー、適応のプロセスを開発する。年間を通して定例会議が計画されており、当社の戦略とアプローチを定義し、気候関連の物理的リスクを当グループの事業管理システムに完全に統合するために踏むべきステップを検証している。
2025年には、当グループにおける気候変動リスクへのエクスポージャーの評価及び対応策の策定に関して、標準的アプローチを構築し強化するための施策が実施された。具体的には以下のとおりである。
■ 子会社向けに、リスクの予防及び低減のための取組を特定するとともに、特定されたリスクに対する事業の感応度を評価するためのツールボックスを作成した。具体例として、洪水、火災及び熱波リスクに関する指示シートを策定し、これらのリスクが発生する前・発生時・発生後の各段階において組織の認識向上を図った。
■ 保険分野の専門家と連携し、2つのパイロットサイトにおいて脆弱性調査を実施した。
■ 当グループの国際的な専門家を集めた年次会議において、気候変動への適応に関連する技術的課題の特定を行った。特に、気候シナリオの予測における水資源の利用可能性に関する課題への注目を契機として、水コストを評価する社内ツールの開発を目的としたR&Dプログラムが開始された。
(エ)気候変動対策の目標
気候変動の緩和
2021年3月、以下のとおり、エア・リキードは気候変動対策の目標を発表した。
■ バリューチェーン全体で排出量を削減し、2050年までにカーボンニュートラルを達成するという目標。正確な数値化はまだ発表されていないが、利害関係者に提示された例示的な削減への道のりは、大幅削減の目標を強調している。残りの排出量は、高品質のカーボン・クレジットを使って相殺される。
■ 2035年には、スコープ1と2の排出量を2020年のベースラインと比較して33%削減するという明確なマイルストーンの設定。この目標は、当グループがスコープ1と2(1)として報告するCO2-eqの絶対排出量を対象としており、当グループが購入する電力と蒸気に関連する直接的・間接的な排出量を報告範囲としている。2020年を基準年としたのは、気候変動対策の目標が発表される前の年であり、代表的な年であると判断したためである。報告範囲や適用する算定方法に大幅な変更があった場合は、GHGプロトコルのガイドライン(企業会計報告基準第11章)に従って、基準年を修正する。
■ 2025年までの転換点
これらの目標は、エア・リキードの気候変動対策の目標に直接対応することを目的としている。一連の目標とそれに対応するスケジュールは、特にIPCCがその1.5℃特別報告書(2018年)で表明している、2050年までに地球のネット・ゼロ状態を達成するという科学に基づく目標に沿って設定されている。特に2035年までに-33%という目標を設定する際において、特に考慮した、当グループの事業とビジネスラインの特殊性を反映したものである。
■ 特に、低炭素製品の市場開発、低炭素・再生可能エネルギーのための生産資産や関連インフラの開発に関しては、政策や規制への依存度が高い。
■ 電気分解のような新技術の産業的スケールアップと普及に必要な時間。2035年目標の策定では、当時利用可能だったIEAのサステナブルな開発シナリオ(SDS)や、2021年に初めて発表されたIEAの「ネット・ゼロ」シナリオなど、利用可能なシナリオを比較した。例示として、IEAは、ネット・ゼロの軌道への移行を可能にするために政府が実施すべき政策や規制を挙げている。
2020年から2035年までの期間は、当グループの新規投資の典型的な契約サイクルに相当する。このため、目標は15年の時間軸で定義されている。特定された温室効果ガス排出削減対策を大規模に展開するには時間がかかるため、2030年の目標は定義されていない。大規模な再生可能エネルギー発電資産の開発を可能にする電力購入契約によるゼロ・カーボン電力の供給には、(太陽光発電所や風力発電所プロジェクトの特定、開発、建設のために)4年から10年かかる可能性がある。燃料や生物由来の原料を大量に供給する場合や、炭素回収・貯留のサプライチェーンを確立する場合にも、同様のタイムスケールが予想される。上記「イ(ア)気候戦略」で示したように、 削減の手段は十分に特定されており、他のプレーヤーの気候変動緩和行動と密接に結びついている。
スコープ1と2の目標は、社内外の利害関係者(サステナブルな開発部、ラージ・インダストリー事業ライン、グループ業務管理部門、戦略チーム、研究開発チーム、IRチーム)の期待を取りまとめるため、専門の「タスクフォース」によって策定された。達成された実績のモニタリングは、グループ業務管理部門が半期ごとに実施する分析(主要生産部門のCO2スコープ1と2の報告、及び事業体の目標設定時にN-1年度に予想される軌道との比較)により、グループの業務実績を見直すプロセスに組み込まれている。
当グループは、スコープ3排出量削減の定量的目標を発表していない。スコープ3の排出量は報告され、削減のための手段が特定されており、当グループはそれに取り組んでいる。
当グループは、気候変動対策の目標、特に基準年2020年との比較におけるスコープ1、2の削減量に関する実績を、このサステナビリティ・ステートメントを通じ、また関連すると思われるその他のプレゼンテーション・チャンネルを通じて、毎年利害関係者に報告している。2025年12月31日現在の進捗状況は、下記「イ(オ)気候指標」に記載されている。
気候変動への適応
気候変動への適応については、専任の専門家チームによって戦略とアプローチの策定中であるため、当グループではまだ気候関連の目標を設定していない。
(1) マーケットベース。
(オ)気候指標
GHG****排出指標
当グループが、バリューチェーンにおいて排出する温室効果ガス排出量の一覧と、スコープ別及びカテゴリー別の報告は、当グループの特殊性を考慮し、GHGプロトコル企業会計報告基準の原則に従って作成されている。
報告範囲及び在庫の変更
2025年中にスコープに大きな変更はなかった。
スコープ3排出量に関しては、2024年度に対してスコープに大きな変更はなかった。
スコープ1及び2の報告範囲
当グループの温室効果ガス排出量の報告範囲は、産業データ報告範囲に基づいている。産業データ報告範囲には、年度中に稼動し、エア・リキードが管理・運営するすべての産業ユニットが含まれる。但し、重要性の閾値が設定されており、この以下の事業ユニットは報告範囲から除外される。重要性の閾値は、(1)当グループが、施行されている規制や勧告に従って、すべての重要な排出源を報告し、(2)これらの排出が重要でない場合、オペレーションチームの負担を最小限に抑えるように設定されている。すべての重要な排出源が正しく報告されていることを確認するため、報告範囲と適用閾値の見直しが毎年行われている。
温室効果ガス排出量に関する比較可能なデータを提供するため、2020年からのデータは、CO2排出量に重要な影響を与えた可能性のある範囲又は方法の変更の影響(上方・下方のいずれも)を年間排出量に含めるために再集計されている。
スコープ1、2及び3の総排出量(グロス)及び温室効果ガス(GHG)排出量合計
| 遡及的 | ||||
| 基準年2020 再表示(a) | 比較ベース2024再表示(b) | 2025 | %N/N-1 | |
| スコープ1GHG排出 | ||||
| 総スコープ1GHG排出(tCO2eq) | 15,505,000 | 14,868,470 | 14,590,300 | 98.1% |
| 排出権取引によるスコープ1排出比率(%) | - | 48.4% | 47.9% | — |
| スコープ2GHG排出 | ||||
| スコープ2のGHG排出量(グロス・ロケーションベース)(tCO2eq) | - | 20,682,800 | 19,204,300 | 92.9% |
| スコープ2のGHG排出量(グロス・マーケットベース)(tCO2eq) | 23,784,000 | 20,064,140 | 19,599,000 | 97.7% |
| 重要なスコープ3GHG排出 | ||||
| 合計間接(スコープ3)GHG排出(tCO2eq) | 19,448,700 | 23,243,928 | 24,252,478 | 104.3% |
| 1 購入製品・サービス | 2,835,770 | 6,526,255 | 6,603,625 | 101.2% |
| 2 資本財 | 460,736 | 909,808 | 1,305,667 | 143.5% |
| 3 燃料及びエネルギー関連活動(スコープ1及び2に含まれない) | 5,131,150 | 6,211,500 | 6,601,978 | 106.3% |
| 4 上流輸送・配送 | 70,490 | 513,665 | 522,564 | 101.7% |
| 5 事業から出る廃棄物 | NS | NS | NS | NS |
| 6 出張 | 34,303 | 30,915 | 22,056 | 71.3% |
| 7 従業員の通勤 | 70,274 | 71,365 | 92,864 | 130.1% |
| 8 上流リース資産 | NS | NS | NS | NS |
| 9 下流輸送 | NA | NA | NA | NA |
| 10 販売した製品の加工 | NA | NA | NA | NA |
| 11 販売した製品の使用 | 9,276,075 | 6,845,518 | 6,994,615 | 102.2% |
| 12 販売した製品の廃棄 | NA | NA | NA | NA |
| 13 下流リース資産 | 1,569,902 | 2,134,902 | 2,109,109 | 98.8% |
| 14 フランチャイズ | NA | NA | NA | NA |
| 15 投資 | NS | NS | NS | NS |
| 合計GHG排出 | ||||
| 総GHG排出(ロケーションベース)(tCO2eq) | - | 58,795,198 | 58,047,078 | - |
| 総GHG排出(マーケットベース)(tCO2eq) | 58,737,700 | 58,176,538 | 58,441,778 | 100.5% |
NA: 非該当
NS: 重要性なし
(a) スコープ1及び2(マーケットベース)の排出量は、対象範囲(バウンダリー)の変更を反映するために修正再表示しているが、スコープ3排出量は修正再表示を行っていない。
(b) スコープ3のカテゴリー1排出量は、2020年から2025年にかけて増加しているが、これは主として、2025年以前に実施された排出量の再分類(従来カテゴリー1の一部カテゴリー3として報告されていたものを見直したこと)によるものであり、さらに、報告の改善により、エンジニアリング&テクノロジーにおける購買に関連する排出量及び第三者からの産業ガスの購入に関連する排出量が新たに含まれるようになったことにも起因する。
スコープ1のCO2排出量は、2024年の同等排出量と比較して278ktCO2減少した。これらの減少は主に水素製造における廃ガスの有効活用及び効率化プロジェクトに起因するものであり、2025年においては2024年と比較してメンテナンス停止の回数が減少したことなどにより、生産量が増加し始めているにもかかわらず達成されたものである。
スコープ2のCO2排出量(マーケットベース)は、2024年の比較可能な排出量と比較して465ktCO2減少した。この減少は、当グループの再生可能エネルギーによる電力供給が大幅に増加したこと(下記「エネルギー消費指標」参照)に加え、2024年末に中国で電化された空気分離装置の稼働開始に伴い、蒸気消費が電力に置き換えられたことによるものである。
当グループは現在、スコープ個別目標ではなく、スコープ1+2合計の目標にコミットしている。2025年のスコープ1+2の排出量(市場ベースの方法論で算定)は34,189ktCO2であり、比較可能な対象範囲では2020年の排出量より13%減少している。これは、2035年にこれらの排出量を2020年比で33%削減するという目標に沿ったものである。
スコープ3排出量は、2024年と比較して1,009ktCO₂換算増加した。この増加は、主として購買関連の排出(カテゴリー1及び2)に係るものであり、主に設備投資額の増加によるものである。また、カテゴリー3の排出量も、水素製造ユニット及びコジェネレーション装置の稼働負荷の増加により増加している。
2020年から2025年にかけて、当グループの排出量は5.1MtCO₂削減され、2020年に気候目標を設定した時点で当初見込まれていたよりも速いペースで削減が進んだ。2020年以降に記録された毎年の削減により、排出量の転換点は当初の2025年の期限に先立って達成された。
これらの削減を達成するために、当グループの気候移行計画において示された3つのレバー(詳細は上記(2)ア(ア)参照)が実行された。削減量5.1MtCO₂のうち、50%超(2.7MtCO₂)は低炭素エネルギー調達の大幅な拡大によるものであり、当グループの低炭素電力の購入量は2025年には15.3TWhに達した。
削減に大きく寄与した第2のレバー(1.8MtCO₂、全体削減の3分の1超を占める)は資産管理であり、すべての事業におけるエネルギー効率化プログラムの継続及び、特に中国における蒸気駆動型空気分離装置の電化が含まれる。CCS(炭素回収・貯留)に関しては、当グループは現在、ロッテルダムに所在する欧州最大の水素製造プラントからCO₂を回収するため、自社独自技術であるCryocap™の開発を進めている。本プロジェクトは今後数四半期以内に稼働開始が見込まれており、このCO₂回収設備はPorthosプロジェクトにより整備されたインフラに接続される予定である。本CO₂回収・貯留プロジェクトは第一フェーズにおいて、エア・リキードのプラントを含む各パートナーからの排出量を合計で年間2.5MtCO₂削減する見込みである。他のレバーに起因しない各種軽微な影響(方法論のわずかな変更、再処理の閾値未満の小規模なスコープ変更等)は、「その他」に区分している。
エア・リキードの一部の生産ユニットは、欧州のコジェネレーションや水素生産ユニットのように、炭素割当取引システムの範囲内で操業している。排出権取引制度の範囲内で操業しているユニットからのスコープ1排出量の割合は、スコープ1排出量の47.9%に相当する。生物由来CO2排出量は、以下のスコープごとに別途個別に報告されている。
以下の表は、グループの各地域における排出量のシェアである。
| 2024 | 2025 | |||
| 地域 | スコープ1(ktCO2eq) | スコープ2(ktCO2eq) | スコープ1(ktCO2eq) | スコープ2(ktCO2eq) |
| 欧州・アフリカ/中東/インド | 6,840 | 9,809 | 6,775 | 9,305 |
| 南北アメリカ | 6,894 | 2,660 | 6,715 | 2,673 |
| アジア・太平洋 | 1,135 | 7,595 | 1,100 | 7,622 |
本報告年度の当グループのGHG排出原単位(売上高に対するGHG総排出量)は、売上高269億4020万ユーロを基礎として、マーケット基準手法では2,169.3tCO2eq/m€、ロケーション基準手法では2,154.7tCO2eq/m€となっている。
スコープ1
エア・リキードのスコープ1排出量の大部分は、水素製造及びコジェネレーション設備からのものである。スコープ1排出、これらのユニットで消費される原料や燃料(主に天然ガス)と、その製品の炭素含有量の差である。この情報は、グループの産業報告の一部として報告される。当グループの産業報告の対象となる閾値を下回る生産部門は除外され、その消費量とCO2排出量はごくわずかであるとみなされる。また、エア・リキードはトラック車両における燃料の燃焼による直接排出や、CO2及び亜酸化窒素生産設備からのガス損失も計上している。
スコープ1のGHG排出量に含まれない生物由来CO2の直接排出量は265ktCO2eqである。これは主に、バイオマス又はその派生物を使用する生産設備からの漏洩に伴う排出である。
規制された排出量取引システムに属する施設からの直接CO2排出量の算定と公表に関しては、GHGプロトコル企業会計報告基準に準拠した同一の算定方法論が適用される。これに対し、対応する排出量取引システムが採用する手法は統一されておらず、場合によっては直接排出の定義そのものを満たさないため、適用されない。このようなローカルな方法論の適用は、バリューチェーン全体で発生するCO2排出量の算定と、スコープ1、2、3間での報告に歪みと不整合をもたらす。
スコープ2
スコープ2排出量の「マーケット基準」算定に関しては、 排出係数は契約情報から直接算定される。信頼できる情報(契約上、あるいはサプライヤーの生産構成に関する情報)がない場合、事業所の電力供給の全部又は一部が送電網からのものである場合、ベストプラクティスに従い、残余の排出係数が使用される。残留比率に関する信頼できるデータがない場合は、グリッド排出係数を使用し、後者が排出量の約25%を占める。「マーケット基準」会計は、電力供給に関する当グループのイニシアチブ、特に再生可能自主的な供給を、当グループのスコープ2排出量に反映させることを可能にする。スコープ2「ロケーション基準」排出量の会計処理については、国際エネルギー機関(IEA)が公表し、定期的に更新される国内ネットワークの平均排出係数を使用している。電力と蒸気の消費量に関する情報は、当グループの産業報告の一部として報告される。
上記で報告されているスコープ2排出量には、原産地保証(GO)、再生可能エネルギー証書(REC)などの契約手段の使用が含まれている。以下の表は、当グループで使用されている契約手段の詳細を示している。
| 付帯/非付帯契約商品 | 2024(%) | 2025(%) |
|---|---|---|
| スコープ2のGHG排出量に関連する、発電に関する属性情報が付帯されたエネルギーの売買に使用された契約手段の割合 | 82 | 84 |
| スコープ2のGHG排出量に関連する、属性情報が付帯されていないエネルギーの売買に使用された契約手段の割合 | 18 | 16 |
電力消費と関連する間接的なCO2排出量は、エア・リキードがこのエネルギーのコストを支払う場合にのみ、スコープ2において考慮される。エア・リキードがエネルギーコストを支払わない場合、間接的なCO2排出量は、スコープ3のカテゴリー13で推計、認識される。間接的なCO2排出は、スコープ3全体の9%を占める。
当グループが、ASUを利用している国にコジェネレーション設備を持っている場合、これらの設備で消費される電力からの間接排出量は、自家消費を考慮して調整される。
スコープ2のGHG排出量に含まれない間接的な生物由来CO2排出量は、696ktCO2eqである。これは、バイオマスやその派生物を使用した電力消費に由来する。
スコープ3
スコープ3は、当グループのバリューチェーンに沿った活動に起因する間接排出、特に、当グループの活動やビジネスモデルとの関連性において最も重要な排出源を対象とする。重要な排出源は、GHGプロトコル・コーポレート・バリューチェーン・スタンダードの推奨事項に従って特定・認識される。
間接排出の最も重要な排出源(スコープ2排出を除く)は、上流のエネルギーに基づく原材料に関連する間接排出(特に天然ガス)、購入燃料の生産に関連する間接排出、上流の購入電力及び蒸気に関連する間接排出、ネットワーク損失(カテゴリー3で報告)、固定資産を含む財・サービスの購入に関連する間接排出(それぞれカテゴリー1と2で報告)、及びそれ自体が温室効果ガスである製品の使用に起因する間接排出(カテゴリー11で報告)である。当グループのユニットで消費され、当グループが顧客から供給された電力料金を支払っていない電力の生産に関連する間接排出は、重要な排出とみなされ、カテゴリー13に計上される。輸送サービスを外部に委託している場合、工場と顧客間の製品の陸上輸送による排出量は、カテゴリー4に計上される。報告される排出量は、当グループの業務管理システムから得られる産業データに基づいて算出され、様々な排出源からの排出係数を乗じている。当グループは、カテゴリー5、8、9、10、12、14、15の排出量を報告していないが、その理由は、当グループがそのカテゴリーに含まれる間接排出量を持たないか、又は、当該排出量が重要ではなく、信頼できる推計システムを持たないためである。
カテゴリー1、2、4、6で報告される財・サービスの購入に関連する排出量については、購入金額の一部が十分に定義された項目に割り当てられていないため、対応するCO2排出量(スコープ3の総排出量に含まれる)の見積もりを完了するために、平均排出係数を割り当てた。当グループの購入額のうち、少数の一部は連結対象外で計上されている。平均的な排出係数を用いて推計した、これらの費用に対応する排出量は、調達に関連する排出量の5%未満と見積もられる(スコープ3の排出合計から除外)。
2024年において、当グループはまた、エンジニアリング&テクノロジー部門による第三者への設備販売に関連する排出量の取扱いを明確化する必要性を認識した。2024年下半期に開始された作業は2025年も継続され、外部顧客に販売された設備及びプラントの使用に関連する排出量をどのように計上すべきかについて理解を深めた。この作業の結果、当グループが販売する各種設備のうち、設備の耐用期間にわたり相当程度の排出を生じ得るユニットの初期的な分類が行われた。直接排出が大きい設備は、水素製造用リフォーマーのみであり、その実際に計上すべき排出量は、CO₂回収システムの設置の有無、又は原料中の炭素の一部が製品(例:一酸化炭素、メタノール)として回収されるか否かに依存する。当グループは、これらの情報を顧客から常に取得できるとは限らない。一方、間接排出が大きくなる可能性のある設備としては、空気分離装置、液化設備、Cryocap™ CO₂回収装置及び電解装置があり、これらの間接排出量は稼働時の電力消費に関連する。顧客に販売された設備における電力の炭素強度、ひいては当該設備の耐用期間にわたるCO₂排出量は、当該設備の電力調達戦略に依存するが、これは地域の電力ミックス、製品の用途(一部の設備は低炭素ガスの生産を目的とする)、さらには顧客の全体的な気候移行計画によって左右されるものであり、これらの情報は当グループが把握していない。2026年には、当グループは、設備の運転プロファイルや設備の耐用期間中に顧客が計画する脱炭素投資に関する具体的情報の不足という課題に対処しつつ、販売する各種設備及び各種販売形態に対応した排出量モデルの開発に向けた取組みを継続する。
2025年には、当グループは、同社が販売するフッ素化ガスの用途に関する理解をさらに深めた。これら製品の販売は売上高の0.5%未満である。さまざまなガスが半導体産業の多様な用途向けに顧客へ供給されており、エッチングガスとして使用された後、通常はプロセス終了時に分解される。当グループは、より地球温暖化係数の高い分子を代替するため、本分野向けに独自の製品群(enScribe™シリーズ)を開発している。産業用途としては、主に高圧遮断器における安全管理用途があり、この場合ガスは閉じ込められて使用されるため、漏えい排出は次第に禁止されつつある。また、研究機関、特に粒子加速器やマグネシウム産業においても多様な用途が存在する。電子産業向けに供給されるフッ素化ガスに関しては、当グループは当該分野の専門家にアプローチし、各種ガス及び用途ごとに適用すべき削減率の特定を進めるとともに、他の産業用途における再排出率の精緻化に向けた取組みを継続している。これらのパラメーターは情報源によって大きく異なる。2026年には、当グループは、(i) 用途別の削減率推計に関する方法論の整備、(ii) ガス別及び用途別の数量を把握するための報告プロセスの高度化を通じて、さらなる精緻化を進める予定である。現行の情報システムでは、このような粒度のデータは把握されていない。
主要な情報源から算出したスコープ3排出量の割合は、スコープ3排出量の71%を占めている。当グループ内では、この割合は、直接収集されたデータに関連するスコープ3排出量を反映しており、測定値の推定値や外挿値は含まれない。直接測定の対象となるカテゴリー又はサブカテゴリーは、カテゴリー1(HyCOユニットの原材料に限定)、カテゴリー3、カテゴリー11、及びカテゴリー13(オンサイトユニットを除く)である。
スコープ3の温室効果ガス(GHG)排出量に含まれていない間接的な生物起源のCO2排出量は、539ktCO2eqである。このデータは、バイオメタン生産時に販売された製品の使用、及びバイオマス又はその派生物から発生したCO2から得られている。
排出係数と地球温暖化係数
排出係数は、一次産業データ(燃料や電気の消費量、漏洩による排出量など)をCO2相当量に換算するために使用される。規制で明示的に使用すべき情報源が指定されていない場合、ランキングが適用される。優先されるのは以下の情報源である。
■ 国際的に認められた情報源
■ 関連するISO規格で提供されている値
■ 国家レベルで基準を定める機関/規制機関(ADEMEなど)
エネルギー消費指標
エネルギー消費量の報告範囲は、連結財務諸表と整合し、スコープ1及び2の排出量報告範囲と類似している産業別報告範囲に基づいている。報告されるエネルギー消費量には原材料消費量は含まれていない。
産業報告で設定されている閾値を下回る非常に小規模な単位での電力消費量は報告されていない。当グループで消費され、報告されていないエネルギーを合計すると、当グループのエネルギー消費量の0.5%未満と推定される。エア・リキードが電気料金を支払っていない産業部門で消費された電気は、報告された電気(及び総エネルギー)消費量から除外される。しかし、業務管理の目的で内部的に報告されており、5,012,202MWh(グループ全体のエネルギー消費量の約7%)に相当する。対応する間接的なCO2 排出量は、スコープ3のカテゴリー13で報告される。この方法は、主に産業ガスの生産と供給を行っている企業では一般的な方法であり、読者はこの分野の数値を比較することができる。
エネルギー生産に関して、エア・リキードは、非再生可能エネルギー生産を重要、再生可能エネルギー生産を非重要と考えている。エア・リキードの施設にはソーラーパネルが設置されているが、当グループは、ソーラーパネルが電力消費全体に大きく寄与しているとは考えていない。非再生可能エネルギー生産は24,928,884MWh(熱及び電気)であり、これはHyCO及びCOGEN生産ユニットにおける電気及び蒸気の生産に関連する。水素製造装置で生産される蒸気の一部は、タービンの駆動と発電に使用されるため、二重計上を避けるためにこの合計から除外されている(熱1,943,294MWh)。
エア・リキードは、NACEコード20.11(産業ガス製造)を主な事業活動としており、グループ統合されているため、気候への影響が高いセクターとみなされ、これ以上の集計は行っていない。従って、エネルギー消費量とエネルギーミックスに関する数値は、全て全体に関するものである。これに基づき、当グループのエネルギー原単位は、気候変動への影響(純収益あたりの総エネルギー消費量)が大きい部門の活動のエネルギー原単位と同等となる。基準年である2025年のエネルギー原単位は、2,512.03 MWh/m€ となる。
2025年の再生可能エネルギーによる電力消費9.5TWhで、2024年(1)と比べて6%増加し、当グループによる電力購入量(2)の25%に相当する。
2025年の再生可能エネルギーと電力消費量は15.3TWhである。再生可能エネルギー及び原子力による電力供給は、上記「イ(オ)気候指標」に記載のとおり、当グループがスコープ2排出量を削減するために実施している主要な手段である。
(1) 当グループが報告する2024年の再生可能エネルギー電力消費量:8.9 TWh。
(2) 一部の空気分離装置の駆動に使用される蒸気を含むが、当グループのコジェネレーション装置で生産され自家消費される電力の消費は含まない。
ウ 水管理
(ア)はじめに
水管理に関するトピック:影響、リスク、機会
当グループは、世界中にあるすべての事業と事業所における、水に関するトピックを分析している。事業や事業所は、いずれも海や大洋には関連していない。したがって、この分析では、水に関する影響、リスク、機会のみを特定し、海洋資源に関する影響、リスク、機会については特定しない。水はしたがって当グループとそのバリューチェーンにとって重要な課題であるものの、海洋資源は、当グループの活動の上流及び下流には関係ないと考えられる。サステナブル調達手続は、最も重要なサプライヤーに対して、持続可能な開発基準に基づいて実施される。この手続は、環境(したがって水も対象となる)に関する事故のリスクを監視し、バリューチェーンにおける継続的改善の一環として是正措置計画の適用を推進することを目的としている。
「水」に関する利害関係者の関心に配慮する方法は、上記「(1)エ(エ)利害関係者の関与」及び「(1)オ 影響、リスク、機会」に記載されているダブル・マテリアリティの箇所に詳述されている。
当グループはその活動において水に依存している。当グループで使用される水の主な用途は2つあり、1つは原料として(蒸気の製造など)、もう1つは冷却システムとしてのものである。主な用途は、以下の当グループの活動である。
■ 空気分離装置(ASU)は総消費量の50%を占め、水は、冷却塔/熱交換器に使用される。
■ 水素製造装置は総消費量の約20%を占め、水が原料や冷却材として、あるいは水蒸気メタン改質(SMR)や電解プロセス(ELY)で使用される。
■ コジェネレーション設備は、総消費量の20%未満を占め、蒸気の生産に水が使用される。
水の不足、水質の悪化、使用に対する規制の制限、又はコストの上昇は、エア・リキード製品の顧客への安定供給に対するリスクとなる。これらのリスクはプラントの効率や信頼性に影響を与え、直接的な生産コストを増加させる可能性がある。そのため、水質に関する規制に沿った最低要件が当グループの基準に定められている。
当グループは、2つの方法で水資源にネガティブな影響を及ぼす可能性がある。
■ 事業所における取水と消費に関連するもの:取水は、当該事業所の特殊性に応じて、さまざまな影響を及ぼす可能性がある。人間や生態系のさまざまな需要を満たすために水が取水される地域は、利用可能性、水質、アクセスに制約があり、水が不足する恐れがある場合に、水ストレス地域と呼ばれ、当グループによって綿密に監視されている。このような地域では、異なる用途や利用者の間で水をめぐる対立が生じる可能性がある。さらに、取水の影響を評価する上で重要な現地のパラメーターは、貯水量の更新率である。水の消費量は取水量と排水量の差を表す。エア・リキードグループの水消費量は、取水量の6%に相当する(取水量の94%は水源に戻されている)。さらに、当グループは、水使用量を削減するため、水ストレスのある地域を優先した水管理計画にイニシアチブをとっている。
■ 使用後、生態系に戻される水の水質に関するもの:生態系に放出される水の水質と仕様は、汚染物質や汚染物質の存在、又は、温度が生態系への直接的・間接的な汚染とダメージを引き起こす可能性があるため、当グループの事業による影響を評価する上で重要である。2023年9月以降、産業廃水のサステナブルなモニタリングと管理に関する技術基準が策定され、当グループの各事業体に周知され、この基準を展開する段階が進行中である。
当グループの活動は、技術的・運営上の経験、規制、業界のベストプラクティスに基づいて体系的に見直される。操業認可のため、あるいはエンジニアリング調査の過程で、特別な追加調査がされることもある。さらに、当グループの事業は、世界資源研究所(WRI)が提案したツール「Aqueduct 3.0(1)Water Risk Atlas」を参照し、その事業資産が水ストレス地域にあるかどうかを確認している。エア・リキードは、2022年に特定された年間50,000m3以上の取水を行う75の事業所で、水ストレスが高い、又は非常に高い地域、乾燥地域(「ベースライン」シナリオの「水ストレス」指標を使用し、Aqueductバージョン3.0ツールにより定義される)に所在する事業所に特に注目している。この場合、2022年から2025年の間にこれらの拠点の100%が水管理計画を策定することを目標とした2025年目標は、本年度に達成された。これらの計画には、関連するリスク及び対応策が含まれており、具体的には、主要な水源が不足した場合に備えた代替水源の確保、水使用設備の更新による消費の最適化、水処理設備の高度化等が挙げられる。水への影響と依存度は測定され、多くの指標(報告のために作成された基準に明記されている)を報告する必要がある。
エア・リキードは、サステナブルな開発に関する問題について、株主、格付機関、金融市場と定期的にコミュニケーションをとっている。投資家のコミュニティにおいては、エア・リキードグループの水管理に対する姿勢やアプローチに対する関心が高まっている。
エア・リキードは、特にオペレーション部門、事業開発担当者、HSEチーム、リスクマネージャー、購買チーム、また該当する場合はエネルギー、広報、コミュニケーションチームに対し、水に関する社内研修を実施して意識を高め、最新の基準や手続を周知している。オペレーショナルリスクマネージャーは、あらゆる利害関係者からの要請に応えるため、水リスクアセスメントに関する当グループの産業専門家による特別な研修と支援を受けている。
エア・リキードは水資源管理団体が主催するイベントに参加し、水の消費と汚染を最小限に抑える戦略や技術の採用を奨励している。より一般的には、水管理はエア・リキードが他の環境・社会問題と並んでNGOと関わるテーマのひとつである。エア・リキードは国連グローバル・コンパクトの10原則に取り組んでいる。
(1) 公開されたAqueduct4.0は、2026年以降の水管理計画を構築するために使用される。
(イ)水管理方針
2021年、エア・リキードは当グループ従業員が閲覧できるブルーブックにおいて、社内水管理方針を発表した。この方針は、エア・リキードの活動が水の利用可能性と水質に及ぼす影響と依存関係を明らかにし、水リスク管理の原則を定義するものである。その実施に関するプロセスは、執行委員会の監督下にある。
エア・リキードの活動における主な水管理リスクは、潜在的な水の利用不能であり、その結果、生産ユニットの減速や停止につながる可能性がある。本項で示される水管理方針の公表は、取水及び使用に関するリスク管理方法を記述している。各子会社の経営陣は、その実施について責任を負う。
この方針は、エア・リキードの活動が水の利用可能性に与える影響を明らかにするものである。この方針は、各事業所の状況を具体的に評価した上で、リスク管理の基本原則を定めている。適切な水管理を確保するために、主要原則に基づき、監視すべき一連の指標を含め、実施に必要な行動を記述している。最後に、利害関係者のコミットメントの要素を詳述し、地域の制約と機会を考慮した水使用の包括的な管理を実現するため、常に最も厳しい適用要件と規制を遵守する。
エア・リキードの方針は、以下を目的とした水管理の主要原則を定めている。
■ グループの安全で信頼できる効率的な運営のために、適切な規格を満たす水の供給を保証する。
■ 事業とサプライチェーンにおける水のサステナブルな管理を確保することにより、人々と環境を保護する。
この方針は、特に以下の点をカバーしている。
■ 水資源の利用不能に伴う影響及びリスクの管理。水不足地域にある子会社が運営するすべての事業に対して、水使用量の削減、関連パラメーターの管理とモニタリング、利害関係者との連携による水管理計画を含む、主要な行動を網羅した水管理計画を強化する。
■ 水の使用と管理に適用可能な最善の技術を考慮に入れた、卓越した事業運営。特に、水処理、取水と消費、排出水の品質、当グループが事業展開するバリューチェーンにおける利害関係者のコミットメント。とりわけ、当グループは、排水の品質を管理・監視するための新しい技術基準を公表し、当グループの全ての事業活動を網羅するコーポレートの産業管理システムに組み込んだ。
エア・リキードの水管理方針は、利害関係者との話し合いの際、水管理方針の主要原則を使用して、当グループが水管理方針に従っていることを説明するよう定めている。
■ 水使用量の完全な理解
■ 水不足のリスクとそれに伴う緩和策を評価するためのメカニズム
■ 環境へ排出される水が、当グループが事業を行っている生態系を汚染しないことを保証する基準
エア・リキードは主に顧客から提供された水を使用している。したがって、顧客との緊密な効果的な水管理に不可欠である。水が顧客から供給されるものであれ、他の水源から供給されるものであれ、水質が不十分なことによって当グループの活動に影響が出た場合の罰則、場合によってはエア・リキードの拒否権の行使を決定するために、契約は、供給される水の水質が明確に定義されていることを保証しなければならないこととしている。新規の大規模設備投資デュー・ディリジェンスの一環として、特に顧客が水不足地域に所在している場合、ラージ・インダストリー事業や工業事業、エレクトロニクス事業の大規模プラントと同様に、水関連リスクに対する事業所のエクスポージャー分析を体系的に実施する必要がある。
エア・リキードは、当グループのサプライヤー選定プロセス及びサプライヤーとの商取引関係を通じて、サプライヤーと協力して水関連のリスクと影響を評価している。特に、エア・リキードグループは、サプライヤーに対し、その製品やサービスが地域の水質に与える影響を最小限に抑えるよう求めている。エア・リキードのサプライヤー行動規範では、サプライヤーに対し、天然資源と生物多様性の保全に努め、製品、プロセス、サービスをより環境に優しいものにするために継続的に改善する努力をすることで、環境への悪影響を回避又は最小化するように、その事業活動とサプライチェーンを構築することを求めている。エア・リキードは、当社の期待に応えられないサプライヤーに対し、評価を行う第三者プラットフォームを通じて、是正措置計画の証明書類を記入し、アップロードするよう求めている。
エア・リキードは、水と衛生に対する人権を尊重し、また、気候変動や生物多様性に対する人間活動の影響など環境問題との関連性を尊重する。気候変動が現在の気象条件を脅かす中、産業が水に与える影響は、より重要である。エア・リキードは、特に水不足地域における水使用量を削減するため、製造拠点におけるデータ収集の改善や、より直接的な水管理を行うための様々なイニシアチブ(水管理計画など)を実施している。エア・リキードは水関連リスクに直面し、水使用量の多い事業所を優先しているが、水管理の継続的改善の範囲はグループの全事業に及ぶ。
当グループの環境影響のモニタリングは、エア・リキードの産業報告管理システムで設定された報告基準を満たさない非常に小規模な工場を除き、すべての事業活動を対象としている。水に関する報告範囲は、エネルギー報告で使用される範囲に合わせるべきである。その結果、以下の活動では、水関連指標を監視し、報告する必要がある。
■ ラージ・インダストリー事業システムに含まれるすべての工場(特にコジェネレーション、HyCO、空気ガス)
■ 工業事業の生産活動(CO2の生産、N2Oの生産、C2H2の生産)
■ 工業事業用シリンダーの耐圧試験(水圧試験方式を使用する場合)
■ エレクトロニクス事業と特殊素材事業からの化学品製造
■ エンジニアリング&テクノロジー部門における製造活動
■ 研究開発センター
■ 関連性があれば、その他の活動
水関連の影響、リスク、機会の特定、評価、管理は、当グループレベルで定義され、水を使用する現地の施設や事業所をサポートするため、子会社内でローカルに展開される。そのため、影響とリスクの詳細な分析は、事業所や活動が所在する地域の期待に応え、課題に対応するために、現地で実施される。機会は事業開発者によって特定され、主に産業ガスを使用した水処理ソリューションに関連している。
特定作業は、当グループが事業を展開する事業所のマッピングと、関連する水リスクの明確な評価、及びマッピングの更新と関連リスクのモニタリングのプロセスを用いて行われる。各事業体は毎年、当グループの支援と勧告を受けながら、すべての事業活動についてこのリスク評価を見直す。水不足地域における新規投資や既存施設の大規模改修については、投資プロセスにおけるデュー・ディリジェンス・プロセスの評価に水関連リスクを含めることで対応している。社内の投資プロセスでは、プロジェクトの性質と規模に応じて評価基準を設定している。これにより、特に将来の気候変動シナリオの下で水ストレスのリスクにさらされている、又は、さらされる可能性のある場所での水関連リスクの適切な保証がされるとともに、取水、消費、水質への影響を最小限に抑えるために技術が適切に使用されることを保証するための明確なプロセスも保証される。
当グループは、水関連のリスクと影響の管理方法を詳述した関連する技術基準や手順を用いて評価を実施している。これらはまた、水の利用可能性を評価する方法論など、具体的な行動計画を策定するための枠組みにもなる。水の影響とリスクの管理は子会社レベルで行われる。水関連業務指標のモニタリングと報告に加え、子会社にはリスク管理プロセスの一環として、水ストレスの高い地域や特定の水問題を抱える地域に所在する施設のマッピングを維持することが義務付けられている。水を使用する施設や事業所は、ローカルレベルで、影響を受ける利害関係者と水に関する体系的な対話を展開する責任を負い、水管理の改善を支援するために、当グループの専門家の技術的助言の恩恵を受ける。さらに、子会社は、水に関する影響、リスク、機会がサステナブルな調達プログラムに完全に組み込まれるようにしなければならない。
(ウ)水管理活動
現段階では、当グループは、自らの事業における水使用量を削減するために事業体によって実施された行動計画や、バリューチェーンの利害関係者と現地で交わされたコミットメントを統合的に監視していない。これに対応する財源は、当グループでは特に監視しておらず、産業ツールのメンテナンス作業と継続的改善に割り当てられた財源の一部である。将来的には、当グループは最も重要なプロジェクトに関する報告と監視システムを設ける予定である。
社内で作成され、公開されている「サプライヤー行動規範」を通じたサプライヤーやビジネスパートナーの評価は、当グループの水管理方針や目標との整合性を反映させるために定期的に更新される。
前記箇所に記載のとおり、当グループの方針は継続的に改善されており、各子会社で従うべき事業の卓越性と責任ある経営の主要原則を定めている。
■ 水に関する影響と依存をモニタリングし、報告すること。この方針に準拠していない施設については準拠を達成するために必要な適切なメーター、分析、水処理設備の設置を提供する。
■ 漏水評価を実施し、必要に応じて改善計画を策定する。
■ 安全で効率的な生産を保証し、プロセス運転を最適化し、水の損失を削減しながら、淡水の取水と消費を可能な最小限に抑える。
■ 設備のオーバーホールや大規模な改修を計画する場合、淡水の摂取量と消費量を削減するため、あるいは放出される水の質を改善するために設備を変更する必要性を評価する。
■ 廃水を最小限に抑え、回収した水を他の用途に最大限利用できるようにする。
■ 当グループの事業から放出された水の水質を評価するため、放出された水の水質測定と分析を、現地の規制に従った頻度で実施する。
■ 放出される水に含まれる汚染物質を最小限に抑え、放出される水が、関連する現地の基準及び他の現地の利害関係者、特に日常生活や事業活動のために水に依存している人々の期待に適合するようにする。
エア・リキードは水ストレスのある地域において、以下に詳述する目標行動を実施している。
各施設や事業所では、その管理者が水関連指標の監視と管理に責任を持ち、指摘された場合には是正措置を指示する。効率化対策は是正措置の一部であり、クラスターの産業部門の技術専門家の支援を受けながら、管理者の役割と責任に完全に組み込まれている。施設又は事業所の管理者は、以下の責任をもって任命された水質管理者の支援を受ける。
■ 以下の点を確実にする。
- 水質を監視・管理する計画がある。
- 計画を実施するための組織と責任を定める。
- 十分なリソース(人材、ツール、トレーニングなど)が確保されており、特に、測定計画の定義には、専門知識を有する担当者が割り当てられている。
- 顧客とのコミュニケーションチームは、関連する詳細な水の仕様と要求事項を収集する(顧客から、又は顧客へ、水を取水又は排出する施設について)。
- 水質計画は、改善の機会を識別するために定期的に見直される
■ 水質計画が要件を満たしていない場合、事業所管理者に是正措置を講じるよう指示すること
水ストレスのある地域(季節的な水ストレスのリスクがある地域を含む)では、子会社は、取水又は使用のリスクを考慮し、関連するすべてのリスクと緩和措置(例えば、一次水源の不足に備えた二次水源の開発、水の使用量と消費量の最適化、水使用量削減のための水処理設備及び水使用設備の改修など)を網羅した、文書化された水管理計画を作成することが義務付けられている。
産業用水管理計画には、以下の要素が含まれる。
■ 一方では、水使用効率の評価を実施し、水ストレスの高い地域で集中的に水を使用する事業における取水リスクの低減と、識別された改善策の実施を目指す。
■ 他方では、当グループの産業管理システムに適用される水基準を確実に遵守し、特に、排出水の品質管理に関する事項に重点を置く。
当グループ事業所では、定期的に水使用効率の評価、すなわち水システム(回路、設備、機器など)及び関連システムやサブシステムを対象とした現場監査を実施している。
この評価は、
■ 1人又は複数の水管理技術専門家によって率いられる。
■ 設備やプロセスに関するさまざまな専門分野(オペレーター、メンテナンス・スペシャリスト、プロセス・オーナーなどを含む)をカバーできるチームに頼ることができる。
■ 水システム(回路、機器、計器など)、及び当該プラントや施設のシステムやサブシステムを対象とする現地監査が含まれる。また、工場や施設のシステムやサブシステムも対象となる。
■ 水ストレスに関するリスク(水不足や水質問題が経営に影響)に対処する。
■ 当グループレベルで定義され、伝達されるリスクと手段を考慮に入れる。
過去3年間に水リスクアセスメントと産業監査がされた場合、特定されたリスクと対策に対処していれば、追加アセスメントは必要とされない。
(エ)水管理目標
上記の主要原則に従い、以下の2つの水管理目標を当グループレベルで設定し、その実施を確実にするための具体的な行動を求めている。
■ 水不足地域における事業:取水又は使用に関連するリスクに対処する文書化された水管理計画を実施する。2021年末に当グループが自主的に設定したこの目標の進捗状況は、2025年末まで毎年モニタリングされ、2022年に特定された75事業所の水管理計画が100%完了することが必要である。当グループは、水需要の削減という目標を定量化していないが、それでも将来的には、すべての重要な事業所がそのような行動計画を持つようになると予想される。当グループは、2025年以降の期間を対象として、「Aqueduct 4.0」ツールを用い、水ストレスの高い地域に所在する事業所リストの更新及び定量的目標の設定に取り組んでいる。水管理計画は、事業所の評価、水使用量削減に向けた施策の特定、並びに現地規制に従って当グループが使用する技術基準の遵守に重点を置いている。今後は、事業継続計画や利害関係者の関与する計画(上記参照)を策定することで、取組みの範囲を広げることを目指している。
■ すべての事業:排出水の水質パラメーターが取水した水と同じであることを保証するために、文書化されたプロセスと手順を導入する。2023年以降、エア・リキードの水管理技術基準は強化され、グループの全活動に適用される。これらの基準を当グループの全活動に展開し、水不足拠点を優先させることを目標としている。各事業体は、この目標に向けた進捗状況を毎年モニタリングする責任を負っている。排出される水の質は、当グループの事業及び営業許可にとって重要なパラメーターである。したがって、エア・リキードが自ら設定したこれらの目標は水リスク地域の優先順位付けと、水管理における当グループの重要な影響に関わるものであり、それぞれ以下のような行動を通じて行われる。
■ 排出水の水質管理・監視に関するすべての活動において、利用可能な最高の技術基準を導入する。これにより、水質汚染のリスクを回避することを保証する。
■ 水リスク地域に立地する施設や事業所に対する最低限の技術的要件を強化し、これらの優先的立地に対する水管理計画を展開する。
エア・リキードの方針で定義されたすべての目標は、当グループの規制と技術基準を考慮し、最も厳しい適用要件に沿ったものである。
(オ)水管理指標
水管理に関する指標は、以下の表にまとめられている。
| 2024(a) | 2025 | |
|---|---|---|
| 総水使用量(m³) | 82,971,976 | 83,562,343 |
| 水リスクの高い地域での消費量(b)(m³) | 11,746,836 | 12,577,526 |
| リサイクル及び再利用された水の総量(c)(m³) | 1,213,189,025 | 1,018,519,146 |
| 水量強度比 (m³/M€ ) | 3,080 | 3,102 |
| 直接測定による消費量のシェア(%) | 23% | 33% |
(a) グローバルな報告方法は、当グループの産業事業所の技術的特性に整合させるため、2025年に改訂された。これらの改訂に基づき、総水消費量、総リサイクル・再利用水量、及び水強度比について修正が行われた。その結果、処理済水の総消費量は2024年に報告された1億m³に対し8,300万m³となり、また、取水されたリサイクル・再利用水量の総計は2024年の3億9,900万m³に対し12億1,300万m³となっている。これらの修正は主として、一部の産業資産について、顧客の冷却システムと統合された冷却回路を有する設備の再分類に起因するものである。
(b) 水ストレスが高い又は極めて高い地域及び乾燥地域において、水消費は、水管理計画の実施に際し「Aqueduct 3.0」ツールを用いて2022年に当初特定された75の事業所に関係するものである。当グループは、2025年以降の期間を対象として、「Aqueduct 4.0」ツールを用い、水ストレス地域に所在する稼働事業所のリストの更新に取り組んでいる。「Aqueduct 4.0」ツールを用いた場合、2024年の水消費量は2,600万0,846m³、2025年は2,740万6,246m³となることが示されるが、これは2022年以降、水ストレスが高い又は極めて高い地域及び乾燥地域に該当する事業所数が増加したことによるものである。
(c)再利用水:水は設備プロセスの境界外に排出された後、同一設備内の異なるプロセスにおいて少なくとも1回再利用されるものをいう。リサイクル水:水は同一設備のプロセス内で複数回使用され、外部に排出されないものをいう。
総水使用量は、報告データの連結段階で当グループが行った、総取水量と総排水量の差分を算出したものである。取水量及び排水量のデータ源(直接測定、サンプリング測定、外挿、最良推定値)は、グループ内の手順に従って、報告ツールに事業所ごとに表示される。
2025年においては、2024年と比較して、以下の点が確認された。
■ 水リスク地域における消費量の増加。これは、水素製造ユニットにおいて生成される蒸気の生産量の増加に起因するものである。
■ 開放系回路における水使用量の減少に伴い、リサイクル水及び再利用水の量が減少した。
エ 汚染
(ア)影響、リスク、機会
上記(1)オ「影響、リスク、機会」に記載されているダブル・マテリアリティ評価によると、公害は当グループの活動及びバリューチェーンにとって重要性がない。水質汚染やエネルギー消費に関連する汚染など、いくつかの具体的な汚染については、上記「ウ 水管理」と上記「イ 気候:温室効果ガス排出」で取り上げている。また、このトピックが重要でない場合であっても、当グループは責任ある企業として、事業活動に伴う公害の影響を低減するために行動している。
大気汚染は、主に燃焼プロセス(HyCO、コジェネレーション)とエレクトロニクス事業から発生するが、これらの排出の影響は、主にこれらのガスの温室効果に関連しており、ESRS E1ですでに報告されている。水質汚濁については、上記「ウ(イ)水管理方針」と上記「ウ(ウ)水管理活動」に記載されている。土壌汚染は、当グループの重要課題として浮上しなかった。
エア・リキードの事業による、実際の、そして潜在的な影響と汚染関連リスクを特定するため、事業所と営業活動を評価するプロセスは、当グループの環境手順で正式に定められている。この手順の内容は、各事業所又は子会社の健康・安全・環境(HSE)マネージャーによって管理される。
汚染リスクの初期評価は、各事業所及び子会社に適用される規制の一覧を通じて行われる。環境規制の一覧は常に最新の状態に保たれなければならず、適用される各規制の地域的な適用範囲、その最新の更新情報、規制対象の環境要素、規制対象の工場設備、性能目標又は要求される技術、そして最終的に製造工場が環境手順及び近い将来発効する規制に準拠しているか、現在の状況を確認する必要がある。場合によっては、地元当局が発行する運営許可証が、事業所の立地による重大な汚染の側面を列挙することを要求することがある。このアプローチは、別の当グループ手順書に記載されている産業規制のモニタリングを補完するもので、100%の子会社に指定管理者がいる。
汚染の影響とリスクに関する第2段階の評価は、特定の主要事業(アセチレン、ASU、CO2、コジェネレーション、HyCO、N2O、エレクトロニクス事業、エンジニアリング&テクノロジー、売上高の75%以上)について、欧州産業ガス協会(EIGA)などの国際的な専門家団体の提言に基づき実施されている。これらの技術それぞれについて、主なリスクと影響が列挙され、子会社はこれらをモニターする必要がある。
最後に、HSE方針とそれに関連する行動計画の作成を通じて子会社レベルで評価が実施される。環境リスクの最小化と軽減は、このような方針の重要な原則であり、まず規制を積極的に遵守し、次に汚染の予防、事故の削減、コンプライアンス違反や規制違反の削減を目指す。既存の事業所については、少なくとも5年ごとに実施される分析が、内部手順書に記載され定義された機能を持つ事業支援チームによって実施され、事業所の観察に基づいていなければならない。この手順書には、環境分析を行う際に考慮すべき環境問題の最小限のリストが記載されている。
新規プロジェクトについても、類似設計のプラントの既存の環境側面や、入手可能なプロジェクト文書に基づき、分析を実施すべきである。社内手順では、汚染リスクに関する学際的な視点を確保するために、環境分析は社内の部門横断的なチーム(具体的な機能は手順に記載されている)によって実施されることが規定されている。協議は、事業所に関する文書情報と事業所アセスメントに基づいて行われる。新設プラントについても同様のプロセスが存在する。
公害に関連する機会は、当グループの顧客が、公害の面で受ける影響を軽減できるような革新的な製品を展開することにある。これらは、市場調査を通じてマーケット担当マネージャーが分析する。重要な機会が発生した場合、可能性をさらに評価するための開発プロジェクトや、商業化のための製品開発につながる可能性がある。当グループ自身の事業では、公害に関連する機会の体系的な分析は行われていない。
バリューチェーンの上流及び下流における影響、リスク、機会を検討するプロセスは、上記「(1)エ(エ)利害関係者の関与」にあるように、利害関係者の意見聴取を通じて実施される。エア・リキードは、環境の問題に関するすべての外部利害関係者の定期的な関与を促進し、当該環境の議題が問題となっているかどうかにかかわらず、同じ協議プロセスを適用する。
オ 生物多様性と生態系
(ア)影響、リスク、機会
上記「2(1)オ 影響、リスク、機会」に記載されているダブル・マテリアリティ評価によると、生物多様性のトピックは、エア・リキードにとって重要性がない。しかしながら、責任ある企業として、当グループは、特に気体、液体、固体の排出を管理するための方針と手順、水管理方針、カーボンニュートラルと温室効果ガス排出削減へのコミットメントを通じて、生物多様性への影響を低減するよう努めている。
2022年(2024年に更新)、当グループはI Care & Consult Group(生物多様性分野を専門とするコンサルティング)と共同で、バリューチェーン全体における生物多様性への影響と依存(直接的及び間接的)、及びリスクと機会の評価を実施した。この分析はIPBESが考慮した5つの生物多様性への影響要因(気候変動、生息地の変化、汚染、種の乱獲、侵略的外来種)に基づいている。その結果、当グループが生物多様性に与える影響の大半は、気候への影響によるものであると結論づけられた。
この調査の一環として、特に生物多様性に敏感な地域と当グループの資産の近接性が評価された。その結果、IBAT(生物多様性総合評価ツール)を用いて2025年に実施された調査により、2025年時点で半径10km未満の範囲内において、重要と分類される地域が特定された。本調査の結果、当グループの資産のうち、半径10km未満の範囲内に重要生物多様性地域(KBA:Key Biodiversity Areas)を含むものは5%未満であることが示されている。主要な生物多様性地域に対する活動の潜在的な影響については、当グループレベルで一元化することなく、子会社が直接対応する。現在までのところ、事業が生物多様性に与える影響を特定するために当グループと事業体との間で行われた協議では、生物多様性の観点からこれらの影響を受けやすい地域に対する重大な悪影響は検出されていない。
同様の分析により、生物多様性に直接依存している事業活動はSeppicとBiogasの2つのみであることが判明した。これらの事業者は、それぞれの課題により具体的に対応した方針を実施している。しかし、BiogasとSeppicの事業の規模を考えると、これらのテーマは当グループにとって重要ではない。Seppicは特殊原料を製造しているため、農産物の供給(パーム、ココ、菜種、オリーブなどから作る原材料)に依存しており、これらの製品についてはサステナブルな調達方針を実施している。Biogasの生産は、バイオ原料の供給構成に大きく依存する。生物多様性への影響を抑えるため、生物多様性保全プロジェクトの条件を定める憲章がWWFとともに作成され、新しいバイオガスプロジェクトを立ち上げるには、8つの基準(投資委員会が検証)を満たす必要がある。
より組織的に、社内手順では、生物多様性への影響を評価するために、すべての子会社が、既存事業所と将来的な事業所の両方の監査を実施することが義務付けられている。特に、その地域の動物相(野生動物、家畜、保護種)と植物相(保護種、森林、農作物、湿地、農業地域)を分析し、活動の潜在的な影響が低、中、高のいずれであるかを評価する必要がある。
当グループはまた、Act4nature Internationalによって検証され、2025年に完了した以下の行動を通じて、生物多様性の保護に取り組んでいる。
■ 投資プロジェクトにおける生物多様性の評価基準を強化すること
■ グローバルな生物多様性指標の開発と実施
■ 生物多様性に関する従業員の意識を高めること
■ 気候及び水に関する目標の再確認
当グループにとって生物多様性の重要性がないことを考慮した上で、その対応は以下のとおりである。
■ 移行リスクと物理的リスクは、気候リスク手順を用いて評価される。
■ 生物多様性と生態系に関連する重要な物理的リスクや移行リスク、機会は特定されていない。
■ 当グループのビジネスモデルにおいて、生物多様性がもたらす全体に影響を及ぼすリスクは考慮されていない。
■ 生物多様性と生態系に関するリスク評価において、社会にとって全体に影響を及ぼすリスクは考慮されていない。
■ 生物多様性に関する協議の仕組みは、上記「(1)エ(エ)利害関係者の関与」に記載されているのと同様である。
■ 影響を受ける地域社会に悪影響を及ぼす、又は悪影響を及ぼす可能性のある特定の事業所、製造、原材料の供給は特定されていない。
■ いかなるコミュニティも相対的重要性の評価には関与していない。
■ SeppicとBiogasの事業活動を除き、これらの分析では生物多様性への影響に対する具体的な緩和策を実施する必要性は結論付けられていない。生物多様性に直接依存しているこれら2つの子会社にあっては、実施すべき行動を特定し、生物多様性によってもたらされる優先的なサービスの価値と機能を維持することを目的とした手順を確立した。
■ 生物多様性と生態系に関する目標については、当グループの事業活動との関連性が低いと思われるため、シナリオは使用しなかった。
カ 資源利用と循環型経済
(ア)影響、リスク、機会
ダブル・マテリアリティプロセスの結果、資源管理と循環型経済は、当グループの活動とそのバリューチェーンにとって重要ではないとの結論に達した。循環型経済の第一の柱は廃棄物の削減であり、当グループは当該分野で継続的な取組を行っている。
エア・リキードは、環境パフォーマンスの継続的な改善、特に廃棄物管理の面で取り組んでいる。2019年には、当グループは、各事業所における主要な有害廃棄物の分類に焦点を当てた見直しアプローチを採用し、関連する環境影響をより適切に評価するとともに、環境フットプリントの管理を改善することを目指した。非有害廃棄物については、主として金属、紙、木材及びプラスチック等の資材から構成されており、分別回収が実施されている。すべての子会社を対象とした手順書では、廃棄物を最小限に抑え、適切に処理することを目標としている。すべての有害廃棄物を対象とし、廃棄物の少なくとも90%を追跡調査する必要がある。これらの目標を達成するため、手順書においては、優先順位の高い順に、廃棄物の回避(製品にエコデザイン原則を導入することを含む)、再利用、リサイクル、処理、エネルギーへの回収を行い、他に代替手段がない場合は、適切な施設を使って廃棄されるべきである。廃棄物管理計画は毎年作成・管理され、5年ごとに見直されるべきである。廃棄物を委託する協力会社の選定については、チェックリストを用いたデュー・ディリジェンスの手順が定められている。特に、現地に廃棄物管理に関する規制がない場合、子会社は、そのような規制がある近隣諸国での廃棄物処理を優先するよう求められる。
廃棄物に関する協議の仕組みは、上記「エ 汚染」において、汚染について説明したものと同様である。当グループレベルでの資源の使用は、重要課題として認識されていない。当グループはバリューチェーンにおける循環型経済に関する機会について具体的な検討を行っていない。とはいえ、当グループは、顧客がリサイクルを促進したり(バッテリーリサイクル用のガスなど)、廃棄物の分量を削減したり(保護のためにパッケージ食品に充填するガスなど)できるような特定の技術を提供しているが、これらの重要度は小さく、循環型経済への移行に関する影響や重大なリスクは確認されなかった。サステナブル調達プロセスは、最も重要なサプライヤーに関して、サステナブル開発基準に基づいて実施された。このプロセスは、環境、ひいては循環経済と関連する事故のリスクをモニタリングし、バリューチェーンにおける継続的改善の一環として是正措置計画の適用を促進することを目的としている。
(3)社会的課題に関する情報
ア 当グループの従業員
(ア)はじめに
エア・リキードのすべての従業員は、その意欲と技能によって、日々の業務運営における、当グループにとって最も重要な資源である。
2025年、エア・リキードは当グループの最初の統合人事データシステム(Workday)の導入を完了した。これは当社の人事データのソースであり、2025年12月31日時点における98%の従業員をカバーし、人事プロセスの最適化とデータの統合を可能にする。しかし、一部の当グループ企業は、最近買収されたため、あるいは従業員数が非常に少ないため、Workdayの対象にはなっていない。そのため、これらの事業体の人事データは、スプレッドシートを使用して手作業で収集しWorkday のデータと集計している。当グループの従業員を特徴付けるすべての定量的指標はこの集計された人事データに基づいて計算される。
本サステナビリティ・ステートメントにおけるエア・リキード従業員に関する指標は、以下において示される。
■ 従業員数
■ 期末時点、すなわち2025年12月31日時点
グループ従業員の特徴
当グループの従業員の総数は、2025年12月31日現在65,168人(1)である。(2024年12月31日時点で66,657人)
(1) エア・リキードの従業員数に含まれる従業員は、以下のとおりである。
― エア・リキード・グループ各社と、期間の定めの有無を問わない雇用契約を締結し、報酬と引き換えにフルタイム又はパートタイムで業務に従事する者。
― 指示を行い、目標を設定し、その業績を評価するマネージャーの指揮命令系統上又は機能上の権限に服する者。この点において、従業員はグループの人事方針及び手続の適用を受ける。
本定義には、研修生は含まれず、見習い(アプレンティス)は含まれる。
地域別従業員数の内訳
| ヨーロッパ、中東及びアフリカ | フランスを含む | 南北アメリカ | 米国を含む | アジア・太平洋 | グループ合計 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2024年 | 26,843 | 11,940 | 26,089 | 20,043 | 13,725 | 66,657 |
| 2025年 | 28,124 | 11,346 | 25,322 | 19,421 | 11,722 | 65,168 |
性別による従業員総数の内訳
| 2024年 | 2025年 | |
|---|---|---|
| 女性 | 19,475 | 19,118 |
| 男性 | 47,135 | 46,002 |
| 非開示 | 24 | 38 |
| その他 | 23 | 10 |
契約形態(正社員、派遣社員)及び性別による従業員総数の内訳
| 女性 | 男性 | 非開示/その他 | 計 | |
|---|---|---|---|---|
| 正社員数(a) | 18,306 | 444,772 | 448 | 663,126 |
| 臨時従業員数 (b) | 812 | 1,230 | ― | 2,042 |
(a) 正社員とは、雇用契約に終了日が含まれていない従業員であり、一定期間駐在する従業員を含む。
(b) 臨時従業員とは、実習生を含め、雇用契約に終了日が含まれている従業員である。
従業員の離職率と退職者数
2025年には、8,781人の従業員が退職(退職、解雇、合意解約、定年退職、死亡)し、離職率(2)は13.5%となった。
(2) 従業員離職率は、当期中に当グループを退職した従業員数を期末時点の従業員総数で除して算出した。
従業員に関するトピック:影響、リスク、機会
上記「2(1)オ 影響、リスク、機会」に記載されているダブル・マテリアリティ評価によると、エア・リキードの従業員に関連するいくつかのトピックは重要である。重要であると特定されたトピックは、以下のようにグループ化され、関連する影響、リスク、機会は下記に記載の通りである。
■ 下記(3)ア(イ)「社会的対話」
■ 下記(3)ア(ウ)「グループ従業員の安全衛生」
■ 下記(3)ア(エ)「ダイバーシティ、インクルージョン、ハラスメント防止」
■ 下記(3)ア(オ)「従業員の報酬及び手当」
■ 下記(3)ア(カ)「職場での福祉」
■ 下記(3)ア(キ)「エンプロイアビリティ、人材、技能管理」
■ 下記(3)ア(ク)「個人データ保護」
これらの結果を達成するために、当グループの全従業員を考慮に入れて評価を実施した。上記(1)オ(イ)のとおり、いわゆる社会的弱者に属する従業員には特に注意が払われた。
(イ)従業員へのコミットメント
人権へのコミットメント
エア・リキードは、事業において人権を尊重し、促進している。当グループは、健康、安全、差別の撤廃、意見、表現、結社の自由、適正かつ公正な条件下での労働、児童労働の禁止、あらゆる形態の現代的奴隷制度を含む人権の保護を全面的に支援する。人権に対するこれらのコミットメントは、エア・リキードの行動原則及び行動規範に含まれており、ウェブサイト(https://www.airliquide.com/sustainable-development/human-rights)で確認することができる。
行動原則と行動規範に関連する情報は、下記(4)イ(ア)に記載されている。
当グループは、「国際人権規約」、国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則及び権利に関する宣言」、経済協力開発機構(OECD)の「多国籍企業に関するガイドライン」、及び国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」における原則を共有している。
エア・リキードは、また、国連グローバル・コンパクトとその「人権、労働、環境、腐敗との闘いに関する10原則」に署名している。エア・リキードは毎年、最高経営責任者が署名したコミットメント文書とグローバル・コンパクトのウェブサイトからアクセス可能な、10原則の戦略的及び運営上の実施状況に関するコミュニケーション文書を発行している。
グループ雇用法・コンプライアンス及び注意義務担当チーフ・リーガル・オフィサーの責任の下、当グループは上記の国際基準で提唱されたアプローチに基づき、人権デュー・ディリジェンス・プロセスを実施している。エア・リキードの従業員との対話及び人権への影響の改善に関するアプローチは、それぞれ以下の段落に記載されている。
社会的対話:従業員及びその代表者とのかかわり
社会的対話に関するトピック:影響、リスク、機会
エア・リキードは技術、産業、医療、経済活動を通じて59カ国で事業を展開している(1)。当グループは、これらの国々の社会的対話に関連する法律や状況の相違を認識し、エア・リキードの従業員及びその代表者が、社会的対話の不在又は不十分なレベルにより悪影響を受ける可能性があると考えている。国内及び地域の法的・契約上内在する社会的対話は、人事部門の責任の下にあるテーマである。
エア・リキードは、特に従業員、社会的パートナー、経営陣の間のオープンで継続的かつ建設的な社会的対話に基づき、魅力的な従業員体験を創造するよう努めている。従業員又はその代表者との間で、エンゲージメントが行われる。
(1) 2022年9月1日以降、支配関係や連結がなくなったロシアを除く。
定期的なフィードバックを通じた従業員との対話
エア・リキードは、「My Voice」プログラムによって、すべての従業員が自己表現し、意見を聞いてもらう機会を持つことを保障している。毎年、エア・リキードは従業員にアンケートを提出し、グループ内での経験について尋ね、従業員の期待をより明確にする。このプログラムは、「聞く、理解する、行動する」というシンプルなコンセプトに基づいている。グループ人事担当ヴァイス・プレジデントがこのプログラムの責任者である。
アンケートは約20のトピックを取り上げ、コメントを記入することができる。質問は、個人(ワークライフバランス、インクルージョン、尊重、エンパワーメント、キャリアと能力開発の機会など)と組織機能(安全性、継続的改善、手続き、移行と変更、意思決定、チームコラボレーションなど)の両方における、従業員の経験の複数の次元に関連している。回答は、従業員が自由に意見表明できるように匿名化されている。結果はリアルタイムで収集され、グループ全体の共有システムによって集計・分析される。調査が完了すると、各マネージャーは、回答の機密性を保証する一定の数に達していれば、自分のチームの結果にアクセスすることができ、自分のミッションに役立てるとともにチームと結果を共有することができる。
その結果は、チームのレベル、事業体のレベル、グループのレベルなど、組織のさまざまなレベルで適切な行動計画を定め、実施するために調査される。これらの行動計画は、関係する従業員に伝達され、行動をモニタリングすることが推奨される。講堂の有効性は、数値化された指標によってモニタリングすることもできるし、次回のMy Voice調査における関連テーマのスコアの変化によって測定することもできる。
2025年My Voiceプログラムの一環として、対象となる従業員の86%が意見を表明した。つまり、52,000人以上の従業員が330,000件以上のコメントを残した。
従業員代表団体との対話
各地域の規制、状況、ニーズに照らして、グループ各社は、従業員代表組織が存在する場合には、従業員代表組織と合意して、エンゲージメントと業績を促進するための業務の体制を決定する。
ヨーロッパ
エア・リキードの欧州従業員評議会には、12カ国から29名の従業員代表が参加している。2025年に任期4年で更新された。2025年には、執行委員会のメンバーが議長を務める欧州従業員評議会の本会議が3回開催された。
さらに、本会議で選出された5人のメンバーで構成される評議会理事会が4回開催され、欧州従業員評議会の設立協定に基づき、欧州の従業員が関心を寄せるいくつかの国際プロジェクトやトピックについて報告を受け、討議した。
2025年、欧州従業員評議会と会社側代表は、特に機微な情報の機密性に関する規定を見直すことを目的として、欧州従業員評議会の設立協定の修正について合意した。
2025年中、プロジェクトが北欧・中欧の拠点軍を創設する国の欧州従業員評議会代表にも理事会が拡大された。この会議の目的は、プロジェクトを説明し、情報交換と協議のプロセスの一環として従業員代表が意見を表明できるようにすることであった。
これらの協議プロセスを経て、欧州従業員評議会は、適用される法令に従い、地域レベルでの対話を継続しながら、その意見を表明した。欧州従業員評議会は、これらのプロジェクトの理解を深めるため、専門家の助力を求めた。
2025年には、内部関係者の支援と直接参加を得て、以下のようないくつかのテーマが取り上げられた。
■ 2024年に開始された変革プロジェクト(南欧・西欧のクラスター(国のグループ)や、デジタル及びIT業務に関するグローバル・ビジネス・サービスなど)のモニタリング
■ 従業員への人工知能の展開
■ パフォーマンス文化の展開状況のモニタリング
■ 競争環境に関する戦略的分析
■ ヘルスケア事業のワールド・ビジネス・ユニットにおける課題の分析及び戦略分野に関する協議
■ EMEAにおけるグローバル・ビジネス・サービスの開発
■ 欧州賃金透明性指令の下での男女間賃金格差是正に関するグループの取組方針の共有
■ (南欧・西欧及び北欧・中欧の)クラスターにおける最適化及び変革プロジェクトの説明
■ 欧州における調達部門への変更提案の説明
■ My Voiceプログラムの結果及び関連する行動計画の共有
欧州従業員評議会議長は、毎年、各ディレクターと協議のうえ、当グループの関連するさまざまなテーマについて報告書を発表している。当グループの年次業績、特に欧州における業績及び非財務業績(安全性、信頼性、従業員離職率、研修、多様性など)に関する業績は、欧州従業員評議会に提示され、討議されている。
フランス
フランス・グループ委員会は、フランスにある企業の従業員代表25人を集めている。2年任期で2024年に更新された。
2025年には2回の全体会議が開催された(6月と12月)。これらの会議では、当グループの現在の戦略的、財務的、環境的、社会的課題に関するトピックが発表され、討議された。
例えば、6月のフランス・グループ委員会では、特に以下のテーマについて討議された。
■ グループの変革プログラムの進捗
■ エンプロイアビリティと社会政策
■ 財務諸表のプレゼンテーション
■ 注意義務計画
■ サステナブルな開発アクションプログラム
この対話はその後、当グループのフランス国内グループ各社の社会・経済委員会でも地域レベルで続けられた。これらの月例委員会では、各事業に特有の話題となる問題について討議している。
最後に、社会政策に関連する問題について、当グループ傘下企業の代表労働組合と交渉を行っている。
団体交渉と社会的対話の範囲
2025年、エア・リキードが17カ国で事業を展開する欧州経済領域(EEA)(1)では、従業員の89%以上が労働協約の対象となっている(2)。
(1)オーストリア、ベルギー、ブルガリア、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、アイルランド、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スペイン、スウェーデン
(2) これらの割合の算定にあたり考慮される労働協約とは、事業体レベル、特定の事業所、産業レベル、及び国際労働機関(ILO)第154号条約の定義に従い、当該慣行が有効とされている国における国内レベルで締結されたものを指す。ILO第154号条約では、団体交渉を次のとおり定義している。
「団体交渉とは、
― 労働条件及び雇用条件を決定するため、
― 使用者と労働者との関係を規律するため、又は
― 使用者又はその団体と労働者団体との関係を規律するために、
一方において使用者、使用者の団体、又は1つ若しくは複数の使用者団体と、他方において1つ又は複数の労働者団体との間で行われるすべての交渉をいう。」
労働協約の適用対象となる従業員とは、当該事業体が当該協約を適用する義務を負う従業員を指す。これらの協約は、特定の従業員グループのみに適用される場合がある。
| 従業員カバー率(EEA域内) | 団体交渉協定に基づく適用範囲 | 社会的対話における労働者代表 (a) |
|---|---|---|
| 0-79% | N/A | N/A |
| 80-100% | フランス(b) | フランス(b) |
(a) 従業員代表が代表する従業員とは、従業員代表が代表する事業所で働く従業員を指す。「事業所」とは、エア・リキードが人的・物的資源を用いて継続的な経済活動を行う事業所と定義される。
(b) 欧州経済領域(EEA)内で唯一、当グループが事業を展開し、従業員数が全従業員数の10%以上を占める国はフランスである。
内部通報制度と悪影響是正プロセス
内部通報ポリシーは、従業員が懸念や苦情を提起できる主なプロセスのひとつである。内部通報ポリシー、内部通報制度、及びその後の改善アプローチについては、下記(4)イ(ア)に記載されている。My Voiceプログラムの質問項目は、グループの内部通報制度に関する質問を含めており、制度に対する従業員の信頼レベルを測定できるようにした。この制度は、日常的な人事問題(例:報酬、キャリア開発)で行動規範の違反を伴わないもののプラットフォームとして機能することは意図していない。そのような問題は人事部門に直接報告しなければならない。
業務上のインシデント及び苦情の件数
以下の表は、処理状況及び調査後の結論にかかわらず、2025年に報告された当グループの従業員に関する倫理内部通報制度における業務関連性のある通報件数である。
| 2024 | 2025 | |
|---|---|---|
| ハラスメントを含む、差別事件(a) | 310 | 298 |
| 差別以外の業務上の苦情 (b) | 137 | 148 |
| 深刻な人権侵害 (c) | 0 | 0 |
(a) 業務関連の通報で、差別、報復、不適切な行動、ハラスメント(セクシャル・ハラスメント及びいじめを含む。)を含む。
(b) 差別に関するもの及び内部通報制度で報告された安全衛生に関するものを除く、人事に関する通報
(c) 強制労働又は児童労働の事例
2025年12月31日現在、エア・リキードはOECDの「責任ある企業行動に関する各国窓口」への苦情には関与していない。
エア・リキードは、安全衛生と個人データ保護という2つの重要なテーマに関して、特別な通報メカニズムを設けている。同制度は、インシデントや従業員の懸念を特定し報告することを可能とする。
健康、安全、セキュリティに関する緊急事態、又は最も重大な事故は、倫理内部通報制度では処理できない。安全・産業システム部門には、安全・セキュリティ事故の内部報告プロセスがあり、重大性に応じて、子会社、クラスター、当グループの管理職層及び関連する安全・セキュリティ管理者に迅速に報告することができる。危機管理及び事故監視のプロセスは、必要に応じて実施され、被害者への最善のケアを保証し、現場を確保し、対応能力を有し、事故に適応した調査チームを設置する。
個人データに関して、エア・リキードは権利行使の要求及び個人データ侵害の可能性を報告する特定のツールを導入している。エア・リキードのウェブサイト(https://contactprivacy.airliquide.com/)に、個人データ保護を担当するサービスへ連絡するためのフォームが用意されている。エア・リキードの従業員は、情報保護コーディネーターに連絡することもできる。さらに、エア・リキードは外部事業者とインターネット経由で不正にアクセスされた個人データの発見と報告を行う契約を結んでいる。これらの要請及びアラートは、専用のリストに記録される。個人データ漏洩の疑いは組織的に分析され、必要に応じて管理プロセスの変更が行われる。
(ウ)グループ従業員の安全衛生
従業員の安全衛生に関するトピック:影響、リスク、機会
安全及びセキュリティとは、個人の生命、健康、身体的完全性を維持するために実施される措置及び慣行を指す。安全性は、産業プロセス、道路、職業、製品のリスクを管理することによって達成される。セキュリティは、特に悪意ある行為から事業所と業務を保護し、出張を管理することによって達成される。
当グループの活動の性質上、エア・リキードの従業員の健康と安全は大きな問題である。当グループが実施する様々な製品、工業プロセス、流通手段の取扱いは、当グループの従業員だけでなく、事業所で働く他の従業員にも内発的な悪影響を及ぼす可能性がある。当グループが製造、加工、充填する産業ガスや医療用ガスなどの製品は、危険物に該当する。その使用は、ベストプラクティスと推奨事項が遵守されていれば安全である。当グループの工業プロセスに関する事故は、電気、圧力、蒸気、温水、高温又は極低温などのエネルギー源、流体、有害排出物への暴露、可燃性の製品や材料、電気設備による火災、吸入、摂取、皮膚接触による粉塵や有害化学物質への人体暴露により、直ちに影響を及ぼす形で不意に発生する可能性がある。さらに、事業所では、特殊な取り扱いリスク(衝突、充填する荷物の落下など)をもたらす多数の電動リフト装置を使用しており、その操作には訓練と資格が必要である。
さらに、製品を顧客に輸送する主要手段である道路輸送は、運転手(従業員及び協力会社)や第三者を交通事故のリスクにさらす。毎年、エア・リキードの事業活動の一環で、配送車両、営業スタッフ、技術者は何億キロも移動している。交通規制の不遵守、車両の定期的なメンテナンスの欠如、疲労は、運転手や第三者を事故リスクの増大にさらすことになる。
セキュリティは、当グループの従業員や事業所にいるその他の人々にとって、外在的な問題である。政治的なセキュリティ事件、テロ、犯罪は、これらの利害関係者を、脅迫、暴言、身体的暴行、窃盗などの悪影響のリスクにさらす可能性がある。
従業員の安全衛生方針
安全とセキュリティはエア・リキードの事業の卓越性と企業文化に不可欠な要素であり、「すべての事業所、すべての地域、すべての事業体において、事故ゼロを目指す」という目標は依然として本質的な優先事項である。したがって、エア・リキード グループは、責任ある業界のプレーヤーとして、効率的に、かつ、いかなる状況においても、派遣労働者を含む従業員が職業上、産業上、健康上のリスクにさらされることを低減することを約束する。安全へのコミットメントは、全体的で目に見えるものであり、揺るぎない警戒心を伴うものである。このコミットメントは、エア・リキードの原則及び行動規範の総説で繰り返し述べられている。
過去30数年間の安全に関わる成績は、この分野における当グループの行動の長期的な有効性を示している。
産業リスクは、多くの事業所に分散している。これらを評価・管理するため、当グループは、エア・リキードの全事業及び全事業体に適用される産業マネジメントシステム(IMS)を有しており、従業員を100%カバーする。IMSは、このシステムの実施について、様々なグループ事業体の各部門が責任を持って、それぞれ以下の事項に関する重要な組織及び管理手順を発行することに依存している。
■ 規格や規則を遵守すること
■ コンピテンシー・マネジメント(研修、必要に応じた資格取得など)
■ プロセスリスク管理
■ 労働安全衛生及び環境管理
■ 交通安全管理
■ 産業緊急事態管理
■ 変更管理
■ メンテナンス管理
■ プロバイダーからの製品やサービスの管理
■ 設置計画の管理
■ 製品開発の管理
■ 生産とサービス提供の管理
■ インシデントの報告と調査
■ 産業監査の管理
■ グループ子会社で共有する技術基準の統合
IMSは、プロセス安全に不可欠な「計画(Plan)-実行(Do)-評価(Check)-改善(Act)」のアプローチを体系化したものである。リスクアセスメントを実施する努力が実を結びつつあり、インシデントから学んだ教訓は、設備の安全バリア強化に生かされ、インシデントの再発を防止している。
IMSは、長年の経験に裏打ちされ、グループ従業員の安全性に常に配慮して設計されている。IMSの文書ライブラリーは、当グループの産業プロセスの安全で信頼性の高い操業を確保するための知識と要件を文書化することを目的としている。これは、継続的に更新され、充実している。
安全・産業システム部門及び産業部門は、執行委員会の監督のもと、特に、以下の点に依拠して、IMSの実施を監督・管理する。
■ 安全パフォーマンスを監視するために設計された様々なダッシュボード
■ IMS 要件の実施状況及び業務の遵守状況を検証するためのプロセス監査
■ 建設上の欠陥による事故を未然に防ぐため、新しい生産設備の立上げ前に行う徹底的な安全審査
■ 業務が当グループの規則に準拠していることを確認するための技術監査
産業・安全委員会は、産業部門、グループ安全責任者、エンジニアリング&テクノロジーのビジネス・ユニットの代表者で構成されている。その目的は、産業リスクと安全パフォーマンスを検証し、特に最大のリスク及び部門横断的な対策に関連する主な改善策の進捗状況を監視することである。委員会はグループの執行委員会のメンバーが委員長を務め、年6~8回開催される。
執行委員会は、各事業の安全成績の推移とIMS要求事項の遵守を定期的に監視している。
個人の安全
個人の安全は当グループの優先事項のひとつである。これは、当グループの基本的な責任原則を体現するものである。セキュリティチームには、この原則を伝える義務がある。
エア・リキードのセキュリティ機能は、基本的な善意の論理を担っており、予見、予防、保護という取組がその中心である。当グループのセキュリティ部門は、日々の業務において、当グループの価値観を尊重し、注意義務を自覚するプレーヤーとして行動する。セキュリティに関する参考文書のコーパスは、必要な対策を実施する際の各事業体の指針となる。
従業員の健康と安全に関する行動
業務ハザード分析は、職場環境の構成と従業員のニーズに適合した予防措置を実施することで、すべての人にとって安全な職場を保証するものである。そのため、各業務は以下のステップに従ってリスク分析の対象となった。
■ 実施する業務に関連するリスクの特定
■ その重大性と発生確率の評価
■ クリティカルポイントの特定
■ 予防措置の特定と実施
これらの分析では、作業習慣、不良姿勢、アクセスルートなども考慮される。
各子会社は、グループの報告ツールですべての安全・セキュリティ事象を定期的に報告している。毎月、報告されたすべての事象が専門家チームによって検討される。最も重大な事象は詳細に分析され、産業安全委員会に報告される。是正措置計画が実施されるとともに、そこで得られた教訓は、同様の事態の影響を受ける可能性のある当グループ各社と共有される。
個人の安全
エア・リキードは、個人に影響を及ぼす可能性のある産業リスクの知識と軽減に関連した特別なトレーニングを通して、チームの意識を高めるための継続的な活動に依存している。工業用地で働く各従業員は、それぞれの業務に特化した訓練コースと資格を受け、最良の状態で業務を遂行できるよう、個人用保護具を提供している。また、必要に応じて、様々な作業場にも集団用保護具が設置されている。
安全は集団的なコミットメントであり、一人ひとりの責任でもある。危険やリスクを認識し、ルールを守り、他者に配慮することは、事故のリスクを減らし、グループの安全文化を強化することに貢献する。エア・リキードの管理職の参加は、安全性の向上に貢献する重要な手段である。そのため、管理職が安全への取組を支援し、コミットメントを示し、ベストプラクティスに報いることができるよう、定期的に安全リーダーシップ研修会を開催している。
当グループは「ライフ・セービング・ルール」を策定し、展開している。エア・リキードで働くすべての者は、従業員であれ、協力会社であれ、これらの規則を認識し、遵守し、危険な行動や状態が発生するおそれがある場合には、常に介入しなければならない。各規則の解釈と意味は、グループ内及び協力会社と広く共有されている。安全・産業システム部は、ライフ・セービング・ルールに関するさまざまなコミュニケーション、啓発、研修資料を事業体に提供している。その重要性に鑑み、エア・リキードの事業所で働く者がこれらの規則のいずれかに違反した場合、警告、あるいは出勤停止を含む罰則を受けることがある。これらのライフ・セービング・ルールは少なくとも10ヶ国語に翻訳され、当グループが操業するすべての国で施行されている。
1. 薬物及びアルコールの影響下で仕事をしない。
2. 指定された喫煙場所以外では喫煙しない。
3. 業務上必要な個人用保護具(PPE)を着用する。
4. 必要に応じて周囲ガス検知器を装着している。
5. 許可なく閉鎖空間には立ち入らない。
6. 有効な安全作業許可証を持って作業する。
7. 通電の可能性のあるシステムで作業する前に、隔離手順を適用する。
8. 安全上重要な要素(EIS)を、認可と代償措置なしに無効にしない。
9. 高所作業時に、落下防止用具を着用する。
10. 吊り荷の下を歩かない。
11. 車両に積荷を固定する。
12. 走行中の車では、必ずシートベルトを着用する。
2025年には、既存の作業場所におけるリスク評価の取組に加え、安全文化及びプロセスリスクを含むリスク管理を一層強化するため、子会社において具体的な施策が実施された。特に、産業リスクの分析を高度化することを目的として、「Process Risk Discovery」ワークショップの展開を通じ、リスクのプロアクティブな特定に重点が置かれた。併せて、各人の責任意識を高めるため、「Stop Work Authority(作業中断権限)」の取組が積極的に推進された。この取組は、すべての従業員及び協力会社が、危険な状態や行動を認識した場合には、直ちに介入し作業を停止する権利及び義務を理解し、実践することを確実に行うことを目的としている。
プロセスの安全性
プロセスセーフティは、生産から製品実装に至るまで、産業設備に関連するリスクを扱う。これは、すべての活動に適用されるエア・リキードの産業マネジメントシステム(IMS)に基づき、以下の点が要求される。
■ 各事業に特有の産業リスクを特定すること。
■ シナリオとその潜在的な結果についての知識。
■ 適切な予防的・保護的安全対策を実施すること。
■ 新技術及び職業分野内で発生する事象に関連するリスクの監視と分析。
■ 学習の促進、意識向上、安全文化の推進、及び予防の改善を目的としたフィードバック
プロセスの安全に関連するリスクは、様々な手法、特にHAZOP(HAZard and OPerability analysis)手法を用いて分析される。異分野複合チームは、プロセスリスク及びHSE(健康安全環境)リスクの分析を通じて特定された望ましくない事象を考慮し、危機的状況に至る可能性のあるシナリオの包括的な特定に貢献している。これに基づき、各グループ子会社は、各産業拠点で特定されたリスクを防止するための対策を実施することが求められる。
一般的なリスクに加え、各子会社は、マネージング・ディレクターの監督の下、生産・包装活動に関連する特定のリスクを定期的に特定する。その目的は、リスクを評価し、必要な予防措置を実施するために、グローバルに、また事業所ごとにハザードを特定することである。
エア・リキードは、このリスクを考慮した効率的なオペレーションを確保するため、産業プロセスに関する最も深刻なリスクを管理することを目的とした、特定のアクションプランを導入している。これらのアクションプランの進捗状況は、当グループの執行委員会及び産業安全委員会により定期的にモニタリングされている。
産業プロセスリスクの管理プロセスは、当グループの産業監査部による定期的な監査の対象となる。IMSは、産業監査プロセス、そのガバナンス及びその実行を定義している。この監査プロセスにより、各子会社の事業活動における自社産業豆地面とシステムの遵守状況、そのシステムの有効性、及びグループの産業管理システムへの適合性を定期的に分析・評価することが可能になる。産業監査後、特定された改善の機会に基づいて行動計画が実施され、ベストプラクティスが共有される。
個人に影響を及ぼす可能性のある産業リスクの定期的な評価は、すべての地域のすべての当グループの事業活動を対象としている。これらの評価の頻度は、例えば、毎月の安全パフォーマンスレビューや技術監査の年次レビューなど、各テーマに適合させている。その他のテーマについては、その都度評価を行う必要がある。
産業緊急事態の管理
緊急事態が発生した場合、当該事業体のマネージング・ディレクターの主な責任は、その性質を分析し、事前に特定したリスクに基づいて事態の深刻さと潜在的な影響を評価し、人々の安全を確保するために必要なすべての措置を講じることである。年中無休のオンコール・システムが緊急通報を受け、現地レベルで適切な対応をするため責任者に連絡する。
各事業体に適合した事業継続計画には、サービスに予期せぬ障害が発生した場合に、業務機能、ITリソース、ネットワーク、施設を継続又は復旧させるために事前に定義された一連の行動が記述されている。この計画の目的は、人と財産を保護し、事業体の活動に対する中断の影響を抑えることである。
様々なシナリオを想定した演習が定期的に実施され、結果と教訓が文書化され、事業継続計画に反映される。
交通安全
エア・リキードは、IMSに含まれる内部要件のリポジトリに基づき、路上でのリスクを軽減するための構造化されたプログラムを基礎している。
当グループの目標は、従業員や協力会社だけでなく第三者にとっても、交通事故の頻度と重大性を恒久的に低減することである。この目標を達成するために、以下の手段を用いている。
■ すべての子会社及びサービス・プロバイダーが当グループの安全規則を実施すること。
■ より安全な車両に置き換えること。
■ デジタル警告・支援技術の必要な行動変容を導入することにより、ドライバーと第三者の安全性を向上させる。
■ 最も深刻な出来事からのフィードバックを体系的に取り入れ、グループのすべての子会社及びパートナーとベストプラクティスを共有する。
■ 専用の監査を通じて、子会社が実施する対策の実施と有効性を監視する。
地域、状況、現行の法律、慣行に応じて、2025年の交通安全の優先課題は、以下の施策の全部又は一部の実施に焦点を当てた。
■ ドライバーの疲労や注意散漫を検知するカメラや、死角を減らすためのバックカメラなどの車載技術を導入することで、ドライバーの行動を変えたり、車両周囲の視界を確保したりする。
■ ローカルでも国際的な規模でも、社内だけでなく、交通安全に関するサービス・プロバイダーやこのテーマを専門とする他の組織との対話を増やす。エア・リキードは定期的に輸送の安全に関する議論を行い、パートナーとの知識を深めるイベントを開催している。
■ プロのドライバーや臨時のドライバーを対象に、安全運転に関する定期的な啓発を行う。
■ マスター・ドライバー(運転及び荷役作業)の役割を開発し、新人ドライバーを指導させ、組織内で模範とすること。技術的な基準に基づいて認定されたこれらのマスタードライバーは、ドライバーの安全意識の形成に積極的に貢献し、研修や資格認定プロセスの改善に参加する。
製品の安全性
製品開発の管理に関するIMSの手順には、製品が設計された時点から、安全に使用される必要性を含め、関連するリスクの分析が含まれる。
エア・リキードの各子会社に導入されている産業管理システム(IMS)に統合された規制監視プロセスにより、各子会社に適用されるあらゆる規制変更への製品コンプライアンスが保証される。
適用される規制に従い、各ガス貯蔵装置には、製品名と関連するリスクを表示するラベルが貼られている。
特にガスシリンダーの場合、入っているガスの主なリスクによってショルダーの色が異なる。安全データシートには、それぞれのガスのリスクが記載されている。シリンダーには、手で操作しなければならないバルブを保護するキャップが取り付けられており、誤った接続を避けるため、接続コネクタはガスによって異なる。保管は規制されており、専用の場所に保管しなければならない。
個人のセキュリティ
当グループは、事業展開する地政学的環境に注意を払っている。これは投資決定における重要な基準である。当グループが事業を展開する環境を十分に理解することにより、当グループの要求と保護義務に従ったセキュリティ態勢を採用することが可能になる。したがって、エア・リキードにとって、リスクと脅威を適切に特定し、それらを分析・理解し、通常の職場にいる従業員であるか、リスクの高い国への出張者であるかを問わず、従業員を保護するセキュリティ・システムを導入することが不可欠である。個人のセキュリティに関するリスクの一般的なマッピングは、3つのタイプに基づいている。
■ 政治的・安全保障的リスク
■ テロに関連するリスク
■ 犯罪に関連するリスク
グループ・セキュリティ部門は、従業員が勤務及び出張する国のセキュリティ・リスクの分類を定めている。この分類は、特に5か国(フランス、英国、カナダ、米国、オーストラリア)の公式格付けと、当グループのグローバル・セキュリティ・サービス・プロバイダーによる評価に基づいている。4段階評価のリスクレベルにおいて、当グループは、特定された脅威のレベルに対応する適切なレベルのセキュリティ対策を決定し、実施することができる。重大又は反復的な事象の発生により、その国のリスクレベルが見直される。カントリー・マネジャーは、その国について決定されたセキュリティ・リスクのレベルを承認しなければならない。
2025年、エア・リキードが進出している国のうち、1か国のみが非常に高いリスク(ウクライナ)、7か国が高いリスクに分類される。その他は中リスクと低リスクに分かれている。
リスクアセスメントに基づき、グループ・セキュリティ部門は、危機や事故時に従業員が潜在的な悪影響にさらされるのを抑えるための適切な対策を定義し、その実施を調整する。グループ・セキュリティ部門は、従業員及び外部ステークホルダーを保護するため、すべての子会社において、特定されたリスクのレベルに応じて展開可能なさまざまな措置を用意している。
■ すべての事業所において、能動的及び受動的なセキュリティ・システムを導入している。当グループの事業所保護方針の基本には、安全なフェンス、管理されたアクセス手順、適合したセキュリティと監視システム、そして最後に、侵入があった場合に介入し対応する手段が含まれる。
■ 従業員と事業所の適切な保護レベルを確保するために、セキュリティ担当者によって体系的に実施されるセキュリティ・レビュー
■ 危機的環境に対処し、従業員と組織の両方への影響を抑えるための危機管理と事業継続プロセス
■ セキュリティ規則を適応させるための、グループ・セキュリティ部門が、現地法人と協力して実施した最も重大なインシデントの分析。事業所の最も重要なポイントを録画するために監視カメラシステムが設置され、侵入の可能性のある原因を把握するために、事件後に録画が閲覧される。
■ 出張者を保護することを目的とした一連の措置
- 最もリスクの高い国へ出張する従業員に対し、潜在的な脅威と対応措置について周知徹底するため、セキュリティ意識向上研修を実施する。
- 非常にリスクの高い国又はリスクの高い国へのすべての出張予約は、従業員の上司及び当該地域のセキュリティ担当者による確認プロセス。上司及びセキュリティ担当者は、同所への出張を禁止することもある。
- 出張者に警告を送信し、出張者が留守中に最も重要なインシデントを認識できるようにする。
- 出張者に差し迫った脅威を知らせ、可能な限り迅速に救助するための専用アプリケーションの利用。
■ 従業員が新しい環境に慣れるよう、人事部と協力してeラーニング研修を実施する。社会文化の差異は、理解し体得しなければならない統合の重要な要素であり、このことがより良い多文化統合を可能にする。
カントリーリスク分類と並行して、エア・リキードは脅威のモニタリングを行っている。情報を収集、分類、分析する能力により、当グループが事業を展開する各国における構造的又は経済的な環境の変化、脅威の特定、及び潜在的な事故や危機の予見を通じて、従業員が働く具体的な環境を理解することが可能になる。必要に応じて、エア・リキードは従業員のリスクを低減するためにセキュリティ及び出張規則を更新し、リスクが最も大きい従業員を保護するために保守的なセキュリティ態勢を採用している。
やむを得ない事情により、従業員が違法行為や犯罪行為の目撃者や被害者となることがある。従業員をよりよく保護し、発生リスクを低減するためには、これらを検知、分析、理解することが重要である。当グループにはインシデント報告システムがあり、重大性のレベルに応じて、これらのインシデントのレビューと分析プロセスが開始される。当グループは、インシデントの種類、頻度、業務への影響レベルをよりよく理解するために、インシデントの体系的なレビューを実施している。このシステムにより、悪意ある行為の起源を理解し、従業員や他の関係者を保護するための既存のセキュリティ・ルール上の現地での行動が可能になる。
すべての子会社において、当グループは、適切なセキュリティ態勢を採用し、従業員を保護するセキュリティ対策を実施するために、定期的に訓練を受けたセキュリティ担当者を擁している。セキュリティー・レビュー・システムにより、各国の脅威のレベルや感応度レベルに応じて、子会社のセキュリティの保護レベルを評価することができる。この分類により、従業員や協力会社の適切な保護レベルを保証するために、子会社にセキュリティ・システムが適切に導入されているかどうかを評価することができる。
これらのシステムは、地域セキュリティ担当者とグループ・セキュリティ・ディレクターによって監視されている。これらのシステムにより、特定の出来事や危機に応じてセキュリティ態勢を適応させることができる。
非常にリスクの高い国では、これらのセキュリティ対策が強化される。より一般的に、また責任あるアプローチの一環として、当グループは、最も恵まれない周辺地域社会と交流し、彼らのためになる活動を実施している。ブラジルや南アフリカのような一部の貧困地区では、こうした地域社会との融和を図り、悪意ある行為のリスクを軽減するために、地元での雇用を提供している。
従業員の健康と安全に関する目標
当グループは、安全衛生指標の定量的目標を正式に定めていない。しかし、エア・リキードの全子会社は「事故ゼロ」を達成し、安全業績を継続的に向上させるという共有している。以下に示すように、当グループは指標を通じて、実施する行動や方針の有効性も測定している。
従業員の健康と安全に関する指標
| 2024 | 2025 | |
|---|---|---|
| グループ従業員及び派遣労働者の業務上の負傷及び業務上の疾病による死亡者数 | 1 | 0 |
| 協力会社における業務上の負傷及び業務上の疾病による死亡者数 | 2 | 0 |
| グループ従業員及び派遣労働者の労働災害記録件数 | 319 | 294 |
| グループ従業員及び派遣労働者の労働災害記録率 | 2.42 | 2.22 |
| グループ従業員における記録すべき業務上の疾病の件数 | 2 | 3 |
| グループ従業員及び派遣労働者に関連する労働災害及び疾病による死亡による損失日数(a) | 4,001 | 1,472 |
(a) 損失日数は現地規制に基づき算出されている。
休業災害発生率は、安全成績評価指標のひとつである。この発生率はエア・リキードの従業員及び協力会社において、長年にわたり着実に改善されている。
派遣労働者を含むエア・リキード従業員の休業災害発生率は、2024年末の0.7に対し、2025年末には0.4と大幅に改善した(-44%)。
同様に、協力会社の休業災害発生率は2025年も改善を続け、20243年末の1.1から2025年末には0.7に低下した。
この実績を長期的に維持し、休業災害の件数を継続的に削減するためには、当グループは常に警戒を怠らず、意識を高め、 チーム内の安全文化をさらに向上させるためにあらゆる予防策を講じ続けなければならない。
(エ)ダイバーシティ、インクルージョン、ハラスメント防止
ダイバーシティ、インクルージョン、ハラスメント防止に関する課題:影響、リスク、機会
当グループの従業員は、職場における差別や暴力、ハラスメントの影響を受ける可能性がある。女性、若者、障害者、LGBTQ+、民族的、宗教的、文化的マイノリティなど、いわゆる社会的弱者のグループ属する従業員は、そのような影響をより受けやすい。
暴力やハラスメントの事件に加え、採用や人材管理のプロセスにおける認知的バイアスは、機会の不平等や、雇用、昇進、給与見直しへのアクセス拒否といった間接差別に関連する悪影響をもたらす可能性がある。
ダイバーシティ、インクルージョン、ハラスメント防止方針
エア・リキードは、その行動原則に基づき、人権を尊重し、特にいかなる差別もなく、包摂的な文化と多様性を促進することに基づいて、全従業員の労働条件を保証することを約束する。
この精神に基づき、当グループは行動規範の中で、特に民族的出身、性別、国籍、宗教・信条、年齢、障害、性的指向の如何を問わず、多様性とキャリア開発の機会均等を推進することを約束し、いかなる形態のハラスメントや差別も容認しない。したがって、エア・リキードは、
■ 全従業員に対し、その才能を伸ばし、最大限に発揮するための同じ機会を提供する。
■ 障害者のインクルージョンの促進に尽力している。
■ あらゆる形態のハラスメントのない職場を支援し、促進する。
行動原則及び行動規範に関する情報は、下記(4)イ(ア)に記載されている。
すべての人に平等な機会を
人事政策の一環として、エア・リキードは、従業員の採用から、報酬や福利厚生、自己啓発を含むキャリア管理まで従業員のキャリアパスを重視している。
このキャリアパスは、他のいかなる考慮事項にも関係なく、各人のパフォーマンス、技能及び資格を中心に構築される。
ダイバーシティ(ダイナミズム、革新性、魅力、人材確保の源泉)は、当グループの人事戦略及び方針の優先事項である。これは、事業と従業員の両面で組織の基本的な要素であり、当グループの長期的な業績を牽引するものである。
障害者のインクルージョン
エア・リキードは、企業の豊かさと強さが従業員一人ひとりの個性から生まれると確信しており、すべてのステークホルダーとともに、障害者のインクルージョンに取り組んでいる。
ハラスメントの防止
エア・リキードは、脅迫、セクシャル・ハラスメント、暴力、あるいは職場環境における脅威の風潮を助長する行為など、あらゆる形態のハラスメントの防止に特に注意を払っている。
グループ人事担当ヴァイス・プレジデントは、ダイバーシティ、インクルージョン、ハラスメント防止に関するグループの人事方針とその展開に責任を負う。
ダイバーシティ、インクルージョン、ハラスメント防止に関する行動
これらの原則の実施を促進し、あらゆる形態の差別やハラスメントを防止するため、エア・リキードは3つの柱に基づくインクルージョン&ダイバーシティのロードマップを策定した。
■ すべての事業体における行動計画の設定とモニタリング
■ 議論における偏見を緩和し、人事プロセスを改善すること
■ インクルージョンの文化を促進すること
このロードマップは、年に一度、執行委員会の会議で見直され、現場で調整される。
2025年、エア・リキードは、執行委員会のメンバーが委員長を務めるダイバーシティ&インクルージョン委員会を設置した。本委員会は、3つの地域及び人事(HR)の代表者で構成され、優先事項を設定することによりロードマップの展開を支援し、とりわけグループの取組の実行を加速させることを目的としている。
事業体レベルでの行動計画の設定とモニタリング
エア・リキードの事業は、女性と男性の間に不均衡が見られる技術的かつ専門性の高い職種を基盤としていることから、グループは、現地法令で許容される範囲において、男女間の多様性についてモニタリングを行い、行動計画を策定することを決定した。具体的には、「管理職と専門職」及び最上位の責任レベル(上級経営層)を対象としている。
この点に関して、各事業体は、多様性の文化を促進し、その結果として以下に記載する目標に貢献するため、現行の取組みについて評価を実施し、クラスター(国のグループ)レベルでの施策を定義した。
ロードマップの実施状況をモニタリングし、その進捗を定期的に測定するため、四半期ごとの進捗管理資料が、執行委員会のメンバー並びにクラスター(国のグループ)の人事担当ヴァイス・プレジデントに共有されている。
エア・リキードは、2025年に、以下に記載する目標の管理を強化するため、「ジェンダー・バランス評価ツール」をすべての事業体に展開した。本ツールにより、採用プロセス、昇給の配分、昇進、機器ツールの配分といった主要分野において、潜在的なバイアスの有無を評価することが可能となっている。その主な目的は、各事業体の経営チームが、自らの管轄領域に特有の改善点を特定できるよう促し、それにより、当該事業体における包摂的な採用及び人材の定着を促進することにある。
議論におけるバイアスの軽減と人事プロセスの改善
偏見を減らし、ハラスメントや差別を防止する
人事機能を有する部門は、潜在的なバイアスを特定するために、プロセス及び慣行の分析を行っている。また、特に管理職を対象とて、こうした偏りを抑制し、多様性を高めることを目的とした、各種バイアスに関する認識向上セッションを実施し、グループが事業を展開する各国の社会や文化を反映した構成となることを目指している。
毎年、エア・リキードは全従業員向けの行動規範に関するオンラインの必須のトレーニング・モジュールを提供しており、これは定期的に更新されている。2025年、ハラスメント及び差別的行動の防止が全体的なテーマとして特に重視され、多様性及びインクルージョンに関する当グループの倫理基準の強化が図られた。
このプロセスは、オンラインでの署名をもって完了し、これにより従業員は行動規範の規則を遵守することを誓約する。
人事専用イントラネット・サイトの導入によるプロセスの改善
人事プロセス管理に特化したイントラネット・サイトには、グループの人事基準が集約されており、人材管理の標準化を可能にするとともに、差別リスクの抑制に寄与している。この文脈において、2025年には新たなパフォーマンス評価の枠組が導入された。当該評価は、目標の達成度(「何を達成したか」)と、期待される行動(「どのように達成したか」)の双方を対象としている。
インクルージョンの文化を促進する
人事部門のサポートにより、エア・リキードではインクルージョンを推進するためのグローバル及びローカルなイニシアチブを数多く実施している。このように、各事業部門は、それぞれの地域や規制の状況を考慮しながら、独自のインクルージョン&ダイバーシティのロードマップと関連する行動計画を実施している。
2025年、グループは、多様性及びインクルージョンをテーマとする一連のイベントのアジェンダを提案した。これらのイベントは、多様性のさまざまな側面に対する理解を深めるとともに、無意識のバイアスを軽減することを目的としており、国際女性デー、異文化理解力、プライド月間(性的多様性への理解促進月間)、認知特性の多様性、年齢、経験、障害といったテーマが含まれている。
出産休暇の基準
産休に関する基準は、産休前、産休中、又は母親が復職する際に、すべての事業所に適用される一連の原則と要件を網羅している。この新しい基準のおかげで、エア・リキードは包摂的な環境を提供し、職場で女性を支援することに全力を尽くしている。
女性のためのリーダーシップ・プログラム
当グループのリーダーシップに関するラーニングプログラムの一環として、女性を対象とした専用プログラムが設けられており、参加者が自身の課題を共有し、リーダーシップの育成を支援するためのツールを身につけることを目的としている。
2024年に実施されたパイロットプログラムが成功を収めたことを受け、成長機会の平等を促進することを目的として本プログラムは2025年に恒常的な施策となった。以下の3つの従業員区分を対象としている。
■ 若手社員
■ 技術系専門職
■ 経験豊富な管理職
2025年には、この第2期プログラムに165名の女性従業員が参加した。
障害者のインクルージョンの促進
2022年末に(欧州で)マネジメントが強調し、発表した2つの分野、すなわち、障害者の採用とキャリア・プランニングに対応するため、各国において、現地の規制を遵守し、事業の特殊性に配慮したアクションが実施されている。
2023年から2025年までのフランスにおける障害者の採用、雇用維持、キャリア開発のための第6次企業協定(約6,000人の従業員が対象)の締結はその一例である。社会的パートナーと共同で設定した目標は、障害者の直接雇用率を2022年の4.46%から2025年末までに6%に引き上げることである。2023年には4.7%、2024年(2025年4月の算定)では4.7%であった。
ダイバーシティ、インクルージョン、ハラスメント防止に関する目標
男女平等
内部の分析に基づき、当グループは、ADVANCEプログラムの一環として、男女の多様性に関する目標をいくつか設定している。
| 2025年目標 | 2025年実績 |
|---|---|
| 35% 当グループ管理職及び専門職の女性の比率 | 33.8% 当グループ管理職及び専門職の女性の比率 |
| 25% 最高責任者(上級幹部)の女性の比率 | 24.7% 最高責任者(上級幹部)の女性の比率 |
基準年である2020年には、当グループにおける「管理職及び専門職」の女性比率は30% (1)(2023年は32%)であった。
本取組の推進は、執行委員会の支援を受けたトップマネジメントの強いコミットメントに支えられているとともに、人材の採用及び定着におけるバイアスの低減を促進する男女平等に関する行動計画を各地域で展開することによって成り立っている。同時に、エア・リキードは、認知向上プログラムや定期的なイベントを通じて、包摂的な職場環境の醸成を継続しており、従業員に評価されているエア・リキードの多様性の文化の持続性を確保している(社内調査「My Voice」の該当設問において、10点満点中8.2点)。
当グループは、全ての事業活動においてこの多様性を代表することの強化を追及する意思を有している。
基準年である2020年には、最高責任者に占める女性の割合は21%であった。この数字は2025年には24.7%に達した(2024年は23.7%)。
(1) 0.5%単位で四捨五入している。
ダイバーシティ、インクルージョン、ハラスメント防止に関する指標
全従業員の男女別内訳
| 女性 | 男性 | 非開示 | その他 | 従業員総数 | |
|---|---|---|---|---|---|
| グループ従業員総数 | 19,118 | 46,002 | 38 | 10 | 65,168 |
| フランス含む | 4,595 | 6,747 | 4 | ― | 11,346 |
| 米国含む | 3,569 | 15,822 | 20 | 10 | 19,421 |
当グループが事業を展開し、従業員数が全従業員数の10%以上を占める国は、フランスと米国である。
経営幹部(1)の男女別人数及び割合
| 人数 | 割合 | |||
| 2024 | 2025 | 2024 | 2025 | |
| 女性 | 88 | 92 | 23.7% | 24.7% |
| 男性 | 283 | 280 | 76.3% | 75.3% |
| 非開示/その他 | ― | ― | ―% | ―% |
(1) エア・リキードは、上級役員の概念を、執行委員会のメンバーを含む、グループ内で最高レベルの責任を負う従業員と定義している。
グループは、ジェンダー・バランスを強化するという目標の下、男女双方の「ハイ・ポテンシャル人材」を特定し、グループ内の最上位の役職を担う人材を登用するための人材プールを形成する行動計画を推進している。とりわけ執行委員会においては、Rixain法により、2026年までに女性比率30%、2029年までに40%とすることが義務付けられている。これに加え、Afep‑Medefコード第8条の要件に基づき、取締役会は、ガバナンス機関(執行委員会)におけるジェンダー・ダイバーシティに関する目標を定めており、当該目標については、Rixain法で定められた基準と同一の比率を採用している。
2025年の執行委員会に占める女性の割合は30.8%(13人中4人)であった。
全従業員の年齢層別内訳
| 年齢層 | 人数 | 割合 | ||
| 2024 | 2025 | 2024 | 2025 | |
| 30歳未満 | 8,100 | 7,709 | 12,2% | 11.8% |
| 30歳以上50歳以下 | 38,427 | 36,269 | 57.6% | 55.7% |
| 50歳超 | 20,130 | 21,190 | 30.2% | 32.5% |
(オ)従業員の報酬と福利厚生
従業員の報酬と福利厚生に関するトピック:影響、リスク、機会
エア・リキードのすべての従業員は、少なくとも現地の法令を遵守する水準の報酬及び健康保険の提供を受けている。もっとも、当グループが事業を展開する国・地域間では、格差が存在する場合がある。国によって、報酬や健康保険に関する法定基準は一様ではなく、従業員及びその家族の基本的なニーズ(食料、水、住居、医療、教育)を十分に満たさない場合もある。こうした状況は、影響を受ける従業員にとって負の影響をもたらす可能性がある。
このため、エア・リキードは、以下に記載するとおり、現地法令の水準を上回る場合もある共通の健康保険の基盤へのアクセスをすべての従業員に提供することを約束しており、これは従業員にとってプラスの影響をもたらすものである。
さらに、男女間の賃金格差についても、なお国・地域によって差異が残る場合があり、こうした状況も、影響を受ける従業員に対して負の影響を及ぼす可能性がある。
従業員の報酬及び福利厚生の方針
エア・リキードは、男女平等に特に配慮しつつ、十分で競争力があり、公正な報酬及び福利厚生を提供することを方針としている。本方針は、透明性及び公平性に対する期待に応えるとともに、従業員及びその家族に対する社会的保護の必要性を満たすものである。
エア・リキードの報酬方針については、グループ人事担当ヴァイス・プレジデントの監督の下、当グループ報酬・福利厚生及び国際人材配置担当ヴァイス・プレジデントが責任を負っている。
報酬体系
エア・リキードの報酬体系は、現地市場の慣行、社内の公平性及び法令遵守に基づいて構築されている。報酬は、職責に応じて一貫して適用される複数の構成要素から成り立っている。
■ 基本給:基本給は、各事業体に固有の給与テーブルに基づいて決定される。残業手当は、適用される現地の労使協定及び慣行に従って支払われる。
昇給考査(基本給及び、該当する場合には変動報酬部分を含む)は、人事部門によって毎年実施されている。この透明性のあるプロセスは、現地のインフレ率、個人のパフォーマンス及び市場におけるポジショニングに基づいて行われる。必要に応じて労使代表との協議が行われ、ライン・マネージャーは常に本プロセスに関与している。また、昇進を含む職務変更に伴い、報酬の調整が行われる場合がある。
■ 変動報酬:管理職に就く従業員の大半は、集団的な目標及び個人的な目標の達成度に応じて支給される変動報酬の対象となっている。
■ その他の福利厚生:国・地域によっては、交通手当、食事手当、教育手当、待機手当などの追加的な福利厚生が、一部の従業員に提供される場合がある。
■ その他の構成要素:現地の法令及び慣行に応じて、以下の制度が追加される場合がある。
― 利益参加制度及び利益分配制度(フランスにおいては全従業員が対象)。
― 年金積立制度。エア・リキードが拠出を行う場合もある。
― 長期インセンティブ制度(業績連動株式)。当グループが事業を展開する59か国(1)において、経営幹部及び一部の主要人材を対象としている。
― 従業員株式購入制度(ESPP)。優遇価格での株式取得機会を提供する制度。
(1) 2022年9月1日以降、支配及び連結をしていないロシアの事業体を除く。
健康保険の共通基盤
エア・リキードは、すべての従業員(職業訓練生を除く)を対象として、健康保険の共通基盤を整備している。これにより、以下の内容が保証されている。
■ 死亡時に、少なくとも1年分の給与に相当する補償
■ 入院及び外来医療へのアクセス
■ 最低14週間の産休、基本給の100%を支給。
従業員の報酬及び福利厚生に関する措置
エア・リキードの報酬及び福利厚生に関する取組は、主として次の三つの軸を中心に構築されている。
1. すべての職務を分類し、独立した市場調査に基づいて、現地市場における同種の職位の報酬水準と比較できる参照フレームワークの活用。このフレームワークに基づく各従業員の給与水準は直属のライン・マネージャーに共有され、年次の昇給考査において、十分な情報に基づいた判断を行うことができるようになっている。
2. グループ共通の評価基準に基づき、従業員のパフォーマンスに応じて報酬を決定する考え方(「パフォーマンスに応じた報酬」)を採用し、業績評価をプロセスの中核に位置付けること。
3. 特に、必要に応じて男女間の賃金格差をモニタリングし、是正に取り組むことを重視する。2025年には、以下の是正措置が実施された。
― 各事業体による賃金格差の定期的な評価
― 年次の昇給考査において、格差縮小の状況を反映
― 必要に応じた一時的な給与調整
― 職務グレード別の賃金基準の統一
― 人事部門向けの啓発セッションの実施
このような、公正なプロセスに寄与する仕組の導入及び透明性の促進は、共通のガイドラインや方針の整備を通じて、より高い公平性の実現を目指すために不可欠な施策である。
従業員の報酬及び福利厚生に関する目標
2021年に発表したサステナビリティ目標及び戦略プラン「ADVANCE」の一環として、エア・リキードは2025年までに全従業員に共通の健康保険を提供することを約束した。これには、死亡保障、医療ケアへのアクセスと最低14週間の出産休暇を含む。
健康保険の共通基盤を有する従業員の比率
| 2025年目標 | 2025年実績 |
|---|---|
| 100% | 100% (2024年以来) |
人事部門の専門チームが進捗を監視している。基準年である2021年には、グループ従業員(職業訓練生を除く)の34%が保険に加入していた。これは、2023年末には78%となり、2025年には100%に達した。
従業員の報酬及び福利厚生に関する指標
十分な賃金
エア・リキードは、すべての従業員が、本人及びその家族にとって適切な生活水準を確保できる報酬を受け取れるよう、取り組んでいる。
ここでいう「生活賃金(living wage)」とは、通常の労働条件及び所定労働時間の下で行われる業務に対して、特定の地域において従業員が受け取る報酬であって、以下を満たす水準をいう。
■ 現地の経済状況に照らし、本人及び家族の基本的なニーズ(食料、水、住居、衣類、交通、教育、医療、通信等)を賄うことができること
■ 想定外の出来事に対応するための備え(予備的な貯蓄)を可能にすること
当グループは、成人2人と出生率に応じた人数の子どもによる世帯を前提として検討を行い、確率された方法論を有する2つの主要な非政府組織であるFair Wage Network及びWageIndicatorの基準を用いることとしている。両機関はいずれも、定期的に、かつ少なくとも年1回更新される生活賃金の水準を提供している。
これらの生活賃金は、最低賃金制度が存在する国において、各国の法定最低賃金と比較される。
生活賃金と最低賃金のうち、現地でより高い水準が、従業員の総報酬(基本給、経常的な変動報酬及びその他の固定手当から構成される)と比較される。
その結果、2025年12月31日時点において、当グループの従業員(1)の100%が十分な水準の賃金を受け取っている。
すべての従業員に生活賃金を確保し、いかなる格差も生じないようにするため、更新された生活賃金水準に基づき、すべての報酬について年次での分析が実施される。
(1) 分析の対象範囲からは、勤続期間が12か月未満の従業員(報酬の一部に関する支給要件による)、人事システムWorkdayの対象外となっている事業体の従業員、長期間就業していない従業員、駐在員、職業訓練生、並びに昇給が法令によって規律されている労働組合加入従業員が除外されている。
男女間賃金格差
2025年の男女間賃金格差は7.8%であった。比較のため、2024年における同格差は9.3%であった(2025年に指標は再計算されている(1))。
この指標の計算は、国や職種、その他いかなる特定の特性(年次、経験、業績、市場など)で調整されていないデータに基づいている。
これは、欧州のサステナビリティ報告基準で定義されているように、以下の計算式に従って、当グループ(Workday 人事情報システムのもとで展開されている事業体、従業員の98%を占める)につき算出される (2)。
| (男性従業員の平均時間当たり総報酬水準 - 女性従業員の平均時間当たり総報酬水準)/(男性従業員の時間当たり総報酬の平均水準) ×100 |
|---|
総時間給には、基本給、法定補償金及び目標に応じた変動報酬が含まれる。
(1) 2025年の格差を算出するために用いられたのと同じ算定手法による。したがって、このデータは2024年に公表されたものとは比較可能ではない。
(2) 職業訓練生、海外駐在員、性別の申告を希望しなかった従業員、又は性別不詳の従業員は計算から除外される。総時間給報酬は基本給、強制補償金、目標変動報酬で構成される。カテゴリー別の差異は、事業体別、国別、そして従業員数に比例してグローバルに連結される。
年間総報酬比率
事業内容及びビジネスモデルの多様性に加え、59か国(3)に事業を展開していることから、エア・リキードには、多様な職種及び人材プロファイルを有する現地従業員が在籍している。
年間総報酬比率は、人事情報システムにおいて利用可能な報酬データ(4)に基づいて算定されている。これらのデータの内容は、国によって異なる場合がある。
当該比率は、欧州サステナビリティ報告基準において定義された以下の算定式に従い、Workday人事情報システムの適用対象となる従業員のうち、算定要件を満たす従業員について算定されている。なお、職業訓練生及び採用プログラムの参加者は、明示的に対象から除外されている。
| 当該会社の最も高い給与を受けた従業員の年間総報酬 / 全従業員の年間総報酬の中央値(最も高い給与を受けた従業員を除く) |
|---|
2025年、年間総報酬比率は98.3であった。
(3) 2022年9月1日以降、支配及び連結の対象外となっているロシアを除く。
(4) 即ち、基本給、法定補償金、目標とされる変動報酬及び業績連動株式の付与などの年次の長期報酬制度の公正価値をいう。
(カ)職場におけるウェルビーイング
職場におけるウェルビーイングに関する話題:影響、リスク、機会
労働時間とワークライフバランスは、当グループの従業員に、一方で過度の労働時間、過重な業務負荷、不十分な休息、他方で心理社会的リスクや仕事に関連する健康障害によって、一時的又は永続的に悪影響を及ぼす可能性のある重要な問題である。
加えて、職場環境のデジタル化により、業務方法も一変した。当グループは、従業員のワークライフバランスを変える可能性のある新しい働き方を提供している。新しいデジタル・リソースを労働慣行に統合することは、一方で適応を困難にし、他方で柔軟性を高めることにつながる。リモートワークが可能な職種では、仕事とプライベートの両立が容易になる。このような新しいテクノロジーは、そのマイナス効果を最小限に抑え、プラス効果を最大化するために慎重に利用される。
職場におけるウェルビーイング・ポリシー
2020年、エア・リキードはBeActEngageフレームワークを展開した。これは、エア・リキードでの働き方を説明し、従業員が魅力的で多様性のある包摂的かつ高いパフォーマンスを発揮できる環境で成長できるよう、従業員に期待されることを明記したものである。
■ Be:当社の基本原則、すなわち安全、倫理、長期的パフォーマンスを実践する。
■ Act:規律をもって約束を守り、 効果的な決断を下すことで、成功のために行動する。
■ Engage:適切なレベルで権限を与え、委譲することで、ひとつのチームとなり、共通の利益のために行動する。
2024年、本フレームワークは新たな課題を取り込む形で進化し、公表のうえ、グループのすべての従業員が利用できるようにされた。また、「1つのエア・リキードのためのパフォーマンスとケアの方法(The way we perform and care as one Air Liquide)」と題する BeActEngage 実践ガイドにおいて具体的に示されている。
BeActEngage フレームワークの改善プロセスは2025年も継続され、以下の施策を通じて、この文化の強化及び定着が図られた。
■ 展開:世界全体で95%超の従業員が、専用ワークショップに参加した。
■ パフォーマンス評価:本フレームワークが、すべての従業員の評価基準に組み込まれた。
■ ガバナンス:グループの変革プロジェクトは本フレームワークに基づいて進められており、上級経営層向けには専用の仕組が構築されている。
BeActEngage フレームワークの展開については、グループ人事担当ヴァイス・プレジデントが責任を負っている。
職場でのウェルビーイングに関する行動
グループ全体に適用されるエア・リキードの人事戦略の柱のひとつは、魅力的で包摂的な社員体験を創造することである。
従業員の経験や福利厚生に細心の注意を払うことは、従業員を惹きつけ、維持し、育成する上で重要な鍵である。
エア・リキードは、My Voiceプログラム(上記ア(イ)参照)により、グループ内でのキャリアのあらゆる段階において、傾聴と対話を優先し、各従業員に成功体験を提供するよう努めている。
調査は10月に実施され、2025年末時点で、調査結果に基づくアクションの特定と展開のプロセスが、チームマネージャーレベルでもグループ内のより高いレベルでも、まだ継続中である。
2024年に従業員から共有されたフィードバックを分析した結果、例えば、2025年には以下のアクションを展開することが可能になった。
■ グループレベルでは、「キャリア・ディスカッション」を展開し、キャリアパスと能力開発の機会に関する定期的なディスカッションが正式に行われるようになり、その結果、従業員はキャリアの機会をよりよく把握できるようになった。
■ 全従業員向けの地域レベルの、「キャリアをマネジメントする」をテーマとしたオンラインイベントの開催
■ 事業体レベルにおける、従業員の日常生活を円滑にする取組の継続
さらに、BeActEngageの一環として、すべての従業員が、ライン・マネージャー、同僚、又は従業員(該当する場合)の誰に対してであれ、建設的な相互扶助の精神に基づき、定期的にフィードバックを行うことが奨励される。これは、誰もがやりがいのある環境で成長することができることを目的とする。
特定のニーズに応えるため、以下のような地域ごとのイニシアチブが展開された。
■ 欧州従業員評議会との協働により策定された「Care & Perform」イニシアチブは、心理社会的リスクの予防に関する枠組として機能している。これは、組織体制、業務負荷、ワークライフバランスに関する具体的な行動原則に基づく憲章を基礎としている。本アプローチは、複数の欧州諸国の各地において、リモートワーク及びつながらない権利に関する協定の締結を通じて実施されており、進化する働き方を支援している。
■ 一部の地域(フランス、ドイツ、イタリア、ベルギーのほか、中国、オーストラリア、シンガポールなどのアジア・太平洋地域の一部諸国、並びに中南米及び北米の全地域)では、従業員支援プログラムが導入されている。これらのプログラムは、生活上の困難、ストレス、業務上又は金銭面の問題など、幅広い個人的状況に対処するための、機密性の高い支援サービスを提供することを目的としている。従業員本人に加え、最も近い家族も本サービスを利用することができる。2025年には、主としてベルギーにおいて、新たな事業体を対象に本制度の適用範囲が拡大された。
■ 世界メンタルヘルス啓発月間である10月には、従業員の意識を高め、偏見と闘い、すべての人の心の健康を促進するために、北米で様々なイベント(ウェビナー、セーフティ・モーメント、ラウンドテーブル・ディスカッションなど)が開催された。
さらに、当グループは、新しい働き方を支援する「Next Normal」フレームワーク(チームマネジメント、管理されたリモートワーク方針、ワークスペースの再編成、顧客や患者との交流を再考する枠組、エア・リキード内での責任ある出張方針の新しい枠組)を企画した。
従業員のリモートワークへの適応は、数年前にすでに当グループ内で展開されていたデジタル・コラボレーション環境の存在と、リモートワークとリモートチーム管理をカバーする仮想トレーニングコースの開発によって促進された。この枠組の一環として、欧州従業員評議会は、ワークスペースの改修の際に重要なポイントを共有するガイドも作成した。当初はチームリーダーのために作られたこのガイドは、最初のグローバルな経験に基づき、各事業体が新たな働き方の方法論を確立するのに役立つ。
職場における幸福に関する目標
エア・リキードは、従業員の職場におけるウェルビーイングのために実施するアクションについて、結果という点で測定可能な目標を設定していないが、それでもMy Voiceプログラム(詳細については、上記ア(イ)参照)及びチーム内で実施される定期的な対話を通じて、そのロードマップの有効性を測定している。
職場でのウェルビーイングに関する指標
段階的導入とされているため、職場でのウェルビーイングに関する指標は2025年には公表されない。
(キ)エンプロイアビリティ、人材、技能管理
エンプロイアビリティ、人材、技能管理に関するトピック:影響、リスク、機会
エア・リキードは、業務遂行に必要な従業員とその技術スキルに依存している。一方では離職率が高すぎたり、他方では従業員の資質が不足していたりすると、人材の確保に影響を及ぼし、その結果、業務に支障をきたす可能性がある。
カーボンニュートラル経済への移行計画(上記(2)イ(ア)参照)の一環として、エア・リキードはより持続可能な仕事への従業員のスキル開発を奨励している。この移行によって最も影響を受けるのは、エンジニアリング&テクノロジー及びラージ・インダストリー事業の従業員である。
エンプロイアビリティ、人材、技能管理方針
エア・リキードグループの業績は、特に全従業員の質、スキル、コミットメントによって左右さる。エア・リキードでは、従業員のエンプロイアビリティを維持するため、従業員の希望と組織のニーズに応じて従業員を育成することを人事方針としており、2つの主要原則に基づいている。
■ キャリアレビューでは、従業員が自分のキャリアプランについてライン・マネージャー又は人事担当者と話し合う。
■ 70-20-10学習モデルとは、私たちが学ぶことの70%は新しい活動を実践することによって行われ、20%は観察や他人との交流によって行われ、10%は正式なトレーニングによって行われるという仮定に基づいている。このような能力開発の必要性については、年1回の業績評価時に議論され、記録される。
この方針は、グループ・イントラネットの人事ページや、研修・能力開発専用のエア・リキード大学イントラネットで全従業員に公開されている。グループ人事担当ヴァイス・プレジデントは、エンプロイアビリティ、研修、従業員能力開発に関するグループの人事方針とその展開の責任者である。
2050年までにカーボンニュートラルを達成するという目標に関連して、当グループは「Just Transition Statement」をウェブサイト(https://www.airliquide.com/sites/airliquide.com/files/2024-06/justtransition-en-06-2024.pdf)で発表した。これは、よりサステナブルな仕事の実現に向けたマネジメントの変化とスキル開発についての原則を説明したものである。とりわけ、エンジニアリング&テクノロジー(新技術を習得する必要がある)及びラージ・インダストリー事業(新しい技術が適用・運用される)において課題となる。エア・リキードのDNAの一部である機能横断的な人員配置は、生産的なキャリアパスを開発し、従業員のスキルとエンプロイアビリティを強化するための好ましい手段であり続けている。
エンプロイアビリティ、人材、技能管理に関する行動
エア・リキードの人事戦略の柱のひとつは、3つの分野でキャリア学習を促進し、社員の能力開発を加速させることである。
■ キャリアパス
■ あらゆる学習方法を活用し、エンプロイアビリティを高めること
■ 技術的な専門知識の維持・発展
キャリアパス
キャリア開発レビューは、各従業員のキャリアをサポートするために、ライン・マネージャーと人事部によって定期的に実施される。これは、従業員の現在の役割、専門的な関心、そして必要に応じてスキルアップを含むキャリア開発のために取るべき行動について、オープンに話し合うことを意味する。
キャリアレビューは、従業員のキャリアパスの主要な段階に従って計画される。
■ 入社1年目又は2年目
■ 同じポジションで3年から5年働いた後
■ 長期休業からの復職の際
■ より一般的には、従業員が要求した場合
エンプロイアビリティの強化
エア・リキードのエネルギー転換への関与とその活動のデジタル化は、新たな分野(データサイエンス、人工知能など)や新たなビジネスライン(水素、脱炭素化など)のニーズを生み出し、エア・リキードの従業員に新たなエンプロイアビリティをもたらしている。エア・リキードは、従業員がエンプロイアビリティを維持できるよう、キャリアを通じて専門的なスキルやノウハウを開発できるよう支援している。
エネルギー転換の進展に伴い、エンプロイアビリティの維持が特に重要となるビジネスライン、すなわちエンジニアリング&テクノロジー及びラージ・インダストリー事業を中心に、必要とされる専門的な技術スキルや改善が求められる分野についての評価が実施された。この分析結果を踏まえ、事業部門及び人事部門の各チームは、エネルギー転換に伴う課題に対応するための行動計画を策定している(上記「Just Transition Statement」を参照)。
エア・リキードが採用している70-20-10学習モデルは、従業員が自らの成長に積極的な役割を果たすことを奨励し、幅広い実践方法を提供している。
■ 機能横断的なプロジェクトへの貢献や、地理的なモビリティを伴うか否かにかかわらず短期的な任務を通じて、新しい活動に挑戦する。
■ メンタリング、コーチング、実践コミュニティへの参加、ネットワーキングなどの活動を通じて、他者から学び、知識を共有する。
■ トレーニング
- 産業プロセスのデジタル化を支援するためのオンサイト・トレーニング・コースの実施
- エア・リキード大学が運営する幅広いトレーニングコースの受講が可能で、毎年、次のような多くのトピックを網羅するよう充実している。
・ デジタルと人工知能を活用した「AI加速」プログラムにより、問題意識(とりわけ倫理)を高め、グループ内で人工知能のスキルを開発すること
・ あらゆる責任レベルにおいて、チームを監督し、又は機能横断的なチームの調整に携わる従業員をサポートするためのチームリーダーシップやマネジメント
・ 気候変動、エネルギー転換、グループのサステナビリティ対策の目標と脱炭素化戦略、そして全従業員をサポートするための業務展開
- 個々の研修ニーズは、管理職や現地の人事チームと協力して、エキスパート学習・開発センターが管理する。
技術的専門知識の維持及び開発
テクニカル・コミュニティ・リーダー(TCL)プログラムは、技術分野の専門家が、その技術的専門性を認められ、その分野での成長と発展する機会を両立させるキャリアパスにアクセスできるようにするプログラムである。
今日、エア・リキードには5,400人以上の技術専門家がおり、専門知識と卓越した技術を共有し、顧客と患者に貢献する推進役を担っている。当グループの技術専門家によるこのコミュニティは、将来エア・リキードが必要とするノウハウの伝達に貢献している。
毎年の選抜プロセスを通じて人材を発掘するこのTCLプログラムの一環として、2025年には9つの分野(ラージ・インダストリー事業、工業事業、ヘルスケア事業、エレクトロニクス事業、エンジニアリング&建設、イノベーション&開発部門、産業オペレーション&セキュリティ、デジタル&IT、水素モビリティ)で79名の国際的な技術専門家が新たに任命された。また、347名のローカル専門家も任命された。
TCLプログラムは、製品の長期的な安全性とグループ事業のパフォーマンスの大きく貢献するイノベーションの重要な推進力である。
エンプロイアビリティ、人材、技能管理に関する目標
エア・リキードは、従業員のエンプロイアビリティ、トレーニング、能力開発のために取る行動に関して、結果という点で測定可能な目標を設定していないが、My Voiceプログラム(詳細については、上記ア(イ)参照)や、年次レビューを含む、従業員、管理職、人事担当者間の定期的な対話により、そのロードマップの有効性を測定している。
エンプロイアビリティ、人材、技能管理に関する指標
年次レビューに参加した従業員の割合(男女別)
| 2024 | 2025 | |
|---|---|---|
| 全従業員中 | 97.9% | 96.1% |
| 女性 | 97.1% | 96.2% |
| 男性 | 98.3% | 96.1% |
| 性別非開示/その他 | 96.9% | 97.0% |
この割合は、これらの評価の対象となる従業員総数(1)に基づき計算され、適用される現地の法律を考慮している。具体的には、選抜プロセス開始時点の対象従業員数は61,625
名であり、従業員総数の94.6%を占める。
(1) 算定の対象範囲からは、有期契約社員、2024年9月30日以降に採用された従業員、Workdayの対象外となっている事業体の従業員、長期休暇中の従業員、並びに現地の法令に基づき取り扱われる労働組合加入従業員が除外されている。
パフォーマンス及びキャリア開発に関する評価では、年初に設定された目標の達成状況に加え、従業員の貢献度及び行動が評価される。併せて、強みや能力開発が必要な分野及びそれに対応する取組についても評価が行われる。これらの評価は、パフォーマンスの向上を図るとともに、従業員のエンゲージメントを高め、キャリアの発展を促進することを目的としている。
こうした見直しを促すため、当グループは毎年12月初旬から2月末まで選抜プロセスを実施している。ここで報告する数字は、2024年の選抜プロセスに関するものである(2025年時点では、この期間の選抜プロセスはまだ継続中であった)。
(ク)個人情報保護
個人情報保護に関するトピック:影響、リスク、機会
個人情報の不正使用は、個人のプライバシー、権利、財産を侵害する可能性があり、また差別に用いられることもある。エア・リキードの活動において、これらのリスクにさらされる可能性が最も高いのは、65,168名のグループ従業員と、エア・リキードが治療を行う230万人の在宅医療事業患者である。個人情報のセキュリティ違反とは、偶発的か違法かを問わず、送信、保存、又はその他の方法で処理された個人情報の破壊、紛失、改ざん、不正な開示、又はそのようなデータへの不正アクセスを指す。情報漏洩がもたらす悪影響は、エア・リキードに預託され、エア・リキードの事業活動の中で必要とされる個人情報の性質、機密性、範囲によって異なり、 情報漏洩の対象となる。
従業員の個人情報の漏洩は、当グループのITシステムに対するサイバー攻撃によるものであるか否かを問わず、訴訟、制裁措置、罰則などの法的措置及び評判の低下などの影響をもたらす可能性がある。
個人情報保護方針
2018年5月、エア・リキードは個人情報保護に対するグループのコミットメントを具体化する拘束力のある企業規則(BCR)を採択し、欧州データ保護当局の承認を得た。欧州の規制が世界で最も保護的であることを考慮し、エア・リキードはBCRを通じて、すべての事業体において同レベルの保護を提供する。これらの拘束力のある企業規則は、特に、当グループのウェブサイト(https://www.airliquide.com/sites/airliquide.com/files/2018/05/23/air\_liquide\_bcr\_global\_privacy\_policy.pdf)及びデジタル・セキュリティとデータ保護に特化した当グループのイントラネット・サイト上で誰もがアクセスできる個人情報保護方針の採用について規定している。
本方針は、以下のように定義する。
■ エア・リキードグループが個人情報の収集、使用、開示のために遵守すべきグローバルルール
-ルール第1 個人情報は、具体的、明示的かつ合法的な目的のために収集されなければならない
-ルール第2 個人情報の処理に法的根拠があることを確認すること
-ルール第3 適切かつ関連性のある限られた個人情報のみを収集し、限られた期間のみ保持するようにする
-ルール第4 個人情報が収集され、その個人データがどのように使用されるかについて、当該個人に対する透明性を確保する
-ルール第5 機微な個人データの処理が許可されていることを確認する
-ルール第6 個人の権利を守る
-ルール第7 個人がダイレクトマーケティングのコミュニケーションに異議を述べることができるようにする
-ルール第8 プロファイリングを含む、もっぱら自動化された個人の意思決定を防止する
-ルール第9 個人データの安全性と機密性を確保する
-ルール第10 移転に関する適切な措置の実施
■ 本方針に関する苦情及び要望
■ グループ外の受益者の権利
■ BCRが提供する保証
エア・リキードは行動規範において、方針で表明されたコミットメントを、従業員に適用される服務規程に反映させている。行動規範に関する情報は、下記(4)イ(ア)に記載されている。
個人情報保護に関する措置
BCRの実施によってもたらされる行動は、以下のとおりである。
■ データ保護責任者(DPO)を任命し、グループ全体(業務又は機能)に広がる150人以上の地域又はローカルの情報保護コーディネーター(IPC)のネットワークに依存して、個人データを保護するための行動を指揮・調整する。
■ エア・リキード・エス・エーとその子会社間の、子会社のBCRへのコミットメントを正式に表明する契約の締結
■ 下記のようなツールの展開
- 個人情報処理活動の記録
- 最初の従業員研修と2年ごとに行われる研修セッションで、行動規範に関する注意喚起を行うこと
- 初期設定及び処理設計段階による個人情報保護に関する配慮
- 個人情報保護に関するリスク分析
- 社内外の個人が、当グループの個人情報保護方針(規則第6号)に規定されている権利の行使を要求したり、個人情報保護の違反行為を報告したりするために、DPO及び IPCに連絡するために利用できる様々な手段を利用できること(内部通報制度と負の影響を是正するプロセス、上記ア(イ)参照)
運営主体は、保有又は使用する個人情報と適切な保護措置について説明する。このリスクの評価及び対応するセキュリティ対策は、個人情報の処理に関する重大な変更(特に、それをサポートする業務プロセス又はITツールの改訂)の作成時又は実施時に検証される。特に検証されるポイントは、以下のとおりである。
■ 個人情報の性質(患者の健康データ、株主の資産・財務データ、従業員の家族・財務データなど)
■ 個人情報処理活動の目的
■ エア・リキード内で個人情報を処理する部門
■ 個人情報がグループ外に委託又は転送される可能性のある第三者
■ 個人情報が欧州連合外に転送される可能性
これらの情報及び保護措置は、個人情報処理活動の記録にまとめられている。
個人への影響が最も大きいと特定された個人情報処理(例えば、患者の個人情報処理)は、社内の専門家によって毎年見直される。定期的なプロセスにより、権利行使及び個人情報侵害の可能性に関する報告の量、及びグループ事業体の拘束力のある企業規則(BCRs)の契約遵守を測定する。個人情報保護に関するグループ各社の成熟度を測定するため、4人以上を雇用する当グループ各社は、自己評価アンケートに回答している。このアンケートには以下の項目が含まれる。
■ BCR遵守契約の存在
■ データ保護責任者(DPO)の現地代理人(現地の情報保護コーディネーター(IPC)、又はその国の法律に由来する特定の義務がある場合はその他の人物)の立会い
■ 個人データ処理活動の記録の存在
■ 従業員トレーニング
■ 設計による保護、初期設定による保護、リスク分析
■ 権利を行使し、データ違反の可能性を報告するためのプロセス
■ 第三者(特にエア・リキードが個人情報の処理を委託する協力会社)との契約条項
■ 国家当局又はセキュリティサービスによる個人情報へのアクセス要求
アンケートは、地域のIPCとDPOによってレビューされ、チェックされる。事業体の成熟度は4点満点で評価され、グループレベルで集計される。個人情報保護に関する活動及びこれらの様々な措置の結果は、デジタル・セキュリティ委員会、倫理・コンプライアンス委員会、取締役会の監査・会計委員会に社内で報告される。最後に、当グループの内部監査部門は、事業体に対する計画的な監査に個人情報保護を対象とするか、内部監査計画の一環として、又はDPOの要請に応じて、個人情報保護に特化した監査を実施している。
個人データ保護に関する目的
エア・リキードは、個人情報保護のための行動に関する結果についての測定可能な目的を設定していないが、前項の事業体の成熟度の評価を通じて、個人情報保護に関する行動の有効性を測定する。2025年、個人情報保護に関する事業体の成熟度は4点満点中3.62であった。
イ バリューチェーンにおける労働者
(ア)はじめに
バリューチェーンにおける労働者に関する話題:影響、リスク、機会
上記(1)エ(ウ)にあるバリューチェーンの定義によると、ダブル・マテリアリティ評価の範囲に含まれる当グループのバリューチェーンにおける労働者は、以下のとおりである。
■ 事業活動の上流
- 一次サプライヤー及び協力会社(直接サプライヤー)の従業員
- 自社のサプライヤー及び協力会社の従業員に関する影響、リスク、又は機会が特定された場合、それらの従業員
■ 事業活動において、その事業所に立ち入り、 ESRS S1「自社従業員」の対象外である直接サプライヤーの従業員
■ 事業活動の下流
- エア・リキード製品の顧客及び患者への物流、流通、配送に関わる企業の従業員。これらの企業は、その事業の上流に位置する企業と同じように直接のサプライヤーとみなされ、エア・リキードにより配慮され、管理を受ける。
- その顧客の従業員
上記(1)オに記載されているダブル・マテリアリティ評価によると、バリューチェーンの労働者に関する以下の問題は重要である。
■ 健康と安全
■ 労働条件
■ 児童労働と強制労働
安全衛生は、当グループのバリューチェーンで働く労働者にとって重要な問題である。上流では、当グループのサプライヤーの従業員、又はエア・リキードの事業所にいる従業員が、健康リスク、労働災害による収入損失、職業病、最悪の場合は死亡のリスクにさらされていることが認識されている。川下では、顧客の従業員が、欠陥のある製品や設備の納入により影響を受ける可能性がある。
エア・リキードのサプライヤーの従業員の労働条件に関する問題もまた重要である。雇用の不安定さは、季節需要や一時的なピークなど特定の購買慣行や、サプライヤーが実施するリストラ計画によって強調される可能性がある。当グループの調達国で労働時間規制がない国については、サプライチェーンの労働者に適切な報酬が支払われないまま時間外労働が濫用されるケースが発生する可能性がある。さらに、サプライヤーの労働者に対する不適切な報酬の支払いも考慮すべきである。最後に、心理社会的リスク、及びワークライフバランスに関連する職業病が、当グループのサプライヤーの従業員に影響を及ぼす可能性がある。
エア・リキードの上流バリューチェーンでは、児童労働や強制労働が発生する可能性がある。強制労働とは、人の意思に反し、移動の制限、身分証明書や賃金の差し止め、借金による束縛など、あらゆるペナルティの脅しのもとで行われる労働のことである。児童労働は強制労働と同様、その犠牲となる子どもたちの健康、道徳心、知的発達を危険にさらすものである。移民労働者と子どもは、その不法な地位から生じる保護の欠如により、こうした影響を特に受けやすい。
当グループは、サステナビリティ上重要なサプライヤーの活動内容と同様に、強制労働や児童労働の可能性が高い地域を特定する。グループのサプライヤーが所在する各国は、3レベル(厳しい、高い、低い)の尺度を用いた公的指標の重み付けに基づいて評価される。当グループのサステナブル調達部が作成したこの評価では、サステナビリティ上重要なサプライヤーが所在する国のうち、強制労働又は児童労働のリスクが高い4か国が、中国、インド、エジプト、トルコであると特定された。サプライヤーの活動内容に関して、各サプライヤーは、国際標準産業分類に基づき、3段階(厳しい、高い、低い)でサステナビリティ上重要なレベルを割り当てられた調達カテゴリーにリンクされている。強制労働と児童労働の「重大度」に分類された調達カテゴリーは、可燃性ガス、燃料・潤滑油、廃棄物処理・処分、デジタル&ITである。
加えて、内部通報チャネルが部分的又は完全にアクセスできないことは、これらの悪影響を悪化させ、是正や予防措置の実施を妨げる可能性がある。
バリューチェーンにおける労働者に関するダブル・マテリアリティ評価は、サステナブル調達手順に従ってサステナビリティ上重要なサプライヤーを評価する年次キャンペーンに基づいている。これにより、当グループの直接サプライヤーにおけるサステナビリティに関連する影響を特定・評価することが可能となる。この評価キャンペーンは、各地域の調達チームが毎年実施している。グループレベルでは、サステナブル調達部が調整を行う。この評価キャンペーンは、バリューチェーンにおける労働者のための基準でカバーされている社会的問題よりも広い範囲をカバーしており、環境や倫理の問題だけでなく、その他の人権問題もカバーしている。サステナブルな調達手順の全体の詳細は、下記(4)エ(ア)に記載されている。
サステナビリティ上重要なサプライヤーは、3つの基準を用いて特定される。
■ 年次の支出額は、サプライヤーの優先順位をつけるために用いられる。サステナビリティ上重要なサプライヤーとは、当グループが年間20万ユーロ以上の取引を行っているサプライヤーを指す。
■ サプライヤーの活動の性質に関連するリスク。17の調達カテゴリーのうち、600以上の調達サブカテゴリーに細分化されたカテゴリーの、どれにサプライヤーが割り当てられるかどうかによって決まる。各調達サブカテゴリーには、特に人権と労働条件を含むグローバルなサステナビリティ・リスクレベルが3段階(厳しい、高い、低い)で割り当てられている。
■ サプライヤーが事業活動を行う国家に関連するリスク。公認の公的指標の重み付けに基づいて評価され、特に健康・社会状況(例:人間開発指数、HDI)及び人権(例:グローバル奴隷指数、ITUCグローバル権利指数)の観点から、3段階(厳しい、高い、低い)の尺度が用いられる。
バリューチェーンにおける労働者の人権へのコミットメント
エア・リキードは世界中の事業において人権を尊重し、促進する。エア・リキードは、国際人権規約、国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則及び権利に関する宣言」、経済協力開発機構(OECD)の「多国籍企業ガイドライン」及び国連(UN)の「ビジネスと人権に関する指導原則」に規定されている原則を共有している。
グループ雇用法・コンプライアンス担当及び注意義務担当チーフ・リーガル・オフィサーの責任のもと、当グループは、上記の国際基準で推奨されているアプローチに基づき、サプライヤーに対する人権デュー・ディリジェンス・プロセスを実施している。エア・リキードのバリューチェーンにおける労働者との対話、及び人権への影響を是正するためのアプローチは、以下のとおりである。
児童労働及び強制労働に関する当グループの方針は、下記イ(エ)に記載されている。
バリューチェーンの労働者との協議
負の影響を是正するためのプロセス
グループ調達部門は、さまざまなチャネルを通じて、サプライヤーの労働者に及ぼす潜在的な影響についてサプライヤーと連携している。
■ エア・リキードは、サプライヤーを選定する際、その要件を伝え、取引関係の契約においてサプライヤー行動規範及び行動規範を遵守するよう求める。
■ 下記イ(ウ)で説明しているように、サステナビリティ上重要なサプライヤーの年次評価キャンペーンにおいて、当グループはサプライヤーと連携してパフォーマンスを評価し、必要に応じて是正措置計画を策定・実施する。
また、当グループは、国際労働組合などの正当な代表者、又は市民社会組織や第三者評価機関などの信頼できるエージェントを通じて、バリューチェーンにおける労働者の関心と意見を収集するためのモニタリング・メカニズムを使用している。
■ サプライヤーとの関係及びリスク管理手続では、新規サプライヤーの資格認定前に、特に人権の観点から、事前チェックを受けることが義務付けられている。これらのチェックは、特に国際的な制裁リストやサプライヤーに関する既存の批判的なメディア記事を含むダウ・ジョーンズのデータベースの使用に基づいている。このメディアウォッチは、バリューチェーンにおける労働者の主張と苦情を報告することを可能にする。さらに、サステナビリティ上重要なサプライヤーの評価には、議論のある要素も含まれている。
■ サステナビリティ上重要なサプライヤーを特定する際や、特に国際労働組合総連合のグローバル・ライツ・インデックスを通じてカントリーリスクを評価する際には、バリューチェーンにおける労働者の正当な代表者の視点も考慮される。
■ 調達部門と注意義務部門は、その責任の一環として、バリューチェーンに関して市民社会が関心を持つ国やテーマを継続的にモニタリングしている。
当グループの顧客に関しては、下記ウ(ア)で、当グループの顧客に対するコミットメントの測定を説明している。
最後に、当グループの内部通報制度は、負の影響の発生を防止し、必要な是正措置を実施するために、バリューチェーンのすべての労働者が利用することができる。サプライヤーは、倫理内部通報制度に関する項目を含むサプライヤー行動規範を通じて、この可能性を知らされている。バリューチェーンの労働者がアクセスできるエア・リキードの内部通報方針と制度は、下記(4)イ(ア)に記載されている。
(イ)バリューチェーンにおける労働者の安全衛生
バリューチェーンにおける労働者の安全衛生方針
エア・リキードの安全規則に従い、当グループはサプライヤーに強固な安全衛生管理システムの導入と維持を要求している。サステナブル調達手順及びサプライヤー行動規範(下記(4)エ(ア)に記載)により、サプライヤーは国際的な安全衛生基準を遵守する必要がある。これらによると、サプライヤーは以下を行うものとする。
■ 従業員及び協力業者の健康、安全、セキュリティの保護を目的とした法律及び規制を実施する。
■ エア・リキードの従業員の健康、安全、セキュリティを確保する。
■ エア・リキードのライフ・セービング・ルールに従う。
このように、当グループは、サプライヤーに関する安全性と厳格さのレベルが、当グループの従業員に期待されるレベルと同等であることを保証している。これには、完全に安全な状態で作業を行うことができない場合は作業を行わないようにすること、事故を監視すること、労働者の身体的完全性を保護することを目的とした規制を遵守することなどが含まれる。安全な職場環境は、個人の幸福を優先し、生産の中断を最小限に抑え、効率的でサステナブルなオペレーションというエア・リキードの価値観に沿うものである。エア・リキードは、安全かつ信頼できるオペレーション(上記ア(ウ)記載)のための枠組みを通じて、バリューチェーンにおける労働者の健康と安全への影響を管理している。
バリューチェーンにおける労働者の安全衛生に関する行動
サプライヤーと協力会社の安全パフォーマンスを向上させるため、当グループは協力会社の種類(契約の種類、ビジネスライン、地域など)に応じてさまざまな手段を特定し、改善活動を段階的に実行している。
第一に、サプライヤーや協力会社と交わされる契約には、安全に関する条項が含まれている。これは、サプライヤーや協力会社がその業務において一定レベルの安全性を尊重する義務を固定化する効果がある。さらに、新規のサプライヤーは、特に安全性と信頼性の問題をカバーする技術的評価の対象となる。
加えて、当グループは、その事業所にいるサプライヤーや協力会社に対して、遵守すべき価値観、基準、安全基準を伝達している。安全に関する指示は、広く共有され、理解しやすく、協力会社との作業編成において詳細なものとなっており、協力会社はサービス実施中に監督を受ける。最後に、エア・リキードは作業後に協力会社の安全業績を評価し、フィードバックの形で共有することを奨励している。この実践により、安全への影響を管理するプロセスを改善することが可能になる。
安全・産業システム部には、事業所にいる当グループのサプライヤーや協力会社の従業員も参加できる、安全又はセキュリティ事故を報告するための内部プロセスがある。このプロセスにより、その重大性に応じて、子会社、国グループ(クラスター)、グローバルビジネスユニット(GBU)の経営陣、関連するセキュリティ又は安全管理者に対して、迅速に情報を伝達することができる。危機管理及び事故監視プロセスは、必要に応じて実施され、犠牲者への最善のケアを確保し、状況を安全なものとし、資格を有し、かつ事故に適した調査チームを設置する。当報告ツールの詳細は、上記ア(ウ)に記載されている。
バリューチェーンにおける労働者の安全衛生に関する目標
当グループは、安全衛生指標の定量的目標を正式に定めていない。しかしながら、エア・リキードは、サステナブル調達手順(下記(ウ)参照)で規定されているサステナビリティ上重要なサプライヤーの評価、及び事業所におけるバリューチェーンの労働者の安全衛生に関するいくつかの指標(上記ア(ウ)参照)を通じて、サプライヤーの労働者の安全衛生のために実施されている措置の有効性を評価している。
(ウ)労働条件
バリューチェーンにおける労働者の労働条件政策
エア・リキードは、 サステナブル調達手順を採用し、サプライヤーがエア・リキードの事業及び業務において遵守するサステナブル開発基準を遵守するよう促進し、保証する。バリューチェーンにおける労働者に関する社会的事項よりも広範な領域をカバーするこの手順とその主な構成要素については、下記(4)エ(ア)に記載されている。
労働条件に関する問題に関して、サプライヤー行動規範は、サプライヤーが特に以下のことを行うことを明記している。
■ 時間外労働に関する法を含む、労働時間に関する適用法及び部門別労働規則を遵守する。
■ 少なくとも、最低賃金法を含むそれぞれの国内法で規定された賃金と手当を、既存の業界慣行や現地の労働市場に沿った形で提供し、現地の生活条件に応じた公正な報酬を確保する。
■ 公正かつ倫理的な採用方法を有する認定人材紹介会社と協力すること。
エア・リキードは、取引関係の構築の前提として、サプライヤーによるサプライヤー行動規範の遵守を期待している。
バリューチェーンにおける労働者の労働条件に関する行動
調達部門は、エネルギー調達を除くすべての購買カテゴリーを所管している。エネルギー調達については、エネルギー管理を専門とする部門が担当している。調達部門は、サステナブル調達に関する戦略及び手続を定義する。サステナブル調達チームは、「サプライヤーリスク及びリレーションシップ・マネジメント並びにサステナビリティ」チームの一部として、各クラスター(国のグループ)及び各ワールド・ビジネス・ユニットにおける現地の調達チーム内の専門担当者と連携しながら、その展開を調整している。
サステナビリティ上重要なサプライヤーを対象とした年次評価キャンペーンでは、これらのサプライヤーらが事業運営においてサステナビリティ・リスク管理システムを導入する支援を行っている。
サステナビリティ上重要なサプライヤーと認定されたサプライヤーは、そのサステナビリティ・パフォーマンスについて評価を受ける。評価は2種類のアンケート形式で行われる。
■ 2025年には、CSR(企業の社会的責任)のパフォーマンスの評価に特化した第三者機関であるEcoVadisから、国際規格(ISO26000、グローバル・コンパクト、ISO20400、ISO31000など)に基づくオンラインアンケートを用いて実施された。このアンケートは、環境、人権と労働条件、倫理、サプライヤーが実施するサステナブルな調達手続の4つの主要テーマについてサプライヤーを評価するものである。
■ エア・リキードは、指定第三者機関が提供するソリューションの代替として社内アンケートを作成した。このアンケートは、指定第三者機関によるアンケートへの回答を拒否したサステナビリティ上重要なサプライヤーに送付される。EcoVadisプラットフォームで使用されている4つのテーマに関する10問の質問が含まれている。
評価結果によると、サプライヤーは以下のように分類される。
■ 責任あるサプライヤー:グローバルスコアが45/100以上で、20/100以下のテーマがない場合、そのサプライヤーはエア・リキードのサステナブル調達手順の要件を満たしている。
スコアの有効期限:5年間又は契約更新時(いずれか早い方)
■ 改善が必要なサプライヤー:グローバルスコアが25/100~44/100の場合、又はグローバルスコアが45/100以上だが、1つのテーマが20/100以下の場合。
スコアの有効期間:3年間、その間にサプライヤーは是正措置計画を実施する。
■ 不適合サプライヤー:総合得点が100分の24以下、又はサプライヤーが評価を完了することを拒否した場合。スコアの有効期限:1年間。是正措置計画は、格付けの翌月に要求され、格付けから12か月後のサプライヤーの再評価までに実施されなければならない。
不適合サプライヤーや改善が必要なサプライヤーについては、行動計画を明確にするために、現地での環境/社会監査が実施決定される場合がある。
当グループのサステナブル調達マネージャーと「サプライヤーリスク及びリレーションシップ・マネジメント並びにサステナビリティ」チームの専門家は、評価キャンペーンに関連する是正措置計画の実施を調整する。サステナビリティ上重要なサプライヤーの評価手順に従い、改善が必要なサプライヤー及びコンプライアンス違反のサプライヤーは、措置計画を策定しなければならない。エア・リキードは、これらのサプライヤーに対し、第三者プラットフォームを通じて是正措置計画の完了と証拠のアップロードを求める。
企業の規模や展開するアクションの種類によって、こうした計画の立て方は異なる。例えば、以下のような点が挙げられる。
■ 第三者プラットフォームでの評価又は社内アンケートで特定の改善点に基づくもの
■ 「サプライヤーリスク及びリレーションシップ・マネジメント並びにサステナビリティ」チームが主催する、サステナブルな開発のトピックに関する研修へのサプライヤーの参加
場合によっては、調達チームが関係サプライヤーと行ったあらゆる努力にもかかわらず、要請された是正措置計画が実施されないことがある。当グループの事業に特有の制約が必要な場合(例:公共エネルギー供給業者)、調達チームは、臨時のデュー・ディリジェンスを策定する。その後、当該サプライヤーとの取引を継続するかどうかは、現地経営陣が決定する。これらの決定は文書化され、モニタリングされる。
評価の結果及び是正措置計画の見直しの後、エア・リキードはコンプライアンス違反のサプライヤーとの取引関係の停止を決定することがある。
さらに、当グループは、自社又は第三者が実施するアンケートや監査を通じて、行動規範に定められたルールの遵守を確認することがある。サプライヤーがサプライヤー行動規範の条件を遵守しない場合、エア・リキードは独自の裁量で、サプライヤーとのいかなる取引関係も終了させる権利を有する。最後に、当グループの内部通報制度は、バリューチェーンの労働者を含むすべてのグループ利害関係者が利用でき、状況を改善する手段を提供する。当グループの内部通報制度は、下記(4)イ(ア)に説明されている。
バリューチェーンにおける労働者の労働条件に関する目標及び指標
サステナブルな調達手順の実施は、調達部門が監視している。
2025年には、サステナビリティ上重要なサプライヤー685社のうち、336社について評価キャンペーンと行動計画が実施された。
■ 242社のサプライヤーにアンケートに回答してもらい、そのうち207社(86%)が評価を受けた(第三者プラットフォームを使用したものが67%、エア・リキードの社内アンケートを使用したものが33%)。
■ 改善が必要なサプライヤー93社に是正措置計画の策定を求めた。そのうち93社が行動計画を作成した。
■ 1社の不適合サプライヤーに是正措置計画の策定を求めた。当該サプライヤーが行動計画を作成し、完了した。
2025年のキャンペーン終了時点で、サステナビリティ上重要なサプライヤーのうち625社が有効な評価を受けている。その他のサプライヤーもモニタリング中であるか是正措置計画の実施中である。
外部プラットフォームによる評価の結果、サステナビリティ上重要なサプライヤーの現在の平均スコアは55/100であった。最もスコアが高い2つのテーマは、人権と労働条件と環境で、平均スコアは60/100であった。
サステナビリティ上重要なサプライヤーの年次評価キャンペーンは、その効果的な展開を確保し、エア・リキード・サプライヤー・パネルのサステナブルな実践の継続的な改善を促進し、サプライヤーのコンプライアンスを強化するため、3つの重要なパフォーマンス指標を用いてモニタリングされる。具体的には、これらの指標は当グループがキャンペーンへの参加状況、サプライヤー行動計画の進捗状況を把握し、不適合サプライヤーが重要な課題に対処することを確保するのに役立つ。特に、2つ目と3つ目の指標の目標値を100%の設定することで、当グループのこれらのサプライヤーに対するゼロ・トレランス方針を明確に示している。最初の指標については、前年度比の改善を推進するため、前年度と同等又はそれ以上の目標を設定している。
| 主要指標 | 2025年目標 | 2025年実績 |
|---|---|---|
| 年次評価キャンペーンでサステナビリティ上重要なサプライヤーが回答した割合 | 85% | 86% |
| 是正処置計画を作成した要改善サプライヤーの割合(年間評価キャンペーン) | 100% | 100% |
| 是正措置計画を作成し、実施した不適合サプライヤーの割合 | 100% | 100% |
これらの主要業績評価指標とその進捗状況は、グローバルビジネスユニット(GBU)とクラスター(国のグループ)の調達ディレクターが集まるグループ調達マネジメント委員会に定期的に提示される。また、注意義務と倫理を監督する機関にも送付される。
(エ)強制労働・児童労働の防止
強制労働・児童労働防止政策
エア・リキードは、下記(4)エ(ア)に記載されているCSR条項、サプライヤー行動規範、サステナブル調達手順の遵守をサプライヤーに求めることで、ビジネスパートナーがこれらの基本的人権を尊重することを期待する。サプライヤー行動規範は、サプライヤーが以下の義務があることを明示している。
■ 非自発的な囚人労働やあらゆる形態の現代奴隷制を含む、あらゆる形態の強制労働の禁止
■ 児童労働の禁止
- 最低就労年齢は、適用法に基づく法定最低年齢又は15歳のいずれか高い方の年齢を下回ってはならない。
- 危険な業務、すなわち労働者の健康、安全、又は道徳を危険にさらす可能性のある業務に従事する労働者は、18歳未満であってはならない。
強制労働と児童労働の防止に関する行動
サステナビリティ上重要なサプライヤー評価キャンペーンには、特に、人権の尊重、強制労働や児童労働に適用される国際的な基準が含まれている。
同時に、エア・リキードは、人権や労働の権利の問題に関する否定的な報道記事をモニタリングすることで、新規サプライヤーの事前チェックを実施している。新規サプライヤーがこれらのカテゴリーに関連するリスクにさらされている場合、その議論を詳細に検証し、グループ雇用法、コンプライアンス及び注意義務担当チーフ・リーガル・オフィサーの同意が得られない限り、関係を開始又は継続することはできない。
強制労働及び児童労働の防止に関する目標
上記の労働条件に関する目標を除き、エア・リキードはバリューチェーンにおける労働者のための人権デュー・ディリジェンス目標を追加していない。
ウ 患者と顧客
(ア)はじめに
患者と顧客に関するトピック:影響、リスク、機会
ますますダイナミックで競争が激化する環境において、エア・リキードグループの長期的な業績の原動力となるのは、顧客と患者の満足度である。この優先順位を確認するため、当グループの最高経営責任者がグループのカスタマー・エクスペリエンス部門を統括している。エア・リキードの 「カスタマー・エクスペリエンス」プログラムは、顧客に関する知識、チームの能力向上、継続的改善の3つの柱に基づいている。
2017年以降、当グループは「Voice of Customer」(VoC)と呼ばれる顧客体験の管理ツールによって後押しされ、顧客中心の変革に向かっている。このソリューションにより、すべての事業体が定期的に無制限の数の顧客や患者にアンケートを実施し、彼らのコメントをリアルタイムで分析し、不満を抱いている人々を特定し、彼らに連絡し、不満の理由に対処するために必要な措置を講じることができる。グループのあらゆるレベルでフィードバックが幅広く共有されているおかげで、適切なアクションプランが特定され、体験を改善するために同プランが実施されている。現在までに、VoCはすでに全世界のグループ売上の88%をカバーする大規模な範囲で展開されている。
VoC調査は現在、カスタマー・エクスペリエンスの全段階をカバーする年次調査と、オファー、注文、配送、請求書発行、テクニカル・サービスなど、特定の段階における満足度を測定する、より頻度の高いトランザクション調査の2つの形式で実施されている。そのフィードバックによると、当グループの顧客は、商品とサービスの品質、安全性、チームの専門性と効率性を特に高く評価している。
この年次調査により、当グループはグループレベルで共通のKPIであるNPS(ネット・プロモーター・スコア® )をモニタリングすることもできる。NPSは、「エア・リキードをサプライヤーとして推薦する可能性を0から10段階でお答えください。」といった簡単な質問で顧客の推奨意向を測定する。VoC調査の開始以来、このスコアの着実な向上がすべてのビジネスラインで確認されている。2025年には、エア・リキードの顧客と患者の90%が満足している。
ESRS-S4は個人に焦点を当てているため、当グループの事業活動への適用は、エア・リキードが在宅医療事業の一環として提供するサービスを受ける患者を主な対象としていることを意味する。
在宅医療事業において、エア・リキードは230万人の慢性疾患患者をカバーしている。エア・リキードの在宅医療事業が対象とする主な慢性疾患は、慢性閉塞性肺疾患、閉塞性睡眠時無呼吸症候群、慢性呼吸不全、1型糖尿病、肺動脈性肺高血圧症、パーキンソン病である。
処方医による診断と治療が確立された後に、エア・リキードが患者に提供するサービスは、その病態の治療に不可欠な医療機器の配布と、長期モニタリングのための関連サービス(対面又は遠隔、特にデジタル・ソリューションの利用拡大を通じた、患者の意識向上、治療実施の支援、看護師又は有資格技術者の関与による継続的なサポート)の提供である。
ダブル・マテリアリティ評価によると、当グループの在宅医療事業に関する、プライバシーの保護、健康と安全、質の高い情報へのアクセスが患者にとって重要である。
プライバシーに関する影響は、当グループの子会社がアクセス可能な患者の個人データ及び健康データ(機微情報とみなされるデータ)、並びにその漏洩の可能性(このデータの内部での悪用又は外部の事業体による攻撃による)に関するものである。このデータ漏洩に関連するリスクは重大かつ体系的であり、本セクションで言及されるすべてのエンドユーザーに、区別なく関係する。個人データの不正使用は、個人のプライバシー、権利、財産を侵害する可能性があり、また差別を目的とすることもある。また、一度データが流出すると後戻りはできないため、この影響は回復不可能な性格を強く持つ。この種のインシデントは、制裁、訴訟、罰則など、当グループに対する法的影響がある。
エア・リキードは、医療機器と医療用ガスを患者の自宅(特に慢性呼吸器疾患の治療)に供給している。その使用は、患者に提供される質の高い情報を通じて説明されるベストプラクティスと使用上の推奨事項が遵守される限りにおいて、安全である。しかし、これらの医薬品や医療機器の使用から生じる悪影響を抑制するために、副作用リスクの監視、評価及び管理を確実に行う必要がある。たとえ事故が稀であったとしても、エア・リキードは下記ウ(ウ)にて説明されている特定の手順を実施している。
ヘルスケア製品やサービスに関する(質の高い)情報へのアクセスは、エンドユーザーがこれらの製品やサービスを適切に使用するために必要である。慢性疾患の分野では、質の高い情報は、患者の長期的な治療継続の向上にも役立つ。したがって、質の高い情報へのアクセスに関連する影響は、エンドユーザーにとってプラスであり、エア・リキードは戦略の中で主に2つの方法でこれに取り組んでいる。
■ 様々なメディア(パンフレット、ウェブページ、教育セッション)を通じて、製品の使用に関する正確な情報を提供すること。この種の情報の目的は、長期にわたる治療の効果を最適化し、有害な影響を回避することである。これは特に、可燃性ガス特有の危険が伴う液化酸素による長期酸素療法を受けている患者に関連する。
■ 病態にうまく対処するために取り入れるべき生活習慣や行動についての情報を提供すること。
質の高い情報へのアクセスを確保するために実施された措置については、下記ウ(エ)において詳しく説明している。
患者のための人権への取り組み
エア・リキードはその事業において人権を尊重し、促進している。エア・リキード グループは、国際人権規約、経済協力開発機構(OECD)の多国籍企業行動指針及び国連(UN)の「ビジネスと人権に関する指導原則」に記載されている原則を共有している。
エア・リキードは、事業を行う上で最高水準の基準を遵守する。当グループの行動原則は、エア・リキードの患者に対するコミットメントを定めたものである。当グループは、効果的なヘルスケア製品とサービスを提供し、患者を丁寧にサポートすることで、脆弱な生命を守ることを目指している。行動原則に関する情報は、下記(4)イ(ア)に記載されている。
当グループは、グループ雇用法、コンプライアンス及び注意義務担当チーフ・リーガル・オフィサーの責任の下、上記の国際基準が推奨するアプローチに基づき、ステークホルダーに対する人権デュー・ディリジェンス・プロセスを実施している。
エア・リキードの患者との対話及び人権への影響を是正するためのアプローチについては、以下の段落でそれぞれ説明する。
患者との相談、及び悪影響を改善するためのプロセス
患者の利益、意見、権利は、2つの異なる方法でグループの戦略に考慮されている。
■ 一部の在宅医療事業子会社(フランスなど)は、患者の自宅に直接訪問している(治療開始初年度は年に数回、その後は必要に応じて)。患者の近くにいることで、治療に関する患者の意見を定期的に収集することができる。これらの意見は、子会社がニーズに合わせてケアを行う際の参考となる。さらに、必要に応じて、在宅ケア提供者は、患者が示したニーズを処方医に報告し治療を適応させ、患者の治療の遵守を向上させる。
■ エア・リキードの在宅医療事業子会社は、その国の医療制度によるデータ保護規制が許せば、エア・リキードが提供するサービスに関する患者からのフィードバックを収集するため、患者に定期的な満足度調査(少なくとも年1回)を実施している。これらの調査の後、各子会社は患者から報告された不満の対処するための行動計画を設定する。
これらの意見収集方法に加え、エア・リキードが苦情を収集する主なプロセスのひとつが内部通報ポリシーである。本ポリシー、倫理内部通報制度、及びその後の改善策を見出すためのアプローチについては、下記(4)イ(ア)に記載されている。この内部通報制度は、患者を含むすべての人に開かれている。患者に対しては、この内部通報ポリシーの存在を知らせる特別なコミュニケーションはない。この点は、今後数年間において検討すべき点である。
個人情報保護と患者の健康と安全という2つの重要なテーマに関して、エア・リキードは、インシデントや患者の懸念を可能な限り効果的に特定し、報告するための特定の警告メカニズムを備えている。
■ 上記ア(イ)に記載されている個人情報の侵害に関する権利行使リクエスト及び報告を収集するためのツール
■ 下記ウ(ウ)に記載される医薬品安全性監視及び医療機器監視プロセス
(イ)患者の個人データの保護
患者の個人データ保護方針
上記ア(ク)に記載されているように、エア・リキードは、患者だけでなく従業員にも適用される、データ保護確保のための強固なガバナンスとポリシーを導入している。
医療データは機微な個人データである。国によっては、特別な規則や要件により保護されている場合がある。エア・リキードの患者に関するすべての個人データには厳格なデータ保護措置が適用されており、各国で適用されるすべての医療データ保護関連法令を遵守した形で運用されている。
患者の個人データ措置
エア・リキードの従業員及び患者のデータを保護するための行動については、上記ア(ク)に記載されている。
患者の個人データ目的
エア・リキードの従業員及び患者のデータ保護に関する目標は、上記ア(ク)に記載されている。
(ウ)患者の健康と安全
患者の健康と安全に関する方針
当グループは、あらゆる状況下において、顧客及び患者が職業上及び産業上のリスクにさらされることを低減するよう努めている。これらのリスクを管理するため、当グループはエア・リキードの全事業をカバーする産業管理システム(IMS)を導入している。IMSは以下に基づいている。
■ このシステムの実施に関する、様々なグループ事業体の各部門の説明責任
■ 重要な組織的・管理手続の策定及び実施により、職業安全衛生管理、環境管理、変更管理、メンテナンス管理、プロバイダーからの製品・サービスの管理、製品開発管理、インシデント及び事故の分析・処理を含む、その他の事項を確実に行うための措置を講じる。IMSの文書ベースは継続的に更新され、充実させている。
IMSについては、上記ア(ウ)で詳しく説明している。
ヘルスケア事業では、医薬品安全性監視(医薬品のステータスを持つ製品)や医療機器安全性監視(医療機器のステータスを持つ製品)といった特定のプロセスが定義され、医療従事者や患者から製品に関する事故及びあらゆるリスク・ベネフィット評価の変更が報告されるようになっている。
■ 医薬品安全性監視の目的は、医薬品の使用による副作用のリスクを監視、評価、予防、管理することである。Air Liquide Santé Internationalで導入されているシステムは、医薬品部門内の警戒担当ディレクターによって管理されている。医療保険は全世界をカバーしているため、医療用ガスのベネフィットとリスクの比率を監視・評価することが可能であり、医療製品のライフサイクル全体を通じて、患者にとってのベネフィットがリスクを上回ることを保証することを目的としている。医薬品安全性監視は、保健当局によって厳しく規制されている科学である。そのため、Air Liquide Santé Internationalは、規制当局のモニタリング、症例管理、当局への報告など、様々なプロセスの実施を可能にする品質システムを有している。これにより、業務が定められた基準に従って実施されることが保証される。上記の業務を確実に遵守するため、医薬品安全性監視システムは少なくとも3年ごとに監査され、品質管理措置が実施される。
■ 医療機器安全性監視の目的は、適切な予防措置及び是正措置を講じることにより、医療機器に関わる重大な事故やリスクの(再)発生を回避することである。エア・リキードは、医療機器の使用中に発生した、あるいは製造業者や保健当局から報告された、あらゆる事象やインシデントのリスクを分析し、対処するための専門チームを子会社に設置している。これらの専門チームはリスクを評価し、必要に応じてサプライヤーや保健当局に体系的に報告するとともに、警戒すべき状況が終了するまで様々な利害関係者と連絡を取り合う。
エア・リキードが供給する医療用ガス及び流通する医療機器による副作用を報告するシステムは、欧州及び現地の規制に従い、患者からのフィードバックを考慮し、必要な是正措置を実施するために設置されている。
患者の健康と安全に関する行動
医薬品安全性監視は、ヘルスケア従業員のうち医薬品安全性監視の評価を受ける者が毎年受講することが義務付けられているオンライン研修モジュールの対象である。この研修モジュールは必須であり、特定された全従業員による修了が2024年に利益分配の基準として追加され、2025年に更新された。このモジュールを受講することで、これらの従業員は医薬品安全性監視の主な原則について学び、小テストで理解度を試すことができる。80%以上のスコアを獲得した場合、モジュール修了の個人証明書が発行される。
患者の健康と安全に関する目標
エア・リキードの目標は、毎年対象となる従業員の100%に対し、医薬品安全性監視の主要原則を教育することである。各年次研修の結果は文書化して管理され、医薬品安全性監視の査察の際に保健当局に報告される。2025年、完了率は100%で、前年と同様であった。
(エ)(質の高い)情報へのアクセス
(質の高い)情報へのアクセスに関するポリシー
在宅医療事業の一環としてエア・リキードが供給する医療用ガス及び医療機器は、使用や取り扱いが複雑な場合があるため、患者への使用方法の教育が必要となる。エア・リキードの子会社は、以下のいくつかの方法(子会社ごとに異なる)で、製品の使用に関して以下の正確な情報を提供するよう努めている。
■ 患者が入手可能な文書情報(パンフレット、ユーザーガイド、医療機関のウェブサイトのページ)を通じた方法
■ エア・リキードが雇用する技術スタッフ(技術者、看護師)からの口頭による情報。この口頭による情報は、患者宅への個別訪問時、集合研修会(ウェビナーなど)、インターネット上のビデオ教材や患者への送付物を通じた方法により伝達される。エア・リキードの子会社は、製品の使用に関する情報だけでなく、長期にわたる病態や治療との付き合い方だけでなく、生活習慣や行動に関するアドバイスなど、製品の枠を超えた情報を患者に提供するよう努めている。
当社の子会社は、製品の使用法に関する情報に加えて、製品の領域を超えた情報や、長期的に病理や治療とどのように付き合って生きていくかに関するトピック、採用したほうが良い生活上の習慣や行為についての情報を患者に届けるよう努めている。
一元的に開発された情報コンテンツについては、規制対応部門内の専門チームが、推奨事項が参考文献によって裏付けられていること、談話がバランスの取れた信頼できるものであること、宣伝的なレトリックを避けた内容であることを確認する。また、特にマーケティング、コミュニケーション、医療、薬事・規制対応チームの代表で構成される審査委員会を含む、全ての外部コミュニケーションに適用される中央レベルでの内部手順もある。一旦コンテンツが中央レベルで検証されると、それを患者に使用する各国は、そのコンテンツを当該国の規制に適合させなければならない(欧州共通の規制はなく、この分野では各保健当局が独自の規則を持っている)。
子会社が独自に開発したコンテンツについては、規制当局との連絡網が存在し、そのネットワークがこのレビューを引き受けている。
医療製品及び医療機器の使用に関連する内容を検証する手順は十分に強固であると考えられるが、誤った情報や不正確な情報に関連するエア・リキード製品の誤用を患者が報告するための具体的なポリシーやチャネル、又は関連する是正手順は存在しない。
(質の高い)情報へのアクセスに関する行動
年次の満足度調査の一環として、患者に提供される情報及びサービスの認識される品質を測定するためのエクスペリエンス指標が設けられている。具体的には、患者のニーズを理解する各子会社の能力や、情報を明確かつ分かりやすく伝える力に関するものであり、「提供された情報や説明の質及び妥当性に満足していますか」といった設問を通じて評価される。本指標は、各国で適用される法令及び契約上の制約を遵守したうえで、2024年以降、ほとんどの子会社においてモニタリングされている。2024年及び2025年には、在宅医療事業を展開する子会社の80%において本指標が導入された。
(質の高い)情報へのアクセスに関する目標
アクセス可能な情報の品質について数値目標は設定されておらず、前段落で述べたエクスペリエンス指標のフォローアップのみが行われている。2024年及び2025年に実施された関係満足度調査で得られた35,000件超の回答に基づき、本指標は10点満点中平均8.9点となっており、これはエア・リキードの製品及びサービスに関して提供された情報の品質及び妥当性について、患者の高い満足度を示している。この高い結果は、質の高い情報へのアクセスに関する方針として、上記で述べている社内(質の高い)情報へのアクセスに関するポリシーが、実際にポジティブな効果を上げていることを裏付けるものである。
(4)ガバナンス関連情報
ア はじめに
(ア)事業活動のガバナンス
業務執行に関する取締役の役割と専門知識については、第5の3(1)で述べられている。そのうち特に、以下の部分に記載されている。
(イ)事業活動に関連するトピック:影響、リスク、機会
エア・リキードの行動原則と行動規範は、グループの価値観を再確認するものである。
これらは全従業員と共有され、グループのウェブサイト(https://www.airliquide.com/sustainable-development/ethics)でご覧いただくことができる。その結果、以下のような点が重要なものとみなされる。
■ 企業文化:エア・リキードの従業員が行動原則及び行動規範を遵守しなかった場合、グループの評判に悪影響を与えたり、適用法の違反につながったりする可能性がある。
■ 内部通報者の保護:内部通報者の保護措置の欠如又は不履行、あるいは報復の行使は、内部通報者に悪影響を及ぼす可能性があり、当グループの法的義務違反となる。エア・リキードの評判への悪影響に加え、内部通報者の保護がなされない場合、将来の内部通報者が当グループの内部通報制度を利用しなくなる可能性がある。
■ 汚職及び贈収賄(防止、研修、事件):汚職の防止・検知の不能又は失敗は、一方では適用される汚職防止法の違反となり、他方では当グループの評判を傷つける可能性のある法的手続又は制裁リスクにさらされる可能性がある。
■ サプライヤーとの関係管理:上記(3)イに記載されている社会的側面は、ネガティブな影響をもたらす可能性のあるものに限られない。エア・リキードは、倫理的側面及び環境的側面におけるサプライヤーのネガティブな影響も考慮する。エア・リキードがこれらの原則に違反したことにより、戦略的又は重要なサプライヤーとの取引関係を停止した場合、当グループはサプライチェーンにおける混乱や潜在的な法的リスクにさらされる可能性がある。
さらに、上記(1)オにて説明されているダブル・マテリアリティ評価については、サプライヤーへの支払慣行とロビー活動というトピックが重要であるという結論に達した。サプライヤーへの支払慣行は、サプライヤーとの関係において不可欠な要素であり、中小企業の存続にとってより重要である。ロビー活動に関しては、エア・リキードは2021年にパブリック・アフェアーズ憲章を起草・発行したが、これは、規制変更に関連するリスクを先取りし、成長機会を特定し、エア・リキードグループが正当な利益を有するセクターに関する公的議論に参加するために、国内、地域/欧州、国際レベルでの公的機関とのグループ交流に関して規定したものである。エア・リキードは、当グループの誠実な価値観を損なうような行為を避ける、当グループの利益を代表するための行動が、憲章に定められた透明性の原則に導かれたものであることを保証する。
イ 企業行動と企業文化
(ア)企業行動及び企業文化ポリシー
エア・リキードの行動原則と行動規範
エア・リキードはビジネスを行う上で最高水準の基準を遵守する。グループの行動原則と行動規範は、安全性、透明性、尊重、厳格な経営、継続的な改善、そしてステークホルダーとの信頼関係の構築に関するエア・リキードの価値観とコミットメントを確認するものである。
この行動原則は、エア・リキード最高経営責任者の監督のもと、顧客や患者、株主、従業員、地域社会、サプライヤー、ビジネスパートナーなど、社内外のステークホルダーに対する当グループの業務遂行上のコミットメントを表明するものであり、環境保護のためのものである。これらは全従業員と共有され、グループのウェブサイト(https://www.airliquide.com/sustainable-development/ethics/groups-principles-action)で見ることができる。
当グループの行動規範は、エア・リキードが遵守すべき倫理規則を示している。
行動規範の主な重点項目は、以下の3つの点でカバーされている。
■「慎重に行動すること(Acting with Care)」は、人と資産の保護(安全・安心、平等、多様性、ハラスメントの防止、個人情報の保護等)というに対処するものである。
■「誠実さと透明性を重視した行動(Acting with Integrity and Transparency)」は、汚職の防止、公正な競争ルールの尊重、一般に公開される情報の透明性などの期待される行動について説明するものである。
■「責任ある行動(Acting Responsibly)」は、環境と人権の保護、地域社会への貢献に対する当グループと従業員のコミットメントを確認するものである。
本行動規範は、当グループの全従業員、役員、ディレクターに適用される。エア・リキードは、また、ビジネスパートナーがこの行動規範の原則を遵守することを期待している。行動規範が不可欠な部分となる倫理プログラムの展開は、グループ倫理担当役員の責任であり、年2回開催される倫理・コンプライアンス委員会が監督する。この委員会は、一般管理及びコンプライアンス、法務の各部門長に加え、グループ執行委員会のメンバー2名――すなわち、人事担当グループ・ヴァイス・プレジデント及び、ヘルスケア事業、サステナビリティ、並びに一般管理及びエア・リキード取締役会対応を所管するグループ・ヴァイス・プレジデント兼事務局長――で構成されている。グループ倫理担当役員が事務局を務める。
28か国語で利用可能な行動規範は、従業員に内省のための枠組を提供し、期待される行動の採用に役立つリソースを提供する。この行動規範は、さまざまなコミュニケーション手段(説明会、ポスター、記事など)を用いて社内で共有され、エア・リキードのウェブサイト(https://www.airliquide.com/sustainable-development/ethics)でも見ることができる。行動規範に特化したeラーニング・モジュールは、グループの倫理アプローチを説明し、シナリオ・シミュレーションを通じて各テーマについて提示する。このモジュールは毎年、全グループに必須となっている。扱うテーマは更新される。2025年において、本モジュールは、安全衛生、生成AI、及び内部通報制度に関する再確認について取扱うとともに、ハラスメント及び差別的行動の防止も取り入れた。2025年には従業員の94%が本研修に参加しており、2024年の97%と比較してわずかに低下した。e-ラーニングでは、各従業員がe-ラーニングに参加したことを確認するために知識をテストした後、行動規範の遵守とその規定を遵守する誓約を毎年更新している。
グループ・イントラネット上で全従業員がアクセスできるグローバルな参照マニュアルであるブルーブックは、行動原則と行動規範を、ポリシー、業務手順に落とし込んだものである。ブルーブックは、当グループの活動及び従業員の行動が、適用される法律及び規制、並びに一貫した事業活動のための基準及びベストプラクティスに則していることを保証するべく、リスク管理及び内部統制システムの基礎を形成している。
エア・リキードの内部通報ポリシー
エア・リキードの内部通報ポリシーは、グループの倫理に関するコミットメント及び規則違反の可能性を報告するために内部通報者が利用できる様々な手段、及びエア・リキードによる警告の処理プロセスを定義している。ブルーブック内で全従業員が閲覧できるほか、当グループの社外ステークホルダー向けウェブサイト(https://www.airliquide.com/sustainabledevelopment/ethics)からもアクセスできる。この方針は、グループ各社のローカルポリシーを通じて実施される。
(1) EthiCallは現在、エアガスとその子会社においても利用可能となっている。2024年までは類似のプラットフォーム(EthicsPoint)を有していた。
誰でも、電話又は当グループのウェブサイト及びイントラネットからアクセス可能な専用ウェブサイトを通じて、母国語で通報することができる(通報はサービス・プロバイダーによって収集される)。従業員にとって、これらのシステムは、事業体内の潜在的なインシデントを報告するための通常のチャネル(ライン管理職、人事部、倫理特派員、グループ倫理担当者)に加えて提供されるものである。第三者もまた当グループ内の担当者に懸念を提起することができる。
通報は、特に、当グループの行動規範、社内ポリシー及び手続、又は適用される法律の違反の申し立て、そして、人権、安全衛生、又は環境に関連するインシデントに関するものである。
内部通報制度は、エア・リキードの従業員による客観的で独立した機密保持の取り扱いと同様に、寄せられた通報への迅速かつ体系的な対応を可能にする。一旦通報が
登録されると、最初の受付から7日以内に、内部通報者に受付確認の通知が送付されることになっている。エア・リキード社内では、通報の対象となる地域又はグローバルビジネスユニットを担当する通報コーディネーターが、社内手続に従ってその通報の受理可能性を評価し、必要な場合に、通報のカテゴリーに応じて、当該問題に関するマネジメントライン外の調査員を任命する。サービス・プロバイダーは、エア・リキードから提供されたルーティングテーブルを使用して、関連する通報コーディネーターに通報を送信し、通報に名前が挙がっている人物にはその旨を通知しないよう指示されている。調査員(事前にそのような業務に関し訓練を受けている)は、報告された事実が立証されているかどうかを調査する。この調査のため、外部リソースに依頼する場合もある。任命時、各調査員には、任務遂行に必要な手順書と書類を含むキットが提供される。
もし事実が確認された場合、適切な是正措置及び救済措置が実施される。これらの措置には以下が含まれる。
■ グループの方針、統制及びプロセスの強化
■ 内部通報者に対する人事部又はその他の支援
■ 個人や集団の意識改革
■ 適切な場合には、適用される規則又は法的手続に従って、解雇を含む懲戒処分の実施
フォローアップ及びフィードバックは、処理中、遅くとも通報受理通知から3か月以内(但し、可能な限り2か月以内)に内部通報者に提供されるべきである。特定の正当なケース及び特定の法域においては(例えば、通報の性質や複雑さにより)、より長い期間が必要となる場合がある(但し、この期間は追加で3か月を超えてはならない)。
内部通報者及び通報者に与えられる保護に関する原則(匿名性、通報処理の機密保持の尊重、あらゆる形態の報復の禁止)は、行動規範及びグループ内部通報ポリシーに記載されている。当グループは、善意で倫理違反や不正行為を通報した内部通報者が、いかなる懲戒措置や差別的措置、報復措置も受けないことを保証する。したがって、内部通報制度は、欧州議会及び理事会の指令(EU)2019/1937を反映した適用法令に準拠している。
グループ倫理担当役員は内部通報制度の責任者であり、その実施、特に内部通報制度がグループ全体に適切に周知され、通報が適切に処理され、通報者が保護されることを保証する。最も深刻なケースは、当グループの倫理・コンプライアンス委員会が審査する。
本ポリシー及びエア・リキードの内部通報制度に関連する上述のプロセスは、国連のビジネスと人権に関する指導原則によって定義された、アクセス可能性、予測可能性、透明性といった有効性の基準に適合している。
通報の性質別内訳
以下の表は、2025年中に当グループの倫理内部通報システムに報告された通報の件数を、処理状況及び調査後の結論にかかわらず、性質別に分類したものである。
| 2024年 | 2025年 | |
|---|---|---|
| 人事 | 422 | 413 |
| 健康、安全及び環境 | 28 | 34 |
| 不正 | 55 | 26 |
| その他(コンプライアンス) | 53 | 69 |
| 計 | 558 | 542 |
2025年12月31日現在、136件の通報がまだ処理中である。終了した406件のうち、41.6%は立証又は部分的立証とみなされ、是正措置及び救済措置につながった。
ウ 汚職防止
(ア)汚職の防止、発見、撲滅
エア・リキードは、行動原則の序章に含まれる、あらゆる形態の汚職を禁止するというコミットメントを、強固な汚職防止プログラムによって支えている。行動規範では、誠実さと透明性の原則が定義され、特定の章で説明されている。ここでは、汚職や利益供与との闘いを規定する法律の概要を具体的に説明し、仲介者との関係や、特に注意が必要な支払の種類について取り上げている。行動規範の周知については、上記イ(ア)「企業行動及び企業文化ポリシー」で取り上げている。さらに、当グループには、汚職防止に関する章を含むサプライヤー行動規範がある。
エア・リキードは、経営陣及び管理職が密接に関与する汚職防止プログラムを実施しています。このプログラムは特に以下の点に重点を置いている。
■ 汚職リスクのマッピング
■ 行動規範
■ 汚職関連リスクにさらされている人のための研修と意識向上活動の完全なセット
■ 第三者評価メカニズム
■ 内部通報制度
■ 会計管理
このプログラムは、グループ倫理担当役員の調整の下、新しい規制及び法的義務を考慮に入れて定期的に更新され、特に現地でのプログラムの実施管理を担当する倫理担当者のネットワークに依存している。また、法務部、人事部及び現地担当の支援も得ている。汚職防止プログラムは定期的に監査される。
汚職の疑いのある事案の検出は、上記イ(ア)「企業行動及び企業文化ポリシー」に記載されている内部通報制度や、実施されている管理・監査等の、様々なチャネルに基づいて行われる。この第二のシナリオでは、事業体は内部不正管理手順をし、事件の報告と処理を行う。
汚職防止プログラム及び不正管理システムの進捗状況は、倫理・コンプライアンス委員会が監視している。また、取締役会の監査・決算委員会にも毎年報告されている。
(イ)ハイリスクな職務向けトレーニング
汚職関連リスクにさらされている、又は特にさらされている職務は、職務プロフィール及び汚職リスクマッピングの結果に基づいて特定される。これらは通常、販売、調達、に関連する分野である。汚職リスクにさらされている職務と特にさらされている職務の区別は、責任の度合いと第三者との近接性、さらに一般的にはマッピングによって特定されたリスクシナリオへの関与の程度によって決まる。これらの職務に従事する従業員は、毎年eラーニング・モジュールを修了しなければならない。特にリスクにさらされる部門については、3年ごとに対面式の研修で補完される。これらの研修の最後にはテストが実施される。その他の従業員については、上記イ(ア)「企業行動及び企業文化ポリシー」に記載されている行動規範に関する年次eラーニングを通じて、汚職防止を認識させる。
オンライン研修コースで扱われるトピックは毎年更新され、贈与ポリシー、利益相反、発見・内部通報手続、又はリスクのある第三者との交流に関連するものなどがありうる。また、ヘルスケア事業で医療従事者と接する従業員は、規制上の義務に従った特別な研修を受ける。汚職防止研修の講義においては、汚職行為の定義、適用法の再認識、特に実践的な事例(仲介者、贈答・招待、便宜供与、利益相反など)を通して、リスクに敏感なトピックを取り上げることにより、特に危険にさらされている部門の従業員が知識を深めることができる。
汚職防止研修
下表は、汚職防止研修の内容、回数、対象者を示している。また、各研修コースの対象者総数について、2025年の修了率も示している。
| 汚職防止eラーニング(30分) | 汚職防止座学研修(1時間30分) | 行動規範eラーニング(40分) | |
| 対象者 | |||
| 汚職リスクにさらされる職務 | 毎年 | 毎年 | |
| 特に高い汚職リスクにさらされる職務 | 毎年 | 3年ごと | 毎年 |
| 取締役 | 2024年完了 | ||
| その他従業員 | 毎年 | ||
| 研修の履修 | |||
| 関係者数 | 25,813 | 10,053 | 66,089 |
| 修了率 | 95% | 37% | 94% |
(a) 2025年11月30日以降に採用された従業員及び長期休業中の従業員を除く。
(b) 汚職防止の座学研修は3年毎に実施され、関係する従業員全員が毎年研修を受けるわけではない。
(ウ)汚職事件
2025年、エア・リキードは汚職防止法及び贈収賄防止法違反で有罪判決を受けていない。
エ サプライヤーとの関係
(ア)サプライヤーとの関係管理
サプライヤーとの関係管理は、以下に基づいて行われる。
■ 当グループのリソースを最適化しながら、エア・リキードとサプライヤーの相互作用の価値を最大化し、リスクを最小化することを目的としたサプライヤーリスク及び関係管理の手順。特に、サプライヤーの資格認定プロセスを定義し、関連するリスクの特定を可能にし、サプライヤーがエア・リキードの要件を満たしていることを確認する。
■ サステナブル調達手続とは、調達部門が倫理的、社会的、環境的側面を調達プロセスに統合できるようにするためのガイドラインと、サステナビリティ問題への影響を特定し防止するためのプロセスを定めたものである。バリューチェーンにおける労働者に関するトピックについては、上記(3)イで詳しく説明されており、環境・倫理問題にも同様に適用される。
さらに、サステナブル調達部門は、以下の2つの手段を通じてサプライヤーにサステナビリティ要件を伝えている。
■ サプライヤー行動規範は、すべてのサプライヤーが特に人権、倫理、環境保護、安全を尊重することを促進し、確保することを目的としている。この行動規範は、当グループの行動規範に基づいている。サプライヤー行動規範に記載された原則を遵守することは、エア・リキードへの供給に関わるすべての商取引関係の前提条件である。2023年の本規範の改訂は、新たな規制の期待や慣行の変化に対応することを目的としている。特に、紛争鉱物や内部通報制度に関する条文を追加した。この行動規範はエア・リキードのウェブサイト(https://www.airliquide.com/sustainabledevelopment/sustainable-procurement)でご覧いただくことができる。
■ サステナビリティ条項は、枠組み契約を含む、サプライヤーとの契約書のテンプレートに含まれている。
調達部門は、例えば、地域又はカテゴリーレベルでの特定の影響又は戦略に対処するために、サステナブルな仕様を要求することがある。これらの仕様は、専門的な機能及び活動と協働して定義されなければならない。これらの仕様は、商品又はサービス自体、関連する製造・配送プロセス、及び関連するサプライヤー組織に関するものを含む場合がある。
(イ)エア・リキードの支払ポリシー及び慣行
エア・リキードのP2P(Procure-to-Pay)手順は、購買依頼からサプライヤーへの支払いに至るまで、調達から支払にすべてのグループ従業員に枠組みを提供する。この手順は、エア・リキード社内のP2Pプロセスを調和させ、自動化することで、効率を最大化し、手作業によるミスを減らし、サプライヤーへのタイムリーな支払いを保証することを目的としている。推奨される指標の中に、この手順には、未払日数のモニタリングと、期限内に支払われた請求書の割合が含まれている。この手順は、調達部門と財務部門が共同で所有し、各事業体のマネジメント・ディレクターとともに、その実施に責任を負う。
エア・リキードは、支払慣行において、サプライヤーが中小企業であるか大企業であるかにかかわらず区別を行っていない。上記(3)イに記載されているサステナブル調達手続では、中小企業のキャッシュ・フローが重要な課題であるため、中小企業に対する支払条件や支払遅延に特別な注意を払わなければならないことが示されている。サプライヤーからの要請があれば、調達部門と財務部門が共同で決定した後、ビジネスを円滑化するためにこれらの条件を適応することができる。
支払条件は国やサプライヤーの活動によって異なるため、当グループでは多くの支払条件が適用されている。当グループが適用する契約上の支払条件は、現地の法律を遵守しなければならない。サプライヤーから受領した請求書に記載されている支払条件に基づき、当グループが適用している主な支払条件は以下の通りである。
| 支払期間 | 2024年の支出に占める割合(%) | 2025年の支出に占める割合(%) |
|---|---|---|
| 即時 | 24.9% | 21.0% |
| 正味20日 | 5.2% | 4.3% |
| 正味30日 | 22.4% | 23.4% |
| 正味45日 | 7.3% | 8.8% |
| 正味60日 | 13.1% | 11.7% |
| その他 | 27.1% | 30.8% |
| 計 | 100.0% | 100.0% |
これらの費用に関連する損益計算書の項目は「仕入高」及び「その他の費用」である。
支出の第一項目はエネルギー(電気及び天然ガス)に関するものである。2025年には、これらの費用のうち39.4%が即時、13.4%が20日後、23.4%が30日後に支払われなければならなかった。2024年には、これらの費用のうち、54.6%を即時、14.9%を20日後、14.2%を30日後に支払わなければならなかった。
2025年の平均未払日数は58.2日であった(2024年は63.5日)。この指標は、連結注記27「買掛金」で決定・公表されている2025年12月31日現在の営業サプライヤーの買掛金を1日当たりコスト(360日)で除して算出された。1日当たりコストは、売上原価及び諸経費(損益計算書の「その他費用」に含まれる)から人件費(損益計算書の「人件費」に 含まれる)を差し引いたものに相当する。
買掛金の91.5%は、契約上の支払条件に従っている(2024年は93.6%)。この2025年の比率は、2025年第1~3四半期末及び2024年第4四半期末に平均支払期日が到来した買掛金に基づいて推定されたものである。本報告書作成時点では、2025年第4四半期のグループレベルの分析は入手できなかったが、契約上の支払条件に準拠した買掛金の割合は、四半期ごとに比較的安定している。実際、この比率は、比率の算出に使用した期間中、90.5%から92.5%の範囲で推移している。
2025年12月31日現在、当グループは支払遅延に関する進行中の法的手続について認識していない。「進行中の法的手続」とは、当グループが存在する各国の国内法で定義された、司法機関により処理される手続を指し、規則で義務付けられている通り、2025年12月31日現在、法的に解決されていない具体的な法的手続のことである。
オ 公共領域との関係
(ア)公共領域の担当に関する情報
■ 当グループの取締役会、特に監査・会計委員会及び環境・社会委員会は、欧州・国際業務部門が調整する公的ステークホルダーとのエンゲージメント活動(予算、組織、エンゲージメント原則、目的、行動)を定期的にレビューしている。
■ EAMEIディレクター(エア・リキードの執行委員会メンバー)は、欧州、アフリカ、中東及びインドにおける事業運営に加え、パブリック・アフェアーズを所管している。
当グループの取締役会及び執行委員会には、過去に国家行政機関の役職に就いていた者はいない。
当グループのガバナンス機関の監督的役割に関する要素は、「第5・3(1) コーポレートガバナンスの概要」の中でも特に「③ 取締役会の構成」で取り扱われている。
(イ)テーマ、行動、公共領域へのメッセージ
エネルギー転換
■ 電力集約型セクターの特殊性と、競争力のある価格で再生可能エネルギーや低炭素エネルギーを大量に調達する必要性について、公的機関の認識を高める。
■ CO2排出削減メカニズムの実施に参加し、産業界に脱炭素ソリューションへの転換を促すことで、ネット・ゼロ排出の目標を達成する。
■ 既存の産業分野から産業の脱炭素化を可能にする公共政策の構築(炭素回収・貯留、 再生可能な低炭素産業ガス(水素、酸素など)の生産と利用)、及びそれに対応する支援メカニズムの実施において公的機関を支援する。
■ 産業用ガスネットワーク(水素、CO2)の開発に関する議論に貢献し、地域生態系における産業利用の文脈においてその特有の特性を認識させる。
■ 脱炭素化された水素モビリティのエコシステム(生産、流通、車両フリート開発)の構築に貢献する。
エレクトロニクス事業
■ バリューチェーンにおけるすべてのプレーヤーの重要性を認識し、各地域の産業的優位性を維持するために彼らを支援する必要性を認識することにより、半導体産業の発展を支援する。
ヘルスケア事業
■ 高齢化と慢性疾患の増加に関して、より効率的でサステナブルかつ公平なヘルスケアシステムの構築に、公的機関、患者、医療従事者、病院とともに、積極的に貢献する。
■ 専門家による人的サポートと最新のデジタル技術の活用を組み合わせることで、患者に提供される価値に焦点を当てた医療経路の開発を奨励し、患者の自宅までのケア経路の発展を可能にする。
■ 効率性を最適化するための医療用ガス管理の変更、患者と医療機関に提供されるサービスの質の向上、ヘルスケアシステムの回復力の強化、カーボンニュートラルの達成、遠隔地を含む医療へのアクセスの保証に貢献する。
公的機関との折衝においては、当グループが選出した代表者が、ワーキンググループへの参加、テクニカルノートへの寄稿、専門分野に関する会議での意見交換に招かれることがある。当グループは、ウェブサイトの広報ページ(1)において、当グループが事業を展開する主な地域における主要な役職及び利益代表の活動を記載したパブリック・アフェアーズ憲章を発表している。
(1) https://www.airliquide.com/sustainable-development/engagement-public-stakeholders
(ウ)地域別の透明性登録簿へのエア・リキードの登録
エア・リキードは、適用される場合には各国のロビー活動に関する規制を遵守している。例えば、当グループは、特に以下の透明性登録制度に登録されている。
3 【事業等のリスク】
(1)概要
以下の第2章では、2017年6月14日付欧州連合規則 2017/1129(「目論見書規則第3章」)第16条に記載されているリスク要因及び関連する管理手法、並びにフランス商法第L.225-102-4条に基づく注意義務計画について説明する。
さらに、フランス商法第L.232-6-3条に定義されている「サステナビリティ・ステートメント」は、本報告書「第3 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」において、当グループの事業に関連する財務上の重要性と影響に関する主な課題を提示している。
本報告書は、目論見書規則第3章、注意義務計画及びサステナビリティ・ステートメントを支配する様々な原則を以下のように遵守することを確保する。
■ 関連する管理手法(ネットリスク、目論見書規則第3章)を考慮した後、発行体に固有の重要なリスク要因を、本章の「(2)リスク要因及び管理手法」に記載する。
■ 注意義務に関わるリスクのマッピングは、会社が個人(人権、基本的自由の尊重及び健康安全の観点)や環境に与え得るリスクを特定することで、会社のマッピングを補完している。最も関連するリスクは、予防、軽減又は是正措置の立案(本章の「(5)注意義務計画」)を通じて優先事項として対処するために特定される。
■ ダブル・マテリアリティ評価を含むサステナビリティ・ステートメントは、指令(EU)2022/2464「CSRD」(企業サステナビリティ報告指令)のガイドラインに従って作成され、本報告書「第3 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載されている。
(2)リスク要因と管理手法
当グループは、リスク管理の正式アプローチを活用して当グループがさらされているリスクを特定している。このリスク要因の適示及び関連する管理方策は、フランス金融市場当局の監督下で、複数の部署(とりわけ財務部門、持続可能な開発部門、グループ業務管理・コンプライアンス部門、法務部門、安全及び工業システム部門)の協力により策定された内部統制及びリスクマネジメントシステムの参照フレームワークに基づいている。
以下に示すリスクは、本報告書提出時点において、当グループが、その発生により、事業、結果、見通し又は評判に顕著な悪影響が生じると考えるものである。但し、これらのリスクは網羅的なものではなく、本報告書提出時点において知られていないリスクが発生して、当グループの事業に悪影響を与える可能性がある。
当グループは、内部統制及びリスク管理手続の実施や、定式化された特定のアクションプランの実施によって、リスクを定期的に評価し、リスクの発生又は潜在的な影響を低減させている。これらの手続は、当グループの原則と同様に、当グループの内部統制システム及びリスク管理の基礎である、ブルーブックと呼ばれるグローバル基準のマニュアルに含まれている。
リスク要因については、ネットリスク(実施済みの管理手法を考慮後)として記載し、その性質に応じて、分類して記載している。それぞれのカテゴリーにおいて、最も重要なリスク要因を最初に提示する。
リスク区分のうち、当グループにとってビジネスに関連する最も重大な2つのリスクは、産業リスク及び設備投資関連リスクである。
| リスク区分 | リスク要因 |
| 事業関連リスク | 産業リスク |
| 設備投資関連リスク | |
| エネルギー供給関連リスク | |
| 設計・施工関連リスク | |
| イノベーション関連リスク | |
| 人的資源管理関連リスク | |
| 顧客リスク | |
| 財務リスク | 取引先及び流動性リスク |
| 外国為替リスク | |
| 金利リスク | |
| 税務リスク | |
| デジタルリスク | デジタルリスク |
| 環境リスク | 気候変動リスク(温室効果ガス排出) |
| 気候変動リスク(業務への物理的影響) | |
| 水資源管理リスク | |
| 地政学的、規制的、法的及び公共政策関連リスク | 地政学的リスク |
| 法令及び規制の遵守違反によるリスク | |
| 公共政策関連リスク |
ロシアとウクライナの軍事衝突に伴う影響
地政学的状況の変化及び現地の制約により、2022年9月1日以降、当グループはロシアにおける当グループの事業への支配権を喪失し、連結対象外となっている。
さらに、2025年8月、ロシア大統領令により、これらの企業は暫定管理者の管轄下に置かれた。
しかしながら、現時点では、エア・リキードは依然として非連結持分を保有している。エア・リキードは、株主としての地位に関連するリスクを負う可能性がある。
ア 事業関連リスク
産業ガス事業は、重要な技術内容(設計段階及び製造設備製造段階の両方がある)、当該国の製造設備、高資本集約度、及び大量の電力使用という特徴 がある。多種のリスクがこれらの特徴に関連している。
これらの特性には様々なリスクが関連し、主に当グループが扱う産業や顧客の多様性、それらに提供している複数のガスの用途及び事業活動を行っている多数の地域など、様々な要因によって軽減される。さらに、相当な割合の事業が、契約、厳格な投資計画の承認及び管理プロセス、並びに統制されたエネルギー政策の対象となる。
**i.**産業リスク
(i)リスクの特定及び説明
産業リスクは、当グループが実施する多様な製品、工業プロセス及び配送方法に関係している。当該リスクは、多数の地域別製造サイトに分布する。
あらゆる産業活動に内包される一般的リスクに加えて、エア・リキードの事業は以下に関して、より具体的なリスクを伴う。
■ 製品:当グループが製造、加工又は充填する産業ガスは、その組成物質により、危険物カテゴリーに分類される。これらの産業ガスの使用には、次のようなリスクを防ぐために、特殊な制御・保護手段が必要である。
- 不活性ガスに関連する酸素欠乏症
- 酸素や酸素混合物、可燃性ガスに関連する過剰な酸素化や火災の発生
- 特定の特殊ガスに関連する有毒性
■ プロセスとオペレーション:
- ガスの蒸留分離、保存、輸送のため低温技術が使われている。この極低温技術は、液化ガスに関連する凍傷リスクと関連している。
- 同様に特に水素の製造に用いられる高温技術についても、主に発火又は爆発のリスクがある。
- さらに、圧力は当グループが行うプロセスの核心である。制御不能な圧力の増加により事故及び損害が発生するリスクを制限するため、圧力装置は安全装置を備えて設計されなければならない。
- これらのプロセスの一部では、当グループの顧客のニーズが絶えず高まっているため、ますます大型の設備又は能力が必要になる場合がある。場合によっては、リスクレベルの上昇を避けるため、更なる対策を実施しなければならない。
- 最後に、エネルギー転換は、PEM(プロトン交換膜)電解槽、炭素回収装置、アンモニア分解装置及びATR(オートサーマルリフォーミング)装置などの新技術の導入を当グループに促進させる。これらの技術はそれぞれ、装置の製造に関わる可能性のあるパートナーとの緊密な協力のもと、最も適切な制御及び保護要素を定義するために、事前に綿密なリスク分析を受けている。
■ 配送:毎年、配送車両や営業・技術スタッフが長距離を移動する。交通規制を遵守しないことや車両が定期的にメンテナンスされないことにより、運転手や第三者は事故のリスクの高まりにさらされることになる。さらに、製造現場では、衝突や荷物の落下等の特殊なリスクを生じさせる、多数の電動式リフト装置が使われる。そのような装置を使用するためのトレーニングや使用許可を要求している。
■ エンジニアリング及び建設:産業リスクは設備設置の設計段階から考慮され、開始されなければならない。建設段階における厳格な事故防止策の欠如は、多様な関係当事者間の調整に影響を与え、組織を事故のリスクにさらすこととなる。
■ 配送の信頼性:当グループは、顧客へのガスの供給システムの欠陥リスクにさらされており、品質や数量に関する供給の支障につながる可能性がある。
■ 特定の基準の遵守を怠ること。特にヘルスケア部門に関して、顧客や患者に提供される製品やサービスについての基準への不適合リスクがある。
(ii)リスク管理方策
当グループは、これらのリスクを管理するため、エア・リキードの全ての事業をカバーするインダストリアル・マネジメント・システム(IMS)を採用している。このIMSは以下に従って運用される。
■ 同システム(IMS)の実行を目的とした、各グループ子会社部門の説明責任
■ 以下の目的を確実に達成するための、主要な経営・組織手順の発行・発令
- 法令遵守
- 能力管理(トレーニング、必要に応じた検定など)
- プロセスリスク管理
- 労働安全衛生及び環境管理
- 交通安全管理
- 産業緊急事態管理
- 変更管理
- メンテナンス管理
- プロバイダーの製品及びサービスの管理
- 設置プロジェクト管理
- 製品開発管理
- 生産及びサービス提供管理
- 事故及びインシデントの報告及び調査
- 産業監査管理
- 当グループ会社内で共有される技術基準の導入
IMS基本文書は継続的に更新・補足される。
安全・産業システム部門及び産業部門は、執行委員会のメンバーの監督のもと、特に以下の活動によって、IMSの導入を監督・管理する。
■ オペレーションの信頼性と安全性に関する実績を検証するための様々な指標
■ 事業実施の条件や遵守内容がIMS要件に合致していることを検証するためのプロセス監査
■ 工事の瑕疵に起因する事故又は故障を防止するための、新生産設備立上げ前の徹底した確認
■ オペレーションが当グループの規則を遵守していることを確認するための技術監査
変革プログラムの一環として、エア・リキードは、単一のグローバルなグループ産業戦略部門の設置など、いくつかの変更を実施している。
事業の信頼性及び安全性実績やIMS要件への遵守状況における変化については、環境・社会委員会に加え、経営陣によっても定期的にモニタリングされている。
**ii.**設備投資関連リスク
(i)リスクの特定及び説明
当グループは、設備投資に関連するリスクにさらされる可能性がある。各投資プロジェクトは、その収益性において、一方ではプロジェクトの戦略的側面、すなわち地理的位置、経済環境(インフレ)、顧客水準及び立地の競争力といった土地の環境並びにプロジェクトの環境的又は社会的影響に関連し、他方では、特に設計の妥当性、費用見積りの成熟度、そして最後に、品質及び工期と予算の尊重を含むプロジェクトの実行の適切な管理に関連する、様々な要因に影響される可能性がある。
さらに、エネルギー転換に関連する市場など、新たに台頭している市場においては、当グループは、さらなるリスクにさらされる可能性がある。これらのリスクは、特定の技術の成熟度(特に、専任のFoiK委員会が主導する「世界初」のパイロットプロジェクトの場合)、プロジェクトの規模やこれらの新市場の成長速度に関連している。
(ii)リスク管理方策
ブルーブックの事業管理ポリシーは、当グループの設備投資の管理原則を定めたものである。その実行は投資決定手続に定められており、そこには特に以下が含まれている。
■ 資源・投資委員会(RIC)における、特に中期的な契約上の履行やプロジェクトの環境への影響の考慮などを含む厳しい評価基準に基づいた投資のリクエストを審査・承認するための詳細なプロセス
■ 承認の具体的なフォローアップ並びに初年度における貢献への期待及び実績を通じた投資判断のコントロール。さらに、子会社は(一定の閾値を超えた)予算超過分を全て報告し、該当する投資の収益性を確保することを目的とした是正アクションプランを実施することが義務付けられており、特に最大級のプロジェクトの場合は、専門家チーム(「グループ投資実行チーム」)の支援を受けて、準備と実行を確実に行われる。
■ 特定の主要な投資案件の収益性のより詳細な分析(完了前と完了後の比較分析)
**iii.**エネルギー供給関連リスク
(i)リスクの特定及び説明
電気及び天然ガスは製造設備にて使われる主要原材料である。これらの利用可能性は、当グループにも不可欠である。各国市場が許す限りにおいて、当グループ子会社は市場において最も信頼性と競争性の高いエネルギーコストを低炭素排出量で実現することを目的として、現地サプライヤーとの中長期供給コミットメントと入札での競争優位性をもってこれら主要原材料を確保している。
当グループがエネルギー及び原材料の調達に当たってさらされるリスクは、以下に関連する。
■ エネルギー及び原材料の供給(アクセス及び信頼性、特に取引相手方のリスク等)
■ 二酸化炭素排出量
■ 数量(数量に関する義務及び確約の不履行等)
■ 価格(ボラティリティ、競争性等)
■ 現行規制への遵守(市場透明性ルール、SapinII法等)
■ エネルギーに関する各国規制の変更及び規制緩和
原材料に関する金融リスクについては、連結財務諸表を参照されたい。
さらに、エネルギー及び原材料に加えて、当グループは、限られた施設でしか生産されない一定の分子、特に世界的に需要の高いヘリウムや希ガス等の分子について、一時的な供給不足に陥る可能性がある。
(ii)リスク管理方策
当グループの事業は地域的広がりを有しているため、当グループの供給契約は多様である。
特定のエネルギー供給リスクの管理は、当グループのエネルギー管理ポリシーに規定されており、以下の2原則に基づいている。
■ エネルギー購入は内部生産需要を排他的にカバーしなければならない(「自己使用」)。
■ 子会社は、長期(15年以上)のガス供給契約に統合された指数に基づく請求方式を通じて、エネルギーコストの変動を顧客に転嫁している。また、供給不足・債務不履行のリスクは、顧客との契約における不可抗力条項によってカバーされている。
当グループは、再生可能エネルギーや低炭素エネルギーから産出される産業ガスの供給という面においては(長期的なコミットメント、固定価格、断続性、環境認証の管理など、新たなリスクを考慮しなければならない)、この原則の維持に努めている。
グループエネルギーと排出量リスク管理委員会「E-Enrisk」は、子会社のエネルギー調達戦略をレビューし、最も重要なコミットメントを審査し、コミットメントがグループの気候変動戦略(投資決定の上流の場合も既存資産の場合も)と整合していることを確認している。
さらに、世界中で需要があり、限られた施設でしか生産されない特定の分子の調達に関するリスクは、調達先の多様化、分子の貯蔵、長期契約による調達の確保といった戦略により管理されている。
**iv.**設計・施工関連リスク
(i)リスクの特定及び説明
エア・リキードの技術部門は当グループによる投資を主に目的とした製造設備を世界中で設計・製造しているが、グループ外顧客の製造設備も設計・製造している。
これらのプロジェクトは一般的に数年間に及ぶため、各段階において、設計、購買、配送又は建設、そしてより一般的に全体の業務の品質、スケジュール及び価格に関するリスクにさらされている。これらのプロジェクトに関するリスクは、特にターンキープロジェクトでは、しばしば建設段階においてその度合いが大きい。
■ 重要な設備に係る品質及び配送時期及び、現場建設費用並びに納期がプロジェクトの立ち上げを遅延させ、収益性に影響を与える可能性がある。
■ 新規の革新的手順が実施された場合、その結果として想定外の技術的難題が発生する場合がある。
■ プロジェクトの中には、政治的、社会的、環境的又は経済的リスクのある世界の地域にて展開されるものもある。
(ii)リスク管理方策
技術及びプロジェクトマネジメント部門は、規模や複雑さが異なり、異なる種類の技術を使用する全てのプロジェクトの発展と実施のためのリスク管理システムを導入しており、当該システムはこの活動に対して固有の文書である「プレイブック」に記載されている。
このシステムは、エンジニアリング&テクノロジーリスク委員会(ERC)に特に依拠している。進行中及び完了したプロジェクトからのフィードバックに基づき、適切なリスク管理方策を実施することと同様に、各プロジェクト期間中の適切なリスク評価を保証することを目的としている。
■ 開発段階:実行段階においてプロジェクトの目的に影響を及ぼす可能性のある潜在的な脅威(機会も含む)を特定することにより、適切な意思決定を可能とする。
■ 実行段階:変更、発生又は消滅する可能性がある特定済みのリスクの定期的な評価及び低減を継続することに加え、契約上のコミットメント、利害関係者の関与(サプライヤー及び協力業者)、技術的問題又はプロジェクトの完工までのパフォーマンスに影響を与える可能性のある新たな脅威を特定し、対処する。
**ⅴ.**イノベーション関連リスク
(i)リスクの特定及び説明
当グループは、新製品、新規参入者、新ビジネスモデル、新技術の登場など、変化のスピードが加速する環境下で事業を展開している。従って、水素エネルギー、さらにはヘルスケア事業のサービス提供など、主要な市場での技術開発に対する強いニーズを生み出している。これらの変化は、当グループの活動又は市場における地位に影響を及ぼす可能性がある。従って、当グループの成長の可能性は、時の経過とともに、この変化に対応できるかどうかにかかっている。
デジタル技術、とりわけ人工知能(AI)の急速な進展は、変革に伴う大きな課題をもたらしている。これは、当グループのビジネスモデル、組織、及び競争力に影響を及ぼす可能性がある。当グループが直面するリスクは、主に以下の要因に起因する。
■ 急速に進化するAIの導入
■ 顧客、患者、そして当グループの資産に関するデータ量が増加する中での、その安全性及び品質
(ii)リスク管理方策
当グループは、イノベーション戦略を展開するための専用の仕組みを導入し、「事業の卓越性への貢献」と「新しい製品、技術、サービスに基づく長期的パフォーマンス」の2つの目的に焦点を当てている。このように、イノベーション部門は当グループのイノベーション戦略を推進し、当グループの持続的な成長に貢献している。
イノベーション部門は、新技術や新しい市場の継続的な予測に基づいて、特に主要な技術的内容を有する案件に関連する場合には、市場投入を通じて新しいソリューションを思い描き、開発及びインキュベートする責任を負い、その効果を最大限に発揮し、当グループのすべての事業と地域で同種の案件を水平展開する。そのために、当グループは、特に、研究開発の強力な探索能力、3大陸に6つのキャンパスを有し顧客にできるだけ近い組織、イノベーション・エコシステムへの統合、及びエンジニアリング&テクノロジーを活用している。
当グループは、イノベーションへの取組を継続し、毎年、研究開発やデジタルテクノロジーに投資している。近年は、以下の分野に関して、特に主要なパートナーとの長期共同開発契約の締結によりオープン・イノベーションのアプローチを強化している。
■ エネルギー転換、地球環境の保全(イノベーションに関する支出の大部分は、省エネルギーでCO2排出量を削減する新プロセスの精緻化に割り当てられている)
■ ヘルスケア
■ デジタル・データ・人工知能
■ 電子工学
■ ディープテック(革新的技術):極低温装置、宇宙開発など
イノベーションのパートナーである大学・技術機関、サプライヤー、顧客、新興企業に開放されたネットワークを構築するため、イノベーションのためのキャンパスを世界中に5か所及びテクノロジーのためのキャンパスを1か所設置している。当グループは従っておよそ300の外部パートナーで構成されるエコシステムに基盤を置いている。
当グループは、アイデアから市場に至るまで、強固なイノベーション・ガバナンスのプロセスを整えている。特に、期待される成果が得られない取組については見直し、毎年、最もインパクトのある取り組みを優先的に行っている。
当グループは、デジタル・ソリューション、データ及び人工知能を戦略的な差別化要因として活用し、グループ全体で大きな価値を創出し、従業員、顧客、患者の体験を向上させている。
この変革的な技術の導入に必要な倫理的基盤と信頼を築くため、エア・リキードは組織体制を見直し、AIガバナンスの枠組を導入した。これには、当グループの倫理的アプローチと価値観を盛り込み、安全かつ責任ある、人間中心のAI活用に向けた実施原則を定めた「AI憲章」が含まれる。さらに、当グループはAIの利用に伴うリスクを評価するための枠組を策定し、業務プロセスに組み込んだ。
**ⅵ.**知的財産権に関するリスク
(i)リスクの特定及び説明
グローバルな環境では、知的財産に対する関心が特に高く、また特定の法域では営業秘密の保護に対する関心も高まっている。当グループの事業は、第三者が特許を取得した技術に大きく依存するものではなく、主に、イノベーション、デジタル&IT、エンジニアリング&テクノロジーのチーム、ワールド・ビジネスラインとそのオペレーションズのチームが社内で開発した技術、プロセス、設計、ソフトウェアに依存している。イノベーションは、第三者とのパートナーシップによって達成されることも増えている。当グループは、パートナーシップ、革新的な事業体の株式の取得、又は買収を通じて、特定の革新的な事業を展開している。
当グループの営業秘密を含む知的財産権を保護、保持又は行使する能力が制限されることにより、当グループの収益及び競争優位性が失われる可能性がある。また、第三者が、エア・リキードの知的財産権を侵害することなく、あるいはエア・リキードの営業秘密にアクセスすることなく、エア・リキードと同様の技術を独自に開発できる可能性があり、当グループの財政状態又は収益性を害する可能性がある。
エア・リキードは、その技術、プロセス、設計及びソフトウェアを通じて、常に他者の知的財産権を尊重するように心がけている。第三者から侵害していると主張され、訴訟になった場合、その是非にかかわらず、そのような主張は一般に多額の訴訟費用をもたらし、当グループの評判を損なう可能性もある。また、当グループの日常的な事業活動や共同研究において、営業秘密を含む第三者の機密情報を取り扱う場合にも、リスクが生じる可能性がある。
(ii)リスク管理方策
知的財産に関するガバナンス及び関連するリスク管理の原則は、以下を目的とした当グループのポリシー及び手続によって定められている。
■ 当グループの発明、設計、ブランド及びソフトウェアを保護することにより、当グループの知的財産の保護を確保する。
■ エア・リキードが、そのすべての活動領域において、第三者の有効な知的財産権を遵守することを保証する。
■ 第三者とのパートナーシップや提携において、知的財産に関するリスクを管理するために、グループ内の関係者を支援する。
■ 知的財産に関するリスクを従業員に周知徹底する。
このため、当グループでは、当グループの本社及び主要地域に配置された知的財産部門を活用している。
当グループの全事業分野において、ヘルスケア分野はイノベーションの面で特に競争が激しく、知的財産をめぐる紛争も頻繁に発生している。
当グループは、現時点で把握している限り、過去12か月間において、当グループの財務状況や収益性に重大な影響を及ぼし得るような、知的財産権に関する司法上の手続及び仲裁手続は、係属中又はそのおそれがあるものを含め、存在しないと表明している。
**ⅶ.**人的資源管理リスク
(i)リスクの特定及び説明
当グループの長期的パフォーマンスは、とりわけ従業員、そのスキル及びコミットメントに牽引される。
したがって、当グループは事業上、以下のことを目指している。
■ 特に当グループが事業を伸ばしている市場や、雇用市場の需給が逼迫している地域では、適時、適切な場所で、必要な能力を誘引し、維持すること。
■ 当グループの事業の継続性を保証するために、可能な限り認定資格の取得を通じて、技術的専門性の維持及び向上に努める。
■ 事業のデジタル化や、水素や脱炭素化などの新規事業に関連するニーズに対応するため、雇用力を強化し、新しい分野(データサイエンス、人工知能など)の能力開発を支援する。
これらのリスクは、特に以下の不足につながる可能性がある。
■ 能力開発
■ キャリア及び機会のマネジメント
■ 特に一部の専門的な領域における、パフォーマンス及び貢献の認識
能力管理に関連するリスクに加え、心理社会的なリスクも、特に、業務方法を変革した職場環境のデジタル化という近時の状況では、当グループ従業員のメンタルヘルス及びコミットメントのレベルに影響を及ぼす可能性がある。
さらに、エア・リキードは、技術、産業、医療、経済活動を通じて、事業を展開している59カ国(1)の経済・社会の成長に貢献している。そのため、エア・リキードは、特に労働条件や労使関係の観点から、適用される法律や規制を特定し、適用している。
(1) 2022年9月1日以降、当該事業体の支配権を喪失し連結対象外となったロシアを除く。
(ii)リスク管理方策
当グループは、当グループの成長、業務実績及び技術革新に必要な科学的、技術的及びデジタル能力の特定、誘因及び開発にコミットしている。この目的を達成するために、人事ポリシーは、その実行にあたり、以下の点を含む主要ルール及び異なる当事者の役割及び責任を規定している。
■ 必要とされる能力の取得及び維持。エア・リキードは、70:20:10の学習モデルを採用しており、このモデルは学習の70%は実践を通じて、20%は観察や相互作用を通じて、10%はトレーニングを通じて行われると考えている。この目的を達成するため、エア・リキード大学は、多様な分野で、特にオンライン(e-learning)形式を重視した幅広いトレーニングコースを提供しており、定期的に新たなコンテンツを充実させ、組織の特定のニーズに対応しており、最近ではデジタル、人工知能及びエネルギー転換に関する内容も含まれている。
■ 従業員が直属の上司又は人事担当者とキャリアプランに関して議論するキャリア面談による、従業員のキャリアを通じた自己啓発の支援
■ グループ内での働き方の変化。BeActEngageフレームワークにおいて、エア・リキードは、従業員が安全で倫理的で働きやすい環境で成長し、長期的な業績を達成することを可能にするべく、従業員に期待される役割を明らかにした。当グループにとって、これは、業務運営のパフォーマンスを確保するための手段でもある。このフレームワークは、当グループの全従業員に提供されている。
■ 結果と行動に基づいた実績測定と評価を通じた、全従業員に対する公平で公正で競争力のある総合的な報酬の提供。従業員への報酬及びロイヤリティに関するポリシー(規制上問題が生じない国における従業員向けの定期的な増資)に加え、特定の能力の発展及び維持を目的として提供されているものとして、発明家や起業家の認定プログラム、事業運営、産業安全及びデジタル等の幅広い分野における技術的専門知識開発スキーム(「テクニカル・コミュニティ・リーダーズ」)が存在する。
より一般的には、当グループは以下の方策を通じて、パフォーマンスを重視し、魅力的かつ協力的なプロフェッショナルな環境の構築を確保するとともに、当グループ従業員の職場での健康及び福祉を保護している。従業員のエンゲージメントは、「My Voice」というプログラムによって測定されている。このプログラムでは、毎年全従業員に対して、当社での経験について質問するアンケートが実施される。その結果を分析し、組織の各レベルで適切な行動計画を策定、実施している。
リモートワークの増加は、事業の継続性を確保するためのデジタルツールの利用を増加させている。従業員の新しい働き方への適応は、数年前から当グループ内で展開してきたデジタル・協働環境や、リモートワークやチームマネジメントに関するバーチャル研修の展開によって促進された。このような背景で、当グループはグローバルな枠組を展開し、新たな働き方を支援している。
**ⅷ.**顧客関連リスク
(i)リスクの特定及び説明
主要な顧客関連リスクは、顧客の破産リスク又は顧客のサイト閉鎖に伴うリスクである。より一般的には、当グループの一部の顧客の事業は、気象条件の変化、パンデミック、気候変動又は重大な政治的事案などによる自然又は人為的原因により中断される可能性がある(戦争及び国有化を含む)。
営業債権及び貸倒引当金の金額については、連結財務諸表を参照されたい。
(ii)リスク管理方策
59か国(1)における当グループの地理的プレゼンスがもたらす多様性に加えて事業を展開する産業及びセクターにより、顧客リスクは分散される。当グループの事業体は大多数の顧客(世界中で200万以上)に対してサービスを提供しており、顧客が事業を行う業種も多岐に及ぶ。すなわち、電子工学、ヘルスケア、医薬品、化学、鉄鋼、金属、精錬、食品、自動車関連等である。
当グループの最上位顧客1社が占める売上高への割合は2%であり、当グループの上位顧客10社が占める割合は約12%、上位50社では約28%である。
さらに、産業ガス事業の大部分は顧客との契約によって、及び事業部門ごとに特有な契約期間によって網羅されている。
■ ラージ・インダストリー事業、及びエレクトロニクス事業の1/3を占める事業は、主に15~20年の契約期間の最低保証引取量(テイク・オア・ペイ)を規定した契約にもとづいており、最低限の売上高が保証されているとともに、強固な将来的キャッシュ・フローの予測可能性を有している。
■ 工業事業においては、契約は一般的に1~5年の期間で、供給契約の有効期間における保管やシリンダー関するサービスも含まれる。
■ ヘルスケア事業の場合、各国の保健システムにより契約年数のあり方はまちまちで、一部の国では入札を経て地域、対象となる疾病ベースで1~5年間の契約が締結される。
最後に、顧客の事業中断リスクによる当グループへの影響は、危機的状況においてガス又は当グループが製造した設備に頼ることが必要であることによって相殺される。ガスは、産業的・化学的施設導入時の安定性確保(不活性ガス)、現地での事業活動維持(工業プロセスに必須な材料)、更には生命維持(医療用ガス及び設備)のために必要である。従って、当グループの事業は状況により、しばしば保護され、高い優先順位を与えられる。
(1) 2022年9月1日以降、当該事業体の支配権を喪失し連結対象外となったロシアを除く。
イ 財務リスク
当グループの財務方針は、当グループの事業がさらされる財務上のリスクの管理原則を定めている。これに関連して、当グループは、特に金融商品に関する投機的取引を禁止する財務手続の条件を定め、定期的に見直しを行っている。
財務意思決定のガバナンスは、財務委員会(財務戦略委員会及び財務運営委員会)の責任であり、前者は財務戦略に関する事項を検討し、後者は財務戦略の実践方法を検討している。
**i.**取引先及び流動性リスク
(i)リスクの特定及び説明
取引先リスクは、主に売掛債権、短期投資商品、デリバティブヘッジ商品及び銀行ごとに取り決められている信用枠に関するものである。
売掛債権のリスクは、特に顧客の財務状況が悪化した場合に、長期的に未払いが残る可能性がある貸借対照表上の債権に関するものである。
短期投資リスク及び預金リスクは、主に当グループの主要取引銀行のデフォルト時の短期現金預金及び、それより程度は低いものの、ポートフォリオの一部に通貨基金を利用したことによる減損損失に関連している。
ヘッジ・デリバティブ・リスクは、1又は複数の取引先のデフォルトが発生した場合に失われるであろう取引の高い市場価値及び、不利な条件の新たなヘッジを代用する必要が生じる可能性に関連している。
最後に、信用枠に関連する主なリスクは、資金を引き出す必要がある場合に利用できなくなることである。
連結財務諸表の注記25.1には、2025年12月31日に終了した連結事業年度の取引先及び流動性リスクが記載されている。
連結財務諸表の注記17.1及び17.2には、売掛債権及びその他の営業債権と貸倒引当金内訳が記載されている。
(ii)リスク管理方策
事業プロジェクトや買収案件では、顧客の取引先リスクは、資源・投資委員会が評価する重要な要素の一つである。
長期契約の場合は、コンタクトに先立ち、潜在的顧客の信用情報の評価が行われる。かかる評価は、顧客に提案される支払条件に考慮される。
当グループの主要な取引先(2025年は150社、売上高の約35%)については、金融格付機関の格付を利用して月次で、また公表されている格付がない場合には社内格付を利用してモニタリングを行っている。特にラージ・インダストリー事業及びエレクトロニクス事業に関する契約は、中長期の契約に当グループのセーフガード条項を含むことによって、リスクが軽減されている。
一部の案件(主に欧州及び米国)では、ノンリコース・ファクタリング・プログラムにより、特定の売掛債権の損失リスクが銀行に転嫁されている。
また、取引先の債務不履行に関するリスクを軽減するために、当グループは、短期投資に保守的なアプローチを採用しており、例外的かつ正当な理由がある場合を除き、格付けA又はA2以上の大手銀行や金融機関とのみ長期的に取引を行っている。
従って、投資は、満期が3か月未満で、流動性が高く、ボラティリティが低い主要銀行(資金調達力、地理的・商品的範囲、ESGパフォーマンス、財務安定性に基づき選定された主要銀行)を対象としなければならない。市場に出回っている主要銀行の格付けやリスク指標は、リアルタイムの金融情報サービスを利用して日々モニタリングされている。
国際的なキャッシュプーリング(Air Liquide Financeへの日次平準化システム)や、子会社配当金を毎年引出す方針は、各国の現地キャッシュの量を制限することにも役立っている。
通貨・金利リスクや原材料及びエネルギー価格の変動リスクを管理するためのヘッジ・デリバティブの市場価値に関するリスクを最小化するため、当グループでは、取引の分散化を図るとともに、一方では主要銀行との連携を図っている。これらの取引は枠組協定(Fédération Bancaire Française及び国際スワップ・デリバティブ協定)に基づき実行している。当グループは、平均期間が短いこと、及びマージンコールの仕組みから生じ得るキャッシュ・フローの変動を考慮して、担保化メカニズムを使用しないことを決定した。
最後に、資金調達の面では、当グループでは、グループの発展及び独立性を確保するために恒久的な流動性、すなわち主要銀行や金融市場から幅広く多様なネットワークを通じた十分な資金調達能力を有していることを確認している。特に、いつでも最低コストで利用することができる責任あるサステナブルな資金調達の枠組(グリーンボンドの発行を可能にするサステナブルな資金調達の枠組み)を活用している。
**ii.**外国為替リスク
(i)リスクの特定及び説明
当グループは、国際的な事業展開を行っているため、一方では取引リスク、他方では財務諸表のユーロ(当グループの報告通貨)への換算に関連する外国為替変動リスクに常時さらされている。
外国為替取引リスクは、一方では事業体の外貨建て商業キャッシュ・フローに、他方ではロイヤリティ、技術支援及び配当金から生じるキャッシュ・フローに関連している。
換算リスクは、現地通貨建てで作成された子会社の財務諸表から、ユーロ建てで公表される当グループの財務諸表への換算に関連しており、当グループの事業の収益性に影響を与えるものではない。
連結財務諸表の注記24.5は通貨別純負債を示しており、連結財務諸表の注記25.1は外国為替リスク管理プロセス、使用しているヘッジ・デリバティブ、及び外国為替レートに対する感応度を示している。
(ii)リスク管理方策
産業用・医療用ガスは長距離間で輸送されることがないため、大半の製品は、販売される各国内で製造されている。当グループは、当グループの事業及び収益性がさらされる為替変動リスクは低いレベルにあると評価している。
もっとも、当グループは、持株会社が負担するか、事業会社が負担するかにかかわらず、承認されたヘッジ手段、意思決定プロセス及び取引の実行の観点から、主要な外国為替リスクのヘッジ方法を定義している。
これらの施策は、コンプライアンス及び取引安全性の確保、並びに経営の最適化を目的とした、現地の状況に応じた管理ルールによって補完されている。
当該財務ポリシーの適用については、財務部門が管理している。取引の大部分は、子会社や店頭市場との間で直接集中的に行われており、リスクの種類に応じて、月次又は四半期ごとに当グループの各子会社から提供される連結報告書によって完了する。
財務活動は、多国間交渉プラットフォーム、資金管理ソフト及び国際銀行間通信協会「SWIFT」と連携した通信プラットフォームを利用して、高度に分離された職務に基づき管理されている。独立した監査人が、SWIFT顧客セキュリティ・プログラムに対する当グループの遵守状況を毎年評価することが義務付けられている。評価では、エコシステムと内部セキュリティ手順がSWIFTの要件に沿っていることが示された。
さらに、当グループは、ナチュラルヘッジを行い、負債返済のキャッシュ・フローと同一通貨での借入を増やすことで為替レートのエクスポージャーを減らしている。よって、資金調達は現地通貨で行われるか、又は販売契約がユーロ若しくは米ドルに連動する場合はハード・カレンシー(ユーロ又は米ドル)で行われる。
**iii.**金利リスク
(i)リスクの特定及び説明
金利リスクは、金利が変動する場合に、負債に関する将来のキャッシュ・フローの変動に主として関係する。
さらに、将来の借換えに伴う金利の大幅な上昇により、当グループは事業活動によるキャッシュ・フローのより大部分を負債の返済に充てる義務を負っている可能性がある。
連結財務諸表注記24.3は、固定金利部分の負債を記載しており、連結財務諸表注記25.1は、当グループの金融費用の金利変動に対する感応度、及び固定金利部分の負債の金利改定スケジュール並びに金利リスクヘッジ手段を記載している。
(ii)リスク管理方策
当グループの方針は、中長期的に、主にオプションヘッジを活用することにより全負債の大半を固定金利にて維持することである。
また、債務を保有している主要通貨(特に純債務の約90%を占めるユーロ、米ドル、日本円、中国人民元)についても、以下の内容を含む一元的な金利ヘッジ方策が定められている。
■ 特にスワップ及び金利オプションにおいて、公認されたツールを選択すること
■ ヘッジの決定プロセス
■ 取引の執行方法
その他の外貨建債務については、金利リスクをヘッジするために開始した取引が、当グループの目的に合致していることを確認するためのルールが定めてられている。
また、将来発生する蓋然性の高い問題については、定期的に事前ヘッジ取引を実施し、金利の上昇から当グループを保護している。
一部の例外を除き、全ての金利取引はAir Liquide Financeによって一元的に処理され、社内設計されたツール及び独立した専門会社の双方を起用して定期的に評価されている。
**ⅳ.**税務リスク
(i)リスクの特定及び説明
当グループは、いくつかの国で、適用される規則について、その事業又は業績に影響を有するような変更がなされることによる税務リスクにさらされている。かかるリスクは、以下のような事情から発生する可能性がある。
■ 国内の又は国際的な規制の当グループに予期せぬ不利益な変更
■ 現行の規制や基準の適用における困難
■ 税務申告書の作成時の誤り
■ 事実の解釈の不一致につながる可能性のある税務当局による定期的な調査
(ii)リスク管理方策
税金に関し、当グループは法令遵守を重視している。また、法令及び規則の変更に関しては、税務部門及び各国の財務部門が対応及び監視している。
当グループの税務憲章は、当グループの長期的な成長戦略に沿った責任ある行動をとることで、業界の主導者であり続けるという目標を支えている。エア・リキードは、フランス商法第L.22-10-36条に基づき、その税務ポリシーを支配する以下の原則を定めている。
■ 当グループの子会社は、現行の法規制に加え、それに影響を与える経済協力開発機構(OECD)等の国際基準、特に移転価格に関する国際基準を尊重しなければならない。
■ 当グループの子会社は、申告及び納税が現地法制を遵守して完了するよう確保すると共に、当グループが事業を展開している地域に応じて、必要な税務申告書を作成している。
■ 当グループは、税務関連の全ての事項について誠実に行動することを確約している。当グループは、透明性のある方法で業務を行い、税務当局と建設的かつ長期的な関係を構築することを目指している。
■ 当グループでは、税務上の問題に対処するに当たって、タックスヘイブンを禁止し、経済的・商業的実体のないペーパーカンパニーを使用しない。
■ 当グループは、二重課税の現象を最小限に抑えるための対策を講じることで、株主にとっての価値を保護すると共に、財政リスクの最小化にも努めている。当グループの税務戦略は、当グループの戦略及び行動規範を遵守している。
当グループが採用している税務ポリシー
エア・リキードは、最新の税制改革に精通し、当グループの価値観を尊重する有能で献身的な税務専門家チームの存在によって保証される、税務コンプライアンスと透明性ポリシーを適用している。当グループは、すべての税務関連事項において、誠実に行動することを約束する。当グループは、事業を展開する各国において、税務当局と透明で建設的かつ長期的な関係を維持し、税務当局が必要とする情報を合理的な期間内に提供する。エア・リキードは、自社及びフランスの連結子会社を代表して、フランスの税務当局との間で「財政パートナーシップ」を締結した最初の会社である。かかるパートナーシップを2019年3月に締結することで、エア・リキード及びその子会社は、フランスの税務当局との間での信頼に基づく透明性の高い関係を構築した。この合意は中断することなく継続する。
当グループは、事業活動の価値が創造された場所に応じて適切な税額を支払うよう、税制の遵守を徹底しており、低税率地域内へ人為的に価値を移転させることはない。
当グループは、タックスヘイブンの不透明な組織や事業体を使用せず、税務当局に対して有用な情報を差し控えることはない。また、経済的又は商業的実体を欠く組織を使用しない。
当グループは、OECDの原則に準拠したグループ内キャッシュ・フロー方針を適用している。特に、移転価格についてはアームズレングス原則(独立企業間価格原則)を適用し、移転価格を税務計画の手段としては使用しない。当グループは、組織体制が分散化されているため、グループ内取引はごく限られており、売上高に占める割合もごくわずかである。
エア・リキードは、「国別報告書」(CBCR)の義務を遵守している。
税務部門の組織とガバナンス
子会社の税務は、各社の財務部門の責任である。規模が大きいため、フランス、米国、ドイツ、中国、カナダ、イタリア、ベネルクス、スペインのように、財務部門に報告する税務専門部署を設置している子会社もある。また、東南アジアやアフリカ・中東など、複数の国の税務を調整するために、クラスターの財務部門に報告するクラスター税務部門が設置されている場合もある。
これらの国又はクラスター税務部門はすべて、本社にある当グループの税務部門と機能的に連携している。税務部門は、特に、重要な問題を特定して適切な技術的支援と必要な指導を行うための定期的な会議を通じて、税務チームのネットワークを調整している。
当グループの税務部門は、グループの財務部門に属している。また、当グループの事業の運営状況を把握するために、財務、法務、その他のさまざまな組織との連携を維持している。さらに、グループ内の委員会である財務委員会に参加し、税務見解が税務憲章に準拠していることを確認している。同部は、少なくとも年1回、監査・決算委員会に対し、当グループの主な税務リスクを説明している。また、OECDで進められている、いわゆるPillar1ルールとPillar2ルールの策定交渉の重要性に鑑み、当グループの税務部門は2021年にOECDのワーキンググループに参加し、必要な限りこの作業に建設的に参加していく。
ウ デジタルリスク
**i.**デジタルリスク
(i)リスクの特定及び説明
当グループの事業、専門的知識、そしてより一般的に、全てのステークホルダー(サプライヤー、顧客、専門家のコミュニティ等)との関係は、ますます非物質化され、デジタル化された事業に依存している。これらの事業は、情報システム及び相互依存的な通信ネットワークに基づいており、データの完全性、可用性、安全性及び機密性を保持するために安全が確保されなければならない。
当グループのグローバルな市場、事業所及び依然として大きなレベルのサイバー脅威を考慮すると、このリスクはエア・リキードにとって高いと考えられ、組織として適切に対処している。
(ii)リスク管理方策
デジタル・セキュリティ・ポリシーは、デジタル・セキュリティに関する課題について説明している。本ポリシーは、組織におけるITセキュリティの基本原則を定め、役割と責任を明確にしている。また、IT(情報技術)及びOT(運用技術)システムの保護と監視、並びにアラートやインシデントの管理に関する基本ルール(ポリシー、手順など)に細分化されている。
デジタル・セキュリティ部門は、当グループのグループ業務管理・コンプライアンス部門に属しており、毎年更新されるサイバーリスク分析に基づきガイドラインを策定し、グループの内部及び外部のステークホルダーと共にこれを運用する。最後に、統制を通じて、その実施状況、コンプライアンス遵守、及び組織全体の成熟度を確保する。
主な取組みは次のとおりである。
■ 運用チーム(IT及びOT)と緊密に連携し、サイバー戦略を策定する。
■ データ保護やITツールの使用、フィッシング・キャンペーンに関するオンライン研修などの教育ツールを用いた、詐欺や機密情報、個人情報及び患者の健康データの漏洩などの問題に関するリスク予防及び従業員の意識向上。
■ 重要なアプリケーション、最も機密性の高い情報(特に患者の健康データ)、事業資産の保護、及びデジタル・ソリューションの本質的な一部としてのプロジェクトの設計段階からのデジタル・セキュリティを考慮する。リスク分析ツールが更新され、AIに関連する課題が組み込まれた。
■ 当グループの事業に影響を及ぼす可能性のあるデジタル脅威、情報漏洩及び重大なサイバーインシデントを監視する。これには(自動化が進む)侵入テスト、情報漏洩を報告するシステムの導入、及びインターネットに公開されているグループ・アプリケーションの監視が含まれる。
■ 特定のプロジェクトや一般データ保護規則(GDPR)などのプログラムを通じて、組織の規制遵守を実施している。現在では、すべての事業及び地域に導入され、年次管理(臨時の監査によって補完される)がそのサステナビリティを保証している。その他の最近の規制や間もなく施行される規制もまた、個別の行動計画を要求している(例えば、欧州のNIS2、AI法など)。
■ インシデントの検知・反応、危機シミュレーション訓練(基地・クラスターレベル)、システム障害時の事業継続計画の実施などの担当部署を通した当グループの復元力。
エ 環境リスク
**i.**気候変動リスク(温室効果ガス排出)
(i)リスクの特定及び説明
エア・リキードのビジネスモデルは、特に金属、化学、精製業界を中心に温室効果ガスを排出することが多い顧客の産業ガス需要のアウトソーシングに基づいている。かかるアウトソーシングは、エア・リキードの専門知識によって正当化されており、同社は最先端技術へのアクセスや生産設備のエネルギー消費の最適化を実現できると同時に、長期的な供給の確実性も確保できる。しかし、それは顧客の温室効果ガス排出量の一部を当グループに移転することにつながる。
エア・リキードの大規模生産設備の約85%は、空気分離ユニット(ASU)であり、燃焼プロセスを一切使用しないためCO2を排出しない。使用する原材料は空気だけで、空気を分離するために必要なエネルギーは、大半は電気の形で消費される。当グループがこれらの設備に電力を供給するために使用している電力は、電力供給者によるCO2排出を発生させており、そのような排出は間接的排出として分類されている(スコープ2)。
当グループの他の主要な二つのCO2排出活動は、水蒸気改質による水素製造及びコジェネレーションである。これらは大規模生産設備の約15%を占めており、CO2を排出する燃焼プロセスを使用している(そのような排出は直接的排出として分類されている。(スコープ1))。
この点、気候変動リスク(温室効果ガス排出量)は、例えば炭素価格の導入や規制の強化などの公的機関による温室効果ガス排出量削減政策の実施と密接に関連している。気候変動リスクは、以下のいずれかのものに影響を与える可能性がある。
■ 当グループの工場(事業範囲への直接的な影響)に対し、生産コストの増加や新規投資を必要とする結果となるもの
■ 当グループのサプライヤーの工場に対し、サプライヤーの価格の上昇をもたらすもの
■ 市場、プロセス、産業ガスの需要などに影響を与える顧客(バリューチェーンへの間接的な影響)
エア・リキードは、温室効果ガス排出量取引制度を実施した、又は実施プロセス段階にある世界中の地域に拠点を置いている。無償割当排出枠でカバーされる排出量の割合が減少した場合、補償措置の導入が求められる可能性がある。なお、長期契約では、CO2コストの顧客への転嫁を前提としている。
(ii)リスク管理方策
エア・リキードは、2018年11月に発表した、低炭素ソリューションを提供することで、顧客や生態系とともに、当グループの事業における気候に対して積極的に対策を講じる枠組みを定めた気候変動対策の目標を強化するため、2021年3月23日に新しいサステナブルな成長目標を発表した。パリ協定に基づき、気候変動とエネルギー転換の緊急性を考慮した対応を進めるため、エア・リキードは、2つの大きな中間マイルストーンを設定し、2050年までにカーボンニュートラル達成という目標を掲げた。
■ 2024年には、2025年頃を目処としたCO2排出量の絶対量の削減が始まったことが確認された。
■ 2035年までにスコープ1と2のCO2排出量を、2020年のスコープ1と2のベースラインを「市場ベース」とした場合と比較して、33%削減する(1)。
(1) CO2排出量に著しい影響を与える連結範囲の変更(上方及び下方)を考慮し、当該資産の通年の排出量を含むように再修正した2020年及びそれ以降の各年度から、CO2換算のトンで算出
2018年に設定された、2025年までに2015年の排出量に対して炭素原単位を30%削減するという目標(2)は達成された。
(2) 「市場ベース」の方法論における温室効果ガス排出量のスコープ1及び2について、2015年の為替レートでIFRS第16号を除外した、償却前経常的営業利益のkg-CO2換算値/ユーロ
2022年にブルーブックで発表された気候方針は、当グループ内及びバリューチェーン全体における気候リスクマネジメントに関する原則を統合することを目的としている。
グループの気候変動対策の目標のモニタリングと達成は、以下に依拠する。
■ 内部温室効果ガス排出量モニタリング手順。これは、当グループが遵守すべき最新の温室効果ガス排出規制義務のモニタリングであり、スコープ1及び2の排出量算出方法、報告範囲と頻度について定めたものである。
■ CO2排出量の監視が、当グループのマネジメントプロセス、特に、予算プロセスにおいて統合され、現在では地域ごとにカーボンバジェットを割り当て、半期ごとに執行委員会レベルで地域別及びビジネスライン別にモニタリングを行っている。
■ 投資プロセスは更新され、現在導入が進められている。これにより、プロジェクトがグループのCO2排出量の推移に与える影響を分析できるようになった。さらに、一次生産能力への大規模な投資においては、低排出シナリオに関する感度分析を実施している。これには、顧客の事業活動を考慮に入れつつ、プロジェクトの実現可能性及び、該当する場合はそのレジリエンスを評価するための、将来のCO2価格に関する予測も含まれる。
■ 「気候チャンピオン」ネットワークの展開と、各クラスター(国グループ)の脱炭素化計画の定期的な見直し
■ 当グループが事業を展開する地域において、「2℃を大幅に下回る」軌道に沿った低炭素経済への移行を加速させることを目的とした公共政策の導入が前提となっている。
さらに、再生可能エネルギーへのアクセスは、当グループの気候リスク管理における重要な要素である。
最後に、欧州連合(EU)の「タクソノミー規則」に関する情報は、本報告書「第3 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載されている。
**ii.**気候変動リスク(操業への物理的影響)
(i)リスクの特定及び説明
エア・リキードは、気候変動に起因する気象現象の異常(その深刻度又は頻度において)にさらされている世界中の地域で事業活動を行っている。これらの現象は、当グループの事業活動を減速又は中断したり、コストを高めたりするおそれがある。当グループのサプライヤーや顧客もまた、同じ問題に直面している。
これらの内容は以下のとおりである。
■ 天災、ハリケーン・洪水等の発生頻度・深刻度の増加に起因する急性リスク。これらのリスクは、例えば、沿岸部に位置するエア・リキード拠点、あるいはハリケーンの影響を受けた地域(米国メキシコ湾岸、南アジア等)に関連する可能性がある。
■ 気候モデルのより長期的な変化や気温の上昇に関連する慢性的なリスク(海面水位の上昇、特定地域の慢性的な熱波、降雨パターンの変化及びその変動の増加、特定の資源の消滅等)
(ii)リスク管理方策
物理的リスク(水資源の確保、極端な事象の頻度など)は、財務基準と同様に、投資要請のレビューにおいて評価され、例えば機器の設計において、関連するリスク管理方策が講じられることを確保する。
また、上記のような急性リスクに定期的にさらされている当グループの業務においては、顧客との密接な連携により、第一義的には個人及び生産設備を保護し、適切な業務上の予防対策を講じることを目的としたリスク管理体制を構築している。これらのシステムは定期的に更新され、改善されている。
慢性的なリスクは、特に製造設備の設計において、そのエネルギー効率や二酸化炭素排出量と同じ方法で、同じ程度に考慮される。
2023年、エア・リキードは、2つの高排出シナリオ(2100年までに+2.7℃をもたらす「通常通り」のSSP2-4.5と、2100年までに+4.4℃をもたらすSSP5-8.5又は「最悪のシナリオ」)による気候変動の物理的影響に関連するリスクを特定し、物理的リスク管理プロセスを統合・改善するためのスタディを実施した。当グループの各種資産レベルにおいて、課題、リスクへの曝露、脆弱性、及び適応策に関する理解を深め、認識を強化するための取組を継続していく。特に主要な産業地域に焦点を当てている。
物理的リスクと温室効果ガス排出のリスクは、財務諸表の作成に当たっても考慮されている(連結財務諸表注記31)。
**ⅲ.**水資源管理リスク
(i)リスクの特定及び説明
当グループは、その事業活動においては水に依存しており、このリスクを重要なリスクと認識している。当グループの水の消費は、主に工業用ガス製造プロセスの冷却過程における蒸発によるものである。また、水は水素などの製品製造のための原料としても使用されている。
エア・リキードは、特に水ストレスのある地域での水管理に注意を払っている。水資源の不足又は水質の悪化は、顧客へのエア・リキード製品の供給の安定性に影響を及ぼし、工場の効率や信頼性に悪影響を及ぼし、生産コストの増加を引き起こす可能性がある。
(ii)リスク管理方策
取水と使用に伴うリスクを管理するため、2021年にブルーブックで水管理ポリシーが発表された。
本ポリシーは、エア・リキードの事業が水の利用可能性に与える影響を明らかにするものである。本ポリシーは、各サイトにおける状況の具体的な評価に基づき、リスク管理の原則を定義している。最後に、適切な水管理を確保するために実施すべき行動について記述している。
2023年の水管理ポリシーの導入の一環として、エア・リキードは、2021年に設定した目標を達成した。水ストレスが高い地域に位置し、2022年に特定された75カ所の事業所のすべて(100%)において、取水及び使用に関するリスクに対処する文書化された管理計画が策定された。
オ 地政学的、規制、法的リスク及び公共政策関連リスク
**i.**地政学的リスク
(i)リスクの特定及び説明
国際情勢の変化、国家間・国家内の緊張の高まり、テロの脅威の持続性等を勘案すると、当グループは、特定の国においては、経済、金融等のリスクに加え、従業員の安全(拠点又は出張中)や施設のセキュリティに影響を与えるリスクにさらされている。
(ii)リスク管理方策
投資申請が審査される際には、プロジェクトの地政学的背景(安全性と経済性の双方の観点から)が一切の承認前に基準の一部として審査される。そのため、カントリーリスクはケースバイケースで評価され、資金調達戦略や補足的保険カバーの調整につながる可能性があり、また、プロジェクトが承認されないこともある。
さらに、当グループが事業を展開している全ての国は、地政学的状況の監視及び定期的な分析の対象となっている。
最後に、当グループのセキュリティ部門では、特定の地域や出張時に危険にさらされる可能性のある従業員を保護するために、eラーニングコース、特定のリスク(健康、衛生、汚染、誘拐等)についての専門家を招くなどの啓発・研修ツールを用いている。加えて、現地で外部からの脅威に最もさらされている製品や施設の安全を確保するための対策を実施している。
**ii.**法令及び規制の遵守違反によるリスク
(i)リスクの特定及び説明
当グループが事業を展開しているすべての国において、当グループの子会社は、法律や規制への違反のリスクにさらされている。基準の数の継続的な増加により、ますます複雑化する状況の中で、当グループの子会社は、特に、規範の特殊性の観点から、法的・規制の枠組の動向を監視しなければならない。
特に、ヘルスケア事業では、販売する製品(医療機器、医薬品)、調査活動、患者のヘルスケアに関する個人情報取扱のため、具体的な規制を受けている。
当グループは、その事業を行うすべての地域において、以下の法令違反のリスクに対処しなければならない。
■ 競争法
■ 汚職対策を目的とする規則
■ 国際的制裁
■ 一定の製品の輸出を制限する規制、又は制裁下にある仕向地に関連する規制
■ 個人情報の移転を制限する規制(上記ウ・i.デジタルリスク参照)
■ 注意義務
当グループの子会社はまた、契約上の義務(自社又は契約相手方の義務)の不履行リスクにさらされている。
紛争に関連する負債及び偶発債務については、連結財務諸表の注記22及び30に記載されている。
(ⅱ)リスク管理方策
法規制の動向は特に注意を払って監視しており、これらの変更及び関連するリスクについてのチームの知識を向上させ、以下の分野における義務の遵守を確実にするためのツールの提供を目的として、以下のような手順が実施されている。
■ 競争法を遵守するための行動のあり方に関する当グループの行動規範、並びに抜き打ち検査及びeラーニングを含むトレーニング
■ 経営陣と管理職が密接に関与する汚職防止プログラムであり、このプログラムは、特に、汚職リスクのマッピング、行動規範、汚職関連リスクにさらされた人々への十分な研修と啓発活動、第三者評価メカニズム、会計管理、内部通報システムに依拠している。このプログラムは、当グループ倫理担当役員の調整のもと、新たな法規制及び法的要件を考慮して定期的に更新されている。当該倫理担当役員は、倫理的対応のネットワークと拠点及び事業の運営部門の支援に依拠してこれを行う。プログラムは定期的に監査される。
■ 国際貿易コンプライアンスプログラム(輸出管理及び国際制裁)は、ガイドライン、担当者ネットワーク、規制モニタリング、並びに第三者スクリーニングのツール及び手順書に基づいて構築されている。ロシアに対する国際的制裁と、それに関連する輸出入規制の遵守に特に注意を払う。
■ 様々な契約ガイド(ラージ・インダストリー事業、工業事業、エレクトロニクス事業、エンジニアリング&テクノロジー、資金調達)と適正実施基準(ヘルスケア事業)
当グループの知る限りにおいて、現在及び過去12か月間において、当グループの財務状況や収益性に重大な影響を及ぼし得るような、政府による手続、又は司法上の手続や仲裁手続は、係属中又はそのおそれがあるものを含め、存在しない。
**iii.**公共政策関連リスク
(i)リスクの特定及び説明
公共政策の変更は、当グループの事業運営に悪影響を及ぼす可能性がある。これらの影響は多様な形態をとり、当グループの事業範囲及びガバナンス規則の両方に及ぶ可能性がある。当グループは、影響を及ぼす可能性のある変更を早期に特定できる体制を整備する必要がある。
さらに、公共政策の策定において、公共政策の策定者は、より効果的な規制の策定に貢献するため、そのような政策に影響を受ける可能性のある利害関係者の意見を聴取することが一般的である。このような状況において、当グループは、さまざまな公的機関、省庁及び政府機関から、個別かつ調整されない形で、多様なレベルでの協議への参加要請を定期的に受けている。これらの協議を構造的に支援するため、エア・リキードは、公的機関から意見が求められる可能性のある事項について、その立場を明確にしている。
(ⅱ)リスク管理方策
欧州・国際業務部門(DAEI)の役割は、当グループ内のパブリック・アフェアーズ機能を組織し、公共政策の変化をモニタリング・分析するための仕組みを整備することである。
DAEI及び特定のいくつかの国の子会社における代表者は、公的機関、NGO、市民団体、専門家団体又はシンクタンクに対する対応を調整し、これらの子会社から発信されるメッセージの一貫性を確保している。
このような状況において、当グループは、誠実さと透明性の原則を厳格に遵守しながら、公的な利害関係者と交流を行っている。
さらに、エア・リキードは、透明性に関する登録に関する国内法又は国際法上の規定を遵守するため、当社の事業及びロビー活動について、適切な当局に定期的に報告している。
(3)管理体制
本項では、当社が構築している内部統制及びリスク管理環境の主要な要素について説明する。
ア 組織
当グループは、一貫したグループ戦略に基づいて組織化されている。同戦略は、事業活動ごとに分類された中期目標に重点を置く管理手法によって、あるいは年次予算目標(年次予算目標はさらに個別プランレベルに分類される。)に基づく運営プロセスに支えられている。当グループは、意思決定経路を短縮し、コミュニケーションを促進するネットワーク構造を採用している。
組織の内容は、下記のとおりである。
■ 執行委員会の地域担当メンバーは、主要地域で当グループを代表し、そのプレゼンスを確保する。本拠(エア・リキード本社)とともに、当グループの地域における事業戦略の策定とグローバル・パフォーマンスの決定について責任を負う。
■ リソースの内部プールのために国グループ(クラスター)ごとにグループ分けされた事業体が、当グループが所在する国での事業の運営管理とグループ戦略を実行する。
■ ワールド・ビジネスラインは以下を遂行する。
- クラスター及び戦略部門と連携して、代表する事業の中期戦略目標を策定する。
- 戦略的マーケティング、それぞれの事業の変革及び特定の事業分野における技能の継続性に責任を負う。
■ 特定の事業(在宅医療事業、エンジニアリング&テクノロジー)に特有のグローバルビジネスユニット(GBUs)
■ 工業部門は、当社の事業運営の安全性、品質、信頼性及び効率性を確保するため、工業プロセスの最適化をミッションとしている。GBUsを除く、当グループ全体の工業業務全般をカバーしている。
■ グローバル・ビジネス・サービス(GBS)
かかる組織には、経営陣に報告を行う3つの主要な管理部門により構成されるコーポレート機能部門が含まれる。
■ 財務部門:財務部門は、以下の事項を担当する。
- 会計・財務情報の信用性確保
- 当グループの財務及び税務リスク管理
- 会計チームが作成する財務データ、様々な子会社の財務チームが行う分析、及び一定のオペレーション・データに基づいた業務管理による当グループの目的の作成及び業務のモニタリング
■ グループ業務管理・コンプライアンス部門:業務管理部門は以下の事項を実施する。
- 各グループ会社でのリスク管理アプローチ(以下を参照のこと)について各会社に専門知識及び支援を提供し、これらを総括する。
- 特に研修や啓発施策、不正や逸脱への対処、及び国際貿易規制の遵守を通じて、当グループの子会社が当グループの倫理的価値観を遵守し、促進することを支援する。
- 当グループの監査・会計委員会に提出された特定プログラムに従い実施される監査を通じて、内部統制及びリスク管理手続の効果的適用を検証する。リスク分析を基に開発された同プログラムは、定期的に環境・社会問題に関する環境・社会委員会との連携のもと、監査・会計委員会が監視する。監査報告書は是正措置プランにより体系的に補完され、経営陣のメンバーによって監督される。同報告書は、後に発行されるフォローアップ報告書と同様に、法定監査人との間で行われる様々なコミュニケーションや定期的討議の議題となる。
- 当グループの子会社がそれぞれのデータ、システム及びデジタル・アプリケーションの特定・保護(ルールの定義、展開のための専門知識・アドバイス、適切な実行の管理)についてグループ業務管理・コンプライアンス部門に報告するための手順を、デジタル・セキュリティ部門を通じて子会社に提供する。
■ 法務・保険部門:法務・保険部門は法的リスクを特定し、内部ガイドライン及び規則を発行し、さらにそれらの適切な実行を監督する。これにより、注意義務措置の遵守が確保される。法務・保険部門はさらに主要な訴訟案件の展開を監督し、保険を管理する。
また、当グループは、すべての事業体を対象とする倫理に関する内部通報制度を設けており、独立したサービス提供者に対して、当グループの行動規範又は適用される法律からの逸脱を匿名で通報することができる。この制度は、グループ内外のすべての利害関係者(顧客、患者、サプライヤー、協力会社とそのスタッフ、地域社会、ファシリテーターなど)に開かれている。
記録された全ての通報は、当グループ倫理担当役員の監督の下、機密扱いとなる。このシステムは、企業内のインシデントを報告する通常のプロセスに代わるマネージャー及び人事部門を経由する解決策である。これは、受領した報告の処理を迅速化し、その結果個人及び組織に対する潜在的な影響を最小限に抑えることに役立つ。この内部告発者保護の原則は、当グループにより保証され、当グループの行動規範にも反復して記されている。善意で通報した者に対する制裁措置及び報復措置は一切認められない。
最後に、本組織は、以下のような権限付与及び委託の枠組みに従う。
■ 商業的取引活動(販売や購買)に係るコミットメントや支払能力を特定することを目的として、経営陣や特定部門・サービスの関係者に権限を付与する。
■ 健康と安全に関する産業リスクの防止・管理を目的として、特にフランスの事業体や施設を担当する一部の執行役員に権限を付与する。
■ 取引関係及び資金の流れを保障することを目的として、特定の財務執行役員に権限を付与する。
当グループの様々な子会社の管理者は、取締役会のコントロールの下で、それぞれの国において適用される法規制に従って、その義務を履行する。
イ リスク管理
当グループの事業の継続的成長を確保するため、当グループは、当グループがさらされているリスク(特に事業リスク及び財務リスク)の回避及び管理のための手法を能動的に模索しなくてはならない。
当グループの事業活動として、事業リスク管理は、安全性及びセキュリティの優先対応に注力し、一方で施設の信頼性に関しても恒久的に注力しなくてはならない。
財務リスク管理には、投資への厳格な管理が必要であり、事業内容の会計・財務的側面に関して、慎重かつ綿密なプラクティスを伴わなくてはならない。
当グループの正式なリスク管理アプローチは、以下の点を確実に行うことを目的とする。
■ 当グループが事業活動実施の過程でさらされる異なる形式のリスク(事業上、財務上、その他のリスク)を定期的に特定する。これらのリスクは、潜在的影響及び発生の蓋然性の両側面から評価される。
■ ポリシー、組織構造、プロセス及び管理の質に関し、共通の尺度に基づき、各リスクについてのリスク管理の成熟度を査定する。
■ 限定された優先課題における事業のモニタリングに照準を当てることで、これらのリスク緩和のため実施される主要是正措置プランを適切に実施する。
これら3つのリスク管理プロセス(マッピング、成熟度評価、リスク緩和プラン)は、当グループの連結収益の90%を超える割合を占めるものである。
当グループ業務管理・コンプライアンス部門内に設立されたリスク管理部門は、以下の点を活用してこのアプローチを統括する。
■ 各クラスター、ワールド・ビジネス・ユニット及びワールド・ビジネスラインの責任範囲における(関連する事業体の取締役会の監督の下での)アプローチを管理し、それらにサマリーを提供するための専用リソース。
■ リスク委員会の委員が調整する作業。
監査・会計委員会は、以下の内容を踏まえた報告発表に基づき、当グループのリスク管理をレビューする。
■ アプローチの進捗(年間ベース)
■ 各課題に沿って構築された複数年プログラムに基づく主要リスク管理システム
■ これらのリスク管理システムに対する内部監査の概要
環境・社会委員会は年に3回開催される。さらに、監査委員会と合同で少なくとも年2回開催される。これらの会議において、気候に関する目標の進捗状況と関連するリスクについて検討が行われる。
より幅広いアプローチを行うため、毎年、リスク管理部門がリスク委員会の会議において、新たなリスクの特定と位置づけを仮想的に提示している。また、これらのリスクの発生時期についても検討を行い、必要な事前対策を提案している。
最後に、当グループにより実施されたリスク管理措置の年間サマリーは取締役会に提出される。毎年、これは取締役会に対して事前に提示された監査・会計委員会策定の暫定計画を、戦略的な関心事項、又はより具体的な形で示される特定の関連事項の対象リストとともに、検証するものとなる。
ウ 内部統制
特定のステークホルダー(株主、仕入先、顧客及び従業員等)に対する当グループの価値を再確認する「行動原則」に加え、当グループの原則及び主要な手順は、「ブルーブック」と呼ばれる体系的に分類された手順書にまとめられており、イントラネット上で従業員に提供されている。ブルーブックは1セットにまとめられた内部統制・リスク管理手順で構成され、その手順は、当グループ連結財務諸表に含まれる各グループ子会社により実施されなくてはならない。
ブルーブックは、以下の点の確保を目的とする当グループの内部統制システムの基軸である。
■ 当グループの業務活動及び当グループの構成員の行動が
- 法規制、内部規則、及び適用のある最善の実務慣行を遵守すること。
- 当社が定める目標、とりわけリスク回避・マネジメント・ポリシーに関する目標を遵守すること。
- 当グループの資産の保護に寄与すること。
■ 社内外に発表されるあらゆる財務・会計情報が、当グループの現状及び事業状況を正しくかつ公正に表現し、そして広く知られる基準に準拠していること。
グループ内部統制部門の後援の下、内部統制問題に関する意識向上及びトレーニングが、例えばエア・リキード大学が年2回提供するバーチャルトレーニングキャンパスを通じて、定期的に実施されている。
一般的に、当グループの内部統制システムは、その事業管理、運営の効率化及び資源の有効活用に資するものでなければならない。また、誤りや詐欺を防ぐことを目的としている。
他の「保証システム」と同様、当グループの内部統制システムは、当グループの目的達成を絶対的に保証することはできない。
過去数年間にわたって実施してきた事業に沿って、すべての主要な当グループ事業体及び共有サービス・プラットフォーム(当グループ連結収益の約90%を占める。)は、内部統制及びリスクマネジメントシステムの参照フレームワークに照らして、当社のシステムの適切性について年次レビューを実施している。また、これらの当グループの子会社は、各クラスターが年度当初に定めた年間のガイドラインに従って、担当地域やグローバルビジネスユニットを管轄する執行委員会のメンバー、グループ業務管理・コンプライアンス部門及び財務部門により内部統制システムの改善を目的とした活動を実行した。グループ業務管理・コンプライアンス部門及び財務部門は共同して、これらの改善活動を調整し、その進捗状況を当グループの経営陣、次に監査・会計委員会に報告した。
この内部統制への取組は、新たな規制要件に対応するため、最近拡大された。ESRSの適用の一環として2024年に実施されたサステナビリティ報告に関する内部統制システムの具体的な評価を受け、本報告書「第3 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載されている通り、2025年に該当する統制フレームワークが導入された。監査は、内部統制プロセス及び重要な経営管理が正しく実施されているかを評価するために、グループ業務管理部門及び法定監査人の共同作業プログラムに基づき、両者によって調整される。
最後に、不正事案については、グループ倫理担当役員にシステム上報告されるとともに、内部統制とともに分析し、実施すべき体制の強化策を特定し、必要に応じて調査を行っている。これらは、定期的に経営陣、倫理・コンプライアンス委員会、及び監査・会計委員会が注意を向けている。
エ 財務・会計情報
財務・会計情報の品質及び信頼性を保証するため、当グループは、第一に会計原則・基準一式、及び会計・経営の統一報告システムに依拠し、これらは当グループの法定連結プロセス及び経営分析に使われている。経営分析は各部門の責任下で行われ、各部門が財務部門に報告する。
当グループの財務ポリシーを含む会計マニュアルでは、会計ルール・原則、及び当グループ内で適用される連結方法が定義され、さらに財務・会計報告用に、当グループ内で適用されるフォーマットが規定されている。当該マニュアルは、IFRSやその解釈上の変更に従って財務部門により定期的に改訂されている。
経営・会計報告は、独立しながら相互関係を保つ複数部門が、同一の方法・原則に倣い、それぞれの責任の下で作成している。
■ 部門の独立性は、補完的指標・データ、とりわけ部門の事業に具体的に関係する指標・データの活用を通じ情報と分析の強化を可能にしている。
■ 部門の相互関係は、データの体系的、定期的照合を通じて情報の信頼性管理を向上させる。
報告書は主に以下のものを含む。
■ 月次経営管理報告書は、「マンスリーフラッシュレポート(月次速報)」と呼ばれ、収益及び主要な財務指標、すなわち損益計算書、営業活動によるキャッシュ・フロー、純有利子負債及び承認済み投資総額に関する情報を提供する。
■ 四半期報告書は「経営管理レポート」と呼ばれ、損益計算書、貸借対照表及びキャッシュ・フロー報告書における主要な項目を詳述している。
■ 四半期の分散分析レポートは、経常的営業利益における変化のさまざまな構成要素を評価する。
これらの3つの報告書は、所定の年次日程表に従い各経営組織が作成する。これらの報告書は、各組織の最高経営責任者の監督下で作成された事業内容へのコメントが体系的に添えられており、その内容はグループレベルで統合され、地理的地域・事業別の内訳が示されている。
■ 連結会計用四半期報告書は報告主体別に作成されるが、それに加え、特に以下の内容を含む簿外の契約上の義務に関する情報の記述を要する(半年ごとに)。
- 燃料の購入
- 金融保証及びデポジット
- その他一切の契約上のコミットメント
会計上の連結計算書及び月次報告書は本社連結会計部門に報告される。当該部門は、連結データを準備し、結果の分析・コメント、予測と乖離した場合その特定及び説明、並びにかかる場合の予測修正を行う業務管理部と協力して作業を行う。これらの分析結果を明確にするために、グループ財務部門と連携して地理的地域やクラスター(国のグループ)の経営陣とのミーティングが毎月開催されている。
月次グループ業績運営委員会の一環として、財務部門が当年のローリングフォーキャストを体系的に説明する。その目的は、適用可能な場合において年次目標との乖離を特定し必要な対策を講じることである。
財務部門は、日常的な管理を通じて当グループの各子会社に対する会計方針及び会計原則の効果的な適用を確保する。最も複雑な会計基準及び新規基準の導入に関しては、トレーニング、強化されたサポート及び管理が提供されるか、又は財務部門によって直接処理される。これには、従業員の福利厚生(IAS19)、連結方法(IFRS10/11)、ラージ・インダストリー事業における重要な契約の分類、収益を認識するための方法(IFRS15/16)、及びデリバティブ商品(IAS32、IFRS7、IFRS9)に関連する会計基準、及び長期再生可能エネルギー購入契約(IFRS9、IFRS 10/11、IFRS16)に関するものが含まれる。
当該部門はまた、当グループの業務管理・コンプライアンス部門が遂行する監査にも依拠しており、定期的に連絡を取っている。
当グループは、決算の前提条件として気候変動リスクを考慮し、その潜在的な影響を財務諸表に織り込んでいる。特に、減価償却費及び償却費の算定に用いる有形固定資産の耐用年数の分析、資産の減損テストに関する見積り及び仮定の見直し、偶発損失引当金の額を決定するためのリスク評価などの決算手続を実施する際に、気候変動リスクを考慮している。
また、財務・会計情報に関する品質と信頼性は、最新かつ安全なグループ連結及びビジネス・インテリジェンス・ツールとともに、高パフォーマンスの取引システム(ERP - Enterprise Resource Planningのような)にも基づいている。これらのツールにより、財務・業務データを分析し、全従業員と経営陣に利用可能な形で表示されることが可能になる。
ERPのさらなる調和を目指したプロジェクトは、当グループの各事業に合わせた会計・財務フレームワークの定義に基づき継続している。
オ 統制措置のモニタリング
取締役会は、経営陣より受領する様々な四半期報告や、監査・会計委員会の作業報告書に基づき、それらの方策・原則に従って当グループの経営に対する統制を実施する(報告書、報告会等)。
経営陣は、最高経営責任者を中心に組織された定例会議を通じて、特にリスク管理に関する統制を実施する。
また、経営陣は、既存の報告書及び、以下の事項に依拠する。
■ 経営会議、とりわけセキュリティ及び関連事項の進捗に関する当グループ実績についての安全・産業システム部門からの報告
■ 財務部門及びグループ業務管理・コンプライアンス部門により実施された作業
■ 特定のコミットメント及び重要な問題につき、より厳格な管理を行うため設定された各グループ委員会が実施する勧告(これら委員会の役割及びメンバーについては下記のとおり)
上記の管理手法は、内部統制の質の向上・強化に必要な措置の実施とフォローアップ活動に各事業部門や経営陣が関与することで強化される。
| リスク委員会 本委員会の目的は、各クラスター、ワールド・ビジネス・ユニット及びワールド・ビジネスラインが、それぞれの責任範囲内でリスク管理アプローチを実施し、調整しなければならない場合に、支援と専門知識を提供することである。 本委員会は次の企業機能、すなわちグループ業務管理・コンプライアンス部門、法務部門、財務部門、広報部門、安全・産業システム部門、人事部門、持続可能な部門及び業務部門の代表者をまとめている。 年2回開催され、グループ事務局長及び戦略担当役員が出席のもと、最高経営責任者(CEO)が議長を務めている。これらの会議の目的は、主要なリスクを軽減するための優先的な措置の進捗状況を報告し、リスク管理の要約を作成し、グループの方向性を明確にすることである。当委員会はまた、特定の戦略的リスクについて、より綿密に検討する。 |
|---|
| 財務委員会 財務戦略委員会の目的は、当グループの財務ポリシーの有効性を検証し、提出された財務管理上の提案・提案を承認するとともに、定期的に見直しを行う当グループの財務方針を定める規程を承認することである。 同委員会には、最高経営責任者(CEO)の権限の下に、グループチーフ・フィナンシャル・オフィサー (CFO)、副チーフ・フィナンシャル・オフィサー、グループ財務・資金調達担当ディレクター及びコーポレート・ファイナンス担当ディレクターが参加している。 同委員会は年3回以上開催され、要請があれば必要に応じて開催される。 経営財務委員会は、当グループの財務管理に関する日常的な意思決定を行うとともに、戦略財務委員会に取引の仕組みを提案し、承認後の実行の確保を目的としている。 同委員会には、グループチーフ・フィナンシャル・オフィサー (CFO)、副チーフ・フィナンシャル・オフィサー、グループ財務・資金調達担当ディレクター及びコーポレート・ファイナンス担当ディレクターが参加し、委員会事務局によって補佐される。 同委員会は4週間ないし6週間ごとに開催され、議事録が最高経営責任者(CEO)に送付される。 |
| 資源・投資委員会(RIC) 資源・投資委員会の目的は、要請された投資を評価し承認を与えること、及び中長期的な契約履行、それにより必要となる人材、プロジェクトの環境負荷指標を評価し承認を与えることであり、特に投資決定の炭素への影響に注意が払われている。 会合は定期的に(通常は月1回)、各地域及びワールド・ビジネス・ユニットごとに開催される。 いずれの会合も、地域又は関係するグローバル・ビジネス・ユニット(GBU)を担当する経営陣が議長を務め、投資対象となるクラスター及び事業分野のディレクター、グループ財務部、工業部門、エンジニアリング&テクノロジー及びキャピタル・インプルメンテーション・グループ(CIG)の代表者が出席する。 当委員会の決定は経営陣の審査を受ける。 |
| 倫理コンプライアンス委員会 倫理に関し、当委員会の目的は、当グループの倫理プログラム(汚職及び行動規範からの逸脱防止のための行動の監視、及び短期・中期的な方向性の提案)を監督し、重大な逸脱があった場合には制裁措置を勧告することである。 より一般的なコンプライアンスの分野では、当委員会は、競争法、輸出管理、注意義務、個人情報保護など、事業固有ではないコンプライアンスの問題を監督する(毎年見直される)。 グループ業務管理・コンプライアンス部門、法務部門、持続可能な開発部門、人事部門、及び業務グループの代表者が出席し、少なくとも年に2回、又は必要に応じてより頻繁に開催される。 |
| デジタル・セキュリティ委員会 当委員会は、デジタル・セキュリティの戦略的方向性を検証し、当グループの特定のプロジェクト(産業IT、デジタルイノベーション、秘密情報又は個人若しくは健康データの漏洩の監視等)の運営の進捗を確保する責任を負う。 デジタル・IT事業を統括する執行委員会の委員長の下、デジタル&IT部門、デジタル・セキュリティ部門、産業管理部門、及びグループ業務管理・コンプライアンス部門の代表者が参加する。当委員会は、年3回開催され、状況に応じて必要がある場合には臨時で招集されることもある。 |
| 産業安全委員会 当委員会の目的は、産業リスク管理を監督し、主なアクションの進捗を監視することである。 当委員会は、各グループ産業部門の代表者、当グループの安全ディレクター、エンジニアリング&テクノロジー・グローバルビジネスユニットの代表者及びイノベーション&テクノロジー部門の代表者並びに在宅医療グローバルビジネスユニットの代表者で構成される。執行委員会のメンバーが委員長となり、年間6~8回開催する。 |
| E-ENRISK委員会 この委員会の目的は、当グループの子会社が実施するエネルギー・気候戦略について、見直しを行い、指導・提言を行うことにある。 毎月、ラージ・インダストリー事業のワールド・ビジネスライン及び当グループの戦略機能を統括する執行委員会のメンバー、ラージ・インダストリー事業のワールド・ビジネスラインのヴァイス・プレジデント、エネルギー担当ディレクター、グループ財務・資金調達担当ディレクター、組織・会計方法担当ディレクター、サステナビリティ担当 ・プレジデント、中国産業担当ディレクター、及び国際エネルギー専門家が一堂に会する。会議の議事要旨は、すべての執行委員会メンバーに送られる。 |
| FoiK委員会 「First-of-its-Kind」委員会(FoiK)の目的は、社内及び社外顧客向けに、産業生産部門における新たな技術的ソリューションの採用を検討、評価、承認することにある。その趣旨は、ソリューションの承認プロセスを正式化するとともに監視体制を強化することで、新たな技術的ソリューションの導入に伴うリスクを確実に特定し、軽減することにある。 本委員会の委員長は、エンジニアリング&テクノロジー部門を統括するグループ・ヴァイス・プレジデントが務める。委員会には、研究開発、プロセス安全、知的財産、及び大型産業ワールド・ビジネスラインの各責任者、並びにエンジニアリング&テクノロジー部門の代表者が参加する。また、検討するプロジェクトに応じて、ビジネスラインの関係者や関連する技術専門家も招かれる。 委員会は月1回開催され、プロジェクトを審査し、決定事項を記録する。 |
(4)その他の補償制度
当グループは、大手保険会社との国際的な保険プログラムを通じて主要なリスクをカバーしている。これは特に、対物損害、民事責任、環境責任、サイバーリスク、会社役員の民事責任などに関するものである。最も大きな2つの保険プログラムの詳細は以下の通りである。
ア 物損及び事業の中断
当グループの対物事故及び事業の中断については、当グループが事業を展開する各国において付保している対物及び災害補償保険によってカバーされている。これらの保険契約の大半は国際プログラムに統合されている。
これらの保険契約は一般的に「オールリスク担保」型で、保険の対象分野には火災、落雷、水害、爆発、破壊行為、衝撃、機器故障、盗難が含まれ、また保険額は限定的であるが国によっては自然災害もカバーされている。
損害賠償請求に伴う事業の中断については、大半の製造施設に付保されている上記の保険でカバーされている。事業中断保険の保険期間は6か月ないし24か月である。免責金額は、施設の事業に関連付けられている。保険会社は、リスク回避を目的として、主な産業施設を定期的に訪問している。
イ 民事責任
民事責任に関し、子会社は、事業(事業リスク)及び製品(製品リスク)に起因する第三者への損害をカバーする現地責任保険に加入している。各子会社の保険額は特にその売上高及びその動きに左右される。
現地保険に加え、当グループは、フランスで契約した企業包括賠償責任保険によって、当社組織及びその子会社を対象として事業のすべてによる第三者への損害賠償を包括的に補償している。当グループの保険契約は、環境への悪影響、生態系への害、環境損害もカバーされている。
保険でカバーされる総額は5億ユーロを超える。保険は重複する複数の保険種目の基に成立していて、それぞれの種目は一定の額にて複数の保険会社がリスクを分担するように引き受けられている。最初の種目を超えると、その上位の種目が下位の種目を超えたリスクを引き受ける。
ウ 再保険会社
当グループは、財産損害及び事業中断リスクの一部を、キャプティブ再保険会社を通じて管理している。同社は、また、当グループの民事責任及び輸送貨物補償にも参加している。2025年以降、同再保険会社は当グループの従業員を対象とした生命保険リスク(健康保険及び生命保険プラン)にも関与している。
このキャプティブ再保険会社は、2025年度に、損害保険の保険金請求について、年間で最大額5100万ユーロまでの請求をカバーし、請求あたりの上限額(サブリミット)は保険金請求の性質に応じて調整される。これを超える額については、リスクは第三者の保険会社に移転する。当該保険会社は、監督当局により承認されたキャプティブ・マネージャーにより運営されている。
(5)注意義務計画 (Duty of Vigilance)
ア 法律の概要
親会社及び指示を行う会社の注意義務(duty of vigilance)に関する2017年3月27日付のフランス法第2017-399号(以下、「注意義務法」)は、フランス国内で5,000人以上の従業員を雇用する親会社、又はフランス国内及び海外で10,000人以上の従業員を雇用する親会社が、注意義務計画を策定し、これを効果的に実施する義務を導入した。フランス商法L225-102-1条に従って、この計画には、当グループとその子会社、及び当社と商業上の関係が確立しているサプライヤーや協力会社の活動に起因する「リスクを特定し、人権と基本的自由、人の健康と安全、環境への深刻な影響を防止するための合理的な注意措置」を含まなければならない。この義務は5つの手段に基づいている。
■ リスクマッピング(識別、分析、優先順位付け)
■ 子会社、サプライヤー、協力会社の状況を定期的に評価するための手順
■ リスクを軽減したり、深刻な影響を防ぐために適切な措置をとること
■ 潜在的又は実際のリスクの報告を収集する通報・メカニズムを備えること
■ 実施した施策をフォローアップし、その効果を評価するためのモニタリングスキーム
当社は、以下のとおり、注意義務計画を開示することにより、これらの法的要件を遵守する。
■ 本報告書第3の「2 サステナビリティに関する考え方と取組」が対応する項目についての各課題に対する異なるアプローチについての説明
■ 本項エにおける、2025年の注意義務計画の効果的な履行について報告書
当社は、毎年、注意義務計画を当グループウェブサイト(https://www.airliquide.com/sustainable-development/extra-financial-performance/vigilance-plan)においてそれぞれ更新して開示している。
本注意義務計画は、エア・リキードSA及び全ての当グループの子会社に適用がある。
イ 注意義務のガバナンス
2025年以来、注意義務部門は、グループ雇用法・コンプライアンス・注意義務担当チーフ・リーガル・オフィサーの責任の下、エア・リキードの注意義務アプローチの実施を監督する。同部門はグループ法務保険部門の一部であり、執行委員会のメンバーであるチーフ・フィナンシャル・オフィサーが監督する。同部門の主たる任務は、以下により構成される。
■ 関係各部門にデュー・ディリジェンス・プロセスの実施を主導及び調整すること
■ 注意義務計画を起案し、法的要件と当グループのステークホルダーの期待に合致することを確保すること
デュー・ディリジェンスの取組の展開は、当社内の複数部門の専門性に基づいて行われており、具体的には、調達部門、業務管理&コンプライアンス部門(特に倫理部門、リスク管理部門、セキュリティとデジタル・セキュリティ部門、注意義務担当部門を含む)、持続可能な開発部門、人事部門、安全・産業システム部門が担っている。
これらの部門は、注意義務の対象事項について直接責任を負い、それぞれが運用責任者を含む運営組織を有し、指標を用いることで、実施された行動とその成果をモニタリングしている。
倫理・コンプライアンス委員会は、注意義務の内部統制部門である。この委員会には、業務管理&コンプライアンス部門、法務保険部門、及びグループ執行委員会のメンバー2名(グループ人事部門ヴァイス・プレジデント及びグループ・ヴァイス・プレジデント兼事務局長で、ヘルスケア事業、サステナビリティ、業務管理及びエア・リキード取締役会対応統括)が出席する。グループ倫理担当役員は委員会事務局として参加する。委員会は、少なくとも年2回、必要に応じてさらに頻度を上げて会合を開いている。2025年、委員会は注意義務に関する各部門の進捗状況のレビューを継続した。
環境・社会委員会は、環境及び社会的責任の問題を専門とする取締役会の専門委員会の一つである。この委員会は5名のメンバーで構成され、年に3回以上開催される。2025年には、注意義務計画を検証し、その履行を監督した。
ウ 相互参照表
フランス商法L.225-102-1は、注意義務計画とその効果的履行に関するコミュニケーションは、サステナビリティ・ステートメントにおいて参照できることとなった。このことを踏まえ、下記の参照表は、本報告書のサステナビリティ関連情報内での対応策に関する情報の記載個所を示すものである。サステナビリティ関連情報への参照に基づき注意義務計画のスコープに含まれる情報は、サステナビリティの文脈における悪影響に関するものに限定されている。ポジティブな影響、リスク及び機会に関係する情報は、除外されている。本相互参照表は、当社のサステナビリティ・デュー・デリジェンス手続に関連するCSRDの開示要件にも対応するものである。
| ステークホルダーへのエンゲージメント | |
|---|---|
| 株主へのエンゲージメント | 第3 2(1)一般的な開示 |
| 従業員へのエンゲージメント | 第3 2(3)社会的事項に関する情報 |
| バリューチェーンの労働者との協議等 | 第3 2(3)社会的事項に関する情報 |
| 患者との協議等 | 第3 2(3)社会的事項に関する情報 |
| リスクマッピング | |
| 総論 | 第3 2(1)一般的な開示 |
| 人権及び基本的自由 | 第3 2(3)社会的事項に関する情報 |
| 健康と安全 | 第3 2(3)社会的事項に関する情報 |
| 環境 | 第3 2(2)環境に関する情報 |
| 通常の評価手続 | |
| 人権及び基本的自由 | 第3 2(3)社会的事項に関する情報 |
| 健康と安全 | 第3 2(3)社会的事項に関する情報 |
| 環境 | 第3 2(2)環境に関する情報 |
| その他 | 第3 2(3)社会的事項に関する情報 第3 2(4)ガバナンス関連情報 |
| リスクの低減と深刻な影響の予防 | |
| 人権及び基本的自由 | 第3 2(3)社会的事項に関する情報 第3 2(4)ガバナンス関連情報 |
| 健康と安全 | 第3 2(3)社会的事項に関する情報 |
| 環境 | 第3 2(2)環境に関する情報 |
| 内部通報制度とアラートの収集 | 第3 2(3)社会的事項に関する情報 第3 2(4)ガバナンス関連情報 |
| 対応策のモニタリング及び有効性評価 | |
| 人権及び基本的自由 | 第3 2(3)社会的事項に関する情報 |
| 健康と安全 | 第3 2(3)社会的事項に関する情報 |
| 環境 | 第3 2(2)環境に関する情報 |
エ 2025年の実効性報告書
2025年、エア・リキードはダブル・マテリアリティ評価の一環として、注意義務に関するリスクマッピングの見直しを実施した。その結果、当グループに影響を及ぼす外部要因や事業モデルに重要な変化は認められなかった。したがって、新たにステークホルダーから提起された事項がないことも踏まえ、注意義務に関するリスクマッピングにおいて特定された手法及び顕著なリスクに影響を及ぼすようなトリガー事象は存在しないと判断した。このため、エア・リキードは2024年の分析結果を維持しており、その手法及び結論については、「第3 2(1)一般的な開示」以降に記載されている。
人権に関して、エア・リキードは2025年に初めて生活賃金の評価を実施し、非政府組織であるFair Wage Network及びWageIndicatorの基準と照らして、従業員の総報酬(基本給、経常的な変動報酬及びその他の固定手当)を比較した。その結果、2025年12月31日時点で、グループの従業員の100%(1)が十分な水準の賃金を受け取っていることを確認している。さらに、エア・リキードは、執行委員会のメンバーが委員長を務め、3つの地域及び人事部門の代表で構成されるダイバーシティ&インクルージョン委員会を設置した。これは、優先事項の設定を通じてダイバーシティ&インクルージョンのロードマップの展開を支援するためである。当グループは、現場で働く人々のための包摂的な職場環境の枠組を整備し、適切な個人用保護具の提供に加え、男女別の更衣室や衛生設備の整備を進めている。また、「管理職及び専門職」における女性比率は2020年以降継続的に上昇し、2025年には33.8%に達しており、この動きは採用におけるバイアスの低減及び人材の定着を促進することを目的とした各地域の行動計画によって支えられている。当グループは、すべての事業にわたり、この多様性の反映を一層強化するための取組を継続していく方針である。
(1) 分析の対象範囲からは、報酬の一部に関する適格要件のため勤続期間が12か月未満の従業員、人事システムWorkdayの対象外となっている事業体の従業員、長期間就業していない従業員、駐在員、職業訓練生、及び昇給が法令により規律されている労働組合加入従業員は除外されている。
安全は、エア・リキードの基本的価値の一つである。当グループにおいて従業員の安全確保のために実施された予防措置により、エア・リキードの従業員及び臨時雇用者の休業災害発生率は44%低減し、2025年には0.4となった。同様に、協力会社の休業災害発生率も2025年に改善が続き、0.7まで低下した。この実績を長期的に維持し、休業災害の発生件数をさらに削減していくため、当グループは引き続き警戒を維持し、意識向上に取り組むとともに、安全文化を一層強化するために必要なあらゆる予防措置を実施している。実際、2025年には、各子会社は「Process Risk Discovery」ワークショップの展開及び「Stop Work Authority」イニシアチブの推進を通じて安全文化を強化し、危険な状態や行動が認められた場合には、すべての従業員が作業を中断できるよう権限を付与している。
気候変動の緊急性を踏まえ、エア・リキードは、2024年に策定され「第3 2(2)環境に関する情報」に掲載されている気候変動緩和に向けた移行計画の実施を継続している。当該計画では、カーボンニュートラルに向けた移行の全体像を示すとともに、温室効果ガス排出の削減に向けた軌道及び設備・産業オペレーションの脱炭素化に向けた主要な施策を明確化している。2025年には、当グループのスコープ1及び2のCO₂排出量は、2020年の基準(2)と比較して13.0%減少した。2020年以降、CO₂排出量の絶対削減を毎年達成してきた結果、当初2025年としていた転換点を前倒しで達成している。また、エア・リキードは、気候変動に伴う物理的リスクに関する教育リソースを強化し、優先的に対応すべき気候リスク(洪水、火災、熱波等)に晒されている事業所向けの指針を含む啓発キットを整備した。さらに、2022年に特定された、年間50,000m³を超える水を取水し、Aqueduct 3.0ツールにより水ストレスが高い又は非常に高い、かつ乾燥した地域に所在する75の事業所すべてにおいて、水管理計画を文書化・導入し、2025年の目標を達成した。
(2) 排出量は、2020年以降の各年度について、CO₂排出量に重要な影響を及ぼす連結範囲の変更(増加及び減少の双方)を反映させるため、資産に係る排出量を通年ベースで考慮する形で再表示されている。
直接取引のあるサプライヤーの従業員に関して特定された顕著なリスクの予防及び低減は、「サプライヤーリスク」及び「リレーションシップ・マネジメント手続」並びに「サステナブル調達手続」に基づいている。「サプライヤーリスク及びリレーションシップ・マネジメント並びにサステナビリティ」担当チームは、各クラスター(国のグループ)及び各グローバル・ビジネス・ユニットにおける現地調達チームの専門担当者と連携し、その取組を推進している。さらに、エア・リキードは、あらゆる取引関係の開始に先立ち、サプライヤーがサプライヤー行動規範を遵守することを求めている。2025年には、年次のサステナビリティ・パフォーマンス評価及び行動計画キャンペーンを受けて、サステナビリティ上重要なサプライヤー685社のうち625社については、有効な評価が存在している。
当グループの倫理内部通報制度は、エア・リキードのすべてのステークホルダーが利用可能であり、通報の迅速かつ組織的な対応を可能にするとともに、エア・リキードの従業員による独立性・客観性・機密性を確保した対応が行われるよう設計されている。グループ内部通報方針は、通報対応のプロセス及び通報者保護の原則を定めている。健康、安全又はセキュリティに関する緊急事態や、最も重大な事故については、深刻度に応じた迅速な対応を確保するため、内部報告プロセスに基づいて処理される。個人データについては、権利行使の要請を収集するとともに、個人データの侵害の可能性を報告するための専用ツールが導入されている。さらに、ヘルスケア事業の文脈においては、医療従事者又は患者による製品関連のインシデントの報告を確実にするため、(医薬品に該当する製品については)医薬品安全性監視、(医療機器に該当する製品については)
医療機器安全性監視といった特定のプロセスが定められている。
4 【経営者による財政状態・経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)【経営者からのメッセージ】
不安定なグローバル環境の中で、エア・リキードはどのようにして長期的な戦略を維持しているのでしょうか。
ブノワ・ポチエ
私たちは、貿易の地域ブロック化、エネルギー環境の変化、そして加速する技術革新を特徴とする、深刻な再編のただ中にある世界に生きていることは否定できません。こうした状況を背景として、私たちは事業運営の在り方を進化させ、これまで以上に柔軟に対処する必要があります。
適応する力があるからこそ、私たちは新たな成長機会を捉え、現在の産業界を再編成している基盤的要素を最大限に活用することができます。こうした基盤的要素の中で最も重要なのは、プロセスのデジタル化、オペレーションの自動化、そして最終需要の電化です。
同時に、当社が定めた長期的な経営の方向性を堅持することも重要であると、私は強く信じています。当グループは進化を続けていますが、その進化は、これまで培ってきた歴史的な強みを基盤としています。すなわち、顧客プロセスに対する深い理解に裏打ちされた、有用かつ継続的に進化するイノベーション、主要な産業拠点に近接した強固な地域密着型の事業基盤、そして最も有望な市場に的確に注力することを可能にする多角的な事業モデルです。
堅固な事業基盤、明確な戦略ビジョン、そして高い環境適応力を備えることで、当グループは、その持てる力を最大限に発揮し、試練と同時に多くの機会を与える変化の時代の舵取りをしていきます。
2025****年における当グループの業績について、財務及びサステナビリティの観点からどのように評価していますか。
フランソワ・ジャコウ
2025年は、あらゆる側面において成功を収めた年であったと評価しています。中でも特筆すべきは、安全分野における当社の進展です。これは当社にとって誇るべき成果であると同時に、こうした業績を中長期的に持続していくために不可欠な要素でもあります。
より広い視点で見ると、当グループは過去最高水準の業績を達成しました。財務面では、売上成長率(+2%(1))、キャッシュ・フロー(+8%(2))、営業利益率20%超(前年比+100bps)と、主要な業績指標のいずれにおいても新たな高水準を記録しています。また、現在49億ユーロ(3)に達している投資バックログは、当グループの将来の成長見通しを一層力強いものとしています。
(1) 比較可能ベース。為替、エネルギー(天然ガスと電気)及び重要な連結範囲を除く変化
(2) 為替の影響を除く。
(3) 韓国(DIG Airgus統合)での2億ユーロの投資バックログを含む。
例えば、エレクトロニクス分野においては、複数の大型契約を背景に、アジア、欧州、米国で当グループは業界をリードするポジションを確立しています。脱炭素分野では、欧州における第2基目となる200MW規模の水素電解装置の建設をはじめ、数多くの大規模プロジェクトを着実に推進しています。また、DIG Airgasの買収を通じて、急成長する韓国市場において、当社はリファレンスプレーヤーとしての地位を確立しました。トランスフォーメーションに関する動きとして、その成果はすでに実現しており、オペレーションの効率性を大幅に向上させると同時に、顧客及び患者の皆様への提供価値の一層の高度化を実現しています。環境面では、2020年と比較してCO₂排出量を13%削減するとともに、2035年に向けた脱炭素の軌道を維持しています。
端的に申し上げて、当グループの事業基盤は極めて堅固であり、さらに強くなっています。この記録的な業績は、何よりもまず、高い決意とコミットメントをもって取り組んできた当社のチームの貢献によるものです。ここに、心より感謝の意を表します。
ブノワ・ポチエ
これらの卓越した業績は、2022年に始動した当社の戦略フレームワークの重要性を改めて示すものです。戦略プランADVANCEでは、財務パフォーマンスとサステナビリティへのコミットメントを両立させるという明確な目標を掲げてきましたが、そのアプローチは着実に成果を上げています。設定した目標は達成され、収益性とサステナブルな成長を支えるためのオペレーション上の規律付けも一段と強化されました。同時に、当グループは、継続的な投資方針と強力なイノベーション・アプローチを通じて、産業の脱炭素化、戦略的に重要な半導体分野、そしてヘルスケアシステムの変革への貢献を加速させました。こうした成果にとどまらず、戦略プランADVANCEは、業績の向上と社会への前向きな貢献を両立し得ることを、明確に示しました。
当社グループの戦略において、カーボン軌道はどの程度中核的な位置づけにありますか。
ブノワ・ポチエ
取締役会の主導のもと、当社はカーボン軌道をエア・リキードの戦略の中核に据えています。これは、当グループのイノベーションのアプローチを支える重要な柱の一つです。取締役会は、低炭素ソリューションに特化したプログラムを通じて研究開発チームとの対話を重ね、その対象範囲を適切に評価しています。また、このカーボン軌道は投資判断にも完全に組み込まれており、新たな産業プロジェクトが当社の脱炭素に関する目標と整合することを確認しています。こうした取組は、明確な枠組によって管理される一方で、再生可能エネルギーの利用可能性やEU排出量取引制度(ETS)といった規制枠組など、環境及び市場の現実を踏まえた実務的な運用がなされています。さらに当社は、自社の事業用資産にとどまらず、脱炭素分野における実需が存在する顧客に対し、経済合理性を備えたエネルギー移行を後押しするファシリテーターとしての役割も果たしています。こうした姿勢は、脱炭素に特化した当社の投資バックログにも反映されています。
現在の事業環境において、イノベーションはどの程度、引き続き成長の主要な原動力となっていますか。
フランソワ・ジャコウ
イノベーションは、不確実性に対する最良の対応策です。それは、揺るぎない前向きな姿勢と、一歩前に踏み出す意志を体現するものだからです。当社のアプローチは、三つの原則を柱としています。第一に、技術的専門性を最大限に活かし、製品及びプロセスを継続的に向上させることで、事業の基盤を着実に強化する。第二に、市場の変化を先取りし、対応を加速させることで、革新的なソリューションを提供し、迅速に市場へ投入する。そして最後に、「有用性」についてです。すなわち、顧客及び患者の皆様に対して具体的な価値を創出すると同時に、社会全体に前向きな影響をもたらすことです。
ブノワ・ポチエ
イノベーションは、当グループの事業活動を支える中核的な要素です。そのことは何よりも、宇宙、超伝導、半導体市場向けの新分子といった将来性の高い分野における最先端技術の開発を通じて、明確に示されています。当社のイノベーションは、CO₂回収、プロセスの電化、ヘルスケア分野にも広がっており、技術を通じて、当社がこのような時代において直面する課題への対応力を高めています。さらに、いうまでもなく、水素分野における60年以上の知見とパイオニア精神を基盤に、大規模な低炭素水素プロジェクトの展開を継続しています。
純粋な技術革新にとどまらず、当グループは、人工知能といった重要な技術開発を取り込みながら、業務の在り方そのものを変革するなど、全社のあらゆるレベルでイノベーションを推進しています。こうした取組こそが、当社が一歩先を行くことを可能にしているのです。
2026****年に向けた主な課題と、それにどのように対応していくのかについて、どのようにお考えですか。
フランソワ・ジャコウ
当社が属する製造業セクターは、現在、複数の大きな変革の途上にあります。具体的には、グローバル経済における中国の台頭、特に米国を中心とした主権の強化を目的とするリショアリングの動き、人工知能の急速な普及、そして不可欠となっているエネルギー転換です。こうした背景から、足元の見通しは緩やかな成長にとどまると見られるものの、当社は、顧客が直面するこれらの変革から新たな成長機会が生まれつつあると確信しています。それらの機会を的確に捉え、当社独自の成長モメンタムを構築していくことは、我々自身にかかっています。
そのため当社は、複数の柱から成る戦略に基づき行動しています。第一の柱は、生産能力の活用を通じて既存の事業資産の価値を最大限に引き出すことです。第二の柱は、製造、エネルギー、テクノロジー、デジタルといった分野における転換を支援する当社の能力を活かすことです。これにより、半導体、バッテリー、スマートエネルギーシステム、宇宙関連技術といった有望な市場への投資を進めています。そして最後の柱が、韓国におけるDIG Airgasのような、的を絞った買収を通じて、重点地域における当社の競争基盤を一層強化していくことです。
同時に、当社グループでは、2年前に開始したトランスフォーメーションの取組を引き続き推進し、組織の柔軟性を一層高めています。その一環として、産業面及び商業面のオペレーションのさらなる最適化を進めるとともに、業績を重視する企業文化の強化にも取り組んでいます。
ブノワ・ポチエ
当社の課題は、不安定さを増し、かつ急速な技術進歩が進展する経済環境の中で、引き続き成長を実現していくことです。そのために、当社の成長の道筋は二つの重要な道具、すなわちイノベーションと選別的な投資方針に基づいています。イノベーションはこれまでも当グループにとって価値創造の源泉であり、とりわけ技術的主権の重要性が高まる現在において、その重要性はいっそう増しています。こうしたイノベーションを産業の現場で現実のものとするためには、将来性の高い市場や技術分野、とりわけエネルギー転換分野における大規模プロジェクトを実現するための投資も同様に不可欠です。この分野では、事業環境が変化し、緊張も高まっていますが、課題の重要性は依然として大きく、脱炭素に向けた当社の目標もまた、たとえその実現に至る道筋が変化を続けているとしても、変わることはありません。当社のチームの強いコミットメント、そして信頼と忠誠を寄せてくださっている株主の皆様のご支援に支えられ(ここに心より感謝申し上げます)、当社は今後も、これまで以上に、強い決意、プラグマティズム、そして一貫性をもって、未来に向けた準備を進めていきます。
(2)【損益計算書】
① 売上
| 売上 (百万ユーロ) | 2024 | 2025 | 2025/2024 (公表ベースでの変化) | 2025/2024 (比較可能ベースでの変化) |
|---|---|---|---|---|
| ガス&サービス | 25,810 | 26,085 | +1.1%(b) | +2.0%(c) (d) |
| エンジニアリング&テクノロジー(a) | 1,248 | 855 | 該当なし | +2.0%(c) |
| 総売上高 | 27,058 | 26,940 | -0.4% | +2.0%(d) |
(a) 2025年1月1日、グローバル市場&テクノロジー及びエンジニアリング&建設をエンジニアリング&テクノロジーに統合する。ただし、海事及びバイオガス事業は工業事業に移管される点が主な例外となる。2024年の売上高は、グローバル市場&テクノロジー及びエンジニアリング&建設の公表売上高の合計に相当する。下記(6)「パフォーマンス指標」を参照。
(b) 公表された変動率は、2025年1月1日付での特定のグローバル市場&テクノロジーの移管を反映して修正されていない2024年の公表売上高に基づいて算出されている。下記(6)「パフォーマンス指標」を参照。
(c) この比較可能な成長率には、2025年第1四半期における特定の事業のグローバル市場&テクノロジーから工業事業への内部移管に伴う範囲の影響は含まれてない。下記(6)「パフォーマンス指標」を参照。
(d) アルゼンチン(ハイパーインフレ)からの限定的な寄与を含む。下記(8)「見通し」の表を参照。
| 四半期別の売上 (百万ユーロ) | Q1 2025 | Q2 2025 | Q3 2025 | Q4 2025 |
|---|---|---|---|---|
| ガス&サービス | 6,831 | 6,479 | 6,386 | 6,389 |
| エンジニアリング&テクノロジー(a) | 198 | 215 | 212 | 230 |
| 総売上高 | 7,028 | 6,694 | 6,599 | 6,619 |
| 2025/2024 グループ公表ベースの変化 | +5.7% | -0.5% | -2.4% | -4.3% |
| 2025/2024 グループ比較可能ベースの変化 | +1.7% | +1.9% | +1.9% | +2.5%(b) |
| 2025/2024 ガス&サービス(比較可能ベース) | +1.8% | +1.8% | +1.9% | +2.5%(b) |
(a) 2025年1月1日に、グローバル市場&テクノロジー及びエンジニアリング&建設をエンジニアリング&テクノロジーに統合。ただし、海事及びバイオガス事業は工業事業に移管される。下記(6)「パフォーマンス指標」を参照。
(b) アルゼンチンからの限定的な拠出(ハイパーインフレ)が含まれる。下記(8)「見通し」の表を参照。
a. 当グループ
2025年の当グループ売上高は269億4000万ユーロとなり、2024年と比較して+2.0%(1)の成長を記録した。 グループの公表売上高は、0.4%の微減となった。これは、3.2%のマイナス為替影響(その約半分は米ドル安によるもの)を受けたものの、0.8%のプラスエネルギー影響によって相殺されたためである。重要な連結範囲はなかった。
当グループの組織変革の一環として、2025年1月1日付で、エンジニアリング&建設事業とグローバル市場&テクノロジーが統合され、新たなエンジニアリング&テクノロジーが発足した。共通のビジョンと目標のもと、単一の経営体制の下で、この新組織は、規模の経済効果と相互補完的な専門知識を活用し、より統合されたイノベーションサイクルを提供することで、当グループの事業パフォーマンスを強化し、その成長に貢献することを目指している。 一部の事業(主にバイオメタン及び海事関連)は、グローバル市場&テクノロジーから工業事業へ移管された。
2025年のエンジニアリング&テクノロジー(2)の連結売上高(外部売上)は8億5500万ユーロ(前年比+2.0%増)となり、特に大型産業及びエレクトロニクス分野におけるグループの投資プロジェクト向けの内部プロジェクトは力強く成長している。
b. ガス&サービス
ガス&サービスの収益は、2025年に260億8500万ユーロに達し、比較可能ベースで2.0%増加した。
ガス&サービス事業の公表売上高は、1.1%増加した。-3.3% の為替のマイナスの影響を受けたものの、+0.9% のエネルギーのプラスの影響によって相殺された。対象範囲に重大な変更はなかった。
売上高は、すべての地域及びすべてのビジネスラインで増加した。比較可能ベースでは、工業事業の売上高は+1.9%(2)(3):非常に堅調な価格効果(+2.9%)と堅調なガス販売量に支えられたものの、米国におけるハード製品の販売量減少の影響を受けた。ラージ・インダストリー事業の売上高は+0.7%増加した(3)。これは、米国、韓国、中国における新規の水素及び産業用ガスの販売量の寄与が、アジアその他の地域及び欧州での需要減を相殺したためだ。エレクトロニクス事業(+1.2%)では、2024年に過去最高水準を記録した後の設備・据付工事(Equipment & Installation)の売上高の正常化が、その他の事業における力強い成長(+5.8%)を覆い隠した。 最後に、産業動向とは無関係に成長を続けるヘルスケア事業は、欧州及びラテンアメリカにおける在宅医療、並びに南北アメリカにおける医療用ガスに牽引され、売上高が持続的な増加(+5.0%)を記録した。
(1) アルゼンチンからの限定的な寄与(ハイパーインフレ)を含む。下記(8)「見通し」の表を参照。
(2) この比較可能な成長率には、2025年第1四半期における特定のGM&T事業の工業事業への内部移管に伴う範囲の影響は含まれていない。下記(6)「パフォーマンス指標」を参照。
(3) 南北アメリカにおけるラージ・インダストリー事業と工業事業間の資産の内部移転による影響を除いた数値。下記(6)「パフォーマンス指標」を参照。
(ア)地域別部門別売上
| 地域別売上 (百万ユーロ) | 2024 | 2025 | 2025/2024 (公表ベースでの変化)(a) | 2025/2024 (比較可能ベースでの変化)(b) |
|---|---|---|---|---|
| 南北アメリカ | 10,321 | 10,351 | +0.3% | +3.9%(c) |
| 欧州、中東及びアフリカ(a) | 10,186 | 10,616 | +4.2% | +0.6% |
| アジア・太平洋 | 5,303 | 5,118 | -3.5% | +1.0% |
| ガス&サービス合計 | 25,810 | 26,085 | +1.1% | +2.0%(c) |
| ラージ・インダストリー事業 | 7,120 | 7,110 | -0.1% | -0.3%(d) |
| 工業事業 | 11,906 | 12,312 | +1.9% | +2.4%(d) |
| ヘルスケア事業 | 4,274 | 4,378 | +2.4% | +5.0% |
| エレクトロニクス事業 | 2,510 | 2,465 | -1.8% | +1.2% |
(a) 公表された変動率は、2024年の公表売上高に基づいて算出されたものであり、2025年1月1日付けでのグローバル市場&テクノロジーの特定の事業の移管による影響は反映されていない。下記(6)「パフォーマンス指標」を参照。
(b) この比較可能な成長率には、2025年第1四半期における特定の事業のグローバル市場&テクノロジーから工業事業への内部移管に伴う範囲の影響は含まれていないが、2025年の当該事業の成長に伴う寄与は含まれる。下記(6)「パフォーマンス指標」を参照。
(c) アルゼンチン(ハイパーインフレ)からの限定的な寄与を含む。下記(8)「見通し」の表を参照。
(d) 米州におけるラージ・インダストリー事業と工業事業間の資産の内部移転の影響は除外している。下記(6)「パフォーマンス指標」を参照。
(イ)地域別の概況
i. ガス&サービス
南北アメリカ
南北アメリカでは、ガス&サービス部門の売上は2025年に103億5100万ユーロに達し、前年比+3.9%(1)(2)となった。ラージ・インダストリー事業(+6.6%(3))は、大型空気分離装置の稼働拡大と、ガルフコーストのパイプライン網における新たな水素販売の恩恵を受けた。工業事業の売上高の増加(+2.9%(2)(3))は、価格高騰の影響(+4.1%)と堅調なガス販売量に支えられたものであり、ハード製品の販売量は年間を通じて軟調に推移した。ヘルスケア事業の成長(+10.6%)は引き続き非常に力強い成長が見られた。エレクトロニクス事業(-2.5%)では、2024年の過去最高水準に達した後の設備・据付工事販売の正常化により、その他の事業(+8.5%)における力強い成長が隠れた。
南北アメリカにおけるガス&サービスの2024年収益(総額103億5100万ユーロ)
| ラージ・インダストリー事業 | 15% |
|---|---|
| 工業事業 | 69% |
| エレクトロニクス事業 | 5% |
| ヘルスケア事業 | 11% |
■ ラージ・インダストリー事業の2025年の売上高は6.6%(3)増加した。この成長は、2024年2月に稼働を開始した大規模な空気分離装置の生産拡大、及び長期契約に基づくガルフコーストのパイプライン網での新規水素販売によって支えられた。また、コジェネレーション設備で生産される電力及び蒸気の販売増加も、米国及びカナダにおける成長の原動力となった。
■ 工業事業の売上高は2025年に前年比2.9%(2)(3)増加した。この成長は、+4.1%という価格上昇効果に支えられており、この効果は年間を通じて徐々に強まり、第4四半期には+5.2%に達した。ガス販売量は堅調に推移したが、ハード製品の販売量は年間を通じて低調なままだった。販売量は、建設、エレクトロニクス事業・組立、及び製薬市場で増加した。最後に、米国、カナダ、ブラジルにおける事業買収の統合も成長に寄与した。
■ ヘルスケア部門の売上高は+10.6%という非常に力強い成長を記録した。米国では、医療用ガスの価格が在宅医療及び病院において急上昇した。これは、残存酸素時間を介護者に直接表示するデジタルゲージを備えた革新的なシリンダー「Intelli-OX」の展開に支えられたものである。ラテンアメリカでは、在宅治療を受ける患者数が増加し続け、売上成長を支えた。
■ エレクトロニクス事業の売上高は2025年に2.5%減少したが、設備・据付工事売上を除くと8.5%の堅調な成長を記録した。実際、キャリアガス及び高利益率の先端材料の売上高が2桁増となったものの、より景気循環の影響を受けやすく、2024年の過去最高売上高から正常化しつつある設備・据付工事売上の大幅な減少を相殺するには至らなかった。
南北アメリカ ■ エア・リキードは、米国最大手の製油所2社への水素供給に関する新たな契約を締結した。当グループは、既存のインフラを活用し、約5000万米ドルを投じて、メキシコ湾岸のパイプライン網の戦略的アップグレードを行うとともに、既存のパイプライン内に新たな圧縮・配給設備を直接統合する予定である。 ■ エア・リキードは、米国ルイジアナ州において、空気分離装置の近代化及び既存ネットワークへの接続のために、最大2億米ドルを投資する。この投資には、メキシコ湾岸における約50キロメートルのパイプライン網の拡張も含まれる。これらの設備更新は、ダウ社との長期契約更新の一環であり、これによりエア・リキードはルイジアナ州の産業成長をさらに支援することが可能となる。 ■ エア・リキードは、世界有数の半導体メーカーの敷地内に、米国で新たなキャリアガス生産設備を建設するため、5000万米ドルを超える投資を行うと発表した。この戦略的投資は、米国半導体市場の急速な成長を支援するというエア・リキードの長期的な取り組みを強調するものであり、この戦略的産業における主要サプライヤーとしての同社の地位を強化するものである。
(1) アルゼンチンからの限定的な貢献(ハイパーインフレ)を含む。下記(8)「見通し」の表を参照。
(2) この比較可能な成長率には、2025年第1四半期に一部のGM&T事業が工業事業へ内部移管されたことによる範囲の影響は含まれていないが、2025年の当該事業の成長に伴う寄与は含まれる。下記(6)「パフォーマンス指標」を参照。
(3) 南北アメリカにおけるラージ・インダストリー事業と工業事業間の資産の内部移転による影響を除く。下記(6)「パフォーマンス指標」を参照。
欧州
欧州・中東・アフリカ(EMEA)地域の売上高は、2024年には106億1600万ユーロとなり、前年比0.6%増(1)となった。ラージ・インダストリー事業の売上高は-1.4%と減少したが、コジェネレーションユニットの売上を除くと+0.4%の微増となった。 工業事業の売上高は、堅調な価格効果(+2.0%)と、液体CO₂を除くガス販売量の底堅さに支えられ、0.5%(1)増加した。ヘルスケア部門、特に在宅医療及び特殊原料分野では、売上高の伸びが+3.6%と非常に堅調に推移した。
欧州におけるガス&サービスの2025年収益(総額106億1600万ユーロ)
| ラージ・インダストリー事業 | 36% |
|---|---|
| 工業事業 | 33% |
| エレクトロニクス事業 | 2% |
| ヘルスケア事業 | 29% |
■ ラージ・インダストリー事業の売上高は1.4%減少したが、わずかに増加したコジェネレーション設備からの売上を除くと+0.4%の微増となった。実際、これらの設備からの売上は、年初からベネルクス諸国における蒸気需要の低迷により、大きな打撃を受けた。水素販売は、特に第4四半期にサウジアラビアで成長が見られたものの、2024年末に顧客のメンテナンスに伴う操業停止の影響を受けたため、地域全体で減少した。産業用ガス販売は年間を通じて増加し、特に南アフリカ及び第4四半期のイタリアで顕著であった。欧州の鉄鋼・化学業界における顧客需要は低水準にとどまったが、製油所向け水素販売量は、主に中東地域において年間を通じて増加した。
■ 2025年の工業事業は+0.5%(1)増加した。価格効果(+2.0%)は2024年と比較して大幅に強まり、シリンダーガス価格の上昇に加え、上半期にはエネルギーコストの変動に連動したバルクガス価格の上昇が寄与した。さらに、液化CO₂を除き、ボンベガス及びバルクガスの販売量は堅調に推移した。需要が低迷する中、販売量は主に公益事業(水道、廃棄物、電力)及び航空宇宙セクターで増加した。
■ 2025年のヘルスケア事業の売上高は3.6%増加し、下半期には+4.3%の伸びを記録した。在宅医療は、特にドイツとポーランドにおける糖尿病、睡眠時無呼吸症候群、及び近隣ケアの患者数の増加に支えられ、成長を続けた。特殊原料の売上も堅調な伸びを示した。
| 欧州、中東及びアフリカ(EMEA) ■ オランダにおける大規模電解装置プロジェクト エア・リキードは、オランダのロッテルダム港において、200MWの電解装置「ELYgator」の建設を開始したと発表した。同グループは、この電解装置の建設、所有、運営に5億ユーロ以上を投資し、特に長期契約に基づきトータルエナジーズの産業プラットフォームへ供給を行う。本プロジェクトは、クリーン水素生産における同グループのリーダーシップを強化するものである。 ■ ドイツの大手半導体顧客向けキャリアガスプロジェクト エア・リキードは長期契約を獲得し、ドイツのドレスデンにある「シリコン・ザクセン」の中心地において、半導体業界の大手顧客へ高純度ガスを直接大量に供給することとなった。計画されている2億5000万ユーロ以上の投資は、エア・リキードにとって欧州のエレクトロニクス分野における過去最大規模の投資となり、同大陸におけるリーダーシップをさらに強化するものである。 ■ ドイツにおける買収 エア・リキードは2社の買収により、ドイツでの事業展開を継続している。これにより同グループは近隣ケア市場におけるプレゼンスを拡大している。新たに買収した企業は、東ドイツで最も人口密度の高い地域の一つであるザクセン州で事業を展開しており、同地域はベルリンとバイエルン州の間に位置し、同グループはすでに現地市場で強固な存在感を確立している。 |
|---|
(1) この比較可能な成長率には、2025年第1四半期にグローバル市場&テクノロジーの特定の事業を工業事業へ内部移管したことによる範囲の影響は含まれていないが、2025年のこれらの事業の成長に伴う寄与は含まれる。下記(6)「パフォーマンス指標」を参照。
アジア・太平洋地域
2025年のアジア太平洋地域の売上高は51億1800万ユーロで、前年比1.0%増となった。ラージ・インダストリー事業(+0.4%)では、中国における新規の空気ガス販売量及び韓国における水素販売の貢献が、同地域全体の需要低迷によって相殺された。2025年の工業事業の売上高は横ばい(-0.1%)だった。中国での売上高が2.6%増加したものの、アジアのその他の地域での業績の対照的な推移と、1.0%の下落という価格効果によって相殺された。エレクトロニクス事業の売上高は2025年に3.1%増加し、設備・据付売上を除くと6.1%増加した。これは特に、2025年に7つのキャリアガス生産ユニットの稼働が寄与したものである。
アジア・太平洋地域におけるガス&サービスの2025年収益(総額51億1800万ユーロ)
| ラージ・インダストリー事業 | 33% |
|---|---|
| 工業事業 | 29% |
| エレクトロニクス事業 | 35% |
| ヘルスケア事業 | 3% |
■ 2025年のラージ・インダストリー事業の売上は0.4%の微増となった。売上高は、中国における新規生産拠点の稼働拡大(特に2024年末に万華(Wanhua)から買収した拠点)及び、韓国の顧客KMCIへの長期契約に基づく追加の水素供給により押し上げられた。しかし、同地域における全体的な需要の低迷により、これらの新規供給量が売上成長に寄与した効果は相殺された。
■ 工業事業では、2025年の売上高は横ばい(-0.1%)だった。低インフレ環境下において、価格効果(-1.0%)は、中国におけるヘリウム販売価格の急落とオーストラリアにおけるCO₂販売価格の急落の影響を受け続けた。中国では、ヘリウム販売の減少や下半期のボルトオン型買収による貢献度の低下にもかかわらず、売上高は+2.6%増加した。この成長は、特に小規模なオンサイトガス発生装置の稼働開始と、活況を呈したボンベガス販売によって支えられており、中国における当グループの堅実な戦略的ポジショニングを反映している。その他のアジア地域では、日本での設備・据付工事販売が好調で、特に台湾の電子部品及び組立分野で堅調な成長が見られた一方で、オーストラリアでは価格効果(CO₂価格上乗せの終了)に加え、シンガポールでは活動が低迷した。
販売量は、主に電子機器組立、金属加工、自動車市場で増加した。
■ 2025年のエレクトロニクス事業の売上高は3.1%増、設備・設置売上高を除くと6.1%増となった。2025年上半期に7つの新規生産ユニットの稼働が開始されたことを受け、キャリアガスの売上高は10%以上の力強い伸びを記録した。この伸びは、2024年に非常に高い水準に達した後、正常化しつつある、より景気変動の影響を受けやすい機器・設備の売上高の減少によって一部相殺された。
| アジア・太平洋地域 ■ シンガポールの大手半導体メーカー向けプロジェクト 2件の新規長期契約に基づき、総額1億3000万ユーロを投じ、エア・リキードは、シンガポールの大手半導体メーカーの事業拡大を支援するため、2つの新たなキャリアガス製造施設を建設、所有、運営する。超高純度ガスは、AIをはじめとする次世代デジタル技術を支える上で不可欠である。わずか数ヶ月の間隔で締結されたこれらの新規契約は、この戦略的市場における高度な電子部品への需要が加速していることを示している。 ■ シンガポールにおけるVSMCプロジェクト エア・リキードは、シンガポールに新たなキャリアガス製造ユニットを建設、所有、運営する。約7000万ユーロという多額の投資を行い、長期契約に基づき、エア・リキードは、ヴァンガード・インターナショナル・セミコンダクター・コーポレーションとNXPセミコンダクターズN.V.が設立した合弁会社であるビジョンパワー・セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー(VSMC)に対し、窒素、酸素、アルゴン、 及びその他の超高純度ガスを大量に供給する。 |
|---|
ii. エンジニアリング&テクノロジー
エンジニアリング・テクノロジー部門(1)の2025年の連結売上高は8億5500万ユーロとなり、2024年比で2.0%(2)増加した。 この事業部門において、エンジニアリング・建設部門の売上高(外部売上)はわずかに減少した一方、グループ内売上(連結売上高には含まれない)は増加した。これは、ラージ・インダストリー事業及びエレクトロニクス分野の投資プロジェクトの開発を優先したためだ。さらに、技術機器、特にターボ・ブレイトン式LNG再液化装置の売上は引き続き増加した。
2025年のグループプロジェクト及び第三者顧客からの受注高は22億2000万ユーロに達した。これには特に、インドの鉄鋼メーカー向けの世界最大級の空気分離装置、オランダのクリーン水素生産向け大型電解槽、エレクトロニクス事業向けキャリアガス装置、ヘリウム液化用独自設備、及び多数のターボ・ブレイトン再液化装置が含まれていた。受注高の大部分はグループプロジェクトが占めた。
(1) グローバル市場&テクノロジー及びエンジニアリング&建設は、2025年第1四半期にエンジニアリング&テクノロジーに統合された。バイオガス及び海事事業を中心とする一部の事業は、工業事業に移管された。下記(6)「パフォーマンス指標」を参照。
(2) この比較可能な成長率には、2025年第1四半期に一部のグローバル市場&テクノロジーが工業事業へ内部移管されたことによる範囲の影響は含まれていない**。**
② 経常的営業利益
減価償却費及び償却費控除前の経常営業利益は、合計81億4500万ユーロとなり、公表値では2024年比3.1%増、為替の影響を除くと6.9%増となった。
仕入高は3.6%減少したが、為替の影響及び特定の設備購入費をその他の費用に振り替えた影響を除くと、横ばい(0.0%)となった。エネルギー価格、特に天然ガスの価格上昇は、耐久消費財の販売減少に伴う資材及び設備の仕入高の減少によって相殺された。人件費は、公表値では1.5%減となったが、為替の影響を除くと1.5%のわずかな増加となった。インフレ環境下において、全地域にわたる組織合理化計画に伴う人員削減が人件費の抑制に寄与した。その他の営業収益及び費用は1.7%増加した。その他の営業費用は事業拡大に伴い増加し、公表値では4.3%増、為替の影響及び(特定の設備購入費のその他の費用への)振替を除くと6.3%増となった。これは主に、米国ベイタウンにおけるエクソンモービルとのプロジェクトに関連する契約上の義務によるものである。その他の営業収益の急増は、契約条件に基づき、このプロジェクトに関するすべての契約義務をカバーする、顧客であるエクソンモービル社からの補償金によるものである。
2025年の効率性(1)は、2024年の4億9700万ユーロから27%増の6億3100万ユーロと過去最高水準に達した。これは、「ADVANCE」計画の年間目標である4億ユーロを大幅に上回るものだ。この実績は、当グループの変革プログラムが効率性に大きく寄与していることを示している。また、調達活動及び横断的な継続的改善プログラム(特に1000件を超える産業効率化プロジェクトで構成)も、この大幅な効率性の増加を支えている。2024年初頭からの人員削減により、全地域において人件費の削減効果が生まれた。効率性は、特に工業事業における価格管理や、ダイナミックな資産ポートフォリオ管理と並んで、営業利益率改善のための3つの重要な要因の一つだ。
減価償却費及び償却費は25億6400万ユーロとなり、前年比2.3%増、為替影響を除くと5.3%増となった。これは主に、新規設備の稼働による影響を反映したものだ。
2025年のグループ経常営業利益(OIR)は、公表値で55億8200万ユーロとなり、前年比3.5%増となった。比較可能なベースでは、7.6%増となり、これは比較可能な売上高の伸びを大幅に上回るもので、強力なレバレッジ効果が際立っている。営業利益率(OIR/売上高)は公表通り20.7%となり、2024年と比較して80bp上昇した。2025年のエネルギーコスト上昇は、契約に基づきラージ・インダストリー事業の顧客に転嫁されたため、公表売上高を押し上げたものの、経常営業利益の絶対値には影響を与えなかった。その結果、2025年の公表営業利益率には希薄化効果が生じている。このため、利益率の改善度はエネルギーコストの影響を除外して測定されており、具体的には前年度のエネルギー価格を基準としている。
エネルギー要因を除くと、2025年の営業利益率は100bpの大幅な改善を示した。これにより、エネルギー要因を除いた当グループの年間マージンの増加幅は2年連続で少なくとも100bpとなり、過去と比較して加速していることが示された。2011年から2019年にかけて、マージンの改善幅は年間+10~+20bpの範囲であった(エアガス買収に関連するシナジー効果を除く)が、その後2020年から2023年にかけては70~80bpの改善が見込まれる。2022年以降、エネルギー影響を除いた営業利益率の改善幅は、2025年末時点で累計+360bpに達した。
2024年に開始された当グループの構造改革施策は、引き続き業績を支えていく見込みだ。これらの施策は、組織の簡素化、シェアードサービスセンターの展開加速、産業・商業分野における取り組みという4つの主要分野を中心に構成されており、データ活用に関連するレバレッジ効果も組み込まれている。
(1) 定義については下記(6)「パフォーマンス指標」② g.効率性を参照。
a. ガス&サービス
2025年のガス&サービスの経常営業利益は58億9700万ユーロとなり、公表値ベースで2024年比+6.1%の増加となった。比較可能ベースでは+8.1%の増加となり、これはガス&サービスの比較可能売上高の伸び(+2.0%)を大幅に上回るもので、強力なレバレッジ効果が顕著に表れている。
公表通り、営業利益率は22.6%に達し、エネルギー影響を除くと、2024年と比較して130bp(1)の大幅な改善となった。
当グループの営業利益率の改善は、主に効率性の向上によるものであり、2024年と比較して27%という大幅な増加となった。
価格も、利益率改善のもう一つの要因である。工業事業では、2025年に2.9%の上昇を示し、コスト上昇分を価格に転嫁できる当グループの能力を証明した。ヘルスケア及び大型産業部門でも価格は上昇した。
(1)2025年第1四半期以降、グローバル市場&テクノロジーから工業事業への特定の事業の内部移転に関連する範囲の影響が含まれている。下記(6)「パフォーマンス指標」を参照。
ガス&サービスにおける2024年経常的営業利益(総額58億9700万ユーロ)
| 欧州、中東及びアフリカ(EMEA) | 41% |
|---|---|
| 南北アメリカ | 39% |
| アジア・太平洋 | 20% |
| ガス&サービス営業利益率 (a) | 2024 | 2025 | 2025/2024 エネルギーの影響を除いた変化 |
|---|---|---|---|
| 南北アメリカ | 22.6% | 23.4% | +110bps |
| 欧州、中東及びアフリカ(EMEA) | 20.0% | 21.6% | +190bps |
| アジア・太平洋 | 22.3% | 23.1% | +50bps |
| 合計 | 21.5% | 22.6% | +130bps |
(a) 公表ベースの経常的営業利益/収益。2025年第1四半期以降における、GM&Tから産業用商業事業への一部事業の内部移管に関連するスコープ変更の影響を含む。下記(6)「パフォーマンス指標」参照。
2025年の米州地域の経常営業利益は24億2700万ユーロに達した。エネルギー関連の影響を除くと、営業利益率は2024年比で110bp上昇した。この主な要因は工業事業である。特に米国における大幅な効率化と価格引き上げが、工業事業及びヘルスケア事業の利益率改善を支えた。
2025年の欧州・中東・アフリカ(EMEA)地域の経常営業利益は22億9000万ユーロとなった。エネルギー関連の影響を除くと、営業利益率は2024年比で190bp大幅に改善した。工業事業では、高い効率化と利益率向上につながる価格管理が、堅調な利益率の進展を支えた。ヘルスケア部門における効率化、特にフランスにおける在宅医療事業の再編も、利益率の改善に寄与した。最後に、ラージ・インダストリー事業では、2024年に顧客から受け取った補償金を除くと、事業活動による効率化のおかげで利益率が上昇した。
アジア太平洋地域では、2025年の経常営業利益は11億8000万ユーロとなった。エネルギー関連の影響を除くと、全事業における効率性の進展及び2025年にラージ・インダストリー事業の顧客から受け取った補償金の支払いに支えられ、営業利益率は2024年比で50bp上昇した。
b. エンジニアリング&テクノロジー
エンジニアリング&テクノロジー部門の2025年の経常営業利益は1億2400万ユーロだった。営業利益率は14.5%となり、2024年と比較して低下した。これは主に、グローバル市場&テクノロジーの特定の事業を工業事業に移管したことが要因である。
c. コーポレート費用及び研究開発
コーポレート費用及び研究開発費は4億3900万ユーロとなり、2024年比で10.0%増加した。この増加は、変革プログラムの一環としてグループ・インダストリアル部門が新設されたことが主な要因であり、同部門は効率化による利益の向上に大きく寄与している。研究開発費はわずかに増加した。
③ 純利益
2025年のその他の営業収益及び費用は、-3億300万ユーロとなり、2024年の-4億4600万ユーロから減少した。2025年のその他の営業費用は-3億5400万ユーロとなり、特に欧州を中心に2億ユーロ強の事業再編費用が含まれていた。その他の営業収益は5100万ユーロとなり、主に資産売却によるキャピタルゲインで構成された。
2025年の金融収益は3億9600万ユーロの赤字となり、2024年の4億1800万ユーロの赤字から改善した。これには、為替の影響を除くと7.4%減となった2億4300万ユーロの純負債コストが含まれている。この業績は主に、平均純負債の減少及びファクタリング費用の削減によるものであり、これは主に金利の低下に加え、売却された売掛金の減少によるものだった。平均純負債コストは3.3%で、2024年と比較してわずかに低下した。その他の金融収益及び費用は、2024年の1億6000万ユーロに対し、1億5400万ユーロとなった。
2025年の法人税費用は12億3100万ユーロに達し、2024年の24.0%に対し、25.2%の実効税率となった。これは、2025年にフランスで課された特別税の影響によるものである。
2025年の持分法による投資利益は-800万ユーロとなり、純利益における少数株主持分は1億2700万ユーロに達した。2025年の純利益(グループ持分)は35億1800万ユーロに達し、公表値では+6.4%、為替影響を除くと+10.1%の堅調な成長を示した。経常純利益(1)(グループ持分)はは36億7900万ユーロとなり、公表値では+6.2%、為替影響を除くと+9.7%(2)となった。経常純利益(グループ持分)は、(1)フランスの特別税賦課、欧州における大規模な再編計画の影響、及び過去に非経常項目と分類された項目の2025年における残存影響を除外して算出されている。
1株当たり利益は6.10ユーロとなり、公表値ベースで2024年比6.3%増となり、純利益(グループ持分)の増加と一致した。2025年の1株当たり利益の算出に使用された平均発行済株式数は576,790,647株である。
(1) 下記(6)「パフォーマンス指標」を参照。
(2) 為替の影響及びアルゼンチンの寄与を除くと、経常利益(グループ持分)は8.4%増加した。下記(8)「見通し」を参照。
株式数の変化
| 2024年 | 2025年 | |
|---|---|---|
| 平均株式数 | 576,457,564 | 576,790,647 |
④ 配当
2026年5月5日の定時株主総会において、2025年度分の配当として1株当たり3.70ユーロの支払いが株主へ提案される予定であり、これは前年比で前年比+12.1%、過去3年間では+38%の増加となった。自社株買い、消却、ストックオプションの行使を考慮した配当総額は22億300万ユーロと見込まれており、公表純利益に対する配当性向は63%となる。配当落ち日は2026年5月18日、支払日は2026年5月20日となる。さらに、2026年6月には、保有株式10株につき1株の割合での無償割当及びロイヤルティ・ボーナスの適用が予定されているが、これらは定時株主総会の決議を条件とする。
(3)【キャッシュ・フロー及び貸借対照表】
| (百万ユーロ) | 2024 | 2025 |
|---|---|---|
| 運転資金の変動前の営業活動によるキャッシュ・フロー | 6,539 | 6,855 |
| 必要運転資金の変動 | (155) | (226) |
| その他 | (62) | (111) |
| 営業活動による純キャッシュ・フロー | 6,322 | 6,518 |
| 配当 | (1,808) | (2,053) |
| 設備投資 | (3,525) | (3,843) |
| 金融投資(a) | (285) | (267) |
| 資産売却による収入 | 193 | 332 |
| 資本の増加による収入 | 34 | 140 |
| 自己株式取得 | (231) | (4) |
| リース債務の返済及びリース債務に係る純支払利息 | (284) | (283) |
| 為替変動の影響、新規連結会社の純有利子負債、金融費用の修正再表示 | (355) | 204 |
| 純負債の変動 | 62 | 744 |
| 期末における純負債 | (9,159) | (8,416) |
| 期末における負債資本比率 | 33.2% | 31.2% |
(a)少数株主との取引及び持分法適用関連会社からの受取配当金(2025年はそれぞれ-2700万ユーロ及び1400万ユーロ)を含む。
① 営業活動による純キャッシュ・フロー
営業活動からの運転資本の変化を除いたキャッシュ・フローは、公表ベースで前年比4.8%増の68億5500万ユーロとなり、為替の影響を除くと8.3%の大幅な増加となり、為替及び特別項目(主に米国の税制改革、フランスの特別税、及び米国ベイタウンにおけるプロジェクトの中断に関連して顧客であるエクソンモービルから受け取った補償金に関連するもの)を除くと6.0%増となった。
必要運転資本(WCR)は、2024年12月31日と比べて2億2600万ユーロ増加したが、これは特に、ドイツの専用貯蔵庫におけるヘリウム在庫量の増加と、エネルギー価格の下落による買掛金の減少、及びファクタリングの縮小による売掛金の増加の影響である。ただし、ファクタリングの縮小に関連する影響を除くと、売掛金の残高は改善した。
必要運転資本増減後の営業活動による純キャッシュ・フローは、2024年と比べて3.1%増の65億1800万ユーロとなり、為替の影響を除くと6.1%の増加となった。
② 資本支出
| (百万ユーロ) | 事業投資 | 金融投資 (a) | 総資本支出(a) |
|---|---|---|---|
| 2021 | 2,917 | 691 | 3,608 |
| 2022 | 3,273 | 126 | 3,399 |
| 2023 | 3,393 | 231 | 3,624 |
| 2024 | 3,525 | 285 | 3,809 |
| 2025 | 3,843 | 267 | 4,110 |
(a) 関連会社からの配当金及び少数株主との取引を含む(それぞれ-2700万ユーロ、1400万ユーロ)。
2025年の設備投資額は41億1000万ユーロと非常に高い水準となった。
産業部門の設備投資額は38億4300万ユーロとなり、2024年の35億2500万ユーロと比較して9.0%の増加、為替の影響を除くと12.2%の増加となった。
これは、近年の投資決定の増加を反映したものである。2025年以降、設備投資額は受領した投資補助金を差し引いた純額で計上されている。ガス&サービス部門の設備投資額は37億6700万ユーロで、前年比7.0%の増加となり、地域別の内訳は以下の表に示されている。
| (百万ユーロ) | ガス&サービス | |||
| 欧州、中東及びアフリカ(EMEA) | 南北アメリカ | アジア・太平洋 | 合計 | |
| 2024(a) | 1,506 | 1,203 | 811 | 3,520 |
| 2025 | 1,457 | 1,463 | 847 | 3,767 |
(a) 2024年のガス&サービス事業における投資支出については、一部の事業をグローバル市場&テクノロジーから工業事業へ内部移管したことに伴い修正再表示している。
2025年の金融投資は2億6700万ユーロに達した(関連会社からの配当金及び少数株主との取引を含む。それぞれ-2700万ユーロ、1400万ユーロであった)。これは、主として工業事業(米国、カナダ、ブラジル、スペイン、イタリア、中国、インド)及びドイツのヘルスケア事業における13の買収案件を含む。
ダイナミックな資産ポートフォリオ管理の一環として、2025年の資産売却による収入は3億3200万ユーロに達した。これには特に、日本における在宅医療事業の売却益及びグループのベンチャーキャピタル子会社であるALIADが保有する持分の売却益が含まれる。
純資本支出は総額37億7800万ユーロで、2024年の36億1700万ユーロと比較して4.5%の増加である。
③ 純負債
2025年12月31日現在の純負債は84億1600万ユーロとなり、2024年12月31日時点と比較して7億4300万ユーロ減少した。営業活動によるキャッシュ・フローにより純負債の削減を可能にした。純負債対自己資本比率は31.2%となり、キャッシュ・フローの強さを浮き彫りにしている。
2026年1月13日に完了したDIG Airgasの買収に備え、当グループは2025年10月下旬に21億5000万ユーロの社債を発行した。その結果、2025年12月31日時点で現金残高が大幅に増加したが、純負債には影響がなかった。
④ ROCE(使用資本利益率)
2025年の税引後使用資本利益率(ROCE)は10.7%であり、2024年と比較して40bp増加した。経常的ROCE(1)は11.2%となり、投資の加速による希薄化の影響にもかかわらず、2024年の10.7%から改善した。経常ROCEは、戦略プランADVANCEにおける目標である10%超を、そのスケジュールより1年早い2022年に達成した。
(1) 下記(6)「パフォーマンス指標」② i.経常的ROCEを参照。
(4)【非財務業績】
2022年3月に発表された2025年までの当グループの戦略プランADVANCEでは、サステナブルな成長を戦略の中心に据え、財務パフォーマンスと非財務パフォーマンスを組み合わせている。
第一に、安全はグループにとって最優先の目標である。「ゼロ事故」という目標を掲げ、長期的な予防措置を実施している。その結果、2025年の休業災害発生率(1)は0.4という過去最低水準となり、2年連続で大幅に低下し、2023年の1.0と比較して60%減少した。
2025年の当グループのスコープ1及び2のCO2排出量は、CO2換算で3420万トンとなり、2024年と比較して70万トン減少した。2020年の基準値と比較すると、13%と大幅に減少している(2)。2025年の排出量減少には、いくつかの要因が寄与した。
■ 低炭素エネルギーの自主的な調達。具体的には、複数年にわたる電力購入契約(PPA)に基づき、2025年から年間3TWhの供給が開始されたこと。
■ 米国Port Arthurにある顧客の製油所からの副生ガスを用いた水素製造。
■ 空気分離装置の電化。その結果、2024年9月に稼働を開始した中国のYongli ASUにより、2025年には当グループの排出量を25万トン以上削減することができた。
■ 南アフリカの顧客Sasol向けの空気分離装置において達成された効率性向上。
| 2025年のグループCO2排出量は2020年比で-13%であった。 | |
| 2020年排出量 | 39.3 Mt CO2-eq |
| 2025年排出量 | 34.2 Mt CO2-eq |
| 2025/2024 CO2排出量増減比較 | |
| 生産量 | +0.3 Mt CO2-eq |
| 資産運用 | -1.8 Mt CO2-eq |
| 低炭素電力調達 | -2.7 Mt CO2-eq |
| CCS | 0.0 Mt CO2-eq |
| その他 | -0.9 Mt CO2-eq |
2025年は、CO2排出量が3年連続で大幅に減少した年となった。当グループは、CO2排出量の転換点に到達するという戦略プランADVANCEの目標を達成した。
2025年の炭素原単位は、EBITDA 1ユーロ当たり4.0 kgのCO₂換算値(3)となり、2024年と比較して7%減少した。これは2015年と比較して2015年比で46%減少し、2015年比で2025年までに少なくとも30%削減するという目標を上回った。
当グループは、気候変動対策計画に基づき、排出量削減に向けた取り組みを展開している。これらの取り組みは、「低炭素エネルギーの調達」、「資産管理」、「CO₂回収」という3つの柱を中心に構成されているが、その中には即効性のないものもある。2025年、エア・リキードはインドで初の低炭素電力購入契約(PPA)を締結し、これにより炭素原単位の高いエネルギー構成を持つ新たな地域をカバーすることとなった。また、当グループは2025年、中国とイタリアにおける空気分離装置の新たな電化を決定した。これにより、新設備の稼働開始後、年間スコープ2のCO₂排出量をそれぞれ約22万5000トン及び5万トン削減することになる。さらに、欧州におけるグループ最大規模の水素製造設備の脱炭素化を目的として、Cryocap™炭素回収装置の建設が進められている。
また、当グループは、顧客の生産設備の脱炭素化に向けた効果的なソリューションも提供している。例えば、エンジニアリング・テクノロジー部門は、スウェーデンで実施される二酸化炭素回収・貯留(BECCS)を伴うバイオエネルギープロジェクトに必要な、世界最大規模の二酸化炭素液化設備を供給する予定である。
脱炭素化に加え、エア・リキードは2025年、水ストレスが高い地域にある75の事業所において、詳細な水管理計画を策定した。
社会面では、共通の社会保険制度の適用を受ける従業員の割合が、予定より1年早い2024年に100%という目標を達成した。ダイバーシティに関しては、「管理職及び専門職」に占める女性の割合が2020年以降継続的に増加し、2025年には33.8%に達した。この結果は、業界及び同業他社平均を依然として大幅に上回っている。当グループは、すべての事業活動において、こうした多様性の確保に向けた取り組みを継続して推進していく方針である。最後に、グループ従業員全員にボランティア活動の機会を提供するという目標は、地域社会に貢献するためのグループプログラム「Citizen at Work」を通じて、すでに達成されている。
(1) エア・リキードの正社員及び派遣社員における休業災害発生率。100万労働時間あたりの、1日以上の休業を伴う災害件数。
(2) スコープ1及び2のCO₂換算トン数。下記(6)「パフォーマンス指標」を参照。
(3) 減価償却費控除前の経常的営業利益(2015年の為替レート換算)。下記(6)「パフォーマンス指標」を参照。
| サステナブルな成長 ■ エア・リキードは、同社の「気候変動移行計画」の中核をなす自主的な低炭素電力調達プログラムの有効性を確認し、具体的かつ影響力のある成果を上げている。2025年には、年間3TWhに及ぶ大規模な複数年電力購入契約(PPA)が開始され、長期的な脱炭素化の道筋が確保された。2020年以降、気候変動対策の目標の一環として、当グループは年間合計350万トンのCO₂排出量削減に相当するPPAを締結しており、2027年までに完全な増強が見込まれている。2025年末時点で、当グループが購入する電力の40%を低炭素電力が占めており、これはグローバルなエネルギーミックスの構造的変革に向けた当グループの取り組みを象徴するものである。 |
|---|
(5)【投資循環及び資金調達】
① 投資
**a.**投資決定及び投資バックログ
| (10億ユーロ) | 設備投資決定 | 金融投資決定(買収) | 投資決定合計 |
|---|---|---|---|
| 2021 | 3.0 | 0.6 | 3.6 |
| 2022 | 3.9 | 0.1 | 4.0 |
| 2023 | 4.2 | 0.1 | 4.3 |
| 2024 | 4.1 | 0.3 | 4.4 |
| 2025 | 4.0 | 0.2 | 4.2 |
2025年、設備投資・金融投資の決定は、42億ユーロに達した。過去4年間の累計額は169億ユーロとなり、決定額は戦略プランADVANCEの目標である160億ユーロを上回った。
■ 当グループは、半導体業界の大手顧客との間で数多くの長期契約を獲得し、2025年にエレクトロニクス事業におけるリーダーシップをさらに強化した。これには、キャリアガス生産設備への投資が含まれており、特に半導体分野の世界的リーダー企業に対するドイツでの2億5000万ユーロ超、米国における主要顧客への5000万米ドル超、中国における3社の事業所での7000万ユーロ超、そしてシンガポールにおけるVSMCへの供給に向けた約7000万ユーロなどが挙げられる。
■ ラージ・インダストリー事業
- 南北アメリカでは、新たな投資により、米国メキシコ湾岸のパイプライン・ネットワークの開発が促進される。これには、エネルギー分野の顧客との新たな水素契約、及びDow社との長期空気ガス契約の更新が含まれる。
- EMEA地域においても、当グループはオランダで進められる200MWの電解装置「ELYgator」プロジェクトに5億ユーロを投資し、長期契約に基づきトータルエナジーズに再生可能水素を供給する。イタリアでは、製鉄所の電気アーク炉に製鋼用空気ガスを供給するための2つの新規生産設備への投資に加え、現在顧客が生産する蒸気を消費している空気分離装置の電化にも投資を行う。後者により、グループのCO₂排出量(スコープ2)は年間5万トン削減される見込みである。
- アジア・太平洋地域では、中国における空気分離装置の能力増強及び長期契約に基づくその電化への投資が決定された。この投資により、グループのCO₂排出量(スコープ2)は年間約22万5000トン削減される見込みである。
■ 工業事業部門における地域的な成長を支援するため、当グループは2025年、アジア各国の小規模な空気分離装置への投資を決定した。また、オーストラリアにおけるバイオ由来CO₂製造設備、中国における新たなシリンダー充填センター、及び米国におけるアルゴン輸送用設備についても決定した。
2025年の金融投資額は2億5100万ユーロに達し、その大部分は工業事業部門に充てられた。同部門では、南北アメリカ(米国、カナダ、ブラジル)、アジア(中国)、EMEA(インド、スペイン、イタリア)の全地域にまたがる10件の事業買収が行われた。また、在宅医療事業部門におけるドイツでの3社の買収も決定に含まれる。
さらに、当グループは2025年8月、韓国のDIG Airgasを買収する契約を締結したことを発表した。2026年1月13日に完了したこの買収は、2026年第1四半期の投資決定として計上される。
投資残高は49億ユーロ(1)に達し、3年連続で40億ユーロを超える非常に高い水準となった。進行中の投資は多角化が進んでおり、70件以上のプロジェクトが全地域に広がっている。総額の約40%はエレクトロニクス事業におけるプロジェクトに相当し、残りは主にラージ・インダストリー事業に投資されている。
(1)韓国における投資バックログ0.2億ユーロ(DIG Airgasの統合分)を含む。
| 買収 ■ 2026年1月13日、エア・リキードは、韓国の産業ガス分野における主要プレーヤーであるDIG Airgasの買収を完了した。この取引は、米国におけるエアガスの大規模買収から10年を経て、当グループにとって新たな重要な節目となる。この戦略的措置により、当グループは韓国における従業員数を倍増させ、同国での総売上高を約9億ユーロに拡大することになる。当初の予定より前倒しで完了した本買収は、予想よりも早く当グループの全体業績に貢献することになる。 - この大規模な買収により、世界第4位の規模を誇る産業ガス市場である韓国において、エア・リキードの地位が強化される。 - エア・リキードとDIG Airgasの韓国における事業展開と活動は相互に補完性が高く、半導体産業をはじめとする主要セクターにおいて発展の機会を提供している。 - この買収は、グループへの統合から1年後にエア・リキードの純利益に寄与する見込みである。 ■ エア・リキードは2025年10月、インドにおける産業ガスの製造及び流通のリーディング企業であるNovaAirの買収を発表した。同社のインド東部及び南部におけるプレゼンスは、同国北部及び西部における当グループの既存事業を補完するものであり、インドの工業事業分野におけるエア・リキードの事業基盤を大幅に強化する。 |
|---|
**b.**操業開始
2025年の主な操業開始には以下が含まれる。
■ アジア・太平洋地域
- エレクトロニクス事業においては、複数の顧客向けに合計2億8000万ユーロ以上を投じた7つのキャリアガス生産設備、及び韓国におけるモリブデン生産設備。
- ラージ・インダストリー事業においては、シンガポールのエクソンモービル社への供給を目的とした空気分離装置(ASU)及び2024年第3四半期に中国の万華化学集団から買収したASU。
- 工業事業部門では、オーストラリアに新たなCO₂製造プラント、中国と韓国にモビリティ向け水素充填ステーション2か所を建設。
■ EMEA地域では、主にエレクトロニクス事業におけるドイツのドレスデン盆地での2つの新規キャリアガス生産設備と、ラージ・インダストリー事業におけるベルギーのアントワープ・ブルージュ港でのアンモニア分解パイロットプラントが挙げられる。また、稼働開始予定の設備には、フランスにおけるCO2回収・回収システムを備えた小規模な水素製造プラントや、主に宇宙及び半導体産業向けに供給を行う南アフリカのクリプトン・キセノン精製プラントも含まれる。
■ 南北アメリカでは、ラージ・インダストリー事業において、長期契約に基づき顧客を水素パイプライン網に接続し、既存資産の最適化を図るとともに、工業事業では、電池メーカー向けに3基の小型オンサイトガス発生装置を供給する。
2025年には、新規設備の稼働及び増強による売上への追加貢献額は3億2200万ユーロに達した。
操業開始 ■ エア・リキードは、韓国京畿道華城市に位置する新たなモリブデン生産プラントの稼働開始を発表した。世界最大規模となるこのプラントは、同社の革新的なアドバンスト・マテリアルズ製品群であるSubleem™を、半導体セクターの主要顧客に供給する。この製品群には、超高純度モリブデン分子のポートフォリオに加え、業界初となる独自の供給システムが含まれている。この戦略的投資を通じて、エア・リキードは、パートナー企業にモリブデンソリューションを大量に供給できる初の産業プレーヤーになることによって、技術的リーダーとしての地位を確固たるものにした。 ■ エア・リキードは、ベルギーのアントワープ・ブルージュ港において、1日あたり30トンのアンモニアから水素への変換能力を持つ、世界初の産業規模のアンモニア分解パイロットプラントの稼働開始を発表した。この最先端のイノベーションは、アンモニアを水素に変換するための、これまで欠けていた重要な技術的リンクを提供し、水素輸送に関連する課題に対処するものである。世界規模でのアンモニア分解プラントの開発において実証されたこの技術は、産業及びモビリティの脱炭素化に向けた低炭素水素及び再生可能水素へのアクセスを可能にするだろう。
**c.**投資機会
2025年末時点で、12ヶ月間の投資機会ポートフォリオは過去最高の46億ユーロ(1)に達した。顧客が保留としたテキサス州ベイタウンのエクソンモービル・プロジェクトが除外されたものの、DIG Airgasの統合に伴い、特に韓国におけるエレクトロニクス事業や、ラージ・インダストリー事業での新規プロジェクトの参入により、その影響は相殺された。エレクトロニクス事業関連のプロジェクトはポートフォリオの40%以上(2)を占め、エネルギー転換関連のプロジェクトは機会の約25%を占める。プロジェクトの立地は主にアジアと南北アメリカであり、次いでEMEA地域となっている。
12ヶ月を超える案件も含めた機会の総ポートフォリオは安定しており、100億ユーロを超えている。
(1) 韓国における投資機会(DIG Airgasの統合)0.8億ユーロを含む。
(2) 韓国における投資機会(DIG Airgasの統合)を含む。
② 資金調達
**a.**格付「A」が確定
当グループは、Standard & Poor’s、Moody’s、及び2023年からはScope Ratingsから格付けされている。長期格付は、Standard & Poor’sと Scope Ratingsの長期格付けは「A」、Moody’sは「A2」である。また、短期格付は、Standard & Poor’sが「A1」、 Scope Ratingsが「S-1」、Moody’sが「P1」である。2025年8月22日にエア・リキードがDIG Airgasの買収を発表したことを受け、Standard & Poor’s及びMoody’sは2025年8月27日に格付けを据え置き、見通しを「安定的」とした。 Scope Ratingsは2025年12月2日に格付けを据え置くとともに、見通しを「ポジティブ」から「安定的」に修正した。
**b.**資金源の多様化・確保
2025年12月31日現在、資本市場を通じた当グループの資金調達は、当グループ全体の負債総額の84%を占めており、すべての発行プログラムを合わせた債券の発行残高は98億ユーロ、コマーシャル・ペーパーは5億ユーロだった。
20行との間で設定された与信枠の総額は40億ユーロで安定していた。シンジケートローン枠は30億ユーロであり、その満期は2030年(従来は2029年5月)まで延長され、さらに1年間の延長オプションが付与されている。この融資枠には、炭素原単位、ジェンダーの多様性、安全性の分野におけるグループのCSR目標の3つに、金融コストを連動させる仕組みが含まれている。 二国間融資枠及びシンジケートローンに加え、2025年8月、エア・リキードはDIG Airgas取引の一環として30億ユーロのブリッジローンを締結した。このローンは、買収資金調達のための社債発行に伴い、11月5日に21.5億ユーロ減額されました。その結果、2025年12月31日時点で、このブリッジローンには8億5000万ユーロの残高があった。これは、2026年1月13日に取引が最終的に完了した時点で解消された。
・発行と償還
2025年3月、当グループはエネルギー転換プロジェクトの資金調達として、10年満期の5億ユーロのグリーン債を発行した。
加えて、2025年3月、4月、6月に満期を迎えた残高9億7100万ユーロ相当の3つの債券が償還された。
最後に、2025年10月には、DIG Airgasの戦略的買収資金を調達するため、21億5000万ユーロのマルチトランシェ債の発行が開始された。
| 資金調達 ■ 債券発行 2025年10月、エア・リキードは21億5000万ユーロ規模のマルチトランシェ債の発行を成功裏に完了した。この大規模な資金調達事業は、2026年1月13日に最終クロージングを迎えたDIG Airgasの戦略的買収資金を調達することを目的としている。投資家からの大幅なオーバーサブスクリプションが見られた本取引は、当グループのユーロ・ミディアム・ターム・ノート(EMTN)プログラムの下で実施された。これにより、満期2年、4年、7.5年、12年の債券を総額21億5000万ユーロ、年率3.00%未満の加重平均金利で発行することが可能となった。 ■ グリーン債の発行 エア・リキードは2025年3月21日、満期10年、年率3.50%の条件で、5億ユーロ規模の新たなグリーンボンド発行を成功裏に完了した。当グループは、本発行による調達資金を、エネルギー転換における主要プロジェクト、特に水素及び空気ガス分野のプロジェクトの資金調達又はリファイナンスに充当する予定だ。今回のグリーン債発行は、2021年及び2024年に実施された前回の発行に続くものであり、いずれも全額引受済みである。 |
|---|
通貨別純債務(2025年12月31日時点)
| 2024年12月31日 | 2025年12月31日 | |
|---|---|---|
| ユーロ | 51% | 64% |
| 米ドル | 30% | 19% |
| 台湾ドル | 6% | 7% |
| 日本円 | 3% | 2% |
| 中国人民元 | 1% | 4% |
| その他 | 9% | 4% |
投資は通常、キャッシュ・フローが生み出される通貨で資金調達されるため、自然為替ヘッジが生じる。2025年は、ユーロ建ての純負債の割合が増加した一方で、米ドル建ての割合は減少した。これは、主に米ドルがユーロに対して下落したことが要因である。
**c.**資金・資金調達の一元化
2025年、Air Liquide Financeは当グループの現金残高をプールすることを継続した。
2025年12月31日現在、Air Liquide Financeは、直接的又は間接的に当グループ子会社に115億ユーロ相当の融資を行い、32億ユーロの余剰現金を預金として受領した。これらの取引は21種類の通貨(主にユーロ、米ドル、日本円、カナダドル、中国人民元、シンガポールドル及び英ポンド)で行われた。約400社の子会社が、直接的又は間接的に当グループのキャッシュプーリングに含まれる(キャッシュプーリングが現地で行われてからAir Liquide Financeに集中される子会社を含む)。
**d.**債務の満期及びスケジュール
当グループの負債満期の平均は、2025年12月31日現在で5.6年となり、2024年12月31日(5.1年)と比べて僅かに延長した。実際、当年度の発行された社債(特に韓国のDIG Airgas買収資金調達のためのもの)により、負債の残存期間がわずかに延長された。
総債務額は124億ユーロであった。今後12か月間に満期を迎える負債は23億ユーロである。その後、今後10年間における年間最大の償還額は、総負債の約11%を占める。
債務の満期スケジュール
総債務額(百万ユーロ単位)(4000万ユーロの少数株主に対するプットオプションを除く)
| 社債・私募債 | 銀行借入・ファイナンスリース | コマーシャル・ペーパー | |
|---|---|---|---|
| 2034年以降 | 1392 | - | - |
| 2034年 | 486 | - | - |
| 2033年 | 517 | 9 | - |
| 2032年 | 994 | 14 | - |
| 2031年 | 595 | 44 | - |
| 2030年 | 605 | 132 | - |
| 2029年 | 1,094 | 157 | - |
| 2028年 | 1,021 | 190 | - |
| 2027年 | 998 | 334 | - |
| 2026年 | 1,084 | 322 | - |
| 2025年 | 1,033 | 782 | 533 |
(6)【パフォーマンス指標】
財務諸表に直接定義されていない、当グループが使用するパフォーマンス指標は、代替的なパフォーマンス指標に関するAMFの2015-12に基づいて作成されている。
パフォーマンス指標は以下のとおり。
■ 通貨、エネルギー及び重要性の範囲へのインパクト
■ 比較可能な売上高の推移と比較可能な経常的営業利益の推移
■ 営業利益率及びエネルギーを除く営業利益率
■ 報告及び修正再表示したCO2排出量
■ 炭素原単位を算出するために2015年度為替レートでIFRS第16号を除く償却前経常的営業利益
■ 経常的純利益グループ持分
■ 為替影響を除く経常的純利益
■ IFRS第16号を除く当期純利益
■ IFRS第16号を除く経常純利益
■ 効率性
■ 使用資本利益率(ROCE)
■ 経常的ROCE
① 通貨・エネルギー及び重要性の範囲の影響の定義
産業ガス及び医療用ガスの輸出はめったに行われないため、為替変動がユーロ圏外に所在する子会社の財務諸表に対するユーロ換算の影響は限定されている。為替影響額は、前期の為替レートで換算した金額をベースに算出している。
また、エネルギー(電気・天然ガス)価格の変動は、中長期契約に組み込まれた指数連動型請求書により顧客に転嫁している。この指数連動型は、エネルギー市場の価格変動に依存して、ある時期から別の時期に、売上高(主にラージ・インダストリー事業)に大きな変動をもたらす可能性がある。
エネルギー影響額は、ラージ・インダストリー事業の主要子会社の売上高をもとに算出している。これらを統合することにより、当グループ全体のエネルギーの影響を把握することができる。使用する外国為替レートは、N-1年の年平均為替レートである。そこで、子会社レベルでは、天然ガスと電力それぞれについて計算したエネルギーの影響を次式で表す。
・エネルギー影響額=年間エネルギーに対する販売指数の割合(N-1)×(年間の平均エネルギー価格(N)-年間の平均エネルギー価格(N-1))
この電気・天然ガスの指数の効果は、経常的営業利益には影響しない。
重要性の範囲の効果は、当グループにとって重要な規模の買収又は売却による売上高に対する影響に対応する。これらの連結範囲の変更は、次のとおり決定される。
■ 当期の買収については、当期の総額から当該期間の買収による貢献額を控除する。
■ 前期の買収については、当期の総額から当期1月1日から買収応当日までの買収による貢献額を控除する。
■ 当期の売却については、前期の総額から売却時の売却対象事業の貢献額を控除する。
■ 前期の売却については、前期の総額から売却対象事業の貢献額を控除する。
② 業績指標の算出(2025年)
**a-1.**比較可能ベースの売上高の推移と比較可能ベースの経常的営業利益の推移
売上高及び経常的営業利益の比較可能ベースの変動は、上記の通貨、エネルギー及び重要な連結範囲のインパクトを除外している。
| (百万ユーロ) | 2025年 | 2025/2024公表ベース成長率 | 為替影響 | 天然ガス影響 | 電気影響 | 重要性の範囲の影響 | 内部振替の影響 | 2025/2024比較可能ベース成長率 | |
| 売上 | |||||||||
| ガス&サービス | 26,085 | +1.1% | (872) | 194 | 41 | (4) | 396 | +2.0% | |
| 影響(%) | -3.3% | +0.7% | +0.2% | +0.0 | +1.5% | ||||
| エンジニアリング&テクノロジー | 855 | 該当なし | (14) | 0 | 0 | 0 | (396) | ||
| 影響(%) | -1.2% | -32.3% | |||||||
| グループ | 26,940 | -0.4% | (887) | 194 | 41 | (4) | 0 | +2.0% | |
| 影響(%) | -3.2% | +0.7% | +0.1% | 0.0% | |||||
| 経常的営業利益 | |||||||||
| ガス&サービス | 5,897 | +6.1% | (221) | 0 | 0 | 3 | 102 | 8.1% | |
| 影響(%) | -4.0% | - | - | +0.1% | +1.8% | ||||
| エンジニアリング&テクノロジー | 124 | 該当なし | 0 | 0 | 0 | 0 | (104) | ||
| 影響(%) | - | - | - | - | -44.2% | ||||
| グループ | 5,582 | +3.5% | (225) | 0 | 0 | 3 | 0 | +7.6% | |
| 影響(%) | -4.2% | - | - | +0.1% | - | ||||
**a-2.**南北アメリカにおける資産の内部移転が比較可能成長率に与える影響
当グループの変革イニシアチブの一環として、年初に南北アメリカにおける「ラージ・インダストリー事業」及び「工業事業」の各ビジネスライン間で内部資産移転が行われた。この内部移転に伴う重要な連結範囲の影響は、これら2つの事業の基礎的な業績を直接把握できるよう、相殺されている。
| 売上高 (単位:百万ユーロ) | 2025年第4四半期/2024年第4四半期の比較可能変動率 | 内部振替による影響資産 | 2025年第4四半期/2024年第4四半期の変動(相殺後の比較可能数値) | |
| 南北アメリカ | ラージ・インダストリー事業 | +3.2% | (17) | +8.0% |
| 影響率(%) | -4.8% | |||
| 工業事業 | +5.4% | 17 | +4.4% | |
| 影響率(%) | +1.0 | |||
| ガス&サービス | ラージ・インダストリー事業 | +0.2% | (17) | +1.2% |
| 影響率(%) | -1.0% | |||
| 工業事業 | +2.7% | 17 | +2.1% | |
| 影響率(%) | +0.6% | |||
| 売上高 (単位:百万ユーロ) | 2025/2024年度比較可能増減率 | 内部振替による影響資産 | 2025年度/2024年度の変動額(相殺後の比較可能数値) | |
| 南北アメリカ | ラージ・インダストリー事業 | +1.8% | (68) | +6.6% |
| 影響率(%) | -4.8% | |||
| 工業事業 | +3.8% | 68 | +2.9% | |
| 影響率(%) | +0.9% | |||
| ガス&サービス | ラージ・インダストリー事業 | -0.3% | (68) | +0.7% |
| 影響率(%) | -1.0% | |||
| 工業事業 | +2.4% | 68 | +1.9% | |
| 影響率(%) | +0.5% | |||
**a-2.**欧州及び南北アメリカにおける事業内部移管(グローバル市場&テクノロジーから工業事業へ)が比較可能成長率に与える影響
グループの変革イニシアチブの一環として、2025年1月1日付けでエンジニアリング&建設とグローバル市場&テクノロジーが統合され、新たなエンジニアリング&テクノロジーが発足した。単一の経営陣の下、共通のビジョンと目標を掲げるこの新組織は、より統合されたイノベーションサイクルを提供し、規模の経済と相互補完的な専門知識を活用することで、グループの競争力を強化し、成長に貢献することを目指している。一部の事業(主にバイオガス及び海事関連)は、グローバル市場&テクノロジーから工業事業へ移管された。
比較可能な成長率には、2025年第1四半期におけるグローバル市場&テクノロジーから工業事業への事業内部移管に伴う重要な連結範囲の影響は除外されているが、2025年の当該事業の成長に伴う寄与分は含まれている。
| 売上高 (%) | 比較可能成長への寄与度 2025年第4四半期 | 比較可能成長への寄与度 2025年度 | |
| 工業事業 | 南北アメリカ | -0.1% | -0.2% |
| 欧州 | -1.4% | +0.5% | |
| 工業事業商社合計 | -0.5% | 0.0% | |
| ガス&サービス | -0.2% | 0.0% | |
**b.**営業利益率及びエネルギーを除く営業利益率
営業利益率は、経常的営業利益を売上高で割った比率である。エネルギーの影響を除く営業利益率は、経常的営業利益(ラージ・インダストリー事業の顧客に再請求されるエネルギーコストによる影響を受けない絶対額)を、エネルギーの影響(為替影響を含む)を考慮して修正再表示した売上高で割ったものに相当する。経常的営業利益を売上高(エネルギー影響を修正再表示するかどうかにかかわらない)で割った比率は、小数点第2位を四捨五入して算出している。2期間の変動は、これらの四捨五入された比率の差として計算される。この差は、四捨五入によって、より正確な計算と比べて正又は負の差になる可能性がある。
| (百万ユーロ) | 2024 | 2025 | 天然ガス影響(a) | 電気影響(a) | 2025エネルギーを除く | 改善(b) 2025/2024 | |
| 売上 | グループ | 27,058 | 26,940 | 194 | 41 | 26,706 | |
| ガス&サービス | 25,810 | 26,085 | 194 | 41 | 25,851 | ||
| 経常的営業利益 | グループ | 5,391 | 5,582 | 5,582 | |||
| ガス&サービス | 5,555 | 5,897 | 5,897 | ||||
| 経常的営業利益率 | グループ | +19.9% | +20.7% | +20.9% | +100bp | ||
| ガス&サービス | +21.5% | +22.6% | +22.8% | +130bp | |||
(a) 考慮されたエネルギー影響に連動する通貨影響を含む。
(b) エネルギー影響を除く。
**c.**報告及び再表示CO2排出量
| (千トン、CO₂-eq.) | 2020 | 2024 | 2025 | 2025/2020変化 | 2025/2024 変化 |
|---|---|---|---|---|---|
| スコープ1:温室効果ガス(GHG)の直接排出量の合計(a) | 15,345 | 14,868 | 14,590 | -5.0% | -2.0% |
| スコープ2: GHGの間接排出量の合計(a) | 17,184 | 20,064 | 19,599 | +14.0% | -2.0% |
| 報告された総排出量(a) | 32,529 | 34,933 | 34,189 | +5.0% | -2.0% |
| 修正再表示している排出量の合計(b) | 39,289 | 34,933 | 34,189 | -13.0% | -2.0% |
(a) 当グループの実際の排出量(適用範囲の変更による、当該年度中のCO₂排出量への増減影響を含む)。
(b) 2020年及びそれ以降の各年について、スコープの変更に対応し、CO₂排出量に著しい影響(増加又は減少)を与える資産の排出量を、通年ベースで考慮して再計算したもの。
d.IFRS****第16号を除く償却前営業利益(炭素原単位の算定のため2015年為替レートにて算出)
| (百万ユーロ、千トン) | 2015 | 2025 | 2025/2015変化 |
|---|---|---|---|
| (A) 償却前経常的営業利益 | 4,033 | 8,145 | |
| (B) 為替影響(2015年)(a) | (776) | ||
| (C) IFRS第16号の影響(b) | 280 | ||
| (A)–(B)-(C)=(D) 炭素原単位算出に用いたEBITDA | 4,033 | 8,641 | |
| (E) CO2- 排出量換算(スコープ1 + 2(c))(千トン単位) | 29,413 | 34,189 | |
| 炭素原単位 (E)/(D) | 7.3 | 4.0 | -45.8% |
(a) 2015年の為替レートを使用し、ハイパーインフレ下であった国々を除いている。これらの国については、EBITDAは2025年のレートで換算されている。
(b) IFRS第16号の償却前経常的営業利益に与える影響は、賃借料の中立化を含んでおり、IFRS第16号に関連して計上された減価償却費等の金融費用に再統合されている。
(c) 特定の供給物資(市場ベース)から計算されたスコープ2の排出量。これにより、当グループは、GHGプロトコルが推奨する手法を採用した。
**e.**経常純利益グループ持分及び為替の影響を除いた経常的純利益グループ持分
経常純利益グループ持分は、経常的営業利益に影響を与えない例外的で重要な取引を除いた純利益グループ持分に相当する。
| 2024 | 2025 | 2025/2024変化 | |
|---|---|---|---|
| (A) 純利益(グループ持分) - 公表ベース | 3,306.1 | 3,517.9 | +6.4% |
| (B) OIRに影響を与えない例外的かつ重要な税引後取引 | |||
| ・売却目的で保有する資産及び戦略的見直しにより特定されたその他の資産の減損 | (103.9) | ||
| ・フランスの在宅医療事業の構造改革費用 | (55.7) | ||
| ・2025年のフランスにおける特別税負担に関連する寄与額 | (49.9) | ||
| ・欧州における事業再編費用 | (100.7) | ||
| ・過去に非経常項目として計上された項目の2025年における残存影響額 | (10.4) | ||
| (A)–(B) = 経常的純利益(グループ持分) | 3,465.7 | 3,678.9 | +6.2% |
| (C) 為替影響 | (122.2) | ||
| (A)–(B)-(C)=為替影響を除く経常的純利益(グループ持分) | 3,801.1 | +9.7% |
f.IFRS****第16号を除いた純利益及びIFRS第16号を除いた経常利益
IFRS第16号を除いた純利益
| 2024 | 2025 | |
|---|---|---|
| (A) 公表純利益 | 3,440.0 | 3,644.4 |
| (B)=IFRS第16号の影響(a) | (20.7) | (18.7) |
| (A)–(B)=IFRS 第16号を除く純利益 | 3,460.7 | 3,663.1 |
(a) IFRS第16号の影響には、リース費用から減価償却費を控除したもの及びIFRS第16号に関連して計上されたその他の金融費用の再統合が含まれている。
IFRS第16号を除いた経常純利益
| 2024 | 2025 | |
|---|---|---|
| (A) 公表純利益 | 3,440.0 | 3,644.4 |
| (B) OIRに影響を与えない例外的かつ重要な税引後取引 | (159.6) | (161.0) |
| (A)–(B) = 経常純利益 | 3,599.6 | 3,805.4 |
| (C) IFRS第16号の影響(a) | (20.7) | (18.7) |
| (A)–(B)-(C)=IFRS 第16号を除く経常純利益 | 3,620.3 | 3,824.1 |
(a) IFRS第16号の影響には、リース費用から減価償却費を控除したもの及びIFRS第16号に関連して計上されたその他の金融費用の再統合が含まれている。
**g.**効率性
効率性は、特定のプロジェクトに関する行動計画に基づくサステナブルなコスト削減を表している。効率性はプロジェクト単位で特定・管理される。それぞれのプロジェクトは、プロジェクトの性質(購買、オペレーション、人的資源等)に合わせて構成されたチームによって進められる。
**h.**使用資本利益率(ROCE)
税引き後使用資本利益率は、グループの連結計算書に基づき、当該期における次の比率を適用することにより算定される。
分子:IFRS第16号の影響を除外した純利益-対象期間に係る税引き後純金融費用
分母:過去3年の半期末(IFRS第16号を除く総株主資本+純負債)の平均
| (百万ユーロ) | 2024 =(a) | 2025上半期 =(b) | 2025 =(c) | ROCE計算 | |
| 分子(c) | IFRS第16号を除く純利益 | 3,663.1 | 3,663.1 | ||
| 純金融費用 | (242.5) | (242.5) | |||
| 実効税率(a) | 24.6% | ||||
| 税引き後純金融費用 | (182.8) | (182.8) | |||
| 純利益-税引き後純金融費用 | 3,845.9 | 3,845.9 | |||
| 分母 ((a)+(b)+(c))/3 | IFRS第16号を除く総資本 | 27,716.4 | 25,326.6 | 27,061.0 | 26,701.4 |
| 純負債 | 9,159.2 | 9,793.7 | 8,415.5 | 9,122.8 | |
| 総資本+純負債の平均 | 36,875.6 | 35,120.3 | 35,476.5 | 35,824.2 | |
| 使用資本利益率(ROCE) | 10.7% | ||||
(a)非経常的な税金の影響を除く。
**i.**経常的ROCE
経常的ROCEは、IFRS16を除いた経常的純利益を分子に用いて、ROCEと同様の方法で算出している。
| (百万ユーロ) | 2024 =(a) | 2025上半期=(b) | 2025 =(c) | 経常的ROCE計算 | |
| 分子 (c) | IFRS第16号を除く純利益 | 3,824.1 | 3,824.1 | ||
| 純金融費用 | (242.5) | (242.5) | |||
| 実効税率(a) | 24.6% | ||||
| 税引き後純金融費用 | (182.8) | (182.8) | |||
| IFRS第16号を除く経常的純利益-税引き後純金融費用 | 4,006.9 | 4,006.9 | |||
| 分母 ((a)+(b)+(c))/3 | IFRS第16号を除く総資本 | 27,716.4 | 25,326.6 | 27,061.0 | 26,701.4 |
| 純負債 | 9,159.2 | 9,793.7 | 8,415.5 | 9,122.8 | |
| 総資本+純負債の平均 | 36,875.6 | 35,120.3 | 35,476.5 | 35,824.2 | |
| 経常的ROCE | 11.2% | ||||
(a) 非経常的な税金の影響を除く。
(7)【追加情報】
アルゼンチンの業績への寄与度
アルゼンチンによる業績への寄与度は、グループ全体の連結数値と、アルゼンチン子会社のデータを除外した連結数値との差額として算出される。同様の方法が「ガス&サービス」事業にも適用される。
2025年第4四半期売上高の実質増減に対するアルゼンチンの寄与度
| 合計 | ラージ・インダストリー事業 | 工業事業 | ヘルスケア事業 | エレクトロニクス事業 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 南北アメリカ | +0.5% | +1.0% | +0.3% | +1.0% | - |
| ガス&サービス | +0.2% | +0.2% | +0.2% | +0.4% | - |
| グループ | +0.2% | - | - | - | - |
2025年通期売上高の実質増減に対するアルゼンチンの寄与度
| 合計 | ラージ・インダストリー事業 | 工業事業 | ヘルスケア事業 | エレクトロニクス事業 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 南北アメリカ | +0.7% | +0.9% | +0.5% | +2.2% | - |
| ガス&サービス | +0.3% | +0.2% | +0.3% | +0.7% | - |
| グループ | +0.3% | - | - | - | - |
| 成長率(%) | 2025/2024 公表ベース | エネルギー影響 | 為替影響 | 2025/2024 比較可能ベース | ||||||
| G | G | AI | ExA | G | Ai | ExA | G | Ai | ExA | |
| 売上 | -0.4% | +0.8% | +0.0% | +0.8% | -3.2% | -0.5% | -2.7% | +2.0% | +0.3% | +1.7% |
| OIR | +3.5% | -4.2% | -0.9% | -3.3% | +7.6% | +0.4% | +7.2% | |||
| G-OIR | +100bp | 影響なし | ||||||||
| RNP | +6.2% | +9.7% | +1.3% | +8.4% | ||||||
G=当グループ、Ai=アルゼンチンの影響、ExA=アルゼンチン除く
OIR=経常的営業利益、G-OIR=当グループ経常的営業利益マージン(エネルギー影響除く)、RNP=経常純利益
(8)【見通し】
当グループは、チームの総力を結集した取り組みと、事業モデルの高いレジリエンスを原動力として、2025年に過去最高水準の業績を達成した。厳しい事業環境下においても、堅固かつ分散された成長ドライバーを活用し、当グループは事業展開を加速させるとともに、高い事業運営力を維持した。
革新的なプロジェクトの実行や多数の商業的成功に加え、2025年は、韓国におけるDIG Airgasの買収契約の締結をはじめ、エア・リキードにとって価値創出につながる戦略的な取組が結実した年でもあった。さらに、2022年から2025年を対象期間とする戦略プランADVANCEは、計画どおり成功裏に完了した。
当グループは、2026年において、安定的な為替レートベースで営業利益率を+100ベーシスポイント改善し、併せて経常純利益の成長を実現できると強く確信している。
中長期的な成長の道筋に対する見通しをより明確にするため、当社は、利益率拡大に関する目標を引き上げ、かつ延長することで、高い事業運営力に対する自信を明確に示している。具体的には以下のとおりである。
■ エネルギーの影響を除き、2026年における営業利益率改善目標(+100ベーシスポイント)を確認
■ エネルギーの影響を除き、2027年に営業利益率をさらに+100ベーシスポイント改善する新たな目標を設定
■ これにより、2022年から2027年までの6年間における累積の改善目標は+560ベーシスポイントとなる
こうした強化された目標は、価値創出と持続的なパフォーマンスに対する当グループのコミットメントを明確に示すものである。
当グループは、この中長期的な財務成長の道筋を支える要素を示すため、2026年後半にキャピタル・マーケッツ・デーを開催する予定である。
5 【重要な契約等】
上記「第3 事業の状況 4.(5)投資循環及び資金調達」の記載などを参照。
6 【イノベーション】
① イノベーションとテクノロジー、私たちのインパクトを牽引するもの
イノベーションとテクノロジーは、エア・リキードの戦略を牽引する原動力であり、グループの収益性の高いサステナブルな成長と新規市場の開拓に貢献している。従業員の専門知識と、顧客や患者のニーズに応える革新的なソリューションを開発・市場投入する能力により、これらは将来に向けた新たな機会を生み出している。
2025年のグループのイノベーション費用は3億100万ユーロに達した。イノベーション費用とは、OECDの定義に基づくもの、すなわち、研究開発(R&D)、新製品・新サービスの市場投入、及びマーケティングにかかる支出を指す。この金額は近年安定しており、成長市場におけるイノベーションのポートフォリオを開発・維持するという当グループの取組を如実に示している。
2025年現在、5600名の従業員がイノベーション、エンジニアリング、テクノロジー部門に従事し、新サービス及び新製品の開発や事業化に貢献している。
| ・3億100万ユーロのイノベーション支出 ・320件の新規特許 ・学界、産業界のパートナー、スタートアップ企業との300のパートナーシップ |
|---|
特許取得済みの発明は、当グループの競争力と製品の差別化に寄与するとともに、技術革新の能力を如実に示している。2025年には、世界各地で320件の新規発明が最初の特許出願として提出され、エア・リキードは業界における新規特許出願数でトップの座を占めている。2025年、エア・リキードは、エネルギー転換に関する国際特許ファミリーを750件以上、水素に関するものを450件、極低温プロセスを用いたCO₂回収に関するものを250件保有している。エレクトロニクス事業では、300件の国際特許ファミリーを有している。エア・リキードのグローバルなポートフォリオは、約14,000件の特許及び特許出願で構成されている。
② 本質に焦点を当てる
イノベーションの市場投入までの期間を短縮し、その効果を最大化するため、エア・リキードのイノベーション活動は、低炭素生産技術、デジタル技術及び人工知能(AI)による産業パフォーマンスの向上、そして顧客向けアプリケーションという、いくつかの重要な優先事項に焦点を当てている。
イノベーション支出(百万ユーロ)(a)
| 2016年 | 288 |
|---|---|
| 2017年 | 292 |
| 2018年 | 300 |
| 2019年 | 317 |
| 2020年 | 303 |
| 2021年 | 304 |
| 2022年 | 308 |
| 2023年 | 309 |
| 2024年 | 309 |
| 2025年 | 301 |
(a) Schülkeの売却に関連する2020年からの波及効果 。
2025年のイノベーション支出(総額3億100万ユーロ)
| 低炭素生産技術 | 37% | |
| ヘルスケア事業 | 18% | 47% 顧客・患者向け |
| ディープテック産業 | 16% | |
| 先端材料 | 13% | |
| 工業パフォーマンス向上のためのデジタル及びAI | 16% |
**a.**低酸素生産技術
エア・リキードは、持続可能な開発目標の一環として、2050年までにカーボンニュートラルを達成することを目指している。自社の排出量を削減し、顧客の排出量削減を支援するため、当グループは産業規模でサステナブルな技術ソリューションの革新と開発に取り組んでいる。
2025年、当グループは水電解による再生可能水素の生産において大きな進展を遂げた。2023年に正式に発表された「エア・リキード・ノルマンディ」プロジェクトは、2026年に稼働開始する見込みだ。 フランスのPort-Jérômeに設置されるこの200MW規模の大型電解装置により、年間最大25万トンのCO₂排出を削減することが可能となる。また、2025年には、オランダに200MWの電解装置「ELYgator」を建設するための最終投資決定も行った。当グループは、この電解装置の建設、所有、運営に5億ユーロ以上を投資し、特に長期契約に基づきTotalEnergiesの産業プラットフォームへ供給を行う。ELYgatorプロジェクトは、産業及び大型輸送向けに年間2万3000トンの再生可能水素を生産し、それによって稼働年あたり最大30万トンのCO₂排出量を削減する。 両プロジェクトとも、電解装置スタックを製造するエア・リキードとシーメンス・エナジーのギガファクトリーに依存している。並行して、エア・リキードのイノベーションチームは、当グループが既に稼働させている小規模な電解装置(特に、2024年からドイツのオーバーハウゼンで当グループが稼働させている20MWのPEM電解装置「Trailblazer」)からのデータを活用し、大規模電解装置の最適な運転条件を特定している。
2025年、エア・リキードはベルギーのAntwerp-Bruges港において、世界初の産業規模のアンモニア分解パイロットプラントの稼働を開始した。水素と窒素から構成されるアンモニア(NH3)は、水素の長距離輸送を可能にする。このパイロットプラントは、産業規模でのアンモニア分解の実現可能性を実証するとともに、水素輸送の課題に対処し、新たな低炭素水素サプライチェーンへの道を開くものである。 2024年末、エア・リキードは、ベルギーのAntwerp-Bruges港に欧州初となる大規模アンモニア分解プラント及び革新的な水素液化設備を建設・運営するプロジェクトにおいて、欧州委員会イノベーション基金から1億1000万ユーロの助成金を受けることが決定した。このアンモニア分解技術は、エア・リキードの低炭素水素事業ポートフォリオを強化するものである。
炭素回収・利用・貯留(CCUS)は、排出削減が困難な産業にとって不可欠である。エア・リキードの独自技術ポートフォリオ「Cryocap™」は拡大を続けている。フランスPort-Jérômeに最初の産業用プラントが稼働したのに続き、フランスGrandpuitsでは2026年の稼働に向け、Cryocap™プラントの建設が最終段階に入っている。また、Rotterdam港に設置される大規模なCO₂回収プラントの建設も進行中である。このプラントは、欧州最大級の炭素回収・貯留(CCS)インフラの一つであるPorthosインフラに接続され、同地域のCO₂排出量を年間250万トン削減することを目指している。さらに、エア・リキードは、2025年3月に最終投資決定(FID)が行われたストックホルムExergi(スウェーデン)プロジェクトに対し、同社のCryocap™ LQ技術を提供する。2028年に稼働開始予定のこの施設により、北海海底への生物由来CO₂の安全な隔離が可能となる。
当グループはパートナー企業と共に、回収したCO₂の有効活用についても模索している。2023年より、当グループのディープ・テック・スタートアップアクセラレーターであるAccelairは、大気中からCO₂を回収し、単一のプロセスでメタノール(CH₃OH)に変換する革新的な技術を開発しているフランスのスタートアップ企業Aerleumを受け入れている。2024年以降、エア・リキードはパートナーであるMAN、ETA Florence Renewable Energies、及び4つの大学パートナー(CERTH、Sant’Anna、LRGP、TU Delft)と共同で「M2are」プロジェクトに取り組んでいる。エア・リキードが調整役を務めるこのプロジェクトは、海運部門のCO₂排出量削減を支援するため、生物由来のCO₂と再生可能水素(H₂)から「海運向けメタノール」を製造する新プロセスの開発を目指している。
**b.**産業パフォーマンス向上のためのデジタル技術とAIの活用
| ・全世界のエア・リキード拠点で毎日収集している35億のデータポイント ・データとAIを活用した500以上のプロジェクト |
|---|
長年にわたり、デジタル技術とAIは当グループの事業パフォーマンスを牽引する主要な原動力となってきた。グループの産業部門と緊密に連携し、生成AIを活用することで、エア・リキードのイノベーションチームは産業パフォーマンスを新たな次元へと引き上げている。
サプライチェーン、生産、流通、顧客体験といったバリューチェーン全体、そしてグループの全ビジネスラインにおいて、イノベーションチームは、業務の安全性、信頼性、効率性、柔軟性を最適化するための革新的なソリューションを設計している。
予測データ分析と人工知能(AI)を活用することで、8つの「スマート&イノベーティブ・オペレーション(SIO)センター」は、当グループが各事業所の生産を遠隔で管理し、エネルギー消費を最適化することを可能にしている。新たなAI技術を統合したこれらの連携センターは、特定の状況下における生産ユニットの最適なパフォーマンスを予測し、そのパフォーマンスをリアルタイムで評価するとともに、従業員による複雑な分析を支援する。一方でエネルギー生産の多様化や間欠性が増し、他方で需要の変動が激化する状況において、これらのAIベースのモデリングツールは、複数の生産ユニットを統合した産業拠点の規模でも開発されており、相補性の論理を通じて各事業所の運用を最適化している。
生産と、他方で需要の変動が激化しているという状況下において、これらのAIベースのモデリングツールは、複数の生産ユニットを組み合わせた産業拠点の規模でも開発されており、相補性の考え方を通じて各事業所の運営を最適化している。
並行して、エア・リキードはデジタル技術とAIを活用し、バルクガス及びシリンダーガスの流通をさらに最適化・標準化するとともに、工業事業における顧客体験の向上を図っている。
バリューチェーンの最終段階において、人工知能は顧客や患者との関係構築を促進し、従業員を支援し、顧客体験を最適化するための価値のあるツールでもある。
**c.**顧客及び患者向けアプリケーション
新たな市場と機会を開拓するため、エア・リキードは顧客と共に絶えず革新を続け、従業員の科学的知識と技術的専門知識を活かして新しいアプリケーションを開発している。
① エレクトロニクス分野の顧客向け
半導体産業は急速に成長している分野であり、コンピュータ、インターネットサーバー、スマートフォンを支えるデータプロセッサ、メモリ、ディスプレイの基盤を形成している。ガスとサービスの半導体産業向けの世界的なリーディングサプライヤーとして、エア・リキードは、より高性能でエネルギー効率に優れた半導体の製造を可能にする超高純度ガスや先端材料を提供するために、絶えず革新を続けている。
2024年に革新的な先端材料製品「Subleem™」の商業販売を開始したことを受け、エア・リキードは世界最大規模のモリブデン製造プラントの稼働を開始した。韓国京畿道華城に位置するこのプラントは、超純度モリブデン分子の製品群である「Subleem™」に加え、業界初となる専用供給システムを、主要な半導体メーカーに提供する。Subleem™は、半導体チップメーカーとの緊密な連携のもとで開発・認証された。チップ製造の従来材料であるタングステンの有望な代替材料として台頭しているモリブデンは、この分野に革命をもたらし、人工知能(AI)アプリケーションの急速な普及を背景に、最先端の次世代メモリお及びロジックチップの設計を可能にしている。
② ディープテック分野の顧客向け
超低温技術の分野で長年にわたり培ってきた経験を持つエア・リキードは、極低温工学(ガスの液化・貯蔵、及び極低温流体の供給)における専門知識を活かし、主要な科学技術プロジェクトを支援している。
こうした主要プロジェクトの一つに、ITER実験用核融合炉がある。このプロジェクトにおいて、エア・リキードの大規模極低温冷却システムは、4ケルビンという極低温で液体ヘリウムを初生成した。
2025年、最先端技術(高フラックス同位体炉(HFIR)お及び超伝導高周波(SRF))に取り組む2つの科学機関が、エア・リキードの実績ある極低温ユニット技術を採用した。
エア・リキードは、超伝導技術を用いて洋上風力発電所と陸上を結ぶ実証プラントの開発を目的とした、欧州の主要プレーヤーが集結したコンソーシアム「SupraMarine」プロジェクトにも参画している。エア・リキードは、ケーブルを超伝導状態で維持するために不可欠な「Turbo-Brayton」技術を搭載した極低温装置を提供する。また、システムの熱性能に関する詳細な研究を実施し、すべての極低温運用を監督する。超電導ケーブルは、抵抗ゼロかつ損失をほぼゼロに抑えながら膨大な量の電力を輸送できるため、エネルギー転換を加速させることが期待されている。また、当社の「Turbo-Brayton」技術は、VEIRのSTARパイロット実証施設においても、データセンター向けの高温超電導(HTS)ケーブルの冷却に活用される予定である。
エア・リキードはまた、CEA(フランス原子力・代替エネルギー委員会)お及びCNRS(フランス国立科学研究センター)が主導する「Cryonext」プログラムにも参画している。同プログラムは、フランスにおける量子コンピューティング分野の実用化に向けた開発・展開に必要な、極めて複雑な冷却インフラの急速な進展と産業化を目的としている。
50年以上にわたり宇宙産業のパートナーとして、これまでに263回のアリアンロケット打上げ実績を持つエア・リキードのチームは、2025年のアリアン6号の初商業飛行の成功に貢献した。エア・リキードは、フランス領ギアナのKourouにある発射台において、極低温配管及び機器を提供し、すべての極低温機器のメンテナンスと運用を担った。また、当グループは、すべてのロケット準備工程に必要な流体(窒素お及びヘリウム)に加え、推進用の流体として、特に液体水素及び液体酸素も供給した。搭載された観測衛星CSO-3には、CNESと共同開発した極低温冷却技術が採用されており、これにより、こうした観測衛星に求められる極めて高い解像度を実現している。エア・リキードは、ヘリウム圧力調整器を供給することで、2025年に成功を収めた2回のニュー・グレン・ロケットの打上げにも貢献した。
③ 産業分野の顧客向け
エア・リキードは、様々な産業分野において、顧客のプロセスの効率性とサステナビリティの向上を支援している。
電池分野において、必須の低分子化合物は、金属の採掘や精製から使用済み電池のリサイクルに至るまでのバリューチェーン全体で極めて重要な役割を果たしている。2025年、エア・リキードはこの分野におけるイノベーション活動を加速させた。特に、研究開発チームは正極活物質の製造に関する技術革新を進めており、高ニッケル系や高電圧中ニッケル系材料を含む、現行お及び次世代の正極において、顧客が性能とサイクル安定性を向上させることを支援している。さらに、エア・リキードは、固体電池などの最先端の電池技術を実現するために、人工界面(リチウム含有薄膜)の形成を可能にする独自の化学技術を開発した。また、もう一つの戦略的重点分野として、革新的な湿式冶金プロセスを用いた先進的なバッテリーリサイクルに取り組んでいる。主な技術的ブレークスルーには、100%の変換効率で高効率な炭酸リチウム精製を実現するCO₂の利用や、ブラックマスからリチウムを選択的に抽出するためのO₂加圧浸出法などが挙げられる。これらのイニシアチブは、成長を続けるバッテリー市場におけるグループの目標を直接的に支えると同時に、世界有数のバッテリーメーカーやリサイクル事業者との重要な技術的連携を促進している。
燃焼プロセスの最適化は、ガラス、セメント、非鉄金属業界の顧客にとっても重要なイノベーションの焦点となっている。2025年、当グループは、ブラジルのCampo Bom事業所でVeralliaが稼働を開始した新しい酸素燃焼炉に、HeatOx™技術を導入した。HeatOx™は、燃焼熱の一部を回収し、使用する酸素と天然ガスの予熱に利用する。酸素燃焼とHeatOx™技術の組み合わせにより、CO₂排出量を最大45%削減することが可能となる。並行して、エア・リキードのイノベーションチームは、顧客の事業所において天然ガスを水素に置き換えるための実証試験を継続した。セメント産業向けの低炭素特殊バインダーの製造を目的としたImerysとの「Precize」プロジェクトの一環として、エア・リキードのチームはデュアルフレーム式バーナーを開発し、ダンケルクにあるImerysのパイロット炉で試験を行った。このバーナーは、さまざまなガス混合比や出力条件に対応可能であり、他の産業プロセスにも活用できる汎用性を備えている。
④ ヘルスケア分野の顧客向け
2025年、エア・リキードは、接続型シリンダーの新たなシリーズ「OYAN™」を導入した。OYAN™は、医療従事者と共に、そして医療従事者のために設計され、ガスシリンダー管理の複雑なプロセス(リアルタイム在庫管理、シリンダー追跡、在庫最適化)を簡素化し、医療従事者が医療活動に専念できるようにする。現在、ヨーロッパでは病院、介護施設、救急サービスなどで13万本のOYAN™シリンダーが使用されている。
第4【設備の状況】
1【設備投資等の概要】
当グループは、化学、金属、石油などのラージ・インダストリー事業、半導体などのハイテク産業を含むエレクトロニクス事業、病院、在宅医療、公衆衛生などのヘルスケア事業などあらゆる産業ガス、及びその関連産業事業における製品を製造、供給している。当グループの設備は、顧客に最も近い場所における製造、供給を目指しているため、オンサイトガス製造供給システムを多く採用している。それ以外にパイプライン、ガス供給機器の製造工場、研究施設、営業施設などが主な設備である。
セグメントごとの設備の状況については、「第2 企業の概況 3 事業の内容」の記載を参照されたい。
2025年12月31日現在における既存設備の帳簿価格は、「第6 経理の状況 1 財務書類 (1)連結財務書類」の注記12(有形固定資産)のとおりである。
2【主要な設備の状況】
上記「第2 企業の概況 3 事業の内容」「第3 事業の状況 1(2)戦略プラン・中期目標」等を参照。
3【設備の新設、除却等の計画】
上記「第3 事業の状況 1(2)経営計画及び中期目標」「第3 事業の状況 4(2)損益計算書」「第3 事業の状況 4(5)投資循環及び資金調達」における設備投資に関する記載を参照。
第5【提出会社の状況】
1 【株式等の状況】
(1)【株式の総数等】
①【株式の総数】
| 2025年12月31日現在 | ||
|---|---|---|
| 授権株数 | 発行済株式数 | 未発行株式数 |
| (1) | 579,384,423株 (2) | (1) |
(1)2025年5月6日付株主総会にて、取締役会は、以後26か月間で470百万ユーロまで、資本金を増加する権限を付与されている。
(2)資本金は3,186,614,326.50ユーロであり、額面金額は1株あたり5.5ユーロとなっている。
②【発行済株式】
| 2025年12月31日現在 | ||||
| 発行済株式 | 記名・無記名の別及び額面・無額面の別。券面額。 | 種類 | 発行数 | 上場証券取引所名又は登録証券業協会名 |
| 額面5.5ユーロ | 普通株式 | 579,384,423 | ユーロネクスト(パリ)証券取引所 |
(2)【行使価額修正条項付新株予約権付社債検討の行使状況等】
該当事項なし。
(3)【発行済株式総数及び資本金の推移】
| 2025年12月31日現在 | |||||
| 年月日 | 発行済株式総数 | 資本金 | 摘要 | ||
| 増減数(株) | 残高(株) | 増減数 | 残高 | ||
| 単位:ユーロ | 単位:ユーロ | ||||
| 2021.2.9 | 71,277 | 473,660,724 | 392,023 | 2,605,133,982 | ストックオプション行使 |
| 2021.7.28 | (165,000) | 473,495,724 | (907,500) | 2,604,226,482 | 自己株式の消却 |
| 2021.9.29 | 279,134 | 473,774,858 | 1,535,237 | 2,605,761,719 | ストックオプション行使 |
| 2021.12.9 | 1,098,738 | 474,873,596 | 6,043,059 | 2,611,804,778 | 従業員向け増資 |
| 2022.2.15 | 417,441 | 475,291,037 | 2,295,926 | 2,614,100,704 | ストックオプション行使 |
| 2022.5.31 | 179,795 | 475,470,832 | 988,873 | 2,615,089,576 | ストックオプション行使 |
| 2022.5.31 | 47,547,083 | 523,017,915 | 261,508,957 | 2,876,598,533 | 無償交付(10株につき1株) |
| 2022.5.31 | 1,358,416 | 524,376,331 | 7,471,288 | 2,884,069,821 | 無償交付(100株につき1株) |
| 2022.7.27 | (1,098,900) | 523,277,431 | (6,043,950) | 2,878,025.871 | 自己株式の消却 |
| 2023.2.15 | 172,840 | 523,450,271 | 950,620 | 2,878,976,491 | ストックオプション行使 |
| 2023.9.29 | (120,000) | 523,330,271 | (660,000) | 2,878,316,491 | 自己株式の消却 |
| 2023.9.29 | 364,079 | 523,694,350 | 2,002,435 | 2,880,318,925 | ストックオプション行使 |
| 2023.12.7 | 746,401 | 524,440,751 | 4,105,206 | 2,884,424,131 | 従業員向け増資 |
| 2024.2.19 | 76,027 | 524,516,778 | 418,149 | 2,884,842,279 | ストックオプション行使 |
| 2024.4.30 | (627,000) | 523,889,778 | (3,448,500) | 2,881,393,779 | 自己株式の消却 |
| 2024.6.3 | 301,422 | 524,191,200 | 1,657,821 | 2,883,051,600 | ストックオプション行使 |
| 2024.6.3 | 52,419,120 | 576,610,320 | 288,305,160 | 3,171,356,760 | 無償交付(10株につき1株) |
| 2024.6.3 | 1,492,853 | 578,103,173 | 8,210,692 | 3,179,567,452 | 無償交付(100株につき1株) |
| 2025.2.20 | 156,090 | 578,259,263 | 858,495.00 | 3,180,425,947 | ストックオプション行使 |
| 2025.9.30 | 242,461 | 578,501,724 | 1,333,536 | 3,181,759,482 | ストックオプション行使 |
| 2025.12.9 | 848,773 | 579,350,497 | 4,668,252 | 3,186,427,734 | 従業員向け増資 |
(注)2025年9月1日から同年12月31日までに、33,926個のオプションが行使され、その結果、2025年12月31日時点において、発行済株式総数は579,384,423株となり、資本金は3,186,614,326.50ユーロになった。
(4)【所有者別状況】
| 2025年12月31日現在 | |
|---|---|
| 比率 | |
| 個人投資家 | 33% |
| フランスの機関投資家 | 13% |
| フランス以外の機関投資家 | 54% |
| 当社(自社株) | >0% |
| 合計 | 100% |
(5)【大株主の状況】
当社は2020年9月29日付で、BlackRockから以下の株式保有の申告を受けており、当社が認識する限り、他の株主で、直接又は間接に、単独又は共同で、当社の5%以上の資本又は議決権を保有する者は存在しない。
| 氏名又は名称 | 住所 | 所有株式数 (千株) | 発行済株式総数に対する所有株式数の割合(%) |
|---|---|---|---|
| BlackRock | 55 East 52nd Street, New York, 10055, United States | - | 5.02% |
| 計 | - | 5.02% |
2 【配当政策】
当グループの配当政策は、収益の恒常的な成長に基づいており、それが恒常的な配当の増加をもたらす。近年の配当性向については、「第2 企業の概況 1 主要な経営指標等の推移」を参照。
| 年度 | 支払日 | 通常配当(1) ロイヤルティ配当(2) | 株式総数 | 配当額(ユーロ) |
|---|---|---|---|---|
| 2021 | 2022.5.18 | 2.90 0.29 | 475,291,037 134,993,503 | 1,378,344,007 39,148,116 |
| 2022(5) | 2023.5.17 | 2.95 0.29 | 522,157,782 146,796,994 | 1,540,365,457 42,571,128 |
| 2023(5) | 2024.5.22 | 3.20 0.32 | 522,790,331 149,124,155 | 1,672,929,059 47,719,730 |
| 2024(5) | 2025.5.21 | 3.30 0.33 | 576,946,413 167,367,655 | 1,903,923,163 55,231,326 |
| 2025(3)(4) | 3.70 0.37 | 579,384,423 165,796,301 | 2,143,722,365 61,344,631 |
(1) 全ての株主に配当される通常の配当。
(2) 2年間中断することなく、株主の地位を継続した場合にのみ支払われる配当。
(3) 2026年5月5日の株主総会による承認を前提とする。
(4) 2025年については、2025年12月31日時点の株式総数により算定・配当される理論上の金額。
(5) 2022年、2023年及び2024年度については、実際の支払額。
3 【コーポレート・ガバナンスの状況等】
(1)【コーポレート・ガバナンスの概要】
①【コーポレート・ガバナンス・コード】
当社取締役会は、当グループの従前からの運用を継続し、AFEP/MEDEF(フランス民間企業経営団体)の上場会社のコーポレート・ガバナンス・コードを、当社が自主的に参照するコードとする旨を確認した。改訂されたコードの最新版は、https:///hcge.fr/wp-content/uploads/2023/09/Afep_Medef_Code_revision_2022 _EN.pdfのウェブサイトで閲覧できる。
指名統治委員会及び報酬委員会は、2022年12月に改正されたAFEP/MEDEFコードに関して、当社における現在の運用を検討した。
当社は、当社における運用は、AFEP/MEDEFコードの推奨事項に準拠していると考えており、フランス商法第L.22-10-10条に定めがあり、2022年12月に改訂されたAFEP/MEDEFコード第28.1条で引用される「適用又は説明」の規定に基づき設定された、要点の記載事項はない(下記の「第5 提出会社の状況 3(1)⑫ AFEP/MEDEFコーポレート・ガバナンス・コードの適用(要点)」を参照)。
2025年12月のHaut Comité de Gouvernement d’Entreprise (フランスコーポレート・ガバナンス高等委員会、HCGE)の報告書と2025年12月に公表されたフランスの金融市場当局(AMF)のコーポレート・ガバナンス及び上場企業の執行役員報酬に関する報告書は各関係委員会で検討され、取締役会において報告された。取締役の職業倫理、取締役会に適用されるダイバーシティ方針、並びに取締役会及び各委員会の構成、役割、運営方法に関する規定は、取締役会規則にて取り決められている。最新の取締役会規則は、当社のウェブサイト(https://www.airliquide.com/sites/airliquide.com/files/2025-10/internal-regulations-of-the-board-of-directors-september-2025.pdf)において全文が掲載されている。
②【ガバナンス体制:取締役会会長と最高経営責任者の機能の分離】
当社のガバナンスは、株主の権利、権限のバランス及びベスト・プラクティスを保証し、当グループの課題に適切に対応するための努力によって、歴史的に形作られてきている。
2022年取締役会会長は分離型ガバナンス体制を選択した。それ以来、ブノワ・ポチエ氏が取締役会会長を、フランソワ・ジャコウ氏が最高経営責任者(CEO)を務めている。フランソワ・ジャコウ氏は、2022年5月の株主総会において取締役にも選任された。
2026****年5月時点のガバナンス体制
2026年2月、取締役会は指名統治委員会の勧告に基づき、分離型ガバナンス体制を維持し、2026年5月5日の定時株主総会終了をもって任期満了となるフランソワ・ジャコウ氏を最高経営責任者として、またブノワ・ポチエ氏を取締役会会長として再任する意向を示した。実際、取締役会は、会長と最高経営責任者の役割の相補性を活用することで行動範囲を拡大できる既存のガバナンス体制が、当グループにとって現在の課題に最も適したものであると考えた。
したがって、取締役会は、ブノワ・ポチエ氏及びフランソワ・ジャコウ氏の取締役としての任期を4年間延長することを株主総会に提案することを決定した。
すでに着々と進められている経営体制の移行の一環として、2022年に取締役会会長に法定の職務に加えて割り当てられた具体的な職務は調整され、今後は主に機関としての代表業務及び長期的なイノベーションの重点分野に集中することになる。これにより、当グループは引き続き、この分野における会長の豊富な経験の恩恵を受けることができる。さらに、筆頭取締役、指名統治委員会、及び最高経営責任者(CEO)と緊密に連携し、自身の後継者選定に関する業務にも引き続き関与する。
独立取締役であるグザビエ・ヒラード氏に委ねられている筆頭取締役の職務は、引き続き維持される。
**a.**最高経営責任者の権限
執行役員の一人として、最高経営責任者はただ一人当社の業務を管理監督しており、定款や内部規則に規定された取締役会の事前の承認を要する一定の決定事項はあるものの、あらゆる状況において当社の名で行為する最も広い権限を委ねられている。フランソワ・ジャコウ氏は、エア・リキード・エス・エーの取締役でもあり、同社の取締役会の審議にも参加している。
最高経営責任者の権限の制限
定款第13条に従い、取締役会の事前承認又は取締役会からの情報提供の対象となる決定事項を、取締役会規則に定めている。
| 定款第13条に従い、以下の決定事項については、取締役会による事前の承認又は情報提供が必要とされる。 また、当グループ(当社及び当社子会社を含む)の「子会社」(当社が支配する会社をいう)については、当該子会社について明示的に以下に列挙する場合には、取締役会の事前の承認・情報提供が必要となる。 ■ 個別に1億ユーロ又は年間で累計5億ユーロを超える当社による担保、裏書及び保証は、取締役会による特別の決議に服する。 ■ 当社及び当社子会社に関する以下の外部向け売却又は拠出(当グループが過半数支配を有する会社を除く) - 不動産であって、個別に8000万ユーロ又は年間で累計1.5億ユーロを超えるもの - エクイティ出資であって、個別に2.5億ユーロを超える、又は年間で累計4億ユーロを超えるもの - 合併、会社分割、事業譲渡であって、個別に2.5億ユーロ又は年間で累計4億ユーロを超えるものについては、以下に規定するとおり当社に適用される特別条項に従う - ビジネスラインであって、個別に2.5億ユーロ又は年間で累計4億ユーロを超えるもの 当社に関しては、個別に2.5億ユーロ又は年間で累計4億ユーロを超える、当社の名において行う外部拠出又は事業の譲渡につき、取締役会の承認を要する。合併、会社分割又はそれらと等しい取引であって合併・会社分割に適用される枠組みに従うものについては、取締役会の承認を要する。取締役会は、該当する場合には、取締役会が定める金額と条件において、それらの取引を締結する権限を最高経営責任者(又は、該当する場合には、会長兼最高経営責任者)に委譲することができる。 ■ 個別に8000万ユーロ又は年間で累計1.5億ユーロを超える質権又は抵当権の設定 ■ 当社及び当社子会社について、動産又は不動産、財産又は知的財産を問わず、貸借対照表上の「固定資産」とされるものへの(i)投資又は(ii)取得、あるいは、株式の引受けであって、個別に2.5億ユーロ又は年間で累計4億ユーロを超えるもの 取締役会は、(i)貸借対照表上の「固定資産」とされないもの(電気や天然ガス)の購入、及び(ii)第三者に対する製品又はサービスの建設又は作業であって、個別に2.5億ユーロを超えるものについて、可能であれば事前に、少なくとも事後に、通知を受ける。 取締役会は、段階的な投資計画の承認を要求するものとする。 ■ 当社及び当社子会社に関する資金調達であって、当グループの財務構造を実質的に変更することとなる金額のもの ■ 取締役会により決定された当グループの戦略を実質的に変更する行為 年間の上限に達して取締役会の承認を必要とする場合、取締役会は、適当と認める場合には、当初付与した承認金額の全部又は一部を更新することができる。 さらに、当グループの情報システムの基本的な修正の場合において、2.5億ユーロを超える投資につながる場合は、取締役会は事前に情報を与えられるものとする。 |
|---|
**b.**取締役会会長の現在の任務
取締役会会長は、取締役会の業務を整理及び管理し、株主総会に報告する。会長は、取締役会の招集の責任を負う。取締役会会長は、取締役会の日時及び議事を策定し、議事進行を管理し、議論を主導する。
取締役会会長は、当社の組織の円滑な運営に責任を負う。会長の役割は、取締役がそれぞれの任務を完遂することができるよう保証することである。その一部として、会長は、彼らがその任務を効果的に完遂するのに必要な情報が利用可能であることを確認する。
継続性を維持するため、ブノワ・ポチエ氏の長期にわたるエア・リキードのトップとしての経験及び当グループに対する深い知識を踏まえ、同氏は2022年、取締役会から、経営権の移行の期間中、取締役会会長に法的に与えられている以上の特定の任務を委任された。
以下の具体的な職務は、取締役会規則に記載されている最高経営責任者と相談しながら、以下のとおり実施されるものとする。
| ■ 会長は、当グループ全体の戦略及び組織の定義に関する重要な決定に関与する。 ■ 会長は、最高経営責任者の要請に応じて、戦略的問題に光を当てるため、これらの議事事項に関する経営陣の内部会合に出席することができる。 ■ 会長は、最高経営責任者と密接に協力し、政府当局、戦略的なパートナー及び利害関係者との関係において、当グループ(組織上の役割に従い)を代表することができる。 ■ 会長は、最高経営責任者と密接に協力し、ガバナンスに関する事項(最高経営責任者と合意の上でより特別の問題についても)について主要株主と面談することができる。会長は、最高経営責任者に報告を絶やさないものとする。会長は、当グループの株主戦略をモニタリングし、株主コミュニケーション委員会の主宰を継続する。 ■ 会長は、当グループに対してその経験を提供し、当グループの価値と文化が維持されることを保証する。 会長は、指名統治委員会及び報酬委員会に出席する。会長は、指名統治委員会により主導された取締役の採用に関して積極的な役割を担う。会長は、その任務の進捗につき取締役会に報告する。 |
|---|
c. 2025****年度の取締役会会長の活動報告
取締役会規則に定めるとおり、取締役会会長は、過去1年間の職務の執行状況を取締役会に報告した。
当期間において、ブノワ・ポチエ氏は、取締役会会長としての伝統的な職務に加えて、以下のとおりの職務を担当した。
■ 2025年1月にダボスで開催された世界経済フォーラムや英仏シンポジウム、2025年9月にエビアンで開催されたフランスとドイツの間での会合等、国家及び欧州レベルの公的機関が主催する多数のイベントに参加し、当グループを代表して(組織を代表する職務の一環として)参加した。
■ 当グループに関連するテーマを扱う組織の活動にも参加した。ブノワ・ポチエ氏は、全国水素カウンシルの共同議長を務め、水素協議会、ERT(欧州ラウンドテーブル)、アジアビジネス協議会の会合にメンバーとして定期的に参加している。
■ 最高経営責任者及び執行委員会の一部メンバーと共に随時、特に当グループの戦略に関する会議に出席した。
■ 2025年5月6日の株主総会において株主との意見交換を行った。この質疑応答は、株主と会長との意見交換の重要な機会であった。
■ 株主コミュニケーション委員会の3回の会議で委員長を務め、同委員会の12名の株主と徹底した議論を行った。
■ 毎年開催している投資家との会合の一環として、2025年には6人の大株主と面会し、ガバナンスのテーマについて議論した。
③【取締役会の構成】
| 2025年12月31日時点の取締役会 | ||||
| 14名 | ||||
| 独立取締役(a) | 従業員代表の取締役 | 比率(a) | 国籍 | 取締役の平均在任期間 |
| 83% | 2 | 女性:42% 男性:58% | 5 | 6年 |
(a) この割合の計算には、従業員代表の取締役は考慮されていない。
2025年12月31日現在、取締役会は14名で構成されており、うち12名が株主総会で選任されている。1名は業務執行メンバー(最高経営責任者)、13名は非業務執行メンバー(1)である。5名が外国人(ドイツ人、米国人、イタリア人、中国(香港)人)であり、2名が従業員代表の取締役である。
昨年度における取締役会及び委員会の変更点は以下のとおりである。
■ 2025年5月6日の株主総会において、グザビエ・ヒラード氏、アイマン・エザット氏、ベルトラン・デュマジー氏の取締役任期を4年間更新した。
■ 2025年5月6日の株主総会終了をもって、グザビエ・ヒラード氏を指名統治委員会委員長に、アイマン・エザット氏を監査・会計委員会委員に、ベルトラン・デュマジー氏を監査・会計委員会及び指名統治委員会委員に再任した。
■ アレクシス・ペラキス=ヴァラト氏を報酬委員会の委員長(グザビエ・ヒラード氏の後任)に、クリスティーナ・ロウ氏を報酬委員会及び環境・社会委員会の委員に、マイケル・H・タマン氏を環境・社会委員会の委員に任命した。
2025年5月6日開催の株主総会において選任された取締役の中に、2025事業年度以前の2年間に行政機関(監督官庁を含む)において、理事又は運営会議若しくは監督会議のメンバーの地位にあった者はいなかった(2)。
(1) 欧州サステナビリティ報告基準2 GOV-1 §21 (a)
(2) 欧州サステナビリティ報告基準 G1-5 §30
取締役会の専門知識と技能(1)
取締役会のメンバーは、産業、サービス、研究・革新、健康、化学、建設産業の分野で経験を有している。また、各取締役は、サステナビリティ、財務、デジタルといった部門横断的なスキルや、大規模な国際的企業グループの経営幹部としてのビジョンも持ち合わせている。
取締役会を構成する各取締役が提供する専門知識と経験は、以下に示すマトリックスに要約することができ、このマトリックスは2023年のものから変わっていない。このマトリックスは指名統治委員会の作業から生まれたもので、実務別スキルと分野別スキルを区別して、取締役の個々のスキルを示している。
特定の投資家からの要請に応えて、取締役会は、重要なスキルとして認定できる3つのスキル、すなわち、エネルギー、サステナビリティ、デジタル/IT(以下のマトリックスにおいて太字で表記している。)を特定した。それでもなお、取締役会のダイバーシティの方針に含まれる各基準は、取締役会にとって非常に重要である。
実務別スキル
| 国際性 | 国際的大企業での経営幹部経験 | 会計・財務(a) | デジタル・IT | サイバーセキュリティ | サステナビリティ | 研究開発・技術・イノベーション | 営業 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ブノワ・ポチエ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
| フランソワ・ジャコウ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
| グザビエ・ヒラード | ○ | ○ | ||||||
| アネッテ・ウインクラー | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
| キム・アン・ミンク | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||
| アイマン・エザット | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||
| ベルトラン・デュマジー | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
| クリスティーナ・ロウ | ○ | ○ | ○ | |||||
| マイケル・H・タマン | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||
| モニカ・ド・ビルギリス | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
| アレクシス・ペラキス=ヴァラト | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
| キャサリン・ギラード | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
| フィリップ・ドゥブルリー | ○ | ○ | ||||||
| ファティマ・ティグラリン | ||||||||
| 36% | 86% | 29% | 43% | 14% | 86% | 43% | 36% |
(a)大企業グループの執行役員は、その立場上、全員が財務スキルを有していることから、CFOを経験したことがある取締役のみを対象にした。
分野別スキル
| 化学・医薬品 | ヘルスケア | エレクトロニクス | サービス | 建設・建築及び土木工学 | 輸送・自動車 | 消費者市場 | エネルギー | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ブノワ・ポチエ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
| フランソワ・ジャコウ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
| グザビエ・ヒラード | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
| アネッテ・ウインクラー | ○ | ○ | ○ | |||||
| キム・アン・ミンク | ○ | ○ | ||||||
| アイマン・エザット | ○ | ○ | ||||||
| ベルトラン・デュマジー | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
| クリスティーナ・ロウ | ○ | ○ | ○ | |||||
| マイケル・H・タマン | ○ | ○ | ||||||
| モニカ・ド・ビルギリス | ○ | ○ | ○ | |||||
| アレクシス・ペラキス=ヴァラト | ○ | ○ | ||||||
| キャサリン・ギラード | ○ | ○ | ○ | |||||
| フィリップ・ドゥブルリー | ○ | ○ | ||||||
| ファティマ・ティグラリン | ○ | ○ | ||||||
| 57% | 29% | 29% | 36% | 21% | 36% | 21% | 57% |
サステナビリティに関するトピックについて、取締役会各メンバーのスキルや専門性の有無、今後の向上の有無を、取締役会としてどのように判断するかに関する説明
1. 年次ニーズ評価:取締役会は、指名統治委員会の作業と勧告に基づき、毎年、取締役会の構成を見直し、サステナビリティを含むスキルのニーズを特定する。
2. 採用及び研修:新メンバーは、サステナビリティを含む、取締役会が定めたダイバーシティの方針の基準を適用して採用される。新メンバーは、任命された直後から、任期期間を通して研修を受ける。
-担当の執行委員会委員が実施する、当グループの特殊性(活動/ESG)に関する社内研修
-外部の専門家が実施する、影響力の大きいテーマ(CSRD、サステナビリティ)に関する外部研修
このため、2025年も2023年と2024年と同様に、全メンバーが、執行委員会の担当者が主催するCSRをテーマとした研修コースに参加した。この研修では特に、気候戦略を見直す機会が設けられ、具体的なプロジェクトを通じて当グループの取り組みがもたらす影響が紹介された。さらに、メンバーは、イノベーションに特化したSaclayキャンパスへの半日現地視察に参加することができた。特に、脱炭素化手法を研究する研究所の視察の一環として行われたものである(2)。
3. スキルのモニタリング:取締役会は、毎年、各メンバーの現在及び過去の役職に基づいて設定された個々のスキルのマトリックスを見直す。これにより、これらのスキルが取締役会のダイバーシティに関する方針と当社の利益に沿ったものであることが保証される。スキル・マトリックスで目標とされているスキルに関して、2025年には取締役会メンバーの86%(14名中12名)がサステナビリティのスキルを有している。(サステナビリティ問題を専門に扱う)環境・社会委員会の委員5名のうち4名が、このような専門知識を有する委員である。
4. 取締役のスキル及び専門知識と、当グループ(及び対応するIRO)の重要なサステナビリティに関する課題との整合:取締役会は、取締役のスキルが、当グループの重要なサステナビリティの課題に対応していることを保証する。
マトリックスで特定されたメンバーのスキルは、特に、以下のサステナビリティの課題クに対応している。
-気候変動とエネルギー(E1):メンバーの大多数は、特にエネルギー転換の分野における自社のサステナブルな変革計画や脱炭素化計画を主導又は実施した経営幹部又は経営幹部経験者であるか、あるいは、気候変動との闘いに個人的にコミットしているか、あるいは、この分野の役職に就いているため、必要なスキルを有している。エネルギーとエネルギー転換の分野を専門とするメンバーのスキルも、課題E1に対応する。
-社会的課題(S1/S2/S4):メンバーの大半は、経営幹部又は経営幹部経験者としての職務により、特に人事に関する専門知識により、社会的課題(当グループ及びバリューチェーンの従業員)に関するスキル、とりわけ、従業員の権利及び労働条件、多様性、平等、インクルージョン、社会対話、従業員の健康と安全に関するスキルを有している。さらに、健康分野のスキルを持つメンバーもおり、この点では患者の利益保護に関する専門知識も持ち合わせている。
-企業行動(3)(G1):ほとんどのメンバーが大規模な国際的企業グループにおいて現在又は過去に職務を担っていたことから、業務遂行(倫理に関する規制の遵守、汚職・利益供与の防止)に関する取締役会の専門知識のレベルは高い。さらに、この専門知識を維持し発展させるため、全ての取締役会メンバーに対して、汚職及び賄賂の支払を根絶するための研修を実施した。
(1) ESRS 2 GOV‑1 23(a)及び(b)。
(2) 本章第6段落において、取締役会メンバーが受講した研修の詳細を参照のこと。
(3) ESRS G1におけるGOV‑1 §5(b)及びESRS G1‑3 §18(c)。
**a.**ダイバーシティの方針 - 新しい取締役の選任
社内規定では、以下のとおり定義する。
| 「取締役は、その技能、誠実さ、独立心、すべての株主の利益を考慮する決意をもって選ばれる。」 「取締役会に関するダイバーシティの方針:取締役会の構成は、取締役会の提案により株主総会が選任する取締役について、ダイバーシティと専門知識の補完性、特に国際経験、国籍、年齢、性別、文化及び経験(相当数の経営者又は元経営者としての経験を含む)を反映するものとする。取締役会は、エネルギー、サステナビリティ、デジタル、サービス、産業、研究開発・技術、ヘルスケア、金融、マーケティングといった分野のスキルを有する者を求める。」 |
|---|
取締役に適用されるダイバーシティの方針は、厳格には記載していないものの、当社の取締役会規則に規定されているガイドラインを伴っており、そのガイドラインは、取締役の構成、特に、株主総会によって選任される取締役の人数(原則は10人から12人)、任期(任期は4年とし、任期満了は交互制とし、12年以上在任する取締役の人数は全体の3分の1までとする。)、年齢、独立取締役と認められる人数の割合を示している。これにより、適切なコーポレート・ガバナンス・プラクティスの一環で推奨される原則に準拠しようとするものである。
取締役会は、株主総会に取締役の新任又は任期の更新について提案するに際しては、指名統治委員会の検討に依拠する。新任の独立取締役は、以下の手順で選任される(取締役会規則に規定されている)。
| プロフィール | 応募 | 選考 | 決定 |
|---|---|---|---|
| 指名統治委員会が求めるプロフィールを以下のように定義する ■ 取締役会のダイバーシティの方針に基づき、求められるスキルや経験 ■ 求められる専門的・個人的資質 ■ 男女均等 | ■ 委員会によるプロフィール調査(場合によっては、人材紹介会社の協力を得る) ■ 委員会による特定のプロフィールの詳細な検討 ■ 候補者リストの作成 | ■ 候補者に関する委員会内での議論(特定のニーズへの適合性、AFEP/MEDEFコードの規則(役職兼務、独立性等)の確認) ■ 委員長、取締役会会長及び各メンバーとの個別面談 ■ 結論と取締役会への勧告 | ■ 株主総会に提出する新任取締役の選任に関する議案の取締役会における承認 |
2026****年の取締役会の変更
取締役会は、取締役会の構成と、そのプロフィール、経験、専門知識の多様性を考慮し、指名統治委員会の勧告に基づき、2026年5月5日の株主総会に新たな取締役の選任を提案しないことを決定した。
取締役会の構成は、株主総会で任命された12名の取締役で構成され、取締役会規則(従業員を代表する取締役を除き10名から12名と規定)に準拠している。
株主総会で上記の提案が承認された場合、取締役会の構成は2025年12月31日現在(上表参照)と同じ14名(株主総会で選任された12名と従業員を代表する取締役2名を含む。)となる。
**b.**取締役の独立性
AFEP/MEDEFのコーポレート・ガバナンス・コードに規定される独立性の定義に基づき、当社取締役会規則は、取締役の独立性の評価基準を定める。
| その内容は、「取締役会は、自由な判断を行うのに支障を生じさせうる、当社、当グループ又はその経営陣とのいかなる種類の関係をも有していない場合に、独立性がある。」というものである。 この精神の下、取締役の独立性を評価するために、取締役会に対する指針となる以下のような基準が定められている。 ■ 取締役は、過去に当社で従業員や経営に関する職務にあったことはなく、現在もなっていないこと。 ■ 当社の取締役会会長、最高経営責任者、エグゼクティブ・ヴァイス・プレジデント又は経営会議のメンバーが取締役又は法定監査人会のメンバーを務める会社の取締役会会長、最高経営責任者若しくは経営会議の議長又は構成員の職についていないこと。 ■ 取締役が、当グループとの事業上の関係を有しないこと。事業上の関係とは、当該取締役が経営陣である会社の事業活動の重要な部分を占めること、又は当社の事業活動の重要な部分を占めることを意味する。 ■ 最高経営責任者又はエグゼクティブ・ヴァイス・プレジデントとの間に、近しい家族関係を有しないこと。 ■ 過去5年間に、当社の法定監査人ではないこと。 ■ 過去12年間以上、当社の取締役会(又は監督役員会)のメンバーではないこと。 |
|---|
毎年、株主総会において選任された取締役の独立性に関する評価は、取締役会及び場合によってはその候補者により行われる。従って、2026年2月19日の取締役会は、指名統治委員会の検討に依拠して、各取締役の独立性を評価するために取締役会の内部規則及びAFEP/MEDEFコードに含まれる各基準を見直し、各取締役の独立性を評価することが可能となった。
当グループは、潜在的なものであっても利益相反の状況、さらには利益相反の可能性がある状況に特に注意を払っており、取引関係が重要であるかどうかを判断するため、各取締役又はこれらの役職の候補者について、以下のような基準で調査する。
■ 当グループと、当社の取締役(又は取締役の候補者)が役員又は経営に関する職務を務める各グループとの間の、全世界における取引量の割合。取引量の割合は、当グループと当該各グループの双方について評価する
■ 経済的依存度の高さ
■ 排他性
■ 取締役が取引関係に参加するか
■ 取引関係の長さと継続性
取締役会は、当グループと、株主総会で選任された当社取締役(又はこれらの職務に提案された候補者)が役員又は経営に関する職務を兼任するグループとの間で前年度に行われた取引フロー(仕入額及び売上高)の要約表に依拠している。なお、これらの数値は、当該グループの各総仕入・総売上高と比較し、その重要性を判断している。
2025年度において、この図表は、当グループによる、当該グループのいずれかへの売上、又は、当該グループのいずれかからの購入額が、当グループ又は当該グループのいずれかの総売上又は総購入額の1%を超えないことを示している。
また、上記の定量的な基準に加え、取締役会が実施した定性的な観点からは、当社も当該グループも、多様な活動を行う大規模な国際グループであることから、経済的な依存関係や排他性の関係がないことが確認された。
加えて、当グループの組織、その規模、事業の多様性、すなわち、その大部分に極端に地域性があり、かつ広い地域に存在していることを考慮すると、関係する取締役は、当グループ内で、関係会社、クラスター(国グループ)及びグローバルビジネスユニットのレベルで行われる取引関係に関与しないと評価された。
各個人の状況を検討した結果、取締役会は、いずれの取締役も、問題となる業務に至る契約交渉において、直接的にも間接的にも意思決定権を行使する立場にないと結論付けた。もし意思決定権を行使すべき立場であった場合、取締役は、取締役会に利益相反を申告しなければならない。その後、この問題は、取締役会規則に定める倫理規程に従い対処される。
検討の結果、エア・リキードの取締役が役員又は経営に関する職務に就いているグループには、当グループと重要な取引関係を有するものはないと判断した。
さらに、取締役会のいかなるメンバーも、当社又はその子会社との間でサービス契約を結んでいない。
また、取締役会は、取締役会規則の各基準に照らして、各取締役の状況を検討した。使用されている基準は、主にAFEP/MEDEFコーポレート・ガバナンス・コードによって導かれている。しかしながら、取締役会は、当社の元従業員又は元役員が5年以上前に退任したとしても、独立性があるとはみなされないと引き続き考えている。
かかる検討を行った結果、取締役会は2025年度末日現在、株主総会により選任された下記の取締役について独立性があることを確認した。それは、ベルトラン・デュマジー氏、アイマン・エザット氏、キャサリン・ギラード氏、グザビエ・ヒラード氏、クリスティーナ・ロウ氏、キム・アン・ミンク氏、アレクシス・ペラキス=ヴァラト氏、マイケル・H・タマン氏、モニカ・ド・ビルギリス氏そしてアネッテ・ウインクラー氏である(すなわち、独立取締役の83%(1)である)。AFEP/MEDEFコードの規定に従い、従業員代表の取締役のフィリップ・ドゥブルリー氏及びファティマ・ティグラリン氏は、この比率を計算する際に考慮されなかった。
2026年5月5日の株主総会終了時点において、アネット・ウィンクラー氏について当社における在任期間が12年を超えるという基準の適用を考慮すると、独立性比率は75%となる見込みである(提案された議案が株主総会で承認されることを条件とする)。
(1) 欧州サステナビリティ報告基準2 GOV‑1 §21(e)。
c. 筆頭取締役
取締役会は、定款第13条の規定に基づき、会長と最高経営責任者の役割が兼任される限り、筆頭取締役を任命する義務を負う。取締役会会長と最高経営責任者の機能が分離されている場合、取締役会は指名統治委員会の独立した委員の中から筆頭取締役を任命することもできる。筆頭取締役は、指名統治委員会の任期が終了するまで在任する。
独立取締役のグザビエ・ヒラード氏は2022年5月より筆頭取締役を務めている。2025年5月6日の株主総会における取締役としての任期更新を受け、取締役会は、グザビエ・ヒラード氏を指名統治委員会における任期期間中、筆頭取締役として再任することを決定した(取締役会内部規則の規定に基づく)。
(筆頭取締役の役割、責任及び権限)
取締役会規則は、
A) 筆頭取締役の責任と権限を以下のように定義する。
| 筆頭取締役の役割と責任と権限 筆頭取締役は、以下の役割、責任及び権限を有する。 1. 筆頭取締役は、自己が委員長でない場合は、指名統治委員会委員長からの委任を受けて、委員会に委任されたガバナンス業務に関する指名統治委員会の業務、特に一般的な経営組織の選択の検討、コーポレート・ガバナンス規則の変更・適用の検討、取締役会の機能評価の作成、倫理問題の検討、ガバナンス組織の適切な機能、特に独立取締役が要求する情報の伝達に注意を払い、これらすべての点について、筆頭取締役はすべての提案を作成し、必要と考える提言を行うことができる。 具体的には、筆頭取締役は、委員会内で、取締役会における利益相反の潜在的な状況を特定し分析するための手続の実施を調整し、このようにして特定された利益相反の潜在的な状況について、取締役会会長(必要に応じて、取締役会会長及び最高経営責任者のいずれか)の注意を喚起する。 筆頭取締役は、これらの事項について取締役会に報告する。 2. 筆頭取締役は、指名統治委員会の意見を受領した後、取締役会議長に対し、会社の利益のために必要な時期及び頻度で、特定の議題について取締役会を招集するよう求めることができる。 規則第IV条に定める条件に基づき、筆頭取締役は、取締役の少なくとも3分の1の要請により、取締役会を招集する権限の委任を受けることができる。 3. 筆頭取締役は、指名統治委員会の意見を受けた後、取締役会の協議事項に追加的な事項を含めることを取締役会議長に提案することができる。 4. 筆頭取締役は、年1回、当グループの業務執行取締役(若しくは元業務執行取締役)又は社内取締役及び従業員代表が出席しない取締役による会議を開催する。筆頭取締役は、議長を務めるこの年次総会を主催し、議論を主導する。 5. 筆頭取締役は、企業統治に関して株主が行った要請を検討し、要請への回答がなされていることを確認する。 6. 筆頭取締役は、毎年取締役会に活動状況を報告する。 7. 筆頭取締役は、自らの責任の範囲内にあるガバナンス問題について、株主に報告がなされることを確実にする。筆頭取締役の活動についての報告は、本報告書に記されている。 |
|---|
B) また、取締役会規則に定める取締役会の招集に関する規定に関わらず、筆頭取締役は、指名統治委員会の意見を受領後、取締役会会長に対し、所定の協議事項で取締役会を招集するよう求めることができる旨規定する。この権利は、会社の利益のために必要な時期及び頻度で行使することができる。議長は、そのような求めに拘束される。
筆頭取締役は、取締役会以外の場でも、他の取締役が必要と判断すれば何度でも接触することができ、取締役は、筆頭取締役との対話の程度について定期的に質問を受けている。
(筆頭取締役の活動報告)
年度中の筆頭取締役の活動は、以下のとおりである。
■ 筆頭取締役は、指名統治委員会に委ねられたガバナンスの課題に関する業務を遂行し、特に以下の業務を行った。
- AFEP/MEDEFコード、フランス金融市場当局、及びHaut Comité de gouvernement d'entreprise (フランスコーポレート・ガバナンス高等委員会)の推奨に基づく、2025年報告書に記載のある当社の慣行の見直し
- 2025年末の取締役会評価を行う外部サービスプロバイダーを選定し、2026年2月の取締役会に対し、取締役会の機能に関する取締役の評価の概要を提示すること
- 取締役会会長及び又は最高経営責任者と株主との定期的な連絡についての取締役会での報告
■ 2025年度最後の取締役会終了後に、取締役会会長、最高経営責任者、従業員代表の取締役を除くすべての取締役を集めて開催された取締役会の議長を務めた。筆頭取締役は、提起された事項に関して取締役会会長と議論を行った。
■ 取締役会会長及び取締役と、特にガバナンスに関する事項について定期的に会合を実施した。
■ 2025年5月6日の株主総会において、自身が委員長を務める報酬委員会の業務内容を株主に説明した。
■ 筆頭取締役は、株主総会で株主から表明された予測について検討した。筆頭取締役は、2026年5月の株主総会に備えるために2025年末に開催された多数の機関投資家との会合の結論に留意した。
筆頭取締役は、2026年2月に、自身の活動について取締役会に報告した。
2025年度において、取締役会(5回)、指名統治委員会(3回)、2025年5月以前に開催された報酬委員会(2回)の全ての会議、及びIR作業グループの会議に出席した。
④【取締役の職業倫理・取締役の権利義務】
取締役会規則は、取締役に課される主要な義務を規定する。
取締役は、全株主を代表するものであり、いかなる状況においても当社の企業利益を考えて行動しなければならない。
取締役は、法令、定款又は社内規程の定める義務、特に当社株式に関する不正取引防止や取引報告義務に関する社内規程を遵守する義務を負う。取締役は、これらの義務について会社から定期的に情報提供を受けている。また、当社にはインサイダー情報を管理するための社内手続もある。例年同様、インサイダー取引防止に関する社内メモが2026年の年初に取締役に送付され、欧州及び国内の法令の規定に従って取締役が服する、法規制上の義務の概要がより詳細に説明されている。取締役は、守秘義務を負う。監査委員会の委員は、特に、法令に定められた条件のもと、監査人の職務に関する情報について、秘密保持義務を負う。取締役は、当社取締役会、委員を務める各委員会のすべてに出席するよう努力し、株主総会に出席しなければならない。
AFEP/MEDEFコードが要請する、個々の取締役の出席水準は以下のとおりである。
| 取締役会 | 監査・会計委員会 | 指名統治委員会 | 報酬委員会 | 環境・社会委員会 | |
|---|---|---|---|---|---|
| ブノワ・ポチエ 取締役会会長 | 100% | ||||
| フランソワ・ジャコウ 最高経営責任者 | 100% | ||||
| グザビエ・ヒラード(a) 筆頭取締役 | 100% | 100% | 100% | ||
| ベルトラン・デュマジー | 100% | 100% | 100% | ||
| アイマン・エザット | 100% | 100% | |||
| キャサリン・ギラード | 100% | 100% | |||
| クリスティーナ・ロウ(b) | 100% | 100% | 100% | ||
| キム・アン・ミンク | 100% | 100% | |||
| アレクシス・ペラキス=ヴァラト(c) | 100% | 100% | |||
| マイケル・H・タマン(d) | 100% | 100% | |||
| モニカ・ド・ビルギリス | 100% | 100% | |||
| アネッテ・ウインクラー | 100% | 100% | 100% | ||
| フィリップ・ドゥブルリー 従業員代表取締役 | 100% | 100% | |||
| ファティマ・ティグラリン 従業員代表取締役 | 80% | 100% | |||
| 合計 | 99% | 100% | 100% | 100% | 100% |
(a) グザビエ・ヒラード氏は、2025年5月まで報酬委員会の会議に出席した。
(b) クリスティーナ・ロウ氏は、2025年5月から報酬委員会及び環境・社会委員会の会合に出席した。
(c) アレクシス・ペラキス=ヴァラ氏は、2025年5月から報酬委員会の会議に出席した。
(d) マイケル・H・タマン氏は、2025年5月から環境・社会委員会の会議に出席した。
監査・会計委員会と環境・社会委員会の委員は、この2つの委員会の合同会議にも出席しており、2025年は2回開催された。これらの会議の出席率は100%であった。
取締役は、常に最新の情報に接し、その義務を履行するために求められる時間と労力を割かなければならない。
取締役は、当社の定款に基づき、当社の登録株式を少なくとも500株保有しなければならない。取締役は、保有する株式数を当社に通知しなければならない。この定めは、従業員代表の取締役には適用されない。
取締役会規則に基づき、取締役会のメンバーは、潜在的な利益相反も含めて、会社との利益相反についてすべて取締役会に報告しなければならず、当該利益相反に対応する決定に関する議論及び議決への参加を控えなければならない。
上記の義務に追加して、各取締役は、自身が関与する潜在的な利益相反がないことを証明する旨を、当社に対して毎年正式に宣言している。
宣言
当社は、各役員が会社に対して行った宣言に基づき、当社役員が他の役員と何らの同族関係もなく、少なくとも過去5年間に詐欺罪で有罪判決を受けていないことを確認している。
また、少なくとも過去5年間、役員は、規制当局(専門職団体を含む。)から、公式告訴又は公的制裁を受けておらず、発行会社の監督役員会、取締役会その他の経営機関の職務遂行又は発行会社の経営及び業務執行に参加することを裁判所から禁止されていない。役員は、当社に関して、利益相反関係又は利益相反関係の可能性を有していない。また、当社の役員の選出につき、主要株主、顧客、サプライヤーその他の者との間で協定及び合意は締結されていない。役員は、インサイダー取引防止に関する規則、株主総会で選出された執行役員が任期中に少なくとも500株の登録株式を保有するという法定義務及び当社役員に適用される株式保有義務を除き、何らの制限についても合意していない。
役員は、少なくとも過去5年間、破産管財及び清算手続を受けていない。
最後に、筆頭取締役の運営する指名統治委員会が、取締役会において潜在的な利益相反予防する任務を負っている。
AFEP/MEDEFコードに従い、取締役会規則では、非業務執行取締役については、フランス又は外国の上場企業内で取締役として在任できるのを最大4期までと定めている。業務執行取締役については、この上限が2期まで引き下げられる。
さらに、非業務執行取締役については、他社において就任している役職の内容(当該他社における取締役会の各種委員会への参加状況を含む)に関する情報を提供する義務が規定されている。
上場会社における新たな役職の受任前に取締役会(取締役会は指名統治委員会の勧告に基づき決定を行う。)の意見を求める義務は、業務執行役員にも定められている。
取締役の権利義務に関するすべての規程は、年に一度改訂される取締役用のマニュアルに記載されている。
⑤【取締役会の役割及び職務】
■ 取締役会は、企業活動の社会的、環境的な利害関係を考慮し、企業利益に応じて、企業活動の方向性を決定し、その実行を確保する(1)。そのため、取締役会は、当社の経営陣からの提案に基づき、企業の社会的責任に関する複数年にわたる戦略の方向性を含む、当グループ戦略の主要なポイント(原則として3年から5年の間の目標)を検討し承認する(2)。また、グループの年次目標を見直す。取締役会は経営陣によるこれらの方針の実行を保証する。
■ 取締役会は、取締役会が定義した戦略に沿って、機会及び財務、法律、業務、社会、環境に関するリスクを定期的に検討し、それに応じて講じた措置を検討する。取締役会は、汚職及び斡旋収賄の防止・検知のためのシステムが整備されていることを確認する(3)。取締役会は、株主総会に帰属する権限に従い、企業目的の範囲内で、会社の円滑な運営に関するあらゆる問題に対処し、その決定に従って会社業務を管理する。取締役会は、適切と判断する統制及び検証を行うことができる。
■ 業務執行役員の選任、報酬の決定、現行規程則った就業・職務遂行に係る諸条件の設定、筆頭取締役の任命、株主総会の招集(この範囲内での議題及び議案の決定)財務諸表、年次マネージング・レポート(特に注意義務計画及びその実施に関する報告書、及びサステナビリティ情報に関する独立したセクションを含む。)及びコーポレート・ガバナンスに関する報告書の作成、当グループのガバナンス機関のジェンダーポリシーの定義、適切な機能規則の制定(委員会の設置、取締役の年次報酬の内訳等)。さらに、取締役会は普通社債の発行を決定又は承認することもできる。
■ また、取締役会は、株主総会で承認・付与された権限、特に、従業員に対するストックオプションの付与又は業績連動株式の付与、(市場性のある)有価証券の発行、自己株式買取、従業員貯蓄プログラムを執行する。
■ 取締役会は、経営幹部が、特にグループのリーダーシップにおける男女のバランスを考慮した、無差別・ダイバーシティ方針を確実に実行するようにする。取締役会は、経営陣の提案に基づき、執行委員会のダイバーシティ目標を設定する。経営陣は、目標の実施方法、実行計画及び完了予定を取締役会に提出する。経営陣はその結果を毎年取締役会に報告する。
これに関連して、取締役会は、2026年2月の取締役会において、指名統治委員会の勧告に基づき、2025年に設定された目標が達成されたことを確認した。具体的には、執行委員会における女性の割合を30%とする2026年の法的目標(すでに達成済み)を維持することであり、さらに法的要件に基づき、 2029年までに執行委員会の女性比率を40%にするという目標を設定した。
(1) 欧州サステナビリティ報告基準GOV‑1 §22(b)。
(2) 欧州サステナビリティ報告基準GOV‑1 §22(b)。
(3) 欧州サステナビリティ報告基準G1におけるGOV‑1 §5(a)。
⑥【取締役会の機能】
a. 取締役に対する通知
取締役会規則には、取締役に対する通知方法が規定されている。特に、取締役会を開催する前には、取締役に対し、会議の議題に関するポイントを記載した文書ファイル一式が配布されるものとする。このファイルは専用のプラットフォームで電子形式にて提供される。最高経営責任者は(必要な場合は経営陣のメンバーの協力を得て)、会社の経営に関する四半期ごとの報告、年次財務報告書及び中間財務報告書の草案、その他取締役会の許可ないし意見を求める事項を取締役会に提出する。重大な問題については(主要プロジェクト、M&A等)、非常に詳細な要約が作成される。取締役は、必要と認める追加情報を要求することができる。取締役は、取締役会議長に対し、これを請求する。
非業務執行取締役と執行委員会のメンバーとのやりとりは定期的に行われており、取締役会や、特に戦略会議又は委員会における具体的なプレゼンテーションの際だけでなく、これらの会議以外でも行われている。また、非業務執行取締役と執行委員会のメンバーは、執行委員会が担当する活動が行われる研修の際にも対面している。
取締役は、いつでも執行委員会のメンバーとの接触を要求できる。
b. 取締役会の開催
取締役会規則では、取締役会の開催頻度及び招集ルールが規定されている。
取締役会では、議題の概要を発表し、意見交換や議論に時間をかけている。発表に対して質疑がなされ、その後、議論が行われる。重要事項については、ラウンドテーブルでの会議が計画的に開催され、議案の採決に至っている。詳細な議事録は、次回の取締役会の承認に先立ち、取締役に送付され、審査・コメントを受ける。
また、法定監査人は、サステナビリティ情報の認証責任者でもあり、財務諸表の検討に際して意見を聴取される。
c. 取締役会の専門委員会の設置
取締役会規則は、設置される4つの委員会の目的及び運営手続を規定している。
d. 研修方法
取締役会規則では、取締役に対して、特に事業所訪問、上級執行役との会議を通じた当社の事業内容及び特徴に関する研修や企業として当社が果たすべき社会的責任(特に気候問題)に関する研修を提供する旨が規定されている。特に、監査・会計委員会のメンバーに対しては、当グループ特有の会計、財務、非財務及び運営研修や、当グループのリスクに関する研修が提供されている。
取締役は、毎年、研修要件について質問され、研修依頼書は、各取締役に年に1回体系的に提案される。主要ビジネスライン及び管理部門の長との会合、並びに事業所訪問によって構成される。取締役は執行委員会メンバーとの面談を求めたり、各ビジネスライン、活動、地域的特性に特化した研修を求めたりすることができる。また、新任取締役には、新任取締役のスキルや個々の経験に応じた研修プログラムを作成するためのフォームを体系的に提案している。さらに、毎年、全メンバーに研修申込書を送付し、有用な研修を希望できるようにしている。
2025年度は、取締役会は、特に「大規模産業」をテーマとして、執行委員会の一部のメンバーが取締役に提供した研修を実施した。
さらに、全取締役は、気候変動担当の執行委員会メンバーが主催した気候変動に関する研修に参加した。この研修では、特に気候戦略を見直す機会が設けられ、具体的なプロジェクトを通じて当グループの取り組みがもたらす影響が提示された。この研修に加え、取締役らは、イノベーションに特化したSaclayキャンパスへの視察に招待され、特に脱炭素化手法を研究する研究所の視察の一環として参加した。
本社外で開催された2025年11月の取締役会では、グループの事業に関するプレゼンテーションが行われ、それに伴い現地視察も実施された。特に、ラージ・インダストリー事業では空気分離装置(ASU)の視察、工業事業ではシリンダー充填工場の視察が行われた。
腐敗防止及び贈収賄に関するデジタル研修モジュール(職務上これらの問題にさらされる可能性のあるグループ従業員が毎年受講するモジュール)は、取締役も利用できるよう提供されている(1)。
従業員を代表する2名の取締役に対する研修に関する情報の詳細については、以下⑦a.審議投票権の付与に記載する。
(1) 欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)G1‑3 §18(c)。
⑦【取締役会における従業員代表の参加】(1)
**a.**審議投票権の付与
従業員代表の2名の取締役が、議決権を有する立場で取締役会に出席している:環境・社会委員会のメンバーでもあるフィリップ・ドゥブルリー氏(1)と、報酬委員会のメンバーでもあるファティマ・ティグラリン(2)である。フィリップ・ドゥブルリー氏及びファティマ・ティグラリン氏は、取締役の権利と義務を規定する社内規則のすべての規定に従う。
様々なステークホルダーとの合意の範囲内、かつ当グループ各社の取締役会で職務を遂行する全ての従業員に適用される当グループ内の有効な規定に基づき、従業員代表の取締役は一切報酬を受け取らないことが合意された。フィリップ・ドゥブルリー氏の任期は、2026年5月の定時株主総会終了時に満了する。 2014年6月にフランス・グループ委員会により選任され、その後2018年及び2022年に再任された同氏は、自身の任期更新に向けた立候補を行わないことを表明した。 2025年12月11日の総会において、フランス・グループ委員会は、ベンジャミン・ル・クルーレ氏を従業員代表取締役として4年間の任期で任命し、2026年5月の株主総会より発効することとした。ル・クルーレ氏は2014年にエア・リキードに入社し、モデリングエンジニアを務めている。
(1) 欧州サステナビリティ報告基準2 GOV‑1 §21(b)。
(2) 2021年12月16日、フランス・グループ委員会により当該職位に再任され、任期は、2025年度の財務諸表を承認するために2026年に招集される株主総会終了時までの4年間。
(3) 2023年11月9日に欧州従業員評議会により当該職位に再任され、任期は2027年度の財務諸表を承認するために2028年に招集される株主総会の終了時までの4年間。
従業員を代表する取締役の研修
従業員を代表する取締役は、施行されている法令に従い、取締役としての任期遂行に適合するあらゆる研修の機会を得ることができる。この時間は実働時間とみなされ、報酬が支払われる。取締役会は、法令及び様々な利害関係者間で締結された合意に基づき、従業員を代表する取締役に割り当てられる時間を、(i) 取締役会(1回につき15時間)及び取締役が委員を務める委員会(1回につき5時間)の準備、及び(ii) 研修(任期を通じた累計で年間40時間)と定めている。
特定のグループ活動及び部門横断的スキルに関して、特に執行委員会のメンバーとともに組織された内部研修に加え、従業員を代表する取締役は以下の外部研修の機会を得た。
■ フィリップ・ドゥブルリー氏は、最初の任期として、2016年にIFAと提携してパリ政治学院が提供する研修コースに参加し、会社取締役の修了証書を取得した。2024年には、パリ政治学院がIDDRI(Institute for Sustainable Development and International Relations)と提携して2023年後半に開始した、エコロジカル・トランジションと組織の変革に関する研修を修了した。この研修は、2020年にフィリップ・ドゥブルリー氏が受講したサステナブルな企業モデルに関する研修(Centrale Supelec Exed主催)を補完するものである。
■ ファティマ・ティグラリン氏は2021年、IFAと提携してパリ政治学院が提供する研修を修了し、会社取締役の修了証書を取得した。ファティマ・ティグラリン氏は、2024年に開始されたEcoLearnが提供する「サステナブル・マネジメント:サステナブルなビジネスモデルへの鍵」マスタークラス研修を、2025年に修了した。
2025年には、ファティマ・ティグラリン氏とフィリップ・ドゥブルリー氏も、取締役会メンバー全員が受講する外部の専門家が実施したサステナビリティに関する研修コースすべてに参加し、取締役会のオフサイト会議の一環としてこれに取り組んだ。汚職と賄賂の撲滅をテーマとするデジタル研修を修了した。
**b.**審議議決権の付与
2020年10月に従業員代表の2人目の取締役としてファティマ・ティグラリン氏が選任されて以来、様々な利害関係者と締結した契約に基づき、社会経済委員会の唯一のメンバーであるピエール・ガック氏が諮問投票権を持って引き続き取締役会に出席している。
代表者は、これらの会議のために取締役に提供されたものと同一の文書を受領する。会議の間に議論された質問について、代表者は意見を表明することができる。
執行委員会のメンバーと取締役会の事務局が出席する準備会議が、各取締役会の前に予定されている。この準備会議は、従業員代表の取締役及び社会経済委員会の代表者の出席する取締役会会議の全てのファイルを閲覧し、議題に関する事項についてコメントする機会である。参加者は質問し、最初のコメントを述べる機会が提供される。
⑧【取締役会の評価】
取締役会規則は、次のように定めている。
| 「取締役会は、取締役会の構成、組織及び機能について、委員会について行われるのと同様、定期的に評価が行われることを確保する。本件については、毎年1回、取締役会が更新を行い、少なくとも3年ごとに正式な評価を行う。取締役会の評価の一部として、特に取締役は、会社の経営組織の選択のために取締役会が再検討される必要があると思われるかどうかを述べるよう求められる。」 |
|---|
評価プロセス
取締役会及び専門委員会の組織と機能の評価は、筆頭取締役を兼務する指名統治委員会委員長の責任の下、毎年実施される。この評価は、取締役に送付されるアンケートに基づいて実施され、その内容は指名統治委員会によって承認されている。
AFEP/MEDEFコード、取締役会規則及びAMFの勧告に従い、評価は以下のように実施される。
■ n年目には、指名統治委員会が選任した外部コンサルタントによる正式な評価が実施される。指名統治委員会は、プロセスを管理し、包括的な評価アンケートを取締役会のメンバーに送付し、その後、各メンバーとの個別面談を行う。コンサルタントが要約文書を作成し、指名統治委員会及び取締役会に送付することで、行動勧告が採択される。
■ n+1年目及びn+2年目には、年次内部フォローアップ評価を実施する。取締役に簡易アンケートを送付し、書面による回答を回収する。その目的は、前回の包括的な評価以降に採択された勧告を踏まえて実施された措置を評価することにある。これらの評価はフィードバックの対象となり、見直しが行われ、必要に応じて実施中の措置が調整される。
年次評価に使用される手続は、議論の守秘性を保証するものであり、当該年度における最終取締役会、並びに会長、最高経営責任者、従業員取締役及び従業員代表が出席しない会議の終了後に開始される。アンケートは全取締役に送付される。毎年、アンケートには、現在の経営全般の実施方法の評価に関する質問が含まれる。この枠組みの中で、最高経営責任者、取締役会会長、筆頭取締役の役割と行動についても評価が行われる。取締役はまた、取締役会の構成、現在のスキル及び/又は今後求められるスキル、取締役会と委員会の相互作用、新メンバーの登用、取締役の研修などについても質問され、取締役会及び委員会の機能に関するその他のコメントも任意で求められる。
取締役会の機能評価は、指名統治委員会と取締役会の特定の議題として取り上げられ、委員はこの問題について討議することができる。
取締役会が合議制の性質であることを考慮して、評価アンケートでは取締役会の運用に対する取締役らの全体的・集団的な貢献に焦点を当てている。しかし、毎年取締役に送付されるアンケートは、各取締役に対して、取締役会の業務における実際の個々の貢献を評価することも求めている。この点については、正式な評価の際に実施される個別面談でも具体的な質問項目が取り上げられる。さらに、各取締役の貢献は、指名統治委員会によっても評価され、取締役及び委員会メンバーの任期更新の際には取締役会によっても評価される。
有益なフィードバックがあれば、メンバーに伝達される。
2025****年の評価
取締役会の機能に関する議題及びこの議題に関する討論において、取締役会は、2025年末に実施された取締役会及び各委員会の業務に対する包括的評価に基づいて作成された要約を検討した。2022年と同様、この評価は、指名統治委員会がその独立性を確認した上で選定した外部委託業者によって実施された。取締役会メンバーには包括的な評価アンケートが配布され、当該外部委託業者による個別面談が実施された。
特に、今回の取組を通じては、(i)ガバナンス体制分離の運用状況、(ii)取締役会の適切かつバランスの取れた構成及び取締役会メンバーの貢献、(iii)正式な会議及び非公式な議論や研修セッションを通じた執行委員会メンバーとの連携の質、(iv)オフサイトでの取締役会会合及びその際に実施された議論や研修、そして全般的に、過去の評価で提起された要望への対応状況について、メンバーの満足度が確認された。
メンバーは、2026年も引き続き、組織運営及び人材マネジメント、戦略、地政学並びに人工知能の開発に関する取組の継続を希望する意向を示した。
2024年にメンバーから寄せられた要望、特に会議において自由な議論の時間をより確保すべきとの要望に応え、経営陣との議論及び対話に充てる時間を最大限に確保した。主要なテーマに関する取締役の研修に対する要望は、2025年の評価において非常に好意的なフィードバックを得られた(2025年の実地研修及び継続的な導入教育)。最後に、取締役会の業務において重要と位置づけられた課題の定期的な見直しについては、2025年の会議においても引き続き、グループの戦略及び主要テーマに多くの時間が割かれた。
⑨【業務執行取締役が出席しない取締役会】
AFEP/MEDEFコードの規定に基づき、業務執行取締役の出席なく年に1回以上の会議を開催することを推奨する取締役会規則は、以下のことを規定している。
| 「筆頭取締役は、毎年1回、当グループの業務執行取締役(又は元業務執行取締役)又は社内取締役及び従業員代表の出席なしに、これらの者以外の取締役による会議を招集する。筆頭取締役は、この年次会議の議長を務め、討議を組織し、主導する。」 |
|---|
このセッションは、実務上の目的及び取締役の都合を考慮して、取締役会の終了後に開催される。2025年も、例年どおり、当該事業年度最後の取締役会の終了後にこのセッションが開催された。当該会議では、特に年度を通じて行われた業務について振り返り、取締役会の機能、後継者計画及びガバナンス体制について話し合った。
⑩【2025年における取締役会の活動実績】
取締役会は、2025年に5回開催され、電話会議による出席を含めて99%の出席率であった。
取締役会の業務は、取締役会に割り当てられた全ての任務を網羅するよう組織化されており、取締役会の運営に関する年次レビューの一環として取締役会メンバーから寄せられた意見も考慮している。取締役会は、4つの委員会の全業務及び監査・会計委員会と環境・社会委員会間の合同会議について報告を受ける。取締役会は、各委員会の勧告を参考にして決定を下す。
取締役会は、その討議、審議、及び決定において、当グループの重要なサステナビリティに関する課題(及び対応する影響、リスク、 機会(IROs))を考慮することを保証する。
当期中に取締役会及びそれらの委員会が特に重点的に取り組んだ重要なサステナビリティに関する課題の一覧は以下のとおりである(取締役会の業務及び取締役会に報告された委員会の業務に関する以下の説明を参照)(1)。
■ E1(気候変動緩和、エネルギー)
■ E3(水管理)
■ S1及びS2(全ての重要なトピックについて、環境・社会委員会の活動を通して、また注意義務計画及び労使関係の見直しと承認を通して検討)
■ S4(消費者及びエンドユーザー)
■ G1(企業文化、汚職防止、内部通報者の保護)
2025年には、経営陣及び特定の上級執行役員によるプレゼンテーションを通じて、取締役会は特に次のトピックに焦点を当てた。
(1) 欧州サステナビリティ報告基準2 GOV-2 §26 (c)
a. 活動、業績、戦略
■ 当グループの事業、活動及び業績の進捗状況、並びに四半期活動報告の定期的な審査
■ 年次、半期の連結財務諸表及び会社の財務諸表の承認、並びに暫定的な経営資料の審査。各関連委員会の審査及び勧告に基づき、サステナビリティに関する必要な情報を含む独立した項目、コーポレート・ガバナンスに関する報告書及び株主へのその他の報告書を含む経営報告書の条項の承認
■ 法定監査人及びサステナビリティ監査人による、特にCSRD指令の初回適用に関連した業績の発表
■ 年次総会の招集と準備
■ 当グループの財務状況、特に資金調達及び債務管理戦略の定期的な見直し、並びに社債計画のモニタリング
■ 財務指標及び非財務指標並びにその変化の定期的かつ詳細な検証を含む、当グループの財務及び非財務パフォーマンスの分析、効率性及びマージンの分析、さらに競争環境の定期的な見直し
■ 当社の自己株式取得及び自己株式消却の方針、並びに自己株式取得プログラムに関連する業務のモニタリング
■ 従業員向けに充当される株式資本の割当てに関する決定(2025年11月に1回実施された)
■ 独立企業間条件で締結された通常の事業過程における取引に関する評価手続の実施について前事業年度中に実施されたモニタリングに関する監査・会計委員会の報告書のレビュー
■ リスク・マッピング及びその変化のレビュー、監査・会計委員会、環境・社会委員会の業務に基づくリスクの詳細なレビュー、並びに年度末の取締役会における特定のリスクに関する取締役会による見直しを含む、リスク管理・予防システムのモニタリング(1)。このリスクの見直しには、当グループにとって重要なサステナビリティに関する課題に関連するリスクも含まれる(2)。
■ 監査・会計委員会の業務に基づく、汚職、賄賂の支払及び影響行使の防止並びに発見のために実施されるシステムにおけるコンプライアンスの追跡とレビュー(特に研修プログラム及びその展開を含む)の確保(3)。
■ 主要な取引(買収、事業売却、投資)及び投資機会のポートフォリオを精査し、当該取引に関連する重要なサステナビリティ課題の検討(4)。特に2025年においては、8月に韓国の産業用ガス分野の主要企業であるDIGを買収する決定がなされた。
■ 2月の取締役会において、2025年に向けた当グループの主要な戦略的方向性を定義する中期戦略計画ADVANCEの実施結果を検証するとともに、当グループのCO2排出量の推移のモニタリングや、目標(脱炭素化、エネルギー転換に関連する投資)及び社会的目標の達成に向けた施策の影響を含む、全ての財務及び非財務指標の結果を見直し(5)。
■ 当グループの財務的及び非財務的な目標と戦略的方向性の策定への取組み(6)。
■ 当グループ内における人工知能(AI)の発展状況、及びその経済的、組織的、人的側面のモニタリング。
■ 地政学的状況に関連する課題のモニタリング、及びそこから生じるリスクと機会の分析。
■ 任務の一環としてIROをモニタリングする環境・社会委員会の報告、及び監査委員会と環境・社会委員会間の合同会議(関係委員会の業務を参照)(2025年は、委員会、合同会議、及び取締役会の会議を5回開催)の報告の観点を踏まえた重要なサステナビリティに関する課題/IRO(影響・リスク・機会)の見直し(7)(8)。注意義務計画に関する環境・社会委員会の業務報告の一環として、デューデリジェンスの実施状況の見直し(9)。
■ 2025年における注意義務計画及びその変更の承認、当グループの重要なサステナビリティに関するトピックに関連する全ての課題(人権と基本的自由、健康と安全、環境)に対する主要指標のモニタリング、並びに倫理・コンプライアンス委員会の業務及び環境・社会委員会の勧告に基づく進捗状況のレビュー(10)。
(1) 当社が実施する内部統制及びリスク管理手続のうち、会計及び財務情報の処理に関する主な特徴(フランス商法典第L. 22-10-10条第7項)は、「第3 事業の状況 3(3)管理体制」に示されている。
(2) 欧州サステナビリティ報告基準2 GOV-2 §26(b)
(3) 欧州サステナビリティ報告基準 G1-3 §18(c)
(4) 欧州サステナビリティ報告基準2 GOV-2 §26(b)(2025年に審査した取引について、取締役会は引き続き、特に気候変動に関する問題、すなわち、オランダにおける再生可能かつ低炭素の水素を大規模に生産できる電解装置の建設プロジェクト「EL Ygator」、主要な再生可能エネルギー関連契約、並びに特にエネルギー転換に関連するプロジェクトの資金調達及び借換えを目的とした5億ユーロのグリーンボンドの発行などについて検討した。)
(5) 欧州サステナビリティ報告基準2 GOV-2 §26 (a)及び(b)
(6) 欧州サステナビリティ報告基準2 GOV-1 §22 (d)
(7) 欧州サステナビリティ報告基準2 GOV-1 §22 (d)
(8) 欧州サステナビリティ報告基準2 GOV-1 §22 (a)
(9) 欧州サステナビリティ報告基準2 GOV-2 §26 (a)
(10) 欧州サステナビリティ報告基準2 GOV-1 §22 (d)
b. ガバナンス/報酬
ガバナンス体制の分離の維持
指名統治委員会の勧告に基づき、取締役会は2026年2月19日の会議において、ガバナンス体制の分離を維持し、フランソワ・ジャコウ氏を最高経営責任者、ブノワ・ポチエ氏を取締役会会長として再任する意向を示した。また、取締役会は筆頭取締役の任務も維持することを希望した。(詳細については、本書「第5 提出会社の状況 3(1)② ガバナンスの構造」を参照。)この基本的な決定は、2026年5月5日の株主総会終了時に正式に承認される予定である。
取締役会及び委員会の構成
取締役会は、指名統治委員会の勧告に基づき、以下のとおり決定した。
■ 2025年5月6日の株主総会において任期満了を迎えるグザビエ・ヒラード氏、アイマン・エザット氏、及びベルトラン・デュマジー氏の取締役任期の更新を提案するとともに、報酬委員会及び環境・社会委員会の構成を変更した。詳細については、本書「第5 提出会社の状況 3(1)③ 取締役会の構成」を参照。
■ 2026年5月5日の定時株主総会に向けた準備作業の一環として、本総会終了時に任期が満了するブノワ・ポチエ氏、フランソワ・ジャコウ氏及びアネッテ・ウインクラー氏の任期更新を提案した。詳細については、本書「第5 提出会社の状況 3(2)役員の状況」を参照。
評価
取締役会及びその委員会の機能の包括的評価に関連する取締役会の業務の詳細は、本書「第5 提出会社の状況 3(1)⑧ 取締役会の評価」に記載されている。
独立性
取締役会メンバーの独立性の評価に関する取締役会の作業は、本書「第5 提出会社の状況 3(1)③ b. 取締役の独立性」に詳述されている。
報酬
取締役会は、報酬委員会の勧告に従い、以下のとおり実施した。
■ 2025年度の執行役員の業績を評価し、当該年度の執行役員の報酬額を決定した。
■ 2025年12月31日に3年間のレビュー期間が終了した2023年LTIプランにおける業績条件の充足性を検討した。
■ 2024年4月30日の定時株主総会で承認された1事業年度あたり150万ユーロの予算の枠内で、2025年の取締役報酬の配分方式を決定した。
■ 報酬委員会の業務に留意し、業務執行役員(最高経営責任者、取締役会会長及びディレクター)に適用される報酬方針を決定した。この報酬方針は、2026年5月5日の定時株主総会の決議事項として別途提出する予定である。詳細は、後述の報酬に関する項目に記載されている。
■ 報酬方針に基づき、従業員及び執行役員に業績連動型株式を付与することを決定した。
c. 人事/利害関係者
人事
■ 当社の戦略的方向性に関する社会経済委員会の協議手続を隔年実施
■ 統治機関におけるリクサン(Rixain)法の実施
利害関係者(1)
2025年、取締役会は以下の点を検討した。
■ 社内の男女平等に関する2024年報告書
■ 2018年9月5日付法律で規定された男女賃金格差評価制度の見直し
■ 社会的報告書の見直し及び労使関係の更新
■ 社会経済委員会による戦略的方向性に関する協議
■ 年間従業員調査(My Voice)の結果の検討
(1) 欧州サステナビリティ報告基準2 SBM-2 §45 (d)
⑪【取締役会の委員会】
取締役会は4つの委員会(監査・会計委員会、指名統治委員会、報酬委員会及び環境・社会委員会)を設置する。
**a.**監査・会計委員会
| 2025年に開催された全員出席会議: 4回 | メンバー:3名 | 独立性:100% |
| 2025年12月31日時点のメンバー | 2025年の個別の出席率 | |
| キャサリン・ギラード氏(委員長) | 100% | |
| アイマン・エザット氏 | 100% | |
| ベルトラン・デュマジー氏 | 100% | |
監査・会計委員会の委員は、この分野での専門知識と職業経験により、職務を遂行するために必要な以下の財務スキルを有している。
■ 2023年5月3日より委員会委員長を務めるキャサリン・ギラード氏は、公共部門及び大手国際グループの最高財務責任者としてのキャリアを通じて培った確かな財務の専門知識を生かす。また、サステナビリティ問題、特に脱炭素化に関する知識も持ち合わせている。
■ アイマン・エザット氏はCapgeminiの金融サービス部門で様々な管理職を歴任し、グループ最高財務責任者を経て、最高経営責任者に就任した。財務の専門知識に加え、デジタル、サイバーセキュリティ及び企業のサステナブルな変革の分野でも幅広い専門知識を有する。
■ Edenredの会長兼CEOであるベルトラン・デュマジー氏は、デジタル及びサイバーセキュリティに関する幅広い知識と、特に投資ファンドや国際的なグループでの最高財務責任者として培った確かな財務スキルを有している。
取締役会規則に規定された構成・目的
監査・会計委員会は、3名から5名の取締役で構成され、その取締役の最低3分の2は独立取締役でなければならない。
委員会は原則として年4回開催され、年次又は中間財務諸表を審査する取締役会の前には必ず開催される。
初回の報告は委員長より取締役会に対して口頭で行われ、会議の書面による議事録は取締役に送付される。委員会は当グループの従業員の招集を要請することができる。さらには法定監査人や内部統制部門のメンバーに直接会うこともできる。支援を得る目的で外部専門家を招くことも可能である。
最高経営責任者は通常、監査・会計委員会の会議には参加しない。ただし、委員会委員長から特定の事項についての協議に参加するよう、時折求められることがある。
2025****年の監査・会計委員会の活動
■ 財務諸表、より一般的には、当社及び当グループの財政状態及び業績に関する検討作業の一環として実施された。
- 委員会は、年次連結財務諸表、中間連結財務諸表及び会社の年次財務諸表をレビューし、当社の財務状況、キャッシュ・フローの状況及び重要なオフバランスシートのコミットメントに十分留意した。当グループ最高財務責任者によるプレゼンテーションで、委員会は、財務諸表(損益計算書、貸借対照表、キャッシュ・フロー計算書)、引当金、「その他の営業利益及び費用」、税務、リスク影響度(社会的及び環境リスクを含む)、並びに見通し及び選択された会計オプションをより詳細に分析した。委員会は、財務諸表に関するアナリスト向け説明会の草案をレビューした。また、同委員会は、財務諸表の作成に際して、特に気候変動リスクを考慮することも確認した。さらに、委員会は、当グループの非財務情報の作成及び処理に関連する手続も見直した。
- 委員会は業績を分析し、効率化プログラム、グループの財務方針、負債及び流動性管理、並びに投資及び売却の決定をモニタリングした。
■ 法定監査人に関しては、委員会は以下を実施した。
- 委員会は、監査人から結果の要点を取りまとめた報告を受け、その結論を確認した。
- 委員会は、期首に前事業年度に係る監査人の報酬の額を審査した。
- 取締役会が検証した当グループの非監査業務の承認手続の範囲内で、2025年に承認された非監査業務について報告を受けた。
- 委員会は、欧州規則537/2014の規定に基づき、法定監査人が発行した3つの報告書の草案の内容を十分に確認した。法定会計報告及び連結財務諸表に関する報告書は、主要な監査事項の記載を含み、監査報告書に記載されている。一方、3番目のより詳細な報告書は、監査委員会のみを対象にしている。
■ リスクに関して、委員会は以下を実施した。
- 委員会は、リスクの種類ごとのモニタリング手法の一環として、グループによって特定されたリスクの管理(管理・統制機関及び手続の特定を含む)をモニタリングし、適切なレビュー・スケジュール(リスクの種類に応じて年次レビュー又は定期的な間隔によるレビューを行う。)について報告を受けた。委員会は、グループ業務管理・コンプライアンス部門が実施した主な任務、実施された是正措置、及び次年度の業務管理・コンプライアンス部門の主な任務に関する定期的な報告を聴取した。委員会はまた、グループ内のリスク管理手順の展開プロセスも定期的にモニタリングした。
- 当グループのリスク・マッピングとその変更点を検討し、期末時点で、リスク・マップで特定され、定期的な見直しの対象となっているすべてのリスクが、指定された頻度に従って監査委員会により検討されていることを確認した。2026年度の業務計画は、この考え方に沿ったものである。当該計画は、審議のために取締役会に提出された。さらに、委員会は、取締役会から具体的に提示されたテーマについても審議した。
- 委員会向けプレゼンテーションの一環で、特に産業情報システムに関するものを含むデジタル保護措置の進捗、サイバーセキュリティのそれぞれに関するリスクを検討した。この点について、委員会に対するプレゼンテーションが行われた際、当グループ内で実施された手順及び保護措置に関する全ての必要な情報、並びにサイバー危機管理に関する情報が提供された。
- 内部統制及びリスク管理手続に関する年次報告書に記載された情報を検討し、取締役会による承認を勧告した。
■ 委員会は、CSRD(企業サステナビリティ報告指令)に関連する義務について、サステナビリティ・ステートメントの公表に向けた環境・社会委員会との合同会議において、ダブル・マテリアリティの評価プロセスを含むサステナビリティ情報の作成プロセスのモニタリングを実施した。また、委員会はサステナビリティ・ステートメントにおけるリスク評価及び内部統制の手順も見直した(1) 。(詳細は「第3 事業の状況 2(1)一般的な開示」を参照。)
■ 委員会は、特にグループ内の現行手続の審査や、Sapin 2法によって要求される措置のモニタリングという観点から、倫理、汚職防止、影響行使に関する規制の遵守を確保した。また、委員会は、競争法の遵守も確保した(2)。
■ 監査・会計委員会はまた、独立企業間条件で締結された通常の契約の評価手続の実施に基づく2025年度の結論も検討した。なお、この手続は、PACTE法に従って、規制対象の契約として認められていない当社が関与する契約が、これらの条件を満たしているかどうかを定期的に評価するための方法を提供することに留意する必要がある。この事業年度中にこの手続を適用したことにより、規制対象の契約として独立企業間条件で締結された通常の契約に再分類を生じさせることはなかった。
委員会はまた、アドボカシー及びロビー活動に関する当グループの活動を定期的に検討し、取締役会に報告する。
各会議の数日前には、電子形式で入手可能な会議資料のファイルが専用のプラットフォームを通じて、委員会メンバーに提供される。各委員会の前には、委員会委員長が出席し、委員会事務局長、当グループ最高財務責任者、グループ業務管理及びコンプライアンス部長(内部監査も監督)が補佐する準備会議が開かれる。財務諸表を検討する会議を準備するため、委員会委員長は、会社代表者の出席なく法定監査人と面談する。会議では、最高財務責任者、総合統制担当ディレクター、討議中の分野を専門とした上級執行役員、法定監査人、又は該当する場合はサステナビリティ情報の認証を担当する法定監査人による各プレゼンテーションに対し討議が行われる。
口頭及び書面による各会議の報告が取締役会のために行われる(3)。
委員会委員長は、重要な内部監査報告書の要約を受領する。
また、当事業年度の決算についての会議の後、委員会委員は、会社代表者の出席なく法定監査人と面談することが出来る。
コーポレート・ガバナンスのAFEP/MEDEFコードで推奨されているように、財務諸表を閲覧することのできる十分な期間がとれるように、以下の措置が講じられている。上記のとおり、会議の1週間以上前に委員会委員長との事前会議を開く。ファイルは5日から7日前までに委員会メンバーの利用が可能である。これらの措置により、メンバーは会議の前に財務諸表を十分に検討することができる。財務諸表に関する委員会会議は、海外から参加するメンバーのスケジュールに合わせて、取締役会の前日に開催される。
(1) 欧州サステナビリティ報告基準2 GOV-5 §36 (e)
(2) 欧州サステナビリティ報告基準 G1 GOV-1 §5 (a)
(3) 欧州サステナビリティ報告基準 G1 GOV-1 §5 (a)
監査・会計委員会/環境・社会委員会の合同開催
取締役会規則は次のように定めている。
| 少なくとも年1回、環境・社会委員会の委員と監査・会計委員会の委員との合同会議を開催する。この会議では、両委員会のメンバーは、特に以下のことを実施する。 ■ 環境・社会委員会が年間を通じて検討したサステナビリティ・リスクの概要を検討 ■ サステナビリティ・リスクのマッピングをレビュー ■ 特定のサステナビリティ・リスクとそれに関連する管理手続の共同での見直し ■ サステナビリティ情報の作成プロセス及びサステナビリティ監査人による情報の認証についての監査・会計委員会の作業と結論に関する協議(1) |
|---|
監査委員会と環境・社会委員会の最初の合同会議は2019年6月に開催され、それ以降は少なくとも年1回開催されている。
この合同会議は、関連する事項、特にサステナビリティ・リスクの見直しに関して、2つの委員会のメンバーの間で良好な交流と議論を可能にするものである。監査委員会は、環境・社会委員会によって詳細な調査が行われたサステナビリティ・リスクを含めた、当グループのリスク及び関連する管理の手順を検討する。
合同会議は、統合報告書の財務データと非財務データの調整が反映されるよう、一貫したアプローチを確保するのにも役立つ。また、2つの委員会が、CSRD関連の義務の観点から、それぞれの任務の結果を共有し、最終的にサステナビリティ情報の認証を担当するサステナビリティ監査人の報告を受け取ることも可能にする。
このような背景から、監査委員会と環境・社会委員会は2025年に2回の合同会議を開催した。
2025年2月及び11月の合同会議では、監査・会計委員会と環境・社会委員会の委員は、当グループ最高財務責任者(CFO)、特にグループ業務管理(内部監査を含む)及びサステナブルな成長を監督するグループ事務局長の立会いの下、以下の点に留意して監査を行った。
■ 事業年度中に環境・社会委員会において見直されたサステナビリティ・リスクの概要及びマッピングを検証した(2)。
■ 交通安全や関連する管理手順など、特定の環境・社会リスクに関して詳細に検討した。
■ 2024年CSRDサステナビリティ・ステートメント及びその作成プロセスを検討した。
■ サステナビリティ監査人が同席する委員会会議にて、CSRDの報告プロセスに関するサステナビリティ監査人の結論を検討した(3)。
■ 2025年の新たな要件を含む2025年CSRDサステナビリティ・ステートメントの作成状況をモニタリングした。
(1) 欧州サステナビリティ報告基準2 GOV-1 §22 (b)
(2) 欧州サステナビリティ報告基準2 GOV-2 §26 (d)
(3) 欧州サステナビリティ報告基準2 GOV-2 §26 (a)
**b.**指名統治委員会
| 2025年に開催された全員出席会議:3回 | メンバー:3名 | 独立性:100% |
| 2025年12月31日時点のメンバー | 2025年の個別の出席率 | |
| グザビエ・ヒラード氏(議長) | 100% | |
| アネッテ・ウインクラー氏 | 100% | |
| ベルトラン・デュマジー氏 | 100% | |
取締役会規則に規定された構成・役割
指名統治委員会は、3名から5名の取締役で構成され、取締役会で採用された基準により、その過半数は独立取締役でなければならない。取締役会会長は、委員会の会議に出席し、委員会の業務に参加する。最高経営責任者は委員会の業務に関与する。両者は、委員会の審議のうち、自己に関する協議には出席しない。委員会は原則年3回開催される。
委員会は、外部専門家の支援を要請することができる。この場合、当社は相応の資金を委員会に提供する。
委員会の結論は、討議と意思決定のために、委員長から次回の取締役会において提示される。
2025****年の指名統治委員会の活動
後継者計画-ガバナンス
委員会は、最高経営責任者及び取締役会会長の後継者計画を策定し、更新する。年次レビューの一環として、独立筆頭取締役が議長を務める委員会は、経営陣の育成状況を検討し、当グループの人材のプロフィール及び前事業年度における実績と業績を評価する。最高経営責任者もこのレビューに参加する。
また、本会議において委員会は、取締役会会長又は最高経営責任者が緊急交代した場合に想定される具体的な手順とシナリオについても検討する。2025年においても、委員会は本見直しを実施した。
2025年においては、2026年5月開催の株主総会終了時に執行役員の任期が満了することを踏まえ、後継者計画及びガバナンス体制の選択に関する当委員会の活動が一層活発化した。この検討を踏まえ、委員会は、現行のガバナンス体制を維持し、フランソワ・ジャコウ氏を最高経営責任者、ブノワ・ポチエ氏を取締役会会長として再任することを取締役会に勧告した。また、委員会は、両名の取締役としての任期更新を株主総会に提案することも勧告した。さらに、進行中の経営陣の移行に伴い、委員会は2022年に取締役会会長に割り当てられていた具体的な任務について調整することも推奨した。最後に、委員会は、独立取締役であるグザビエ・ヒラード氏に委ねられている筆頭取締役の任務を維持することを推奨した。詳細については、本書「第5 提出会社の状況 3(1)② ガバナンスの構造」を参照。
取締役会及び委員会の構成
毎年、委員会は、取締役会の構成が取締役会規則の定めに適合しているかどうかを検討している。委員会は、サステナビリティに関連する様々な課題も含め、取締役会に必要とされるスキルについて検討する。同委員会は、短・中期的な取締役会の構成における望ましい発展の見通しについて提言を行う。
■ 従って、委員会は取締役会に対し、2025年5月6日の株主総会で任期を満了するグザビエ・ヒラード氏、アイマン・エザット氏、及びベルトラン・デュマジー氏の任期更新を提案することを勧告した。
■ 同委員会の検討を受けて、取締役会は各委員会の構成を変更し、アレクシス・ペラキス=ヴァラト氏を報酬委員会委員長(グザビエ・ヒラード氏の後任)に、クリスティーナ・ロウ氏を報酬委員会及び環境・社会委員会の委員に、マイケル・H・タマン氏を環境・社会委員会の委員に任命した。委員会は、環境・社会委員会の委員数が増加したことを受け、取締役会に対し、取締役会規則を改正するよう勧告した。
■ 委員会は、取締役会に存在するプロフィールやスキル(各メンバーの個別スキルを示すマトリクスに反映されている。詳細については、本書「第5 提出会社の状況 3(1)③ 取締役会の構成」を参照。)が、当グループの課題に適切であると判断したため、新たな候補者の選定は行わなかった。委員会は、特に取締役会及び自身が委員を務める各委員会の活動に積極的な関与を踏まえて、アネッテ・ウインクラー氏の取締役としての任期更新を推奨した。
2025****年に実施したその他の職務
■ 取締役の独立性の見直しの一環として、委員会は、各取締役の個人的な状況を、取締役会規則及びAFEP/MEDEFコードに定められた独立性の基準を踏まえて検討した。特に、委員会は、(ⅰ) 当社の取締役としての在任期間が12年を超えているかどうかという基準に基づき、2026年5月の株主総会をもって、アネッテ・ウインクラー氏を独立取締役として認定しないことを勧告した。また、(ii) 各取締役に関して、当グループと関係グループとの間の既存の取引関係を検討した。詳細については、本書「第5 提出会社の状況 3(1)③ 取締役会の構成」を参照。
■ 2025年末に公表された政府報告書(フランスのコーポレート・ガバナンスに関する高等委員会)及びフランス金融市場局の年次報告書の提言を検討し、当社が従うべき実務に関する提言を行った。また、AFEP/MEDEFコードと比較して当グループの業務の潜在的な逸脱(本書「第5 提出会社の状況 3(1)⑪ AFEP/MEDEFコーポレート・ガバナンス・コードの適用」表参照)についても調査したが、該当事項はなかった。
■ 2025年末に、取締役会に対して包括的な評価を実施する独立した外部委託業者の選定プロセスを実施した。委員会は、この評価の実施に関する実務上の取決め、特に各取締役との個別面談の実施体制について確認した。詳細については、本書「第5 提出会社の状況 3(1)⑦ 取締役会の評価」を参照。
■ 総会に出席できなくなった参加者がいた場合に備え、代わりの出席者を手配することを目的とした事業継続計画の見直しを実施した。
■ コーポレート・ガバナンスに関する報告書及びサステナビリティ・ステートメントの一部を組み込んだ、年次報告書の本セクションの草案を検討し、取締役会に対してこれを承認することを勧告した。
**c.**報酬委員会
| 2025年に開催された全員出席会議:3回 | メンバー:4名 (従業員代表の取締役1名を含む) | 独立性:100%(a) |
| 2025年12月31日時点のメンバー | 2025年の個別の出席率 | |
| アレクシス・ペラキス=ヴァラト氏(委員長) | 100% | |
| キム・アン・ミンク氏 | 100% | |
| ファティマ・ティグラリン氏(従業員代表の取締役) | 100% | |
| クリスティーナ・ロウ氏 | 100% | |
(a) この割合の計算には、従業員代表の取締役は考慮されない。
取締役会規則に規定された構成・役割
報酬委員会は、3名から5名の取締役で構成され、その過半数は独立していなければならない。取締役会会長(場合によっては取締役会会長兼最高経営責任者)は、委員会の業務に参加し、委員会の会議に出席する。最高経営責任者は、特に最高経営責任者が主要な非会社役員に対する報酬方針について報告を受ける場合には、委員会の業務に関与する。ただし、取締役会会長及び最高経営責任者は、個人的な事案に関連する本委員会の審議には出席しない。委員会は、原則として年3回開催される。
報酬委員会の結論は、討議と意思決定のために、委員長が次回の取締役会に提出する。
2025****年の報酬委員会の活動
役員報酬/長期報酬の構成要素は以下のとおりである。
■ 2025年2月に最高経営責任者(2024年1月1日から12月31日までの期間)の業績及び2024事業年度の報酬変動部分の目標達成度を評価し、取締役会に勧告する。
■ 2025年5月6日の株主総会に提出された、会社役員の報酬(会社役員及び取締役の報酬に関する情報を含み、フランス商法第22-10-9条Iに規定される報告書)及び2024年度の執行役員の個人報酬に関する報告書案及び決議案を見直す。
■ 最高経営責任者がグループ従業員(執行委員会を含む)への割当てに関与した、2025年の業績連動型株式の割当てに関する作業を行う。
■ 最高経営責任者の詳細なプレゼンテーションに基づき、執行委員会の短期及び長期の報酬に関連する2025年の業績の分析を行う。
■ 2026年2月に、2025年12月31日をもって3年間のレビュー期間が満了した2023年LTIプランの業績条件の充足状況を見直す。
■ 2026年5月5日の株主総会に提出される、会社役員の報酬方針に関する見直しと取締役会への提案を行う。
■ ROCE、TSR、及び気候変動目標に連動する2025年LTIプランで定義されたものと同様の業績基準を含む、2026年LTIプラン(2026年2月に取締役会で採択)に適用される業績条件に関する検討及び取締役会への提案を行う。そして、権利確定期間を3年とし、保有期間の要件は定めない。
■ 会社役員に適用される株式保有規則を見直す。
■ 2026年2月の取締役会による最高経営責任者の短期変動報酬及び年金保険契約の2025年の業績条件達成度に関する評価の準備を行う。
■ 年次報告書に記載された報酬比率の計算を見直す。
取締役の報酬
■ 2025年5月6日の株主総会に提出された取締役の報酬方針に関する取締役会への勧告、及び株主総会による同方針の承認後、取締役会に対する取締役の報酬配分方式に関する勧告を行った。
コーポレート・ガバナンス
報酬委員会は、その業務の一環として、株主総会の準備として実施された主な株主インタビュー及び報酬に関する決議について前回の株主総会での投票の結果を考慮する。また、HCGE及びAMFが発行する報告書を分析し、報酬方針の策定にあたっては、その推奨を考慮に入れている。
委員会は、透明性とコミュニケーションに関する方策を検討し、提言を発行した。委員会は、報酬に関するセクションを検討し、コーポレート・ガバナンスに関する報告書に含め、取締役会による承認を勧告した。
**d.**環境・社会委員会
| 2025年に開催された全員出席会議:3回 | メンバー:5名 (従業員代表の取締役1名を含む) | 独立性:100%(a) |
| 2025年12月31日時点のメンバー | 2025年の個別の出席率 | |
| アネッテ・ウインクラー氏(委員長) | 100% | |
| フィリップ・ドゥブルリー氏(従業員代表の取締役) | 100% | |
| モニカ・ド・ビルギリス氏 | 100% | |
| マイケル・H・タマン氏 | 100% | |
| クリスティーナ・ロウ氏 | 100% | |
(a) この割合の計算には、従業員代表の取締役は考慮されない。
2017年5月3日、企業の社会的責任問題に焦点を当てた環境・社会委員会を設置した。
取締役会規則に定める構成・業務
取締役会規則では、委員会は、3~5名の取締役で構成すると定めている。
当グループのサステナビリティ戦略とその実施状況について、サステナブルな成長に責任を有する執行委員会のメンバーから、委員会に定期的に報告されている。
委員会は、必要に応じて外部専門家の支援を要請することができる。そのような場合、当社は相応の資金を委員会に提供する。
委員会は、その業務を取締役会に報告する(1)。環境・社会委員会の会議の結論は、議論のため、委員長により取締役会に提示され、必要に応じて、直近の取締役会による決定が行われる。取締役会は、サステナビリティに関する影響・リスク・機会(IROs)をモニタリングするという任務を実行するために、その分析に依拠している(2)。
委員会は、原則として年3回開催する。
(1) 欧州サステナビリティ報告基準2 GOV-1 §22 (d)
(2) 欧州サステナビリティ報告基準2 GOV-1 §22 (a)
2025****年の環境・社会委員会の活動
その任務に従い、2025年における委員会の業務は以下のとおりであった。
■ サステナビリティに関する当グループのコミットメントに関連するアクションプランの展開のレビュー、及びこれらのコミットメントに関連する様々な主要業績指標の進捗状況、特に当グループの戦略プランADVANCEの目標に関連する指標についてのモニタリング(詳細は、「第3 事業の状況 2(1)一般的な開示」を参照。)(1)
■ 各拠点(国グループ)の脱炭素化計画の進捗状況の検討(2)
■ 当グループのスコープ3排出量の算定精度を向上させるための取組の見直し
■ 重要な影響・リスク・機会(IROs)に対応する事業上の課題に関する目標の設定状況及びその達成に向けた進捗状況のモニタリング(3)
■ 当グループの2024年サステナビリティ・ステートメントの見直し、及び気候変動移行計画を含む2025年サステナビリティ・ステートメントの作成
■ 2024年度の注意義務計画の見直し及び2025年度の注意義務計画の作成
■ サステナビリティ・ステートメントに関する監査人の結論の検討(4)
■ 2024年のサステナビリティ・ステートメントの公表から得られた教訓の検証及び類似するサステナビリティ・ステートメントとの比較分析(5)
■ サステナビリティ・ステートメントに関して予想される規制変更の検討
■ 水管理目標の進捗状況の見直し(詳細は、「第3 事業の状況 2(2) 環境に関する情報」を参照。)(6)
■ 当グループの非財務的な格付けの年次見直し(7)
■ サステナビリティに関するテーマにおける当グループのコミュニケーション手法の見直し
■ サステナビリティに関するテーマにおける当グループと投資家との対話の検討(8)
■ サステナビリティ・リスクのマッピング及び、その発生や影響を抑制するための関連措置の検討
■ サステナビリティに関するテーマにおける非政府組織(NGOs)とのグループ間交流の見直し(9)
■ 当グループ内の男女間の賃金格差の実態の見直し(10) (詳細は、「第3 事業の状況 2(3) 社会的事項に関する情報」を参照。)
■ ダイバーシティに関する目標の実施状況の見直し(11)
■ 適切な賃金指標の見直し(12)
■ サプライヤーのサステナビリティ評価に対する当グループのアプローチの見直し(13)
■ 当グループのパブリック・アフェアーズ部門によるロビー活動の見直し(14)
■ 患者の健康と安全に関するリスクを軽減するための措置の見直し(15)
■ 当グループの社会貢献活動の主要な柱である、エア・リキード財団及び「Citizen at Work」プログラムによる取組の見直し
会議資料は環境・社会委員会の会議に先立って用意され、会議の数日前に委員に提供されている。会議では、それぞれ発表された内容について議論を行う。取締役会に対する毎回の会議の報告が、委員会委員長によって口頭で行われ、書面による報告書が作成されている。
2019年より、監査・会計委員会の業務との円滑な連携の観点から、監査・会計委員会と環境・社会委員会は少なくとも年1回以上、合同で開催している。詳細については、本書「第5 提出会社の状況 3(1)⑪ 取締役会の委員会」を参照。
(1) 欧州サステナビリティ報告基準2 GOV-1 §22 (d)
(2) 欧州サステナビリティ報告基準2 GOV-1 §22 (d)
(3) 欧州サステナビリティ報告基準2 GOV-1 §22 (d)
(4) 欧州サステナビリティ報告基準2 GOV-2 §26 (a)
(5) 欧州サステナビリティ報告基準2 GOV-2 §26 (a)
(6) 欧州サステナビリティ報告基準2 GOV-1 §22 (d)
(7) 欧州サステナビリティ報告基準2 SBM-2 §45 (d)
(8) 欧州サステナビリティ報告基準2 SBM-2 §45 (d)
(9) 欧州サステナビリティ報告基準2 SBM-2 §45 (d)
(10) 欧州サステナビリティ報告基準2 SBM-2 §45 (d)
(11) 欧州サステナビリティ報告基準2 SBM-2 §45 (d)
(12) 欧州サステナビリティ報告基準2 SBM-2 §45 (d)
(13) 欧州サステナビリティ報告基準2 SBM-2 §45 (d)
(14) 欧州サステナビリティ報告基準2 SBM-2 §45 (d)
(15) 欧州サステナビリティ報告基準2 SBM-2 §45 (d)
⑫【AFEP/MEDEFコーポレート・ガバナンス・コードの適用(要点)】
エア・リキード・エス・エーはAFEP/MEDEFコードを適用し、同コードの遵守を確保するため、当社で施行されている慣行をAFEP/MEDEFコードに照らして定期的に見直している。
当社は、その実務がAFEP/MEDEFコードの推奨事項に適合していると考えている。
| AFEP/MEDEFコードの推奨事項の違反 | エア・リキード・エス・エーの実務及び正当化 |
|---|---|
| なし | 該当なし |
⑬【IR作業グループ】
IR作業グループは、現在会長のブノワ・ポチエ氏とグザビエ・ヒラード氏の2名で構成されている。昨年度中のIR作業グループの任務は、基本的に株主基盤、エア・リキードとその株主との関係、市場の期待、株主戦略に焦点を当てていた。
⑭【株主総会への参加について】
フランス商法第L.22-10-10条5項に基づき、株主総会への参加に関する具体的な条件は、当社定款の第5条から第10条まで及び第18条から第19条までに規定されていることが明記されている。
⑮【株主総会で認められた権限の委譲】
フランス商法第L.225-37-4条3項に従い、株式資本の増加に関して株主総会が付与した有効な権限の委任の概要表は、年次報告書に記載されていることが明記されている。
(2)【役員の状況】
① 取締役の主要略歴並びにその各々による当社株式の保有数
男性7名、女性5名(役員のうち女性の比率:42%)(注)
(注)従業員代表取締役を除く。
| 役名及び職名 | 氏名及び生年 | 略歴 | 任期 | 2025年12月31日現在の普通株式所有株式数(単位:株) | |
| 取締役会会長 | ブノワ・ポチエ (Benoit Potier) 1957年生 | -1981年 当社入社 -2000年 当社取締役 -2006年 当社取締役会長兼CEO(2022年5月まで) -Siemens AG取締役(指名委員会委員)(現任) -全国水素カウンシル共同議長(2021年1月11日より) -European Round Table会員 -Asia Business Counsil会員 -Paris-Saclay大学戦略的オリエンテーション委員会委員 -シンガポール国際諮問パネル(エネルギー分野) - Temasek European諮問パネル - Unilever PLC取締役監査委員会委員(2025年1月1日より) | (注)1 | 755,009 | |
| 取締役 -最高経営責任者 | フランソワ・ジャコウ (Francois Jackow) 1969年生 | -1993年 当社入社 -2007年 日本エア・リキードCEO -2011年 ラージ・インダストリー・ビジネスライン グループヴァイス・プレジデント -2014年 執行委員会 -当社取締役(2022年5月4日より)、最高経営責任者(2022年6月1日より) -Air Liquide International取締役会長兼CEO、Air Liquide International Corporation取締役会長CEO、American Air Liquide Holdings取締役、The Hydrogen company取締役、Air Liquide Foundation取締役 -水素カウンシルメンバー(2024年6月より) -Marne機械工学ワークショップ(ACMM)経営委員会メンバー | (注)1 | 78,505 | |
| 取締役 (筆頭取締役) (独立取締役) -報酬委員会委員長、指名統治委員会委員 | グザビエ・ヒラード (Xavier Huillard) 1954年生 | -1996年 Sogea入社、同社副CEO -1998年 同社会長兼CEO -1998年 VINCI副部長 -2010年 同社取締役会長兼CEO(現任) -2017年 当社取締役(2022年5月4日以降筆頭取締役、2017年5月以降報酬委員会委員、2018年5月以降報酬委員会委員長、2020年5月以降指名統治委員会委員、2022年5月4日以降同委員会委員長) -VINCI Concessions SAS会長(2024年11月7日まで) -VINCI Deutschland GmbH監査委員会委員長 -VINCI Energies取締役会常任代表 -Fondation d’entreprise VINCI pour la Cité会長 -関西エアポート株式会社取締役 -Institut de l’entreprise名誉会長 -Association Aurore取締役(公益団体) -Cobra Servicios, Comunicaciones y Energia SLU取締役(スペイン、2021年12月より) -Pierre Lamoure Institute取締役兼議長(2019年11月より) | (注)3 | 3,570 及び用益権株式16,280 | |
| 取締役 (独立取締役) -指名統治委員会委員、環境・社会委員会委員長 | アネッテ・ウインクラー (Annette Winkler) 1959年生 | -1995年 メルセデス・ベンツ・グループ入社 -2014年 当社取締役(報酬委員会委員(2015年5月から2020年5月まで)、指名統治委員会委員(2017年5月より)、環境・社会委員会委員長(2020年5月より)) -Renault S.A.取締役(2020年1月から戦略委員会委員長)、Renault S.A.S.取締役 | (注)1 | 3,219 | |
| 取締役 (従業員代表取締役) -環境・社会委員会委員 | フィリップ・ドゥブルリー (Philippe Dubrulle) 1972年生 | -2008年 当社入社 -2014年 当社従業員代表取締役 -2017年5月 当社環境・社会委員会委員 -Air Liquide Advanced Technologiesトランスフォーメーション及びサステナブル・デベロップメント担当ディレクター | (注)1 | - | |
| 取締役 (独立取締役) -報酬委員会委員 | キム・アン・ミンク (Kim Ann Mink) 1959年生 | -2017年 Innophos社長、会長兼CEO(2020年2月7日まで) -2020年 当社取締役(2021年9月より報酬委員会委員) -Eastern Chemical Company取締役、Avient Corp.(旧PolyOne Corp.)取締役、Group 14 Technologies取締役(2023年9月より) -Drexel大学LeBowビジネスカレッジRaj & Kamla Gupta Governance Institute顧問(2022年9月より) | (注)4 | 610 | |
| 取締役 (従業員代表取締役) -報酬委員会委員 | ファティマ・ティグラリン (Fatima Tighlaline) 1979年生 | -2002年 当グループ入社 -2020年 VitalAire France the Ile-de-France planningチームマネージャー -2020年 当社取締役(2022年5月より報酬委員会委員) -2021年 IFA Sciences Po公認取締役 -2022年 VitalAire France the Ile-de-France respiratory planningチーム長(2024年12月31日まで) | (注)4 | - | |
| 取締役 (独立取締役) -監査・会計委員会委員 | アイマン・エザット (Aiman Ezzat) 1961年生 | -1991年 Capgemini Group入社 -2020年 Capgemini SE CEO兼取締役(戦略CSR委員会委員) -2021年 当社取締役 (2022年5月より監査会計委員会委員) -Capgemini Service SAS会長(2020年5月より)、Capgemini Latin America SAS (USA)会長(2020年5月より)、Sogeti France 2005 SAS会長(2018年5月より)、Capgemini France SAS会長(2024年11月より)、Capgemini 2024会長(2024年11月より) -Capgemini North America, Inc. (USA)取締役会会長兼CEO(2020年5月より) -Capgemini America, Inc. (USA)取締役会会長(2020年5月より) -Purpose Global PBC (USA)取締役(2020年4月より)、Capgemini International BV(Netherlands)取締役(2020年5月より)、Capgemini Technology Service India Limited取締役(2021年1月より) | (注)3 | 610 | |
| 取締役 (独立取締役) -指名統治委員会委員 | ベルトラン・デュマジー (Bertrand Dumazy) 1971年生 | -1994年 Bain & Company入社 -1999年 BC Partners資産運用管理者 -2021年 Terreal SAS-France取締役(2021年4月まで) -2021年 当社取締役(2022年5月より指名統治委員会委員、2023年5月より監査会計委員会) -Edenred SE会長兼CEO(2015年10月より) -Neoen SA(再生エネルギー)ガバナンスCSR委員会会長 | (注)3 | 790 | |
| 取締役 (独立取締役) -監査会計委員会議長 | キャサリン・ギラード (Catherine Guillourd) 1965年生 | -1993年 フランス財務省経済局 -1997年 Air France入社 -2017年 RATP会長兼CEO(2022年9月まで) -2022年 Ingenico会長 -2023年 当社取締役(2023年5月より監査会計委員会議長) -Airbus SE取締役(2016年4月より) -Lottomatica取締役(2022年10月より) -Easy Park Group As取締役(2024年11月より) | (注)2 | 550 | |
| 取締役 (独立取締役) | クリスティーナ・ロウ (Christina Law) 1967年生 | -1988年 Shell香港入社 -2005年 Johnson&Johnson入社 -2012年 General Millsリージョンプレジデント等 -2019年 Raintree GroupCEO(現任) -2022年 Novo Nordisk取締役(監査委員会委員)(2025年11月まで) -2023年 当社取締役 -Greenfields Dairy取締役(2021年より) -National Gallery Singapore取締役(2024年7月より) | (注)2 | 550 | |
| 取締役 (独立取締役) | アレクシス・ベラキス=ヴァラト (Alexis Perakis-Valat) 1971年生 | -1994年 L’Oreal入社 -2016年 同社消費者製品部門プレジデント・経営委員会メンバー(現任) -2023年 当社取締役 | (注)2 | 550 | |
| 取締役 (独立取締役) | マイケル・H・タマン (Michael H. Thaman) 1964年生 | -1986年 Mercer Management Consulting入社 -1992年 Owens Corning(2000年~2007年CFO、2007年~2019年会長兼CEO) -2017年 Sherwin-Williams取締役監査委員会委員(現任) -2023年 当社取締役 -UL SolutionsInc.取締役監査委員会委員(2021年5月より) -Kohler Co.取締役(2014年5月より) | (注)2 | 550 | |
| 取締役 (独立取締役) -環境・社会委員会委員 | モニカ・ド・ビルギリス | -2001年 STMicroelectronics入社 -2015年 Infineon -2016年 SNAM取締役(2022年4月より会長)(2025年5月まで) -2017年 フランス原子力・代替エネルギー庁(CEA)戦略担当ディレクター(2019年まで) -2023年Georg Fischer取締役(監査委員会委員)(現任) -2023年 当社取締役(環境・社会委員会委員、2023年5月より) | (注)4 | 550 | |
| 計 | 14 | - | - | - | |
(注)1 2025年12月31日に終了する事業年度の計算書類を承認する定時株主総会の終結の時まで。
(注)2 2026年12月31日に終了する事業年度の計算書類を承認する定時株主総会の終結の時まで。
(注)3 2028年12月31日に終了する事業年度の計算書類を承認する定時株主総会の終結の時まで。
(注)4 2027年12月31日に終了する事業年度の計算書類を承認する定時株主総会の終結の時まで。
(3)【監査の状況】
① 監査・会計委員会の監査の状況
「第5 提出会社の状況 3(1)⑪ 取締役会の委員会」中の監査・会計委員会に関する記載を参照。
② 内部監査の状況等
当社の内部管理の状況等については、「第3 事業の状況 2 事業等のリスク」を参照。
③ 会計監査の状況
a. 外国監査公認会計士等の名称
カーペーエムジェー
プライスウォーターハウスクーパース オーディット
b. 継続監査期間
カーペーエムジェーにつき、4年目。
プライスウォーターハウスクーパース オーディットにつき、10年目。
c. 業務を執行した外国公認会計士
カーペーエムジェー
バレリー・ベソン
ローラン・ジェニン
プライスウォーターハウスクーパース オーディット
オリビエ・ロト
セドリック・ル・ガル
d. 会計監査人の選定方針、会計監査人の評価
「第5 提出会社の状況 3(1)⑪ 取締役会の委員会」中の監査・会計委員会に関する記載を参照。
e. 監査報酬の内容等
| (千ユーロ) | 2025 | |||||||
| KPMG S.A. | Pricewaterhouse Coopers | その他 | 合計 | |||||
| 監査、認証 個別・連結書類のレビュー | 5,623 | 92.9% | 7,993 | 94.6% | 186 | 100.0% | 13,802 | 93.9% |
| 発行者 | 718 | 949 | - | 1,667 | ||||
| 完全連結子会社 | 4,905 | 7,044 | 186 | 12,135 | ||||
| 法定業務 | - | 0.0% | 17 | 0.2% | - | 0.0% | 17 | 0.1% |
| 法定認証業務等報酬合計 | 5,623 | 92.9% | 8,010 | 94.8% | 186 | 100.0% | 13,819 | 94.1% |
| その他サービス(a) | 433 | 7.1% | 439 | 5.2% | - | - | 872 | 5.9% |
| 非監査業務計 | 433 | 7.1% | 439 | 5.2% | - | - | 872 | 5.9% |
| 合計 | 6,056 | 100% | 8,449 | 100% | 186 | 100% | 14,691 | 100% |
| サステナビリティ文書認証 | 420 | 630 | - | 1,150 | ||||
(a) その他サービスは、法律上義務の義務ではない財務報告書の監査、税務コンプライアンスのレビュー、合意された手続及び様々な証明その他の当社及びその子会社の要請により提供された業務である。
| (千ユーロ) | 2024 | |||||||
| KPMG S.A. | Pricewaterhouse Coopers | その他 | 合計 | |||||
| 監査、認証 個別・連結書類のレビュー | 5,704 | 95.0% | 7,896 | 95.2% | 403 | 96.4% | 14,003 | 95.2% |
| 発行者 | 651 | 972 | - | 1,623 | ||||
| 完全連結子会社 | 5,053 | 6,924 | 403 | 12,380 | ||||
| 法定業務 | 41 | 0.7% | 52 | 0.6% | - | 0.0% | 93 | 0.6% |
| 法定認証業務等報酬合計 | 5,745 | 95.7% | 7,948 | 95.8% | 403 | 96.4% | 14,096 | 95.8% |
| その他サービス | 257 | 4.3% | 347 | 4.2% | 15 | 3.6% | 619 | 4.2% |
| 非監査業務計 | 257 | 4.3% | 347 | 4.2% | 15 | 3.6% | 619 | 4.2% |
| 合計 | 6,002 | 100% | 8,295 | 100% | 418 | 100% | 14,715 | 100% |
| サステナビリティ文書認証 | 460 | 690 | - | 1,150 | ||||
(4)【役員の報酬等】
① 役員の報酬等の算定方法の決定に関する方針の内容及び決定方法
**(**フランス商法第 L.22-10-8 II 条に基づき、株主総会の承認を得るために提出されたもの)
フランス商法L.22-10-8 II条に基づき、報酬委員会の勧告を受け、2026年2月19日に取締役会が制定し、本項で説明するエア・リキード・エス・エーの取締役に適用される報酬方針は、2026年5月5日の株主総会において、承認を求めるものである。本方針は、業務執行取締役については第12号決議及び第13号決議(下記1項)、非業務執行取締役については第14号決議(下記2項)に記載されている。
1. 会社役員に適用される報酬の方針
後述の会社役員に適用され、株主総会の承認を得ることを条件とする報酬方針の内訳は以下のとおりである。
■ 最高経営責任者の報酬方針(2026年にフランソワ・ジャコウ氏に適用される)。
■ 取締役会会長の報酬方針(2026年はブノワ・ポチエ氏に適用される)。
報酬委員会及び取締役会の活動において、当社の会社役員は、報酬委員会による自分自身の案件に関する審議には出席せず、取締役会による自分に関係する報酬の構成要素に関する審議又は投票には参加しない。本方針を決定するための意思決定プロセスは、本方針を見直し、実施する際にも適用される。
報酬方針を決定するために、取締役会は、AFEP/MEDEFコーポレート・ガバナンス・コードが推奨する完全性、バランス、比較可能性、一貫性、理解可能性及び比例性の原則を考慮に入れている。
提示された本方針は、取締役会会長と最高経営責任者の職務を分離し続けるという取締役会の決定を反映したものであり、2025年5月6日の株主総会で承認された方針に沿ったものである。
フランソワ・ジャコウ氏の最高経営責任者及びブノワ・ポチエ氏の取締役会会長としての任期更新案を受け、取締役会は両氏の報酬水準について再検討を行った。最高経営責任者に関しては、取締役会は、専門の外部コンサルタントが作成したベンチマークに基づき、同氏の業績、経験及びスキル、並びに市場慣行に対する報酬水準の競争力を特に考慮した。この検討の結果、取締役会は最高経営責任者の報酬の見直しを提案することとなった。
取締役会長については、すでに本格化している経営陣の交代及び同氏の具体的な職務範囲の変更を踏まえ、報酬を減額することを提案する。
したがって、本方針には、一方で最高経営責任者の報酬に関する変更案(詳細は後述の1.2項に記載)、他方で(ii)取締役会議長の報酬に関する変更案(詳細は後述の1.3項に記載)が盛り込まれている。
当社の会社役員に対する報酬方針は、当グループの慣行、そのガバナンスの状況及び市場の慣行に従って策定されたものである。また、競争力があり、当グループの戦略及び中長期的な目標に合致している。
1.1. 業務執行取締役に適用される報酬方針
a. 一般原則
取締役会が決定する業務執行取締役の報酬方針には、当グループの戦略を反映するインセンティブ要素が含まれている。高度に資本集約的な産業において、収益性の高い長期的な成長には、各投資決定と各事業の競争力に常に注意を払い、特に安全、従業員の能力開発、サステナビリティ課題及び全ての利害関係者の利益への配慮を長期にわたって継続的に行うことが求められる。この制度は、短期変動要素と長期インセンティブ要素の両方に、当グループの財務的業績と非財務的業績に沿った基準が組み込まれており、また競争力を維持しなければならない。この観点から、業務執行取締役の報酬を決定するために考慮される要素は、以下のとおりである。
■ 年次の短期報酬:固定報酬と業績条件に基づく変動報酬からなる。
■ 長期インセンティブ(以下「長期インセンティブ」又は「LTI」):業績連動株式及びストックオプションの付与による(いずれも3年間で算出される業績条件による)。
■ 業務執行取締役の任期の履行に伴うその他の便益、具体的には以下のものが含まれる。
- 付加年金制度
- 死亡・障害給付や医療費などの社会的保障の追加
- 現物給付(経営幹部、取締役に対する雇用保険を含む)
- 職務終了時のコミットメント(特定の厳格に定義された状況において、当社の主導で職務を終了した場合、3年間で算出される業績条件及び場合により競業避止の補償を行う)。
業務執行取締役と当グループ各社との間には、雇用契約はない。この点に関して、フランソワ・ジャコウ氏は、AFEP/MEDEFコード及びガバナンスのベストプラクティスに基づき、2022年6月1日の最高経営責任者としての任期開始日に、雇用契約を一方的に解除することを決定したことを付記しておく。
さらに、このような状況が発生した場合、副最高経営責任者に適用される報酬は、当社の最高経営責任者に適用される方針に基づいて決定される。ただし、プロフィール、経験、責任のレベルの違いを考慮し、この種の執行役員に適用される当社の以前の慣例と一致している。
b. 業務執行取締役の一般的な報酬に共通する構造及び主な特徴
■ 報酬方針は、報酬総額のうち、3つの要素(すなわち、固定報酬、変動報酬、業績連動株式及びストックオプションからなる長期インセンティブ)の間で、以下のとおり比例したバランスをとることを定めている。
(i) 固定報酬は、目標とする年間報酬総額の約25%を占める。
(ii) 業績条件の対象となる要素は、目標報酬の約**75%**を占めており、その大部分がLTIに配分される。これは、市場慣行及び当グループの長期戦略を反映したものである。
■ 年間変動報酬
定量的及び定性的な基準から構成される年次変動報酬は、各基準について、上限額を設定したうえで、目標変動報酬(固定報酬に対する割合)として示される。
目標の配分比率(固定報酬に対する割合として表される)は、年初に設定された目標を100%達成した場合に相当する。各評価基準について、取締役会は厳しい目標を設定する。最大配分比率(これも固定報酬に対する割合として表される)は、目標を上回る実績を上げた場合に達成可能な報酬の最高額に相当する。定量的な基準には、定性的な基準に比べ、相対的に大きな重みが与えられている。目標となる重み付けと最大の重み付けは事前公表され、以下(1.2項)に記載されている。前年度に関する変動報酬の決定における各基準の実際の加重は、ターゲットとなる目標に照らして、各基準について測定された業績に基づき、財務的基準については計算式の適用、定性的基準については報酬委員会の勧告に基づいて取締役会が業務執行取締役の業績を評価することにより決定される。
定量的な基準及びそれに対応する目標は、年初に取締役会によって決定される。機密保持の観点から、これらの目標は公表されない。取締役会が採用した算定式により、当該年度の連結財務諸表に基づき、設定された目標値と比較した当該基準の達成度を考慮し、(最大限度内で)変動報酬の額を算出することが可能である。したがって、設定された目標を上回る業績が達成された場合、各基準に設定された上限額の範囲内で、変動部分の評価値は上方修正される。各目標に設定された下限を下回る業績の場合、この基準に対応する変動報酬はゼロに等しい。
変動報酬の目標達成率は、固定報酬及び基準に割り当てられた目標変動報酬に対する割合として表され、事後的に公表される。
年間変動報酬の定量化可能な要素には、以下のものが含まれる。
- 損益計算書のすべての項目を考慮することが可能な、為替影響を除く1株当たりの経常的純利益(経常的営業利益に影響を与えない例外的かつ重要な取引を除く)(以下「経常的EPS」)の増加の基準。
- 連結売上高の比較可能な成長(重要な連結範囲の影響を除き、為替の影響を除き、エネルギー関連の影響を除く)の基準。これは、事業の勢いを反映するものである。
経常的EPSと売上高の2つの基準は、中長期的な目標を考慮した利益ある成長を達成するための当グループの戦略を反映している。当グループが発表した効率性の目標は、経常的EPSの上昇に寄与している。
年次変動報酬の定性的な要素は、引き続き以下の基準に基づいている。
- 3分の2は、毎年定義される複数の目標カテゴリー又はサブカテゴリーに基づき、(i)CSR目標と(ii)組織及び人事目標に配分される。これらの目標はすべて、当社の発展とサステナビリティに寄与するものであり、非財務的な業績目標も組み込まれている。
- 残りの3分の1は、当該年度の状況を踏まえて評価される役員個人の業績に基づく。
■ 長期報酬
業務執行取締役に対する長期インセンティブ(LTI)の付与は、外部の市場調査を踏まえ、かつ株主の利益が尊重されるよう配慮したうえで決定される。LTIプランは秋の取締役会によって承認され、業務執行取締役及びその対象となるグループ社員の両方に適用される。
2016年から採用されてきた原則によれば、業務執行取締役へのLTIの付与とその経年変化は、ストックオプションと業績連動株式制度を合わせたすべての制度について、(付与数量ではなく)IFRS上の数値で評価される。
取締役会は、株主総会で承認された支払限度額の範囲内で、AFEP/MEDEFコードの勧告に従って、業務執行取締役への付与の年間下限を(i)株主資本に対する割合として表示し、また各業務執行取締役について(ii)その報酬の倍数として表示して設定する。
年度中に付与されたLTIのIFRS基準に基づく総額は、第1.2項に規定される各報酬構成要素におけるLTIに割り当てられた相対的な割合の範囲内で、当該業務執行取締役の年間報酬総額の上限(固定報酬+年間変動報酬の上限)の1.5倍を超えてはならない。
業務執行取締役に対するLTIの付与は、業務執行取締役が実際に在籍していることに基づく比例配分原則の対象となる。業務執行取締役が重大な理由(1)による辞任又は解任以外の理由で当グループから離脱した場合、(業績条件適用後の)配分率合計は、業績基準の評価期間中の当グループにおける業務執行取締役の実際の在籍期間に比例して減少することになる。
また、AFEP/MEDEFコードに基づき、業務執行取締役の退任時はLTIの付与は行われない。
(1) LTIの消失の結果となる状況
業務執行取締役は、また、以下の特定の義務の対象となる。
- フランス商法L.225-185条及びL.225-197-1条に基づき、取締役会が定める株式の保有義務。これらの義務により、業務執行取締役は、各ストックオプションの行使/業績連動株式の確定的付与から生じる社会保障費及び税金控除後の取得キャピタルゲインの50%に相当する株式を、職務終了まで登録された形で最低限保有することが義務づけられている。ただし、ストックオプションの行使又は業績連動株式の確定的付与により業務執行取締役が保有する株式の数量が、業務執行取締役の年間固定報酬総額の3倍以上となった時点で、この割合は5%に引き下げられる。この義務の遵守状況は、毎年取締役会により検証されている。
- AFEP/MEDEFコードに基づき取締役会が定めた追加的な株式保有義務により、各業務執行取締役は、登録口座において、年間固定報酬総額に基づく最低株式数(最高経営責任者及び取締役会会長の年間固定報酬総額の2倍、副最高経営責任者の年間固定報酬総額の1倍に相当)を保有していなければいけない。保有すべき株式数は、毎年1月1日及び7月1日時点で評価される。新任の業務執行取締役は、就任後4年以内にこれを遵守しなければならない。
- 最後に、業務執行取締役は、決算発表前のブラックアウト期間中のストックオプションの行使及び業績連動株式の譲渡を制限すること、並びに、任期中、オプションやオプション行使により保有する株式及び付与された業績連動株式のリスクヘッジ取引を行わないという制約条件に服している。
すべての受益者と同様に、業務執行取締役に付与されたすべてのLTIは、3年以上にわたり算定された厳しい業績条件の対象となる。秋に決定されたプランに適用される業績条件は、3年間の基準期間を遵守するため、年度初めの2月の取締役会で設定される。
それぞれの業績条件について、取締役会が採用した計算式により、業績を達成しなければならない3事業年度の終了後に、確定的に付与される業績連動株式及びストックオプションの行使可能な割合を決定することが可能となっている。
各業績条件に設定された厳しい目標は、業績を達成しなければならない3事業年度の終了後、2月の取締役会の後に事後的に公表される。業績条件の達成率、確定的に付与される又は行使できるLTIの割合も、この取締役会の後に公表される。
2025年5月6日の株主総会による第19号決議の承認により、業績連動株式付与計画には、最低3年間の権利確定期間が設けられており、最低保有期間は設けられていない。ストックオプションは、場合によって4年間のロックアップ期間と6年間の権利行使期間が設定されている。さらに、重大な事由により辞任し又は解任された場合、ストックオプション及び取得途中の業績連動株式に対する権利を喪失することを規定する在職条件が付されている。
すべてのLTI受益者(業務執行取締役及び従業員)について、適用される基準は以下のとおりである。
- ROCEは、使用資本に対する利益を測定することが可能であり、高度に資本集約的な産業において重要な指標である。
- TSR(株主総利回り)は、当社の業績と株主が期待する利益を一致させることを可能にするものである。
- 当グループの責任ある成長への取組に沿い、当グループの気候変動対策の目標に関連する業績条件が盛り込まれている。
変動報酬及び長期インセンティブ(LTI)に関する財務的及び非財務的なすべての業績基準は、堅実な財務実績の達成を目指しつつ、意欲的な脱炭素化計画を策定し、すべてのステークホルダーの利益を考慮するという、当グループの全体的な目標を反映している。各業績条件の達成状況は、基準間の相殺を行うことなく評価される。
業務執行取締役の報酬の構成要素を決定する年次プロセスにおいて、報酬委員会は、当社の従業員の報酬及び雇用条件を考慮した選択が行われることを確保する。従業員を代表する取締役(委員会のメンバーである)が出席することで、これらの報酬及び雇用条件、より一般的には当グループの従業員の利益のあらゆる側面がこの作業において考慮されることが保証され、2月に開催される取締役会に勧告が行われる。株主総会の承認を得るために提示された方針は、この検討を反映したものである。したがって、報酬の条件に関しては、委員会及び取締役会は、業務執行取締役の変動報酬と当社の上級管理職の変動報酬について、それぞれ整合性のある定量的及び定性的な要素を定義する。さらに、LTIの業績条件は、すべての従業員受益者(参考までに、2020年及び2021年に約2,000人の当グループ従業員、2022年及び2023年に約2,600人の当グループ従業員、そして2024年及び2025年は2,750人の当グループ従業員)及び業務執行取締役について同じである。これらの調整により、当社の業績目標の達成に向けた取組の一貫性を高めている。
従業員の雇用条件を考慮し、変動報酬の定性的要素(CSR)において安全に関する目標を重視することは、従業員にとって質の高い労働環境の実現に貢献し、従業員のコミットメントとパフォーマンスに直接的な影響を与える。同様に、業務執行取締役の変動報酬を決定する際に、社会的目標及び組織・人材に関する目標を統合することは、従業員の労働条件の改善に寄与する。
業務執行取締役は、年金制度や、以下に述べる職務の終了に伴う補償金により利益を得るほか、通常の法令上の条件により終了する可能性のある年間報酬の他の要素(現物給付、補充的な社会保険)からも利益を得ている。
1.2. 2026****年の最高経営責任者の報酬決定のための実施事項
2026年2月19日の取締役会は、報酬委員会の勧告を受け、最高経営責任者の報酬総額を構成する要素の決定、分配及び配分の基準を定め、2026年5月5日の株主総会にてその承認を求める。
2026年5月に任期満了を迎える最高経営責任者の任期更新に際し、取締役会は、同氏の責任の重さ、業績、当該職務における経験、及び市場慣行を考慮して、その報酬を見直した。
初任期の終了にあたり、取締役会は、最高経営責任者の卓越した業績と、極めて不確実な環境下にあってもグループを成功裏に導いた手腕を高く評価した。特に、彼は現在進行中のグループ変革計画の展開を主導し、効率性の向上と利益率の改善という野心的な目標を達成したほか、将来の成長の原動力となる新規顧客契約の締結や事業変革(2025年の韓国DIG買収の締結)に関連する投資額を過去最高水準に引き上げた。彼の在任期間中、エア・リキードの時価総額は急増した。過去3年間で、株主総利回り(TSR)は大幅に上昇した。
取締役会は、報酬委員会の検討結果を踏まえ、最高経営責任者の報酬が、同様の役職における既存の市場報酬慣行と比較してどの位置にあるかについても検討した。このため、専門の外部コンサルタントが、2025年に公表されたフランス及び欧州の企業グループにおけるCEO職の報酬を基に、ベンチマーク調査を実施した。検討の結果、取締役会は、最高経営責任者が分離されているCAC40構成企業群を、最も代表性が高いと判断し、比較の基準として採用することを決定した(1)。さらに、当社の主要な競合他社2社(米国上場企業)の経営幹部の報酬は1,500万~2,000万米ドルと、フランスや欧州の経営幹部の報酬とは比較にならないほど高額であるため、比較の基準としては採用されなかった。
(1) したがって、このパネルは以下の企業で構成されている。
Airbus、ArcelorMittal、Axa、BNP Paribas、Bouygues、Bureau Veritas、CapGemini、Crédit Agricole、Danone、Dassault Systèmes、Engie、Hermès、L’Oréal、Legrand、Michelin、Orange、Renault、Safran、Sanofi、Schneider Electric、Société Générale、Stellantis、STMicroelectronics、Unibail-Rodamco-Westfield、Veolia Environnement、及びVinci。本調査において、エア・リキードはこのパネル内での時価総額ランキングで第6位となっている。
本調査により、フランソワ・ジャコウ氏の総報酬は現在、市場慣行を下回っていることが明らかになった(同パネルの中央値より10%低い)。さらに、最も大きな乖離が見られるのはフランソワ・ジャコウ氏の報酬のうち長期インセンティブ(LTI)の項目であり、これは中央値より24%低い。
最後に、本調査によると、固定報酬に対する目標年間変動報酬の割合(現在は120%)は、市場慣行よりも高いことが示されている。
これらの様々な要素を考慮し、また執行役員の報酬の競争力を確保するため、取締役会は、報酬委員会の勧告に基づき、CAC40における当グループのポジショニングに即して、フランソワ・ジャコウ氏の当該事業年度の総報酬を、同パネルの中央値(4,980,000ユーロ)と第3四分位(6,540,000ユーロ)の間に位置づけることが適切であると判断した。また、報酬体系についても、業績条件付き報酬の構成比を長期的な要素に重点を置くよう再調整するとともに、年間変動報酬の目標水準を引き下げ、固定報酬に対する割合としての上限を引き上げることで、業績が目標を上回る場合をより適切に評価するよう改定する。
変更内容は以下のとおりである。
■ 年間固定報酬を1,400,000ユーロに引き上げ(2025年比+15.7%増)。
■ 年間変動報酬の目標値を固定報酬の105%(従来は120%)に引き下げ、年間変動報酬の上限を固定報酬の160%(従来は150%)に設定すること。
■ 業績条件を100%達成した場合の長期報酬を、固定報酬の150%から180%に引き上げ。
したがって、2026事業年度の最高経営責任者の報酬体系は、以下のとおりである。
| 長期インセンティブ | LTI | ~47% | 業績条件付の変動報酬 ~74% |
| 短期報酬 | 変動報酬 | ~27% | |
| 固定報酬 | ~26% |
上記の変更により、目標値ベースで総報酬(固定報酬、年間変動報酬、及び長期報酬要素)は約20%、最大値ベースでは約27%増加することになる。
増加分の80%は、業績条件の対象となる要素に関連するものとなる。
これらの増額分を考慮すると、最高経営責任者の報酬は、選定された候補者グループ(上記の定義を参照)の中央値より8%高くなる見込みである。
この改定は、2022年から2025年にかけてフランスで観測された累積賃金上昇率(12.62%)に沿ったものである。
フランソワ・ジャコウ氏は、取締役としての職務に関しては、いかなる報酬も受け取っていない。
ア 固定報酬
固定報酬は、職務の責任のレベル、管理職としての経験及び市場慣行を考慮して決定される。
前述の原則に基づき、2026年のフランソワ・ジャコウ氏の年間固定報酬は、140万ユーロと提案されており、これは2025年と比較して15.7%の増額となる。
イ 変動報酬
上記の方針(「b. 業務執行取締役の一般的な報酬に共通する構造及び主な特徴」)に基づき、2026年2月19日の取締役会は、報酬委員会の勧告に従い、前事業年度と同様の定量的及び定性的な基準並びにそれらの相対的な比重を維持しつつ、2026年度の最高経営責任者の変動報酬の構成要素を決定した。各基準には、目標加重と最大加重が定められ、定量的基準(過半数)と定性的基準との配分は、下記の表のとおり、市場慣行に沿って設定されている。
2026事業年度については、変動報酬の目標額は固定報酬額の105%に設定された(従来は120%)。変動報酬の上限は、固定報酬額の160%に設定された(従来は150%)。目標変動報酬は、優れた業績を奨励するため、変動報酬の上限の約66%(2025年は80%)となっている。
| (単位%) | 目標(a) | 最大 | ||
| 固定報酬の割合 | 100を基準とする割合 | 固定報酬の割合 | 100を基準とする割合 | |
| 定量的な財務基準 | 73.50 | 70 | 112 | 70 |
| 一株当たり為替の影響を除く経常利益の増加(b)(経常的EPS) | 52.50 | 50 | 80 | 50 |
| 連結売上高の比較可能ベースの成長(c) | 21 | 20 | 32 | 20 |
| 定性的で個人的な基準(以下による) | 31.50 | 30 | 48 | 30 |
| CSR ■安全性:安全性(休業災害発生率、交通事故、業務上災害)の向上に向けた取組を継続する ■当グループのサステナブルな成長目標に関連する行動計画の展開、及び様々な主要指標に関する進捗状況(d) | 10.50 | 10 | 16 | 10 |
| 組織・人事(人材育成、経営継承計画、当グループの変革プログラムの組織及び実行) | 10.50 | 10 | 16 | 10 |
| 個人業績(e):特に当該年度の外部環境に照らし、取締役会が評価 | 10.50 | 10 | 16 | 10 |
| 合計(財務基準及び個人的な基準) | 105 | 100 | 160 | 100 |
(a) 目標は業績基準を100%達成した場合に相当する。
(b) 経常的営業利益に影響を与えない重要かつ例外的な取引は除く。2026年度の経常的純利益(グループ持分)で、為替の影響を除いたもの(2025年比)に基づいて計算される。
(c) 重要な連結範囲への影響、為替による影響、及びエネルギーを除く。
(d) 年間のCO2排出量を測定するために必要な指標を含む主要指標は、非財務業績報告で開示されている。
(e)この基準は、環境の予測不可能性を考慮するため、変動報酬の一部を取締役会の評価に委ねるという取締役会の希望に応えたものである。これは、目標設定時に想定していなかった不利な環境に当社が直面した場合には、業務執行取締役にとって有利となり、最終的に環境が予想以上に良好となった場合には不利となる可能性がある。
これらの変更を踏まえると、短期報酬の総額(固定報酬+目標変動報酬)は以下のようになる。
| 2025年の報酬目標 | 2026年の報酬目標案 | ||||
| 金額 | 比重 | 金額 | 変化率% | 比重 | |
| 固定報酬 | 1,210,000ユーロ | 27% | 1,400,000ユーロ | +15.7% | 26% |
| 変動報酬 | 1,452,000ユーロ | 32% | 1,470,000ユーロ | +1.2% | 27% |
| 固定報酬と変動報酬の合計 | 2,662,000ユーロ | 59% | 2,870,000ユーロ | +7.8% | 53% |
上記の方針に従い、固定報酬は目標報酬(LTIを含む)総額の約27%、変動報酬は32%に相当し、目標変動報酬は最大変動報酬の80%に相当する。最高経営責任者のサステナビリティ目標や影響に左右される年間変動報酬の割合は10%である。加えて、2026年に、当グループの気候変動の目標と連動するLTIの業績条件は、15%である。
2026年度に支払われるべき変動報酬の総額は、株主総会による財務諸表の承認後、2027年に支払われるが、その支払は、フランス商法22-10-34 II条に規定される条件の下、業務執行取締役の報酬の構成要素について株主総会による承認を受けることを条件としている。
ウ 年間報酬のその他の構成要素
フランソワ・ジャコウ氏は、その他以下の項目から引き続き利益を受ける。
現物給付
現物給付には、社用車の使用、会社が加入している経営幹部及び業務執行取締役のための雇用保険への拠出が含まれる。当社が支払った保険料は、現物給付としてフランソワ・ジャコウ氏の報酬に含まれている。ちなみに、これらの給付は年間約18,065ユーロで、そのうち約14,837ユーロは経営幹部及び取締役のための失業保険に充当されている。
死亡・障害給付と医療費保障制度
■ 2015年1月1日付で統一された、すべての従業員及び取締役であって当該制度の対象となると認められた者を対象とする「障害・傷病・死亡」追加給付制度。保険料の算出に考慮される報酬の上限は、(i)障害・傷病保障については年間社会保障限度額の16倍、(ii)死亡保障は年間社会保障限度額の24倍となっている。
■ 全従業員を対象とした医療費保障制度
2026年度の試算は、以下のとおりである。
■ 医療費保障制度に対する雇用者の拠出金: 522 ユーロ
■ 生命保険制度に対する雇用者の拠出金: 11,381ユーロ
エ 長期報酬の構成要素
2026年2月19日の取締役会において、報酬委員会の勧告に基づき、フランソワ・ジャコウ氏に対し、2026事業年度における最高経営責任者の地位に関して、固定報酬の180%(従来は150%)に相当する年額2,520,000ユーロ(IFRS評価による)の業績連動株式を割り当てることが決定された。
業務執行取締役に適用される報酬方針の原則に従い、LTIは目標報酬総額(固定報酬、目標変動報酬及びLTI)の47%(2025年は41%)を占め、業績条件の対象となる報酬構成要素(年次変動報酬+LTI)は業務執行取締役に適用される報酬方針に従い、目標報酬総額の約4分の3を占めている。
最高経営責任者(2026年に割り当てられるLTIプランのすべての受益者についても同様)に適用される業績条件は、2025年のプランの条件に準じ、同等の比重で、2026年2月19日の取締役会により決定された。2026年プランに基づき確定的に付与され、行使できるLTIの数は、以下の業績条件の達成度による。
**(i)****付与されるLTIの50%は、**2028年度末に記録される経常的ROCEからなる、取締役会が設定する目標の達成率による。
設定された目標では、付与は100%となり、その後定額で下限まで減少し、下限以下では付与されない。この下限値は、設定された目標値より200bps低いROCEに相当し、特に外部成長の機会を活用することができるよう、ある程度の柔軟性を持たせている。この目標は、当社が公表したROCE、すなわち10%以上の水準を維持する(ROCEの希薄化の影響を有する投資が大きく増加する期間において)という目標に沿って設定されている。
**(ii)**付与されるLTIの35%について:
- (ii)で言及されるLTIの50%に対する絶対的なTSR目標:取締役会が設定した株主利回り(TSR)の目標(2026年度、2027年度及び2028年度において、配当再投資したエア・リキード株式への投資からの年平均成長率として定義)(「AL TSR」)に基づく。絶対的TSRの目標は、過去の実績に応じて設定される。設定された目標では、付与は100%となり、その後定額で下限まで減少し、下限以下では付与されない。
- (ii)で言及されるLTIの50%に対する相対的なTSR目標:エア・リキード株式への投資(配当再投資)による株主利回り(出典:ブルームバーグ)(「B TSR」)を、2026年度、2027年度及び2028年度の配当再投資による「CAC40 TSR」指数(出典:ブルームバーグ)と比較した比率に基づく。達成率は、エア・リキードのTSRの平均がCAC40のTSRの平均より低い場合は0%、CAC40のTSRの平均と同じ場合は50%、CAC40のTSRの平均より2%以上高い場合は100%とし、定額変動を基本とする。CAC40 TSRの平均を下回る業績に対する付与は行われない。
(iii) 付与されるLTIの15%について: 2026年から2028年にかけて当グループのCO2の絶対排出量の変化にリンクした目標であり、内訳は以下のとおりである。
2028年の当グループのCO2排出量(百万トン単位)と2025年の同排出量の比較。2025年の比較基準値は、2026-2028年の間に起こりうる連結範囲の影響(当グループの顧客又は会社における既存ユニットの買収、資産又は会社の売却)を考慮し、12か月見積もりベースにより、既述した当グループの炭素排出のモニタリングに用いる方法と同様に調整する。
ここでは、温室効果ガス排出量には、直接排出(スコープ1)と間接排出(スコープ2)が含まれる。これらの排出量は、「市場ベース」として計上される。
業績条件の達成率は、2028年度の財務諸表が承認された時点で、2029年に取締役会により記録される。
最高経営責任者であるフランソワ・ジャコウ氏への2026年の業績連動株式の割当てには、上記の業務執行取締役へのLTI付与に適用されるすべての規則と条件(数量及び金額の制限、在職条件、比例按分、株式保有義務(3)、その他特定の規則)が適用される。
(3) フランソワ・ジャコウ氏には追加的な株式保有義務が適用され、最高経営責任者への選任から4年、すなわち2026年6月1日までとなる。
オ 年金制度
2026年2月19日の取締役会は、報酬委員会の勧告に基づき、フランソワ・ジャコウ氏が最高経営責任者の任期中、適用を受ける年金制度の要素を変更することなく維持した。これらの要素(特に付加年金制度)は、フランソワ・ジャコウ氏が最高経営責任者に任命された2022年に、CAC40企業及び欧州の分離型ガバナンスの企業で構成される詳細なベンチマークの結果、当グループの上級役員に適用されている制度、最高経営責任者の報酬全体のバランスを考慮し、当社にとって最善のコストで競争力を確保できる制度を描く努力を考慮して、定義されたものである。
これらの構成要素はすべて、他の報酬構成要素と同様に、最高経営責任者に適用される報酬方針に関する株主総会の議決による承認が前提となる。
以下の付加年金制度に対する当社の拠出総額は、目標年次参考報酬(固定報酬+年間目標変動報酬)の約15%に相当し、例年どおりである。
法定企業退職金制度(PERO)(4)
この制度は、8PASS以下の報酬に基づく毎月の拠出金で賄われ、雇用者と受益者の間で均等に分配される。この拠出金は法人所得税から控除され、16%の社会保険料が課され、PASSの5%又はPASSの5倍の範囲内で考慮される報酬の5%の2つのうち高い方の金額の範囲内で、社会保険料の算定基準から除外される。
2026年度の本制度に対する雇用主の拠出額は、11,402ユーロと見積もられている。
(4) 法定企業退職金制度(PERO)は、2021年1月1日に設立され、確定拠出型の付加年金制度を継承する(当該日において同付加年金が適用されていたすべての従業員及び業務執行取締役を対象)ものである。
「上級管理職」確定拠出年金制度
この「83条」確定拠出年金制度は、8PASS以下の報酬の端数について、会社が全額負担する年間拠出金によって賄われている。これからはPEROの下で支払われるものと同じ税金及び社会保障の扱いを受ける。
2026年度の本制度に対する雇用主の拠出額は、10,381ユーロと見積もられている。
個人・任意加入の団体型年金保険契約
フランソワ・ジャコウ氏が最高経営責任者に任命される前に受給していた年金制度は、個人・任意加入のこの団体型年金保険契約に置き換えられた。フランソワ・ジャコウ氏の参照報酬(固定部分+目標変動部分)が8PASSを超える部分に、個別かつ任意加入できる団体型年金保険契約(「フランス税法82条」として知られている)が適用される。当社が支払う金額は、保険会社への支払と、保険会社への支払にかかる社会保障費及び税金の一部を補うことを目的としたフランソワ・ジャコウ氏への支払とに分けられる。この金額は、この年金制度に関連する業績条件を計上した上で、業務執行取締役の任期終了までの期間、毎年後払いされる。
フランソワ・ジャコウ氏は、フランスの一般的な社会保障制度に基づく年金受給権を取得できる年齢になる前に、この年金保険契約に基づく受給権を申請することはできない。
最高経営責任者に対するこの制度の適用は、彼の報酬の全体的なバランスと市場環境を考慮して決定され、当社にとっては、受益者の効果が同じであれば、フランス社会保障法典L.137-11-2条に基づく確定給付型の新しい付加年金制度を導入する場合よりも著しく低いコストとなる。
報酬が8PASSを超える部分に対するこの付加年金制度は、すべて業績条件の対象となる。
したがって、1事業年度の支払総額は、以下に定める税引後使用資本利益率(ROCE)と、当該事業年度以前の過去3事業年度について(株主総会で承認された連結財務諸表に基づき)算出した加重平均資本コスト(WACC)(株主資本の帳簿価額に基づいて測定)との年平均差(事業年度ごとに測定)によって決定される。
大規模な取引があった場合に計算を不利にしないために、2025年と同様、ROCEは「大規模な買収を除く」経常的ROCEを使用する。この定義では、使用資本の5%以上に相当する買収が大規模なものとみなされる(5)。団体型年金保険契約に基づく名目額に適用される業績係数は、以下の表に示されているとおりに決定される。100bpsから300bpsの間の各閾値の間は、線形に増加させるものとする。
(5) 過去30年間で、この水準を超える買収は2~3件しかなかった。
| 年間乖離率(ROCE-WACC)の3年間平均(単位:bps)(a) | 補償金の割合 |
|---|---|
| ≧300 | 100% |
| 250 | 66% |
| 200 | 50% |
| 100 | 25% |
| <100 | 0% |
(a) bps:ベーシスポイント
2026年に関する2027年の支払額は、業績条件に従い、約410,111ユーロと見積もられている。
カ 職務の終了に係る補償
退職補償金
取締役会は、報酬委員会の勧告に基づき、フランソワ・ジャコウ氏(2022年6月1日付で最高経営責任者に就任した時点で一方的に雇用契約を終了)が、非常に厳しい発動条件のもと、引き続き退職補償の適用を受けることを決定した。主な条件は以下のとおりである。
■ 戦略の変更又は支配権の変更(後者の場合、支配権の変更から6か月以内に退任した場合、退職補償が発生する)に関連して、フランソワ・ジャコウ氏が最高経営責任者の任期を強制的に退任した場合(解任、辞職届)のみ、補償が発生する可能性がある。
■ これらの場合の補償額は、職務終了日に実際に支払われた固定報酬及び変動報酬の前24か月分(固定報酬24か月分+実際に支払われた変動報酬2か月分)に設定されている(競業避止義務に関する項の記載を条件とする)。
■ 最高経営責任者であるフランソワ・ジャコウ氏が当社定款に定める年齢制限に近づくにつれて、補償額は徐々に減少する。定款に定められた年齢制限による退社日前の24か月間に強制退社させられた場合、支払うべき補償金の額は、強制退社日から当該年齢制限に達した日までの月数の総報酬を上限とする。いかなる場合においても、受益者が強制退社日に年金受給権を主張した場合、補償金は支払われない。
■ 補償金の支払を受ける権利は、業績条件の達成を条件とし、補償金の割合は当該条件の達成率に応じて減少する(業績条件の詳細については以下参照)。
退職補償金に適用される業績条件
取締役会は、フランソワ・ジャコウ氏に関する退職補償金の支払が、取締役会により、その職務の終了時又は終了後に、当社の業績に照らして評価された受益者の業績に関する条件(2025年5月に承認された方針に含まれる条件と変更なし)を遵守することを条件とすることを決定した。本書作成日現在、以下のように定義される。
上記補償金の受給権利は、退職が発生する事業年度以前の過去3事業年度に関して(株主総会で承認された連結財務諸表に基づき)計算される経常的使用資本利益率(税引後)(ROCE)と加重平均資本コスト(WACC)(株主資本の帳簿価額に基づいて測定)の年平均差(各事業年度ごとに測定)に依存し、支払われる補償金の額は、これに基づいて調整されるものとする。
補償金の割合は下表のとおりとし、100bpsから300bpsの間の各閾値の間は、定額で分割して増加させるものとする。
| 年間乖離率(ROCE-WACC)の3年間平均(単位:bps)(a) | 補償金の割合 |
|---|---|
| ≧300 | 100% |
| 250 | 66% |
| 200 | 50% |
| 100 | 25% |
| <100 | 0% |
(a) bps:ベーシスポイント
競業避止義務に関連する補償金
当社の正当な利益を保護するため、取締役会は、最高経営責任者が任期終了日から2年間、当グループと競合する事業に直接的又は間接的に従事しないことを約束することの対価として、競業避止義務に関する補償を付与することを決定した。
この補償金は毎月支払われ、最高経営責任者が受け取る年間固定報酬及び変動報酬(長期変動報酬に関して受領された金額を除く)の1年分に相当する金額となる。退職補償金及び競業避止補償金は、最高経営責任者が任期を終了する日に支払われる年間固定報酬及び変動報酬の24か月分を上限とする。
最高経営責任者が年金受給権を行使した時点から、競業避止義務の補償の支払は適用されないものとする。いかなる場合においても、65歳を超えると補償金は支払われないものとする。
取締役会は、最高経営責任者の退任時に競業避止義務の全部又は一部を放棄する権利を有し、この場合、補償金は支払われないものとする。
1.3. 取締役会会長に適用される報酬方針
ア 報酬の原則と構造
本方針に記載されている取締役会会長に対するこの報酬原則及び体系は、2025年5月6日の株主総会で承認されたものから変更されていない。
したがって、AFEP/MEDEFコードの勧告(第26.2条)に従い、会長には固定報酬のみが与えられ、変動報酬、LTI又はその他の例外的報酬は与えられない。
状況に応じて、会長は取締役としての職務に関して報酬を受け取ることがある(1.2項「取締役に適用される報酬方針」)。ただし、ブノワ・ポチエ氏の場合は、取締役としての報酬を受け取らないことが決定されている。
取締役会会長は、その使命を果たすための重要な手段を有している。
状況に応じて、会長は、全従業員及び正式に給付を得る資格を有する業務執行取締役を対象とする死亡・障害給付制度から給付を得る資格を有する場合がある。
イ 2026年取締役会会長の報酬
上記1項の原則に従い、2026年2月19日の取締役会は、報酬委員会の勧告に基づき、ブノワ・ポチエ氏に適用される報酬の構成要素を定義した。
この報酬(その構成は2022年以降提案されてきたものと同一である)は、すでに本格化している経営陣の交代という特殊な状況下における取締役会会長の一定の役割、及び2026年の定時株主総会終了時の任期更新以降に同氏に委ねられることになる具体的な任務の範囲を考慮したものである。
取締役会会長の報酬額案については、専門の外部コンサルタントの協力を得て実施された、ガバナンス体制が分離されているCAC40構成企業の取締役会会長の報酬をベンチマークとした市場慣行の調査結果も考慮されている。
ブノワ・ポテエ氏の年間固定報酬額は減額され、70万ユーロとなる見込みである(2022年以降は80万ユーロであった)。この報酬水準は中央値より8%高く、すなわち同パネルの報酬分布において中央値と第3四分位数の間に位置することになる。
会長の報酬には、変動報酬及び長期報酬(特にLTI)並びに例外的報酬は含まれていない。ブノワ・ポチエ氏は、取締役としての立場から追加報酬を受け取ることはない。
ブノワ・ポチエは社用車を使用し、年間約2,793ユーロ相当の現物給付を受けることになる。
2025年に引き続き、ブノワ・ポチエ氏は、全従業員及び資格を有する会社役員を対象とする死亡障害プラン(死亡保険金のみ)の適用を受ける。
この制度に対する2026年の拠出額は7,490ユーロと見積もられている。
2. 取締役に適用される報酬方針
取締役に適用される報酬方針は、株主総会の議決に付され、その原則と構成は、2025年2月の取締役会で決定され、2025年5月6日の株主総会で承認された方針に沿ったものである。
後者の方針は、取締役会のダイバーシティ方針に従い、株主総会で議決される全体的な報酬パッケージの枠内で、国際的に競争力のある報酬を決定することを目的とし、当グループの課題とその進展に沿った、最適なスキルと専門性を活用することを目指すものである。
2024年4月30日の合同株主総会における第14号決議に基づき、年間グローバル報酬パッケージの最高額は事業年度あたり150万ユーロである。
この方針は、まず第一に、取締役に割り当てられる固定報酬(年度の途中で任期が開始又は終了した場合は日割り計算)を定めている。この報酬は、筆頭取締役に対しては増額され、4つの取締役会委員会の委員長に対しては、これらの職務の結果として発生する責任のレベル及び業務量を考慮し、追加の固定報酬が割り当てられている。
取締役会は2026年2月の取締役会において、報酬委員会の勧告に基づき、監査・会計委員会委員長に支給される固定報酬を、同職務に伴う責任と業務量の増加を考慮して増額することを決定した。
その他の委員会の委員長に支給される固定報酬については、引き続き統一された水準を維持し、変更はない。
また、本方針には、AFEP/MEDEFコードの規定に従い、各取締役の取締役会及び委員会/ワーキンググループの会議への出席に基づき、会議への出席ごとに一定額を配分する形で、変動報酬を中心とする報酬が含まれている。
報酬委員会の検討結果(CAC40構成企業を対象としたベンチマーク調査を含む)を踏まえ、取締役会は、取締役会及び各委員会の各会合への出席に対する報酬額を引き上げることを決定した。これにより、2026事業年度より、取締役の報酬における変動報酬の割合がさらに引き上げられる。
委員会の委員長に配分される固定報酬は、各委員会会議への出席に配分される報酬額とともに調整され、会議への遠隔参加は、ビデオ会議で接続する委員が物理的な会議と同等の質的条件の下で会議に参加し、討議に参加することを可能にする通信手段の質を考慮し、対面出席と同様に報酬が配分される。これは、可能な限り対面会議に出席するという取締役会及びそのメンバーの希望を否定するものではなく、コミュニケーション手段の変遷を踏まえたものである。
海外から参加する取締役の距離を考慮するため、そのような取締役が直接出席する場合の変動報酬には、1回につき一定の金額が加算される(大陸間移動に対する報酬は、大陸内移動に対する報酬よりも高く、国際レベルで競争力を保つために再調整されることがありうる)。
この方針は、取締役会及び委員会への取締役の出席と効果的な参加を促進し、取締役間及び業務執行を行う経営陣との対話を促進し、さらに一般的には、当グループの活動及び課題(サステナビリティを含む)を取締役が完全に理解することで、会社の長期的な将来のための確固たるガバナンスを確保する。
追加報酬を受け取る筆頭取締役の役割を認識し、この点に関して追加報酬が支給されていることは、当社が取締役会及び指名統治委員会の会合のみならず、その会合と会合の間の非公式な場面も含め、筆頭取締役のガバナンス業務を重要視していることを反映しており、ベスト・ガバナンスの実践を促進している。報酬方針において、4つの専門委員会の活動を考慮することは、統治機関の適切な運営、財務諸表と財務状況のレビュー、リスク分析、当グループのすべての事業活動にわたるサステナナビリティ課題の検討、あるいは、当社の目標に沿った目標を有する経営陣のインセンティブを高める報酬方針の決定など、取締役会の主要な決定の準備に重要性が与えられていることの証左である。
したがって、バランスのとれたインセンティブを高める取締役の報酬方針は、取締役会の業務の質の向上に貢献し、その結果、取締役会は、会社、従業員及びすべての利害関係者の最善の利益のために、会社の事業活動の方向性とその戦略を決定することができる。
会社役員は、エア・リキード・エス・エーの幹部の任務を履行している間、取締役又は委員会やワーキンググループの議長としての職務に関し、報酬を受け取らない。さらに、グループ会社の取締役会の職務を遂行するすべての従業員に適用される当グループの規定、及びグループ内の該当する契約に従い、従業員取締役は取締役としての職務に関して報酬を受け取っていない。出張中に発生した費用は、当社から払い戻される。
2026年5月の株主総会において、年間総報酬額の上限(現在は150万ユーロ)を見直すことは提案されていない。
② 役員ごとの報酬等の総額、報酬等の種類別の総額
a. フランソワ・ジャコウ最高経営責任者(2025年度)
ア 固定報酬 支払額又は会計上の価値:1,210,000ユーロ
2025年の固定報酬は、責任のレベル、一般管理業務の経験及び市場慣行を考慮して決定され1,210,000ユーロとなった。
イ 年間変動報酬 支払額又は会計上の価値:1,439,900ユーロ
(2025年に関する変動報酬)
目標変動報酬は、固定報酬の120%に相当する。
変動報酬は、固定報酬の150%を上限とする。
目標変動報酬は、2025年に、以下の項目に連動する。
■ 固定報酬の84%(最大で固定報酬の105%)は、以下の2つの定量的な財務基準に基づいている。すなわち、(i) 固定報酬の60%(最大75%)について、一株当たりの外国為替の影響を除いた経常的純利益(a)(以下「経常的EPS」)の成長目標、(ii) 固定報酬の24%(最大30%)について、連結売上の比較可能ベースにおける成長目標 (b) 。
それぞれの基準において、取締役会は、目標値を定義した。目標値は、当社計画の主要な目的である成長軌道と完全に一致したものであった。
取締役会が採用した計算式により、当該年度の連結財務諸表に基づき、設定された目標値と比較した当該基準達成度を考慮し、(最大限度内で)変動報酬の額を算出することが可能である。
各業績条件の達成度は、基準間の相殺なしに評価される。
目標値は機密保持の観点から公表されていない。しかしながら、変動報酬のそれぞれの目標値の達成率(固定報酬の割合及び変動報酬の目標値に対する割合)は、ここで開示されている。
(a) 経常的営業利益に影響を及ぼさない例外的かつ重要な取引を除く。外国為替の影響(2024年との比較)を除いた2025年の経常純利益(グループ持分)に基づいて計算している。
(b) 重要な連結範囲、外国為替及びエネルギーの影響を除く。
■ 固定部分の36%(最大45%とする)は、個人の定性的な以下の基準に連動している。すなわち、(i)3分の1については、企業の社会的責任(以下「CSR」)(安全性と信頼性:安全性(休業災害、交通事故及び業務上災害の発生率)を改善するための継続的な取組、当グループのサステナブルな目標に関連する行動計画の展開、様々な主要指標に関する進捗状況、これらの目標に関する2025年までの軌道との整合性)、(ii) 3分の1については、組織・人材(人材育成、経営陣の後継者計画、当グループの変革プログラムの組織化及び運営)、及び(iii)3分の1については、個人の業績(同基準は、環境の予測不能性を考慮に入れる目的で、取締役会の評価に従う変動報酬部分を保つという取締役会の要望に対応する基準である。これは、目標設定時に想定していなかった不利な環境に会社が直面した場合には、業務執行取締役にとって有利となり、最終的に環境が予想以上に良好となった場合には不利となる可能性がある。)。
(2025年に関する評価)
定量的基準の目標は、88%達成された。
財務基準に係る変動報酬の額は以下のとおり。
■ 経常的EPS:固定報酬の74.0%、この基準の目標報酬の123.3%に相当する。
■ 売上:固定報酬の0.0%、この基準の目標報酬の0.0%に相当する。
定性的な基準に関する変動報酬の額は以下のとおりである。
■ CSR:固定報酬の15%、この基準の目標報酬の125%に相当する。
■ 組織・人材:固定報酬の15%、この基準の目標報酬の125%に相当する。
■ 個人の業績:固定報酬の15%、この基準の目標報酬の125%に相当する。
個人的目標に関する変動報酬の金額は、固定報酬の45%を占め、個人的目標の目標報酬の125%に相当する。
取締役会は、以下の点に着目した。
CSR:
業績は、優秀だったと考えられる。
■ 安全性
2025年には、エア・リキードは歴史的な安全実績を達成し、当グループが継続的に取り組んでいるイニシアチブの頑健性を裏付けた。従業員の休業災害発生件数は、2024年の87件から48件へと大幅に減少した。これにより発生頻度は0.36という過去最低水準を記録し、前年度(0.67)から大幅に改善した。この好調な傾向は協力会社にも及び、休業災害発生件数は27%減少し、発生頻度は0.72となった。全体として、当グループ内の総負傷件数は前年比で25人減少した。
フランソワ・ジャコウ氏は、執行委員会との月次レビューを通じて、常に安全への警戒を維持した。同氏のリーダーシップのもと、当グループは技術的コンプライアンスプログラムを促進させ、特にガスシリンダーのパージに関する新たな安全要件への100%遵守を達成した。
またこの年は、2026年から2030年までの交通安全プランの立ち上げと、安全文化の継続的な強化が特徴的な年でもあった。18,000人を超える従業員が参加した24の主要安全リスクに関するワークショップは、世界各地で30本以上の啓発動画を配信する取組によって支えられたプログラムである。フランソワ・ジャコウ氏が現場視察の際に一貫して推進してきたこのイニシアチブは、2026年の事業戦略の中核であり続けている。
■ 当グループのサステナビリティ目標に関連した行動計画の展開、様々な主要指標に関する進捗状況、及びこれらの目標に関する2025年の軌道との整合性
2025年、当グループは多面的な監督体制とフランソワ・ジャコウ氏の個人的な関与により、サステナビリティに関する構造的な取組を継続した。最高経営責任者その他執行委員会メンバー7名で構成されるC-ENRISK委員会は、当グループのサステナビリティ戦略の様々な側面について検討を行った。重点分野としては、CSRD非財務報告枠組、男女間の賃金格差分析、適正賃金、エネルギー転換におけるアンモニアのビジネスモデル、炭素回収・貯留(CCS)などが挙げられる。また、フランソワ・ジャコウ氏は、排出削減に向けた公共政策の推進及び炭素会計の精度向上を目的として、当グループがカーボン・メジャー連合(Carbon Measure coalition)への参加を決定するにあたり、主導的な役割を果たした。
本年度に開催された資源・投資委員会(RICs)では、すべての地域プロジェクトにカーボンフットプリント分析が体系的に組み込まれた。同時に、各クラスターとの間で毎年脱炭素化の審査を実施し、地域ごとの進捗状況をモニタリングした。フランソワ・ジャコウ氏は、2035年に向けた当グループの中期的な排出削減目標の達成に向けたコミットメントを改めて表明した。社会貢献の分野においても、フランソワ・ジャコウ氏のコミットメントはエア・リキード財団の理事としての役割に反映されており、同氏は個人的に複数のプロジェクトを支援するとともに、財団の戦略の見直しを監督した。
2025年は戦略プラン「ADVANCE」の完了年となり、すべての環境指標が達成された。CO2排出量は2020年比で約13%削減(510万トンの削減に相当)され、絶対排出量の転換点が当初の予定より1年早い2024年に達成されたことが確認された。炭素原単位は2015年比で30%削減という当初の目標を大幅に上回り、水不足が深刻な地域にある事業部門における水管理計画の実施率は100%に達した。
社会的側面においては、当グループは主要な取組を完了し、現在、全従業員が健康保険の共通基盤及び「職場の市民プログラム」の対象となっている。ダイバーシティに関しては、管理職及び専門職における女性の割合が2025年末時点で33.8%(2020年の31%から増加)に達した。執行委員会の全面的な支援のもと着実に進展しているものの、この結果は35%という目標にはわずかに及ばないという一方で、業界や同業他社水準を大幅に上回っている。当グループ全事業において多様性の反映を強化するため、これらの分野での取組を継続していく。
組織/人材
業績は、優秀だったと考えられる。
この評価は、人材育成、経営陣の後継者計画並びに当グループの変革プログラムの組織化及び運営の3つの要素に基づいている。
■ 人材育成
2025年、フランソワ・ジャコウ氏は、当グループの人材育成へのコミットメントを改めて強調した。執行委員会での会議において、事業戦略との整合性を確保し、特にデジタル・トランスフォーメーションを通じた将来の課題に組織が備えられるよう、新たな人材管理戦略が承認された。この年は5,000名を超える専門家を招集し、業績とイノベーションの礎となる技術コミュニティリーダー(TCL)プログラムの刷新が大きな特徴となった。フランソワ・ジャコウ氏のリーダーシップのもと、エネルギー転換及び社内改革という文脈において、技術的専門知識と実務との連携を緊密化するため、このプログラムはさらに強化された。この取組は、執行委員会も出席したフェローズ・サミットでの戦略的検討を経て「Be Innovation Day」において正式に始動した。
■ 経営陣の後継者計画
後継者の管理には特に重点が置かれ、国際的な人材について詳細な検討を行うため、執行委員会で2回の会議が設けられた。この厳格なプロセスは、すべての地域、事業部門及び間接部門にわたる最重要の管理職を対象としている。フランソワ・ジャコウ氏は当グループ人事部門と連携し、これらの後継者計画を自ら監督した。各重要ポストについて、(直近又は将来的な)後継者を特定及び評価し、ターゲットを絞った育成計画を通じて当グループの業績を持続的に支えることのできるリーダーの強固な人材プールを確保した。
■ 当グループの変革プログラムの組織化及び運営
変革プログラムの重要な牽引役として、フランソワ・ジャコウ氏は執行委員会に加え、年間を通じて運営委員会にも参加し、自らのコミットメントを示した。同氏のリーダーシップのもと、特にハブ及びクラスターの削減、調達及びデジタル・IT機能の垂直統合並びに現地組織の最適化を通じて、当グループは組織の簡素化において重大な中間目標を達成した。この変革はグローバル・ビジネス・サービス(GBS)の拡充に大きく依存している。フランソワ・ジャコウ氏は、この専門知識をグローバルな効率化の手段として活用する戦略を自ら主導した。同氏の指揮のもと、GBSは大幅なコスト削減を実現しただけでなく、グローバルな「エンドツーエンド」モデルへの戦略的転換も開始した。このモデルは当グループ全体のビジネスプロセスを統合し、すべての事業体においてより高い機動性とサービス品質の向上を保証する。
デジタル・IT部門は、拠点の合理化、契約の最適化及び技術プロジェクトを通じて効率化を実現した。同時に、調達部門の垂直統合により、当グループはコスト削減目標を引き上げることができた。その他の変革の柱においても大きな成果が報告された。例えば、「Industrial Value」ストリーム(産業オペレーションの価値向上の一連の取組)の実行は、予想を大幅に上回る成果を上げた。商業面では、価格施策及び営業力の効率化が営業利益の押し上げに寄与する見込みである。また、当グループ内のプロセスを統一し、標準化及び自動化を活用することを目的として、カスタマー・ケア・イニシアチブのグローバル設計が2026年の展開に向けて承認された。さらに、フランソワ・ジャコウ氏はAIプログラムの立ち上げを主導し、800名の「AIチャンピオン」の支援を得て、個別的なユースケースから産業規模での展開へと移行させた。この業績重視の文化を組織内に持続的に定着させるため、同氏は期待される行動様式について、グローバルな従業員を教育するワークショップの開催を推進した。これらの行動様式は、現在、Be Act Engageフレームワーク及び年次パフォーマンス評価プロセスに完全に組み込まれている。
個人の業績
最高経営責任者の個人業績は優秀であると考えられる。取締役会は、フランソワ・ジャコウ氏が、景気の低迷や不透明な世界情勢を含む厳しい逆風の中、当グループを率いて非常に堅実な業績を達成するとともに、変革の推進にも成功したことを高く評価した。
合計すると、報酬の変動部分の金額は目標を上回り、1,439,900ユーロとなった。
2025年度に支払われるべき変動報酬の総額は、株主総会による財務諸表の承認後、2026年に支払われる予定である。その支払は、最高経営責任者としてフランソワ・ジャコウ氏に対して2025年度中に支払われた、又は2025年度に関して付与された報酬の構成要素が株主総会によって承認されることを条件としている。
ウ 変動報酬メカニズムにおける、報酬繰延べの仕組み、複数年にわたる報酬や例外的な報酬の有無
存在しない。
エ ストックオプション、業績連動株式又はその他の長期的インセンティブ
| 支払額又は会計上の価値 | 個数 | 会計評価 |
|---|---|---|
| ストックオプション | 0個 | 0ユーロ(IFRS第2号による) |
| 業績連動株式 | 11,958株 | 1,814,866ユーロ(IFRS第2号による) |
(2025年9月30日プラン(業績連動株式))
2025****年の付与の方針
最高経営責任者に対する2025年の付与は、2025年2月20日に取締役会が定義し、2025年5月6日の株主総会により承認された2025年報酬方針の一部を構成するものである。
フランソワ・ジャコウ氏に対する2025年の最高経営責任者としてのLTIの付与は、IFRS評価額で1,814,866ユーロになる。
2025年9月の取締役会は、LTIスキームの簡素化と標準化を図るため、一般的な市場動向及び2019年以降の慣行に従い、すべての受益者に業績連動株式のみを付与することを決定している。
執行役員に対する支給限度額
取締役会は、AFEP/MEDEFコードの推奨に従って、株主総会で承認された38か月のサブリミットの範囲内で、執行役員への付与の年間下限を、(i)株式資本に対する比率として、及び(ii)報酬の倍数として表現して設定する。
取締役会が設定した2025年の限度額は、2024年の限度額と同じであり、以下のとおりである(2025年には新株予約権は付与されていない。)。
■ 2025年に執行役員に付与される業績連動株式の総数は、株式資本の0.012%を超える株式数を生じさせないこと(なお、2025年5月6日の総会において、38か月間、株式資本の0.1%という割当のサブリミットが設定されている。)。
■ 執行役員に付与された業績連動株式のIFRSによる評価額の総計は、執行役員の年間総報酬(固定報酬+変動報酬の上限)の約1.5倍を超えることはできず、付与された業績連動株式は、目標年間報酬の約40%を占めることに留意されたい。
比例配分原則の維持
2025年2月20日の取締役会の決定及び2025年5月6日の総会で承認された方針に従い、業務執行取締役に対する2025年のLTIの付与は、引き続き比例配分原則の対象となる。
実際には、執行役員が重大な理由による辞任又は解任以外の理由で当グループを離れた場合、業績基準の評価期間中に当グループ内に実際に在籍した期間に応じて、総配分率(業績条件適用後)が比例配分で減少することになる。さらに、AFEP/MEDEFコードに基づき、この退任時に執行役員に何ら付与されるものはない。
執行役員は引き続き、プランのすべての規定、特に付与された株式及びストックオプションに関する権利確定期間、ロックアップ期間及び保有期間に関する規定に従う。
業績状況
付与された業績連動株式は、すべて3年間を通じて計算される業績条件が付されている。この条件は、以下のとおりである。
(i) 与えられた業績連動株式の50%については、2027年度末に記録された税引後使用資本利益率(ROCE)(c)からなる、取締役会が設定した目標の達成率に基づき算出される。
(c) 税引後ROCE{使用資本利益率)は、以下のように算出される。すなわち、(2027年の(少数株主持分控除前の税引後経常的純利益-税引後当期負債コスト))/(過去3半期末(2027年下半期、2027年上半期及び2026年下半期)における(株主資本+少数株主持分+純有利子負債)の平均値)
設定された目標値では、付与率は100%であり、その後定額で減少し、それ以下では付与されない下限が設定される。この下限値は、設定された目標値より200bps低いROCE(使用資本利益率)に相当し、特に外部成長の機会を活用することができるよう、ある程度の柔軟性を持たせている。
この目標は、当社が発表したROCE(使用資本利益率)目標値、すなわち、10%以上という目標に沿って設定された。
(ii) 付与された業績連動株式の35%について
-(ii)の業績連動株式の50%について:2025、2026、2027年度のエア・リキード株式への投資(配当再投資)の年平均成長率として定義される、取締役会が設定した株主総利回りの目標(「AL TSR」)に基づく。絶対的TSRの目標値は、過去の実績に応じて設定される。設定された目標値では、付与は100%となり、その後定率で減少し、下限以下では付与されない。
-(ii)の業績連動株式の50%について:2025、2026、2027年度のCAC40TSR指数、配当再投資(出典:ブルームバーグ)と比較した、エア・リキード株式への投資による株主総利回り、配当再投資の割合に基づく(「B TSR」)。
達成率は、エア・リキードの3年間のTSRの平均がCAC40TSRの平均より低い場合は0%、CAC40TSRの平均と等しい場合は50%、CAC40TSRの平均より2%以上高い場合は100%とし、定率変化を基本とする。CAC40TSRの平均を下回る業績に対する付与は、不可能である。
(iii) 付与された業績連動株式の15%については、当グループのCO2排出量の軌道(戦略プラン「ADVANCE」の一部)に沿った、2025年から2027年までの当グループの絶対的なCO2排出量の変動に応じて、以下のとおりとなる。
2027年の当グループのCO2排出量と2024年の同排出量と百万トン単位で比較。2024年の比較基準は、12か月見積ベースで、想定される周辺的な影響(2025年から2027年にかけての当グループの顧客又は会社における既存ユニットの買収、資産又は企業の売却の可能性)を考慮して、当社が明らかにしている二酸化炭素排出削減目標のモニタリングに用いられる方法に沿って、調整されている。
温室効果排出量には、直接排出(スコープ1)と間接排出(スコープ2)がある。これらの排出量は、「市場ベース」として計上されている。
オ その他の要素
該当なし。
カ 取締役としての報酬
該当なし。
フランソワ・ジャコウ氏は、取締役としての任期に関し、いかなる報酬も受領しない。
キ その他の利益 18,065ユーロ
その他の利益(会計価値)は社用車の使用及び、経営幹部及び取締役の雇用保険のために2025年に外部機関に支払われる拠出金が含まれている。
ク 退職補償 受領額0ユーロ
適用される条件は、以下のとおりである。(i) 戦略の変更又は支配の変更に伴う強要された退職のみが補償の対象となる。(ii) 補償額は、24か月分の総固定報酬及び変動報酬である 。(iii) 法定の定年に近づくほど、徐々に減額する。(iv) 補償に関する権利は、業績条件付きとする。支払われる補償額は、退任前の過去3事業年度の税引後ROCE(使用資本利益率)と加重平均資本コスト(WACC)(株主資本の帳簿価額に基づいて測定)の平均年間差によって調整される。この差は、高度に資本集約的な事業において、日常の価値創造を測定することを可能にする。
3年間にわたってROCEとWACCの平均差が300bpsである場合には、補償額全額を受け取ることができる。
補償される比率は、以下のように設定されており、それぞれの閾値間において定額で増加する。
| 3年間の平均年間差(ROCE – WACC)(bps)(a) | 補償率 |
|---|---|
| ≧300 | 100% |
| 250 | 66% |
| 200 | 50% |
| 100 | 25% |
| <100 | 0% |
(a) bps:ベーシスポイント
この制度は、2025年2月20日の取締役会で承認され、2025年5月6日の株主総会で承認された最高経営責任者の報酬方針に組み込まれた(2024年までの報酬方針の延長に基づく。)。
ケ 競業避止に関する補償金 受領額0ユーロ
フランソワ・ジャコウ氏の最高経営責任者としての任期終了後2年間、直接的又は間接的に当グループと競合する事業に従事しないことを約束する条件は、以下のとおりである。
■ この補償金は毎月支払われ、最高経営責任者が受け取る年間固定報酬及び変動報酬の1年分の総額(長期変動報酬として受け取る金額を除く)に相当し、雇用補償金と競業避止補償金の合計は、最高経営責任者が任期を終える日に支払う年間固定報酬及び変動報酬の総額の24か月を上限とする。
■ 競業避止義務の補償金の支払は、最高経営責任者が年金受給権を行使した時点から適用されないものとする。いかなる場合においても、65歳を超えると補償金は支払われないものとする。
■ **取締役会は、**最高経営責任者の退任に伴い、**競業避止義務を全部又は一部免除する権利を有し、**この場合、補償金は支払われないものとする。
この制度は、2025年2月20日の取締役会で承認され、2025年5月6日の株主総会で承認された最高経営責任者の報酬方針に組み込まれた(2024年までの報酬方針の延長に基づく。)。
コ 付加年金制度 受領額188,529ユーロ
(団体型年金保険契約)
2025年において、フランソワ・ジャコウ氏は(2025年2月20日の取締役会で決定され、2025年5月6日の株主総会で承認された報酬方針に従い)、基準報酬(固定部分+目標変動部分)が8PASSを超える部分について、引き続き個別・任意加入の団体型年金保険契約(「フランス税法第82条」として知られる)の適用を受ける。この団体型年金保険契約は、フランソワ・ジャコウ氏が最高経営責任者に任命される前に受給していた、取締役には適用されないが当グループの上級役員には一定の条件の下で適用される付加年金制度に代わるものである。
このスキームでは、当社が支払った金額は、保険会社への支払と、フランソワ・ジャコウ氏への支払で、社会保障負担費及び保険会社への支払に課される税を賄うことを目的とするものに分割される。この金額は、執行責任者の任期が終了するまでの間、毎年後払いされる。これらの拠出金は、法人所得税から控除され、社会保障負担費の対象となる。
フランソワ・ジャコウ氏は、フランスの一般的な社会保障制度の下で年金請求権が発生する年齢に達する前に、一時金又は終身年金の形態のこの年金保険契約に基づく権利を申請することはできない。
8PASSを超える報酬の部分に対するこの付加年金制度は、すべて業績条件の対象となる。年度の拠出金総額は、当該事業年度以前の過去3事業年度について(株主総会で承認された連結財務諸表に基づいて)計算される税引後使用資本利益(ROCE(d))と加重平均資本コスト(WACC)(株主資本の帳簿価額に基づいて測定)の平均年間差(事業年度ごとに測定)によるものとする。
(d) 大型買収(使用資本の5%超を占める買収)を除く経常ROCE。
団体年金保険に基づく名目係数に適用される業績係数は、下記の表に示されたとおりに決定される。各閾値間の線形区間における増加率が、100 bpsから300bpsまでの範囲内で決定される。
| 3年間の平均年間差(ROCE – WACC)(bps)(a) | 名目係数に適用される業績係数 |
|---|---|
| ≧300 | 100% |
| 250 | 66% |
| 200 | 50% |
| 100 | 25% |
| <100 | 0% |
(a) bps:ベーシスポイント
2025年に関しては、2026年2月19日に開催された取締役会において、業績条件が100%達成されたことを確認した。
したがって、個人・任意加入の年金制度に基づき、2025年に関して2026年に支払われる金額は全体で377,058ユーロとなる(2025年5月6日の株主総会で承認された報酬方針に基づき、保険料として保険会社へ支払う188,529ユーロ(総額)と、社会保障負担費及び保険会社への支払に課される税を賄うことを目的としてフランソワ・ジャコウ氏へ支払う188,529ユーロ(総額)の間で分割される。)。
(確定拠出年金に沿った年金契約)(PERO)
2025年においても、フランソワ・ジャコウ氏は(2025年2月20日に取締役会によって承認され、2025年5月6日の株主総会で承認された報酬方針に従い)付加確定拠出年金制度の適用を受けた(以前は従業員として、2022年の就任以降は最高経営責任者として)。
この制度は、すべての従業員及びこの制度の利益を受けることを正式に認められた業務執行取締役に適用され、年間社会保障上限額(PASS)の8倍を超えない報酬部分について、雇用者と受益者が等しく支払う拠出金によって賄われている。
この付加確定拠出年金制度に基づきフランソワ・ジャコウ氏の給付のために2025年に支払われる拠出額は11,174ユーロである。
(上級役員のための確定拠出年金に沿った年金契約)
エア・リキード・エス・エーでは、合意された係数を参照して定義された上級役員及び1年の年功を積んだ業務執行取締役を対象に、確定拠出年金制度を設けている。
2025年、フランソワ・ジャコウ氏は、2025年2月20日に取締役会によって承認され、2025年5月6日の株主総会(第12号決議)で承認された報酬方針に従い、確定拠出年金制度(以前は上級役員として、その後2022年以降は最高経営責任者として受給していた)の適用を引き続き受けた。
フランソワ・ジャコウ氏の年金受給権は、上級役員のために実施されたこの確定拠出年金制度に基づくものである。
■ 最短で、フランスの一般社会保障制度に基づく年金受給権を請求した時点で申請することができる。
■ 会社が全額負担する年次拠出金によって賄われている。これらの拠出金は、報酬のうちPASSの8倍を下回る部分の2.7%に設定されている。さらに、この拠出金は、全従業員のために設立されたPERO(上記参照)の下で支払われるものと同じ税金及び社会保障の扱いを受ける。
2025年に当社が支払った拠出金は、10,174ユーロであった。
サ 団体死亡・障害者給付金及び医療費負担制度 受領額0ユーロ
2025年において、フランソワ・ジャコウ氏は、2025年2月20日に取締役会によって承認され、2025年5月6日の株主総会(第12号決議)で承認された報酬方針に従い、(i) 2015年1月1日より統一された、当該制度を受益する正当な権限を有するすべての従業員及び業務執行取締役を対象としている「能力喪失、傷病、死亡」付加給付制度及び(ii) 全従業員を対象としたヘルスケア費用制度の適用も受けている。
この制度では、(a)拠出金の計算に考慮される報酬は、(i)社会保障の年間限度額の16倍の能力・傷病保障が受けられ、(ii)死亡保障の年間社会保障限度額の24倍を上限とし、(b)2024年の雇用者負担率は、16PASSまでは1.28%、16~24PASSは1.03%となる。
フランソワ・ジャコウ氏の給付のために会社が2025年に支払った拠出金は、団体死亡・障害者給付金制度が13,339ユーロ、医療費保障制度に522ユーロ(すなわち合計13,861ユーロ)であった。
b. ブノワ・ポチエ取締役会会長(2025年度)
ア 固定報酬 支払額又は会計上の価値:800,000ユーロ
固定報酬は、とりわけ経営継承の状況における取締役会会長の特有の役割と、取締役会が、経営の移行期間中に、当グループとその事業、株主とステークホルダー、戦略課題に関するブノワ・ポチエ氏の経験、深い知識から利益を得るために、移行期間中、同氏に託すことを希望した任務を考慮している。
2025年5月6日の株主総会で承認された方針に基づき、ブノワ・ポチエ氏の2025年度の年間固定報酬額は800,000ユーロとなる。
イ 年間変動報酬
該当なし。
会長は、年間変動報酬を受けていない。
ウ 変動報酬メカニズムにおける、報酬繰延べの仕組み、複数年にわたる報酬や例外的な報酬の有無
存在しない。
エ ストックオプション、業績連動株式又はその他の長期的インセンティブ
該当なし。
会長は、長期報酬を受領していない。
オ その他の要素
該当なし。
カ 取締役としての報酬
該当なし。
ブノワ・ポチエ氏は、取締役としての任期に関し、いかなる報酬も受領していない。
キ その他の利益 2,793ユーロ
現物給付(簿価)には社用車の使用に対する拠出が含まれる。
ク 退職補償
該当なし。
会長は退職補償金を受け取っていない。
ケ 競業避止義務に関する補償
該当なし。
会長は競業避止義務に関する補償を受け取っていない。
コ 付加年金制度
該当なし。
会長は付加年金制度からの利益を受け取っていない。
サ 団体生命保険
該当なし。
会長は団体生命保険からの利益を受け取っていない。
シ 団体死亡・障害者給付制度(死亡保険) 受領額0ユーロ
2025年、ブノワ・ポチエ氏は、2025年2月20日に取締役会によって承認され、2025年5月6日の株主総会(第13号決議)で承認された報酬方針に従い、団体死亡・障害者給付制度(死亡保険のみ)の適用を引き続き受ける。
この制度では、(a)拠出金の計算に考慮される報酬は、死亡保険金の年間社会保障限度額の24倍を上限とし、(b)2025年の雇用者負担率は、16PASSまでは1.28%、16~24PASSまでは1.03%になる。
ブノワ・ポチエ氏の死亡保険制度に関して、2025年に当社が支払った拠出額は、10,128ユーロである。
c. 非業務執行取締役
フランス商法L.22-10-14条に基づき、当グループの非業務執行・非従業員取締役に支払われた報酬は、以下のとおりである。非業務執行取締役の2025年の報酬は、2025年5月6日の株主総会の第14号決議により承認された報酬方針によって算定された。
| (単位:ユーロ) | 2023年に関して2024年に支払われた金額 | 2024年に関して2025年に支払われた金額 | 2025年に関して2026年に支払われた金額 | |
|---|---|---|---|---|
| シアン・ヘルベルト・ジョーンズ(a) (b) | 合計 | 28,333 | - | - |
| 固定報酬(%) | 46 | - | - | |
| 変動報酬(%) | 54 | - | - | |
| アネッテ・ウインクラー(c) | 合計 | 130,500 | 145,500 | 137,500 |
| 固定報酬(%) | 31 | 27 | 29 | |
| 変動報酬(%) | 69 | 73 | 71 | |
| ジェヌビエーブ・ベルガー(b) | 合計 | 29,833 | - | - |
| 固定報酬(%) | 28 | - | - | |
| 変動報酬(%) | 72 | - | - | |
| ザビエル・ユイラール(d) | 合計 | 122,500 | 122,500 | 123,500 |
| 固定報酬(%) | 49 | 49 | 49 | |
| 変動報酬(%) | 51 | 51 | 51 | |
| キム・アン・ミンク | 合計 | 101,000 | 111,000 | 81,000 |
| 固定報酬(%) | 20 | 18 | 25 | |
| 変動報酬(%) | 80 | 82 | 75 | |
| ベルトラン・デュマジー | 合計 | 83,500 | 97,000 | 98,000 |
| 固定報酬(%) | 24 | 21 | 20 | |
| 変動報酬(%) | 76 | 79 | 80 | |
| アイマン・エザット | 合計 | 70,000 | 73,500 | 84,500 |
| 固定報酬(%) | 29 | 27 | 24 | |
| 変動報酬(%) | 71 | 73 | 76 | |
| モニカ・デ・ビルギリス(e) | 合計 | 49,333 | 74,500 | 80,000 |
| 固定報酬(%) | 37 | 27 | 25 | |
| 変動報酬(%) | 63 | 73 | 75 | |
| キャサリン・ギラード(f) (g) | 合計 | 57,333 | 99,000 | 104,500 |
| 固定報酬(%) | 49 | 40 | 38 | |
| 変動報酬(%) | 51 | 60 | 62 | |
| クリスティーナ・ロウ(f) | 合計 | 59,833 | 97,500 | 105,500 |
| 固定報酬(%) | 22 | 21 | 19 | |
| 変動報酬(%) | 78 | 79 | 81 | |
| アレクシス・ペラキス=ヴァラト(f) (h) | 合計 | 29,833 | 47,500 | 68,667 |
| 固定報酬(%) | 45 | 42 | 39 | |
| 変動報酬(%) | 55 | 58 | 61 | |
| マイケル・H・タマン(f) | 合計 | 59,833 | 87,500 | 101,000 |
| 固定報酬(%) | 22 | 23 | 20 | |
| 変動報酬(%) | 78 | 77 | 80 | |
| 合計 | 822,331 | 955,500 | 984,167 |
(a) 表示された金額には、監査・会計委員会の委員長としての活動に対する20,000ユーロの追加報酬が含まれている(2023年1月から5月までの期間について、日割りで計算される。)。
(b) 任期は2023年5月3日をもって終了している。
(c) 表示された金額には、2020年5月以降の環境・社会委員会の委員長としての活動に対する20,000ユーロの追加報酬が含まれている。
(d) 表示された金額には、2022年5月以降の指名統治委員会の委員長としての活動に対する追加報酬20,000ユーロ及び筆頭取締役としての活動に対する追加報酬20,000ユーロが含まれている。
(e) 任期は取締役会の共同選任後の2023年2月15日に開始した。
(f) 任期は2023年5月3日に開始された。
(g) 表示された金額には、監査・会計委員会の委員長としての活動に対する20,000ユーロの追加報酬が含まれている(2023年5月から12月の期間について日割りで計算される。)。
(h) 表示された金額には報酬委員会の委員長としての活動に対する20,000ユーロの追加報酬が含まれている(2025年5月から12月の期間について日割りで計算される。)。
非業務執行取締役は、上記に記載されたもの以外のいかなる報酬も受け取っていない。
2025年5月6日の株主総会で承認された報酬方針に従い、最高経営責任者及び取締役会議長は、取締役としていかなる報酬も受け取っていない。
様々なステークホルダーとの合意の範囲内において、及び当グループ内の会社の取締役会のメンバーとしての職務を行うすべての従業員に適用される当グループにおける社内規程に従い、従業員代表取締役は、取締役の職務に関して報酬を一切受け取っていない(1)。
(1) フィリップ・ドゥブルリー氏は、Air Liquide Advanced Technologiesとの雇用契約に基づく報酬を受領している。ファティマ・ティグラリン氏は、エア・リキード・エス・エーとの雇用契約に基づく報酬を受領している。
基準
取締役会のメンバーに配分される総額の上限は、2024年4月30日の株主総会で、1事業年度あたり150万ユーロに設定されている(第14号決議)。
2025年5月6日の総会で承認された報酬方針に従い、取締役の報酬の配分方式は、取締役会のダイバーシティ方針に従って、最も適した人材と専門知識を引きつけるために、国際的な同業他社と比較して競争力のある報酬を確保することを目的としている。
報酬は、固定報酬と、取締役会及びその委員会/ワーキンググループの業務への各取締役の実際の参加度を考慮した会合ごとの一括額に基づく変動報酬、及び海外から出張する取締役に対する1回あたりの固定額から構成されている。取締役会及び委員会への参加に対する変動報酬は、固定報酬よりも重要視されている。
会議への遠隔出席は、ビデオ会議を通じて接続するメンバーが会議に出席し、物理的に会議に出席するのと同等の条件の下で議論することができる通信手段の質を考慮し、直接出席と同様に報酬が与えられる。これは、可能な限り対面会議に出席するという取締役会及びそのメンバーの希望を変更するものではないが、通信技術の進歩を認識するものである。
2025年については、報酬額の内訳は以下のとおりである。
固定報酬(年度全体として)
■ 各メンバーは、20,000ユーロに設定された固定年間報酬を受け取る。
■ 監査・会計委員会、指名・統治委員会、報酬委員会、環境・社会委員会の各委員長は、年間20,000ユーロの追加固定報酬を受領している。
■ 筆頭取締役は、さらに年間20,000ユーロの固定報酬を受領している。
変動報酬
各種会議への出席については、以下のとおり報酬を支払っている。
| ■ 取締役会会議 | 5,500ユーロ |
|---|---|
| ■ 監査・会計委員会 | 4,500ユーロ |
| ■ 指名・統治委員会 | 4,500ユーロ |
| ■ 報酬委員会 | 4,500ユーロ |
| ■ 環境・社会委員会 | 4,500ユーロ |
| ■ 監査委員会と環境・社会委員会の合同会議 | 4,500ユーロ |
| ■ IR作業グループ会議 | 3,500ユーロ |
| ■ 非居住者の1回の出張 | |
| -欧州 | 3,000ユーロ |
| -大陸間 | 10,000ユーロ |
非フランス居住者が会議に出席する際に発生した旅費は、会社から払い戻される。
③ 役員の報酬等の額又はその算定方法の決定に関する方針の決定権限を有する者の名称、その権限の内容及び裁量の範囲
「第5 提出会社の状況 3(1)⑪ 取締役会の委員会」中の報酬委員会に関する記載を参照。
(5)【株式の保有状況】
連結財務書類注記14を参照。
第6 【経理の状況】
(1)本書に記載されているエア・リキード・エス・エーの連結財務諸表は、欧州連合が採用している国際財務報告基準(以下、「IFRS」という。)に準拠して作成されている。また、本書に記載されているエア・リキード・エス・エーの個別財務諸表は、フランスにおいて適用される会計基準及び会計原則に準拠して作成されている。本書に記載された邦文の財務諸表は、原文の財務諸表を翻訳したものである。
(2)本書に記載されている財務諸表(連結財務諸表及び個別財務諸表)は、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38年大蔵省令第59号)(以下「財務諸表等規則」)第131条第1項の規定の適用を受けている。
(3)本書に記載されている財務諸表(連結財務諸表及び個別財務諸表)は、フランスの法定監査人であるカーペーエムジェー エス ア及びプライスウォーターハウスクーパース オーディット エス・エー・エスの監査を受けている。原文の上記財務諸表は、金融商品取引法施行令(昭和40年政令第321号)第35条の規定に基づく「財務諸表等の監査証明に関する内閣府令」(昭和32年大蔵省令第12号)第1条の2の規定により、金融商品取引法第193条の2の規定に基づく監査は受けていない。
(4)本書に記載されている財務諸表(連結財務諸表及び個別財務諸表)はユーロで表示されている。本書記載の財務諸表で表示された円貨額は、利用者の便宜のためであり、財務諸表等規則第134条の規定に従って、本事業年度の主要な計数については、2026年4月1日現在の三菱UFJ銀行の対顧客電信直物相場仲値である1ユーロ=183.86円の為替レートで換算されたものである。なお、同様に昨事業年度の主要な計数については、2025年4月1日現在の三菱UFJ銀行の対顧客電信直物相場仲値である1ユーロ=162.17円の為替レートで換算されたものである。
1 【財務諸表】
(1)【連結財務諸表】
連結損益計算書
12月31日時点
| 注記 | 2024年 | 2025年 | |||
| (百万ユーロ) | (百万円) | (百万ユーロ) | (百万円) | ||
| 売上高 | (3) | 27,057.8 | 4,387,963 | 26,940.2 | 4,953,225 |
| その他の収益 | (4) | 234.0 | 37,948 | 347.3 | 63,855 |
| 仕入 | (4) | (10,008.2) | (1,623,030) | (9,651.2) | (1,774,470) |
| 人件費 | (4) | (5,165.7) | (837,722) | (5,088.4) | (935,553) |
| その他の費用 | (4) | (4,221.4) | (684,584) | (4,402.8) | (809,499) |
| 償却前経常的営業利益 | 7,896.5 | 1,280,575 | 8,145.1 | 1,497,558 | |
| 減価償却費及び償却費 | (4) | (2,505.1) | (406,252) | (2,563.5) | (471,325) |
| 経常的営業利益 | 5,391.4 | 874,323 | 5,581.6 | 1,026,233 | |
| その他の非経常的営業利益 | (5) | 64.8 | 10,509 | 50.8 | 9,340 |
| その他の非経常的営業費用 | (5) | (510.6) | (82,804) | (353.7) | (65,031) |
| 営業利益 | 4,945.6 | 802,028 | 5,278.7 | 970,542 | |
| 純金融費用 | (6) | (258.4) | (41,905) | (242.5) | (44,586) |
| その他の純金融利益 | (6) | 8.5 | 1,378 | 7.8 | 1,434 |
| その他の純金融費用 | (6) | (168.5) | (27,326) | (161.5) | (29,693) |
| 法人所得税 | (7) | (1,086.5) | (176,198) | (1,230.5) | (226,240) |
| 持分法適用会社の利益に対する持分 | (14) | (0.7) | (114) | (7.6) | (1,397) |
| 当期利益 | 3,440.0 | 557,865 | 3,644.4 | 670,059 | |
| 少数株主損益 | 133.9 | 21,715 | 126.5 | 23,258 | |
| 純利益(グループ持分) | 3,306.1 | 536,150 | 3,517.9 | 646,801 | |
| 基本1株当たり利益 (ユーロ建て) | (8) | 5.74 | 931 | 6.10 | 1,122 |
| 希薄化後1株当たり利益 (ユーロ建て) | (8) | 5.72 | 928 | 6.08 | 1,118 |
純利益及び直接資本繰入損益計算書
12月31日時点
| 2024年 | 2025年 | |||
| (百万ユーロ) | (百万円) | (百万ユーロ) | (百万円) | |
| 当期利益 | 3,440.0 | 557,865 | 3,644.4 | 670,059 |
| 資本で認識された項目 | ||||
| 金融商品の時価変動 | 25.9 | 4,200 | (119.9) | (22,045) |
| 為替換算調整勘定の変動 | 912.4 | 147,964 | (2,525.2) | (464,283) |
| 当期利益への組替項目 | 938.3 | 152,164 | (2,645.1) | (486,328) |
| 数理計算上の損益 | 2.4 | 389 | 112.8 | 20,739 |
| 当期利益へ組替えない項目 | 2.4 | 389 | 112.8 | 20,739 |
| 資本で認識された項目(税抜) | 940.7 | 152,553 | (2,532.3) | (465,589) |
| 純利益及び直接資本繰入損益 | 4,380.7 | 710,418 | 1,112.1 | 204,471 |
| 少数株主持分 | 150.7 | 24,439 | 78.1 | 14,359 |
| 親会社株主持分 | 4,230.0 | 685,979 | 1,034.0 | 190,111 |
連結貸借対照表
12月31日時点
| 2024年12月31日現在 | 2025年12月31日現在 | ||||
| 資産 | 注記 | (百万ユーロ) | (百万円) | (百万ユーロ) | (百万円) |
| のれん | (10) | 14,977.4 | 2,428,885 | 13,823.2 | 2,541,534 |
| その他の無形資産 | (11) | 1,691.5 | 274,311 | 1,562.3 | 287,244 |
| 有形固定資産 | (12) | 25,538.7 | 4,141,611 | 24,909.7 | 4,579,897 |
| 固定資産 | 42,207.6 | 6,844,806 | 40,295.2 | 7,408,675 | |
| 固定金融資産 | (13) | 746.3 | 121,027 | 708.9 | 130,338 |
| 持分法適用会社に対する投資 | (14) | 198.3 | 32,158 | 174.6 | 32,102 |
| 繰延税金資産 | (15) | 335.0 | 54,327 | 303.4 | 55,783 |
| デリバティブの公正価値(固定) | (25) | 32.9 | 5,335 | 61.7 | 11,344 |
| その他の固定資産 | 1,312.5 | 212,848 | 1,248.6 | 229,568 | |
| 固定資産合計 | 43,520.1 | 7,057,655 | 41,543.8 | 7,638,243 | |
| 棚卸資産及び仕掛品 | (16) | 2,189.6 | 355,087 | 2,128.3 | 391,309 |
| 売掛金 | (17) | 2,996.7 | 485,975 | 2,866.5 | 527,035 |
| その他の流動資産 | (19) | 1,068.2 | 173,230 | 907.4 | 166,835 |
| 流動税金資産 | 96.7 | 15,682 | 32.8 | 6,031 | |
| デリバティブの公正価値(流動) | (25) | 77.3 | 12,536 | 92.4 | 16,989 |
| 現金及び現金同等物 | (20) | 1,915.3 | 310,604 | 3,962.0 | 728,453 |
| 流動資産合計 | 8,343.8 | 1,353,114 | 9,989.4 | 1,836,651 | |
| 売却目的の資産 | 3.6 | 584 | 380.2 | 69,904 | |
| 資産合計 | 51,867.5 | 8,411,352 | 51,913.4 | 9,544,798 | |
| 2024年12月31日現在 | 2025年12月31日現在 | ||||
| 資本及び負債 | 注記 | (百万ユーロ) | (百万円) | (百万ユーロ) | (百万円) |
| 資本金 | 3,180.4 | 515,765 | 3,186.6 | 585,888 | |
| 資本剰余金 | 2,064.1 | 334,735 | 2,192.5 | 403,113 | |
| 利益剰余金 | 18,534.2 | 3,005,691 | 17,496.5 | 3,216,906 | |
| 自己株式 | (224.8) | (36,456) | (179.6) | (33,021) | |
| 純利益(グループ持分) | 3,306.1 | 536,150 | 3,517.9 | 646,801 | |
| 株主資本 | 26,860.0 | 4,355,886 | 26,213.9 | 4,819,688 | |
| 少数株主持分 | 761.3 | 123,460 | 733.3 | 134,825 | |
| 資本合計(a) | (21) | 27,621.3 | 4,479,346 | 26,947.2 | 4,954,512 |
| 引当金、年金及び その他の従業員給付債務 | (22,23) | 2,025.6 | 328,492 | 2,028.6 | 372,978 |
| 繰延税金負債 | (15) | 2,527.1 | 409,820 | 2,372.9 | 436,281 |
| 長期借入金 | (24) | 8,403.1 | 1,362,731 | 10,030.0 | 1,844,116 |
| 長期リース債務 | (12) | 1,133.8 | 183,868 | 1,034.3 | 190,166 |
| その他の固定負債 | (26) | 642.8 | 104,243 | 630.7 | 115,961 |
| デリバティブの公正価値(負債) | (25) | 29.7 | 4,816 | 32.9 | 6,049 |
| 固定負債合計 | 14,762.1 | 2,393,970 | 16,129.4 | 2,965,551 | |
| 引当金、年金及び その他の従業員給付債務 | (22,23) | 418.9 | 67,933 | 393.3 | 72,312 |
| 買掛金 | (27) | 3,319.0 | 538,242 | 3,004.1 | 552,334 |
| その他の流動負債 | (26) | 2,483.7 | 402,782 | 2,382.4 | 438,028 |
| 未払税金 | 273.1 | 44,289 | 212.5 | 39,070 | |
| 短期借入金 | (24) | 2,671.4 | 433,221 | 2,347.5 | 431,611 |
| 短期リース債務 | (12) | 239.8 | 38,888 | 225.1 | 41,387 |
| デリバティブの公正価値(流動) | (25) | 76.9 | 12,471 | 192.8 | 35,448 |
| 流動負債合計 | 9,482.8 | 1,537,826 | 8,757.7 | 1,610,191 | |
| 売却目的の負債 | 1.3 | 211 | 79.1 | 14,543 | |
| 資本及び負債合計 | 51,867.5 | 8,411,352 | 51,913.4 | 9,544,798 | |
(a) 株主資本及び少数株主持分の変化の詳細は、連結株主資本等変動計算書に記載されている。
連結キャッシュ・フロー計算書
12月31日時点
| 2024年 | 2025年 | ||||
| 注記 | (百万ユーロ) | (百万円) | (百万ユーロ) | (百万円) | |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | |||||
| 純利益(グループ持分) | 3,306.1 | 536,150 | 3,517.9 | 646,801 | |
| 少数株主持分 | 133.9 | 21,715 | 126.5 | 23,258 | |
| 調整: | 0 | ||||
| ・ 減価償却費及び償却費 | (4) | 2,505.1 | 406,252 | 2,563.5 | 471,325 |
| ・ 繰延税金の変動 | (7) | (42.3) | (6,860) | 109.3 | 20,096 |
| ・ 引当金の増加(減少)額 | 304.0 | 49,300 | 185.1 | 34,032 | |
| ・ 持分法適用会社の利益に対する持分 | (14) | 0.7 | 114 | 7.6 | 1,397 |
| ・ 資産処分損益(a) | (7.0) | (1,135) | 13.4 | 2,464 | |
| ・ 純金融費用(a) | (24) | 178.2 | 28,899 | 146.5 | 26,935 |
| ・ その他非現金項目(b) | 160.6 | 26,045 | 185.3 | 34,069 | |
| 運転資本調整前営業活動によるキャッシュ・フロー(a) | 6,539.3 | 1,060,478 | 6,855.1 | 1,260,379 | |
| 運転資本の調整 | (18) | (155.1) | (25,153) | (226.0) | (41,552) |
| その他現金項目(c) | (62.0) | (10,055) | (110.7) | (20,353) | |
| 営業活動からの純キャッシュ・フロー | 6,322.2 | 1,025,271 | 6,518.4 | 1,198,473 | |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | 0 | ||||
| 有形固定資産及び無形資産の購入(c) | (11,12) | (3,525.1) | (571,665) | (3,843.4) | (706,648) |
| 子会社及び金融資産の取得 | (269.0) | (43,624) | (254.0) | (46,700) | |
| 有形固定資産及び無形資産の売却による収入(a) | 80.1 | 12,990 | 154.5 | 28,406 | |
| 子会社の売却、売却した純負債の純額 及び金融資産の売却による収入(a) | 113.0 | 18,325 | 177.8 | 32,690 | |
| 持分法適用会社からの受取配当金 | (14) | 17.6 | 2,854 | 14.1 | 2,592 |
| 投資活動に使用された純キャッシュ・フロー | (3,583.4) | (581,120) | (3,751.0) | (689,659) | |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | |||||
| 配当金の支払額(d) | |||||
| ・ エア・リキード・エス・エー | (1,718.1) | (278,624) | (1,955.0) | (359,446) | |
| ・ 少数株主持分 | (90.3) | (14,644) | (98.2) | (18,055) | |
| 株式の発行による収入(d) | 34.4 | 5,579 | 139.5 | 25,648 | |
| 自己株式の購入(d) | (230.8) | (37,429) | (4.0) | (735) | |
| 純金融利払い(a) | (218.2) | (35,385) | (177.7) | (32,672) | |
| 借入金の増加(減少)額(e) | (266.8) | (43,267) | 2,060.4 | 378,825 | |
| リース債務返済 | (239.1) | (38,775) | (232.7) | (42,784) | |
| リース債務の純利子 | (45.3) | (7,346) | (50.3) | (9,248) | |
| 少数株主との取引 | (33.4) | (5,416) | (26.7) | (4,909) | |
| 財務活動に使用された純キャッシュ・フロー | (2,807.6) | (455,308) | (344.7) | (63,377) | |
| 為替レート変動及び連結範囲の変更の影響 | (32.4) | (5,254) | (47.2) | (8,678) | |
| 現金及び現金同等物の純増加(減少)額 | (101.2) | (16,412) | 2,375.5 | 436,759 | |
| 現金及び現金同等物の期首残高 | 1,403.6 | 227,622 | 1,302.4 | 239,459 | |
| 現金及び現金同等物の期末残高 | 1,302.4 | 211,210 | 3,677.9 | 676,219 | |
(a) 国際会計基準(IAS)第7号第35項に従い、当グループは、法人所得税に係るキャッシュ・フローを、それが財務活動及び投資活動に明確に帰属されない限り、営業活動によるキャッシュ・フローとして分類している。したがって、当グループは、純負債のコスト、売却による収入、資産売却による資本損益、及び税引き後の支払利息を提示している。
(b) この項目には、IAS第19号、IFRS第16号の割引の解消、IFRS第2号の費用に関する純非現金費用が含まれる。
(c) この項目には、特に有形固定資産及び無形資産(使用権資産を除く)の増加、並びに2025年の固定資産に関連する債務の変動額(250万ユーロの減少、2024年は1,570万ユーロ)が含まれる。2025年以降、投資助成金は「有形固定資産及び無形資産の購入」の項目に計上されるが、2024年には「その他現金項目」に含まれていた。この表示方法が2024年に適用されていた場合、「その他現金項目」は-1億2260万ユーロ、「有形固定資産及び無形資産の購入」は-34億6450万ユーロとなっていた。
(d) 配当金の支払、増資、自己株式購入についての詳細は、連結株主資本等変動計算書を参照。
(e) この項目には、特にその他の固定金融資産及び流動金融資産の変動が含まれる。
期末現在の現金及び現金同等物の純額の分析は以下のとおりである。
| 2024年12月31日現在 | 2025年12月31日現在 | ||||
| 注記 | (百万ユーロ) | (百万円) | (百万ユーロ) | (百万円) | |
| 現金及び現金同等物 | (20) | 1,915.3 | 310,604 | 3,962.0 | 728,453 |
| 当座借越(借入金(流動)を含む) | (612.9) | (99,394) | (284.1) | (52,235) | |
| 現金及び現金同等物の純額 | 1,302.4 | 211,210 | 3,677.9 | 676,219 | |
連結株主資本等変動計算書
2025****年1月1日から同年12月31日までの連結株主資本等変動計算書
| (百万ユーロ) | 注記 | 資本金 | 資本 剰余金 | 利益 剰余金(純利益を含む) | 金融商品の時価評価 | 為替換算調整勘定 | 自己株式 | 株主資本 | 少数株主持分 | 資本合計 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2025年1月1日現在の株主資本及び少数株主持分 | 3,180.4 | 2,064.1 | 22,272.5 | (191.4) | (240.8) | (224.8) | 26,860.0 | 761.3 | 27,621.3 | |
| 当期純利益 | 3,517.9 | 3,517.9 | 126.5 | 3,644.4 | ||||||
| 資本に直接認識される項目 | 112.8 | (119.9) | (2,476.8) | (2,483.9) | (48.4) | (2,532.3) | ||||
| 純利益及び資本に直接認識される損益(a) | 3,630.7 | (119.9) | (2,476.8) | 1,034.0 | 78.1 | 1,112.1 | ||||
| 資本金の増減 | 6.2 | 128.4 | 134.6 | 4.9 | 139.5 | |||||
| 配当 | (9) | (1,958.3) | (1,958.3) | (98.2) | (2,056.5) | |||||
| 自己株式の取得及び処分(C) | (4.0) | (4.0) | (4.0) | |||||||
| 株式報酬 | 20.0 | 49.2 | 69.2 | 69.2 | ||||||
| 資本に直接認識される少数株主取引 | (4.9) | (4.9) | (12.8) | (17.7) | ||||||
| その他(d) | 83.3 | 83.3 | 83.3 | |||||||
| 2025年12月31日現在の株主資本及び少数株主持分 | 3,186.6 (b) | 2,192.5 | 24,043.3 | (311.3) | (2,717.6) | (179.6) (c) | 26,213.9 | 733.3 | 26,947.2 |
(a) 純利益及び資本に直接認識される損益は、純利益及び直接資本繰入損益計算書を参照。
(b) 2025年12月31日現在の株式資本は額面5.50ユーロの株式579,384,423株である。当事業年度において資本金に影響を与えた変動は主に以下のとおりである。
-従業員向け増資による額面5.50ユーロの現金による848,773株の発行
-オプション行使による額面5.50ユーロの現金による276,387株の発行
(c) 2025年12月31日現在、自己株式数は合計で1,443,490株であった(エア・リキード・エス・エーが保有する1,154,045株を含む)。当事業年度において自己株式に影響を与えた変動は以下のとおりである。
-24,800株(処分控除後)の株式取得
-業績連動株式の一部として396,991株の割当て
(d) アルゼンチン及びトルコのハイパーインフレの影響が含まれている。
2024****年1月1日から同年12月31日までの連結株主資本等変動計算書
| (百万ユーロ) | 資本金 | 資本 剰余金 | 利益 剰余金(純利益を含む) | 金融商品の時価評価 | 為替換算調整勘定 | 自己株式 | 株主資本 | 少数株主持分 | 資本合計 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2024年1月1日現在の株主資本及び少数株主持分 | 2,884.8 | 2,447.7 | 20,495.4 | (217.3) | (1,136.4) | (152.7) | 24,321.5 | 721.6 | 25,043.1 |
| 当期純利益 | 3,306.1 | 3,306.1 | 133.9 | 3,440.0 | |||||
| 資本に直接認識される項目 | 2.4 | 25.9 | 895.6 | 923.9 | 16.8 | 940.7 | |||
| 純利益及び資本に直接認識される損益(a) | 3,308.5 | 25.9 | 895.6 | 4,230.0 | 150.7 | 4,380.7 | |||
| 資本金の増減 | 2.5 | 27.6 | 30.1 | 4.2 | 34.3 | ||||
| 無償株式割当 | 296.5 | (296.5) | — | — | |||||
| 配当 | (1,719.6) | (1,719.6) | (90.3) | (1,809.9) | |||||
| 自己株式の消却 | (3.4) | (114.7) | 118.1 | — | — | ||||
| 自己株式の取得及び処分 | (230.4) | (230.4) | (230.4) | ||||||
| 株式報酬 | (0.4) | 40.2 | 39.8 | 39.8 | |||||
| 資本に直接認識される少数株主取引 | (10.3) | (10.3) | (24.9) | (35.2) | |||||
| その他(b) | 198.9 | — | 198.9 | 198.9 | |||||
| 2024年12月31日現在の株主資本及び少数株主持分 | 3,180.4 | 2,064.1 | 22,272.5 | (191.4) | (240.8) | (224.8) | 26,860.0 | 761.3 | 27,621.3 |
(a) 純利益及び直接資本繰入損益計算書を参照。
(b) アルゼンチン及びトルコのハイパーインフレの影響が含まれている。
①【会計原則】
連結財務諸表作成の基礎(会計処理方法)
パリ証券取引所に上場しているため、2002年7月19日付の欧州委員会及び理事会規則1606/2002に準拠して、エア・リキード・グループの2025年12月31日現在の連結財務諸表は、欧州連合が2025年12月31日現在で承認するIFRS(国際財務報告基準)に従って作成されている。欧州連合承認の国際財務報告基準と解釈指針はウェブサイト(https://finance.ec.europa.eu/regulation-and-supervision/financial-services-legislation/implementing-and-delegated-acts/international-accounting-standards-regulation\_en)でも閲覧できる。
2025年12月31日現在で、IASBが発表している新しい改訂及び解釈指針のうち、欧州連合においてまだ承認されておらず、その適用が強制されていないものはないと見込んでいる。
当財務諸表は100万ユーロ単位で表示されている。当財務諸表は2026年2月19日に開催される取締役会及び2026年5月5日に開催される株主総会で承認を受ける。
新規のIFRS及び解釈
1. 2025年1月1日現在において適用が強制される、欧州連合によって承認された基準、解釈指針及び改正
以下の文書は当グループに重要な影響を与えるものではない。
・ IAS第21号「外国為替レート変動の影響:交換可能性の欠如」の改訂、(「2023年8月15日公表)
2. 2025年における適用が任意とされている、欧州連合によって承認された基準、解釈指針及び改正
2025年12月31日に終了する事業年度のグループ財務諸表には、2025年1月1日以降に開始する事業年度からの適用が強制される、2025年12月31日現在欧州連合が承認している基準、解釈及び修正による潜在的な影響は含まれていない。
上記に該当する文書は、下記のとおりである。
・ IFRS第9号及びIFRS第7号「金融商品の分類及び測定」」の改訂2024年5月30日公表)
・ IFRS年次改善第11巻(2024年7月18日公表)
・ IFRS第9号及びIFRS第7号「自然条件依存型電力に関連する契約」の改訂 (2024年12月18日公表)
これらの文書が当グループの財務諸表に与える影響については、現在分析中である。
3. 欧州連合による未承認の基準、解釈及び改正
IASBが2025年12月31日に公表し、欧州連合による承認が未だなされていない文書の財務諸表に対する影響は、現在分析中である。これらの文書は以下のとおりである。
・ IFRS第18号「財務諸表の表示及び開示」(2024年4月9日公表)
・ IAS第21号「外国為替レート変動の影響:超インフレ通貨での表示への換算」の改訂 (2025年11月13日公表)
また、以下の文書は当グループに適用されない。
・ IFRS第19号「説明責任のない子会社:開示」及びIFRS第19号「説明責任のない子会社:開示」の改訂(それぞれ2024年5月9日公表、2025年8月21日公表)
見積り及び仮定の使用
当財務諸表の作成のため、当グループ又は子会社の経営者は、連結貸借対照表に記録された資産及び負債の帳簿価額、並びにこれらの資産及び負債に関連する注記、損益計算書上の利益及び費用項目、並びに同一事業年度に関連するコミットメントに重要な影響を与える会計上の見積りの作成及び一定の仮定の使用を要求されている。これらの見積りや仮定が実際と異なる場合、貸借対照表、損益計算書及びキャッシュ・フロー計算書は、実際と異なる可能性がある。最も重要な見積り及び仮定は、以下の項目に関わる。
・ 減価償却費の計算に使用される有形固定資産の見積耐用年数
これらの見積りは、会計方針の5.e.に記載している。
・ 退職給付債務の計算に使用される仮定、すなわち保険数理の仮定(退職率、死亡率、退職年齢、給与上昇率など)及び債務の現在価値の計算に使われる割引率
これらについては、会計方針の9.b.と注記23.3.に記載している。
・ 資産の減損テストに関連する見積り及び仮定
これらについては、会計方針の5.f.と注記10.2.に記載している。
・ 注記15.1.に開示されている貸借対照表上の繰延税金資産を回収するために使用される方法
・ 注記22に開示されている貸借対照表上の偶発損失引当金繰入額決定に係るリスクの測定
・ 会計方針の3.b.に記載のあるエンジニアリング&テクノロジーにおけるエンジニアリング&建設契約の利益の会計処理方法
・ リース債務を評価するために保持した仮定(IFRS第16号)は、リース期間と割引率である。これらは、会計方針の5.g.に記載されている。
また、気候変動リスクは重要であるものの、2025年12月31日時点の当グループの連結財務諸表に与える定量的影響は重要ではないと考えている。当グループは、これらのリスクを決算の仮定において考慮し、財務諸表に潜在的な影響を織り込んでいる。特に、決算手続特に減価償却費の算定に使用される有形固定資産の耐用年数の分析、資産の減損テストに関する見積りや仮定の見直し、偶発損失引当金の金額を決定するためのリスク評価が行われる際には、気候変動リスクが考慮される。当グループの気候変動リスクの考慮については、特に注記31に記載されている。
会計方針
当連結財務諸表は、IAS第32号/IFRS第9号に従って、損益やその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産及び金融負債を除き、取得原価主義に基づいて作成されている。公正価値ヘッジの対象にされたその他の資産及び負債の帳簿価額は、ヘッジされたリスクに起因する公正価値の変動を考慮して調整されている。さらに、公正性、継続事業、及び整合性の原則が適用されている。
1. 連結方法
使用している連結方法は以下のとおりである。
・ 子会社については全部連結
・ 共同事業の資産・負債・費用及び売上高は当該主体の当グループ持分に関して認識
・ ジョイント・ベンチャー、関連会社については持分法
a. 子会社
エア・リキード・グループが排他的な支配権を行使している全ての子会社及び企業は、全部連結されている。支配権が存するのは以下の全ての条件が満たされた場合である。
・ 当グループが現に関連する事業について指示を与えることができる権利を有している場合
・ 当グループの当該主体への関与による変動リターンにさらされ、またそれに対する権利を有する場合
・ 当グループがリターンの額に影響を及ぼすために権限を行使することができる場合
会社は、当グループが支配権を獲得した日から、その支配権が当グループ外に移転される日まで全部連結される。
b. ジョイント・オペレーション
ジョイント・オペレーションは、当グループが契約上の合意により他の一つ又は複数のパートナーと共同支配権を有しているジョイント・アレンジメント(共同支配の取決め)であり、当該事業体の資産に対する権利を与え、及び負債に対する義務を負うものである。
ジョイント・オペレーションの資産、負債、費用及び売上高は、当該事業体の当社持分に関して認識される。これらの金額は、被連結事業体の財務諸表の場合と同様に財務諸表の各項目に計上される。
c. ジョイント・ベンチャー
ジョイント・ベンチャーは、当グループが契約上の合意によって1つ又は複数のパートナーとともに共同支配権を有するジョイント・アレンジメント(共同支配の取決め)であり、当該事業体の純資産に対する権利を与えるものである。
ジョイント・ベンチャーは持分法により連結される。この場合、当該事業体の純資産及び純利益は、当グループによって保有されている持分に比例して認識される。
ジョイント・ベンチャーに対する投資を行う場合、同事業体に関するのれんは投資の帳簿価額の中に含まれる。
d. 関連会社
関連会社は、当グループが重要な影響を有する(一般的に、20%以上の持分を有する)が、支配権を有していない投資先である。
関連会社は、持分法を用いて連結される。この場合、当該会社の純資産及び純利益は当グループによって保有されている持分に比例して認識される。
関連会社に対する投資を行う場合、関連会社に関するのれんは投資の帳簿価額の中に含まれる。
子会社、ジョイント・アレンジメント及び関連会社の財務諸表は、12月31日時点において準備される。
2. 機能通貨がユーロでない会社の外貨建取引及び残高並びに財務諸表の換算
事業体の機能通貨は、当該事業体が営業を行っている主な経済的環境における通貨である。多くの場合には、機能通貨は地域通貨に対応するが、ある通貨が当該事業体によって行われる主要取引の通貨を表しており、それが経済環境を忠実に表すものであることが確実である場合には、地域通貨以外の機能通貨が使用されることがある。外貨建取引は以下の原則に従って認識されている。
・ 外貨建取引は、各社が取引日の為替レートで機能通貨に換算する。
・ 期末日現在、外貨建金銭資産及び負債は、期末日の為替レートで機能通貨に換算される。
商取引に関する為替差額は営業利益で認識される。金融投資については、外国企業に対する純投資のヘッジから生じる、当該純投資が連結の範囲から除外されるまで資本に直接認識される為替差損益を除き、為替差損益を金融収益及び金融費用に認識する。
当グループの連結財務諸表の表示通貨はユーロである。貸借対照表基準日において、機能通貨がユーロ以外である会社の財務諸表は以下のようにユーロに換算されている。
・ 貸借対照表項目については、公的な期末為替レートで
・ 損益計算書及びキャッシュ・フロー計算書項目については、それぞれの通貨について、期中平均為替レートで
為替差額は、資本の部の為替換算調整勘定に計上される。
機能通貨がユーロ以外である会社の財務諸表をユーロに換算することによって生じた2004年1月1日時点における累積為替換算差損益は、資本の部の独立項目として計上されている。
子会社を連結の対象から除外する場合、機能通貨がユーロでない会社の累積為替差額は損益計算書に認識される。
3. 収益の認識
収益認識の分析は、以下のような当グループの事業に基づいている。
a. ガス&サービス
ガスの供給は、輸送コストを抑えるために現地生産を伴う。そのため、エア・リキードのガス生産ユニットは世界中に立地しており、複数の種類の顧客と産業に対して必要な数量とサービスを提供できる。
(ラージ・インダストリー事業)
この事業は、15年以上にわたり、限られた顧客数で大量のガスを供給するという特徴がある。当グループは、長期にわたり継続的なサービスを通じて、高い信頼性とガス供給の安定性を確保している。その見返りとして、これらの契約には、確定購入数量条項(テイク・オア・ペイ)による最低購入数量の保証が含まれる。供給するガスの量のため、エア・リキードは、ラージ・インダストリー事業の顧客に対して、専用プラントやネットワークで接続された別のプラントからパイプラインで直接的に供給している。
これらのプラントは、一般に生産資産を当グループの他のビジネスライン、特に工業事業ビジネスラインと共有する形で行われる重要な投資を表し、また、パイプラインネットワークに接続された工業地帯で顧客にサービスを提供することを目的としたものである。この場合、IFRS第16号「リース」の下では資産として特定されず、顧客との契約にはリース契約は含まれない。顧客のガス供給が専用プラントからのものである場合、当グループは、IFRS第16号「リース」の下での当該プラントの使用を決定することができる。したがって、ラージ・インダストリー事業向けガス供給契約にはリースは含まれていない。
ラージ・インダストリー事業の顧客は、ガス供給サービス又はその利用可能性から与えられる便益を受け取り、同時に消費する。その結果、これらの契約に関連する収益の認識は、ガスが供給された時点又は確保された供給能力が利用可能になった時に発生する。
(工業事業、ヘルスケア事業、エレクトロニクス事業)
工業事業は、主にラージ・インダストリー事業のガス生産能力に依存しており、その後、独自の物流体制を構築している。この事業は、幅広い顧客・市場を特徴としている。契約期間は、シリンダー及び液体ガス供給の場合は最長5年、小型オンサイトガスジェネレーターの場合は最長15年である。
ヘルスケア事業は、病院や在宅患者向けに医療用ガス、サービス、医療機器を提供している。また、化粧品、医薬品、ワクチンの市場向けにヘルスケア事業の特殊素材を生産・販売している。
エレクトロニクス事業は、(i)長期契約及び確定購入数量条項(テイク・オア・ペイ)による最低購入数量の保証に基づくビジネスモデルのキャリアガス、(ii)純ガス又は混合ガスの形態のエレクトロニクス特殊材料、(iii)先端材料、(iv)設備・据付工事、及び(v)オンサイトのクオリティ・コントロール及び流動性マネジメント・サービスを顧客に提供する。
エア・リキードは、安全とクオリティの観点から、自社機器(小型発電機、貯蔵槽、シリンダー)でガスを供給している。顧客は、IFRS第16号「リース」の下における特定資産に対する支配権を有していない。したがって、これらの事業に係るガス供給契約はリースを含んでおらず、収益の認識は以下の際に発生する。
・ ガス供給:収益の認識は、ガスが供給された時又は予定された供給能力が利用可能になった時に発生する。
・ 標準設備及び材料の販売:収益の認識は、これらの設備及び材料の支配が移転された時に発生し、通常、納入時に発生する。
・ 特定の設備・据付工事:支配の移転は建設・構築作業により、時間の経過とともに発生する。その結果、収益の認識は、貸借対照表の基準日における契約の完了段階に応じて発生する。
・ サービス:収益認識は、サービスが提供されたときに発生する。
b. エンジニアリング&テクノロジー
エンジニアリング&テクノロジーにおいて、エア・リキードは、
・ 当グループ及びグループ外顧客のために、世界中の製造ユニットを設計・構築する契約を締結する。設備の支配は、設計・施工に伴い順次移管される。したがって、収益の認識は、貸借対照表の基準日における契約の完了段階に応じて行われる。関連する費用は、発生時に費用として認識される。完了段階は、見積もられた総契約費用の合計額に対する貸借対照表の基準日に発生していた契約費用の比率を用いて評価される。各段階で実現した利益は、信頼性のある測定が可能な場合にのみ認識される。契約費用の総額が契約収益の総額を上回る蓋然性がある場合、予想損失は直ちに有償契約の引当金として認識される。
・ 主にエネルギー転換に関連する市場、並びに宇宙及び極低温技術市場など、グローバルなアプローチを必要とする特定の新規市場に注力している。その性質上、この市場における収益認識の分析は、履行義務の性質に応じてケースバイケースで行われる。
4. 税金
a. 法人税費用
税率は、当グループの会社が事業を行っている各国における事業年度の最終日において、施行されていたか実質的に施行されている税務規則を基礎として計算される。
当グループの適用税率は、各国において計上された収益により加重した、各国の理論的な税率の平均に対応するものである。
平均実効税率は、以下のように計算される。
(当期及び繰延法人税費用)/(税引き前純利益-(持分法適用関連会社利益、受取配当及び非継続事業純利益))
b. 繰延税金
繰延税金は、資産及び負債の帳簿価額とそれらの税務上の帳簿価額(但し、損金不算入ののれん及びIAS第12号に規定されているその他の例外は除く)の間の全ての一時差異、繰越税務損失及び未使用税額控除について認識される。課税所得の減額効果が将来の事業年度において実現する蓋然性がきわめて高い場合、全ての将来減算一時差異に対して繰延税金資産が認識される。
繰延税金は、一時差異が解消される時点で適用され、期末日時点において現地の規制で認められている税率で算定されている。負債法が適用されており、税率の変動は、直接資本に認識される項目に関連するものを除き、損益計算書に計上される。
繰延税金資産を繰延税金負債と相殺する法的強制力のある権利が存在し、かつ、これらが同一の税務当局によって賦課徴収される法人税と関連したものである場合には、これらは相殺される。繰延税金は割り引かれない。
繰延税金は、主として、税務的、経済的な資産の減損、従業員給付引当金などの税務上直ちに控除されない欠損金や引当金の繰延べとの間の一時差異によるものである。
当グループが予見しうる将来において子会社が取得した利益を配分しないと決定したときは、繰延税金負債は認識されない。
5. 固定資産
a. のれん及び企業結合
2010年1月1日より、当グループは、改訂IFRS第3号を適用している。
当グループが被取得企業の支配を獲得した場合、改訂IFRS第3号に従い、取得日における取得法で企業結合を計上する。
・ 識別可能な取得資産と引受負債及び偶発債務は公正価値で測定される。
・ 被取得企業における少数株主持分は、被取得企業の識別可能な純資産の少数株主の持分相当額として、又は公正価値によって測定される。このオプションはケースバイケースで適用される。
・ 引き渡した対価及び条件付対価は公正価値で測定される。
・ 取得関連費用は発生した期のその他の営業費用として計上される。
段階的に達成された企業結合において、それ以前に保有していた被取得企業における株式持分は取得日における公正価値で測定される。この結果として生じた損益は利益又は損失として認識される。
企業結合の測定期間は取得日において12か月を超えてはならない。測定期間後、引き渡した対価、及び取得資産並びに引受負債の公正価値に対する調整は、損益計算書で認識される。
のれんは、連結貸借対照表上、取得日に以下の差額として認識される。
・ 引き渡した対価に被取得企業の少数株主持分の金額及びそれ以前に保有していた株式持分の公正価値を加えた金額
・ 識別可能な取得資産と引受負債及び偶発債務の公正価値
負ののれんは、損益を通じて直ちに認識される。
のれんは、企業結合のシナジーにより利益を生じる資金生成単位(CGUs)又はCGUsのグループに配分される。その後、のれんは償却されず、会計方針5.f.に記載された方法で、1年に1回(減損の兆候がある場合にはそれ以上の頻度で)減損テストが行われる。
また、IFRSへの移行時にIFRS第1号で提示された免除規定に従って、当グループは2004年1月1日より前に行われた買収について、IFRS第3号「企業結合」を遡及適用しないことを決定した。
b. 研究開発費
研究開発費には、新規の又は改良された製品又は工程の開発、製作、立ち上げ及び商業化を保証するのに必要な科学的、技術的活動、特許業務、教育及び訓練に関連する全ての費用が含まれている。
IAS第38号に基づき、開発費用は、当グループが以下の基準を全て満たすことができる場合に、かつその場合に限り、資産計上しなければならない。
・ プロジェクトが明らかに識別可能であり、関連費用は区別され信頼性をもってモニタリングされていること
・ プロジェクトを完成させる技術的・産業的な実行可能性が実証されていること
・ プロジェクトを完成させ、それによって生まれた無形資産を使用又は販売する明確な意図が存在すること
・ 当グループがプロジェクトから生じる無形資産を使用又は販売する能力を有していること
・ 当グループが無形資産が将来の経済的便益を生み出す仕組みを実証できること
・ 当グループがプロジェクトを完了させ、無形資産を使用又は販売するために十分な技術的資源、経済的資源及びその他の資源を有していること
これらの基準が満たされない場合、当グループによって発生した開発費は発生時に費用として認識される。
研究費は発生時に費用として認識される。
c. 内部創出の無形資産
内部創出の無形資産は、主として情報管理システムの開発費を含んでいる。これらの費用は、IAS第38号で規定された上記の基準を満たしている場合にのみ資産計上される。
開発段階から生じる管理情報システムの内部的及び外部的開発費用は資産計上されている。重要な維持改良費は、これらが資産計上基準を明確に満たしている場合には資産の当初原価に加算される。
内部創出無形資産は、耐用年数にわたって償却される。
d. その他の無形固定資産
その他の無形資産には、ソフトウェア、ライセンス、及び知的財産権など、別個に取得された無形資産が含まれる。これらには、被取得企業の取得時に、IFRS第3号「企業結合」に従って評価された技術、ブランド及び顧客契約も含まれる。
一定のブランドを除き、無形固定資産は耐用年数にわたって定額法で償却される。更新の蓋然性を考慮して、情報管理システムは通常5年から8年、顧客契約は最大25年にわたって償却される。
e. 有形固定資産
土地、建物及び設備は減価償却累計額及び累積減損損失控除後の取得原価で計上されている。
強制的な撤去又は資産除去の場合、関係する費用は関連資産の当初原価に加算され、これらの費用をカバーするために引当金が認識される。
有形固定資産の建設の資金調達のための借入金にかかる利息費用は、12か月以上にわたる大規模な産業プロジェクトの資金調達に関連する場合、建設期間中は資産計上される。
有形固定資産項目の一部が異なる耐用年数を有する場合、それらは別個に会計処理され、それぞれの耐用年数にわたって減価償却される。
修繕維持費用は、発生時に費用として認識される。大規模な調査及び分解検査費用は、当該資産の別個の構成要素として認識され、2つの大規模分解検査の間の期間にわたって減価償却される。
減価償却は以下の見積耐用年数にわたって、定額法により計算されている。
・ 建物 20-30年
・ シリンダー 10-40年
・ 生産ユニット 15-20年
・ パイプライン 15-35年
・ その他の設備 5-30年
見積耐用年数は定期的に検証され、見積の変更は見積変更日から予め計上される。
土地は減価償却されない。
f. 資産の減損
当グループは資産の減損の兆候があるかどうかを定期的に評価している。このような兆候が存在する場合、売却費用控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い方として定義される回収可能価額よりも、資産の帳簿価額が大きいかどうかについて、資産に対して減損テストを実施する。
減損テストは、のれん及び耐用年数が確定していない無形資産について1年に1回計画的に実施される。
独立したキャッシュ・フローを概ね生成しない資産については、当該資産が帰属する資金生成単位(CGUs)に従って分類される。資金生成単位は他の資産又は資産グループから独立したキャッシュ・フローを生成する識別可能な資産グループである。これらは主として地理的基礎に基づいて、当グループが営業している市場を参照して決定される。
実務的には、当グループは以下の方針に準じて、各レベルで減損テストを実施する。
・ 専用工場、現地工場は個別的にテストする。
・ パイプライン及びパイプラインを提供するプラントは、ネットワーク・レベルでテストする。
・ 液化ガス及び水素/一酸化炭素プラントは、当該プラントの顧客市場に従って、グループ化する。
・ その他の資産は資金生成単位又は資金生成単位グループに配分される。
ガス&サービスの資金生成単位は、地理的な基準により決定される。エンジニアリング&テクノロジーは世界規模で運営されている。
のれんは、当グループがモニタリングしているのれんのレベルを示し、企業結合シナジーから利益を得る資金生成単位又は資金生成単位グループに配分される。
のれんを構成する資金生成単位又は資金生成単位グループに対する減損テストにあたって、当グループはマルチプル法を使用している。売上高及び償却前経常的営業利益の倍率は、エア・リキード・グループの株式市場の評価に基づいている。これらの倍率は、当グループと事業内容が類似している企業の倍率と比較可能である。得られた倍率は、各CGUの総額(収益及び償却前経常的営業利益)に適用される。マルチプル法を用いて得られた公正価値が、資金生成単位又は資金生成単位グループの正味帳簿価額を著しく上回らない場合、当グループは、DCF法を使用して資金生成単位又は資金生成単位グループの回収可能価額を確認する。
のれんを含まない資金生成単位又は資金生成単位のグループ、及び個別に価値が検証された資産については、当グループはDCF法を用いて回収可能価額を算出している。
将来の資産生成単位又は資産生成単位グループのキャッシュ・フローの見積もりにおいて考慮される成長率は、検討対象の資金生成単位の事業及び地理的な位置に基づいて決定される。
当グループは、全ての減損テスト(のれんや個別テスト対象資産を含む)を実施する際に、気候変動リスクやエネルギー転換がもたらす課題と機会を考慮している。
有形固定資産の使用価値を評価する際に、見積将来キャッシュ・フローは現在価値に割り引かれる。キャッシュ・フローは、顧客との契約期間及び技術の陳腐化を考慮に入れて、資産の見積使用期間にわたって測定される。
割引率は、資産の性質、場所及び顧客市場によって異なる。割引率は、工業的及び商業的リスクと信用条件を考慮して、投資から得られると予想される収益率の最低水準に従って決定される。
資産、資金生成単位又は資金生成単位グループの回収可能価額が帳簿価額よりも低い場合、直ちに減損損失が損益を通じて認識される。資金生成単位の減損損失は、最初にのれんに配分される。
回収可能価額が再び帳簿価額より高くなった場合、過去に認識された減損損失は損益計算書上で戻し入れられるが、のれんとして認識された減損損失は戻し入れることができない。
g. リース
当グループは、事業において、主に以下の資産について借手としてリース契約を締結している。
・ 土地、建物、事務所
・ 輸送用設備、特に工業事業及びヘルスケア事業ビジネスラインのための輸送用設備。
・ その他の設備
IFRS第16号によると、リースを含むいくつかの契約(但し後述の例外を除く)は借手の貸借対照表上で、リース資産の使用権及び将来のリース料支払債務の現在価値に関連するリース負債(リース債務)を認識することになる。
契約は、一定期間、特定の資産の利用を管理する権利を対価と引き換えに当グループに付与するものであれば、リースであるか、又はリースを含むとされる。特に、当グループは、使用期間を通じて車両を代替する実質的な権利、又は経路の選択、運転手、整備方針の管理を供給者に付与する運送契約は、サービス契約であり、IFRS第16号におけるリースの定義には該当しないと結論付けている。
また、当グループは、以下のリース契約については、以下の免除規定を利用し、IFRS第16号を適用しないこととしている。
・ リース期間が12か月以下のリース契約。
・ 原資産の価値が低いリース契約。特に事務設備、電話設備、コンピュータ及び小型IT設備のリース契約。データセンターのリース契約は、その都度分析している。
使用権及びリース債務を算定するために使用される主な仮定は以下のとおりである。
・ リース期間。リース期間は、借手が原資産を使用する権利を有する解約不能な期間と、当グループがそのようなオプションを行使するか(延長オプションについて)行使しないか(解約オプションについて)が合理的に確実である場合に、リースを延長又は解約するオプションでカバーされている期間に対応している。オプションが行使されるか否かの確率は、契約条件、規制環境、原資産の性質(特に技術的特殊性や戦略的立地)に応じて、契約の種類によって、又はケースバイケースで決定される。
・ リース債務の評価に使用される割引率。使用される割引率は、借手の借入利率の増分である。当グループ内の資金調達は集中的に行われているため、各子会社は、リース契約の通貨、国、リース期間に応じて、返済プロファイルを考慮して決定されたグループ内借入金利に対応している(リース債務の線形償却)。
単一の取引から生じる資産の使用権及びリース債務に係る繰延税金は、純額で認識している。
6. 金融商品
a. 非連結会社に対する投資
持分法を適用していない非連結会社に対する投資は、「公正価値で測定される資産」として分類されている。これらの投資は売買目的で保有されておらず、その結果、当グループは当初認識時に、公正価値の変動後にその他の包括利益に計上する取消不能の選択を行うことができる。この場合、公正価値の変動額はこれらの投資の処分時に純損益に組み替えられない。
これらの投資からの配当は、その他の金融収益に計上される。
b. 売掛金及びその他の債権
売掛金及びその他の債権は、当初認識時に取引価格で測定し、その後、予想信用損失モデルに基づく減損損失控除後の償却原価で測定している。予想信用損失は、過去の損失率を実際の観察可能な条件に応じて調整したものを用いたマトリックスに基づいて推計される。予想信用損失は、決算日ごとに以下の方法により見積もっている。
・ 売上債権を、特に当グループの事業、顧客の種類と規模、及び市場セグメントに応じて、適切なグループに分類すること。
・ 各売掛金グループ内の年齢帯の決定。
・ 過去の事業年度において実現された損失を年齢帯ごとに識別すること。
・ 特に現在の市場状況、顧客の種類、当グループの信用管理慣行及び個々の顧客に関する特定の情報を考慮するために、実際の観察可能な条件に応じて、必要に応じ過去の損失率を調整すること。
・ 売掛金の各年齢帯にこのように見積もられた損失率の適用。
年度末に進行中の全ての工事契約につき、顧客から又は顧客に対して支払われる総額は、費用の合計及び工事進行基準の割合を用いて認識された追加利益をもって表示され、工事進行基準の割合を用いて記録される総売上高から前受金を控除したものに等しい。顧客により支払われるべき金額は売掛金により表示される。顧客に対して支払う金額は、その他の流動負債として表示される。
(売掛金の譲渡)
売掛金の譲渡は、以下の場合に、貸借対照表から消去される。
・ 当グループがこれらの債権に関連するキャッシュ・フローを受領する契約上の権利を譲受人に譲渡する場合
・ 当グループがこれらの債権に関連するキャッシュ・フローを受領する契約上の権利を留保するものの、累積的に以下の3つの条件を満たす方法でキャッシュ・フローを譲受人に支払う契約上の義務を負う場合
- 当グループは、該当金額について回収しない限り、譲受人に支払う義務はない。
- 当グループは、譲受人にキャッシュ・フローを支払う義務の担保として以外に、売掛金を売却又は担保に供することを禁止されている。
- 当グループは、譲受人に代わって回収したキャッシュ・フローを大きな遅滞なく送金する義務を負う。
・ 当グループが、売掛金の全ての実質的リスク及び所有権、特に信用リスク及び滞納リスクを移転した場合
c. 現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、現金残高、当座預金及び容易に現金に転換することができ価値の変動リスクが少ない短期的で流動性が高い投資で構成されている。短期投資は、一時的な投資であって3か月以内に期限が到来し(コマーシャル・ペーパー、譲渡性預金、MMF)、最低長期格付けがA2(Moody’s)以上であるものを含む。3か月以内に償還期限が到来する現金投資については、価値の変動に対するリスクがごくわずかであるので、おおよそ公正価値であると考えられる取得原価(未収利息を含む)によって認識される。
d. 買掛金
当グループは、サプライヤーへの請求書の支払の処理を促進するために、提携銀行とサプライヤー支払サービス契約を設定する。当グループは、主要な契約について、買掛金の適格性を維持することを可能にする特徴を分析する。特に、以下の特性が満たされていることを確認している。
・ 融資当事者と元のサプライヤーとの間で、基礎となる支払条件の逸脱がないこと。つまり、当グループは、請求書の支払期間内に銀行に支払わなければならない。
・ エア・リキードとサプライヤーとの間の支払条件の交渉は、支払サービス契約に関する交渉とは独立して行われなければならない。特に、支払条件は、供給者が銀行に対する債権譲渡を行うことができることを条件としないものとする。
・ サプライヤーとの契約条件は、支払期間の延長に明示的に関連付けられないものとする。特定のサプライヤーとの支払条件は均一でなければならず、ある請求書が支払プログラムの適用を受けるかどうかとは無関係とする。
・ 支払条件は、通常の業界やセクターの規範及び地域の規制の範囲内にとどまるべきであり、支払サービス契約への参加と結び付くべきではない。
・ プログラムの構造は、エア・リキードが銀行やサプライヤーに支払う利子や手数料といった負債に類似した特徴を避けるべきである。
・ エア・リキードが支払うべき請求書の資金調達を事前に手配する三者協定(エア・リキード、サプライヤー及び銀行間)は、回避されるものとする。
e. 短期及び長期借入金
借入金には、社債及びその他の銀行借入金(少数株主に付与されたプット・オプションを含む)が含まれる。
当初、借入金は、受領した純収入額に対応する公正価値で認識される。各貸借対照表基準日において、借入金は、少数株主に付与されたプット・オプションを除き、実効金利(EIR)法を用いて償却原価で測定される。この手法により、借入費用は負債の借入元本から当初に控除された償還プレミアム及び発行費用を(実効金利法による計算の一部に)含む。
満期が1年以内の借入金は、短期借入金に分類される。
金利スワップによってヘッジされている借入金はヘッジ会計の基準に従って認識されている。
少数株主に付与されたプット・オプション
少数株主に付与されたプット・オプションは、オプションの見積行使価格で借入金として計上される。子会社の純資産に対する持分は「少数株主持分」から「借入金」に再分類される。IFRSには特定のガイダンスがないため、当グループは、付与されたオプションの行使価格と借入金に再分類された少数株主持分の価値との差額の対価を株主資本における借入金-グループ持分に認識することを選択した。損益における少数株主持分は変わらず、現在の所有持分を反映している。
f. デリバティブ資産及び負債
デリバティブ金融商品は、当グループの財務活動及び営業活動に関連する為替リスク、金利リスク及び商品価格リスクに対するエクスポージャーを管理するために利用されている。これらの取引全てについて、当グループはヘッジ会計を適用しており、取引の開始時に、ヘッジ関係の種類、ヘッジ手段、ヘッジ対象の性質及び条件を文書化している。
ヘッジ会計の適用は、以下のような結果をもたらす。
・ 既存の資産及び負債のための公正価値ヘッジ:ヘッジ対象のヘッジ部分は貸借対照表上公正価値で計上される。公正価値の変動は損益計算書に計上され、それらはヘッジ手段の公正価値の変動との一致により相殺される(プレミアム/割引の影響を除く)。
・ 将来キャッシュ・フロー・ヘッジ:ヘッジ対象の公正価値の変動が貸借対照表に認識されないのに対して、ヘッジ手段の公正価値の変動の実質的部分は、資本の部(後に損益計算書に再分類される可能性のある項目)に直接計上される。有効性が否定された部分の公正価値の変動は、その他の金融収入又は金融費用に計上される。ヘッジ対象取引が発生し計上された時、その他の包括利益に計上された金額は、損益計算書に振り替えられる。
・ 在外事業体に対する純投資のヘッジ:デリバティブ商品の公正価値の変動のうち有効部分は、資本の部の為替換算積立金に直接認識される損益として認識される。公正価値の変動の有効性が否定される部分は、「その他金融収入及び金融費用」に認識される。純投資のヘッジ対象となる在外事業体が売却される場合、当初為替換算積立金に認識された損失又は利益は、発生した損益の範囲内で、損益に計上される。
しかし、限定的な状況において、一定の種類のデリバティブはヘッジ会計の適用条件を満たさない。これらは、金融資産と金融負債の相殺仕訳とともに「その他金融収入及び金融費用」を通じて公正価値で計上される。
資産、負債及びデリバティブの公正価値は、貸借対照表基準日の市場で観察可能なインプットに基づいている。
7. 売却目的保有の資産及び非継続事業
a. 売却目的に分類される資産
固定資産又は処分グループは、その帳簿価額が主として継続的な使用よりも売却取引を通じて回収される予定である場合には、「売却目的保有」として分類される。この分類は、当グループが売却することを決定し、売却の蓋然性が高い場合に、適用される。売却目的の資産及び負債は、貸借対照表上異なる行において表示される。これらの資産は、帳簿価額又は公正価値から売却費用を控除したもののうち低い方として測定される。
売却目的保有として分類された資産は、処分資産又は売却目的保有グループとして分類された日以降、減価償却されない。
子会社の支配権喪失を伴う売却の可能性が高いと考えられる場合、売却後に当グループが当該子会社の残余持分を維持するかどうかにかかわらず、その子会社の全ての資産及び負債は売却目的として分類される。
b. 非継続事業
非継続事業は、当グループが廃止したか、売却目的と分類されたことが明確に認識できる、以下のいずれかに該当するものである。
・ 分離された主要なビジネスライン又は事業運営における地理的範囲であることを表すものであること
・ 分離された主要なビジネスライン又は事業運営における地理的範囲を処分する単一の調整された計画の一部であること
・ 専ら再譲渡する見込みで取得された子会社であること
当該基準が満たされると、非継続事業の損益及びキャッシュ・フローは、各期間における損益計算書及び連結キャッシュ・フロー計算書において分離して表示される。
8. 資本金、剰余金及び自己株式
エア・リキードの資本金は普通株式で構成されている。
利益剰余金には以下の項目が含まれている。
・ 為替換算調整勘定:機能通貨がユーロでない外国子会社の財務諸表をユーロに換算した際に発生する換算差額は、為替換算調整勘定に計上されている。これらの外国子会社の投資ヘッジによる公正価値の差額もこの剰余金に計上している。
・ 金融商品の公正価値:この項目には、デリバティブ取引(会計上未認識であるもの)のヘッジ会計上有効なキャッシュ・フローの部分において累積した公正価値の差額が計上されている。
・ 保険数理上の損益:資産の上限や純繰延税金から発生する全ての保険数理上の損益及び調整は、それぞれが発生した年度の連結剰余金に計上されている。
当グループが自己の株式を買い戻す場合、これらは購入価額で自己株式として区分され、支払われた対価について資本の控除項目として表示される。自己株式の売却による損益は税引後の金額で直接資本に認識される。
さらに、支配権の変動を伴わない少数株主持分の取得又は売却は、当グループ株主との取引と考えられる。したがって、すでに支配している企業の持分割合の増加に対して支払った価額と、取得した資本に対する追加の持分割合の差額が株主資本として認識される。同様に、支配された企業の当グループの持分割合の減少は、損益に影響のない資本取引として計上される。
支配の喪失を伴う持分の処分については、処分日における投資全体に対して計算された公正価値の変動額について売却損益として認識することになる。その他の投資については支配を喪失した日の公正価値によって算定される。
9. 引当金
a. 引当金
以下の場合に、引当金が認識される。
・ 過去の事象の結果、現在当グループが債務を負っている場合
・ 当該債務を返済するために、経済的利益を有する資源の流出が必要となる蓋然性がある場合
・ 当該債務の金額について、信頼できる見積りが可能な場合
リストラクチャリング引当金には、リストラクチャリングから生じる直接的な費用のみが含まれ、当グループが具体的な正式のリストラクチャリング計画を承認し、かつ、そのリストラクチャリングが開始又は公表される期間に認識される。
これらの計画が解雇給付を含む場合、当該解雇給付は以下のいずれかの早い日において認識される。
・ グループが当該給付の提示を撤回できなくなる日
・ リストラクチャリングに関連する引当金が認識された日
契約損失引当金は、当該契約による予想収益が、当該契約に基づく義務を履行するための費用より低い場合に認識される。
b. 年金及び従業員給付
当グループは従業員に対し、現役の従業員と退職者の両方について、さまざまな年金制度、解雇給付、記念日及びその他の退職後給付を提供している。これらの制度の特徴は、各国で適用可能な法律や規制、各子会社の方針によって異なる。
これらの給付は以下の2種類のプランによって保障されている:
・ 確定拠出年金制度
・ 確定給付年金制度
当グループは、確定拠出年金制度と確定給付年金制度の双方を提供している。
確定拠出年金制度は、雇用主の唯一の義務が定期的な拠出金を支払うこととなる制度である。雇用主の義務は計画された拠出金の支払に限定されている。雇用主は、従業員又は退職者に対して将来の給付水準については保証を与えない(方法重視の債務)。1年間の年金費用は事業年度中に支払われた対価と同額であり、雇用主はこれ以上の債務から免除される。これは、「人件費」として計上される。
確定給付年金制度は、雇用主が契約において確定した(多くは従業員の給与及び勤続年数によって決まる)将来の確定給付を保証する制度である(結果重視の債務)。確定給付年金制度は、以下のいずれかによって可能となる。
・ 受取額を管理する特化した基金への資金拠出によって資金調達する。
・ 内部的に管理する。
確定給付年金制度の場合、退職金及び類似する支払義務は、予測単位積増方式に従って、独立した保険数理士が測定している。保険数理計算では主に以下の仮定が考慮されている。すなわち、各国における昇給率、従業員退職率、退職日、平均余命、物価上昇率、適切な割引率である。
確定給付年金制度は一定の場合、外部の年金基金によって保障されている。これらの制度の資産は主として、公正価値で計上される社債や株式に投資されている。
全ての保険数理上の損益や資産枠から生ずるあらゆる調整は、それが生じた期間に認識される。
使用される保険数理上の推定は、当グループが年金制度を有する各国地域での人口動態や経済状態により異なる。
当社の義務及び純利子費用の現在価値を測るために用いられる割引率は、高格付け社債の市場利回りを参照して決定される。そのような社債の十分な市場がない場合には、評価日における同じ満期の国債の市場利回りが使用される。ユーロ地域、米国、英国及びカナダにおいては、割引率は、独立した保険数理士より指定されたツールを用いて決定される。そのデータベースは、最低AA格付けを有する1年から30年満期の数百の異なる社債を用いている。期待される給付によるキャッシュ・フローは、実質的にそれぞれの満期に関連するレートにより割り引かれる。
重要なプランについては、独立した保険数理士によって年に1回評価が実施され、その他のプランについては、新しい計算が必要となるような仮定や重要な事象による変化がない場合には3年に1回評価が実施される。確定給付年金制度に関連する影響は、以下のとおり計上される。
・ サービス費用、事業縮小や清算に関する利益、及びその他の長期給付の保険数理上の損益は「人件費」に認識される。さらに、上限が設けられ、勤続年数に連動し、現役引退時に受益者が会社に勤務していることを要件とする確定給付年金制度のサービス費用は、提供されたサービスにより権利が生じた日から権利が消滅した日までの期間にわたって分配される。
・ 確定給付年金のための純利子費用は「その他金融収益及び金融費用」に計上される。
・ 過去のサービス費用は、当該費用を生んだ年金制度への変更の性質に応じて損益(すなわち、「人件費」又は「その他営業利益及び費用」)に計上される。
・ 確定給付年金制度、退職金、医療制度から生じる保険数理上の損益は「資本に直接認識される損益」に計上される。
10. 国庫補助金
受領した国庫補助金は、一次的に「その他の固定負債」に認識された後、以下の方法により、当該期における損益計算書上の収益として認識される。
・ 資産に関連する国庫補助金の場合、助成金を支給された資産が減価償却されるの と同じ基準。
・ 資産に関連するもの以外の場合、国庫補助金によって補償される予定の費用から控除される。
当グループは、税制度を通じた政府のインセンティブ付与の実質を分析し、その実質と一致する会計上の取扱いを選択する。
11. 株式報酬
当グループは、執行役員及び一定の従業員に対して業績連動株式を付与している。
業績連動株式は付与日の公正価値で測定される。それらの公正価値は、対応する資本の増加とともに、損益計算書において「人件費」として認識され、受領期間を通じて比例的に償却される。
価値算定は、独立した専門家により、それぞれのプランの特徴に適した数学的モデルを用いて行われる。各株式に関連するマーケットにおける取得条件が勘案される。付与日時点において測定された公正価値は、市場の条件の変化によって再評価されることはない。
取得に関する条件は、マーケットの条件を除いては、受け取られるサービスの公正価値に影響しないが、実際に付与された株式の数に応じて認識される費用は調整される。
取得されていない業績連動株式の希薄化効果は、希薄化後1株当たり利益の計算において反映する。
(業績連動株式の割当プラン)
業績連動株式は、譲渡制限に対する割引を考慮しつつ、公正価値によって測定される。譲渡制限のコストは、4年間の譲渡制限のある株式の先物の売却(プランによっては5年間)と、終局的な資本の払戻しを伴う年賦償還貸付による資金を用いた同数の株式のスポット市場での購入によって構成される二段階の仕組みのコストとして測定される。
価値評価は、以下の主な仮定に基づくものである。
・ リスクフリー利子率:プランの発行日における4年物・ゼロクーポンの標準利率(又はプランにより5年)に加え、従業員に対して提案される信用マージン
・ 配当成長率:過去の平均年間成長率に基づく
・ 従業員退職率:プラン受給者と同じ年齢層に属する個人の退職率。退職率は、受給者の退職によって割当てられることのない株式の数を推定するために用いられる。
・ マーケット条件を達成する蓋然性
12. 温室効果ガス排出権割当
一定の国においては、当グループは温室効果ガス排出権割当制度に服している。
特定のIFRS指針がないため、当グループはANC規則2014-03号を適用している。当グループはCO2排出権を価格変動により利益を得る目的で購入してはおらず、それゆえ、各期末日において、
・ CO2排出量が、当グループが保持する割当量より多い場合は、負債が認識される。当該負債は、既に排出されたCO2を賄うのに不足する割当量の費用と一致する。
・ CO2排出量が、当グループが保持する割当量より少ない場合は、資産が認識される。取得原価により評価された将来のCO2の排出を賄うために利用可能な割当量と一致する。
13. 再生可能エネルギー電力購入契約
エネルギー購入に関連する間接排出(スコープ2排出)を削減するため、当グループは、再生可能エネルギーの長期購入契約(Power Purchase Agreement又はPPAs)を締結している。当グループは、これらの契約の主な特徴を分析し、特に以下の点を検証している。
・ IFRS第10/11号について
- エア・リキードは、エネルギーを供給する企業からの変動リターンを受ける権利もなければ、受けることもない。
- エア・リキードは、エネルギーを供給する企業の事業に対して何の権限も持たない。
・ IFRS第16号に関しては、これらの契約に基づきエア・リキードが購入する量は、事業所の電力生産能力の実質的に全てに相当しない部分であるか、又はその場合、当グループはその設計に参加しておらず、資産の使用を支配する権利も有していない。
・ IFRS第9号について
- 事業所/地域の累積消費量が、契約期間中に契約した再生可能エネルギー量を上回る。
- 当グループは、市場価格の変動から生じる利益を得る目的で転売することはない。
- 契約の条項では、現金、他の金融商品、又は金融商品の交換による純額決済は認められておらず、エア・リキードでは同様の契約について、そのような純額決済の慣行はない。
- PPAの価格体系は、エネルギー供給契約の経済的特性やリスクと密接に関連している。
その結果、PPAは自己使用の購入契約に分類され、オフバランスの債務として表示される。
(バーチャル電力購入契約(又はVPPA)に関する考察)
VPPAは、当初公正価値で認識される金融商品(デリバティブ)である。当グループは、以下を確認することにより、キャッシュ・フロー・ヘッジとして適格であると判断している。
・ 原資産、すなわち契約期間全体にわたる電力購入の可能性が高いこと。
・ 期待されるヘッジの有効性。
②【財務情報のプレゼンテーションの基本】
1. セグメント情報
当グループは、ガス&サービス及びエンジニアリング&テクノロジーの事業に従って構築されている。
当グループの主要な最終決定組織は、執行委員会の補佐を受ける経営委員会である。
ガス&サービスは、地域別に組織され、これらの各地域が営業管理及び業績のモニタリングに責任を負う。これらの地域は次のとおりである:
・ 欧州、中東及びアフリカ
・ 南北アメリカ
・ アジア・太平洋
ガス&サービスのセグメントのうち、地域別部門は4つのビジネスライン(ラージ・インダストリー事業、工業事業、ヘルスケア事業及びエレクトロニクス事業)で連携して営業方針及び開発プロジェクトを決定する。
エンジニアリング&テクノロジーは、世界的な規模で個別に管理される。セグメントは
・ 当グループ及び第三者のために産業ガス製造装置の設計、開発及び建造を行う。同セグメントはまた、伝統的・再生可能なそして代替的なエネルギー部門にプラントを設計し、製造している。
・ デジタル革命に関連する科学技術、開発モデル、使用法を活用し、グローバルアプローチを必要とする新しいマーケットに注力している。
研究開発及び本社費用は事業セグメントの定義に該当しないため、調整の項目で表示される。
セグメント情報をカバーする表の中で伝達される情報は、当グループの連結財務諸表に用いられるものと同様の会計方針に従い表示されている。
収益は、製造地域(原産国)の地理的地域によって分析される。
ガス&サービス及びエンジニアリング&テクノロジーの部門間における内部的なセグメントの収益は、内部のセグメント間の売上に対応する。
当グループの営業成績は各セグメントの経常的営業利益を基礎として評価される。
セグメントの資産は、「繰延税金資産」、「関連会社投資」、「固定デリバティブの公正価値(資産)」、「棚卸及び仕掛品」、「売掛金」及び「その他の流動資産」を除く固定資産を含む。
セグメントの負債は「引当金、年金、退職給付金」、「買掛金」、「その他流動負債」及び「その他の固定負債」に該当する。
セグメントの利益、資産及び負債は、合理的な基準により各セグメントへ配分できる場合、各セグメントに直接起因する金額から構成される。
2. 純債務
純債務には、以下のものが含まれる。
・ 会計方針6.e.に規定されている流動及び固定借入金
純債務からは、以下のものが除外される。
・ 会計方針6.c.に規定されている現金及び現金同等物
純債務には、会計方針5.g.に規定されているリース債務は含まれない。
3. 共同支配の取決め又は関連会社の持分についての情報
共同支配の取決めや関連会社における持分の重要性は、以下の基準により評価される。
・ 当グループの経常的営業利益に対する当該事業体の貢献
・ 当グループの純資産におけるそれらの持分の割合
・ それらの持分に対して支払われた配当
4. 少数持分についての情報
少数持分の重要性は、以下の事項の分析により評価される。
・ 当グループの純資産における少数持分の割合
・ 少数持分を有している子会社の当グループの経常的営業利益に対する貢献
・ 少数持分に対して支払われた配当
5. 経常的営業利益
当グループの業績は、ANC勧告No.2020-01に従い決定された経常的営業利益・損失によって測定される。
6. その他の非経常的営業利益及び費用
営業業績の可視性に影響を与える可能性のある重要な非経常的事業は、「その他の非経常的営業利益」及び「その他の非経常的営業費用」として分類されている。これらには以下のものが含まれる場合がある。
・ 事業又は資産グループの処分に係る損益
・ 企業結合に係る取得関連費用及び統合関連費用
・ 経常的営業利益の可視性をゆがめる異常かつ重要な事象のある計画から生じるリストラクチャリング費用
・ 有形固定資産及び無形固定資産のための引当金繰入額並びに減損損失
・ 重大な政治的リスク又は訴訟に関連して発生、又は推定される費用
・ 従業員向け増資に関連する費用
・ 複数の地域に影響を及ぼし、多額の費用を要する規制変更に対応するためのプロジェクトの費用
7. 1株当たり純利益
a. 1株当たり基本利益
1株当たり基本利益は、エア・リキードの普通株主に帰属する純利益(グループ持分)を年間の株式数(エア・リキードにより購入され資本に認識された普通株式を除く)の加重平均により除して計算される。
b. 希薄化後1株当たり利益
希薄化後1株当たり利益は、次の場合に、従業員及び執行役員に対して割り当てられたストックオプションと業績連動株式を考慮に入れる。
・ 発行価格(IFRS第2号に従い年度末における未認識費用によって調整されたもの)がエア・リキードの年間平均株価より下回る場合
・ 業績要件がIAS第33号52条に規定された基準を満たしている場合
③【2025年12月31日に終了する事業年度の連結財務諸表に関する注記】
注記1 重要な事象
2025年度中に重要な事象はなかった。
注記2 セグメント情報
グループ内の組織改編に伴い、2025年第1四半期より、エンジニアリング&建設及びグローバル市場&テクノロジーの業績モニタリングは、単一の事業部門であるエンジニアリング&テクノロジー内で管理されるようになった。ただし、主にバイオガス及び海事関連の特定の事業活動については、現在ガス&サービス内でモニタリングされている。2024年のデータは、これに合わせて修正再表示されている。
2.1. 2025年12月31日に終了した事業年度の損益計算書
| ガス&サービス | エンジニアリング&テクノロジー | 調整 | 合計 | ||||
| 欧州・中東 及び アフリカ | 南北 アメリカ | アジア・ 太平洋 | 小計 | ||||
| (百万ユーロ) | |||||||
| 売上高 | 10,616.3 | 10,351.3 | 5,117.5 | 26,085.1 | 855.1 | 26,940.2 | |
| セグメント間売上高 | 1,096.3 | (1,096.3) | |||||
| 経常的営業利益 | 2,289.5 | 2,426.8 | 1,180.4 | 5,896.7 | 123.6 | (438.7) | 5,581.6 |
| うち減価償却費及び償却費 | (944.1) | (1,004.7) | (505.5) | (2,454.3) | (44.3) | (64.9) | (2,563.5) |
| その他の非経常的営業利益 | 50.8 | ||||||
| その他の非経常的営業費用 | (353.7) | ||||||
| 純金融費用 | (242.5) | ||||||
| その他の金融収益 | 7.8 | ||||||
| その他の金融費用 | (161.5) | ||||||
| 法人所得税 | (1,230.5) | ||||||
| 持分法適用会社からの利益の持分 | (7.6) | ||||||
| 当期利益 | 3,644.4 | ||||||
| 有形固定資産及び無形資産の購入 | (1,457.4) | (1,462.6) | (847.0) | (3,767.0) | (33.9) | (42.5) | (3,843.4) |
研究開発及び持株会社としての活動(コーポレート)は、「調整」欄に記載している。
2.2. 2024年12月31日に終了した事業年度の損益計算書
| ガス&サービス | エンジニアリング&テクノロジー | 調整 | 合計 | ||||
| 欧州・中東 及び アフリカ | 南北 アメリカ | アジア・ 太平洋 | 小計 | ||||
| (百万ユーロ) | |||||||
| 売上高 | 10,484.0 | 10,409.9 | 5,311.9 | 26,205.8 | 852.0 | 27,057.8 | |
| セグメント間売上高 | 891.7 | (891.7) | |||||
| 経常的営業利益 | 2,135.9 | 2,343.5 | 1,177.7 | 5,657.1 | 131.1 | (396.8) | 5,391.4 |
| うち減価償却費及び償却費 | (921.4) | (1,002.4) | (479.3) | (2,403.1) | (48.5) | (53.5) | (2,505.1) |
| その他の非経常的営業利益 | 64.8 | ||||||
| その他の非経常的営業費用 | (510.6) | ||||||
| 純金融費用 | (258.4) | ||||||
| その他の金融収益 | 8.5 | ||||||
| その他の金融費用 | (168.5) | ||||||
| 法人所得税 | (1,086.5) | ||||||
| 持分法適用会社からの利益の持分 | (0.7) | ||||||
| 当期利益 | 3,440.0 | ||||||
| 有形固定資産及び無形資産の購入 | (1,506.2) | (1,203.2) | (811.0) | (3,520.4) | (39.0) | 34.3 | (3,525.1) |
2.3. 2025****年12月31日現在の貸借対照表
| ガス&サービス | エンジニアリング&テクノロジー | 調整 | 合計 | ||||
| 欧州・中東 及び アフリカ | 南北 アメリカ | アジア・ 太平洋 | 小計 | ||||
| (百万ユーロ) | |||||||
| セグメント資産 | 15,198.8 | 21,169.1 | 8,614.9 | 44,982.8 | 1,324.2 | 599.2 | 46,906.2 |
| のれん | 3,487.5 | 8,750.9 | 1,347.8 | 13,586.2 | 237.0 | 0.0 | 13,823.2 |
| 無形資産及び有形固定資産 | 8,951.1 | 10,780.3 | 5,977.5 | 25,708.9 | 356.1 | 407.0 | 26,472.0 |
| その他のセグメント資産 | 2,760.2 | 1,637.9 | 1,289.6 | 5,687.7 | 731.1 | 192.2 | 6,611.0 |
| 非セグメント資産 | 4,627.0 | ||||||
| 売却目的保有資産 | 380.2 | ||||||
| 資産合計 | 51,913.4 | ||||||
| セグメント負債 | 3,615.0 | 1,633.3 | 952.3 | 6,200.6 | 1,808.5 | 429.9 | 8,439.0 |
| 非セグメント負債 | 16,448.0 | ||||||
| 少数株主持分を含む資本 | 26,947.2 | ||||||
| 売却目的保有負債 | 79.2 | ||||||
| 資本及び負債合計 | 51,913.4 | ||||||
2.4. 2024****年12月31日現在の貸借対照表
| ガス&サービス | エンジニアリング&テクノロジー | 調整 | 合計 | ||||
| 欧州・中東及び アフリカ | 南北 アメリカ | アジア・ 太平洋 | 小計 | ||||
| (百万ユーロ) | |||||||
| セグメント資産 | 14,973.5 | 23,227.0 | 8,883.4 | 47,083.9 | 1,439.9 | 684.6 | 49,208.4 |
| のれん | 3,441.6 | 9,787.7 | 1,454.3 | 14,683.6 | 293.8 | 14,977.4 | |
| 無形資産及び有形固定資産 | 8,650.8 | 11,715.8 | 6,120.8 | 26,487.4 | 382.9 | 359.9 | 27,230.2 |
| その他のセグメント資産 | 2,881.1 | 1,723.5 | 1,308.3 | 5,912.9 | 763.2 | 324.7 | 7,000.8 |
| 非セグメント資産 | 2,655.5 | ||||||
| 売却目的保有資産 | 3.6 | ||||||
| 資産合計 | 51,867.5 | ||||||
| セグメント負債 | 3,760.5 | 1,850.5 | 1,062.9 | 6,673.9 | 1,760.9 | 455.2 | 8,890.0 |
| 非セグメント負債 | 15,354.9 | ||||||
| 少数株主持分を含む資本 | 27,621.3 | ||||||
| 売却目的保有負債 | 1.3 | ||||||
| 資本及び負債合計 | 51,867.5 | ||||||
2.5. 地域に関するその他の情報
2025****年
| フランス | 欧州(フランスを除く)、 中東及び アフリカ | 米国 | 南北アメリカ(米国を除く) | アジア・ 太平洋 | 合計 | |
| (百万ユーロ) | ||||||
| 売上高 | 3,264.7 | 7,890.7 | 9,009.5 | 1,527.1 | 5,248.2 | 26,940.2 |
| 固定資産(a) | 3,880.3 | 9,331.7 | 18,048.5 | 1,734.2 | 7,475.0 | 40,469.7 |
| うち持分法適用会社への投資 | 29.3 | 117.8 | 3.5 | - | 24.0 | 174.6 |
(a) 固定金融資産、繰延税金資産及び固定デリバティブ資産を除く。
2024****年
| フランス | 欧州(フランスを除く)、 中東及び アフリカ | 米国 | 南北アメリカ(米国を除く) | アジア・ 太平洋 | 合計 | |
| (百万ユーロ) | ||||||
| 売上高 | 3,249.3 | 7,745.2 | 9,045.8 | 1,590.2 | 5,427.3 | 27,057.8 |
| 固定資産(a) | 3,708.6 | 9,147.0 | 20,064.1 | 1,742.6 | 7,743.6 | 42,405.9 |
| うち持分法適用会社への投資 | 39.7 | 126.4 | 4.0 | - | 28.2 | 198.3 |
(a) 固定金融資産、繰延税金資産及び固定デリバティブ資産を除く。
当グループは、多くの顧客(顧客数は世界で200万以上)を有し、部門について多様性があり地域的にも散在しているため、主要顧客との取引は当グループ売上高の2.2%にとどまる。
注記3 売上高
2025年の連結売上高は、2024年比0.4%減の269億4020万ユーロであった。
3.1. 2025年12月31日に終了した事業年度における地域別及びビジネスライン別の売上高
| (百万ユーロ) | 欧州・中東 及びアフリカ | 南北アメリカ | アジア・太平洋 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 工業事業 | 3,493.0 | 7,188.9 | 1,450.3 | 12,132.2 |
| ラージ・インダストリー事業 | 3,870.3 | 1,551.8 | 1,688.4 | 7,110.5 |
| ヘルスケア事業 | 3,069.0 | 1,137.8 | 170.8 | 4,377.6 |
| エレクトロニクス事業 | 184.0 | 472.8 | 1,808.1 | 2,464.9 |
| ガス&サービス売上高 | 10,616.3 | 10,351.3 | 5,117.5 | 26,085.1 |
| エンジニアリング&テクノロジー | 855.1 | |||
| 総売上高 | 26,940.2 |
3.2. 2024年12月31日に終了した事業年度における地域別及びビジネスライン別の売上高
| (百万ユーロ) | 欧州・中東 及びアフリカ | 南北アメリカ | アジア・太平洋 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 工業事業 | 3,506.9 | 7,288.4 | 1,506.8 | 12,302.0 |
| ラージ・インダストリー事業 | 3,815.9 | 1,497.4 | 1,806.6 | 7,120.0 |
| ヘルスケア事業 | 2,965.5 | 1,118.0 | 190.3 | 4,273.8 |
| エレクトロニクス事業 | 195.7 | 506.1 | 1,808.2 | 2,510.0 |
| ガス&サービス売上高 | 10,484.0 | 10,409.9 | 5,311.9 | 26,205.8 |
| エンジニアリング&テクノロジー | 852.0 | |||
| 総売上高 | 27,057.8 |
注記4 経常的営業利益
経常的営業利益には、仕入、人件費、減価償却費及び償却費並びにその他の経常的収益及び経常的費用が含まれている。
当グループの主要な仕入には、電力、天然ガス、工業製品及び医薬製品である。
4.1. その他収益
その他収益は、主に有形固定資産及び無形資産の売却差益と様々な補償によって構成される。
4.2. 人件費
| (百万ユーロ) | 2024年 | 2025年 |
|---|---|---|
| 給与及び社会保障費 | (4,943.6) | (4,860.7) |
| 確定拠出年金制度 | (150.7) | (157.6) |
| 確定給付年金制度 | (31.6) | (26.9) |
| 株式報酬 | (39.8) | (43.2) |
| 合計 | (5,165.7) | (5,088.4) |
連結完全子会社の従業員は2025年12月31日現在65,168人(2024年12月31日現在66,657人)である。
4.3. その他の営業費用
その他の営業費用には主として、輸送流通費用、保守費、物流費、外注費が含まれている。
その他の営業費用に含まれているオペレーティング・リース費用は重要性がなく、IFRS第16号(① 会計原則の5.g.を参照)の対象範囲に該当しない契約に対応するものである。
4.4. 研究開発費
2025年において、イノベーション費用は3億100万ユーロ(2024年は3億900万ユーロ)であり、これには2億800万ユーロ(2024年は2億500万ユーロ)の研究開発費が含まれている。
4.5. 減価償却費及び償却費
| 2024年 | 2025年 | |
| (百万ユーロ) | ||
| 無形資産 | (203.1) | (201.3) |
| 有形固定資産(a) | (2,302.0) | (2,362.2) |
| 合計 | (2,505.1) | (2,563.5) |
(a)収益に計上された投資補助金控除後の減価償却費が含まれている。
注記5 その他の非経常的営業利益・費用
| 2024年 | 2025年 | |
| (百万ユーロ) | ||
| 収益 | ||
| 事業又は資産の処分による純利益 | 34.4 | 27.1 |
| 政治的リスクと法的手続 | 22.7 | 19.4 |
| その他 | 7.7 | 4.3 |
| その他の非経常営業利益合計 | 64.8 | 50.8 |
| 費用 | ||
| 組織再編費用、リストラクチャリング費用及び統合費用 | (223.3) | (202.1) |
| 買収費用 | (2.8) | (21.0) |
| 政治的リスクと法的手続 | (23.7) | (36.6) |
| 事業又は資産の処分及び減損による純損失 | (243.5) | (53.3) |
| その他 | (17.3) | (40.7) |
| その他の非経常営業費用合計 | (510.5) | (353.7) |
| 合計 | (445.7) | (302.9) |
当グループは、2025年に以下の項目を認識した。
■ 主に欧州におけるガス&サービスでの再編プログラムに伴う再編費用
■ 従業員向け増資に関連する費用。これは「その他」の項目に計上されるその他営業費用に含まれている。
当グループは、2024年に以下の項目を認識した。
■ 事業又は資産グループの売却及び資産の減損に伴う純損失は-2億4350万ユーロ(特定の有形資産の減損に伴う-2億1570万ユーロを含む)
■ 主に南欧(フランス、イベリア、イタリア)のガス&サービスにおける再編プログラムに対応するリストラクチャリング費用
注記6 純金融費用及びその他の金融損益
6.1. 純金融費用
| 2024年 | 2025年 | |
| (百万ユーロ) | ||
| 純金融費用 | (333.4) | (311.5) |
| 短期投資・貸付による金融収益 | 75.0 | 69.0 |
| 合計 | (258.4) | (242.5) |
資産計上された金融費用を除いた純負債の平均コストは、2025年度は3.3%となり、2024年比でわずかに低い。
6.2. その他の金融損益
| 2024年 | 2025年 | |
| (百万ユーロ) | ||
| その他の金融収益 | 8.5 | 7.8 |
| その他の金融収益合計 | 8.5 | 7.8 |
| その他の金融費用 | (89.6) | (78.8) |
| 確定給付債務純金利費用 | (33.4) | (33.8) |
| リース債務利息 | (45.5) | (48.9) |
| その他の金融費用合計 | (168.5) | (161.5) |
注記7 法人所得税
7.1. 法人所得税
| 2024年 | 2025年 | |
| (百万ユーロ) | ||
| 当期法人所得税 | (1,128.9) | (1,121.2) |
| 当期税金合計 | (1,128.9) | (1,121.2) |
| 一時差異 | 42.4 | (122.5) |
| 税率変更の影響 | - | 13.2 |
| 繰延税金合計 | 42.4 | (109.3) |
| 総合計 | (1,086.5) | (1,230.5) |
7.2. 標準税率とグループ実効税率との調整
| 2024年 | 2025年 | |
| (%) | ||
| 標準税率 | 24.8 | 24.9 |
| 軽減税率で課税されている取引の影響 | (1.9) | (1.9) |
| 税率変更の影響 | - | (0.3) |
| 免税及びその他の影響 | 1.1 | 2.5 |
| グループ実効税率 | 24.0 | 25.2 |
2025年の平均実効税率は、フランスの大企業の利益に対する特別課税の影響を受けている。
第2の柱(Piller 2、グローバルミニマム課税ルール)規定が当グループの平均実効税率に与える影響は軽微である。
フランスにおいて、当社は、連結基準でフランスの法人所得税を算定することを選択しており、これは法的条件を満たす全てのフランスの子会社に適用される。
現地法制で許可される場合には、外国子会社も同様のルールを適用することを選択している。
注記8 1株当たり純利益
8.1. 基本的な1株当たり利益
| 2024年 | 2025年 | |
|---|---|---|
| 親会社の普通株式の株主に帰属する純利益(グループ持分)(百万ユーロ) | 3,306.1 | 3,517.9 |
| 発行済普通株式の加重平均株数 | 576,457,564 | 576,790,647 |
| 基本的な1株当たり利益(ユーロ) | 5.74 | 6.10 |
8.2. 希薄化後1株当たり利益
| 2024年 | 2025年 | |
|---|---|---|
| 希薄化後1株当たり利益の算定に使用された純利益(百万ユーロ) | 3,306.1 | 3,517.9 |
| 発行済普通株式の加重平均株数 | 576,457,564 | 576,790,647 |
| 新株予約権の希薄化効果の調整 | 376,963 | 179,840 |
| 業績連動株式の希薄化効果の調整 | 1,377,985 | 1,170,638 |
| 希薄化後1株当たり利益の算定に使用された調整後発行済普通株式の加重平均株数 | 578,212,512 | 578,141,125 |
| 希薄化後1株当たり利益(ユーロ) | 5.72 | 6.08 |
純利益(グループ持分)を希薄化させる可能性のある全ての金融商品は、希薄化後1株当たり利益の計算に含まれている。
当グループは、他に希薄化後1株当たり利益にさらに影響を与える可能性のある金融商品を発行していない。
注記9 1株当たり配当
2025年5月21日に当グループ株主に対して公表及び支払が行われた2024年の普通株式配当は19億5830万ユーロ(ロイヤリティ・プレミアムを含む)であり、1株当たり配当は3.30ユーロ、1株当たりロイヤリティ・プレミアムは0.33ユーロとなった。
2025年12月31日に終了する事業年度の年次株主総会では、普通株式1株に対して3.70ユーロ、1株当たりロイヤルティ・プレミアム0.37ユーロ、合計で22億510万ユーロ(自己株取得及び消却を考慮に入れた見積額)の配当が提案される予定である。
注記10 のれん
10.1. 期中の変動
| 1月1日 現在 | 期中に認識されたのれん | 期中に除却されたのれん | 為替レートの変動 | その他の変動 | 12月31日 現在 | |
| (百万ユーロ) | ||||||
| 2024年 | 14,194.2 | 209.3 | (9.2) | 582.6 | 0.5 | 14,977.4 |
| 2025年 | 14,977.4 | 143.3 | (4.6) | (1,270.8) | (22.1) | 13,823.2 |
10.2. 重要なのれん
| 2024年 | 2025年 | |||
| 純残高 | 総残高 | 減損 | 純残高 | |
| (百万ユーロ) | ||||
| ガス&サービス | 14,683.6 | 13,586.2 | 13,586.2 | |
| 欧州、中東及びアフリカ | 3,441.6 | 3,488.9 | (1.4) | 3,487.5 |
| 南北アメリカ(a) | 9,787.7 | 8,750.9 | 8,750.9 | |
| アジア・太平洋 | 1,454.3 | 1,347.8 | 1,347.8 | |
| エンジニアリング&テクノロジー | 293.8 | 237.0 | 237.0 | |
| のれん総計 | 14,977.4 | 13,824.6 | (1.4) | 13,823.2 |
(a) 2025年12月31日現在、南北アメリカのガス&サービスにおいて認識されたのれんは、主に米国に由来するものであり、金額が85億3240万ユーロとなっている。
2025年に発生した組織変更(注記2を参照)に伴い、エンジニアリング&建設及びグローバル市場&テクノロジーに関連するのれんは、現在、資金生成単位のエンジニアリング&テクノロジーグループ内で減損テストが行われている。ただし、主にバイオガス及び海事事業といった特定の事業活動については、ガス&サービス内で減損テストが行われている。2024年のデータはこれに応じて修正再表示されている。
当グループでは、過去2事業年度においてのれんの減損損失を計上していない。
減損テストは会計方針5.f.に記載している方法で実施された。
2025年12月31日現在、市場マルチプルを用いて計算された各資金生成単位又は資金生成単位グループの回収可能価額は、純残高を大幅に上回っている。その結果、会計方針の注記5.f.に記載されているように、資金生成単位の回収可能価額の決定には、DCF法は使用されなかった。
当グループの事業を考慮すると、主要な仮定についての合理的に可能性のあるいかなる変更も減損をもたらすものではないと考えられる。ガス&サービスは、その地理的範囲において蓄積された資産による異なるビジネスラインとのシナジーを指向している。地域的な事業の成長は、一般的に、現地の設備投資及びラージ・インダストリー事業を通じた外部成長事業を基礎としている。ラージ・インダストリー事業の顧客に対するガスの供給は、15年を最短期間として契約されている。これらの顧客との契約は、将来の収益に関する良好な見通しと保証を提供している。
注記11 その他の無形資産
11.1. 帳簿価額総額
| 2025年 | 1月1日 現在 | 取得 | 処分 | 為替換算 差額 | 企業結合での取得資産 | その他の変動(a) | 12月31日 現在 |
| (百万ユーロ) | |||||||
| 内部創出無形資産 | 872.5 | 44.1 | (4.8) | (39.1) | - | 12.2 | 884.9 |
| その他の無形資産 | 3,155.6 | 166.3 | (41.1) | (209.1) | 2.6 | (27.0) | 3,047.3 |
| 無形資産総額合計 | 4,028.1 | 210.4 | (45.9) | (248.2) | 2.6 | (14.8) | 3,932.2 |
| (a)その他の変動は、主に勘定振替と連結範囲変更が含まれている。 | |||||||
| 2024年 | 1月1日 現在 | 取得 | 処分 | 為替換算 差額 | 企業結合での取得資産 | その他の変動(a) | 12月31日 現在 |
| (百万ユーロ) | |||||||
| 内部創出無形資産 | 889.4 | 111.9 | (131.2) | 16.3 | - | (13.9) | 872.5 |
| その他の無形資産 | 3,031.4 | 88.3 | (25.7) | 96.4 | 11.5 | (46.3) | 3,155.6 |
| 無形資産総額合計 | 3,920.8 | 200.2 | (156.9) | 112.7 | 11.5 | (60.2) | 4,028.1 |
(a) その他の変動は、主に勘定振替と連結範囲変更が含まれている。
11.2. 償却費及び減損損失
| 2025年 | 1月1日 現在 | 当期の 費用 | 減損損失 | 処分 | 為替換算差額 | 企業結合での取得資産 | その他の変動(a) | 12月31日 現在 |
| (百万ユーロ) | ||||||||
| 内部創出無形資産 | (495.9) | (62.9) | - | 4.4 | 26.1 | - | 18.3 | (510.0) |
| その他の無形資産 | (1,840.7) | (138.4) | (4.7) | 38.1 | 99.1 | - | (13.3) | (1,859.9) |
| 無形資産総額合計 | (2,336.6) | (201.3) | (4.7) | 42.5 | 125.2 | - | 5.0 | (2,369.9) |
| 無形資産純額合計(b) | 1,691.5 | 9.1(c) | (4.7) | (3.4) | (123.0) | 2.6 | (9.8) | 1,562.3 |
| (a) その他の変動は、主に勘定振替と連結範囲変更が含まれている。 (b) その他の無形資産には、主に、商標権及び企業結合の一部としての顧客関係の評価額が含まれている。 (c) この額は、当期における増加分と費用を相殺したものである。 | ||||||||
| 2024年 | 1月1日 現在 | 当期の 費用 | 減損損失 | 処分 | 為替換算差額 | 企業結合での取得資産 | その他の変動(a) | 12月31日 現在 |
| (百万ユーロ) | ||||||||
| 内部創出無形資産 | (630.2) | (61.4) | - | 128.0 | (11.2) | - | 78.9 | (495.9) |
| その他の無形資産 | (1,659.3) | (141.7) | (2.9) | 17.2 | (43.6) | - | (10.4) | (1,840.7) |
| 無形資産総額合計 | (2,289.5) | (203.1) | (2.9) | 145.2 | (54.8) | - | 68.5 | (2,336.6) |
| 無形資産純額合計(b) | 1,631.3 | (2.9) (c) | (2.9) | (11.7) | 57.9 | 11.5 | 8.3 | 1,691.5 |
(a) その他の変動は、主に勘定振替と連結範囲変更が含まれている。
(b) その他の無形資産には、主に商標権及び企業結合の一部としての顧客関係の評価額が含まれている。
(c) この額は、当期における増加分と費用を相殺したものである。
事業年度末には、当グループは無形資産の購入について重要な契約を有しておらず、既存の無形資産の使用について何らの制限も受けていない。
注記12 有形固定資産
12.1. 帳簿価額総額
| 2025年 | 1月1日 現在 | 取得 | 処分 | 為替換算 差額 | 企業結合での取得資産 | その他の 変動(a) | 12月31日現在 |
| (百万ユーロ) | |||||||
| 土地 | 487.1 | 4.1 | (3.2) | (42.8) | 0.7 | (2.1) | 443.8 |
| 建物 | 2,897.1 | 12.2 | (25.5) | (203.9) | 0.9 | 169.6 | 2,850.4 |
| 備品、シリンダー、設備 | 46,081.6 | 332.0 | (779.2) | (2,973.0) | 31.5 | 2,248.1 | 44,941.0 |
| 使用権 | 2,288.5 | 115.0 | (13.6) | (178.7) | 7.9 | (0.5) | 2,218.6 |
| 稼働有形固定資産合計 | 51,754.3 | 463.3 | (821.5) | (3,398.4) | 41.0 | 2,415.1 | 50,453.8 |
| 建設仮勘定 | 4,031.9 | 3,446.5 | — | (258.0) | — | (2,885.0) | 4,335.4 |
| 有形固定資産合計 | 55,786.2 | 3,909.8 | (821.5) | (3,656.4) | 41.0 | (469.9) | 54,789.2 |
| (a) その他の変動は、主に勘定振替と連結範囲変更が含まれている。 | |||||||
| 2024年 | 1月1日 現在 | 取得 | 処分 | 為替換算 差額 | 企業結合での取得資産 | その他の 変動(a) | 12月31日現在 |
| (百万ユーロ) | |||||||
| 土地 | 463.3 | 0.1 | (1.5) | 8.4 | 0.2 | 16.6 | 487.1 |
| 建物 | 2,685.2 | 20.7 | (22.5) | 64.9 | 2.9 | 145.9 | 2,897.1 |
| 備品、シリンダー、設備 | 42,671.5 | 391.1 | (539.8) | 852.6 | 40.6 | 2,665.6 | 46,081.6 |
| 使用権 | 2,077.2 | 166.8 | (16.6) | 62.9 | 2.6 | (4.4) | 2,288.5 |
| 稼働有形固定資産合計 | 47,897.2 | 578.7 | (580.4) | 988.8 | 46.3 | 2,823.7 | 51,754.3 |
| 建設仮勘定 | 3,797.7 | 2,970.9 | — | 48.0 | — | (2,784.7) | 4,031.9 |
| 有形固定資産合計 | 51,694.9 | 3,549.6 | (580.4) | 1,036.8 | 46.3 | 39.0 | 55,786.2 |
(a) その他の変動は、主に勘定振替と連結範囲変更が含まれている。
連結キャッシュ・フロー計算書に示された有形固定資産及び無形資産の購入は、有形固定資産及び無形資産(使用権を除く)の増加に関わるものであり、特に1年間の固定資産のサプライヤー勘定残高の変化及び貸借対照表の負債の部に計上されている投資補助金を考慮して調整されている。
12.2. 減価償却費及び減損損失
| 2025年 | 1月1日 現在 | 当期の費用 | 減損損失 | 処分 | 為替換算差額 | 企業結合での取得資産 | その他の変動(a) | 12月31日 現在 |
| (百万ユーロ) | ||||||||
| 建物 | (1,393.2) | (115.0) | 11.9 | 88.1 | 13.1 | (1,395.1) | ||
| 備品、シリンダー、設備 | (27,815.6) | (2,022.1) | (69.4) | 631.1 | 1,590.0 | 269.4 | (27,416.6) | |
| 使用権 | (1,038.7) | (236.0) | (0.2) | 13.5 | 75.7 | 117.9 | (1,067.8) | |
| 有形固定資産減価償却合計 | (30,247.5) | (2,373.1) | (69.6) | 656.5 | 1,753.8 | - | 400.4 | (29,879.5) |
| 有形固定資産純額合計 | 25,538.7 | 1,536.7 (b) | (69.6) | (165.0) | (1,902.6) | 41.0 | (69.5) | 24,909.7 |
| (a) その他の変動は、主に勘定振替と連結範囲変更が含まれている。 (b) この額は、当期における増加分と費用を相殺したものである。 | ||||||||
| 2024年 | 1月1日 現在 | 当期の費用 | 減損損失(b) | 処分 | 為替換算差額 | 企業結合での取得資産 | その他の変動(a) | 12月31日 現在 |
| (百万ユーロ) | ||||||||
| 建物 | (1,298.5) | (115.1) | - | 11.9 | (22.8) | - | 31.3 | (1,393.2) |
| 備品、シリンダー、設備 | (25,829.9) | (1,956.1) | (148.3) | 404.5 | (378.0) | - | 92.2 | (27,815.6) |
| 使用権 | (914.3) | (239.7) | (3.9) | 14.3 | (22.9) | - | 127.8 | (1,038.7) |
| 有形固定資産減価償却合計 | (28,042.7) | (2,310.9) | (152.2) | 430.7 | (423.7) | - | 251.3 | (30,247.5) |
| 有形固定資産純額合計 | 23,652.2 | 1,238.7 (b) | (152.2) | (149.7) | 613.1 | 46.3 | 290.3 | 25,538.7 |
(a) その他の変動は、主に勘定振替と連結範囲変更が含まれている。
(b) この額は、当期における増加分と費用を相殺したものである。
当期の費用は、損益計算書に計上された投資補助金を控除した上での減価償却費の増加に対応している。
12.3. リース債務の満期
使用権に関するリース債務の満期は以下のとおりである。
| 2025年 | 満期 | |||||||||
| (百万ユーロ) | 1年未満 | 1年以上5年以下 | 5年超 | |||||||
| 帳簿価額 | 2026 | 2027 | 2028 | 2029 | 2030 | 2031 | 2032 | 2032以後 | ||
| 固定リース債務 | 1,034.3 | 234.8 | 167.5 | 136.1 | 106.4 | 80.3 | 84.9 | 48.3 | 176.0 | |
| 流動リース債務 | 225.1 | 225.1 | ||||||||
| 合計リース債務 | 1,259.4 | 225.1 | 234.8 | 167.5 | 136.1 | 106.4 | 80.3 | 84.9 | 48.3 | 176.0 |
| 2024年 | 満期 | |||||||||
| (百万ユーロ) | 1年未満 | 1年以上5年以下 | 5年超 | |||||||
| 帳簿価額 | 2025 | 2026 | 2027 | 2028 | 2029 | 2030 | 2031 | 2031以後 | ||
| 固定リース債務 | 1,133.8 | 242.5 | 175.7 | 148.6 | 122.2 | 90.9 | 76.9 | 53.0 | 224.0 | |
| 流動リース債務 | 239.8 | 239.8 | ||||||||
| 合計リース債務 | 1,373.6 | 239.8 | 242.5 | 175.7 | 148.6 | 122.2 | 90.9 | 76.9 | 53.0 | 224.0 |
注記13 固定金融資産
| (百万ユーロ) | 2024年 | 2025年 |
| 非連結投資 | 326.3 | 263.0 |
| 貸付金 | 39.9 | 36.2 |
| その他の長期受取債権 | 296.1 | 320.0 |
| 従業員給付 | 83.9 | 89.7 |
| 固定金融資産 | 746.3 | 708.9 |
非連結投資にはロシアの事業体の全額償却済みの株式が含まれる。当グループは、2022年9月1日以降、ロシアにおける事業を支配・連結対象としていない。さらに、ロシア大統領令により、2025年8月以降、これらの事業は暫定管理者の管轄下におかれた。
注記14 持分法適用会社に対する投資
14.1. ジョイント・ベンチャー及び関連会社に関する財務情報
2025****年12月31日現在のジョイント・ベンチャー及び関連会社のグループ持分
| (百万ユーロ) | 当期利益持分 | 資本持分(a) | 資本に直接認識される純利益及び損益の持分(b) |
|---|---|---|---|
| ジョイント・ベンチャー及び関連会社 | (7.6) | 174.6 | 11.8 |
(a) 関係会社及びジョイント・ベンチャーに関連するのれんを含む。
(b) 資本に直接認識される純利益及び損益の持分は、主に為替換算調整勘定により構成される。
2024****年12月31日現在のジョイント・ベンチャー及び関連会社のグループ持分
| (百万ユーロ) | 当期利益持分 | 資本持分(a) | 資本に直接認識される純利益及び損益の持分(b) |
|---|---|---|---|
| ジョイント・ベンチャー及び関連会社 | (0.7) | 198.3 | 27.7 |
(a) 関係会社及び合弁事業に関連するのれんを含む。
(b) 資本に直接認識される純利益及び損益の持分は、主に為替換算調整勘定により構成される。
14.2. 期中の変動
| (百万ユーロ) | 1月1日現在 | 当期利益持分 | 配当金の分配 | 為替換算差額 | その他の 変動 | 12月31日 現在 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2024年 | 180.1 | (0.7) | (17.6) | 5.5 | 31.0 | 198.3 |
| 2025年 | 198.3 | (7.6) | (14.1) | (15.9) | 13.9 | 174.6 |
持分法を利用している連結会社において、個別的に重要性が認められる会社はない。
注記15 繰延税金
15.1. 繰延税金資産
事業年度における繰延税金資産の変動は以下のとおりである。
| (百万ユーロ) | 2024年 | 2025年 |
|---|---|---|
| 1月1日現在 | 225.2 | 335.0 |
| 損益計算書への計上 | 84.3 | (27.2) |
| 資本への計上(a) | (18.8) | 17.5 |
| スコープに関連する変更 | (5.4) | (4.8) |
| 為替換算差額 | (3.6) | (1.5) |
| その他(b) | 53.3 | (15.6) |
| 12月31日現在 | 335.0 | 303.4 |
(a) その他の変動には、主に、勘定科目間の再分類が含まれている。
未認識の繰延税金資産は、2025年12月31日現在で5890万ユーロであった(2024年12月31日現在で6780万ユーロであった)。
15.2. 繰延税金負債
事業年度における繰延税金負債の変動は以下のとおりである。
| (百万ユーロ) | 2024年 | 2025年 |
|---|---|---|
| 1月1日現在 | 2,329.0 | 2,527.1 |
| 損益計算書への計上 | 42.1 | 82.2 |
| 資本への計上(a) | (16.9) | 2.7 |
| スコープに関連する変更 | 1.6 | 0.3 |
| 為替換算差額 | 131.1 | (212.2) |
| その他(b) | 40.2 | (27.2) |
| 12月31日現在 | 2,527.1 | 2,372.9 |
(a) その他の変動には、主に、勘定科目間の再分類が含まれている。
15.3. 性質別繰延税金
繰延税金(純額)の内訳は次のとおりである。
| (百万ユーロ) | 2024年 | 2025年 |
|---|---|---|
| 減価償却費及び償却費 | (2,584.7) | (2,387.2) |
| 引当金、年金及びその他の従業員給付 | 213.4 | 185.9 |
| その他の引当金 | 428.9 | 385.6 |
| 繰越欠損金 | 129.4 | 108.6 |
| その他 | (379.1) | (362.4) |
| 合計 | (2,192.1) | (2,069.5) |
注記16 棚卸資産及び仕掛品
| (百万ユーロ) | 2024年 | 2025年 |
|---|---|---|
| 原材料及び資材 | 607.0 | 575.5 |
| 完成品及び半製品 | 1,410.7 | 1,396.2 |
| 仕掛品 | 171.9 | 156.6 |
| 純棚卸資産 | 2,189.6 | 2,128.3 |
| (百万ユーロ) | 2024年 | 2025年 |
|---|---|---|
| 棚卸資産の評価減 | (24.4) | (12.6) |
| 評価減の戻入れ | 11.7 | 13.2 |
| 損益計算書に計上された評価減総額 | (12.7) | 0.6 |
注記17 売掛金及びその他営業債権
| (百万ユーロ) | 2024年 | 2025年 |
|---|---|---|
| 売掛金及びその他営業債権 | 3,231.1 | 3,083.1 |
| 貸倒引当金 | (234.4) | (216.6) |
| 売掛金 | 2,996.7 | 2,866.5 |
売掛金及びその他営業債権はエンジニアリング&建設の契約に関する9290万ユーロの総額を含む(2024年12月31日時点で1億190万ユーロ)。
2025年12月31日現在、進行中のプロジェクトの開始以来、工事進行基準により認識された累積収益及び累積現預金収入は、それぞれ19億5210万ユーロ(2024年12月31日時点で22億370万ユーロ)及び20億6430万ユーロ(2024年12月31日時点で22億8610万ユーロ)となった。
17.1. 売掛金及びその他営業債権明細
2025年12月31日現在、債権及び関連する減損の内訳は以下のとおりである。
| 2025年 (百万ユーロ) | 合計 | 期日前 | 期日超過(月) | |||||
| 0-1 | 1-3 | 3-6 | 6-12 | 12以上 | 合計 | |||
| 売掛金及びその他営業債権明細 | 3,083.1 | 2,402.2 | 214.3 | 135.2 | 97.6 | 65.2 | 168.6 | 680.9 |
| 減損引当金 | (216.6) | (8.3) | (12.4) | (7.8) | (11.1) | (21.1) | (155.9) | (208.3) |
| 売掛金 | 2,866.5 | 2,393.9 | 201.9 | 127.4 | 86.5 | 44.1 | 12.7 | 472.6 |
2024年12月31日現在、債権及び関連する減損の内訳は以下のとおりである。
| 2024年 (百万ユーロ) | 合計 | 期日前 | 期日超過(月) | |||||
| 0-1 | 1-3 | 3-6 | 6-12 | 12以上 | 合計 | |||
| 売掛金及びその他営業債権明細 | 3,231.1 | 2,462.7 | 257.9 | 152.9 | 100.3 | 76.3 | 181.0 | 768.4 |
| 減損引当金 | (234.4) | (2.6) | (14.1) | (10.0) | (12.0) | (22.1) | (173.6) | (231.8) |
| 売掛金 | 2,996.7 | 2,460.1 | 243.8 | 142.9 | 88.3 | 54.2 | 7.4 | 536.6 |
売掛金損失(予想貸倒損失)に関する会計方針は、会計方針の「6.b 金融商品」に記載している。
17.2. 貸倒引当金
| (百万ユーロ) | 1月1日時点 | 繰入 | 戻入 | 外国為替差異 | その他の変動 | 12月31日 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2024年 | (231.8) | (80.2) | 74.5 | 1.3 | 1.8 | (234.4) |
| 2025年 | (234.4) | (60.5) | 69.9 | 5.8 | 2.6 | (216.6) |
17.3. 売上債権のノンリコース譲渡に関連する情報
2025年の欧州、アジア、南北アメリカにおけるノンリコースのファクタリング債権は、2024年末の13億4000万ユーロに対し、10億8600万ユーロとなった。
2015年に設立され、2020年に更新された欧州プログラムは、2025年6月に改正され、3億8200万ユーロ(繰延購入価格の9%を含む4億1600万ユーロ)まで対象範囲が変更された。その満期は2026年2月28日までとなっている。譲渡された売掛債権は、3億5300万ユーロの金額で、2025年12月31日現在、認識しないものとなっている(2024年12月31日現在では4億4700万ユーロ)。
エアガスが保有し、2018年12月に設定された米国のプログラムは、2025年12月に変更され、満期が2026年3月17日まで延長された。2025年12月31日現在、このプログラムの対象は8億米ドル(6億8000万ユーロ)で、7億1900万米ドル(6億1200万ユーロ)は認識しないこととなった。
その他のノンリコース・ファクタリング・プログラムは、主にアジアと一部のヘルスケア事業子会社を中心に様々な国及び事業において存在している。
当グループは、会計原則の6.b.に記載されている原則に従ってこれらのプログラムの主な特徴を分析し、ほとんど全てのリスクと報酬が譲受人に移転していると結論付けた。
注記18 必要運転資本
| 2025年 (百万ユーロ) | 1月1日現在 | 現金による影響 | その他の変更(b) | 12月31日現在 |
|---|---|---|---|---|
| 棚卸資産及び仕掛品 | 2,189.6 | 83.7 | (145.0) | 2,128.3 |
| 売上債権 | 2,996.7 | 58.3 | (188.5) | 2,866.5 |
| 買掛金 | (3,319.0) | 142.1 | 172.8 | (3,004.1) |
| その他(a) | (1,591.5) | (58.1) | (105.5) | (1,755.1) |
| 必要運転資本 | 275.8 | 226.0 | (266.2) | 235.6 |
(a)その他項目は、主にその他流動資産・負債及び当期税金残高を示す。
(b)その他の変更勘定には、ある項目から別の項目への組替え、為替レートの影響、連結範囲の変更が含まれる。
注記19 その他の流動資産
| (百万ユーロ) | 2024年 | 2025年 |
|---|---|---|
| 前渡金 | 133.2 | 147.0 |
| 前払費用 | 183.2 | 164.9 |
| その他の諸種の流動資産 | 751.8 | 595.5 |
| その他流動資産 | 1,068.2 | 907.4 |
その他の諸種の流動資産には、主に未収税金及び受取予定の補助金が含まれる。
注記20 現金及び現金同等物
| (百万ユーロ) | 2024年 | 2025年 |
|---|---|---|
| 短期貸付金 | 32.4 | 17.4 |
| 短期市場性証券 | 329.5 | 1,610.1 |
| 銀行預金 | 1,553.4 | 2,334.5 |
| 現金及び現金同等物 | 1,915.3 | 3,962.0 |
2025年12月31日時点で、3億3000万ユーロの現金及び現金同等物は、主にアルゼンチン及びルクセンブルグ(当グループのキャプティブ再保険会社の枠組における規制上の制約)において制約に服している。
2024年と比較して現金及び現金同等物が20億4670万ユーロ急増したのは、主に2025年のDIG Airgas買収に向けた支払の準備によるものであり、この買収は2026年1月13日に完了した。
注記21 株主資本
21.1. 株式数
発行済株式数
| 2024年 | 2025年 | |
|---|---|---|
| 1月1日現在の発行済株式数 | 524,516,778 | 578,259,263 |
| 無償株式割当 | 53,911,973 | — |
| 従業員向け増資 | — | 848,773 |
| オプション行使 | 457,512 | 276,387 |
| 自己株式の消却 | (627,000) | — |
| 12月31日現在の発行済株式数 | 578,259,263 | 579,384,423 |
株式は、額面5.50ユーロであり、全て発行済みかつ全額払込みされている。
21.2. 従業員割当増資
2025年7月28日、取締役会は、フランス・グループ貯蓄制度又はエア・リキード・インターナショナル・グループ貯蓄制度に加入しているグループ会社の従業員を対象とした増資を実施することを決定した。
2025年7月28日の取締役会において付与された権限に基づき、2025年12月9日、最高経営責任者により当該増資が承認された。
引受価格は全従業員に対し137.89ユーロであったが、米国に所在するグループ子会社の従業員については、引受価格が146.50ユーロとなった。
合計848,773株のエア・リキード株式が購入され、資本剰余金1億1290万ユーロを含め、調達額は総額1億1760万ユーロとなった。
グループの貯蓄制度は損益に計上され、以下の前提に基づきIFRS第2号「株式に基づく報酬」に従って測定される。
■ 2週間の申込期間
■ フランス法に基づく、申込期間終了日から5年間のロックイン期間
当グループの貯蓄制度に関して、IFRS第2号「株式に基づく報酬」に基づき2025年に計上された費用は2980万ユーロであり、そのうち450万ユーロは当グループの特定の子会社の資金拠出によるものである。計上された費用は、5年間のロックアップ期間が考慮されている。当該費用は「その他の非経常営業費用」に計上される。
21.3. 自己株式
自己株式は、フランス金融市場当局(Autorité des marches financiers)によって認識されている企業倫理憲章に従った上場契約の一部を構成する株式も含め、当グループが保有するエア・リキード株で構成されている。2025年12月31日現在、当グループは1,443,490株(2024年12月31日現在1,815,681株)の自己株式を保有しており、これは上場契約の下での50,050株(2024年12月31日現在25,250株)を含む。自己株式数の変動は、連結株主資本変動計算書において説明されている。
21.4. 株式報酬
新株引受オプション制度
2018年までに、取締役会が年次株主総会で承認された制度に基づき、役員を含む当社及び子会社の特定の従業員に対して付与した未行使のストックオプションは、調整後218,094個(平均価格69.41ユーロ)であり、これは発行済株式総数の0.04%に相当する。
2025年5月6日の定時株主総会での承認に基づき発行されたストックオプションの総数のうち、2025年12月31日時点で、取締役会による付与の可能性に備えて11,587,688個のストックオプションが留保されていた。
業績連動株式制度
優秀な従業員に報い、その中期的な働きを会社の目標と結びつけるため、業績連動株式を含む追加報酬制度を2008年に新設した。
2025年5月6日の臨時株主総会の第19号議案で、当グループの従業員に対して、38か月の期間にわたり、制度が承認された時点の株式資本の最大0.5%に相当する無償株を付与することが承認された。この無償株付与の最大数のうち、0.1%を上限とする当グループの株式資本は当該期間に執行役員に付与することができる。
この決定をもとに、取締役会は、2025年9月30日、取締役会によって決定される受益者に対する業績連動株式の付与を規定する一般プランを採用した。
付与される株式は受給される権利の確定日より前に会社が増資するか、当該日以前に会社が市場から買い戻す株式でなければならない。
現在までに付与された業績連動株式は、当社の自社株買いプログラムの一環として買い戻された自己株式である。
付与される株式は、当該計画が取締役会によって承認された日における当社の株式資本を構成するものと同じ性質及び種類のものでなければならない。
取締役会は、2025年9月30日に、従業員(2,744名の受益者)に324,947株の業績連動型株式を付与する決定を行った。
業績連動株式は次の要件に従う。
(a) 権利確定期間中における勤続要件
受益者が付与される株式は、付与日から計算して3年間の権利確定期間中に会社従業員か会社役員である場合にのみ、最終的に付与される。定年退職の場合には、勤続期間はもはや必要とされないため、受益者は権利を保持する。
(b) 業績要件
全ての受益者に配分される全ての業績連動株式の業績要件
最多のオプションを受領した当社及び子会社の10人の従業員(役員を除く)に対して付与されたオプション
2025年において付与されたオプションはない。
最多のオプションを行使した当社及び子会社の10人の従業員(役員を除く)によって2025年に行使されたオプション
| 付与日 | 行使オプション数 | 平均価格(ユーロ)(a) |
|---|---|---|
| 2015年9月28日 | 28,091 | 69.12 |
| 2016年11月29日 | 6,789 | 62.86 |
| 2017年9月20日 | 1,189 | 70.30 |
| 2018年9月25日 | 902 | 79.76 |
| 合計 | 36,971 | 68.27 |
(a) 過去の無償株式割当を調整したヒストリカルデータ。
最多のオプションを行使した当社及び子会社の10人の従業員(役員を除く)によって2024年に行使されたオプション
| 付与日 | 行使オプション数 | 平均価格(ユーロ)(a) |
|---|---|---|
| 2014年9月22日 | 188,262 | 69.67 |
| 2015年9月28日 | 28,742 | 69.25 |
| 2016年11月29日 | 49 | 69.33 |
| 2018年9月25日 | 910 | 87.25 |
| 合計 | 215,963 | 69.69 |
(a) ヒストリカルデータ
新株引受オプション数及び加重平均行使価格
| 2024年 | 2025年 | |||
| オプション数 | 加重平均行使価格(ユーロ) | オプション数 | 加重平均行使価格(ユーロ) | |
| 1月1日現在の発行済オプション総数(調整後の数及び価格) | 956,176 | 67.10 | 494,684 | 69.22 |
| 期中に行使されたオプション(調整後の数及び価格) | 457,512 | 69.19 | 276,387 | 69.05 |
| 期中に取り消されたオプション(調整後の数及び価格) | 3,980 | 66.68 | 203 | 79.76 |
| 12月31日現在の発行済オプション総数(調整後の数及び価格) | 494,684 | 69.22 | 218,094 | 69.41 |
| うち行使適格オプション総数 | 494,684 | 69.22 | 218,094 | 69.41 |
新株引受オプションと業績連動株式の公正価値に関する情報
新株引受オプション
2024年及び2025年にはオプションは付与されていない。
業績連動株式の付与
従業員に付与される業績連動株式の公正価値は、50%がグループの業績に連動する業績条件、35%が株主利益、15%がエア・リキードの絶対値における炭素排出量の割合の削減に由来する。
当グループの業績に連動する業績条件及び炭素排出量の絶対値の低減に連動する業績条件の達成は前提条件として考慮されておらず、評価日時点において十分に達成されたとみなされる。
| 2024年 | 2025年 | ||
| Plan 1 (a) | Plan 1(a) | ||
| 2024年9月25日 | 2025年9月30日 | ||
| フランス | フランス国外 | (b) | |
| 業績連動株式の有効期間 | 5年 | 4年 | 3年 |
| 業績連動株式の公正価値(ユーロ) | 149.08 | 148.12 | 151.77 |
(a) 取得日における公正価値であり、その後の公募による優先引受権付増資及び無償株式の割当ての効果の修正なし。
(b) 2025年以降、業績連動株式の付与はグローバルプランの対象となり、同プランに基づく業績連動株式の有効期間は3年である。
業績連動株式の付与に関連する費用として、2024年度の3980万ユーロに対し、2025年度は4320万ユーロ(税抜)が損益計算書で認識された。対応する項目は資本に計上される。
注記22 引当金、年金及びその他の従業員給付
2025****年
| (百万ユーロ) | 1月1日時点 | 繰入 | 使用 | 取崩 | 割引 | 為替差額 | 企業結合による取得資産 | その他の変動(a) | 12月31日時点 | ||
| 年金及びその他の従業員給付 | 1,127.6 | 57.3 | (92.7) | (67.6) | (18.4) | (1.1) | 13.1 | 1,018.2 | |||
| リストラクチャリング計画 | 127.1 | 109.3 | (54.1) | (24.4) | (0.5) | 1.0 | 158.4 | ||||
| エンジニアリング契約の保証及びその他引当金 | 179.7 | 91.7 | (49.9) | (9.6) | (4.0) | 207.9 | |||||
| 解体 | 285.8 | (2.8) | 9.3 | (11.3) | 18.6 | 299.6 | |||||
| 企業結合の一環としての引当金及び偶発債務 | 133.2 | (21.3) | (18.6) | 1.3 | (11.1) | 2.4 | (0.3) | 85.6 | |||
| その他の引当金 | 591.1 | 192.2 | (78.0) | (27.2) | (0.2) | (17.8) | 2.2 | (10.1) | 652.2 | ||
| 引当金合計 | 2,444.5 | 450.5 | (298.8) | (79.8) | (57.2) | (63.1) | 3.5 | 22.3 | 2,421.9 | ||
| (a) その他の変動は勘定振替、連結範囲の変更及び解体引当金によるものであり、連結キャッシュ・フロー計算書に対する影響はない。 | |||||||||||
2024****年
| (百万ユーロ) | 1月1日時点 | 繰入 | 使用 | 取崩 | 割引 | 為替差額 | 企業結合による取得資産 | その他の変動(a) | 12月31日時点 |
| 年金及びその他の従業員給付 | 1,129.8 | 64.7 | (94.1) | (4.4) | 5.7 | 25.9 | 1,127.6 | ||
| リストラクチャリング計画 | 83.7 | 82.4 | (40.5) | (0.4) | 0.1 | 1.8 | 127.1 | ||
| エンジニアリング契約の保証及びその他引当金 | 178.4 | 55.6 | (37.0) | (15.5) | 1.1 | (2.9) | 179.7 | ||
| 解体 | 273.5 | (7.8) | 9.1 | 1.2 | 9.8 | 285.8 | |||
| 企業結合の一環としての引当金及び偶発債務 | 130.1 | 4.8 | (11.5) | (7.5) | 1.5 | 6.3 | 8.9 | 0.6 | 133.2 |
| その他の引当金 | 573.1 | 147.8 | (124.0) | (21.2) | 1.7 | 4.0 | 0.4 | 9.3 | 591.1 |
| 引当金合計 | 2,368.6 | 355.3 | (314.9) | (44.6) | 7.9 | 18.3 | 35.2 | 18.6 | 2,444.5 |
| (a) その他の変動は勘定振替、連結範囲の変更及び解体引当金によるものであり、連結キャッシュ・フロー計算書に対する影響はない。 | |||||||||
通常業務において、当グループは、仲裁、司法的又は行政的な手続の当事者となる。それに係る潜在的費用は、相当の蓋然性があり、定量化できるか、合理的な範囲で見積もられる場合にのみ引き当てられる。後者の場合、引当額は経営陣の最善の見積もりを示す。引当金は、事例ごとのリスク評価を基礎に決定され、継続中の手続の中で生じた事象によりその再評価をすることもある。これらの法的手続はその性質上、多様性があり、グループ子会社を巻き込むことになる。債務引当金は2025年12月31日現在、全グループ会社の法的手続に対して1億6020万ユーロ計上されており(2024年12月31日当時は1億5140万ユーロ)、その他引当金に表記されている。これには、労働争議及び税務リスク(収益に対する課税以外)に対する引当金がそれぞれ1億3280万ユーロ及び2740万ユーロ含まれている。
個々の事例の詳細を公表することは、グループにとって不利に働く可能性があるため、公表していない。しかし、単一の訴訟であって、グループ全体の財務状態、収益性に重大な影響を与える可能性のあるものはない。
注記23 従業員給付債務
23.1. 年金制度
重要な年金制度はフランス、ドイツと米国に関わるものである。
フランスでは、エア・リキードは通常の年金制度に加えて最終的な給与を基準に追加の退職金を提供している。1995年12月31日に、この制度は、1996年1月1日時点で45才以下か、勤続年数が20年未満の従業員に対しては廃止された。後者は確定拠出型年金によって賄われる。この制度は、資金拠出を受けない。これらの制度に関して支払われる年額は、給与の額の12%(もしくは、ある場合においては該当会社の税引き前利益の額の12%)を超えることはない。この12%の閾値はその年の年金受給者数と前年の年金受給者数を比較することによって比例的に減少していく。2017年には、年金制度の将来性・公平性を担保する2014年1月20日法第50条が施行され、追加給付が積み立てられた。
IAS第19号「従業員給付」では、確定拠出制度は非常に限定的に記載されており、条件を十分に満たしていない制度は、確定給付制度であると定義されている。
確定拠出制度の厳密な定義により、当社は、会社の義務が制限的なものであり、安定的又は継続的な性質を有する義務ではないにも関わらず、退職加算金を確定給付制度として説明しなければならない。
確定給付制度とする場合、将来的な義務に対して引当金を認識することになる。
これらの義務には制限が設けられているため、実際に退職者に支払われる金額の評価には不確実性が存在する。この制限の影響を数値化するのが困難であるため、計上される引当金は、制度が消滅するまで退職者に対して支払われる金額の保険数理的価値(これらの制限の影響を除く)に対応している。当社により支払われる追加的退職給付は、一定限度の年額までフランスの法定及び付加年金制度のインデックスに沿うことになる。その他の年金は、何のインデックスにも従わない。
ドイツでは、当社に主として2つの年金制度がある。
第一の制度は、Lurgi(エンジニアリング&テクノロジー)の通常定年65歳の退職者に対して収入と勤続年数を基にした終身年金を提供するものである。この制度は障害又は遺族年金も備えられて。現在は新規加入者を受けつけておらず、新入社員は確定拠出年金に加入している。
第二の制度は、ガス&サービスに従事している社員をカバーする旧式のものである。こちらも通常定年は65歳で在籍中の平均収入と退職時までの勤続年数を基に提供される。この制度は障害、早期退職、遺族年金が備えられている。同様に現在は新規加入を受け付けておらず、新入社員は最低勤続年数10年以上で、通常定年65歳、在籍中の平均収入と勤続年数を基に終身年金が提供される確定給付年金制度を利用している。
当該年金もまた障害、早期退職、遺族年金が支給される。両方の制度は内部にて管理されているもののため、ドイツ市場の慣習に従い年金基金へ限定的な財政援助が行われている。
米国では、当社は、通常の年金制度に加えて、退職者に補助的な給付を行っている。米国の制度は、伝統的な最終平均給与を、拠出を継続した者に支給する。退職者は一括払い若しくは生涯年金として受けとるかを選択できる。この制度は、2004年から新規加入者を受け付けておらず、2016年に凍結された。したがって、2004年以降に当社に入社した社員は、確定給付制度により新たな権利を取得することはないが、代わりに2004年以降新規従業員に対して提供されている確定剰余配当制の恩恵を受ける。
新制度は、2017年1月1日に実施された(補足貯蓄制度)。この制度は、基本制度の納税限度額を超える退職加算金を提供するもので、基本貯蓄制度に追加して行われる。これは年間約6百万ドルの費用となる。
23.2. 債務
年金制度及び類似する給付に関連する当グループの債務は、2025年12月31日現在以下のとおりである。
| 2025年 (百万ユーロ) | 確定給付制度 | 退職金支払 | その他長期給付金 | 医療制度 | 合計 |
| A.純負債の変動 | |||||
| 期首純負債 | (837.2) | (163.5) | (18.7) | (24.3) | (1,043.7) |
| (買収)処分/移転 | 0.4 | (0.7) | (0.3) | ||
| (費用)認識された収益 | (40.2) | (13.7) | (2.5) | (0.9) | (57.3) |
| 雇用主拠出 | 78.1 | 11.2 | 3.4 | 1.9 | 94.6 |
| 期間利益(損失) | 53.0 | 10.1 | 0.9 | 64.0 | |
| 為替変動 | 11.9 | 1.9 | 0.4 | 14.2 | |
| 期末純負債 | (734.0) | (154.7) | (17.8) | (22.0) | (928.5) |
| B.費用計上 (2025年) | |||||
| サービス費用 | 13.9 | 10.8 | 2.1 | 0.1 | 26.9 |
| 純確定給付債務に関する利息費用 | 26.3 | 6.0 | 0.7 | 0.8 | 33.8 |
| 数理計算上の損失(利益)の償却 | (0.2) | (0.2) | |||
| 削減/和解 | (3.1) | (0.1) | (3.2) | ||
| 費用(収益)認識 | 40.2 | 13.7 | 2.5 | 0.9 | 57.3 |
| C.債務の現在価値変動(2025年) | |||||
| 期首退職給付債務 | 1,826.4 | 163.8 | 21.6 | 24.5 | 2,036.3 |
| 買収(処分)/移転 | (0.5) | 0.7 | (0.1) | 0.1 | |
| サービス費用 | 13.9 | 10.8 | 2.1 | 0.1 | 26.9 |
| 利息費用 | 62.4 | 6.0 | 0.8 | 0.8 | 70.0 |
| 従業員拠出 | 2.0 | 2.0 | |||
| 削減/和解 | (3.1) | (0.1) | (3.2) | ||
| 給付支払 | (141.3) | (11.3) | (3.4) | (1.9) | (157.9) |
| 数理計算上の損益 | (22.9) | (10.1) | (0.2) | (0.8) | (34.0) |
| 為替変動 | (79.7) | (1.9) | 0.1 | (0.5) | (82.0) |
| 期末債務 | 1,660.3 | 154.9 | 20.8 | 22.2 | 1,858.2 |
| D.従業員給付制度資産(2025年) | |||||
| 期首資産公正価値 | 989.4 | 0.2 | 3.0 | 0.2 | 992.8 |
| 買収(処分)/移転 | |||||
| 従業員給付制度資産からの実収益 | 66.2 | 66.2 | |||
| 雇用主拠出 | 6.9 | 6.9 | |||
| 従業員拠出 | 2.0 | 2.0 | |||
| 給付支払 | (70.2) | (70.2) | |||
| 為替変動 | (67.8) | (67.8) | |||
| 期末資産公正価値 | 926.3 | 0.2 | 3.0 | 0.2 | 929.7 |
| E. 2025期末拠出状況 | |||||
| 債務の現在価値 | (1,660.3) | (154.9) | (20.8) | (22.2) | (1,858.2) |
| 従業員給付制度資産の公正価値 | 926.3 | 0.2 | 3.0 | 0.2 | 929.7 |
| 剰余金管理準備金 | |||||
| 純負債 | (734.0) | (154.7) | (17.8) | (22.0) | (928.5) |
| F.資本認識された数理計算上損益 | |||||
| 期首損益 | 1,003.9 | 3.0 | (0.1) | (1.2) | 1,005.6 |
| 債務損益 | (22.9) | (10.1) | (0.2) | (0.8) | (34.0) |
| 従業員給付制度資産損益 | (30.1) | (30.1) | |||
| 買収(処分)/移転 | |||||
| 為替変動 | (45.2) | (1.2) | 0.4 | (46.0) | |
| 期末損益 (a) | 905.7 | (8.3) | (0.3) | (1.6) | 895.5 |
(a) 資本認識された税別の損益は、2025年12月31日現在において6億5900万ユーロに達した。
年金制度及び類似する給付に関連する当グループの債務は2024年12月31日現在以下のとおりである。
| 2024年 (百万ユーロ) | 確定給付制度 | 退職金支払 | その他長期給付金 | 医療制度 | 合計 |
| A.純負債の変動 | |||||
| 期首純負債 | (856.0) | (158.7) | (19.7) | (25.3) | (1,059.7) |
| (買収)処分/移転 | (2.5) | 0.7 | 0.1 | (1.7) | |
| (費用)認識された収益 | (41.6) | (14.6) | (3.4) | (0.9) | (60.5) |
| 雇用主拠出 | 74.9 | 8.9 | 4.0 | 2.0 | 89.8 |
| 期間利益(損失) | (5.6) | 0.2 | (0.1) | (5.5) | |
| 為替変動 | (6.4) | 0.3 | (6.1) | ||
| 期末純負債 | (837.2) | (163.5) | (18.7) | (24.3) | (1,043.7) |
| B.費用計上 (2024年) | |||||
| サービス費用 | 15.4 | 10.3 | 2.6 | 0.1 | 28.4 |
| 純確定給付債務に関する利息費用 | 26.5 | 5.5 | 0.7 | 0.8 | 33.5 |
| 数理計算上の損失(利益)の償却 | 0.1 | 0.1 | |||
| 削減/和解 | (0.3) | (1.2) | (0.1) | (1.6) | |
| 費用(収益)認識 | 41.6 | 14.6 | 3.4 | 0.9 | 60.5 |
| C.債務の現在価値変動(2024年) | |||||
| 期首退職給付債務 | 1,870.0 | 158.9 | 21.6 | 25.5 | 2,076.0 |
| 買収(処分)/移転 | 2.5 | (0.7) | (0.1) | 1.7 | |
| サービス費用 | 15.4 | 10.3 | 2.6 | 0.1 | 28.4 |
| 利息費用 | 64.7 | 5.5 | 0.8 | 0.8 | 71.8 |
| 従業員拠出 | 2.3 | 2.3 | |||
| 削減/和解 | (0.3) | (1.2) | (1.6) | ||
| 給付支払 | (144.8) | (8.8) | (3.1) | (2.0) | (158.7) |
| 数理計算上の損益 | (10.7) | (0.2) | (0.2) | 0.2 | (10.9) |
| 為替変動 | 27.3 | (0.1) | 27.2 | ||
| 期末債務 | 1,826.4 | 163.8 | 21.6 | 24.5 | 2,036.3 |
| D.従業員給付制度資産(2024年) | |||||
| 期首資産公正価値 | 1,014.3 | 0.2 | 1.9 | 0.2 | 1,016.6 |
| 従業員給付制度資産からの実収益 | 21.8 | 0.1 | 21.9 | ||
| 雇用主拠出 | 7.2 | 1.0 | 8.2 | ||
| 従業員拠出 | 2.3 | 2.3 | |||
| 給付支払 | (77.0) | (77.0) | |||
| 為替変動 | 20.8 | 20.8 | |||
| 期末資産公正価値 | 989.4 | 0.2 | 3.0 | 0.2 | 992.8 |
| E. 2024期末拠出状況 | |||||
| 債務の現在価値 | (1,826.4) | (163.8) | (21.6) | (24.5) | (2,036.3) |
| 従業員給付制度資産の公正価値 | 989.4 | 0.2 | 3.0 | 0.2 | 992.8 |
| 剰余金管理準備金 | (0.2) | (0.2) | |||
| 純負債 | (837.2) | (163.6) | (18.6) | (24.3) | (1,043.7) |
| F.資本認識された数理計算上損益 | |||||
| 期首損益 | 975.9 | 3.5 | 0.1 | (1.5) | 978.0 |
| 債務損益 | (10.7) | (0.2) | (0.2) | 0.2 | (10.9) |
| 従業員給付制度資産損益 | 16.4 | 16.4 | |||
| 剰余金管理積立金の増減額 | 0.3 | (0.4) | (0.1) | ||
| 為替変動 | 22.0 | 0.1 | 0.1 | 22.2 | |
| 期末損益 (b) | 1,003.9 | 3.0 | (0.1) | (1.2) | 1,005.6 |
(a) 資本認識された税別の損益は、2024年12月31日現在において7億4000万ユーロに達した。
上記金額の詳細として、2025年12月31日現在の地域別の内訳は以下のとおり
| 2025年 (百万ユーロ) | 債務 | 予定年金給付 | 引当金(貸借対照表) | 剰余金管理 積立金 |
|---|---|---|---|---|
| ヨーロッパ/アフリカ | (1,176) | 342 | (834) | |
| 南北アメリカ | (650) | 556 | (94) | |
| アジア・太平洋 | (32) | 31 | (1) | |
| 合計 | (1,858) | 929 | (929) | - |
上記金額の詳細として、2024年12月31日現在の地域別の内訳は以下のとおり
| 2024年 (百万ユーロ) | 債務 | 予定年金給付 | 引当金(貸借対照表) | 剰余金管理 積立金 |
|---|---|---|---|---|
| ヨーロッパ/アフリカ | (1,262) | 335 | (927) | - |
| 南北アメリカ | (733) | 622 | (111) | - |
| アジア・太平洋 | (41) | 36 | (6) | - |
| 合計 | (2,036) | 993 | (1,044) | - |
23.3. 主要な仮定
主な割引率は、以下のとおりである。
| 2024年 | 2025年 | |
|---|---|---|
| ユーロ圏 | 3.4 % | 4.0 % |
| カナダ | 4.6 % | 4.9 % |
| 日本 | 1.7 % | 2.5 % |
| スイス | 0.9 % | 1.2 % |
| 米国 | 5.5 % | 5.2 % |
| イギリス | 5.4 % | 5.4 % |
年金資産の期待リターンと主な割引率との間の差異は、以下のとおりである。
| 2025年 | 期待運用率(a) | 2024年の割引率 | 影響(bp) |
|---|---|---|---|
| ユーロ圏 | 5.4 % | 3.4 % | (200) |
| カナダ | 5.6 % | 4.6 % | (100) |
| 日本 | 3.3 % | 1.7 % | (160) |
| スイス | 6.7 % | 0.9 % | (580) |
| 米国 | 6.4 % | 5.5 % | (90) |
| イギリス | 5.4 % | 5.4 % |
(a) 長期的資産の期待運用率は、各国におけるポートフォリオの資産配分を考慮に入れて決定されている。
| 2024年 | 期待運用率(a) | 2023年の割引率 | 影響(bp) |
|---|---|---|---|
| ユーロ圏 | 0.3 % | 3.2 % | 290 |
| カナダ | 13.9 % | 4.7 % | (920) |
| 日本 | 9.9 % | 1.5 % | (840) |
| スイス | 16.9 % | 1.4 % | (1,550) |
| 米国 | 0.8 % | 5.0 % | 420 |
| イギリス | 0.4 % | 4.5 % | 410 |
(a) 長期的資産の期待運用率は、各国におけるポートフォリオの資産配分を考慮に入れて決定されている。
23.4. 年金資産に対する期待運用損益の詳細
| (百万ユーロ) | 2024年 | 2025年 |
|---|---|---|
| 債務の現在価値に係る経過損益 | 15 | 16 |
| 仮定の変更に関する現在価値の損益 | (4) | 18 |
| 資産の公正価値に係る経過損益 | (16) | 30 |
金融資産の実績損益の詳細
| 2025年(百万ユーロ) | 期待運用収益 | 実績運用収益 | 損益 |
|---|---|---|---|
| ヨーロッパ/アフリカ | 6.9 | 17.8 | 10.9 |
| 南北アメリカ | 28.5 | 47.1 | 18.6 |
| アジア・太平洋 | 0.6 | 1.1 | 0.5 |
| 合計 | 36.0 | 66.0 | 30.0 |
| 2024年(百万ユーロ) | 期待運用収益 | 実績運用収益 | 損益 |
|---|---|---|---|
| ヨーロッパ/アフリカ | 8.1 | (3.8) | (11.9) |
| 南北アメリカ | 29.6 | 24.9 | (4.7) |
| アジア・太平洋 | 0.6 | 0.8 | 0.2 |
| 合計 | 38.3 | 21.9 | (16.4) |
23.5. 退職給付制度のリスク分析
割引率その他の変動要因に対する感応性
確定給付年金に関する債務の現在価値は割引された推定の将来キャッシュ・フローによって測定される。割引率は、国債、又は金融市場が十分に流動的な場合にはその時々の様々な償還期間の高格付け社債をもとに決定されている。
割引率の変更により、グループの債務の現在価値及びその年に計上される経費が大きく変更される可能性がある。債務額は、より少ない限度において、退職年齢の法的な変更や公の死亡率統計表と同様に、賃金改定やインフレ率によって影響を受ける。
0.25%の割引率減少が債務に与える影響
| 2025/12/31現在の債務に与える影響値(百万ユーロ) | 2025/12/31現在の総債務に対する割合 | |
|---|---|---|
| ヨーロッパ/アフリカ | 30 | 2.6 % |
| 南北アメリカ | 13 | 2.0 % |
| アジア・太平洋 | 1 | 2.6 % |
| 合計 | 44 | 2.4 % |
| 2024/12/31現在の債務に与える影響値(百万ユーロ) | 2024/12/31現在の総債務 に対する割合 | |
|---|---|---|
| ヨーロッパ/アフリカ | 33 | 2.6 % |
| 南北アメリカ | 14 | 1.9 % |
| アジア・太平洋 | 1 | 1.3 % |
| 合計 | 48 | 2.4 % |
0.25%の割引率上昇が債務に与える影響
| 2025/12/31現在の債務に与える影響値(百万ユーロ) | 2025/12/31現在の総債務 に対する割合 | |
|---|---|---|
| ヨーロッパ/アフリカ | (29) | -2.5 % |
| 南北アメリカ | (13) | -1.9 % |
| アジア・太平洋 | (1) | -2.5 % |
| 合計 | (43) | -2.3 % |
| 2024/12/31現在の債務に与える影響値(百万ユーロ) | 2024/12/31現在の総債務に対する割合 | |
|---|---|---|
| ヨーロッパ/アフリカ | (32) | -2.5 % |
| 南北アメリカ | (14) | -1.9 % |
| アジア・太平洋 | (2) | -4.2 % |
| 合計 | (48) | -2.3% |
年金資産の価値の市況に対する感応性
拠出要件に従う当グループの確定給付年金のために、年金資産の公正価値は、主に利子率、年金資産のパフォーマンス及び現地規制の改正に依存している。これらの変動要因がマイナスに変わった場合には、適時に当グループの追加的な拠出が必要とされる。
年金資産は、株式、債券その他の一般に市場変動に従う資産からなる。金融市場の下落局面では、確定給付制度の純負債が増加する。年金資産の充足率はそれに従って下落し、適時に当グループの追加的な拠出を必要とすることになる。
当グループ内では、特に投資委員会や、対象となる社会的責任に基づくパフォーマンスと配分のモニタリングを通じて、年金資産が地域レベルで試験的に運用・管理されている。
| 2025年 (百万ユーロ) | 株式 | 債券 | 不動産 | 現金 | その他 | 合計 | ||||||
| 金額 | % | 金額 | % | 金額 | % | 金額 | % | 金額 | % | 金額 | % | |
| ヨーロッパ/アフリカ | 83 | 24.2 % | 16 | 4.8 % | 103 | 30.2 % | 8 | 2.3 % | 131 | 38.5 % | 341 | 100.0 % |
| 南北アメリカ | 98 | 17.6 % | 346 | 62.2 % | 12 | 2.1 % | 3 | 0.5 % | 98 | 17.6 % | 557 | 100.0 % |
| アジア・太平洋 | 4 | 12.3 % | 22 | 70.0 % | 1.3 % | 4 | 13.5 % | 1 | 2.9 % | 31 | 100.0 % | |
| 合計 | 185 | 384 | 115 | 15 | 230 | 929 | ||||||
| 2024年 (百万ユーロ) | 株式 | 債券 | 不動産 | 現金 | その他 | 合計 | ||||||
| 金額 | % | 金額 | % | 金額 | % | 金額 | % | 金額 | % | 金額 | % | |
| ヨーロッパ/アフリカ | 81 | 24.2 % | 15 | 4.6 % | 98 | 29.1 % | 10 | 3.0 % | 131 | 39.1 % | 335 | 100.0 % |
| 南北アメリカ | 135 | 21.7 % | 373 | 59.9 % | 28 | 4.5 % | 7 | 1.1 % | 79 | 12.8 % | 622 | 100.0 % |
| アジア・太平洋 | 4 | 12.3 % | 26 | 73.3 % | 1 | 1.4 % | 4 | 10.0 % | 1 | 3.1 % | 36 | 100.0 % |
| 合計 | 220 | 414 | 127 | 21 | 211 | 993 | ||||||
注記24 借入金
本注記は、当グループの借入金明細に関する情報を金融商品別に記載している。金融商品ならびに為替及び金利リスクのエクスポージャーに関する詳細は、注記25を参照。
純負債計算
| 2024年12月31日 | 2025年12月31日 | |
| (百万ユーロ) | ||
| 固定借入金 | (8,403.1) | (10,030.0) |
| 短期借入金 | (2,671.4) | (2,347.5) |
| 合計総負債 | (11,074.5) | (12,377.5) |
| 現金及び現金同等物 | 1,915.3 | 3,962.0 |
| 期末の総負債(純額) | (9,159.2) | (8,415.5) |
純負債増減計算書
| 2024年 | 2025年 | |
| (百万ユーロ) | ||
| 期首純負債 | (9,220.9) | (9,159.2) |
| 営業活動による純キャッシュ・フロー | 6,322.2 | 6,518.4 |
| 投資活動による純キャッシュ・フロー | (3,583.4) | (3,751.0) |
| 借入金の増減を除いた財務活動による純キャッシュ・フロー(純額) | (2,322.6) | (2,227.4) |
| 純キャッシュ・フロー合計 | 416.2 | 540.0 |
| 為替相場変動、新規買収会社の期首借入金等の影響 | (134.2) | 386.6 |
| 純金融費用調整 (a) | (220.3) | (182.9) |
| 純負債の増減 | 61.7 | 743.7 |
| 期末の総負債(純額) | (9,159.2) | (8,415.5) |
当グループの純債務の詳細は以下のとおりである。
| (百万ユーロ) | 2024年 | 2025年 | ||||
| 帳簿価額 | 帳簿価額 | |||||
| 非流動 | 流動 | 合計 | 非流動 | 流動 | 合計 | |
| 社債 | 7,362.1 | 1,049.1 | 8,411.2 | 8,788.0 | 1,032.5 | 9,820.5 |
| コマーシャル・ペーパー | 352.6 | 352.6 | 533.2 | 533.2 | ||
| 銀行借入金 | 1,006.2 | 1,250.0 | 2,256.2 | 1,201.0 | 781.8 | 1,982.8 |
| 少数株主持分のプット・オプション | 34.8 | 19.7 | 54.5 | 41.0 | 41.0 | |
| 借入金合計(A) | 8,403.1 | 2,671.4 | 11,074.5 | 10,030.0 | 2,347.5 | 12,377.5 |
| 1年以内満期の貸付金 | 32.4 | 32.4 | 17.4 | 17.4 | ||
| 短期の市場性のある有価証券 | 329.5 | 329.5 | 1,610.1 | 1,610.1 | ||
| 銀行預金 | 1,553.4 | 1,553.4 | 2,334.5 | 2,334.5 | ||
| 現金及び現金同等物合計(B) | 1,915.3 | 1,915.3 | 3,962.0 | 3,962.0 | ||
| 純債務(A)-(B) | 8,403.1 | 756.1 | 9,159.2 | 10,030.0 | (1,614.5) | 8,415.5 |
資金調達源を分散させるという当グループの方針に従って、債務は長期債及び私募債が主たる資金調達源であり、2025年12月31日現在の総債務の79%を占めている。2025年末現在でこれらの資金調達源に基づく債券残高は98億ユーロである。
コマーシャル・ペーパー残高は、2025年12月31日現在5億ユーロであり、2024年12月31日時点と比べて増加している。
総債務は、13億ユーロ増加した。社債債務は、14億ユーロ増加した。実際、2025年に満期を迎える債券や早期に償還された債券の発行は部分的にしか更新されなかったが、2026年1月13日に完了したDIG Airgasの買収資金を調達するため、2025年11月に新たなマルチトランシェ債が発行された。さらに、銀行借入金は3億ユーロ減少した。
2025年に、Air Liquide Financeにより以下の2本の社債が発行され、当社により保証されている。
■ エネルギー転換の資金調達を目的とした5億ユーロのグリーンボンド。満期は2035年3月21日(10年)、再注文利回りは3.57%(利率3.50%)。
■ DIG Airgasの買収資金調達を目的とした21億5,000万ユーロのマルチトランシェ債:
- 4億ユーロの変動金利債、満期2027年11月5日(2年)、3か月物の欧州銀行間取引金利を基準として+0.23%の利率、
- 5億ユーロの固定金利債、満期2029年11月5日(4年)、再注文利回り2.641%(利率2.625%)、
- 5億ユーロの固定金利債、満期2033年5月5日(7.5年)、再注文利回り3.115%(利率3.00%)、
- 7億5000万ユーロの固定利付債、満期2037年11月5日(12年)、再注文利回り3.512%(利率3.50%);
これらと入れ替わりに、Air Liquide Financeは以下を返済した。
■ 2025年3月31日に満期を迎える、1億ユーロの私募債
■ 2020年に発行され2025年4月2日に満期を迎える社債で、当初は5億ユーロで発行されたものの、2023年に繰上償還が行われたため、額面金額は3億7200万ユーロに減少した社債
■ 2015年に発行され、2025年6月3日に満期を迎える、5億ユーロの社債
貸借対照表上の借入金の帳簿価額の詳細は、以下のとおりである。
| (百万ユーロ) | 2024年 | 2025年 | ||
| 帳簿価額 | 発行価格(a) | 償却原価調整(b) | 帳簿価格 (a)+(b) | |
| EMTNプログラム | 5,696.0 | 7,450.0 | 30.1 | 7,480.1 |
| EMTNプログラム外 | 2,043.8 | 1,801.0 | 5.8 | 1,806.8 |
| EMTNプログラム私募債 | 574.1 | 440.0 | 7.8 | 447.8 |
| EMTNプログラム外の私募債 | 97.3 | 85.0 | 0.8 | 85.8 |
| 私募債合計 | 8,411.2 | 9,776.0 | 44.5 | 9,820.5 |
| コマーシャル・ペーパー | 352.6 | 535.3 | (2.1) | 533.2 |
| 銀行借入金その他金融債務 | 2,256.2 | 1,975.7 | 7.1 | 1,982.8 |
| 少数株主に付与されたプット・オプション | 54.5 | 41.0 | 41.0 | |
| 長期借入金 | 11,074.5 | 12,328.0 | 49.5 | 12,377.5 |
(a) 額面
(b) 償却原価には未払利息が含まれる。
24.1. 金融資産及び負債の帳簿価額及び公正価値
帳簿価額が公正価値と異なる金融資産及び金融負債は、ヘッジされていない固定金利借入金である。
| (百万ユーロ) | 2024年 | 2025年 | ||
| 帳簿価額 | 公正価値 | 帳簿価額 | 公正価値 | |
| 金融負債 | ||||
| 長期借入金 | 8,403.1 | 7,797.2 | 10,030.0 | 9,437.0 |
当グループの金融商品の公正価値は、非流動性の観点から市場価値を適切に見積もることができる金融市場データを用いて計算される。この評価手法は、IFRS第13号によるレベル1(活発な市場で取引される価格)である。
満期までの期間が短いことから、その他の債務、サプライヤー債務及び売上債権は、帳簿価額に近い公正価値を有している。
24.2. 借入金の満期
年間の借換え需要を制限するため、長期負債(社債、私募債、銀行与信枠)の満期を分散するのが当グループのポリシーである。
| 2025年 (百万ユーロ) | 元本 金額 | 帳簿 価額 | 満期 | |||||||||
| 要求 払い | 1年 未満 | 1年以上から5年以下 | 5年超 | |||||||||
| 2027 | 2028 | 2029 | 2030 | 2031 | 2032 | 2033 | 2033 以降 | |||||
| 社債及び私募債 | 9,776.0 | 9,820.5 | 1,032.5 | 1,084.1 | 997.9 | 1,021.4 | 1,094.5 | 605.4 | 595.1 | 993.9 | 2,395.7 | |
| コマーシャル・ペーパー | 535.3 | 533.2 | 533.2 | |||||||||
| 銀行借入金と当座貸越、その他財務借入 | 1,975.7 | 1,982.8 | 781.8 | 322.3 | 333.8 | 190.0 | 156.5 | 131.9 | 43.6 | 13.7 | 9.2 | |
| 少数株主に付与されたプット・オプション | 41.0 | 41.0 | 41.0 | |||||||||
| 借入金合計 | 12,328.0 | 12,377.5 | 41.0 | 2,347.5 | 1,406.4 | 1,331.7 | 1,211.4 | 1,251.0 | 737.3 | 638.7 | 1,007.6 | 2,404.9 |
| 2024年 (百万ユーロ) | 元本 金額 | 帳簿 価額 | 満期 | |||||||||
| 要求 払い | 1年 未満 | 1年以上から5年以下 | 5年超 | |||||||||
| 2026 | 2027 | 2028 | 2029 | 2030 | 2031 | 2032 | 2032 以降 | |||||
| 社債及び私募債 | 8,370.5 | 8,411.2 | 1,049.1 | 1,048.6 | 694.5 | 997.0 | 577.9 | 1,093.2 | 618.9 | 594.4 | 1,737.7 | |
| コマーシャル・ペーパー | 354.4 | 352.6 | 352.6 | |||||||||
| 銀行借入金と当座貸越、その他財務借入 | 2,242.8 | 2,256.2 | 1,250.0 | 256.5 | 302.6 | 183.7 | 127.4 | 77.3 | 54.7 | 2.5 | 1.6 | |
| 少数株主に付与されたプット・オプション | 54.5 | 54.5 | 34.8 | 19.7 | ||||||||
| 借入金合計 | 11,022.2 | 11,074.5 | 34.8 | 2,671.4 | 1,305.1 | 997.1 | 1,180.7 | 705.3 | 1,170.5 | 673.6 | 596.9 | 1,739.3 |
24.3. 総負債の固定金利部分(1)
| (固定金利の債務合計に占める割合) | 2024年 | 2025年 |
|---|---|---|
| ユーロ債務 | 97% | 81% |
| 米ドル債務 | 80% | 100% |
| 中国人民元債務 | 79% | 86% |
| 日本円債務 | 100% | 100% |
| 台湾ドル債務 | 88% | 86% |
| 債務合計 | 88% | 89% |
2025年12月31日時点で、固定金利負債は、債務合計の89%を占めていた。
(1) 金利スワップを含む。
24.4. 社債の詳細
以下の表は、2025年12月31日現在、当グループが発行している社債の主たる特徴の詳細である。これらは、当グループの負債の79%に相当する(2024年12月31日は76%)。
| 通貨 | 額面 (百万) | 発行日 | 満期 | 発行者 | クーポン |
|---|---|---|---|---|---|
| ユーロ | 500 | 2025 | 2035 | AL Finance | 3.500% |
| ユーロ | 400 | 2025 | 2027 | AL Finance | Euribor 3M +0.23% |
| ユーロ | 500 | 2025 | 2029 | AL Finance | 2.625% |
| ユーロ | 500 | 2025 | 2033 | AL Finance | 3.000% |
| ユーロ | 750 | 2025 | 2037 | AL Finance | 3.500% |
| ユーロ | 500 | 2024 | 2034 | AL Finance | 3.375% |
| ユーロ | 600 | 2022 | 2032 | AL Finance | 2.875% |
| ユーロ | 500 | 2021 | 2033 | AL Finance | 0.375% |
| ユーロ | 500 | 2021 | 2031 | AL Finance | 0.375% |
| ユーロ | 500 | 2020 | 2030 | AL Finance | 1.375% |
| ユーロ | 600 | 2019 | 2030 | AL Finance | 0.625% |
| ユーロ | 600 | 2017 | 2027 | AL Finance | 1.000% |
| ユーロ | 1,000 | 2016 | 2028 | AL Finance | 1.250% |
| ユーロ | 100 | 2014 | 2029 | AL Finance | 3.000% |
| ユーロ | 150 | 2014 | 2026 | AL Finance | 3.000% |
| 米ドル | 500 | 2019 | 2029 | AL Finance | 2.250% |
| 米ドル | 682 | 2016 | 2046 | AL Finance | 3.500% |
| 米ドル | 935 | 2016 | 2026 | AL Finance | 2.500% |
| 米ドル | 100 | 2012 | 2027 | AL Finance | 3.460% |
| 日本円 | 20,000 | 2023 | 2031 | AL Finance | 0.829% |
| 日本円 | 15,000 | 2008 | 2038 | AL Finance | 3.160% |
24.5. 通貨ごとの純債務
当グループは、主に債務の返済で生じるキャッシュ・フローの通貨で債務を生じさせることによって、自然的ヘッジを使用して為替変動へのエクスポージャーを軽減している。多くの国、とりわけユーロ、米ドル、日本円及び中国人民元圏外の国では、販売契約が外国通貨で表示されている場合、現地通貨又は外国通貨(ユーロ又は米ドル)のいずれかで資金調達を行っている。他の外国通貨での債務は主として、台湾ドル、南アフリカランド、カナダドルである。
当グループ内複数通貨建て資金調達の一部として、中央財務部が、金融市場で調達した資金を、子会社に対して子会社の機能通貨やキャッシュ・フロー通貨で融通するために、さまざまな通貨に転換している。このヘッジ・ポートフォリオの明細は以下の表のとおりである。
これにより、ユーロで調達した資金の一部は、在外子会社に融資するため、他の通貨に転換された。例えば、24億1850万ユーロ相当が最初に米ドルによって起債され、5億6320万ユーロ相当が通貨スワップ契約を通じて米ドルから他の通貨に転換されたため、当初の総負債は減少した。最終的に、2億3350万ユーロ相当が米ドル建ての現金として保有された結果、調整後の米ドル建て純負債は16億2180万ユーロ相当となった。
| 2025年 (百万ユーロ) | 債務当初 発行総額 | 金利及び通貨スワップ | 現金及び 現金同等物 | 調整後純債務 |
|---|---|---|---|---|
| ユーロ | 8,264.1 | (3.3) | (2,852.2) | 5,408.6 |
| 米ドル | 2,418.5 | (563.2) | (233.5) | 1,621.8 |
| 日本円 | 192.6 | 23.4 | (43.2) | 172.8 |
| 中国人民元 | 684.7 | (41.7) | (304.0) | 339.0 |
| 台湾ドル | 586.9 | - | (26.0) | 560.9 |
| その他の通貨 | 230.7 | 584.8 | (503.1) | 312.4 |
| 合計 | 12,377.5 | - | (3,962.0) | 8,415.5 |
| 2024年 (百万ユーロ) | 債務当初 発行総額 | 金利及び通貨スワップ | 現金及び 現金同等物 | 調整後純債務 |
|---|---|---|---|---|
| ユーロ | 6,700.1 | (1,365.6) | (661.3) | 4,673.2 |
| 米ドル | 2,511.5 | 520.7 | (270.2) | 2,762.0 |
| 日本円 | 217.2 | 67.3 | (12.0) | 272.5 |
| 中国人民元 | 569.7 | (5.9) | (455.2) | 108.6 |
| 台湾ドル | 548.7 | - | (27.8) | 520.9 |
| その他の通貨 | 527.3 | 783.5 | (488.8) | 822.0 |
| 合計 | 11,074.5 | - | (1,915.3) | 9,159.2 |
24.6. 純負債調達コストの明細
純負債は金融市場における最初の総債務、子会社に資金を融通するためのその債務の外国通貨へのスワップ、そして余剰現金ポジションにより左右される。以下の表に記載された純負債の平均費用は、これらの様々な要素、つまり、金融費用、償却、受入手数料、外国為替取引に関する収益費用及び余剰現金に関わる収益費用といったものを考慮している。
| (百万ユーロ) | 2024年 | 2025年 | ||||
| 平均負債残高 | 純利子 | 平均純調達コスト | 平均負債残高 | 純利子 | 平均純調達コスト | |
| ユーロ | 4,660.8 | 107.1 | 2.3% | 5,192.6 | 108.7 | 2.1% |
| 米ドル | 2,777.9 | 140.2 | 5.0% | 2,266.8 | 117.5 | 5.2% |
| 日本円 | 319.8 | 3.5 | 1.1% | 238.5 | 3.4 | 1.4% |
| 中国人民元 | 273.8 | 17.4 | 6.4% | 370.6 | 21.0 | 5.7% |
| 台湾ドル | 483.0 | 12.1 | 2.5% | 596.9 | 15.8 | 2.6% |
| その他の通貨 | 1,012.8 | 45.1 | 4.5% | 587.5 | 35.2 | 6.0% |
| 合計 | 9,528.1 | 325.4 | 3.4% | 9,252.9 | 301.6 | 3.3% |
| 資本化された利子 | (67.0) | (59.1) | ||||
| 総計 | 258.4 | 242.5 | ||||
純金融費用は、資本化された利子及び経常外費用を除き、2380万ユーロ減少した。これは、2025年の平均債務残高の3.3%に相当する。
IAS7.35に従い、キャッシュ・フロー計算書における純負債費用は、税引後で表示される。
24.7. その他の財務に関する情報
3つの財務コベナンツは、5000万ユーロを超える銀行の債務に伴うものである。これらは、2025年12月31日現在で総額2億3500万ユーロの長期融資であり、AL Arabia (サウジアラビア)、AL Munay Tech Gases (カザフスタン)及びAL Far Eastern (台湾)が1件ずつ融資を受けているものである。財務コベナンツは2025年12月31日時点で全て充足されている。
財務コベナンツを伴う銀行借入総額は、2025年12月31日時点のグループの総負債の3.7%であった。
2025年12月31日現在の社債帳簿価格を構成するAir Liquide Financeにより発行された社債は、2031年9月に満期を迎える日本円で200億円(1億900万ユーロ相当)の私募債を除き、支配権変更条項を含んでいる。
注記25 財務リスク方針及びリスク管理
25.1. 財務リスク管理
リスク管理は当グループにとって優先事項である。それゆえ、財務管理部はそのガバナンスを財務戦略委員会及び財務管理委員会に委ねている。
財務部は、財務戦略委員会に対して定期的に報告を行っており、その財務戦略委員会による決定に基づいて、主要な財務リスクを中心に管理している。財務部は、投資決定に関わる国及び顧客のリスク分析も行っており、投資委員会の会議に出席している。
当社が採用している財務方針は、当グループとその子会社のリスクを最小化するために設定されており、サステナブルな資金調達源を確保することを可能にしている。債務の満期スケジュールに関わるリファイナンスのリスクを最小化するため、当グループは資金調達先を多様化させ、返済期間も数年に分散させている。2025年の平均債務償還年数は5.6年であった。2025年12月31日現在、長期借入金(1年超で満期を迎える借入金総額)は当グループ全体の借入金残高の81%を占めていた(2024年12月31日現在では76%)。
当社の財務管理委員会によって承認されている金利スワップ、コモディティ及び外国為替ヘッジに関する戦略は、市場の状況によって決定されており、一方でプルーデンス及びリスク限定の原則に従っている。交渉による市場操作は、フランス銀行連合(FBF)契約又は国際スワップデリバティブ協会(ISDA)契約に準拠することができる。これらには担保設定コミットメントやマージンコールは含まれない。
また、当グループは、主要な国際格付機関が発行する格付けや、これらのカウンターパーティーに関連するリスクの水準を定期的にモニタリングすることにより、銀行及び顧客のカウンターパーティー・リスクに継続的に注意を払っている。2018年に設置された社内格付制度は、主要な格付機関の情報が入手できない場合に最も重要な顧客に使用される。
a) 為替リスク
基本原則
金融商品は、取引に基づく為替リスクをヘッジする目的でのみ利用されている。このリスクには、一定の特許権使用料、配当取引、グループ間の貸借によって生じる外貨建てのキャッシュ・フロー及び機能通貨以外の外貨による事業体の外貨建て営業キャッシュ・フローが含まれている。これらの外貨建て営業キャッシュ・フローは、わずかに増加しているが、連結収益と比べて重要性のある金額ではない。
特許権使用料、配当取引及び外貨建てのグループ間の貸借に係る為替リスクは、最長で18か月の為替先物予約やオプション取引を使用して中央財務部によって毎年ヘッジされている。
事業体の外貨建てのキャッシュ・フローは、子会社が1年に1回の予算の一環として外貨建ての経常的なフローを受け取るか、エンジニアリング&テクノロジーの場合の非経常フローに関しては販売・調達契約の締結日に外貨建てで保有することによって、ヘッジされている。およそ100の子会社が為替リスクにさらされている。これらの子会社は主として、現地法により規制される国を除き、Air Liquide Finance(ヘッジ取引の内部的な相手方)と為替先物予約を締結してヘッジしている。これらの契約の多くは、満期が短期(3から12か月)でフランス銀行連合(FBF)の基本同意書又は現地事業については国際スワップデリバティブ協会(ISDA)によって定型化されている市場取引である。これらには、担保付コミットメント又はマージンコールは含まれていない。
期末に予算が作成される時、子会社は翌期の営業キャッシュ・フローのヘッジのために、外国為替リスクを本社財務部門に報告している。いずれの場合も、本社財務部門は確認されたリスクに基づいてヘッジの妥当性を監視し、半期ごとに全てのヘッジの全面的な再評価を行っている。
外国為替換算リスク(現金資産・負債のユーロへの統合)はヘッジの対象ではない。その結果、投資は基本的にキャッシュ・フローを生み出す通貨と同じ通貨により資金を調達しており、自然に為替ヘッジが生じている。
デリバティブに対する外国通貨の変動の影響
下記の表は、2025年12月31日現在の為替レートが10%変動した場合の当グループの為替デリバティブのポートフォリオに対する影響を示している。純利益及び資本の感度は主として、子会社Air Liquide Financeのグループ内資金調達に関連する為替スワップ、本社レベルで契約された先物為替取引ヘッジの影響を反映している。
| (百万ユーロ) | 為替リスク | |||
| +10% | -10% | |||
| 損益 インパクト | 株主資本 インパクト | 損益 インパクト | 株主資本 インパクト | |
| 為替に係るデリバティブ商品 | — | 205.6 | — | (205.6) |
念のため補足すると、DIG Airgasの買収代金は韓国ウォンで支払われた。その資金調達については、当グループのユーロ・ミディアム・ターム・ノート(EMTN)に基づき、21億5000万ユーロの社債を発行して行われた。2025年11月にユーロ建てで調達した資金は、2026年1月に韓国ウォンに換算され、買収代金の支払いに充てられた。買収は2026年1月13日に完了した。
この買収価格を保護するため、当グループは買収契約締結時に、条件付先物取引を通じてユーロ/韓国ウォンの為替リスクをヘッジした。当該条件は、韓国の競争当局である韓国公正取引委員会(KFTC)による買収承認であったが、2025年12月18日に解除された。これらの金融商品は、契約締結から2026年1月13日の買収完了までの間、買収価格をヘッジするために使用された。
b) 金利リスク
基本原則
当社の主要な通貨であるユーロ、米ドル及び日本円に対する金利リスク管理は集中化されている。これらの通貨は2025年末の当グループの純負債合計のおよそ86%に相当する。その他の通貨については、財務部門が銀行の貸付や現地の金融市場の特性にしたがって子会社が契約すべき異なるタイプの銀行借入やヘッジ取引についての助言を行っている。
債務合計の大部分を固定金利で維持すること及び残りの残高を、オプションヘッジを利用して保護することが当グループの方針である。このアプローチにより、当グループは金融費用に係る金利変動の影響を限定的にすることができる。
2025年末において、債務合計の89%が固定金利である。固定金利/変動金利の内訳は、金利及びグループの債務の水準の変動を考慮して、定期的に財務委員会が見直している。
変動金利の負債のコストに対する金利変動の影響
2025年12月31日時点で、金利上昇リスクにさらされている当グループの純負債は、年間平均残高7億ユーロ(金利ヘッジ商品と短期有価証券について調整後の債務総額)について、約9900万ユーロ相当であり、2024年12月31日の平均残高7億ユーロに比べて安定している。
全ての利回り曲線において金利が100bp(±1%)増減すると、変動金利の債務残高が一定であると仮定して、当グループの年間の借入コスト(金融費用に計上)はおよそ±7百万ユーロ増減することになる。
デリバティブ及びそれらを基礎とするヘッジ商品に対する金利変動の影響
下記の表は、2025年12月31日時点で、金利デリバティブ商品が全ての外貨の金利が1%変動した場合、当グループの純利益及び株主資本の影響を示している。
| (百万ユーロ) | 金利リスク | |||
| +1.0% | -1.0% | |||
| 損益 インパクト | 株主資本 インパクト | 損益 インパクト | 株主資本 インパクト | |
| 金利変動に係るデリバティブ商品 | — | 85.1 | — | (91.4) |
Air Liquide Financeは、短期金融(コマーシャルペーパー)に適用される2025年の変動金利の上昇及びその他の変動金利リスクにさらされることから当グループを保護するため、24億5000万ユーロ及び4億5000万米ドルについて6件の確定ヘッジを設定した。
金利リスク又は為替リスクを管理するために利用される全てのヘッジ商品は、個別に認識されたリスクに関連するものであり、当グループの財務方針にしたがって設定されている。株主資本への影響は、主にAir Liquide Financeの子会社の契約による固定金利ヘッジ商品からの影響による。
c) 取引先リスク
エア・リキードにとって取引先リスクには、潜在的に顧客及び銀行取引先が含まれる。
当グループは、広範囲の産業(化学、鉄鋼、精錬、食品、製薬、金属、自動車、製造、ヘルスケア事業、研究所、エレクトロニクス事業など)において、広範囲な地域に散在する2百万以上の顧客を有している。2025年、当グループの主要顧客は売上の2%程度を占め、主要な10社の売上は全体の約12%、主要な50社で約28%程度である。地理的なリスクは、当グループが全ての大陸の世界59カ国(1)をカバーしていることによって限定されている。この多様性は顧客リスク及び市場リスクを低下させている。
このリスクをさらに評価するために、当グループは、主要な顧客の財務状況を定期的に監視する手続を採用し、連結リスクに関連する監視のため多国籍企業150社の顧客の毎月のレポートを開始した。
さらに、顧客リスク評価、特に顧客の現場の品質は、投資決定プロセスにおいて重要な要素である。
銀行取引先リスクは、預金残高、当座預金、金融商品の市場価格と、各銀行と契約している信用枠に関係するものである。財務方針に基づいて、当グループはほとんどの場合において取引先に対して、金融商品の契約を行う場合には、ムーディーズによる長期「A2」の格付けを要求している。当グループの信用枠も、これらの格付要件を満たしつつ、リスクの集中を回避するために地理的に分散した複数の銀行に分散されている。財務管理委員会は、金融商品と取引先銀行の一覧表を定期的にチェックし承認している。短期運用資産に関しては、残高は取引先毎に厳しく制限されており、日常的に監査を受けている。
IFRS第13号の公正価値の測定は、通貨・利率・コモディティのヘッジ商品の評価は、これらの取引に係る取引先のクレジット・リスクを考慮に入れなければならないとしている。前述の取引先の選別基準を考慮すると、社債スプレッドメソッドを適用した結果、定期的な評価に対する効果は、重要性を有しない。
(1) 但し2022年9月1日に支配権を失ったため連結対象から外れたロシアを除く。
d) 流動性リスク
年間の借換え需要の集中を避けるため、長期負債の満期日は分散させるのが当グループの財務方針である。この流動性リスクは、信用枠の準備及び事業活動から発生する安定したキャッシュ・フローによっても低減される。注記24.7に記載されている財務契約は、当グループの流動性に影響は無い。
コマーシャル・ペーパーによる短期資金調達の簿価は、2025年12月31日現在で5億3320万ユーロであり、2024年末に比べて1億8100万ユーロの増加である。コマーシャル・ペーパーの平均価額は、2024年の10億2500万ユーロに比べ、2025年は128万8000ユーロとなった。
当グループの財務ポリシーでは、コマーシャル・ペーパー・プログラムは確定した長期のコミットメントラインに裏打ちされている必要がある。2025年において、4,000百万ユーロのコミットメントラインは、大幅にコマーシャル・ペーパー残高を上回り、このポリシーは達成されている。
下記の表は、相対及びシンジケートによるクレジットラインの満期を示す。
| (百万ユーロ) | 2026 | 2027 | 2028 | 2029 | 2030 | 2031 | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 相対及びシンジケートによるクレジットライン | 80 | - | 770 | - | 3,150 | - | 4,000 |
相対融資やシンジケートローンに加え、2025年8月、エア・リキードはDIG Airgas買収案件の一環として30億ユーロのブリッジローンを締結した。このローンは、買収資金の調達に伴い、2025年11月5日に21億5000万ユーロ減額された。その結果、2025年12月31日現在、このブリッジローンの利用可能残高は8億5000万ユーロとなっている。
当グループが銀行預金以外の短期金融投資を行う場合、流動性がないことや大きな価格変動のリスクを限定するため、組織的に通貨代替物を選好している。
下記の表は、主な貸借対照表項目の将来キャッシュ・フローと金融デリバティブの過去2事業年度末に認識された金額を示している。利息フローはIFRS第7号に基づいて計算されており、それぞれの期間の支払利息を表示している。変動金利又は外国為替商品からの利息については、2024年12月31日及び2025年12月31日の貸借対照日における利率と為替レートを使用している。債務の返済義務に関わるキャッシュ・フローは、借入に適用される会計処理とヘッジ商品の除外のために、当グループの貸借対照表で認識されている額とは異なっている。
| 2025年 (百万ユーロ) | 2025年 12月31日の 帳簿価額 | キャッシュ・フロー | |||||
| 1年内 | 1年から5年の間 | 5年超 | |||||
| 利息 | 元本返済 | 利息 | 元本返済 | 利息 | 元本返済 | ||
| デリバティブ商品 | |||||||
| 資産 | |||||||
| デリバティブ公正価値(資産) | 154.1 | 26.6 | 245.5 | 140.7 | 650.5 | 93.8 | 1,210.9 |
| 負債 | |||||||
| デリバティブ公正価値(負債) | (225.6) | (40.9) | (340.7) | (180.2) | (607.5) | (111.1) | (1,207.6) |
| デリバティブ商品小計 | (14.3) | (95.2) | (39.5) | 43.0 | (17.3) | 3.3 | |
| 資産 | |||||||
| 貸付金及びその他非流動債権 | |||||||
| 売掛金 | 2,866.5 | 2,866.5 | |||||
| 現金及び現金同等物 | 3,962.0 | 14.7 | 3,947.3 | ||||
| 資産小計 | 14.7 | 6,813.8 | |||||
| 負債 | |||||||
| 非流動負債 | (10,030.0) | (187.8) | (701.4) | (5,220.2) | (726.7) | (4,771.8) | |
| その他非流動負債 | (630.7) | (630.7) | |||||
| 買掛金 | (3,004.1) | (3,004.1) | |||||
| 流動負債 | (2,347.5) | (55.9) | (2,261.7) | ||||
| 負債小計 | (243.7) | (5,265.8) | (701.4) | (5,850.9) | (726.7) | (4,771.8) | |
| 2024年 (百万ユーロ) | 2024年 12月31日の 帳簿価額 | キャッシュ・フロー | |||||
| 1年内 | 1年から5年の間 | 5年超 | |||||
| 利息 | 元本返済 | 利息 | 元本返済 | 利息 | 元本返済 | ||
| デリバティブ商品 | |||||||
| 資産 | |||||||
| デリバティブ公正価値(資産) | 110.2 | 173.3 | 261.3 | 40.5 | 630.7 | 5.4 | 103.2 |
| 負債 | |||||||
| デリバティブ公正価値(負債) | (106.6) | (178.1) | (257.4) | (66.9) | (628.6) | (5.9) | (98.3) |
| デリバティブ商品小計 | (4.8) | 3.9 | (26.4) | 2.1 | (0.5) | 4.9 | |
| 資産 | |||||||
| 貸付金及びその他非流動債権 | - | ||||||
| 売掛金 | 2,996.7 | 2,996.7 | |||||
| 現金及び現金同等物 | 1,915.3 | 7.3 | 1,908.0 | ||||
| 資産小計 | 7.3 | 4,904.7 | - | ||||
| 負債 | |||||||
| 非流動負債 | (8,403.1) | (149.6) | (495.2) | (4,168.5) | (549.3) | (4,199.9) | |
| その他非流動負債 | (642.8) | (642.8) | |||||
| 買掛金 | (3,319.0) | (3,319.0) | |||||
| 流動負債 | (2,671.4) | (55.4) | (2,463.9) | ||||
| 負債小計 | (205.0) | (5,782.9) | (495.2) | (4,811.3) | (549.3) | (4,199.9) | |
e) 金融商品の公正価値の階層
| (百万ユーロ) | 2024年 | 2025年 |
|---|---|---|
| レベル1 | 46.6 | 0.5 |
| 非連結株式(上場株式) | 46.6 | 0.5 |
| レベル2 | 216.8 | 379.7 |
| デリバティブ | 216.8 | 379.7 |
| レベル3 | 54.5 | 41.0 |
| 少数株主に与えられた売却オプション | 54.5 | 41.0 |
f) 商品市況のリスク(エネルギー契約)
エア・リキードのエネルギー供給の一部は、限られた量のコミットメントで、固定価格又は指数化された価格での先渡し購入契約によって入手されている。
IFRS第9号は、非金融資産の先渡し購入及び販売の取引がデリバティブ商品に類似しているとみなされる場合には直ちに、これらの取引をその対象に含める旨規定されている。
しかし、IFRS第9号では、非金融資産の先渡し契約は、それらが会社の「通常の」事業上の必要性を満たすために契約されており、製造工程において使用するために原資産の満期時に引き渡される場合にはデリバティブとみなすべきではないと考えられている。エア・リキードは、物価動向に関する投機又はさや取り売買の目的で電力や天然ガスを購入していないため、エネルギーに関連する先渡し契約のうち、デリバティブ商品の定義に当てはまるものはない。この契約の締結は製造工程で使用するための通常の事業の一部であり、デリバティブの定義に合致しない。
さらに、国際的な市場の規制緩和によって電力及び天然ガスの市場価格が非常に変動していることに関連して、エア・リキードはこれらのリスクをヘッジするために長期的な顧客との取引を継続的に指数化している。天然ガス及び電力価格について、最近いくつかの市場が開設されたため、当グループは、これらの状況の下で、規定された価格表を現地市場の指数に取り替えている。
それにもかかわらず、価格指数化方式だけではエネルギー価格変動のリスクを全て有効にヘッジすることが保証されない場合、一定の契約がそのままとなってしまう。したがって、エア・リキード、特にAir Liquide Financeは、これらのリスクを、主として基本的に満期が2年未満内に到来するスワップなどの適切なデリバティブ商品によりヘッジしている。
再生可能エネルギーから産出される工業ガスの供給契約については、新たに考慮すべきリスク(長期的なコミットメント、固定価格、断続性、環境認証の管理など)により、当グループは適切なヘッジ手段の利用を拡大する可能性がある。さらに、当グループは、会計方針の第13項に記載されている長期再生可能エネルギー購入契約(PPA)の主な特徴を分析し、自己使用のための購入契約として認定する。仮想再生可能エネルギー購入契約(VPPA)は、会計方針の第13項に記載された原則に従い、当グループがヘッジ関係に指定するデリバティブ商品である。
これらのデリバティブ商品の公正価値の認識によって、2025年12月31日現在のグループの資本又は利益は重要な影響はない。
25.2. デリバティブ商品に関する情報
当グループのポリシーは、金融デリバティブを実際の財務フローをヘッジするときのみ用いることとしている。結果として、当グループによって使用されるデリバティブ金融商品の大多数はヘッジ会計の適用を受ける。ヘッジ会計の適用のないデリバティブ商品は、投機的な目的によって用いられているものではない。
貸借対照表におけるデリバティブ商品の公正価値の認識による影響は以下のとおり。
| 2025年 | 資産 | 純資産及び負債 | |||||||||||||
| 繰延税金資産 | 売掛金 | デリバティブの公正価値 | 合計 | 純資産の部で計上される純利益 | 当期利益 | 借入金 | 買掛金 | デリバティブの公正価値 | 合計 | ||||||
| (百万ユーロ) | IFRS分類 | 固定 | 流動 | 固定 | 流動 | ||||||||||
| 外国為替リスク | |||||||||||||||
| 先渡契約(将来キャッシュ・フローのヘッジ) | CFH (a) | 21.8 | 1.8 | 87.7 | 111.3 | (65.5) | 1.5 | 175.3 | 111.3 | ||||||
| 通貨先渡(取引ヘッジ)・通貨間スワップ | FVH (b) | 0.2 | 2.2 | 66.3 | 4.7 | 73.4 | (0.5) | 56.9 | 2.5 | 5.6 | 8.9 | 73.4 | |||
| その他デリバティブ | (c) | ||||||||||||||
| 金利リスク | |||||||||||||||
| 金利スワップ | FVH (b) | ||||||||||||||
| スワップ・オプション、通貨間スワップ | CFH (a) 及び NIH (d) | 5.2 | (6.4) | (1.2) | (14.9) | 13.9 | (0.2) | (1.2) | |||||||
| 市況性商品リスク(エネルギー) | |||||||||||||||
| 先渡契約(将来キャッシュ・フローのヘッジ) | CFH (a) | 5.2 | 5.2 | (14.8) | (0.6) | 11.8 | 8.8 | 5.2 | |||||||
| 合計 | 32.4 | 2.2 | 61.7 | 92.4 | 188.7 | (95.2) | (1.1) | 56.9 | 2.5 | 32.8 | 192.8 | 188.7 | |||
(a) CFH:キャッシュ・フローヘッジ
(b) FVH:公正価値ヘッジ
(c) ヘッジ会計非適用のデリバティブ商品
(d) NIH:純投資ヘッジ
| 2024年 | 資産 | 純資産及び負債 | |||||||||||
| 繰延税金資産 | 売掛金 | デリバティブの公正価値 | 合計 | 純資産の部で計上される純利益 | 当期利益 | 借入金 | 買掛金 | デリバティブの公正価値 | 合計 | ||||
| (百万ユーロ) | IFRS分類 | 固定 | 流動 | 固定 | 流動 | ||||||||
| 外国為替リスク | |||||||||||||
| 先渡契約(将来キャッシュ・フローのヘッジ) | CFH (a) | (0.6) | 2.6 | 53.5 | 55.5 | 1.9 | 5.3 | 48.3 | 55.5 | ||||
| 通貨先渡(取引ヘッジ)・通貨間スワップ | FVH (b) | 0.5 | 7.4 | 32.6 | 23.6 | 64.1 | (1.5) | 14.8 | 2.8 | 23.7 | 24.3 | 64.1 | |
| その他デリバティブ | (c) | ||||||||||||
| 金利リスク | |||||||||||||
| 金利スワップ | FVH (b) | ||||||||||||
| スワップ・オプション、通貨間スワップ | CFH (a) 及び NIH (d) | 1.2 | (2.3) | 0.3 | (0.8) | (3.3) | 2.4 | 0.1 | (0.8) | ||||
| 市況性商品リスク(エネルギー) | |||||||||||||
| 先渡契約(将来キャッシュ・フローのヘッジ) | CFH (a) | 0.6 | 0.6 | (1.9) | (1.7) | 4.2 | 0.6 | ||||||
| 合計 | 1.7 | 7.4 | 32.9 | 77.4 | 119.4 | (3.3) | (1.5) | 14.8 | 2.8 | 29.7 | 76.9 | 119.4 | |
(a) CFH:キャッシュ・フローヘッジ
(b) FVH:公正価値ヘッジ
(c) ヘッジ会計非適用のデリバティブ商品
(d) NIH:純投資ヘッジ
注記26 その他の負債(非流動/流動)
26.1. その他非流動負債
| (百万ユーロ) | 2024年 | 2025年 |
|---|---|---|
| 投資補助金 | 334.2 | 422.5 |
| 顧客から受領した前受金及び預り金 | 44.0 | 57.2 |
| その他の非流動負債 | 264.6 | 151.0 |
| その他非流動負債合計 | 642.8 | 630.7 |
26.2. その他流動負債
| (百万ユーロ) | 2024年 | 2025年 |
|---|---|---|
| 前受金 | 639.4 | 627.4 |
| 顧客から受領した前受金及び預り金 | 69.2 | 69.3 |
| その他の支払債務 | 1,556.2 | 1,464.1 |
| 未払金及び前受収益 | 218.9 | 221.6 |
| その他流動負債合計 | 2,483.7 | 2,382.4 |
エンジニアリング&テクノロジーにおけるエンジニアリング&建設の契約に基づいた顧客に対する支払債務である205.1百万ユーロ(2024年は184.3百万ユーロ)は、2024年12月31日時点のその他流動負債に含まれている。
その他の未払金には主に税金及び雇用関連負債が含まれる。
注記27 買掛金
| (百万ユーロ) | 2024年 | 2025年 |
|---|---|---|
| 営業上のサプライヤー | 2,799.3 | 2,518.4 |
| 有形固定資産の納入業者 | 519.7 | 485.7 |
| その他の流動負債合計 | 3,319.0 | 3,004.1 |
2020年、米国では、サプライヤーに対する買掛金の支払プロセスを処理することを目的とするサプライヤー支払プラットフォームが導入された。
当グループは、会計方針6.dに記載された原則により契約の主たる特徴を分析し、リバース・ファクタリング契約に該当しない契約については、買入債務の適格性に問題はないと結論づけた。
注記28 関連当事者に関する開示
28.1. 連結範囲内の企業との取引
当連結財務諸表には、エア・リキード・エス・エー及び注記32の後ろに記載されている「主要な連結会社」に記載されている全ての子会社の財務諸表が含まれている。エア・リキード・エス・エーは、当グループの最終親会社である。
当グループの事業及び法的組織構造によって、役員、関連会社及び合弁会社のみが当グループの関連当事者と考えられる。これらの個人や会社と当グループ子会社の間で行われる取引に重要性はない。
関連会社及び合弁会社に関する情報は連結財務諸表の注記14に記載されている。
28.2. 取締役会及び経営組織のメンバーに分配される報酬
当グループの経営幹部に対する報酬には、各事業年度についてグループ全体の中での従業員又は会社役員としての職務に対する報酬として、取締役会及び当社の経営組織に対して分配された報酬が含まれている。当社の経営組織には、経営陣及び執行委員会の全てのメンバーが含まれている。これに関する費用は以下のとおりである。
| (千ユーロ) | 2024年 | 2025年 |
|---|---|---|
| 短期給付 | 20,714 | 19,629 |
| 退職後給付:年金及び健康保険 | 2,403 | 2,033 |
| 退職金 | - | - |
| 株式報酬 | 9,017 | 8,569 |
| 合計 | 32,134 | 30,231 |
短期給付
短期給付には、固定給、変動給、現物給付及び出勤手当が含まれている。報酬のうちある年度の職務に対応する変動部分については、翌年において財務諸表が承認された後で支払われる。
執行チームのメンバーに関する報酬ポリシーには、現状の市場慣行が考慮されている。これには、収益成長率目標と個人の業績目標に基づく実質的な変動部分が含まれている。
退職後給付
退職後給付には、主に外部の年金基金に支払われる拠出金が含まれている。退職金支払確約額は、2025年には4,587千ユーロ、2024年には5,156千ユーロであった。
株式報酬
経営陣及び執行委員会のメンバーが保有するストックオプション及び業績連動株式の失効日及び行使価格は以下のとおりである。
| ストックオプション付与年 | 失効日 | 平均行使価格(a) | 2024年の 権利個数 | 平均行使価格(b) | 2025年の 権利個数 |
| (ユーロ) | (ユーロ) | ||||
| 2016年(11月29日) | 2026年11月28日 | 62.86 | 5,397 | 62.86 | 983 |
| 2017年(9月20日) | 2027年9月19日 | 70.30 | 1,186 | 70.30 | 1,186 |
| 2018年(9月25日) | 2028年9月24日 | 79.76 | 995 | 79.76 | 995 |
(a) 無償株式割当による増資(2022年、2019年、2017年)及び2016年10月11日の現金による増資を調整後。
(b) 2024年の無償株式割当による資本増加分を調整した2024年のデータ。
| 業績連動株式付与年 | 2024年の権利個数 | 2025年の権利個数 |
|---|---|---|
| 2022年(9月29日) | 66,193 | 21,602 |
| 2023年(9月28日) | 58,435 | 58,435 |
| 2024年(9月25日) | 51,480 | 51,480 |
| 2025年(9月30日) | - | 65,283 |
2025年に付与された業績連動株式の公正価値は、注記21において開示されている。
これらの金額は、オプション及び業績連動株式の受給権発生期間(ロックイン期間)にわたって費用化されている。
付与されたストックオプション及び業績連動株式について将来の会計期間に認識される見込みの金額は2025年12月31日現在、合計で17,099千ユーロ(2024年12月31日時点:15,759千ユーロ)である。
2025年に当グループ役員及び執行委員会のメンバーに対して付与された業績連動株式は、一定の業績条件の達成を条件として確実に取得される。
これらの制度のもとで、業務執行者ではない他の取締役に付与されたストックオプション及び業績連動株式は存在しない。
注記29 支払保証
29.1. コミットメントの詳細
支払保証契約は当グループの通常の事業過程において発生したものである。
| (百万ユーロ) | 2024年 | 2025年 |
|---|---|---|
| 固定資産の確定購入注文 | 1,876.7 | 2,155.8 |
| その他営業活動に関わる支払保証(a) | 6,533.1 | 5,678.8 |
| 営業活動に関わる債務 | 8,409.8 | 7,834.6 |
| 財務活動に関わる債務 | 340.9 | 2,017.3 |
| 合計 | 8,750.7 | 9,851.9 |
(a) 契約には、エア・リキードの裁量で2027年6月まで行使可能な撤退条項が含まれている。
テイク・オア・ペイ契約に係る分子の購入約定額は、2024年12月31日現在で4,353.8百万ユーロ(2024年12月31日現在で5,235.9百万ユーロ)であり、その他営業活動に関わる支払保証に計上している。これらの金額には、特にヘリウム購入契約が含まれる。
エア・リキードは、Exeltium S.A.S株の13.7%、24.5百万ユーロ相当を所有している。2010年3月24日、ExeltiumとEDFはExeltiumがEDFの電子核製品の一部の権利を獲得する事業パートナーシップ契約に合意した。さらに、Exeltiumと株主は長期電気供給契約に合意した。このプロジェクトは欧州委員会によって承認を受けた。エア・リキードにより合意されたこの契約は20年の期間で、10年経過後にエア・リキードにより停止することができる。この契約は供給される電気の価格について、長期的な見通しを提供するものである。
2025年12月31日現在、当グループは1,684.7百万ユーロ(2024年12月31日現在で2,167.9百万ユーロ)のエネルギー購入契約を締結している。この金額には、Exeltium契約に関連するエネルギー購入約定額が含まれている。
ほとんど全ての契約は長期ガス供給契約に基づいて顧客から受領する相互保証によってカバーされている。結果として、これらの相互保証は、上記の表には開示されていない。
当グループの資金調達業務及び連結範囲に関する債務には、特に、DIG Airgasの全株式取得に伴う買収対価として15億800万ユーロが含まれている(注記32参照)。
29.2. 電力購入契約に関連するコミットメントの詳細
さらに、2025年12月31日現在、当グループは以下のような電力購入契約(PPA)を結んでいる。
| 2025年12月31日 | 契約数 | 開始日 | 平均期間(年) | 生産量 (GWh/年)(a) | 合計 (百万ユーロ)(b) |
|---|---|---|---|---|---|
| ヨーロッパ、中東及びアフリカ | 17 | 2021-2027 | 15 | 2,678.6 | 2,604.3 |
| 南北アメリカ | 8 | 2021-2027 | 11 | 761.8 | 139.7 |
| アジア・太平洋 | 8 | 2022-2026 | 6 | 2,328.5 | 259.7 |
| 合計 | 33 | 5,769.0 | 3,003.7 |
(a) 契約締結日における推定年間生産量(再生可能エネルギー生産設備の開始後の通年量)。
(b) 契約の残存期間にわたる残存債務。
当グループのPPA契約は、特に欧州、中東及びアフリカ地域における契約の解約条項の行使、当年度の新規稼働、並びに欧州、中東及びアフリカ、南北アメリカ、アジア・太平洋地域で締結された新規契約の影響を強く受けている。
| 2024年12月31日 | 契約数 | 開始日 | 平均期間(年) | 生産量 (GWh/年) | 合計 (百万ユーロ) |
|---|---|---|---|---|---|
| 欧州、中東及びアフリカ | 16 | 2021-2026 | 15 | 2,977.6 | 3,014.8 |
| 南北アメリカ | 7 | 2021-2024 | 11 | 621.8 | 102.4 |
| アジア・太平洋 | 7 | 2022-2025 | 6 | 2,231.5 | 474.7 |
| 合計 | 30 | 5,831.0 | 3,591.9 |
注記30 偶発債務
当グループが知りうる限り、直近の資産、財政状態又は利益に影響を与える可能性がある、又は与えている例外的な事象、訴訟又は環境関連問題は存在しない。
注記31 気候変動リスクの考慮(1)
(1) ESRS 2 SBM-3 §48 (d).
31.1. ビジネスモデル
エア・リキードは、金属、化学、精錬及びエネルギー事業分野の顧客に対し、それぞれのコアビジネスに不可欠なガス及びエネルギーソリューションを供給し、プロセスの効率向上及び工場の環境への配慮を可能にしている。
エア・リキードのビジネスモデルは、特に金属、化学及び精錬業界において、温室効果ガスを排出することが多い顧客の産業用ガスの需要のアウトソーシングを基本としている。このアウトソーシングは、長期的な供給の信頼性を確保しつつ、最先端の技術へのアクセス、生産設備のエネルギー消費の最適化などを可能にするエア・リキードの専門知識に根拠がある。しかし、これは、顧客の温室効果ガス排出量の一部を当グループに移転することにつながる。
産業ガスは、現在ほとんどの産業で使用されているが、産業界の脱炭素化ソリューションの中核をなすものであるため、エネルギー転換期にはさらにその傾向が強まるだろう。実際、これらの生産ユニットは、特に当グループの顧客の排出量削減やエネルギー及び資源消費削減に役立つ、産業や健康に不可欠な製品も提供している。地球温暖化をパリ協定で定められた目標レベル(工業化以前と比較して2℃、及び1.5℃に抑えることを目指す取り組みを継続するレベル)に抑えるというシナリオでは、規制の動向や市場の需要に応じて、需要はますます低炭素ガスに移行していくと予想される。
以下に記載する資産の大半を占めるラージ・インダストリー事業では、ガスの供給は15年かそれ以上の期間にわたって契約されている。このような資産は契約期間にわたって減価償却されるため、減損のリスクは大幅に軽減される。これらの契約において、当グループは、高性能の産業用ソリューションによるガス供給に関して、長期的なサービスの継続と高水準の信頼性を保証している。その見返りとして、長期ガス供給契約には、テイク・オア・ペイ条項による最低量の保証、CO2コスト(欧州の排出権取引制度等)を含む変動費(主に電気と天然ガス)及びインフレ率への連動が含まれている。
31.2. 当グループの資産とCO2排出量
CO2収支に影響を与える主な当グループの資産は以下のとおりである。
■ 大型空気分離装置(ASUs)、特に酸素と窒素を生産するものは、燃焼プロセスを使わず、CO2排出を生じさせない。これらの装置は、空気を唯一の原料として使用し、空気の分離に必要なエネルギーは、ほとんど電気の形で消費される。当グループがこれらのユニットを運転するために使用する電力は、間接排出又はスコープ2と呼ばれるCO2排出を発生させる。この場合、CO2排出量の削減は、再生可能エネルギーや低炭素エネルギーの購入及び産業効率化プロジェクトを通じて行うことができる。
■ 水蒸気の改質による大型水素製造装置(SMR)は、天然ガスの消費によるCO2排出を生じさせる。これらの排出は直接排出(スコープ1)に分類される。これらの資産では、CO2排出を削減するためのいくつかの手段が可能である。第一に、当グループが所有する技術を利用した炭素回収・貯留(CCS)であり、バイオメタンの利用でもある。さらに、当グループは、低炭素アンモニアの使用を開発しており、これもこれらのユニットの排出量削減に貢献する。
■ 蒸気及び電気生産装置(コジェネレーションプラント)は、天然ガスの消費によるCO2排出を発生させるものであり、かかる排出は、直接排出(スコープ1)として分類される。これらの資産については、CO2排出削減のためのいくつかの手段が考えられる。特に、電気や低炭素代替燃料で稼働するボイラーの使用により、プラントの柔軟性を高めることが可能である。
エア・リキードは、温室効果ガス排出量のインベントリーを作成し、GHG(温室効果ガス)プロトコルなどの公認基準をベースとした様々なカテゴリーに従って報告している。
従って、2025年において、当グループの直接報告排出量(スコープ1)及び間接報告排出量(スコープ2)は、それぞれCO2換算で1460万トン及び1960万トンになる。
31.3. 当グループの気候変動対策の目標
当社は、気候問題の緊急性を認識している。当グループは、産業革命前と比較して、地球温暖化を2℃未満に抑え、1.5℃以上に抑えるための取組を推進することを目的としたグローバルな枠組を定めたパリ協定の実施に参画することを意図している。
この観点から、当グループは2050年までにカーボンニュートラルを達成することにコミットしている。エア・リキードの取組には2つの大きな中間目標が含まれている。
■ 2025年頃にCO2排出量の絶対量削減を開始する。これは達成された。
■ 2035年までに、スコープ1とスコープ2の排出量を2020年比で33%削減する(1)。
当グループは、2025年の炭素原単位を2015年比で30%削減するという2018年に設定した目標を維持した(2)。この目標は、2015年比で2025年の炭素原単位が46%減少したことで、大幅に達成された。
(1) スコープ1及び2に相当するCO2換算トンで、「市場ベース」の手法では、2020年とその後の各年度について、CO2排出量に重大な影響を与える連結範囲の変更(増減双方)を考慮し、資産の通年の排出量を含むように再計算している。
(2) 「市場ベース」の手法における温室効果ガス排出のスコープ1及びスコープ2の2015年度換算レートにおけるIFRS第16号を除いた減価償却前営業利益のkg-CO2換算/ユーロ
31.4. 変動リスク-温室効果ガス排出
2025年度決算において当グループが認識した主な気候変動リスクは、温室効果ガス排出に関するものである。
気候変動リスク(温室効果ガス排出)は、温室効果ガス排出削減の必要性と密接に関連しており、特に公的機関による拘束力のある温室効果ガス排出削減政策(例えば、炭素価格の導入やより厳しい製品規制など)を実施することにより、以下の影響を及ぼす可能性がある。
■ 当グループの工場(操業範囲への直接の影響)に影響を及ぼし、生産コストの上昇を招き、新たな投資の必要性が生じる。
■ サプライヤーに影響を及ぼし、サプライヤーの価格上昇をもたらす。
■ 顧客に影響を及ぼし(バリューチェーンへの間接的な影響)、例えば顧客の市場、工程及び産業用ガスの需要に影響を与える。
エア・リキードの主要生産施設は、1.5℃の移行シナリオにおいて競争力のある脱炭素化が可能である。そのためには、これらのシナリオで想定されているインフラ(電力網、再生可能エネルギーの大量利用、特に炭素貯留地へのアクセス)の展開が必要である。また、新しい低炭素バリューチェーンの出現を支える規制や政治的枠組みの進化も必要である。
当グループのスコープ1及び2のCO2排出量は、限られた数の資産及び国から発生している。実際、2020年におけるベースラインの数値において、直接排出であるスコープ1の排出量の60%は15未満の生産拠点から、また電力消費に関連する間接排出であるスコープ2の排出量の80%は6つの国から発生している。そのため、排出削減目標を達成するには、慎重に特定されたいくつかの手段を講じる必要がある。これらの手段は、気候変動を緩和するための世界的な取組と密接に関連している。
当グループの資産に対するリスクを抑制するために、以下のガバナンスと行動を実施している。
■ 当社は、全ての新規の主要一次生産プロジェクト、全ての地域について、たとえCO2の時価がないプロジェクトであっても、炭素価格に関する感度分析を投資決定プロセスに組み入れている。これらの分析は、顧客の事業活動を考慮に入れつつ、プロジェクトの実現可能性とレジリエンスを評価することを目的としている。なお、CO2コストは契約上、顧客に還元されるため、関連資産の減損リスクは大幅に軽減される。これらの感度分析は、異なる炭素価格の推移を想定した2つのシナリオに基づいている。まず、プロジェクトが立地する国が発表したコミットメントを考慮した事業性分析が行われる。この分析では、政府の発表や、国際エネルギー機関(IEA)が提供する最新の「公約(Announced Pledges)」又は「政策(Stated Policies)」シナリオを参考にしている。また場合によって、「1.5℃」シナリオに基づくレジリエンス評価を実施する。これには、国際エネルギー機関(IEA)の「2050年までにネットゼロ排出」シナリオにおける、地域別に異なる価格推移を活用する。
■ 関連する投資の年間スコープ1及び2排出量、あるいは顧客の年間排出量が特定の閾値を超えた場合は、その投資案件を事前にグループ・エネルギー・排出リスク管理委員会(E-Enrisk)に提出しなければならず、その結果はその後、関連する資源・投資委員会(RIC)に報告される。
■ 公的な炭素価格が一定の上限を超える場合、一部の顧客との契約では、施設を脱炭素化するための追加投資(例えば、炭素回収・貯留ソリューション(CCS)を使用する)が予定されており、その結果当グループにも追加収入が発生する。
■ 当グループの電力調達の取組を強化し、スコープ2の排出量を削減するために、特に再生可能エネルギー又は低炭素エネルギーの調達を進めた(注記29.2参照)。
■ 当グループの排出量リスクは、炭素予算によって一元的に管理されている。この炭素予算は各地域に配分され、気候目標に沿って毎年見直される。実績のモニタリングは、当グループの業務実績レビュープロセスに組み込まれており、グループ・オペレーション・コントロール部門が半年ごとに分析を行っている。取締役会の環境・社会委員会は年3回、さらに監査・会計委員会と合同で少なくとも1回開催される。これらの委員会では、気候変動目標の軌道と関連するリスクが検討される。これらの気候変動対策の目標の達成は、最高経営責任者及び2,000人以上の受給者従業員に対する長期インセンティブ・プランの基準の一部となっている。
移行リスクの影響を抑えるための当社の行動には、以下のものが含まれる。
スコープ2の削減
■ 大型空気ガス製造装置(ASU)に関連し、主に再生可能な電力を使用することによる。2018年以降、当社はすでに33件の再生可能エネルギー長期供給契約(PPA)を締結しており、年間推定量は5,769GWh/年(再生可能製造装置の始動後の通年)である。また、バーチャル電力購入契約(VPPA)も締結している。ASUはほぼ全電化されており、排出削減は、再生可能エネルギーへのアクセスに応じて、再生可能エネルギーの購入によって管理されるため(注記29.2参照)、移行のための特別な投資は必要ない。蒸気駆動の空気ガス生産設備については、当グループはそれらの電化を開始しており、再生可能な電力供給により完全な脱炭素化を実現する予定である。
■ 再生可能エネルギーを含むエネルギーコストは、15年以上の契約の条件により、顧客に請求される価格に反映されるため、重要な財務リスクとはならない。
スコープ1の削減
■ CO2回収を中心とした様々な手段を動員することにより、大型水素製造装置に関連する排出量を削減する。当社は、CO2回収のための独自技術の完全なポートフォリオを有している。例えば、先進的なCryocap™システムは、2015年からフランスの水素製造装置で工業的に稼動しており、また、欧州で当グループが保有する最大規模の水素製造装置において、二酸化炭素回収装置の建設が進められている。当社は、コジェネレーションユニットについて、電気と低炭素の代替燃料で稼働するボイラーを採用することで、より柔軟な利用を目指している。これらの資産の将来とその排出軌道は、技術、ユニット容量、製品、供給顧客並びに供給国及びセクターの脱炭素化政策を考慮し、クラスター(国グループ)ごとに策定された脱炭素化計画で分析される。最も適切な削減手段が特定され、的を絞った研究が行われ、最も進んだケースでは、CO2回収プロジェクトなどの削減プロジェクトの開発と実施が行われる。
■ エア・リキードチームのイノベーション能力と技術的ノウハウにより、当グループは、自社及び産業界の顧客の排出量を削減するため、よりクリーンでサステナブルなソリューションを提供することができる。当グループは、気候変動対策とエネルギー転換のための技術に重点を置いている。2025年において、エア・リキードは水素に関する特許を500件以上、CO2回収・貯留(CCS)関連で約550件の国際特許を保有している。2025年の当グループのイノベーション費用は3億100万ユーロに達した。
■ 地球温暖化を産業革命前と比較して2℃を大幅に下回るレベルに抑制するシナリオでは、より高値での低炭素産業ガスの需要が増しており、当グループの資産、特に水素の製造のための低炭素化への投資、及び再生可能な電力の供給に関連する追加コストを賄うことが可能である。さらに特に欧州では、移行期間中に既存の工業資産及び新規生産設備の脱炭素化を支援するため、補助金又は税額控除の形をとった融資プログラムが実施されている。例えば、当グループは最近、ベルギーのAntwerp-Bruges港に大規模なアンモニア分解プラント及び革新的な水素液化装置を建設・運営するプロジェクトに対し、欧州イノベーション基金から1億1000万ユーロの助成金を受けることが決定した。
■ CO2排出に関連する費用(欧州の排出権取引制度等)は、15年以上の長期契約の条件に基づき、顧客に転嫁される。当グループは、このビジネスモデルを低炭素産業用ガスの供給にも適用しており、当社はCO2コストに関連する重大なリスクを負担していない。
2025****年末現在、資産の耐用年数若しくは価値、顧客ポートフォリオ、既存の事業から生み出されるキャッシュ・フロー、又はリスク及び費用に対する引当金のいずれにおいても、重要な影響は確認されていない。
31.5. 物理的リスク
当社は、気候変動による気象現象の例外的な変化(その深刻度又は頻度において)にさらされる世界の地域で事業活動を行っている。これらの現象は、当グループの事業を減速若しくは中断させ、又はコストを高めるおそれがある。また、当グループのサプライヤーや顧客もまた、同じ問題に直面している。
これらは以下のように分類される。
■ 暴風雨、ハリケーン、洪水など、頻度と深刻度が増している自然災害のような事象によって引き起こされる急性リスク。これらのリスクは、例えば海岸近くにある当社の拠点や、ハリケーンの影響を受ける地域(米国メキシコ湾岸、南アジアなど)に関係する場合もある。
■ 気候モデルの長期的な変化及び気温の上昇に関連する慢性的なリスク(海面水位の上昇、特定の地域における慢性的な熱波、降雨パターンの変化とその変動の増加、特定の資源の消滅等)。
物理的な影響を抑えるためのエア・リキードの行動は、以下のとおりである。
■ 物理的なリスク(水資源の確保、極端な事象の頻度など)は、財務基準と同様に、投資リクエストのレビューにおいて評価され、例えば機器の設計において、関連するリスク管理方策が講じられることを確保する。
■ 上記のような急性リスクに定期的にさらされている当グループの業務においては、顧客との密接な連携により、第一義的には個人及び生産設備を保護し、適切な業務上の予防対策を講じることを目的としたリスク管理体制を構築している。これらのシステムは定期的に更新され、改善されている。
■ 慢性的なリスクは、特に生産設備の設計において、そのエネルギー効率もしくは炭素排出量と同じ方法で考慮される。
■ 自然災害による損失は、当グループの財産及び事業中断プログラムによってカバーされている。
■ 2023年、エア・リキードは、2つの高排出シナリオ(2100年までに+2.7℃をもたらす「ビジネス・アズ・ユージュアル」として使用されるSSP2-4.5と、2100年までに+4.4℃をもたらすSSP5-8.5シナリオ又は「ワーストケースシナリオ」)に従って、気候変動による物理的影響に関連する危険を特定し、物理的リスク管理プロセスを統合・改善するための研究を実施した。この研究は当グループの各種資産レベルにおける課題、リスクへの曝露、脆弱性、及び適応策に関する理解を深め、認識を強化するための取組が継続されており、主要な産業流域に焦点を当て直している。
2025****年末現在、資産の耐用年数若しくは価値、顧客ポートフォリオ、既存の事業から生み出されるキャッシュ・フロー、又はリスク及び費用に対する引当金のいずれにおいても、重要な影響は確認されていない。
なお、転換リスクと物理的リスクの両方について、解体及び原状回復義務については、ラージ・インダストリー事業の契約締結日から引当金の計上義務があるため、影響はない。
注記32 後発事象
DIG Airgas****の買収
2025年8月22日、当グループは、韓国の企業DIG Airgasの買収に関するMacquarie Asia-Pacific Infrastructure Fund2との契約締結を発表した。
1979年に設立されたDIG Airgasは、従業員数約550名、生産拠点60カ所、パイプライン網220キロメートルを擁する、韓国における産業ガス分野の主要企業である。同社の多角的な事業ポートフォリオには、すべての主要産業地域での事業展開が含まれており、エレクトロニクス分野の主要企業や韓国の産業リーダーなど、様々なセクターの主要顧客に不可欠な産業ガスを供給している。 DIG Airgasは、半導体や二次電池といった新規かつ急成長している分野への進出を通じて、顧客基盤の多様化を図ってきた。
2025年12月18日、韓国公正取引委員会は、エア・リキードによるDIG Airgasの買収を承認した。 2025年12月9日、韓国産業通商資源省も、韓国における外国投資の審査の一環として、エア・リキードによるDIG Airgasの買収を承認した。これら2つの承認は、買収案件の完了に必要な最後の規制上の条件を構成するものだった。したがって、本取引は慣例的なクロージング条件を条件として、2026年1月13日に完了した。 その後、エア・リキードは、DIG Airgasを間接的に保有するDivine Korea Holdings Co., Ltd.の株式100%を、総額5兆440億ウォン(30億ユーロ相当)で取得した。この金額には、買収価格2兆5600億ウォンと、引き受けた純負債2兆4840億ウォンが含まれている。
エア・リキードとDIG Airgasの統合により、相互に補完性の高い事業が結びつき、特にダイナミックで革新的な韓国経済におけるエア・リキードの地位が強化される。
本買収の資金調達は、主に2025年11月にグループのユーロ・ミディアム・ターム・ノート(EMTN)プログラムに基づき実施された、総額21億5000万ユーロのマルチトランシェ社債発行によって賄われた。この発行は、年率3.00%未満の加重平均金利を適用し、償還期間は2年、4年、7.5年、12年となっている。 この資金調達に加え、2026年1月には、5年満期・変動金利の現地銀行融資8000億ウォン(4億7100万ユーロ相当)が調達された。取引の残額は、手元資金及びコマーシャル・ペーパーを用いて賄われた。本買収の資金調達及び財務リスク管理に関する情報は、それぞれ注記24及び25に記載されている。
取得日におけるのれん
DIG Airgasの買収は、改訂されたIFRS第3号に基づき、企業結合として会計処理されている。
2026年1月の買収完了は、買収資金調達に関連するものを除き、2025年12月31日終了の会計年度の貸借対照表及び損益計算書に何ら影響を与えない。当グループは、独立した専門家の支援を得て、取得資産及び引き受けた負債の特定及び評価を進めている。 当グループは、改訂IFRS第3号に基づき、取得日からの12か月以内に、取得資産及び引き受けた負債の公正価値の算定並びに残存ののれんの分析を完了する予定である。
韓国の税法上、のれん代は税額控除の対象とならない。
| (百万ユーロ) | 2025年12月31日現在 |
|---|---|
| 無形資産 | 6.2 |
| 有形資産 | 570.8 |
| その他固定資産 | 120.6 |
| 流動資産 | 182.9 |
| 取得資産 | 880.5 |
| 長期借入金 | 1,419.2 |
| その他の長期負債及び繰延税金負債 | 26.3 |
| 短期借入金 | 96.3 |
| 流動負債 | 93.6 |
| 引き受けた負債 | 1,635.4 |
| DIG Airgasの取得日における純資産 | (754.9) |
| DIG Airgasの取得持分比率 | 100% |
| DIG Airgasの全株式取得に支払った対価 | 1,508.1 |
| 暫定のれん* | 2,263.0 |
*取得日における資産及び負債の公正価値を算定する前
為替レート
使用されている主要な為替レート
平均レート
| 通貨1単位に対するユーロ | 2024年 | 2025年 |
|---|---|---|
| カナダドル | 0.67 | 0.63 |
| 中国人民元 | 0.13 | 0.12 |
| 日本円(千円につき) | 6.11 | 5.93 |
| シンガポールドル | 0.69 | 0.68 |
| 台湾ドル | 0.03 | 0.03 |
| 米ドル | 0.92 | 0.89 |
決算日レート
| 通貨1単位に対するユーロ | 2024年 | 2025年 |
|---|---|---|
| カナダドル | 0.67 | 0.62 |
| 中国人民元 | 0.13 | 0.12 |
| 日本円(千円につき) | 6.13 | 5.43 |
| シンガポールドル | 0.71 | 0.66 |
| 台湾ドル | 0.03 | 0.03 |
| 米ドル | 0.96 | 0.85 |
主要な連結会社
JOが記載された会社は比例連結法、Eが記載された会社は持分法で連結している。その他の会社は全部連結である。
グループの持分合計は各会社名の後に記載されている。
| 主な連結会社 | 国 | 統合 | 持分比率(%) |
| ガス&サービス | |||
| 欧州、中東とアフリカ | |||
| Air Liquide Austria GmbH | AUT | 100.00% | |
| L' Air Liquide Belge S.A. | BEL | 100.00% | |
| Air Liquide Homecare Belgium SRL | BEL | 100.00% | |
| Air Liquide Industries Belgium S.A. | BEL | 100.00% | |
| Air Liquide Large Industry S.A. | BEL | 100.00% | |
| Air Liquide Medical S.A. | BEL | 100.00% | |
| Société Européenne de Gestion de l'Energie | BEL | 100.00% | |
| Air Liquide Bulgaria EOOD | BGR | 100.00% | |
| Carbagas AG | CHE | 100.00% | |
| Air Liquide Deutschland GmbH | DEU | 100.00% | |
| Air Liquide Electronics GmbH | DEU | 100.00% | |
| Air Liquide Industriegase GmbH & Co. KG | DEU | 100.00% | |
| VitalAire GmbH | DEU | 100.00% | |
| AP-Sachsen GmbH | DEU | 100.00% | |
| IntensivLeben GmbH - Außerklinisches Beatmungs- und Weaningzentrum | DEU | 100.00% | |
| Careberlin24 Pflegedienst GmbH | DEU | 100.00% | |
| Carebrandenburg24 Pflegedienst GmbH | DEU | 100.00% | |
| Air Liquide Danmark A/S | DNK | 100.00% | |
| Air Liquide España S.A. | ESP | 99.90% | |
| Air Liquide Ibérica de Gases S.L.U. | ESP | 100.00% | |
| Air Liquide Healthcare España, S.L.U. | ESP | 100.00% | |
| Air Liquide Finland Oy. | FIN | 100.00% | |
| Air Liquide Eastern Europe S.A. | FRA | 100.00% | |
| Air Liquide France Industrie S.A. | FRA | 100.00% | |
| Air Liquide Medical Systems S.A. | FRA | 100.00% | |
| Air Liquide Réunion S.A. | FRA | 98.55% | |
| Air Liquide Santé (International) S.A. | FRA | 100.00% | |
| Air Liquide Santé France S.A. | FRA | 100.00% | |
| Air Liquide Santé Domicile France S.A. | FRA | 100.00% | |
| Air Liquide Spatial Guyane S.A. | FRA | 99.07% | |
| Air Liquide Ukraine S.A. | FRA | 100.00% | |
| Pharma Dom S.A. | FRA | 100.00% | |
| Société d'Exploitation de Produits pour les Industries Chimiques S.A. | FRA | 99.99% | |
| Air Liquide Antilles Guyane | FRA | 96.97% | |
| VitalAire S.A. | FRA | 100.00% | |
| Air Liquide Ltd | GBR | 100.00% | |
| Air Liquide Healthcare Limited | GBR | 100.00% | |
| Air Liquide UK Ltd | GBR | 100.00% | |
| Energas Ltd | GBR | 100.00% | |
| Air Liquide Italia S.p.A. | ITA | 99.87% | |
| Air Liquide Italia Gas e Servizi S.r.l. | ITA | 99.87% | |
| Medicasa Italia S.p.A | ITA | 99.87% | |
| VitalAire Italia S.p.A. | ITA | 99.87% | |
| Supra Cali S.R.L | ITA | 50.93% | |
| Air Liquide Healthcare Ireland Limited | IRL | 100.00% | |
| Air Liquide Munay Tech Gases | KAZ | 75.00% | |
| L' Air Liquide Luxembourg S.A. | LUX | 100.00% | |
| Air Liquide Acetylene B.V. | NLD | 100.00% | |
| Air Liquide B.V. | NLD | 100.00% | |
| Vitalaire Nederland BV | NLD | 100.00% | |
| Air Liquide Industrie B.V. | NLD | 100.00% | |
| Air Liquide Nederland B.V. | NLD | 100.00% | |
| Scott Specialty Gases Netherlands B.V. | NLD | 100.00% | |
| Handelsonderneming Hatek B.V. | NLD | 100.00% | |
| Air Liquide Norway A.S. | NOR | 100.00% | |
| BetaMed S.A. | POL | 100.00% | |
| ALKAT Spółka z ograniczoną odpowiedzialnością | POL | 79.25% | |
| Air Liquide Polska Sp.z.o.o. | POL | 100.00% | |
| Air Liquide Medicinal S.A. | PRT | 99.85% | |
| Sociedade Portuguesa do Ar Liquido Lda | PRT | 99.93% | |
| Air Liquide Romania S.r.l | ROM | 100.00% | |
| Air Liquide Gas A.B. | SWE | 100.00% | |
| Nordiclnfu Care A.B | SWE | 100.00% | |
| Air Liquide Gaz San. Ve Tic. A.S. | TUR | 100.00% | |
| Air Liquide Afrique S.A. | FRA | 100.00% | |
| Air Liquide Middle East and North Africa L.L.C-FZ | ARE | 100.00% | |
| Air Liquide Gulf FZE | ARE | 100.00% | |
| Air Liquide Botswana Proprietary Ltd. | BWA | 99.98% | |
| Air Liquide Alexandria for Medical & Industrial Gases S.A.E. | EGY | 100.00% | |
| Air Liquide El Soukhna for Industrial Gases S.A.E. | EGY | 100.00% | |
| Air Liquide Misr S.A.E. | EGY | 100.00% | |
| Air Liquide Middle East S.A. | FRA | 100.00% | |
| Air Liquide India Holding Pvt. Ltd. | IND | 100.00% | |
| Air Liquide India Speciality Gases Pvt. Ltd. | IND | 100.00% | |
| Novaair Technologies Private Limited | IND | 100.00% | |
| Novaair Private Limited | IND | 100.00% | |
| Shuaiba Oxygen Company K.S.C.C. (a) | KWT | 49.81% | |
| Air Liquide Maroc S.A. | MAR | 98.93% | |
| Air Liquide Namibia Proprietary Ltd. | NAM | 100.00% | |
| Air Liquide Sohar Industrial Gases LLC | OMN | 50.10% | |
| Gasal Q.S.C. | QAT | E | 40.00% |
| Vitalaire Arabia LLC. | SAU | 60.00% | |
| Air Liquide Arabia LLC | SAU | 100.00% | |
| Air Liquide Tunisie S.A. | TUN | 59.17% | |
| Air Liquide Large Industries (Pty) Ltd. | ZAF | 100.00% | |
| Air Liquide Large Industries South Africa (Pty) Ltd. | ZAF | 75.00% | |
| Air Liquide Proprietary Ltd. | ZAF | 99.98% | |
| 南北アメリカ | |||
| Air Liquide Argentina S.A. | ARG | 100.00% | |
| Air Liquide Brasil Ltda. | BRA | 100.00% | |
| Air Liquide Canada, Inc. | CAN | 100.00% | |
| Air Liquide Home Healthcare Canada Inc. | CAN | 100.00% | |
| Air Liquide Chile S.A. | CHL | 100.00% | |
| Air Liquide Colombia S.A.S. | COL | 100.00% | |
| Air Liquide Dominicana S.A.S. | DOM | 100.00% | |
| La Oxigena Paraguaya S.A. | PRY | 87.96% | |
| Air Liquide Uruguay S.A. | URY | 97.10% | |
| Airgas USA, LLC | USA | 100.00% | |
| Airgas Specialty Products | USA | 100.00% | |
| Red-D-Arc, Inc. | USA | 100.00% | |
| Airgas Safety, Inc. | USA | 100.00% | |
| Air Liquide Electronics U.S. LP | USA | 100.00% | |
| Air Liquide Large Industries U.S. LP | USA | 100.00% | |
| Air Liquide Advanced Materials, Inc. | USA | 100.00% | |
| アジア・太平洋 | |||
| Air Liquide Australia Ltd. | AUS | 100.00% | |
| Air Liquide Healthcare Pty Limited | AUS | 100.00% | |
| Air Liquide W.A. Pty Ltd. | AUS | 100.00% | |
| Brunei Oxygen SDN(a) | BHD | 50.00% | |
| Air Liquide Cangzhou Co., Ltd. | CHN | 100.00% | |
| Air Liquide China Holding Co., Ltd. | CHN | 100.00% | |
| Air Liquide Shanghai Co., Ltd. | CHN | 100.00% | |
| Air Liquide Shanghai International Trading Co. Ltd. | CHN | 100.00% | |
| Air Liquide Tianjin Co., Ltd. | CHN | 100.00% | |
| Air Liquide Yongli Tianjin Co., Ltd. | CHN | 55.00% | |
| Air Liquide Zhangjiagang Industrial Gases Co., Ltd. | CHN | 100.00% | |
| Shanghai Chemical Industry Park Industrial Gases Co., Ltd. | CHN | 51.00% | |
| Hangzhou Best Gas Co., Ltd. | CHN | 100.00% | |
| Société d'Oxygène et d'Acétylène d'Extrême-Orient S.A. | FRA | 100.00% | |
| Celki International Ltd. | HKG | 100.00% | |
| P.T. Air Liquide Indonesia | IDN | 100.00% | |
| Air Liquide Japan G.K. | JPN | 100.00% | |
| Toshiba Nano Analysis K.K. | JPN | 51.00% | |
| Air Liquide Korea Co., Ltd. | KOR | 100.00% | |
| VitalAire Korea Inc. | KOR | 100.00% | |
| Southern Industrial Gas Sdn Bhd | MYS | 100.00% | |
| Air Liquide Malaysia Sdn Bhd | MYS | 100.00% | |
| Air Liquide New Zealand Ltd. | NZL | 100.00% | |
| Air Liquide Phils Inc. | PHL | 100.00% | |
| Air Liquide Singapore Pte Ltd. | SGP | 100.00% | |
| Air Liquide Thailand Ltd. | THA | 100.00% | |
| Air Liquide Electronics Systems Asia Ltd. | TWN | 100.00% | |
| Air Liquide Far Eastern Ltd. | TWN | 65.00% | |
| Air Liquide Vietnam Co., Ltd. | VNM | 100.00% | |
| エンジニアリング&テクノロジー | |||
| Air Liquide Global E&C Solutions Canada LP | CAN | 100.00% | |
| Air Liquide Global E&C Solutions Hangzhou Co., Ltd. | CHN | 100.00% | |
| Air Liquide Global E&C Solutions (Yantai) Co., Ltd. | CHN | 100.00% | |
| Air Liquide Global E&C Solutions Germany GmbH | DEU | 100.00% | |
| Air Liquide Global E&C Solutions France S.A. | FRA | 100.00% | |
| Air Liquide Global E&C Solutions Japan Ltd. | JPN | 100.00% | |
| JJ-Lurgi Engineering Sdn. Bhd. | MYS | E | 50.00% |
| Air Liquide Global E&C Solutions Singapore Pte. Ltd. | SGP | 100.00% | |
| Air Liquide Global E&C Solutions US, Inc. | USA | 100.00% | |
| Air Liquide Advanced Technologies US LLC | USA | 100.00% | |
| Alizent France S.A. | FRA | 100.00% | |
| Air Liquide Advanced Technologies S.A. | FRA | 100.00% | |
| Cryolor S.A. | FRA | 100.00% | |
| Air Liquide Electronics Systems S.A. | FRA | 100.00% | |
| FerdinandsGas Sverige AB | SWE | 100.00% | |
| Air Liquide Maritime SAS | FRA | 100.00% | |
| The Hydrogen Company | FRA | 100.00% | |
| Offshore Hire and Services | GBR | 100.00% | |
| 持株会社及び研究開発事業 | |||
| Air Liquide Finance S.A. | FRA | 100.00% | |
| Air Liquide International S.A. | FRA | 100.00% | |
| L' Air Liquide S.A. | FRA | 100.00% | |
| Orsay-Re S.A. | LUX | 100.00% | |
| Air Liquide International Corp. | USA | 100.00% | |
| American Air Liquide, Inc. | USA | 100.00% | |
| American Air Liquide Holdings, Inc | USA | 100.00% | |
(a) 連結方法は、契約上の合意により株式割合とは異なる。
より広範な連結子会社のリストは、以下のウェブサイトで閲覧可能である。
https://www.airliquide.com/consolidation-scope-2025
(2)【個別財務諸表】
損益計算書
2025年12月31日現在
| (百万ユーロ) | 注 | 2024年 | 2025年 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | (2) | 100.6 | 94.6 |
| ロイヤリティ及びその他収入 | (3) | 846.6 | 866.2 |
| 無形資産及び有形資産の売却による収入(b) | (7) | N/A | - |
| 営業利益 計(Ⅰ) | 947.2 | 960.8 | |
| 仕入及びその他の外部費用 | (39.3) | (16.8) | |
| 法人所得税以外の税金 | (18.0) | (17.2) | |
| 人件費 | (4) | (269.0) | (265.9) |
| 減価償却費及び減損損失 | (6) | (49.9) | (25.8) |
| 売却した無形資産及び 有形資産の帳簿価額(b) | (7) | N/A | (1.7) |
| その他費用 | (5) | (352.3) | (386.6) |
| 営業費用 計(Ⅱ) | (728.5) | (714.0) | |
| 純営業利益/(損失)(Ⅰ+Ⅱ) | 218.7 | 246.8 | |
| 関連会社からの財務収益(a) | (8) | 1,783.9 | 454.4 |
| 利息、それに準ずる収益と費用(a) | (8) | (108.8) | (68.7) |
| 金融資産の売却による収入(b) | (9) | N/A | 0.9 |
| 売却した金融資産の帳簿価額(b) | (9) | N/A | (8.3) |
| その他財務収益と費用(a) | (8) | 3.2 | (5.9) |
| 財務収益と費用(Ⅳ) | 1,678.3 | 372.4 | |
| 経常税引前純利益/(損失)(Ⅰ+Ⅱ+Ⅲ) | 1,897.0 | 619.2 | |
| 特別収益 | 186.1 | 0.4 | |
| 特別費用 | (63.0) | (0.6) | |
| 特別損益(Ⅴ) | (10) | 123.1 | (0.2) |
| 法定従業員利益分配 | (4.4) | (4.2) | |
| 法人所得税 | (11) | (27.3) | 29.6 |
| 当期純利益 | 1,988.4 | 644.4 |
(a) 関連会社との取引については、注記22を参照。
(b) 2024年12月31日時点で、特別損益に計上。期首時点での組替は該当なし(N/A)。
貸借対照表
2025年12月31日現在
| 2024年12月31日 | 2025年12月31日 | ||||
| (百万ユーロ) | 注 | 純額 | 総額 | 減価償却費及び引当金 | 純額 |
| 資産 | |||||
| 無形固定資産 | (12)&(14) | 22.9 | 183.1 | (163.9) | 19.2 |
| 有形固定資産 | (12)&(14) | 110.5 | 227.7 | (97.2) | 130.5 |
| 金融資産(a) | (13)&(14) | 13,069.2 | 13,074.0 | (11.4) | 13,062.6 |
| 固定資産 計 | 13,202.6 | 13,484.8 | (272.5) | 13,212.3 | |
| 棚卸及び仕掛品 | (13) | 0.4 | 0.4 | - | 0.4 |
| 売掛金及び関連勘定(a) | (14)&(17) | 13.4 | 1.5 | - | 1.5 |
| その他の売掛金(a) | (14)&(17) | 1,214.6 | 996.4 | (5.8) | 990.6 |
| 前払費用 | 3.7 | 1.9 | — | 1.9 | |
| 短期金融投資 | (15) | 204.4 | 155.1 | — | 155.1 |
| 現金、金融商品 | 5.2 | 11.3 | — | 11.3 | |
| 流動資産 計 | 1,441.7 | 1,166.6 | (5.8) | 1,160.8 | |
| 未実現外国為替損 | 8.3 | 3.4 | — | 3.4 | |
| 資産の部 計 | 14,652.6 | 14,654.8 | (278.3) | 14,376.5 | |
| 資本及び負債 | |||||
| 株式資本 | 3,180.4 | 3,186.6 | |||
| 資本剰余金 | 2,064.1 | 2,192.5 | |||
| 再評価積立金 | 23.9 | 23.9 | |||
| 法定準備金 | 288.4 | 317.9 | |||
| その他準備金 | 388.5 | 388.5 | |||
| 利益剰余金 | 2,928.3 | 2,928.0 | |||
| 当期純利益 | 1,988.4 | 644.4 | |||
| 税金関連積立金 | 3.5 | 3.6 | |||
| 株主資本 計 | (16) | 10,865.5 | 9,685.4 | ||
| 引当金 | (14) | 90.6 | 81.1 | ||
| 銀行借入金(a) | (17) | 5.8 | 1.0 | ||
| その他借入金(a) | (17) | 252.0 | 705.7 | ||
| 買掛金及び関連勘定(a) | (17) | 195.6 | 203.2 | ||
| 税金及び社会保険料の未納金(a) | (17) | 313.3 | 359.3 | ||
| 未払金(a) | (17) | 2,926.5 | 3,338.4 | ||
| 繰延収益 | 0.4 | 0.1 | |||
| 負債総額 | 3,693.6 | 4,607.7 | |||
| 未実現外国為替差損 | 2.9 | 2.3 | |||
| 資本と負債 計 | 14,652.6 | 14,376.5 | |||
(a) 1年以内の負債及び債権については、注記17に記載されている。
個別財務諸表に対する注記
会計方針
1. 基本原則
エア・リキード・エス・エーの法定会計はフランス会計原則の規定に従い、フランスで一般に認められた会計規則及び原則に従って作成されている。
法定会計の設定及び表示に関する会計方針は、慎重性の原則に従って、以下の基本的な前提条件に基づき適用されている。
■ 継続企業
■ ある会計期間から他の会計期間への会計方法の一貫性
■ 各会計期間の区分
計上科目の評価方法は、取得原価方式を採用している。
重要性のある情報のみを開示している。
2. 会計処理の変更
2023年12月30日に承認されたANC規則第2022-06号は、フランスの一般会計基準を改正するものであり、2025年1月1日より適用される。2025年12月31日をもって終了する事業年度の財務諸表は、本規則の規定に従って作成・表示されている。2024年12月31日をもって終了する事業年度の財務諸表については、新規定に基づき遡及的な修正再表示は行われていないが、財務諸表の新しい様式に準拠するため、「2024年12月31日」の欄において、項目の細分化又は再編成が行われている。
この会計処理の変更による影響は、主に当社の財務諸表において特別損益として反映されており、その内訳は以下のとおりである。
特別損益
2025年1月1日現在、フランス一般会計基準第513-5条に基づき、特別損益は以下のものを含む。
■ 重大かつ異常な事象に直接関連し、当該事象がなければ認識されなかったであろう収益及び費用
■ 純粋に税務上の性質を有する会計仕訳(例えば、税務上の加速償却など)
■ 税務上の規定により資本への計上が認められない場合、損益として認識される会計方針の変更
■ 誤りの訂正(当初から資本に直接計上された項目に関連するものを除く)
この変更により、従来は特別損益として計上されていた取引が、経常的事業活動からの純利益及び法人所得税等として再分類された。主な影響は以下のとおりである。
| 2024年度決算報告書 | 連結税務上の 利益 | その他 | 2024年度の決算を2025年 形式で作成 | |
|---|---|---|---|---|
| ロイヤリティ及びその他の収入 | 846.6 | 12.5 | 859.1 | |
| 特別損益 | 123.1 | (104.9) | (12.5) | 5.7 |
| 法人所得税 | (27.3) | 104.9 | 77.6 |
さらに、2024年12月31日現在の以下の貸借対照表項目については、表示方法が変更されており、その主な影響は以下のとおりである。
| 資産 | 2024年度 決算報告書 | 子会社との当座貸借 | 売掛金及び関連勘定 | 2024年度の決算を 2025年形式で作成 | ||
| 13.4 | 13.4 | 売掛金及び 関連勘定 | ||||
| 営業債権 | 750.8 | 477.2 | (13.4) | 1,214.6 | その他の 売掛金 | |
| 子会社との当座貸借 | 477.2 | (477.2) | ||||
| 負債 | 2024年度決算報告書 | 子会社からの当座借入金 | 買掛金及び関連勘定 | 税金及び 社会保険料の未納金 | 2024年度の決算を 2025年形式で作成 | |
| 195.6 | 195.6 | 買掛金及び 関連勘定 | ||||
| 313.3 | 313.3 | 税金及び 社会保険料の未納金 | ||||
| 営業債務 | 673.0 | 2,762.4 | (195.6) | (313.3) | 2,926.5 | 未払金 |
| 子会社からの当座借入金 | 2,762.4 | (2,762.4) | ||||
3. 固定資産
A.無形資産
内部創出の無形資産には、主として情報管理システムの開発費が含まれている。これらの費用は、将来の経済的便益を生み出す蓋然性があり、無形資産の開発及び使用又は売却を完了するために利用可能な適切な資源(技術的、財務的及びその他)がある場合にのみ資産計上される。内部使用及び外部使用を意図したアプリケーションの詳細設計、プログラミング、テストの実施及び技術契約書の作成に関する内部的及び外部的費用は資産計上されている。
重要な維持改良費は、これらが資産計上基準を明確に満たしている場合には資産の初期費用に加算される。
その他の無形資産には、ソフトウェア、ライセンス、及び知的財産権など、別個に取得された無形資産が含まれ、これらは取得原価で測定されている。
無形固定資産は見積耐用年数にわたって定額法で償却される。
B.有形固定資産
土地、建物及び設備は取得原価で計上されている。中間支払利息は費用に算入されていない。
有形固定資産はそれぞれ異なる耐用年数を有し、それらは個別に計上され、それぞれの耐用年数において減価償却する。
減価償却は以下の見積耐用年数にわたって、定額法により計算されている。
■ 建物 10-30年
■ 設備 5-20年
土地は減価償却されない。
C.無形資産及び有形固定資産の減損
当社は、毎決算日において、無形資産及び有形固定資産に減損の兆候があるかどうかを評価している。このような兆候が存在する場合、資産の帳簿価額がその現在価値を上回るかどうかを評価するために減損テストを実施する。資産の現在価値は市場価値と使用価値のいずれか高い方と定義されている。
使用価値を評価する際には、投資の意思決定で行われるのと同様に、見積将来キャッシュ・フローは現在価値に割り引かれる。
資産の現在価格が帳簿価額純額を下回る場合には、減損損失が損益計算書に計上される。現在価値が帳簿価額を上回る場合には、過去に認識された減損損失は損益計算書に戻し入れられる。
D.株式投資
株式投資は、記帳日における当初価額で認識される。但し、1976年12月29日の法律第76-1232号によって規定されているとおり、再評価の対象となるものについてはその限りではない。市場価格を表していない取得原価は費用として処理される。
株式投資の測定にあたって通常採用される基準(当グループの市場評価に基づく市場マルチプル法、見積キャッシュ・フローによる方法、及び時価評価による純資産価値)を用いて決定される帳簿価額が簿価を下回る場合は、その差額について減損損失が認識される。
E.自己株式
当社が自己の株式を購入する場合、それらは自己株式として取得原価でその他の長期投資有価証券に認識される。自己株式の処分損益は当期純利益に計上される。
しかしながら、株の無償配当の実施計画のために割り当てられた株は配当日に貸借対照表上の「短期金融投資-自己株式」に再計上される。
引当金は、業績基準が信頼性をもって決定された時、現在の株の支払に関わる将来的な当社の従業員と執行役員の義務をカバーする権利確定期間にわたって計上されている。
株式の取得原価が事業年度の最終月の平均株価に基づく評価額を上回る場合、消却又は株の無償配当の実施計画のために割り当てられた自己株式は減損しない。
4. 棚卸資産及び仕掛品
原材料、貯蔵品及び商品は基本的に加重平均原価で測定されている。
見積実現可能価額が原価を下回る場合には、棚卸資産又は仕掛品の評価損と認識される。
5. 売掛金及びその他
売掛金及びその他の受取債権は取得原価で測定される。
売掛金が回収できないと見込まれるとき及び損失が合理的に推測される際に、債権の評価損が認識される。売掛金は、グループ外の第三者に対する債権である。
6. 外貨建て取引
外貨建て取引は取引日の為替レートで換算される。
年度末において、外貨建てとなっている受取債権及び支払債務の換算によって生じた為替差額は資産及び負債の仮勘定に認識される(未実現為替差損益)。
ヘッジされていない取引に関連する未実現為替差損は、適用される場合、偶発損失引当金の対象となる。
7. 引当金
以下の場合に、引当金が認識される。
■ 過去の事象又は進行中の事象の結果、現在当社が第三者に対して債務を負っている場合
■ 当該債務を返済するために、経済的便益を表す資源の流出が必要となる蓋然性がある場合
■ 当該債務金額を、信頼性をもって見積もることができる場合
8. 金融商品
エア・リキード・エス・エーは、先物為替予約及びヘッジに関する2015年7月2日付のANC規則第2015-05号を適用している。
エア・リキード・エス・エーは、リスク管理方針に基づき、外貨建て取引に伴う為替リスクをヘッジするため、為替予約取引を行っている。
対称性のあるものであるため、先物為替の売買による為替差損益は、ヘッジ対象と同じ損益計算書の項目に同時に表示される。
同様に、ヘッジによる未実現利益は、未実現の外貨建て損益計算書の項目内に表示され、未実現の債権債務の再評価に関連する為替差額を相殺する。先物通貨の売買、ヘッジの先渡取引が貸借対照表に計上されていない場合、これらの商品の公正価値はオフバランス債務を表す。
利用された金融商品がヘッジ取引を構成しない場合(「孤立したオープン・ポジション」)、必要に応じて、それらの事業年度末の市場価格から生じる損失は、損益計算書に計上される。慎重性の原則に従って、未実現利益は損益計算書には計上されない。
9. 退職後給付
当社は、退職給付及び類似する債務の認識及び測定に関する2021年11月5日付で改正された2013年11月7日付ANC勧告第2013-02号(第2法)を適用している。当社は従業員に対し、現役の従業員と退職者の両方について、さまざまな年金制度、解雇給付、記念報奨金(勤続年数に基づく賞)及びその他の退職後給付を提供している。
これらの給付は以下の2つの方法によって提供されている。
■ いわゆる確定拠出制度
■ いわゆる確定給付制度
当社では、確定給付制度と確定拠出制度の両方を設けている。
確定拠出制度は、雇用主の唯一の義務が定期的な拠出を支払うことであるという制度である。雇用主は、従業員又は退職者に対して将来の給付水準については保証を与えない(「手段債務」)。1年間の年金費用は事業年度中に支払われた対価と同額であり、これにより雇用主は将来的な債務が免除される。
確定給付制度は、雇用主が契約において確定した(多くは従業員の給与及び勤続年数によって決まる)将来の給付水準を保証する制度である(「結果債務」)。確定給付制度には以下がある。
■ 支払拠出金の管理を専門とする基金に対する拠出金によって資金調達する、又は
■ 内部的に管理する
確定給付制度の場合、退職金及び類似する支払義務は、予測単位積増方式によって独立した保険数理士が測定している。
保険数理計算では主に以下の仮定が考慮されている:昇給率、従業員退職率、退職日、死亡率、物価上昇率、適切な割引率。
債務の10%と報告期間の期首現在の制度資産の公正価値のいずれか高い方を超える保険数理差損益は、制度加入者の予想平均勤続年数にわたって償却される。
フランス商法(Code de Commerce)第L.123-13条に従って、当社はこれまでの会計実務を維持しており、退職解雇給付及び記念報奨金に関連する債務は未払計上し、他の確定給付制度に関連する債務は計上せずに注記の中で開示している。
10. 収益の認識
商品の販売による収益は、所有によるリスク及び経済的利益を買手に移転したときに認識される。
役務の提供に伴う収益は、提供が完了した時点で計上される。
11. 研究開発費
開発費用は、当社が以下の基準を全て満たすことができる場合に、かつその場合に限り、資産計上される。
■ プロジェクトは明らかに識別可能であり、関連する費用は区別され信頼性をもってモニタリングされている
■ プロジェクトの技術的及び産業上の実行可能性が説明されている
■ プロジェクトを完成させ、そこから生じた製品を使用又は販売する明確な意図が存在する
■ プロジェクトが当社にとって将来の経済的便益を生み出す蓋然性がある
これらの条件を満たさない場合には、実施された業務は、体系的に利用又は販売可能となる無形資産の完成とはならず、開発費用は発生した時点で費用として計上される。
12. 特別損益
2025年12月31日に終了した事業年度の財務諸表は、2023年12月30日に承認されたANC規則第2022-06号の規定に従って作成・提示されている。2025年1月1日より、特別損益には以下の項目が含まれる。
■ 重大かつ異常な事象に直接関連し、当該事象がなければ認識されなかったであろう収益及び費用
■ 純粋に税務上の性質を有する会計仕訳(例えば、税務上の加速償却など)
■ 税務上の規定により資本への計上が認められない場合、損益として認識される会計方針の変更
■ 誤謬の訂正(当初から資本に直接計上された項目に関連するものを除く)
2024年12月31日に終了した事業年度の財務諸表は、これらの新しい規則を反映するために遡及的に修正再表示されていない。
13. 連結納税
エア・リキード・エス・エーは、フランス一般租税法の第223-A条に規定されているとおり、95%を超える割合を直接又は間接保有しているフランスの子会社と連結納税グループを設定している。
各社は、個別に課税されるものと仮定した場合の法人税引当金を計算している。エア・リキード・エス・エーは連結納税グループの親法人として自己の利益に対応する税金を費用として認識する。
2024年12月31日現在、総課税所得の算定において行われた修正再表示及び消去の影響は、特別損益として計上されている。2025年12月31日現在、この影響は法人税等として計上されている。
損失を計上した会社の課税繰延は、税金負債として認識されている。
貸借対照表及び損益計算書に対する追加注記
1. 重要な事象
2025年2月15日に公布された2025年財政法により、2025年度の大企業に対する利益への一時的な負担金が導入された。
この措置により、所得税が3910万ユーロ増加した。
2. 地域別売上高
| (百万ユーロ) | 2024年 | 2025年 |
|---|---|---|
| フランス | 59.6 | 49.9 |
| フランス国外 | 41.0 | 44.7 |
| 合計 | 100.6 | 94.6 |
事業の性質上、エア・リキード・エス・エーの売上高は主に子会社に再請求するサービス費用と退職給付費用である(注記19.A参照)。
3. ロイヤリティ及びその他利益
ロイヤリティ(商標、子会社から受け取るブランドロイヤリティ、技術ロイヤリティ、支援ロイヤリティ)及びその他の営業利益は2025年には、ロイヤリティがわずかに増加(+2.7%)した。
その他の利益には、主に物品及びサービスの在庫の増減、固定資産製造コストの資本振替、子会社の運営、営業費用からの振替、営業引当金や減損の取り崩し、並びに2024年度の営業費用の振替が含まれる。2025年1月1日付で、新一般会計基準の導入に伴い、後者は廃止された。この廃止は、財務諸表に重大な影響を及ぼさなかった。
4. 人件費
| 人件費の内訳は以下のとおりである。(百万ユーロ) | 2024年 | 2025年 |
|---|---|---|
| 賃金及び給与 | (185.6) | (179.2) |
| 社会保険料 | (83.4) | (86.7) |
| 人件費 | (269.0) | (265.9) |
5. その他費用
その他営業費用の主な内容は、研究開発費と、業務委託費用や修繕費、経費、旅費、通信費、賃貸料などのその他の外部費用である。
6. 減価償却費及び引当金
減価償却費及び引当金の内訳は以下のとおりである。
| (百万ユーロ) | 2024年 | 2025年 |
|---|---|---|
| 減価償却費 | (14.5) | (18.4) |
| 引当金 | (35.4) | (7.4) |
| 減価償却費及び引当金 | (49.9) | (25.8) |
7. 非金融資産の売却による損益
| (百万ユーロ) | 2024年 | 2025年 |
|---|---|---|
| 無形資産及び有形資産の売却による収入 | N/A | - |
| 売却された無形資産及び有形資産の帳簿価額 | N/A | (1.7) |
| 非金融資産の売却による損益 | N/A | (1.7) |
2025年、非金融資産の売却による損益は、主に除却損で構成されている。
2024年、この損益は特別損益として分類されていた。
8. 財務収益及び費用
■ 2025年の関連会社からの財務収益は4億5440万ユーロ(2024年は17億8390万ユーロ)に達した。2024年にAir Liquide Internationalは、特別配当として9億9990万ユーロの剰余金分配を行った。
■ 利息及びこれに類する収益及び費用の内訳は以下のとおりである。
| (百万ユーロ) | 2024年 | 2025年 |
|---|---|---|
| 長期貸付金等の金融収益 | 20.2 | 17.5 |
| その他利息及びこれに類する収益及び費用 | (129.0) | (86.2) |
| 利息及びこれに類する収益及び費用 | (108.8) | (68.7) |
■ その他の利息及び類似収支の減少は、平均的な負債残高の増加及び金利の低下によるものである。
■ その他の金融収益及び費用の内訳は、以下のとおりである。
| (百万ユーロ) | 2024年 | 2025年 |
|---|---|---|
| 償却費、減損損失及び引当金 | 13.5 | (3.6) |
| 為替差損益(純額) | 0.7 | (2.2) |
| その他の金融費用 | (11.0) | (0.1) |
| その他の金融収益及び費用 | 3.2 | (5.9) |
9. 金融資産の売却による損益
| (百万ユーロ) | 2024年 | 2025年 |
|---|---|---|
| 金融資産の売却による収入 | N/A | 0.9 |
| 売却した金融資産の帳簿価額 | N/A | (8.3) |
| 金融資産の売却による損益 | N/A | (7.4) |
2025年の金融資産の売却による損益には、主にArianespace Participationへの投資の処分による影響(-830万ユーロ)が含まれており、同額の減損引当金の戻入により相殺され、「その他の金融収益及び費用」に計上されている(注記8参照)。
2024年においては、この損益は特別損益として分類されていた。
10. 特別損益
2025年1月1日に発効したANC規則第2022-06号に基づき、2025年12月31日時点での-20万ユーロという特別損益は、減価償却費及び償却費の繰上げ計上によるものである。
2024年12月31日現在、1億2310万ユーロの特別損益は、主に以下の項目によるものである。
■ エア・リキード・エス・エーとそのフランス国内の連結子会社による税務上の連結に伴う税収1億490万ユーロ
■ 特許売却により計上された1250万ユーロの収益
■ 2024年12月に国務院(Conseil d’État)が下した有利な判決を受けて発生した均等化負担金に関連する480万ユーロの収益。
11. 法人所得税
2025年の法人所得税額は2960万ユーロとなり、2024年の-2730万ユーロから増加した。内訳は以下のとおりである。
| (百万ユーロ) | 2024年 | 2025年 |
|---|---|---|
| 税引前営業活動から生じた純利益 | (21.2) | (21.7) |
| 利益に対する追加拠出(a) | (1.8) | (1.7) |
| 利益に対する特別損益(b) | - | (39.1) |
| 連結税務上の利益(c) | - | 93.0 |
| その他 | (4.3) | (0.9) |
| 合計 | (27.3) | 29.6 |
(a) 利益に対しての社会保険料拠出金は3.3%。
(b) 2025年度財政法に基づき設定された利益に対する特別拠出金。
(c) 2024年12月31日現在、エア・リキード・エス・エーとそのフランス国内の完全子会社の連結税務上の利益は、特別利益として計上され、その額は1億490万ユーロであった。
12. 無形資産及び有形固定資産
総額ベースでの変動の内訳は以下のとおりである。
| (百万ユーロ) | 2025年1月1日 時点の総額 | 取得 | 処分 | 稼働開始による振替 | 2025年12月31日時点の総額 |
|---|---|---|---|---|---|
| 使用権、特許権、ライセンス | 119.9 | 2.6 | (0.3) | 30.7 | 152.9 |
| その他の無形資産 | 61.2 | 3.0 | (3.5) | (30.5) | 30.2 |
| 無形資産 | 181.1 | 5.6 | (3.8) | 0.2 | 183.1 |
| 土地及び建物 | 112.9 | 0.9 | (0.1) | 1.0 | 114.7 |
| プラント、機械及び装置 | 35.3 | 2.6 | (2.4) | 39.9 | 75.4 |
| その他の有形固定資産 | 18.4 | 1.4 | (0.4) | 1.2 | 20.6 |
| 建設仮勘定 | 33.6 | 25.7 | - | (42.3) | 17.0 |
| 有形固定資産 | 200.2 | 30.6 | (2.9) | (0.2) | 227.7 |
| 合計 | 381.3 | 36.2 | (6.7) | - | 410.8 |
減価償却及び減損損失の変動の内訳は以下のとおりである。
| (百万ユーロ) | 2025年1月1日 時点の総額 | 減価償却 | 減少、処分、除却 | 2025年12月31日 時点の総額 |
|---|---|---|---|---|
| 無形資産 | (158.2) | (8.0) | 2.3 | (163.9) |
| 有形固定資産 | (89.7) | (10.4) | 2.9 | (97.2) |
| 合計 | (247.9) | (18.4) | 5.2 | (261.1) |
13. 金融資産
総額ベースでの変動の内訳は以下のとおりである。
| (百万ユーロ) | 2025年1月1日 時点の総額 | 増加 | 減少 | 2025年12月31日 時点の総額 |
|---|---|---|---|---|
| 株式投資 | 12,419.3 | — | — | 12,419.3 |
| その他の長期投資有価証券(a) | 27.0 | 132.4 | (136.6) | 22.8(b) |
| 長期借入金 | 630.2 | 0.6 | — | 630.8 |
| その他の長期金融資産 | 1.1 | — | — | 1.1 |
| 合計 | 13,077.6 | 133.0 | (136.6) | 13,074.0 |
(a) その他の長期投資有価証券の変動は、主に以下の事由によるものである。
- 流動性契約に基づく自己株式の取得及び売却(それぞれ1億3240万ユーロと-1億2830万ユーロ)。
- 当社のArianespace Participationへの出資持分の売却による影響額は-830万ユーロ。
(b) 2025年末時点において、「その他の長期投資有価証券」には、特に、消却予定の自己株式92,000株(810万ユーロ相当)及び流動性契約に基づき保有する株式50,050株(1470万ユーロ相当)が含まれる。
14. 減損及び引当金
A.減損及び引当金
減損は、資産の帳簿価格が簿価を下回る場合に認識される。
減損及び引当金の内訳は、以下のとおりである。
| (百万ユーロ) | 2024年 | 引当金 | 戻入 | 2025年 |
|---|---|---|---|---|
| 無形資産、有形資産 | (6.4) | — | 0.2 | (6.2) |
| 株式投資 | — | (11.3) | — | (11.3) |
| その他の長期投資有価証券 | (8.4) | — | 8.3 | (0.1) |
| 棚卸資産及び仕掛品 | — | — | — | — |
| 営業債権 | (18.4) | — | 12.6 | (5.8) |
| 合計 | (33.2) | (11.3) | 21.1 | (23.4) |
| 繰入及び戻入: | 営業項目 | 12.8(a) | ||
| 金融項目 | 8.3 | |||
| 特別項目 |
(a) 戻入額は、損益計算書の「ロイヤリティ及びその他収入」に計上される。
この戻入額は、主にArianespace Participationへの投資に対する減損引当金830万ユーロの戻入、及び売掛金に対する減損引当金1250万ユーロの取り崩しによるものである。
B.引当金
引当金には主に以下のものが含まれる。
■ 外国為替に関する引当金
■ 第三者又は従業員の不測の事態や訴訟に関する引当金
■ 将来の業績連動株式交付にかかる費用を賄うための引当金
■ 退職給付に関する記念報奨金や確定受給権に対する引当金(2025年は5170万ユーロ、2024年は5140万ユーロ)
| (百万ユーロ) | 2024年 | 増加 | 減少 | 2025年 |
|---|---|---|---|---|
| 偶発債務引当金 | 14.4 | 2.5 | (8.7) | 8.2 |
| 損失引当金 | 76.2 | 17.7 | (21.0) | 72.9 |
| 合計 | 90.6 | 20.2 | (29.7) | 81.1 |
| 繰入及び戻入: | 営業項目 | 7.4 | (13.2)(a) | |
| 金融項目 | ||||
| 特別項目 |
(a) 戻入額は、損益計算書の「ロイヤリティ及びその他収入」に計上される。
この増加は主に為替リスクに対する引当金240万ユーロ退職解雇給付に関する記念報奨金や確定受給権に対する引当金に関するもの490万ユーロ、業績連動株式の交付に伴う将来の費用に関する引当金である1280万ユーロである。
この減少の主な内訳は、業績連動株式の交付に伴う引当金-1650万ユーロ及び退職解雇給付に関する記念報奨金や確定受給権に対する引当金の取り崩し-450万ユーロによるものである。また為替リスク引当金の-820万ユーロも含まれている。
15. 短期金融投資
該当項目の内訳は以下のとおりである。
| (百万ユーロ) | 2024年12月31日 時点の総額 | 2025年12月31日 時点の総額 |
|---|---|---|
| 自己株式 | 204.4 | 155.1 |
| その他の短期金融投資 | — | — |
| 短期金融投資 | 204.4 | 155.1 |
2025年末時点において、「自己株式」は1,011,995株(2024年は1,408,986株)あり、これら従業員に対する業績連動株式分配のために割当てられたものである。
2025年度中に、当社は従業員に対する業績連動株式分配のための株式を買い入れた事実はなく、当該目的のために割り当てられた業績連動株式396,991株を-4930万ユーロで分配した。
16. 株主資本
2025年12月31日時点において、株式資本は額面5.50ユーロの株式579,384,423株で構成されている。
特別再評価積立金から生じる資本金部分は、合計で7140万ユーロである。
| (百万ユーロ) | 2024年12月31日(利益処分前) | 2024年の 純利益の処分 | 配当(a) | 資本の 増加 | その他の変動 | 2025年12月31日(利益処分前) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 資本金(b) | 3,180.4 | — | 6.2 | — | 3,186.6 | |
| 資本剰余金(b) | 2,064.1 | — | 127.8 | 0.6 | 2,192.5 | |
| 再評価積立金 | 23.9 | — | — | — | 23.9 | |
| 剰余金: | ||||||
| 法定準備金 | 288.4 | 29.5 | — | — | 317.9 | |
| 税金関連積立金 | 307.8 | — | — | — | 307.8 | |
| 為替換算積立金 | 7.7 | — | — | — | 7.7 | |
| その他の準備金 | 73.0 | — | — | — | 73.0 | |
| 利益剰余金(c) | 2,928.3 | 1,958.9 | (1,962.2) | — | 3.0 | 2,928.0 |
| 当期純利益 | 1,988.4 | (1,988.4) | — | 644.4 | 644.4 | |
| 投資補助金 | 0.4 | — | — | (0.1) | 0.3 | |
| 割増償却(d) | 3.1 | — | — | 0.2 | 3.3 | |
| 合計 | 10,865.5 | — | (1,962.2) | 134.0 | 648.1 | 9,685.4 |
(a) 2025年5月6日の合同年次株主総会における決議に基づく。
(b) 「資本金」及び「資本剰余金」の項目の変動は以下の取引によって生じている。
- 2025年7月28日に取締役会が付与した権限に基づき、最高経営責任者が2025年12月9日に確定した、グループ従業員による848,773株の引受けに起因する470万ユーロの増資。追加払込資本は1億1290万ユーロ増額した。
資本剰余金は、増資費用に関連する270万ユーロを控除したものである。
- 新株予約権276,387個の行使により150万ユーロの増資。「資本剰余金」の項目は、これらの株式資本に関連するプレミアムの金額、すなわち1760万ユーロ増加した。
(c) 「利益剰余金」の変動には、特別配当の見込額と実際支払額との差額及び自己株式に帰属する配当の取消額も含まれる。
(d) 「割増償却」の変動は、資産の減価償却の方針に従った割増償却の変更によるものである。
17. 債務の満期の分析
| (百万ユーロ) | 2025年12月31日 | ||
| 総額 | 1年以内 | 1年超 | |
| 貸付金 | 630.8 | 625.7 | 5.1 |
| その他の長期投資 | 1.1 | — | 1.1 |
| 売掛金及び関連勘定 | 1.5 | 1.5 | — |
| その他の債権(a) | 996.4 | 897.9 | 98.5 |
| 資産 | 1,629.8 | 1,525.1 | 104.7 |
| (a) 子会社への短期貸付を含む。 | 381.6 | 381.6 | |
| (百万ユーロ) | 2025年12月31日 | |||
| 総額 | 1年以内 | 1年超5年以内 | 5年超 | |
| 銀行借入 | 1.0 | 1.0 | — | — |
| その他の借入 | 705.7 | 705.5 | 0.2 | — |
| 買掛金及び関連勘定 | 203.2 | 203.2 | — | — |
| 税金及び社会保険料の未納金 | 359.3 | 359.3 | — | — |
| その他の未払金(a) | 3,338.4 | 3,239.9 | 98.5 | — |
| 負債 | 4,607.6 | 4,508.9 | 98.7 | — |
| (a) 子会社からの短期借入を含む。 | 3,156.6 | 3,156.6 | ||
18. 金融商品
2025年12月31日時点の未決済のデリバティブの内訳は以下のとおりである。
| (百万ユーロ) | 2025年12月31日 | |
| 帳簿価格 | 公正価値差額 | |
| 為替予約 | ||
| ■買い | 93.2 | (1.2) |
| ■売り | 166.2 | 0.9 |
| 金利リスク | (0.3) | |
デリバティブ商品の公正価値は、市場の決算日レートで決定された契約の価値に基づいている。
これらの商品は全てヘッジ対象事業に配分される。したがって、公正価値の変動が損益計算書に直接影響を与えるような単独のオープン・ポジションは存在しない。
19. 退職制度及びこれに類する制度
A.グループの退職給付保証契約
フランスにおいて、エア・リキードは退職者(2025年12月31日時点で2,707人)に対する追加給付を付与している。これらの給付は最終給与に基づく追加的な退職金を提供するものであり、その他の通常の退職給付に加えて支払われるものである。この制度は、1996年1月1日時点で45歳未満又は勤続20年未満の従業員には適用されない。この制度は積立金がない。追加給付に関して支払われる年額は、もともとは給与総額の12%を超えてはならず、場合によっては関係会社の税引前利益の12%を超えてはならない。この12%の基準は、1年間の年金受給者数と前年度の年金受給者数を比較することにより、比例的に減額される。エア・リキードが付与する追加給付は、物価スライド制を適用せず、一定の年金限度額までは通常の退職給付及び追加給付の年金再評価率に連動させる。2014年1月20日法第50条に引き続き、年金制度の将来性と公正性を確保するため、この追加給付が支給された。
拠出額(子会社への再請求後)は1710万ユーロであった(2024年:1840万ユーロ)。時間軸の影響を除くと、制度終了までに、2025年12月31日時点の退職者及び受給資格者に対する債務の保険数理上の評価額は、3億640万ユーロである。
退職給付債務の評価に用いられる仮定に基づいて、推定1億5840万ユーロが退職者への給付時においてエア・リキード・エス・エーの子会社に対して請求される予定である。
B.外部積立制度
当社は、上記の制度の対象となっていない従業員で(2025年12月31日時点で1,001人)、かつ勤続6か月以上の従業員に対しては、外部の確定拠出型年金を付与している。この制度に対する拠出金は雇用主と従業員が共同で支払っている。2025年の雇用主の拠出額は670万ユーロであった(2024年:610万ユーロ)。
C.退職解雇給付及び記念報奨金
該当する債務はそれぞれ、5070万ユーロ及び100万ユーロである。
D.保険数理計算上の仮定及び方法
当グループの退職給付保証契約、退職解雇給付及び記念報奨金は、独立した保険数理士によって予測単位積増方式に基づいて計算している。
保険数理差損益のうち、退職解雇給付及び未認識過去勤務に関連する債務の10%を超える部分は、制度加入者の予想平均残存勤務期間にわたり償却される。2025年12月31日における金額は-730万ユーロである(2024年:-570万ユーロ)。
保険数理上の仮定(退職率、死亡率、退職時の年齢、昇給率)は、人口統計及び経済状況により変動する。
債務の現在価値の計算に使用される割引率は、評価日における債務と同じ期間を有する国債又は高格付債に基づいている(3.95%:2025年12月31日時点)。
E.退職給付債務及びこれに類似する給付の動き
退職給付制度及びこれに類似する給付に関連する当社の債務の内訳は以下のとおりである。
| (百万ユーロ) | 確定給付制度 | 退職補償 | 記念報奨金 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 2025年1月1日時点の債務 | 352.0 | 45.6 | 1.0 | 398.6 |
| サービス費用 | 2.2 | 2.2 | ||
| 利息費用 | 11.2 | 1.5 | 12.7 | |
| 制度改正 | — | |||
| 給付支払 | (32.8) | (3.7) | (36.5) | |
| 保険数理差損(益) | (24.0) | (1.5) | (25.5) | |
| 2025年12月31日時点の債務 | 306.4 | 44.1 | 1.0 | 351.5 |
20. 未収収益及び未払費用
| (百万ユーロ) | 2025年12月31日 |
|---|---|
| 未収収益 | |
| その他の長期財務資産 | 0.6 |
| 売掛金及び関連勘定 | 0.2 |
| その他の債権 | 228.1 |
| 合計 | 228.9 |
| 未払費用 | |
| その他の借入金 | 5.5 |
| 買掛金及び関連勘定 | 164.1 |
| 税金及び社会保険料の未納金 | 66.4 |
| その他の債務 | 143.9 |
| 合計 | 379.9 |
21. 繰延税金
収益及び費用の税制上と会計上との取扱いのタイミングの違いにより繰延税金が生じる。時期の差異の性質によって、これらの繰延税金は将来の税金費用を増減させるが、フランスの勘定科目表に計上はなされない。
繰延税金は、以下のとおりに見積もられる。
| (百万ユーロ) | 2024年12月31日 | 2025年12月31日 |
|---|---|---|
| 繰延税金資産 (将来の税金費用を減少させる) | 19.3 | 22.4 |
| 繰延税金負債 (将来の税金費用を増加させる) | — | — |
2024年12月31日現在の繰延税金は利益に対して3.3%の社会保険料拠出金(すなわち一般所得利率25.83%)を考慮して計算されている。また2025年12月31日現在、41.2%の特別負担金が加算されており、これは36.13%の一般所得利率に相当する。
その他の情報
22. 関連会社に関する損益計算書
当社は、完全子会社(直接的又は間接的に)又は支配権を行使している子会社との間で、関連当事者との金融取引を行った。
| 2024年12月31日 | 2025年12月31日 | |||
| (百万ユーロ) | 総額 | 関連会社取引を 含む | 総額 | 関連会社取引を 含む |
| 持分法適用会社 からの財務収益 | 1,783.9 | 1,783.9 | 454.4 | 454.4 |
| 利息、同等の収益及び費用 | (108.8) | (105.6) | (68.7) | (65.3) |
| その他の財務収益及び費用 | 3.2 | — | (5.9) | — |
23. オフバランス契約
オフバランス契約の内訳は以下のとおりである。
| (百万ユーロ) | 2024年12月31日 | 2025年12月31日 |
|---|---|---|
| 支払契約 | ||
| 裏書、担保及び保証(a) | 1,612.3 | 978.6 |
| Air Liquide Finance及びAir Liquide US LLCに対する取引(b) | 9,041.2 | 10,645.5 |
| 固定資産への確定注文 | 6.9 | 10.2 |
| 合計 | 10,660.4 | 11,634.3 |
(a)「裏書、担保及び保証」は、主に、3億7700万ユーロ(2024年12月31日現在4億7700万ユーロ)の売上債権のノンリコース譲渡の欧州プログラムに関する関連会社に付与された債務連帯保証及び子会社のSociété Européenne de Gestion de l’Énergie 及びAir Liquide France Industrieの電力仕入れに関する連帯保証債務である。
(b) エア・リキード・エス・エーは、フランスの子会社であるAir Liquide Financeを100%保有しており、そこではファイナンス業務とともにグループの資金調達や利率リスクの管理を行っている。さらに、Air Liquide Financeは、米国の市場で借入れを行うAir Liquide US LLCを100%保有している。Air Liquide FinanceとAir Liquide US LLCの唯一の事業はグループへの融資である。その結果、エア・リキード・エス・エーはこれらの会社が行う債券の発行を保証する必要がある。
関連会社以外の取引は、重要性が乏しい。
24. 経営幹部及び取締役会のメンバーに分配される報酬
当社が経営幹部及び取締役会のメンバーに対して分配する報酬(短期給付:固定給及び変動給、現物給付、退職解雇給付、取締役の出席報酬)はそれぞれ以下のとおりである。
| (百万ユーロ) | 2025年 |
|---|---|
| 取締役会の報酬 | 1.0 |
| 取締役会会長報酬 | 0.8 |
| 経営幹部の報酬 | 3.0 |
| 合計 | 4.8 |
2025年度、当社は外部組織に対して以下の拠出を行った。
■ ブノワ・ポティエ氏(取締役会会長)のために団体死亡・障害給付制度(10,128ユーロ)
■ フランソワ・ジャコウ氏のために確定給付年金制度(21,348ユーロ)、団体死亡・障害給付制度(13,339ユーロ)、及び団体ヘルスケア事業(522ユーロ)に関する給付金、すなわち合計35,209ユーロ
また、2026年には、団体年金保険契約に基づき、2025年に関連する保険料377,058ユーロ(保険会社への支払と、保険会社に支払うべき社会保険料及び支払に対する税金を賄うためのフランソワ・ジャコウ氏への支払に分かれる)を支払う予定である。
25. 平均従業員数
平均従業員数は、以下のとおりである。
| 2024年 | 2025年 | |
|---|---|---|
| エンジニア及び執行者 | 893 | 855 |
| 監督スタッフ | 165 | 138 |
| 従業員 | 34 | 33 |
| 労働者 | ||
| 合計 | 1,092 | 1,026 |
26. 子会社及び関連会社に関する情報
| (千ユーロ) | 2025年12月31日現在 | 株式保有割合 |
| 資本 | ||
| A.50%超を保有する子会社の詳細 | ||
| ① Air Liquide International(b)- 75, quai d'Orsay -75007 Paris | 10,100,756 | 100.00% |
| ② Air Liquide France Industrie- 6, rue Cognacq-Jay-75007 Paris | 774,355 | 100.00% |
| ③ Air Liquide Finance – 6, rue Cognacq-Jay -75007 Paris | 819,749 | 100.00% |
| ④ Air Liquide Santé (International) – 75, quai d'Orsay-75007 Paris | 361,673 | 100.00% |
| ⑤ Air Liquide Investissements d' Avenir et de Démonstration- 6, rue Cognacq-Jay -75007 Paris | 88,763 | 100.00% |
| ⑥ Air Liquide Biogas International - 6, rue Cognacq-Jay - 75007 Paris | 63,005 | 100.00% |
| ⑦ Air Liquide Industriegase GmbH & Co. KG Hans- Günther-Sohl-Strasse 5-40235 Düsseldorf -Germany | 2,732,708 | 100.00% |
| ⑧ その他の子会社(*) | ||
| B.10%以上50%未満の保有状況の詳細 | ||
| ⑨ その他の子会社(*) | ||
(下記表は上記表の続きであり、左端の丸数字に対応する。)
| 1976、1978、1979年の再評価後の 保有株式の帳簿価額 | 当社からの 貸付金及び 前渡金 (未返済) | 当社が行っ ている保証 及び裏書 | 2024年の 純売上高(a) | 2024年の 純利益 (純損失)(a) | 2025年中に 当社が回収 した配当金 | ||
| 総額 | 純額 | 再評価の差異を含む | |||||
| A.50%超を保有する子会社の詳細 | |||||||
| ① 9,122,262 | 9,122,262 | 20,706 | 276,817 | 1,455 | 1,488,883 | — | |
| ② 292,872 | 292,872 | — | 214,000 | 1,348,373 | 123,605 | 96,631 | |
| ③ 284,562 | 284,562 | 480 | 633,036 | 10,333,116 | — | 83,607 | 83,583 |
| ④ 331,728 | 331,728 | 6,301 | 244 | - | 84,786 | 100,000 | |
| ⑤ 85,050 | 85,050 | 4 | — | (435) | |||
| ⑥ 116,011 | 104,711 | — | 30,746 | (21,713) | |||
| ⑦ 2,106,474 | 2,106,474 | — | 108,103 | 184,612 | 80,000 | ||
| ⑧ 49,816 | 49,816 | 16,068 | 75,745 | ||||
| B.10%以上50%未満の保有状況の詳細 | |||||||
| ⑨ 29,356 | 29,356 | 16,744 | — | — | — | 18,404 | |
| — | — | — | — | ||||
(a) 所管の意思決定機関が承認した直近の期末決算書。
(b) 持株会社。
(*) 個々の時価総額が当社の資本の1%未満である事業体。
2 【主な資産・負債及び収支の内容】
「1 財務諸表」の各注記を参照。
3 【その他】
(1) 最近事業年度末日後の重要事実
該当なし。
(2) 重要な訴訟事件等
訴訟事件については、連結財務諸表に対する注記22を参照。
4 【IFRSと日本の会計原則及び会計慣行の主な相違】
添付の連結財務諸表は、欧州連合が採用している国際財務報告基準(以下「IFRS」)に従って作成されている。IFRSと日本の会計原則及び会計慣行は重要な部分で相違している。直近の財務諸表に関する主な相違点は以下のとおりである。
(1) 連結の範囲
IFRSでは、原則としてすべての子会社を連結する必要がある。
一方、日本の会計原則では、重要性の乏しいものは、連結の範囲に含めないことができ、また、支配が一時的であると認められる子会社は連結の範囲から除外する。
(2) 異常損益項目の分類
IFRSでは、「異常損益項目」という概念は存在しない。
日本の会計原則の下では、異常損益項目に代わり特別損益項目が、臨時的かつ金額的に重要な損益項目として定義されている。かかる項目には、固定資産売却損益、売買目的以外に分類される投資有価証券の売却損益、災害による損失等が含まれるが、これに限られない。
(3) 企業結合により取得したのれん
IFRSでは、企業結合により取得したのれん(正ののれん)は償却せず、毎年減損テストの対象としなければならない。
一方、日本の会計原則では、企業結合により取得したのれん(正ののれん)は、20年以内の効果の及ぶ期間にわたって規則的に償却される。
(4)開発費
IFRSでは、特定の要件を満たす場合の開発費は資産計上しなければならない。
一方、日本の会計原則では、開発段階で発生した費用は発生時に費用計上される。
(5)減損会計
減損の判定方法:
IFRSでは、減損の兆候がある場合に、資産から生み出される将来キャッシュ・フローの現在価値を基礎とした回収可能価額(処分費用控除後の時価と使用価値のいずれか高い方)を見積り、これが帳簿価額を下回る額を減損損失として認識する。
一方、日本の会計原則では、割引前キャッシュ・フローが帳簿価額を下回る場合に減損損失を認識する。
減損損失の戻入れ:
IFRSでは、回収可能価額の見積りに変化があった場合には、回収可能価額まで減損損失を戻し入れる(但し、のれんの減損は戻し入れることができない)。
一方、日本の会計原則では、減損損失を戻し入れることはできない。
(6)リース
IFRSでは、借手はほとんどすべてのリースに関して使用権資産とリース負債を計上しなければならない。
日本の会計原則では、リース期間の中途に契約を解除することができず、かつ、借手がリース物件からもたらされる経済的利益を実質的に享受することができコストを実質的に負担することとなる場合を除き、通常の賃貸借取引に係る会計処理に準じた会計処理を行う。
(7)ヘッジ会計
IFRSでは、ヘッジ会計を公正価値ヘッジとキャッシュ・フロー・ヘッジとに分類する。公正価値ヘッジについては、ヘッジ対象とヘッジ手段とをともに時価評価し、ヘッジ効果を損益計算書上に反映する方法が適用される。キャッシュ・フロー・ヘッジについては、ヘッジ手段を時価評価し、時価評価差額のうち有効部分が貸借対照表上、資本の部で繰り延べられる。
一方、日本の会計原則では、公正価値ヘッジとキャッシュ・フロー・ヘッジのいずれの取引についても、ヘッジ会計の要件を満たす限りは原則として繰延ヘッジ会計(ヘッジ手段から発生する損益を繰り延べることによりヘッジ対象とヘッジ手段の損益認識時点のずれを解決する方法)が適用される。繰延ヘッジ会計では、ヘッジ手段にかかる未実現損益は、貸借対照表上に資産又は負債のいずれかで計上される。時価ヘッジ会計の適用はその他有価証券についてのみ認められている。また、金利スワップの特例処理や、為替予約等の振当処理などの例外・特例処理が認められている。
(8)退職給付会計の数理計算上の差異(保険数理差損益)
IFRSでは、数理計算上の差異を、当該損益が発生した期において、その他包括利益で直接的に認識する。一方、日本の会計原則では、数理計算上の差異及び過去勤務費用は、従業員の予想平均残存勤務期間を超えない期間において損益計算書に計上する。
(9)非継続事業
IFRSでは、非継続事業は継続事業と区分して表示されるが、日本の会計原則に非継続事業と継続事業の区分表示に関する基準は存在しない。
(10) 借入費用の資産化
IFRSでは、適格資産の取得、建設又は生産に直接起因する借入費用を、当該資産の取得原価として資産化する。
一方、日本の会計原則では、自家建設に要する借入資本の利子で稼働前の期間に属するものを除き、原則として財務費用として費用計上する。
第7【外国為替相場の推移】
当社の財務書類の表示に用いられた通貨(ユーロ)と日本円との間の為替相場は、国内において発行される2紙以上の日刊新聞紙に、最近の5事業年度間及び最近6ヶ月間毎日掲載されているため、当報告書におけるその記載を省略する。
第8【本邦における提出会社の株式事務等の概要】
1【日本における株式事務等の概要】
(1)株式の名義書換取扱場所及び名義書換代理人
該当なし
(2)株主に対する特典
該当なし
(3)株式の譲渡制限
該当なし
(4)その他株式事務に関する事項
決算期:当会社における会計年度は毎年1月1日より同年12月31日までとする。
定時株主総会:毎年1回上半期に開催される。
2【日本における株主の権利行使に関する手続】
(1)株主の議決権の行使に関する手続
日本における当社株主は、当社の定款にしたがって当社に委任状又は不在者投票用紙を送付することにより議決権を行使することができる。
(2)利益の配当(株式の配当等を含む)請求に関する手続
配当金は、受領する権利を有する株主に対して、株主総会決議又は経営役員会で定められた日及び場所において、ユーロ通貨にて支払われる。
(3)株式の移転に関する手続
株式の移転は、法令等の規定にしたがい、名簿の登録変更によって行われる。
(4)配当等に関する課税上の取扱い
上記第一部 第1「本国における法制等の概要」の3(2)「日本における課税」を参照。
(5)その他
該当なし
第9【提出会社の参考情報】
2025年1月1日から本書提出日までの間に、当社は下記の書類を関東財務局長に提出した。
(1) 有価証券報告書及びその添付書類(2025年6月30日提出)
(2) 半期報告書及びその添付書類(2025年9月30日提出)
(3) 有価証券届出書及びその添付書類(2025年10月1日提出)
(4) 有価証券届出書及びその添付書類(2025年11月19日提出)
第二部【提出会社の保証会社等の情報】
第1【保証会社情報】
該当事項なし
第2【保証会社以外の会社の情報】
該当事項なし
第3【指数等の情報】
該当事項なし
連結財務諸表に対する法定監査人の監査報告書
これは、フランス語で発行された当社の連結財務諸表に関する監査報告書の任意の翻訳であり、英語を話すユーザーの便宜のためにのみ提供されている。
この監査報告書には、法定監査人の選任に関する情報や、マネジメント・レポートに提示された当社グループに関する情報の検証など、欧州規則及びフランス法で要求される情報が含まれている。
本報告書は、フランス法及びフランスで適用される監査基準と併せて読まれ、それに従って解釈されるものである。
定時株主総会宛
意見
当監査法人は、定時株主総会から委託された業務内容に従い、2025年12月31日に終了した会計年度のエア・リキード(「当グループ」)の連結財務諸表を監査した。
当監査法人は、連結財務諸表が、欧州連合が採用する国際財務報告基準(IFRS)に従い、2025年12月31日現在の当グループの資産及び負債並びに財政状態並びに同日をもって終了する事業年度の経営成績について真実かつ適正に表示しているものと認める。
上記の監査意見は、当監査法人の監査・会計委員会に対する報告と一致している。
意見表明の根拠
監査体制
当監査法人は、フランスで適用される監査基準に従って監査を行った。当監査法人は、当監査法人が入手した監査証拠は、当監査法人の意見の根拠を提供するのに十分かつ適切であると考える。
これらの基準に基づく当監査法人の責任は、当監査報告書の連結財務諸表監査に関する法定監査人の責任の項にさらに記載されている。
独立性
当監査法人は、2025年1月1日から当監査法人の報告書作成日までの間、法定監査人に関するフランス商法及びフランス倫理規定における独立性基準に準拠して監査業務を行った。とりわけ、当監査法人は、2014年第537号規則(EU)第5条(1)に規定される禁止された非監査業務を提供していない。
評価の正当性―重要な監査事項(Key Audit Matters)
当監査法人の評価の正当性に関するフランス商法第L.821-53条及び第R.821-180条の要件に従い、当監査法人の専門的判断において最も重要と判断される、当期の連結財務諸表の監査において重要な虚偽表示のリスクに関する監査上の重要事項、及びそれらのリスクに対する当監査法人の対処方法について貴社に通知する。
これらの事項については、当監査法人が連結財務諸表全体を監査する文脈において対処されたものであり、当監査法人の意見を形成するに当たり、当監査法人は、連結財務諸表の特定の項目について別の意見を述べているものではない。
ラージ・インダストリー事業:契約の適格性及び関連する収益認識方法
リスクの特定
ラージ・インダストリー事業のガス供給は、限定された顧客との長期契約に基づくものであり、多額の事業投資を必要とする。
連結財務諸表の会計原則の注記「3.a. 収益の認識 ガス&サービス」に記載のとおり、これらの投資は、通常、当グループの他のビジネス、とりわけ工業事業ビジネスと製造能力を共有することを目的として、又は工業地域のパイプラインに接続する顧客へのサービスの提供を目的として行われる。このような場合、当グループ経営陣は、当該資産は、IFRS第16号「リース」に定義されているものとしては認識されないと考えている。
長期供給契約に使用される資産が顧客専用である場合、当グループは、IFRS第16号「リース」に定義されているように、当グループが、当該資産の使用を指示する権利を保持していると考えている。したがって、これらの資産に関連するガス供給契約は、リースとはみなされない。これらの事業投資は、引き続き当グループの支配下にあり、有形固定資産として計上されるが、契約により受領した全額は収益として認識される。ラージ・インダストリー事業の顧客は、ガス供給サービス又はその利用可能性によって付与された利益の受領と消費を同時に行っている。そのため、これらの契約に関連する収益認識は、ガスが供給された時点又は予約された容量が利用可能になった時点で発生する。
連結財務諸表の注記31「気候変動リスクの考慮」に記載されているとおり、長期ガス供給契約はテイク・オア・ペイ条項を通じて最低量の保証、及び、CO2とインフレを含む変動費用(主に電気と天然ガス)の指標化をふくむものである。
契約が複雑であり、契約締結時やその後に重要な修正が生じた場合に行われた評価が当グループの連結財務諸表に与える影響も大きいため、ラージ・インダストリー事業の長期契約及び関連する収益認識基準の適格性を重要な監査事項として検討した。
当監査法人の対応
当監査法人の取った手続は、特に以下のとおりであった。
■ 特に原資産の特定の性質を考慮して、当グループによって適用されるラージ・インダストリー事業の長期契約を評価するための基準を理解する。
■ 当グループのこれらの契約の会計処理がIFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」及びIFRS第16号「リース」を遵守しているかを確認するために、当グループが実施する内部統制手続を理解する。
■ ラージ・インダストリー事業の長期契約に適用される会計処理におけるIFRS第15号及びIFRS第16号の遵守状況を検証する。
■ 関連する統制手段を含む収益プロセス及び収益取引のサンプルの実質的なテストの実施を通じて、効力を有する契約の指標化条項の適用を評価する。
■ 連結財務諸表の会計方針及び方法の注記「3. 収益の認識 a.ガス&サービス」に含まれる開示の適切性を評価する。
ラージ・インダストリー事業:製造ユニットの耐用年数及びその回収可能価額の測定
特定されたリスク
2025年12月31日現在、有形固定資産の純簿価は24,910百万ユーロ(グループ総資産の47.9%)であり、これには、顧客とのラージ・インダストリー事業に関する契約を締結するための多額の事業投資を含む。連結財務諸表の会計方針の部の注記「5.e. 有形固定資産」に記載されているとおり、ラージ・インダストリー事業の製造ユニットは、その見積耐用年数(通常15~20年)にわたって定額法で償却される。見積耐用年数は定期的に再評価され、その結果生じる見積りの変更があれば、見積りベースで計上される。
また、当グループは、事業投資に特有のリスクにさらされる可能性がある。例えば、経済状況や、見積超過、建設遅延、立上げ条件、技術の変更、地理的立地、カウンターパーティ・リスク等の事情によって、投資の期待リターンやその回収可能価額が悪影響を受ける可能性がある。新規投資は、当グループの炭素中立性を達成する目標及びコミットメントと実現するためにも必要となることがある。
当グループ経営陣は、連結財務諸表の会計方針の部の注記「5.f. 資産の減損」に開示されているとおり、減損の兆候の有無を定期的に判断している。トリガー・イベントが特定された場合、減損テストを実施し、資産の正味帳簿価額がその回収可能価額を超えているかどうかを確認する。これらの原則により、当グループは、特に立上げの著しい遅延、プロジェクトの終了、期待された事業規模の顕著な減少、又は関連する顧客契約の早期終了若しくは更新がなされない場合、エネルギー転換の文脈における資産の陳腐化の場合には、製造用資産の減損テストを(個別に、又はそれが属する資金生成単位の中で)行う。設備の回収可能価額の測定は、特定の設備を他の内部顧客もしくは外部顧客のために再利用する能力、関連する顧客もしくは第三者に資産を売却する能力、又は特に顧客から補償を受ける能力に関する重要な見積りに基づいている。
設備の回収可能価額の測定は、当グループが将来のキャッシュ・フローを生み出す能力、特定の設備を他の社内外の顧客のために再利用する能力、資産を売却する能力、又は特に、顧客から若しくは助成金から補償を得る能力に関する重要な見積に依拠している。
各々の製造用資産の重要な価値及びこれらの資産の累積価値、それらの耐用年数、それらの再利用又は受け取るべき補償を評価するために用いられた重要な前提事項により、当監査法人は、ラージ・インダストリー事業資産の耐用年数及び回収可能価額の測定を重要な監査事項として検討した。
当監査法人の対応
当監査法人の取った手続は、特に以下のとおりであった。
■ 設備の減価償却期間の評価及び更新をするために、当グループが行った手続を理解する。
■ 設備の耐用年数と契約条件及び利用可能な社内の技術的研究との整合性を評価する。
■ 減損の兆候を特定するための当グループの手続を評価する。
■ 将来のキャッシュ・フローを決定するために使用された主要な仮定と見積りを含んだ、プラントの回収可能価額を決定するために、当グループが行った作業を理解する。
■ 回収可能価額の決定に伴って生じた減損損失の会計処理について評価する。
■ 当グループの気候変動への対応戦略がラージ・インダストリー事業の製造用資産の耐用年数及び回収可能価値のいずれにも重要な影響を与えないとする当グループの評価を裏付ける目的で、当監査法人の気候変動及びエネルギー転換の専門家の助力の下、気候変動とエネルギー転換の連結財務諸表への影響を評価する。
■ 気候変動に関する問題に対応する当グループの他の公表物(特にサステナビリティに関する記述)と連結財務諸表との間に、明らかな不一致が存在しないことを確認する。
■ 連結財務諸表の会計原則の部の注記「5.e. 有形固定資産」及び「5.f. 資産の減損」、注記31「気候変動リスクの考慮」に含まれる開示内容の適切性を検証する。
のれん減損テスト
特定されたリスク
当社グループは、外部成長戦略に関連して、関連するのれんを、資金生成ユニットのグループレベルでモニターしている。ガス&サービス事業に関しては、のれんは主に地理的に配分される。エンジニアリング&テクノロジーについては、のれんは事業単位でモニタリングされる。2025年12月31日現在、のれんの純簿価は13,823百万ユーロ(グループ総資産の26.6%)である。
当グループは、時価を基準として、減損テストを毎年実施している。公正価値が資本生成ユニット又は資本生成ユニットのグループの純簿価より、重要性を有する程度に大きいものでない限り、当グループは、連結財務諸表の会計原則の部の注記「5.f. 資産の減損」に記載されているように、見積キャッシュ・フロー・アプローチ(使用価値)を用いて、資本生成単位又は資本生成単位のグループの回収可能額を確認している。
公正価値及び回収可能価額の決定、並びに市場マルチプルの変動に対する感応度、並びに使用された主要なデータ及び前提事項は、特に気候変動及びエネルギー転換の文脈において、重要な判断及び経営者による見積りを必要とする。当監査法人は、そのため、のれんの減損テストを重要な監査事項として検討した。
当監査法人の対応
当監査法人の取った手続は、特に以下のとおりであった。
■ 資金生成ユニットのグループを決定するために用いられる原則を理解し、評価する。
■ 時価総額の倍率に基づく市場価格及びその測定方法を決定するために用いられる原則及び方法を、当監査法人のバリュエーションの専門家の助力の下、分析する。
■ 以下について、外部データに基づく裏付けを得る。
- 当グループの2025年12月31日時点の減損テストの結果、及び、
- 気候変動とエネルギー転換に関する課題と機会の考慮
■ 当グループの2025年12月31日時点の減損テストの結果の感応度を評価する。
■ 連結財務諸表の注記「5.f.資産の減損」及び「10. のれん」に記載されている情報の適切性を評価する。
特定の検証
当監査法人は、フランスで適用される専門職としての基準に基づいて、取締役会の当グループのマネジメント・レポートに記載されている当グループの情報について、法令で要求される具体的な検証を行っている。
表示の適正性及び連結財務諸表との整合性について、報告すべき事項はない。
その他の法的及び規制要件に関する報告
年次財務報告書に記載することを目的とする連結財務諸表の表示形式
当監査法人は、欧州単一電子フォーマットで表示された年次財務諸表及び連結財務諸表に関して法定監査法人が実施する手続きに関してフランスで適用される職業上の基準に従い、最高経営責任者の責任の下で作成されたフランス通貨金融法典第L.451-1-2条第I項にいう年次財務報告書に含まれる連結財務諸表の表示が、2018年12月17日付の欧州委員会規則2019年第815号で定められた単一電子フォーマットに準拠していることを検証した。
当監査法人の作業に基づき、年次財務報告書に含まれる財務諸表の表示は、すべての重要な点において、欧州単一電子フォーマットに準拠していると結論付ける。
法定監査人の選任
2016年5月12日に開催された定時株主総会によりPricewaterhouseCoopers Auditが、及び2022年5月4日に開催された定時株主総会によりKPMG S.A.が、エア・リキードの法定監査人に任命された。
2025年12月31日現在、PricewaterhouseCoopers Auditは継続的関与の10年目、KPMG S.A.は4年目であった。
連結財務諸表に対する経営者の責任及びガバナンス上の責任
経営者は、欧州連合が採用している国際財務報告基準(IFRS)に従って連結財務諸表を作成し、適正に表示する責任があり、また、不正又は誤りによるか否かを問わず、重要な虚偽の表示のない連結財務諸表を作成するために経営者が必要と判断する内部統制について責任を負う。
連結財務諸表の作成にあたり、経営者は、継続企業として存続する会社の能力を評価し、事業の継続性に関連する事項を適切に開示し、継続企業ベースの会計処理を利用する責任を負う。ただし、会社を清算し、又は事業を停止することが予想される場合はこの限りではない。
監査・会計委員会は、会計及び財務報告の手続において、財務報告プロセス、内部統制・リスク管理システムの有効性、及び該当する場合は内部監査を監視する責任を有する。
連結財務諸表は、取締役会の承認を受けた。
連結財務諸表監査のための法定監査人の責任
目的と監査アプローチ
当監査法人の役割は、連結財務諸表に関する報告書を発行することである。当監査法人の目的は、連結財務諸表全体に重要な虚偽の表示がないかどうかの合理的な保証を得ることである。合理的な保証は、高いレベルの保証であるが、重要な虚偽表示が存在する場合、監査基準に従って実施される監査により常にそれが発見されるという保証ではない。虚偽表示は、不正又は誤りから生じ得るものであり、個別に、又は全体として、これらの連結財務諸表に基づいて行われる利用者の経済的な意思決定に影響を及ぼすことが合理的に予想される場合には、重要と考えられる。
フランス商法第L.821-55条に規定されているように、当監査法人の法定監査には、当会社の存続可能性又は当会社の業務運営の品質に関する保証は含まれていない。
フランスにおいて適用される監査基準に従って行われる監査の一環として、法定監査人は、監査期間を通じて専門的判断を行い、さらに下記事項を実施する。
■ 不正又は誤謬によるものであるかを問わず、連結財務諸表の重要な虚偽表示のリスクを特定し、評価し、当該リスクに応じた監査手続を設計し、実施し、意見表明の基礎となる十分かつ適切と考えられる監査証拠を入手する。不正は、談合、偽造、故意の省略、不実表示、内部統制の無効化等を伴う可能性があるため、不正に起因する重要な虚偽表示を発見しないリスクは、エラーに起因するリスクよりも高い。
■ 内部統制の有効性についての意見を表明する目的ではなく、状況に応じた適切な監査手続を設計するために、監査に関連する内部統制の理解を得ること。
■ 経営者が連結財務諸表において採用した会計方針の適切性、会計上の見積り及び関連する開示の妥当性を評価する。
■ 経営者が継続企業ベースの会計処理を適切に行っているかどうかを評価し、得られた監査証拠に基づき、継続企業として存続する会社の能力に重大な疑義を投げかける事象又は状況に関連する重大な不確実性が存在するかどうかを評価する。この評価は、監査報告書の日付までに入手された監査証拠に基づく。しかしながら、将来の出来事や状況により、当社は継続企業として存続しなくなる可能性がある。監査人が重要な不確実性が存在すると判断した場合には、監査報告書において、連結財務諸表の関連する開示に注意を喚起すること、又は当該開示が提供されていないかもしくは不十分な場合には、当該開示において表明された意見を修正することが要求される。
■ 連結財務諸表の全体的な表示を評価し、これらの財務諸表が適正な表示を実現する方法により基礎となる取引及び事象を表現しているかどうかを評価する。
■ 連結財務諸表に対する意見を表明するために、当グループ内の事業体又は事業活動に関する財務情報に関する適切な監査証拠を入手する。法定監査人は、連結財務諸表の監査の指揮、監督及び遂行、ならびにこれらの連結財務諸表に対する意見について責任を負う。
監査・会計委員会への報告
当監査法人は、監査・会計委員会に報告書を提出し、監査の範囲、実施した監査計画、監査結果を報告する。また、当社が特定した会計及び財務報告手続に関する内部統制に重大な不備がある場合には、その旨を報告する。
監査・会計委員会に対する報告書には、当監査法人の専門職としての判断において、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において最も重要な虚偽表示のリスクが含まれているため、それらのリスクは監査に関する重要な事項として本報告書に記載することが求められている。
当監査法人はまた、監査会計委員会に2014年第537号規則(EU)第6条に規定された宣言書を提供し、特にフランス商法第L.821-27条からL.821-34条まで及び法定監査人のためのフランス倫理規程に定められているような、フランスで適用される規則の意味における当監査法人の独立性を確認している。必要に応じて、当監査法人は監査・会計委員会と、当監査法人の独立性に影響を及ぼすと合理的に考えられるリスク及び関連する安全策について協議する。
2026年3月5日
ニィイ・シュル・セーヌ及びパリ-ラ・デファンス
法定監査人(フランス語原署名)
PricewaterhouseCoopers Audit
オリビエ・ロト
セドリック・ル・ガル
KPMG S.A.
バレリー・ベソン
ローラン・ジェニン
年次財務諸表に対する法定監査人の監査報告書
これは、フランス語で発行された当社の財務諸表に関する監査報告書を任意の翻訳であり、英語を話すユーザーの便宜のためにのみ提供されている。この監査報告書には、法定監査人の選任に関する情報や、マネジメント・レポート及び株主に対して提供された他の文書の検証など、欧州規則及びフランス法で要求される情報が含まれている。本報告書は、フランス法及びフランスで適用される監査基準と併せて読まれ、それに従って解釈されるものである。
定時株主総会宛
意見
当監査法人は、定時株主総会から委託された業務内容に従い、2025年12月31日に終了した会計年度のエア・リキードの財務諸表を監査した。
当監査法人は、当該財務諸表が、フランスの会計原則に従い、2025年12月31日現在の当社の資産及び負債並びに財政状態並びに同日をもって終了する事業年度の経営成績について真実かつ適正に表示しているものと認める。
上記の監査意見は、当監査法人の監査・会計委員会に対する報告と一致している。
意見表明の根拠
監査体制
当監査法人は、フランスで適用される監査基準に従って監査を行った。当監査法人は、当監査法人が入手した監査証拠は、当監査法人の意見の根拠を提供するのに十分かつ適切であると考える。
これらの基準に基づく当監査法人の責任は、当監査報告書の財務諸表監査に関する法定監査人の責任の項にさらに記載されている。
独立性
当監査法人は、2025年1月1日から当監査法人の報告書作成日までの間、フランス商法及び法定監査人のためのフランス倫理規定における独立性基準に準拠して監査業務を行った。とりわけ、当監査法人は、2014年第537号規則(EU)第5条(1)により禁止された非監査業務を提供していない。
強調事項
当監査法人は、財務諸表の注記に記載されている、ANC規則第2022‑06号の初度適用による影響について注意を喚起する。なお、本件に関して、当監査法人の監査意見に修正はない。
評価の正当性―重要な監査事項(Key Audit Matters)
当監査法人の評価の正当性に関するフランス商法第L.821-53条及び第R.821-180条の要件に従い、当監査法人の専門的判断において最も重要と判断される、当期の財務諸表の監査において重要な虚偽表示のリスクに関する監査上の重要事項、及びそれらのリスクに対する当監査法人の対処方法について、貴社に通知する。
これらの事項については、当監査法人が財務諸表全体を監査する文脈において対処されたものであり、当監査法人の意見を形成するに当たり、当監査法人は、財務諸表の特定の項目について別の意見を述べているものではない。
株式投資の評価
特定されたリスク
2025年12月31日現在、株式投資の純簿価は12,408百万ユーロに達し、貸借対照表全体の86.3%を占めている。株式投資は、買収費用を除き、(1976年12月29日法76-1232に規定される)法律上の再評価があればそれを行った後、当初の対価金額で認識している。
財務諸表に対する注記「3.D. 会計方針-株式投資」に開示されているとおり、使用価値(当グループの時価総額に基づく市場倍率法、見積キャッシュ・フロー法又は公正価値で再測定した純資産価額法を適用して算出)が株式投資の簿価を下回る場合には、当該差額について減損損失を認識している。
帳簿価額の算定方法を選択するには、当社の重要な判断が必要である。
当監査法人は、株式投資残高の重要性及び使用価値の算定に採用された算定方法の影響により、株式投資の測定を重要な監査事項として検討した。
当監査法人の対応
当監査法人の取った手続は、当社から提供された情報に基づき、当社が適用した評価方法を検討し、以下の点を評価した。
■ 再測定された純資産の決定に使用された仮定、
■ グループ時価総額に基づいて行われた算定方法とテストの結果、
■ 財務諸表に対する注記「3.D. 会計方針-株式投資」、「13. 金融資産」及び「14. 減損及び引当金」に記載されている内容の適切性
特別な検証
当監査法人は、フランスで適用される監査基準に基づいて、法令により要求される特別な検証を実施している。
株主に提供した財務状況及び財務諸表に関し、マネジメント・レポート及び他の文書において表示された情報
株主に提供した財務状況及び財務諸表に関し、取締役会のマネジメント・レポートその他書類に記載された情報の適正な表示及び財務諸表との整合性について報告すべき事項はない。
我々は、フランス商法第D.441-6条によって要求される支払期限に関する情報の公正な表示及び財務諸表との整合性を保証する。
コーポレート・ガバナンスに関する情報
我々は、コーポレート・ガバナンスに関する取締役会報告書が、フランス商法第L.225-37-4条、第L.22-10-10条及び第L.22-10-9条によって要求される情報を記載していることを保証する。
フランス商法第L.22-10-9条の要件に従い、取締役が受領する報酬及び利益並びに取締役に有利なその他の契約に関連する情報に関して、当監査法人は、財務諸表、又はこれらの財務諸表の作成に使用された基礎情報、及び、該当する場合、連結範囲に含まれる被支配会社から貴社が入手した情報との整合性を検証した。これらの手続に基づき、当監査法人は、この情報の表示が正確かつ適正であることを保証する。
フランス商法第L.22-10-11条に基づき提供された、株式公開買付又は株式交換オファーの際に貴社が影響を及ぼす可能性が高いと思われる事項に関する情報に関して、当監査法人は、当監査法人に伝達された原資料に沿ったものであることに同意する。これらの手続に基づき、当監査法人は、当該情報について特段の意見を有しない。
その他の情報
フランス法に基づき、投資及び支配権の取得、並びに株主及び議決権保有者の身元に関する必要な情報が、マネジメント・レポートにおいて適切に開示されていることを確認した。
その他の法的及び規制要件に関する報告書
年次財務報告書に記載される財務諸表の作成形式
当監査法人は、欧州単一電子フォーマットで作成された年次財務諸表及び連結財務諸表に関して法定監査人が実施する手続に関してフランスで適用される職業上の基準に従い、最高経営責任者の責任の下で作成されたフランス通貨金融法典第L.451-1-2条Iに規定された年次財務報告書に含まれる財務諸表の表示が、2018年12月17日付けの欧州委員会規則2019年第815号で定められた単一電子フォーマットに準拠していることを検証した。
当監査法人の作業に基づき、年次財務報告書に含まれる財務諸表の表示は、すべての重要な点において、欧州単一電子フォーマットに準拠していると結論付ける。
法定監査人の選任
2016年5月12日に開催された定時株主総会によりPricewaterhouseCoopers Auditが、及び2022年5月4日に開催された定時株主総会によりKPMG S.A.が、エア・リキードの法定監査人に任命された。
2025年12月31日現在、PricewaterhouseCoopers Auditは継続的関与の10年目、KPMG S.A.は4年目であった。
財務諸表に対する経営者の責任及びガバナンス上の責任
経営者は、フランスの会計基準に従って連結財務諸表を作成し、適正に表示する責任があり、また、不正又は誤りによるか否かを問わず、重要な虚偽の表示のない財務諸表を作成するために経営者が必要と判断する内部統制について責任を負う。
財務諸表の作成にあたり、経営者は、継続企業として存続する会社の能力を評価し、事業の継続性に関連する事項を適切に開示し、継続企業ベースの会計処理を利用する責任を負う。ただし、会社を清算し、又は事業を停止することが予想される場合はこの限りではない。
監査・会計委員会は、会計及び財務報告の手続において、財務報告プロセス、内部統制・リスク管理システムの有効性、及び該当する場合は内部監査を監視する責任を有する。
連結財務諸表は、取締役会の承認を受けた。
財務諸表監査のための法定監査人の責任
目的と監査アプローチ
当監査法人の役割は、財務諸表に関する報告書を発行することである。当監査法人の目的は、財務諸表全体に重要な虚偽の表示がないかどうかの合理的な保証を得ることである。合理的な保証は、高いレベルの保証であるが、重要な虚偽表示が存在する場合、監査基準に従って実施される監査により常にそれが発見されるという保証ではない。虚偽表示は、不正又は誤りから生じ得るものであり、個別に、又は全体として、これらの連結財務諸表に基づいて行われる利用者の経済的な意思決定に影響を及ぼすことが合理的に予想される場合には、重要と考えられる。
フランス商法第L.821-55条に規定されているように、当監査法人の法定監査には、当会社の存続可能性又は当会社の業務運営の品質に関する保証は含まれていない。
フランスにおいて適用される監査基準に従って行われる監査の一環として、法定監査人は、監査期間を通じて専門的判断を行い、さらに下記事項を実施する。
■ 不正又は誤謬によるものであるかを問わず、財務諸表の重要な虚偽表示のリスクを特定し、評価し、当該リスクに応じた監査手続を設計し、実施し、意見表明の基礎となる十分かつ適切と考えられる監査証拠を入手する。不正は、談合、偽造、故意の省略、不実表示、内部統制の無効化等を伴う可能性があるため、不正に起因する重要な虚偽表示を発見しないリスクは、エラーに起因するリスクよりも高い。
■ 内部統制の有効性についての意見を表明する目的ではなく、状況に応じた適切な監査手続を設計するために、監査に関連する内部統制の理解を得ること。
■ 経営者が財務諸表において採用した会計方針の適切性、会計上の見積り及び関連する開示の妥当性を評価する。
■ 経営者が継続企業ベースの会計処理を適切に行っているかどうかを評価し、得られた監査証拠に基づき、継続企業として存続する会社の能力に重大な疑義を投げかける事象又は状況に関連する重大な不確実性が存在するかどうかを評価する。この評価は、監査報告書の日付までに入手された監査証拠に基づく。しかしながら、将来の出来事や状況により、当社は継続企業として存続しなくなる可能性がある。監査人が重要な不確実性が存在すると判断した場合には、監査報告書において、連結財務諸表の関連する開示に注意を喚起すること、又は当該開示が提供されていないかもしくは不十分な場合には、当該開示において表明された意見を修正することが要求される。
■ 財務諸表の全体的な表示を評価し、これらの財務諸表が適正な表示を実現する方法により基礎となる取引及び事象を表現しているかどうかを評価する。
監査・会計委員会への報告
当監査法人は、監査・会計委員会に報告書を提出し、監査の範囲、実施した監査計画、監査結果を報告する。また、当社が特定した会計及び財務報告手続に関する内部統制に重大な不備がある場合には、その旨を報告する。
監査・会計委員会に対する報告書には、当監査法人の専門職としての判断において、当会計年度の財務諸表の監査において最も重要な虚偽表示のリスクが含まれているため、それらのリスクは監査に関する重要な事項として本報告書に記載することが求められている。
また、当監査法人は、監査会計委員会に2014年第537号規則(EU)第6条に規定された宣言書を提供し、特にフランス商法第L.821-27条からL.821-34条まで、及び法定監査人のためのフランス倫理規程に定められている、フランスで適用される規則の意味における当監査法人の独立性を確認している。必要に応じて、当監査法人は監査・会計委員会と、当監査法人の独立性に影響を及ぼすと合理的に考えられるリスク及び関連するセーフガードについて協議する。
2026年3月5日
ヌィイ・シュル・セーヌ及びパリ-ラ・デファンス
法定監査人(フランス語原署名)
PricewaterhouseCoopers Audit
オリビエ・ロト
セドリック・ル・ガル
KPMG S.A.
バレリー・ベソン
ローラン・ジェニン